結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2011年10月03日(月曜日)

アメリカ小売業の小さな持続的イノベーションを学習し、実感し、その実行を決意しつつ、帰国しました。ありがとう。

Everybody! Good Monday!
[vol40]

2011年第40週。
10月第2週の始まり。

帰国しました。
関西国際空港に。
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サンフランシスコから10時間58分のフライト。

私はむしろこのフライト時間を、
楽しむようにしています。

だからこれ自体は辛くもないし、
疲れもしない。

それでも積み重なった旅の疲れをとって、
また明日から、元気いっぱい、頑張ります。

さて今週は、
来週月曜日の「体育の日」を控えた週。

1年で一番さわやかな季節。
食欲は旺盛になる。
体は動く。
気持ちも充実。

だから目いっぱい、
発散したいのが顧客の気分。

それに応えるのが、
小売業、サービス業の役目。

目いっぱいの商売に徹したい。

週末の三連休を目指して、
来週月曜日までを一区切りにして、
全開の元気で顧客を迎えたい。

私の今週は、
溜まりきった執筆、テキストづくりをこなしつつ、
来客を迎える日々。

今週末の日曜日から、
今度はドイツ・フランスへの出張。

苦しくも、辛くもありません。
楽しいことばかり。
嬉しいことばかり。

楽しく生きる、嬉しく暮らす。
もちろん辛いこと、苦しいことにも、
そうした気構えで立ち向かう。

それでいて、謙虚に、謙虚に。

integrity[真摯さ]には、
必ず謙虚さがなければならない。
自ら傲慢さを退けなければいけない。

それにしても、今回も、
アメリカ小売業のイノベーションを、
堪能した。

ウォルマートのあくなきイノベーションへのチャレンジ。
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ウォルマートのライバルターゲットは、
イタリアのブランド「ミッソーニ」導入のイノベーション。
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評判は芳しくないけれど。

コストコの精肉「プライム」グレード採用のイノベーション。
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この1年くらいでずいぶんと定着してきた。

テスコ・フレッシュ&イージーは、
北カリフォルニアに進出しつつ進化を遂げている。
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クローガーもセーフウェイも。
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HEBのダラス出店には、
「自らの強み」が強調されていて、
感動した。
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ホールフーズは一段と、
「ローカル」(地産地消)を強調し始めた。
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トレーダージョー
は、
マネジメント・イノベーションに挑戦している。
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スプラウツは「ファーマーズ・マーケット」のフォーマットを、
連続的な小さなイノベーションによって、完成の領域に引き上げつつある。
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リミテッド・アソートメント「ボックスストア」のアルディも。
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「スーパーウェアハウスストア」のウィンコ・フーズも。
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ウォルマートをしのぐディスカウントに磨きをかける。

規模は小さいが、
不可能を可能にするナゲット・マーケットにも、
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ローカルチェーンの「ニューフォーマット」マーケット・ストリートにも、
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日々、小さな、継続的イノベーションがある。

日々の小さなイノベーションは、
「鳥の目・魚の目」と「虫の目」が揃わないと、
見えない。

しかし小さなイノベーションが続けられると、
それは大きなイノベーションとなる。

大きなイノベーションだけに目を向けようとしていると、
小さなイノベーションは見えない。

ピーター・ドラッカー先生の言葉。
「イノベータ―はリスク志向ではない。
イノベータ―は機会志向である」

ショッピングセンターはますます、
ライフスタイルセンター化している。
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これはアメリカ流通産業で今、
見逃せない、大きなイノベーションだ。

イノベーションがあるから、
店が輝いている。

それが喪失すると、
店から輝きが失せる。

今回の平和堂研修会第2班。
セミナーでは、しっかりと学んだ。
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司会は、副団長の販売促進部部長・杉崎邦彦さん。
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集中して聴講するメンバー。
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難しいことをやさしく、
優しいことを面白く、
面白いことをより深く。
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結城理論を完全マスターしてくれた。
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そしてバスでの遠距離走行。
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バスの中でも、休まない、
結城義晴と五十嵐ゆう子のセミナー。

研修が終わったら、楽しんだ。
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ステーキレストラン「Trail Dust」。

テキサスのカウボーイ・レストランだから、
ネクタイを締めてやってくる北部エリートたちの、
そのネクタイを切り取ってかざる。
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飛び切りのポーターハウスステーキを楽しむ。
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店内にある滑り台を、
大の大人が楽しむ。
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そして誕生日、おめでとう。
岡晃敏さん。
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川那辺潔さん。
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最後の最後に、サンフランシスコ空港で、
総括と行動提起。
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団長の常務取締役・平松正嗣さんが、
的確に、丁寧に、
イノベーションの継続を訴えた。
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そして団長、副団長と最後の写真。
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サンフランシスコ空港には、
現地在住の浅野秀二先生が、
見送りに来てくださった。
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11時間のフライトのあと、
関空から、さらに羽田への空中移動。
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大阪の街は日本の大都市だった。

クレイトン・クリステンセンが訴えるイノベーション。
破壊的イノベーションと持続的イノベーション。

破壊的イノベーションが、
ひっきりなしに起こることは絶対にない。

大抵は小さな持続的イノベーションだ。

持続的イノベーションが、
地道に地道に、コツコツと実行されると、
それが大きなイノベーションにつながる。

人間も組織も会社も、
段階的に成長する。

この持続的で小さな改革を軽んじる者は、
イノベーションの本質を理解してはいない。

今回の渡米は、
とりわけて私たちに、
このことを教えてくれた。

アメリカの小売業とわが同志たちに、
心から感謝したい。

それを日本の皆さんに伝えつつ、
Everybody! Good Monday!

<結城義晴>

[追伸]
今週いっぱい、アメリカ報告を続ける予定です。
ご期待ください。

2011年10月02日(日曜日)

ジジとライフスタイルセンター[2011日曜版vol40]

おとうさんですか?
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でかけてますよ。

どこへって?20111002200219.jpg

ボクには、
よくわかりませんが、
いつものところでしょう?
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ヒコーキにのって。
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空のむこう。
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もちろん、
こんなところには、
いません。
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やっぱり、
空のむこうのほう。
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そぅです。
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アメリカ。
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アメリカはいま、
ハロウィン一色。
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おとうさんは、
シゴトです。
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だからボクは、
さびしくなんか
ありません。
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おとうさんは、
みんなといっしょです。
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そして、ライフスタイルセンターにいった。
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あたらしいタイプのショッピングセンター。
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モノを売ったり、
サービスを売ったりではなくて、
憩いを提供するところ。
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だから、チョーコクがあったりします。
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おおきなおおきなゲイジツ。
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こんなのも。
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ニッポンにも、いつか、
できるんでしょう。
ライフスタイルセンター。
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おとうさんは、
講義をしたり。
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インタービューをしたり。
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もうすぐ、
かえってきてくれるはずです。
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ボクはいつも、
まつばかり。

それでいいんですが。

< 『ジジの気分』(未刊)より>

2011年10月01日(土曜日)

トレーダージョー売上げ第2の店舗のクルーマネジャー・ポールが語る「顧客の創造」と「顧客との対等な関係づくり」

今日から10月1日。
いまサンフランシスコ。

こちらに来ていると、
もう年末商戦に入っていることを、
つくづくと実感する。

ウォルマートではないが、
景気が良くないときには、
「早仕掛け」が必須。

先頭を走っている企業は、
みな、早仕掛け。

しかし早仕掛けといっても、
拙速はいけない。

私の言葉で言えば、
「慌てず、急げ」

その10月の商人舎標語。
「着眼大局 着手小局」

今回のツアーのスローガンにもしたが、
伊藤忠商事中興の祖・瀬島龍三さんの三つの心得の第一。

目をつけ、判断するのは、
大きな視点、高い視野から。

実行、実践するのは、
小さく、細かく、厳しく。

Think global,Act local に通じる。

もちろんアメリカ研修の極意にも、
繋がっている。

「鳥の目」「魚の目」と、
「虫の目」。
そして「心の目」。

さて10月のおさらい。

商売上は、2つの山がある。
第1が、10月2週の土曜日から「体育の日」にかけての3連休。
8日(土曜日)、9日(日曜日)、10日「体育の日」祝日(月曜日)。

第2は、10月31日の「ハロウィン」。
アメリカにいるからいっそう、そう感じるのだろうが、
日本でも、ハロウィンは広がってきた。
外国文化を積極的に取り込むのが日本人。
ここに躊躇はいらない。

商売にも欠かせないプロモーションである。

私自身の10月のスケジュールは、
このツアーが終わって、3日に帰国し、
5日後の9日から16日まで、
ドイツ・フランスの研修。

20日は、流通科学大学のセミナー。
21日は、コーネル大学のセミナー。

22日、23日は立教大学の結城ゼミ合宿。

そして28日から、11月6日まで、
商人舎USA研修会。

「着眼大局、着手小局」で、
1カ月を有意義なものにしたい。

さて平和堂アメリカ研修。
私と五十嵐ゆう子さんを入れて、53名。
バスの中も満杯。
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それは熱気を意味する。

トレーダージョーの前で写真。
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良い店です。
良い企業です。

そのトレーダージョーも、
10月1日からマネジメントシステムを変え、
人事評価を変える。

こちらは365店・年商85億ドルのトレーダージョーの中で、
2番目の売上げを誇る店。

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1番は、ニューヨーク・マンハッタンのユニオンスクェアの店。
世界最大都市のど真ん中の店が、
一番の売上げを上げることは分かる。

しかしサンフランシスコは大都市といえど、
この店は、ど真ん中にはない。

サンフランにもユニオンスクェアはあるが、
そこにある店ではない。
立地背景が違うからこそ、
この店の凄さがうかがわれる。

店頭にはハロウィンのディスプレー。
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入り口から店内をうかがうと、
1万平方フィート(280坪)の店舗面積の店にしては、
広々としている。
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壁面をご覧いただきたい。
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たのしい。
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右側から見て。
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左側から見て。
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正面から見る。
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そう、サンフランシスコ湾が、
立体的に表現されている。

リカー売場の背景も、
この店だけの世界をつくっている。
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この店のオリジナリティ。
それでいて、まぎれもなく、
トレーダージョー。

これはチェーンストアの極意。

クルー・マネジャーのポール・チャイさんにインタビュー。
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場所がないので立ち話だったが、
1時間にも及んだ。

通訳は五十嵐ゆう子さん。
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この店は280坪に、
170人のクルーとマネージャーがいる。

「自分がここで働いているのは、
お客様が来てくれるから。
カスタマーが来ることがプライオリティだ」

ピーター・ドラッカーの言葉。
「企業・事業の目的は、
顧客の創造である」

倉本長治。
「店は客のためにある」
ポールさんが自分の言葉で説明してくれた。

「我々はカスタマーを、
自分の家に大切な友人を迎えた時と
同じように店に迎える」

これはホスピタリティの極意。
「顧客はゲスト・私はホスト」
ホストとゲストは対等である。

この「ホスト」という言葉から、
「ホスピタリティ」は派生した。

すなわち、顧客とマーチャントは、
対等な関係にある。

「サービス」は「サーバント」から生まれた言葉。
サービスする側と、される側。
ここにあるのは「主従の関係」。

ホスピタリティは「対等の関係」。

これがトレーダージョーの根本姿勢である。

ポール・チャイはクローガーで20年働いた。
その後、カブフーズに2年。
それからトレーダージョーにやって来た。

しかしこのトレーダージョーが、
一番好きだ。

私は想像した。
確信に近いインスピレーション。
「顧客との対等な関係」がトレーダージョーにあるからこそ、
彼はトレーダージョーを、
最後の働き場所と決めたに違いない。
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店のデコレーションが、
トレーダージョー第2の売上げをつくっているのではない。
それは二次的な条件だ。
もちろん二次的な要素も大切だし、
この二次的要素を完璧にして、
ゲストを迎え入れる舞台とすることも重要だ。
顧客との関係づくり。
クルーやマネジャーがそれをする。

このカスタマー・リレーションが、
結果として売上げにつながるのだ。

平松正嗣団長、杉崎邦彦副団長とも、
握手してくれた。
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本当は全員と、
対等な関係の同志として、
握手したかった。

ポール・チャイとトレーダージョーに、
心から感謝。

すごく良い10月の始まり方だった。
(つづきます)

<結城義晴>

2011年09月30日(金曜日)

ウォルマートの実験場「プラノ店」でのなりふり構わぬ「売り込み」作戦・後編

昨日29日、午後8時のユナイテッド航空で、
ダラスを発って、デンバー経由、
サンフランシスコ着。

時差が2時間あったので、
国際空港に着いたのは、
こちらの時間で23時30分。
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朝から1日ダラスを視察し、
バスの中でも解説し通しで、
話す側、聞く側、
ともに強行軍。

サンフランシスコは、
いつものホテル日航に落ち着いて、
一安心。

さて、米国の第2四半期の国内総生産(GDP)が発表された。
第2四半期とは4月から6月までのこと。

年率換算で前期比プラス1.3%。
8月末に発表された改定値に比べると、
0.3ポイント上方修正された。

この中で、米国GDPの7割ほどを占める個人消費支出は、
0.7%プラス。

改定値は0.4%増の見立てだったので、
0.3ポイント上方修正。

これが景気変動のカギを握る。
そして個人消費は小売業、サービス業が担う。

失業率は9%台で米国経済の問題点のひとつだが、
その雇用情勢も若干改善。

輸出のプラス幅は3.6%だが、
第1四半期の1~3月期よりも縮小。

アメリカ合衆国は消費大国だ。
しかしGDPの伸びに関しては、
このところ輸出に依存してきた。

外需で稼ぎ、景気回復を図り、
それが個人消費に反映されて、
小売業もサービス業も潤う。

これを逆にしなければいけない。

ノーベル経済学賞のポール・クルーグマンは、言い切る。
「米国にとって国際競争力は幻想だ。
国内のサービス業の生産性があがることが、
国民の生活の豊かさにつながる」

一方、日本では総務省から、
8月の全国消費者物価指数が発表された。
2010年を100として指数化すると、
生鮮食品を除く総合指数は99.9%。
前年同月よりも0.2%上昇。

2カ月連続アップだが
「足元の物価の動きは小さい」。
つまり「変わらず」ということ。

さらに8月の家計調査は、
1世帯あたり消費支出28万2008円。
物価変動を調整した実質ベースで、
前年同月比マイナス4.1%。
6カ月連続マイナス。

日本も小売業、サービス業の奮闘が望まれる。

さてその米国個人消費を刺激する筆頭株のウォルマート。
2900店を超えるスーパーセンターの先導役を担うのがプラノ店。
何しろ「実験はここから始まる」からだ。
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そのプラノ店がなりふり構わぬ「売り込み」態勢に入った。

第1に「アプライアンス・マーケット」の新設。
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第2は、
アクション・アレーの完全復活。
全コンコースの
島陳列販促。
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ほとんどすべてのコンコース上に、
アクション・アレーを復活させて、
これでもかと、売り込む。

ここまでが昨日のブログ。

第3は、精肉のイノベーション。
店舗入り口付近の青果物陳列のトップに、
「You’ll love our new beef」の呼びかけ。
「あなたは私たちの新しい牛肉を好きになってくれるだろう」
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米国農務省認定の牛肉を、
大々的に売り込む。
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そのうえ、「100%マネー・バック保障」。
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理由のいかんを問わず、
すべての商品の返品を受け付け、返金する。

これによって、牛肉は3割伸びた。

豚肉も鶏肉も、
「100%保障」を行っていて、
精肉部門の改革は急だ。

5ドル以下の商品だけ集めたコーナー展開。
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この売り場も回転率を高めている。

精肉売り場の最後には、
職人が握る寿司売り場。
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グロサリーのゴンドラアイルでは、
商品の入れ替えと売り場の変更を行っていた。
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ハロウィンからサンクスギビングデーに向けて。
秋の品ぞろえへの変更をする。

加工肉からパッケージ・デリまでの売場は、
ウォルマートの重要部門だ。
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乳製品売場のコンコースで、
アメリカンフットボールのダラス・カーボーイズのプロモーション。
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これまた「売らんかな」の姿勢。

玩具売場は全米ナンバーワン。
何しろトイザらスを経営不振に追い込んだほど。
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そのToys売り場には、
最新の売れ筋製品がズラリ。
「NEW」のスポッターが一斉に並んだ。
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9月の終わりの時期に、
これだけアピールすると、
サンクスギビングデー後のブラックフライデーや、
クリスマス商戦で、マーケットをリードすることができる。

またまた「売らんかな」むき出し。

そして、ハロウィン売り場。
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オレンジ一色。
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ウォルマートは他のどの企業よりも、
ハロウィンは派手に、大げさに展開する。

車内でも、プレゼンテーション・コンテストを実施する。
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しかし今年は、さらに展開を変えた。
これだ。
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ガーデン売場に続く祭事スペースに、
なんとクリスマスツリー。
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ウォルマートの「売らんかな」改革の第4は、
このプロモーションの「早仕掛け」。
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もちろんそれによって、
クリスマスツリーの隣に、
夏・秋のバカンス用品のバーベキュー調理台が並ぶ、
という違和感は生まれた。
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しかしそれも148ドルの超お買い得。
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ウォルマートの「売り込み」姿勢、
早仕掛けにとどめを刺す。

グリーティング・カード売り場も、
ご覧の充実ぶり。
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店舗出口付近では、
クリアランスセール。
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プラノ店コ・マネジャーのシェイさん。
マーカス店長に代わって、
丁寧に説明してくれたうえ、
店内ツアーもしてくれた。
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心から、感謝。

なりふり構わぬ「売らんかな」の姿勢が見えるが、
ウォルマートの余裕の部分も、
彼女から感じ取った。

やるとなったら、かつての方法も復活させる。
シアーズを徹底的に叩きに走る。
精肉は100%保障を展開する。
そしてクリスマスの早仕掛け。

「米国個人消費振興を支える」
そんな気概すら感じさせてくれたウォルマート。

これこそ、私たちが学ぶことである。
(明日につづきます)

<結城義晴>

2011年09月29日(木曜日)

ダラス地区の定点観測「ウォルマート・プラノ店」のなりふり構わぬ4つの「売り方」イノベーション

Homecoming?
USA Todayの今朝の記事。

オークランド・アスレティックスの松井秀樹。
来年の開幕戦がイチローのシアトル・マリナーズと、
東京ドームで開催される。
松井は里帰りできるのに、
それは大丈夫?

松井の去就がはっきりしないというニュース。
日本の朝日『天声人語』や日経『春秋』が、
イチローの200本安打が途絶えた話題を扱ったのに、
こちらは松井への皮肉。

松井の注目度も大したものだが、
皮肉っぽい切り口こそが、
米国メディアの真骨頂なのかもしれない。

一方、商業販売統計速報。
8月の日本小売販売額、
10兆9480億円。
前年同月比2.6%マイナス。
3カ月ぶりの減少となった。

しかし落ち込みの主因は、
自動車小売販売のマイナス18.8%や、
家電など機械器具小売業のマイナス19.3%。

とはいっても、
車は昨年の買い替え補助制度終了前の駆け込み需要の反動、
家電は地上デジタル放送移行前の駆け込みの反動。

百貨店や総合スーパーなど、
大型小売店は1兆5573億円の売上げで、
これは前年比マイナス1.8%。

日本の小売りはマイナストレンドだが、
アメリカも決してよくはない。

だからイノベーションへのチャレンジが、
様々に展開されている。

昨日は夜遅くダラスのヒルトンホテルに到着して、
今日から実質的な研修。

朝一番で、私の講義。
2時間10分ほど。
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私はいつも、
儲かる作戦や目先のトレンドを語ることはない。

「鳥の目、虫の目、魚の目」を強調しつつ、
データや事実を積み重ねながら、
小売業やチェーンストアの体系を整理する。

「虫の目」とは、現場を見る力。
細部まで丁寧に「見極める能力」。
これを支えるのが、専門性と現場主義。

「鳥の目」は、大局を見る力。
全体像を俯瞰しながら、「見渡す能力」。
これを支えるのが、情報量と知識。

「魚の目」は、流れを見る力。
時間の経過の中で、現在と未来を「見通す能力」。
これを支えるのは、経験と見識。

そして、四つ目の目は、

謙虚で、真摯で、真っ正直な「心の目」。

そのうえで今回のスローガン、
「着眼大局 着手小局」。

しっかり聞いてくれて、
全員に活力がみなぎっているのがわかった。
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イノベーションを起こす。
それも持続的、継続的、自発的、自律的に。

そのための考え方、モノの見方。
それが身につかねば、
持続的イノベーションとはならない。
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講義には終わりがない。
続きは1日中、バスの中で。

最初に訪れたウォルマート・プラノ店。
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ダラス地区、テキサス州に限らず、
全米の最注目店を定点観測する。

この店でウォルマートの実験が行われる。
この店で成功すれば全米に展開する。
失敗すればすぐに止めて、
次のイノベーションに臨む。

今回、様々な新しい試みが、
プラノ店に出現していた。

私は驚いた。
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ロープライス・エブリデー。
オン・エブリシング。

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ウォルマートのキャッチフレーズ。

インタビューに答えてくれたのは、
コ・マネジャーのシェイさん。

この店にはストアマネジャーのマーカス氏のほかに、
3人のコ・マネジャーがいる。
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インタープリターは五十嵐ゆう子さん。
的確な質問と的確な通訳。

全員がメモをとりながら、
熱心に聴講。
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さてプラノ店イノベーションの第1は、
「アプライアンス・マーケット」の新設。
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このショップは、
以前マクドナルドがはいっていたスペースをあけて、
設けられた。
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白物家電のショップ。

今年5月にプレストン・ロードの店で実験し、
その結果がよろしかったと見えて、
いよいよプラノ店にお目見えした。

10日前のこと。
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商品供給は、主にゼネラルエレクトリック社。
冷蔵庫、洗濯機、洗浄機などなど。

商品陳列は少ないが、
カタログがあって、その品ぞろえは豊富。
しかもコンサルティングセールスのために、
GEから派遣された人員が、
ふたり配置されている。
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家電販売は、シアーズローバックの得意分野だ。
「ケンモア」というブランドを持っている。

いまやシアーズと兄弟会社になってしまったKマートにも、
ケンモアの売り場がある。

そのシアーズ・Kマート連合軍、
大きく客数を落としている。

ウォルマートは、このシアーズから、
白物家電を奪い取る作戦に出た。

パートナーは、LED電球を共同開発したGE。
それがこのショップとなった。
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ウォルマートは家電においても、
専門店のベストバイに負けない売上げを上げてきた。
しかしそれはオーディオビジュアルやパソコンにおける売上げだった。
洗濯機、冷蔵庫、洗浄機といった白物家電は扱わなかった。

シアーズがあまりに強かったからだ。

しかしなりふり構わず、
弱りつつあるシアーズを叩きに出た。

私はそう感じた。
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しかしただ白物家電を並べて売るだけではない。
三つの販売政策を加えた。

第1がリース・トゥ・オン。

家電は価格が高い。
だから自家用車と同じ売り方を導入した。
まずリースしてもらって、
それを最後に買い取る方式。

第2は、レイ・アウェイ。
頭金だけ入れてもらって、
支払いの先払いをする方式。
1930年代に採用していたやり方だそうだが、
クレジット・カードが激減した今のアメリカのクリスマス商戦に向けて、
レイ・アウェイは、有効な購買動機となる。

第3は、オンライン特売との連動。
「ピック・アップ・トゥ・デー」と呼ぶ。
オンラインで販売する場合、
何%か安く価格設定する。
顧客は、オンラインで申し込んで、
受け取りだけ指定の店舗でする。
そうすると店舗で購買するよりも、
安くなる。
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この三つの売り方、買い方を提案するために、
コンサルティング・セールスマン、セールスウーマンが配置されている。
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シアーズの売り場には、
そんな仕組みやコンサルティングセールスはない。

真ん中にカタログのカウンターがある。
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何しろウォルマート&GEの最強コンビ。
しかもウィンウィンの関係が構築されている。

白物家電のマーケットシェアが変わることになりそうだ。
ダラス地区で、年末までに30店のウォルマートに、
アプライアンス・マーケットが導入される。

一方、本体の家電売り場は、
テレビなどオーディオビジュアル中心。
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そのそばのコンコース沿いの島陳列にも、
洗濯機が置かれていて、
アプライアンス・マーケットとの関連付けがなされている。
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もちろんその隣の島陳列は、
薄型テレビの目玉商品。
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iPadのコンサルティング売り場も、
急きょ設けられて、
万全の態勢。
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プラノ店の第二の大変化は、
島陳列の販促が全面復活したこと。
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これをウォルマートでは、
「アクション・アレー」と呼ぶ。
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かつてはウォルマートの象徴のように見られたアクション・アレー。
2005年のこのプラノ店から影を潜め、
それがプロジェクト・インパクトの大改革につながった。

失敗だったという総括がもっぱらだが、
私は「一つのステップ」だったと思う。

小売業経営はいつも、
アコーディオンのように、
開いたり閉じたりする。

プロジェクト・インパクトで、
ぜい肉を落とした。

ちょっと落としすぎたかもしれないが、
以前のままよりもずっと良くなった。
なりふり構わずのウォルマート。

それはかつての姿をほうふつとさせるところもあるが、
しかし、振子は、戻ってきたものの、
元の位置と同じではない。

それが2011年9月末のウォルマートである。

全員で集合写真。
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このチーム、大きな成果をあげそうだ。
(つつきます、あと二つのイノベーションがあります)

<結城義晴>

2011年09月28日(水曜日)

羽田⇒関空⇒サンフランシスコ⇒デンバー⇒ダラス・フォートワースと乗り継いで、27時間でヒルトン到着

やっとテキサス州ダラスのホテルに落ち着いた。
ヒルトン・ダラス・リンカーンセンター。

ヒルトンホテルといえば、
いま、立教大学大学院の結城ゼミで話題になっている本が、
『脱「コモディティ化」の競争戦略』。
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リチャード A ダベニー著、中央経済社刊。
ダベニーは「Thinkers 50」や「もっとも影響力のある戦略理論家7人」に選ばれた。
前者は「世界でもっとも優れたビジネスに関する思索家50人」。

今回は、30以上の業界を詳しく検証。
アップルやザラ、ハーレー・ダビッドソンなどの豊富な事例を検証。
その中にこのヒルトンホテルがある。

原題は”Beating the Commodity Trap”

コモディティは罠(トラップ)だ。
終わりのない差別化競争や値下げ競争に、
終止符を打て
。

それがこの書の趣旨。
ゼネラル・エレクトリックのジェフ・イメルトは言った。
「コモディティ・ヘル(地獄)」。
ダベニーは言う。
「コモディティ・トラップ(コモディティ化の罠)」。
それらを打ち破るためのフレームワークと経営戦略。

私は、コモディティ化現象は、
消費者のためには悪いことではないし、
それを徹底的に活用したウォルマートやコストコ、
そしてアルディのビジネスの有益性も大いに認めるものだ。

しかしこのダベニーのフレームワークも有効だと思う。
まさにフレームワークをこそ考察し、
経営戦略の見直しを図らねばならない。

ガンバリズムやアイデアで、
コモディティ・ヘルやコモディティ・トラップを、
終焉させることはできない。
ヒルトンホテルはそのカギを握るものの一つだ。

新刊本のネタがもう一つ。
それは私の本。
今回は東洋経済新報社刊。
『1秒でわかる!小売業界ハンドブック』。
その見本が、今日、会社に届いた。

業界構造から最新動向までを網羅した、
いわゆる業界解説本。
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すでに電子版はネット上で公開されているが、
やっと本が出来上がってきた。

著者は正確に言えば、
結城義晴編著・商業経営問題研究会著。

商業経営問題研究会(通称RMLC)メンバーからは、
和田光誉さん、川端順大さん、
そして月刊MD編集長の宮崎文隆さん、
編集者としてもサポートしてくれた二宮護さんが加わり、
5人で各章を担当執筆した。
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私は第1章を担当し、
他の章にも手を入れさせていただいた。

書店店頭に並ぶのは、1週間ほど先になるだろうが、
機会があれば、是非、手にとってみてほしい。

さて、ヒルトンの私。
横浜の家を出たのが昨日の朝9時だから、
ドア・トゥ・ドアで27時間の長旅だったことになる。

10時45分、羽田発の全日空で飛び立ってから、
関西国際空港へ。
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今回は㈱平和堂の第2回アメリカ研修会。
総勢51名。

関空で結団式を行い、
17時に出発して、
10時間ほどで、
サンフランシスコ国際空港へ。
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空港だけ見ていると、
不況感はない。

ここには商人舎スペシャルメンバーの浅野秀二さんが住む。
サンフランシスコという街に恋をした「ジョージ君」。
ブログ小説『ジョージ君、アメリカに行く』が絶好調。
「第8話 ホームステイへ」も面白い。

そのサンフランで乗り換えて、2時間半。
コロラド州デンバーへ。
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ユナイテッド858便。
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ここにはウォルマート環境対策店舗第2号店がある。
通称「オーロラ店」。
2005年11月、
当時のCEOリー・スコットは『環境コミットメント宣言』を発して、
「エクスペリメンタルストア」をオープンさせた。

これらの店は、
1991年にオクラホマで実験したエコストアの進化版だった。

デンバー国際空港も全米1、2を争う巨大空港。
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空港自体も巨大だが、
敷地はもっと広大。
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そのデンバーで乗り換えて、ダラスへ向かう。
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乗り換えるたびに機体が小さくなっていく。
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大動脈から動脈へ、
そして毛細血管へ。
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平原を超え、
雲を乗り越え。

孫悟空になった気分。
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そんなことを実感しながら、
ダラス・フォートワース空港に到着。
もう夜景となっていた。
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五十嵐ゆう子さんが、
笑顔で迎えてくれた。

このダラスには、
ウォルマートの環境対策店舗第1号店がある。
こちらは「マッキーニ店」。
酷暑地対策のエコストアだった。

ウォルマートはまず、
暑さ対策と寒さ対策のエコストアを実験した。
デモンストレーションやスタンドプレーではないことが、
この事実でよくわかる。

もちろんウォルマートだけではない。
サンアントニオ、オースティンにドミナントを築くHEBも、
とうとうダラスに本命フォーマットで出てきた。

学び甲斐がある。
トランクを取り出して、
バスに乗り込む。
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空の上のジェット機から、
地上を走るバスに乗り換えるだけで、
安心感が出てくる。

団員にも笑顔が戻った。
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みな30時間以上も活動している。
太平洋を越える機内で眠れなかった者もいる。

私はバスの中で言った。
「今晩ぐっすり眠れば、
明日の朝はすっきり。
活力が甦ってくる。
いま、みなさんのシゴトは、
ゆっくり休むことです」

いよいよ、始まった。

今回も楽しみなことばかり。
「コモディティ・トラップ」を学ぶことも、
目的のひとつ。

ご期待ください。

<結城義晴>

2011年09月27日(火曜日)

「腹を立てたら自分が損よ」(樋口久子)と念じつつ、関空から「ペリーノミクス」で沸き立つテキサスへ

いま、私は、関西国際空港にいる。
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今朝、羽田のANAに乗り込んで、
この関空へ。

周りは早口の中国人ばかり。
そのエネルギッシュな生活力には、
私たちが忘れてしまったものがある。
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私は、夕方のユナイテッド航空886便で、
サンフランシスコ経由ダラスへ。

今回の渡米は1週間。
テキサスと北カリフォルニアを巡る。

ちょうど今日の日経新聞『地球回覧』にテキサス州の記事。
タイトルは、「『ペリーノミクス』は奇跡か」
ワシントン特派員の矢沢俊樹さんがレポートしている。

「ペリーノミクス」とはテキサス州知事リック・ペリーの政策を言う。
ペリーは共和党大統領選筆頭候補。

「州税である固定資産税の大幅な緩和や、
法人課税軽減を軸に企業誘致を進める」施策。

ペリー陣営は、これによって、
「雇用の原動力になったと実績を誇示」

テキサス州は今夏、
「1930年以来という史上最悪の干ばつに見舞われた」。
そして「綿花栽培は壊滅的打撃を受けた」

この綿花の国内シェアは4分の1にもなる。

「3日間、雨乞いの祈りをささげよう」。
ペリーは8月下旬、州民に呼びかけるほどだった。

しかしテキサス経済には「底力」がある。
「豊富な原油などエネルギー分野や医療・保健、コンピューターなど、
産業構造が分散しつつ、ダメージを補い合う」

ダラス連邦準備銀行は、テキサス州を中心に、
ルイジアナ州北部、ニューメキシコ州南部を含む第11地区を管轄するが、
その試算はテキサス州の力を如実に表す。

「2009年夏以降の全米の新規雇用者のおよそ4割近くを、
同州だけで占めた」

さらに「州別の00年から11年までの非農業者雇用の伸びは、
10%超と断トツ」

「州経済の伸びも3%台」
これは全米平均の1%台の3倍にもなる。

記事では死角の多さも指摘している。
「人口増大で学校や道路などの社会インフラ整備が遅れ、
不法移民や医療保険の未加入率の高さなど、
行政の不安は山積する」

「ペリーノミクス」にかかわるメディアの論争。

全米第2位の鉄道会社BNSFのマシュー・ローズCEOのコメント。
「この10~15年間、
規制緩和や税負担軽減に集中して取り組んだ成果が確実に出ている」。
「BNSFの路線が走る26州の中で最もビジネスに好適な州だ」。

ビジネスに好適な州は人口が増加する。
そして新しい小売業やサービス業が次々に参入する。

新しいフォーマットの実験も、
ここで行われる。

だから私たちはテキサスを目指す。

矢沢特派員は最後に語る。
「天然資源や人口移入、立地などの優位性に恵まれていても、
それらを調和させる政治の意志がなければ
ビジネス界の支持は得られない」

「適切な政策を欠けば
経済の潜在力も死蔵される」

政経一致こそ、
混迷の日米社会に共通する打開策なのだ。

呼応するように日経新聞のコラム『大機小機』。

タイトルは「『米国の日本化』の背景」

コラムニストの希氏が語る。
「米国経済は『日本化』の様相がはっきりしてきた」

日本化とは、
失業率は下がらず、
ゼロ金利政策が続き、
潜在成長率が低下する現象。

リーマン・ショック後、3年を経過して、
日本化はますます顕著になってきた。
日本の「失われた10年」の原因は二つ。

バランスシート調整(=企業の過剰債務、銀行の不良債権問題)とデフレ。

コラムニストは、問題点を絞る。
「『失われた10年』をもたらした要因として、
いずれがより重要であったか」

日本では、「バランスシート問題」がより重視された。
一方、アメリカは「デフレ主因説」を選んだ。

しかしこれが、住宅バブルの崩壊、
2007年のサブプライムローン問題、
翌年のリーマン破綻を促す。

要は、「素早く大胆な金融緩和」に踏み切った米国だが、
「バブル崩壊の衝撃を阻止することはできなかった」。

さらに「デフレ懸念」を理由として、
追加的な量的緩和を実行する。

「量的緩和で流れ込んだマネーが国際商品相場を押し上げ、
米国のデフレ懸念は遠のいたが、
「新興国が金融引き締めで対抗した結果、
株価は一時的な上昇にとどまり、
明確な景気回復にはつながらなかった」

デフレ防止だけでは「日本化」を防ぐことはできない。
それがこのコラムの趣旨。

20世紀的な一方的政策では、
難局を切り抜けられない。

難しいけれど、
両方ともに実現させねばならない。

バブル崩壊の後遺症はいまだに残っている。

そんなアメリカに、
私たちは向かう。

楽しみでもあり、
親近感もあり。

途上国では『成長の経済』という要因が働き、
先進国では『衰退の経済』というべき要因が働く。

これが現在の世界のトレンド。

最後にこれも日経新聞で恐縮だが、
『スポートピア』の樋口久子さんのコメント。

日本女子オープンをいきなり4連覇し、
全米女子プロでも優勝という金字塔を打ち立てた。

「私は昔から親に常々『腹を立てたら自分が損よ』と言われていたが、
ゴルフを通じてかなり忍耐強くなったと思っている」

これは現在の日本にもアメリカにも言えることだ。

そしてあなたにも私にも。

「腹を立てたら自分が損よ」

では、行ってきます。

<結城義晴>

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