結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2011年12月17日(土曜日)

野田首相の「福島原発事故収束宣言」とセブン‐イレブン「戸籍謄本サービス」とCVSベイエリアの「運営・孫悟空」

野田佳彦首相、「福島原発事故収束宣言」。
各紙一面トップを飾った。

東京電力福島第一原発の事故収束に向けた工程表では、
ステップ2の「温停止状態の達成」終了が確認された。

野田首相の記者会見での発言。
「発電所の事故そのものは収束に至ったと判断される」

しかし朝日新聞は福島県佐藤雄平知事の発言を出して、
事故は収束していない。
多くの県民は不安を感じている」と反論を展開。
日経新聞はズバリ、「違和感がある」。

ステップ1は、原子炉を安定的に冷やす段階で、
これは7月に完了。

ステップ2は当初、来年1月中旬の終了予定だったが、
それが前倒しになった。

それでも「宣言」そのものに、批判が出る。
政権とはそんなものだが、
「事故収束宣言」が発せられても、
「本当の事故処理はまだまだこれから本番」だということは、
認識しておかねばならない。

さて今日は、コンビニの話題が二つ。
第1は、セブン‐イレブンが、
戸籍謄本、戸籍抄本、戸籍納付票の写しなどを、
店舗で受け取ることができるサービスを開始する。

スタートは来年1月11日から。

セブンイレブンは現在、すでに42自治体と協力して、
住民票の写しなどの店頭受け取りサービスを実施
している。

しかしこのインフラサービス、
セブン-イレブンがシステムを用意しておいて、
各自治体の側がどう実行するかが問題の根本にある。

今回は、滋賀県愛荘町と奈良県生駒市

町役場や市庁舎で住民基本台帳カードを取得し、
パスワードを登録しておく。
セブン-イレブン店頭のマルチコピー機に住基カードをかざして、
パスワードを打ち込んで、プリントアウトする。

今回、利用できるのは時間限定。
24時間ではない。
平日と土日曜日の午前8時半から午後8時まで。

利用料金は自治体によって異なるが、
戸籍謄本の場合、300円前後。

それらを含めて、いいことです。
ますます、社会のインフラ機能を果たすことになる。

第2のコンビニ関連ニュースは、
シー・ヴイ・エス(CVS)ベイエリアが、
サークルKサンクスのチェーンを脱退した件

CVSベイエリアは、特異なビジネスモデルを展開している。
エリアフランチャイザー、すなわち地域限定本部
その地域は「東京湾のベイエリア」。
ここにサンクスのバナーで集中出店して、
抜群の強さを発揮し、エリアフランチャイザーとして、
東証一部上場企業となった。

コンビニ・チェーンとしてのパッケージは、
ナショナルチェーン本部が提供する。
今回は、サークルKサンクス。

店舗とチェーンの運営をエリアフランチャイザーが行う。
だからCVSベイエリアは約120店の直営コンビニチェーンである。

日本のセブン‐イレブン・ジャパンも、
もとはと言えば、
アメリカのサウスランド社のエリアフランチャイザーだった。
ただしここでのエリアは日本国だった。

そしてセブン‐イレブン・ジャパンは、
本国のノウハウをはるかに超えたチェーンストア・システムをつくり上げた。

CVSベイエリアも特異なビジネスモデルを構築し、
今回、サークルKサンクスと袂を分かつことになった。

訴訟での和解で、解決金は15億円
CVSベイエリアが払い、サークルKサンクスが受け取る。

その代りに来年3月以降、
CVSベイエリアは他のコンビニ本部と契約できる。

今後、ローソン、ファミリーマートなど、契約交渉戦が展開される。
ただしセブン‐イレブンは、
エリアフランチャイズも多店経営もあまり歓迎していないので、
CVSベイエリアがセブン-イレブンの看板を掲げることはない。

しかし、この話、おもしろい。

フランチャイズ・チェーンという契約概念のチェーンストア。

日本フランチャイズチェーン協会の定義をそのままに、
私は7つの項目に分類して整理している。
(1)事業者〈フランチャイザー〉が
他の事業者〈フランチャイジー〉との間に契約を結び、
(2)自己の商標、サービスマーク、トレードネーム
その他営業の対象となる商標および経営のノウハウを用いて、
(3)同一のイメージの下に商品の販売その他の事業を行う権利を与え、
(4)一方フランチャージーは一定の対価を支払い、
(5)事業に必要な賃金を投下して、
(6)フランチャイザーの指導及び援助の下に事業を行う。
(7)両者の継続的関係をいう。

今回この継続的関係を、CVSベイエリアの側が断ち切ろうとし、
そこで違約金が払われた。

契約の概念で結びつくから、
契約が切れる、契約をきる、こんな行為が起こる。

しかしCVSベイエリア自身は直営企業として、
自分のチェーンストアを形成し、展開している。

この直営チェーンストア、
なかなかに強い。

日本にチェーンストアが紹介されたばかりの頃、
故倉本長治商業界主幹がたとえ話で説明した。
「孫悟空が自分の毛をむしって、プッを吹くと、
小さな孫悟空が無数に出てきて、
寄ってたかって大きな妖怪をやっつける。
チェーンストアは、あの小さな孫悟空なんだよ」

私は子供のころから『西遊記』の話が大好きだったが、
長治先生のこのたとえ話はことさら好きで、
だからCVSベイエリアの強みもここにあると思う。
もちろんセブン-イレブンの強みも、
サークルKサンクスの強みも、
「小さな孫悟空」にある。

CVSベイエリアの面白さは、
オペレーションにおいて、
同社独自の「孫悟空」をつくった
ところにある。

そのCVS孫悟空に価値があるから、
15億円を払った。

何から何まで理想的な孫悟空をつくるという考えもある。
しかし、「オペレーション・マーケティングの孫悟空」の発想もある。

この発想、必ず、どこかに転用できる。

ではみなさん、良い週末を。

私は立教大学新座キャンパスで、
結城ゼミ敢行中。

頑張ります。

<結城義晴>

2011年12月16日(金曜日)

「2012年、未来に向かって飛び出そう」と叫びつつ、葛城丸の内からUSP研究所の「ヒレ酒」、流通問題研究所の講演まで

商人舎ホームページの右段に、
新しいページをつくりました。

「今月の標語」、
「商人舎インフォメーション」、
「商人舎specialmember」、
「商人舎発起人の皆様」、
「USA視察研修会」

そして「負けるな! 不屈の日本人」と、
バナーが続いていますが、
その下に、
「南三陸とぼうさい朝市ネットワーク」
サブタイトルは藤村望洋被災地支援記。

そうあの早稲田商店街事務局長の藤村望洋さんの、
被災地を支援し続けた9ページにわたる記録。

是非、読んでみてください。

このレポートの最後には、
こう書かれています。
「支援と街づくりは続く」

私たちの支援も、
そして街づくりも、
まだまだ続きます。

ひとつずつ、
すこしずつ、
いっぽずつ。

さて日経新聞コラム『大機小機』。
コラムニスト恵海氏が日本に檄を飛ばす。

「2012年『起きろ、飛び出せ、日本』

「外部環境が一段と悪化する下で、
引きこもりや昼寝は座して国家の衰亡を待つと同様だ」

だから、
「来年こそ日本は未来に向かい飛び出さねばならない」
私も大賛成。

未来に向かって、
飛び出そう。

そのための方法が5つ提案される。
「第1に、年初の国会で消費税率の2013年からの引き上げ
社会保障改革、国会議員・国家公務員・地方公務員の削減を決定する」
これはコラムニストの持論であり、
日経新聞の提案でもある。

「第2に、普天間問題を決着させ、米国、オーストラリアと協力し、
シーレーン(海上交通路)の確保に努めアジアの安定に貢献する」

「第3に、輸出優遇策、海外M&A(合併・買収)推進策を実行し、
貿易収支の黒字、投資収益の一層の拡大を図る」
私はこの面では内需の掘り起こしが必須だと考えているから、
コラムニストとはちょっとニュアンスが異なる。
この際、
「海外で買収した企業に家族と共に
20~30年勤務する体制を整備する」

ここからが私自身も深く関係してくる。
「第4に、大学・大学院の質をさらに上げ、
大学間の格差は当然のこととする」

研究や教育の質をさらに上げる。
私もすべてではないが、
ここにかかわる。

だからより厳しく、より細かく、
続けなければと考えている。

「第5に、1970年代まで存在した貯蓄増強運動を復活し、
国債の国内消化の継続に備える」

コラムニストの呼びかけ。
「来年はこれら施策を着実に実行し、
国家存亡の危機に備えなければならない」

呼びかける内容は別にして、
5つくらいの課題を鮮明にし、
それを絶対に実行する。

「実行」こそ、来年の私たち全員の課題。

だから、
ひとつずつ、
すこしずつ、
いっぽずつ。
実行しよう。

今日のブログは、今週後半の私の行動日記。

水曜日は静岡県の葛城丸の内宿泊。
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「殿様」になった気分にさせてくれる宿。
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玄関を入ると、
ふんだんに木を使った内装。
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階段も檜の一本もの。
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2階に上がると展示がある。
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その奥にトルシエ・ジャパンの選手たちのサイン。
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そう、この葛城丸の内は、
2002年のサッカーワールドカップで、
トルシエ・ジャパンの宿舎となったホテル。

経営はYAMAHA。
建物をつなぐ迷路のような長い回廊も贅沢。

内庭も美しい。
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広い敷地を使った庭もよい。
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もちろん温泉の湯がことさらに素晴らしい。
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もちろん夕食は静岡の特産品や生鮮品を、
丁寧に調理してくれて美味。

朝食もバイキング方式ながら、
1品1品がしっかりしていて、
ついつい食べすぎるくらい。

私は、今年1年の疲れが、
一気に吹っ飛んだ気がした。

心から、感謝。

みなさんも、機会があれば、
葛城丸の内、お試しください。

その後、新幹線で帰京。
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富士の山が澄んだ空気に浮かび上がっていた。

その後、USP研究所の忘年会に駆けつける。
恒例となったふぐ料理「築地天竹」。
120名ほどが集った。

USPとは「Universal Shell Programming」の略。
「システム(つながり)とコンピュータ(道具)の基本的な関係に立ち返り、
UNIX思想の原点に基づき、人間の協働活動を力強く支え、
より身近に利用できるコンピュータ技術を実現する」ために活動。

代表の當仲寛哲さんの考えは、
Linuxを使った「軽くて、早くて、柔らかい」情報システムづくり。
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當仲さんは、コーネル・ジャパンの講師も務めてくれて、
この分野の若手第一人者。
大久保恒夫さんも参加。
セブン&アイ・フードシステムズ社長。
12月2日行った「ふたりのビッグショー」を振り返りつつ、
ひれ酒を二人で楽しんだ。
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余興にじゃんけん大会。
パーを出し続けた私は、勝ち残り、
有機野菜をいただいた。
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閉店間近まで、
おおいに語り、飲み、
ふぐを食べ尽くした。

特に「ヒレ酒」は絶品。
一度、「天竹のヒレ酒」、
試してみてください。
お勧めします。
當仲さんを囲んで、大久保さんと、
コーネル・ジャパン講師サークルの記念撮影。
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今日は、社団法人流通問題研究協会(IDR)で講演。
場所は東京タワーの真向かいにある機械振興会館。
「日米欧リテール Tide Of Time2,011~」をテーマに、
小売業界の現状と来年度予測を、
持論をまじえて語った。
その後、懇親忘年会。
東京タワー周辺もすっかりクリスマスモード。
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忘年会会場の汐留住友ビルにも大きなツリー。
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15名ほどが『味菜 日平亭』に集まり、
三浦功前会長・相談役を囲んで、
今夜も大いに飲み、語り合った。
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帽子をかぶった粋な三浦先生と記念写真。
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左から㈱マーケティングオフィスコア代表の大管崇嗣さん、
IDR専務理事の橋本佳往さん、
日平亭を運営するマースジャパン㈱営業推進部長の中山勉さん、
㈱Morris Management代表の森髙章さん。

最後に、日本製粉㈱執行役員営業企画部長の内田宗司さん。
この毎日更新宣言熱心な読者。
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内田さんにも、心から感謝。
来年は商人舎の忘年会にぜひおいでください。

私の2011年の対外的な仕事は、
流通問題研究協会の講演をもって、
終了。

あ~あ、大変だった。

年末まで、立教大学大学院結城ゼミの合宿や、
ゼミ生の粒子論文、調査研究レポートの最終指導が待っている。

それ以外には、原稿書きと、
来年春の単行本の骨子づくり、
来年の商人舎の事業計画づくり。

私の目は、来年を向いている。

その意味で、
2012年、
未来に向かって、
飛び出そう。

しかしそれも2011年への感謝から始まる。
合掌。

<結城義晴>

2011年12月15日(木曜日)

商人舎年賀状とローソン社長・新浪剛史の「小売業が農業を支える」

今日から年賀状受け付け開始。
全国の郵便局で。

このあたりから年末の気分が盛り上がってくる。

今年の年賀状はどうしようか。
私も考えることになる。

どんな文面にしようか。
どんな写真を使おうか。
来年の商人舎標語はどうしようか。

などなど。

㈱商人舎の年賀状と結城義晴個人の年賀状、
ふたつ、つくる。

なんだか、振り返りたくなった。

2011年の年賀状。
今年は大変な年だった。
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商人舎標語は「知識商人を極める」
『店ドラ』を発刊して、それが売れた。
1年前なのに、懐かしい。

昨年2010年の年賀状。
2010nenga
こちらはコーネル大学のマクラフリン先生、ドレイク先生との写真。
商人舎標語は「Practice comes first!」

一昨年2009年の年賀状。
2009年賀状
標語は「無茶をせず、無理をする」

そして2008年の年賀状。
スチュー・レオナードでの写真を使った。
年賀状2
標語は「志定まれば、気盛んなり」
まあ、昔から、
こういったものをつくるのが、
好きなんですな。

いろいろ思案し、
いろいろ悩んでいるうちに、
どんどん時間が過ぎていく。

そしてギリギリに完成。
私、月刊雑誌の編集を30年もやっていたから、
「締切主義」。

しかも編集長や編集統括を長いことやっていたから、
その原稿などは一番最後。
いわば「最終主義」。

「締切主義」の「最終主義」、
「ギリギリ主義」。

ご迷惑おかけいたします。

しかし内容に関しては、
いつも自分で満足、納得している。

さて、今年の商人舎年賀状、
1月元旦にこのブログでも公開します。

期待してください。
2012年の標語。
私が貰って、ずっと大事にしている年賀状のひとつに、
田淵由美子さんからのものがある。

漫画家。

昭和50年代、
『リボン』など集英社の少女マンガ雑誌で、
現役大学生の漫画家として大活躍。

陸奥A子、太刀掛秀子と、
三羽烏の人気者だった。

その田淵由美子。
大学のサークルの1年後輩。

いまだに年賀状は、
その漫画タッチの素晴らしい絵柄で送ってくれる。

私、毎年、楽しみにしている。

さて、昨日のファーストリテイリング柳井正さんにつづいて、
今日の日経新聞『人こと』に、
ローソン社長・新浪剛史さんが出た。

タイトルは、
「農業は小売りが支える」
この気概がいい。

「我々売り手が農家の思いや安全性を丁寧にお客に伝えれば、
日本の農産物にプレミアムがつく」

環太平洋経済連携協定(TPP)への参加に関して、
安い輸入品の農産物増加が懸念されている。

しかし新浪さんは、言う。
「鮮度の高さが大事な野菜は、
圧倒的に国産が支持されるはず」
私も、同感。

ローソンは4カ所の農場に出資している。
年度内に8~10カ所に増やす計画。
「牛や豚など畜産にも関心がある」

生鮮食品を導入したローソンの店では、
「野菜の売上高が前年比で倍増の勢い」

国産の自社農場の商品を、
店頭やソーシャルメディアを活用して情報提供していく。

まさに「小売業が農業を支える」

アメリカ・ロサンゼルスのニジヤ・マーケット。
そのオーガニック農場。
ニジヤ・ファーム。
今年、11月に訪れた。
そして感動した。
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今日、私、日本の有機野菜を、
USP研究所の忘年会で、
懸賞品としていただいた。
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埼玉県小川町の有機野菜。

日本の有機栽培は、世界でも最先端。

そのリーダーは金子美登(よしのり)さん。
金子さんは、循環型農場「霜里農場」経営者。
同時に、特定非営利活動法人全国有機農業推進協議会理事長、
そして小川町議会議員を歴任する。
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私の実家は福岡県福岡市早良区小笠木の農業。
だから小売業が農業を支えるという新浪さんの言葉は、
泣けるほどうれしい。
泣けるほどうれしい話。
来年も、お届けしたい。

再来年も、その次も、
ずっと、お届けしたい。
いつも、お届けしたい。

年賀状をつくる前から、
みなさん、来年もよろしく。

<結城義晴>


2011年12月14日(水曜日)

ユニクロ柳井正「民間が世界に日本の良さをアピール」と三越伊勢丹・石塚邦雄の「在庫リスクと売り切り」

12月14日。
赤穂浪士討ち入りの日。

元禄15年というから、1703年。
12月14日は旧暦1月30日。

深夜、吉良義央の屋敷に討ち入り、殺害。
元赤穂藩士大石良雄以下47人の武士。

読売新聞一面コラム『編集手帳』が取り上げた。
熱燗や討入りおりた者同士 (川崎展宏)

2011年の今年の江戸は、
まだ熱燗の季節を迎えてはいない。
暖かい。

日経新聞『人こと』に、
ファーストリテイリングの柳井正さん登場。
「欧米企業の投資意欲が落ちている今こそ
海外に出るチャンスだ」

私は今年、アメリカ、ヨーロッパ、アジアで、
ユニクロの店を見てきた。

ニューヨークではソーホーの店が相変わらず大繁盛。
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5番街の店は、スウェーデンのH&Mやスペインのザラ、
アメリカのギャップ、フォーエバー21など、
名立たるファッションチェーンを向こうに回して、
圧勝。
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日本人として、
胸のすく思いだった。

パリのオペラ座裏の店も、
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斬新な店づくりで、大繁盛。
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ありきたりな言い方だが、
パリジェンヌに一目置かれる店となっていた。
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上海では、これまた、
目抜き通りの路面店や百貨店のインショップで、
ユニクロは引っ張りだこ。
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ここでも、競争相手は、
ザラ。

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そしてH&M、ギャップ。
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そして彼らを打倒している。

その原動力は、もちろん、
「ジャパン・テクノロジー」を謳う商品の質と価格だが、
日本人らしい接客やホスピタリティを、
現地の社員・従業員が提供している点も見逃せない。
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アメリカではアメリカ人が、
法被を着て、日本的声掛けを、
英語でやっていた。

パリではフランス人が、
上海では中国人が、
ユニクロ流、日本流の接客。

その一つは、試着室。
他のファッションチェーンには、
試着室数が少ない。

ユニクロでは、
どの店でも、
多くの試着室があり、
さらにそこに行列。
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衣料品だから、まず、着てもらう。
食品は、食べてもらう。
生活用品は使ってもらう。

これを「ライフテスト」という。

それなくしては、販売はないし、
それが顧客の立場に立った販売だ。

柳井さんは意気込む。
「民間が国を代表して、
世界に日本の良さを
アピールしたい」

海外の店を訪れると、
このトップの意気込みが、
現地従業員に伝わっていて、
心地よい。

柳井さんは力説する。
「あくまで日本に根ざした企業」

海外展開に伴って外国人の新卒採用を増やし、
社内公用語を英語にしても、
「ユニクロは日本企業」のスタンスを崩すものではない。

それがユニクロのポジショニングだからである。

柳井さん自身の後継者問題に関して、
「日本人のDNAがわかっている人が
就くべきだ」

私もそれがいいと思う。

日産自動車のトップに、
カルロス・ゴーンが就任して成功したのは、
日産がルノーになったから。
すなわちDNAを変えるためだった。

さて、今朝の日経は『トップに聞く企業戦略』で、
三越伊勢丹ホールディングス社長も登場させている。
石塚邦雄さん。
同社は日本最大の百貨店で、
なおかつ低迷のこの業界の中にあって、
「業績回復が鮮明」。
2011年上期の4~9月、
連結営業利益は前年同期比10倍の90億円。
来年3月期の本決算では営業利益は、
「(82%増の)200億円を目指したい」と発言。
ただし、三越伊勢丹と言えども、
減収増益。

この基調に変わりない。
「今年10月~来年2月は前年同期比3%の減収計画」

利益が出るのは、
「宣伝費や人件費など経費削減も進んでいる」から。

「今年4月に百貨店運営子会社の『三越』と『伊勢丹』を統合」
これによって「運営効率が改善」した。

「仕入れ構造の改革も進め、原価を引き下げる」
そのためには、
「単純に商品を仕入れて売るだけではダメだ」
「自ら商品を企画して原材料も調達し、
生産委託して販売するなどの取り組みを加速する」

これはユニクロと全く同じ考え方。

だから、「在庫リスクが生じるが、
商品を売り切る比率を向上し
利益率を高める」

在庫リスクを背負って、
それを売り切ることで利益を出す。
どんな商売も、ここに始まり、ここに終わる。

さらに今朝の日経新聞『戦略分析』では、
イトーヨーカ堂の衣料品売り場の改革。
ひとことで言えば、
総合スーパーに、
百貨店の商品と売り場をもちこむ作戦。

「セブン&アイ・ホールディングスは、
総合スーパーのイトーヨーカ堂に、
百貨店のそごう・西武が運営する衣料品売り場を導入する」

改装開業するショッピングセンター「アリオ松本」に、
420平方メートルの「SEIBU」の看板を掲げた売場をつくる。

レナウンの「ポートダーバン」、
東京スタイルの「アドレス」、
詩仙堂グループの「第五空間」など、
5つのテナントを展開。

そごう・西武の直接仕入れの雑貨売り場も設置。

運営はそごう・西武で、
同社社員やアパレルの派遣社員が百貨店流の接客を展開。
商品価格帯はヨーカ堂より少し高い。

私は総合スーパー・イトーヨーカ堂の改革アイデアのひとつは、
ジュニアデパート化だと考えているし、
言い続けている。

その一つの実験となる。

アメリカには「コールズ」というケーススタディがあり、
イギリスには「マークス&スペンサー」という事例がある。
ただし、イトーヨーカ堂のポジショニングの中に、
「SEIBU」の売り場が完全に同化されなければ、
上手くはいかないと思う。

それでも混迷した総合スーパ―の、
その元凶だった衣料品マーチャンダイジングにまた、
一つの試みが行われる。

立地によっては、大成功するだろうし、
ピクリとも動かない立地の店も出てくるだろう。

そこで、いかに考えるか。

イトーヨーカ堂とそごう・西武、
お手並み拝見と参ろう。

今日は「四十七士討ち入りの日」だ。

<結城義晴>

2011年12月13日(火曜日)

「店に並ぶ1品1品をすべて食べ比べる」コープさっぽろ大見英明の胸に川一男が突き刺した言葉

日経新聞最終面の『交遊抄』
産業界、経済界のトップが毎日、
心に残る交流相手を紹介しつつ、
そのエピソードを語る。

今日はコープさっぽろ理事長の大見英明さんが、
川一男さんとの「縁」を書いている。

川さんはダイエー副社長からマルエツ社長、
シジシー・ジャパン副会長を歴任した、
業界きっての戦略家、政策通。

大見さんは、生粋のコープさっぽろ育ちで、
1982年、同生活協同組合に入職して以来、
現場を経験し、商品部食品バイヤー、SSM業態部長、
リニューアル本部長、生鮮本部長、
そして2002年常務理事、2006年専務理事、
2007年から若き理事長。

ふたりの交友録のタイトルは、
「生き残りの原点」。

大見さんの率直さ、
川さんの奥深さが出ていて、
今朝の『交遊抄』はとりわけ、いい。

「大見君、お店に並ぶ1品1品を
すべて食べ比べていますか」

川さんから大見さんへの質問、
というか、問題提起。

大見さんは書く。
「私が運転する車の助手席で、
川氏がつぶやいた一言が胸に突き刺さった」
大見さんは、「2000年当時、生鮮本部長で
商品戦略の見直しを任されていた」
その見直しと立て直しのきっかけとなったのが、
川さんの言葉。

「私はライバル店の商品を購入し、
自分たちの商品と食べ比べた。
味、見た目、価格――」

ここからコープさっぽろの改革がスタートした。
名づけて、
「マーチャンダイジング・ラリー」。

「何が足りないのかを徹底的に分析する」
「どの評価項目でも他社の上をいく商品づくりに取り組んだ」

合言葉は、
「見えるものは全て比較しろ」

こういった地に足のついた改革によって、
「一度どん底を見た我々が生き残ることができた」
大見さんは述懐する。

生き残りの原点は、
店に並ぶ1品1品を、
すべて食べ比べる。

クリスマス、年末商戦。
忙しい。

しかしすべての商品を1品ずつ、
食べ比べる、あるいはライフテストする。

その準備が済んでいたら、
「知者惑わず、勇者恐れず」となる。

今日は川さんの、大見さんへの、
「このひとの、このひとこと」
皆で味わおう。

お二人に、心から感謝。

<結城義晴>

2011年12月12日(月曜日)

今年の漢字「絆」と「おいしい米粉を食べよう」キャンペーン

Everybody! Good Monday!
[vol50]

2011年第50週。
ああ、もう50週間も過ぎてしまったのか。
そんな感慨が深い。

12月の第3週。
今週を入れて、あと3週間。

とはいっても、今週は、
さして大きなイベントがない。
東京・横浜など、ポカポカと暖かい。

これをこそ、「小春日和」という。

小春日和(こはるびより)とは、
「晩秋から初冬にかけて、
移動性高気圧に覆われた時などの、
穏やかで暖かい天候のこと」

Wikipediaの説明。

小春(こはる)とは陰暦10月のこと。
太陽暦では11月ごろ。
11月、12月の陽気の中で、
春に似ている場合に、
小春日和と呼ぶ。

昨日の日曜日、今日の月曜日など、
まったく、「小春日和」。

風は北風 冬風
誰をさそいに来たのか
子供は風車
まわしまわされ
遠くの空へ消えてゆく

小春おばさんの家は
北風の通り過ぎた
遠くの田舎町

井上陽水作詞作曲の「小春おばさん」。
小春日和のことを歌っている(と私は思っている)。

その小春日和。
明日まで続く。

人気ブログ「常盤勝美の2週間天気予報」によると、
14日水曜日くらいから、天気は崩れる。

商売にとっては、
小春日和が続くよりも、
天候が崩れて真冬のようになった方が、
都合がいい。

しかしお客さんたちは、
この小春日和を喜んでいる。

そのことを忘れてはならない。

クリスマス商戦も、
年末商戦も、
ギリギリ購買・ギリギリ消費が、
ここ数年の特徴。

だから今週は、
そのギリギリ購買の前哨戦。

「最良のベーシック」の商品とサービスを、
丁寧に、丹念に、徹底して、厳密に、
提供し続ける。

それが今週の位置づけ。

私の今週は、比較的、のんびり。
来客を迎えたり、気楽な会合があったり。

週末の金曜日は、
午後4時から(社)流通問題研究協会で講演。
テーマは大きい。
「小売業の現状と来年度予測」

東京タワーの前の機械振興会館で開催される。
協会会員の皆さんに限られるが、
おいでください。

その後、土曜・日曜は、
立教・結城ゼミの2011年度最後の合宿。
修士論文・調査研究レポート提出期限まで、
1カ月と迫った。

その最後の追い込み合宿。

ただし、土曜日夕方から、
立教大学大学院ビジネスデザイン研究科の、
10周年記念レセプション。

私は新座キャンパスでの合宿を抜けて、
池袋キャンパスでレセプションに出席。

その意味ではあわただしい週末。

「慌てず、急げ」
いつもの標語。

さて今日は今年最後の新聞休刊日。
真新しいニュースは毎年恒例の「今年の漢字」一文字。
『絆』(きずな)に決定。

「きずな」の意味は、
「断つことのできない人と人との結びつき」、
「人と人との断つことのできないつながり」、
「離れがたい結びつき」
など。

語源は、「馬などの動物をつないでおく綱」のこと。
結城家のジジには、綱はつけないが、
きずなは深い。

「今年の漢字」は日本漢字能力検定協会主催で、17回目。
一般応募方式で募集し、「絆」が最多数となった。

まったく妥当な線だ。

京都清水寺の森清範貫主が揮毫(きごう)して、
全国に放映発信される。

この年末年始商戦では、
「絆」の文字が多用されるだろう。
それはそれでとても良いことだ。

私たちの仕事は「顧客との絆づくり」でもあるからだ。
結びつきが強い顧客のことを「固定客」といい、
さらにそれが感極まったレベルに達すると、
「ロイヤルカスタマー」という。

先週発表された「2011MJヒット商品番付」では、
東の横綱が「アップル」、
東関脇は「フェイスブック」、
西前頭筆頭は「ソーシャルゲーム」。
いずれも、人間同士の強い結びつきを求めた「絆ビジネス」

それがバーチャルの世界で展開されている。
いわゆるソーシャル・ネットワーク。

しかし実際は、暖かい人肌の、
あるいは笑顔と笑顔の結びつきから、
「絆」は生まれる。

大久保恒夫さんが、
「挨拶」を強調する原点もここにある。

今年末、年始は、
その絆を強める時にしたいものだ。

さて今日は、
横浜の商人舎オフィスに来客が二組。

まず、午前中は、
㈱電通のストラテジック・プランニング局の土井弘さん、
「おいしい米粉を食べようキャンペーン」事務局の
駒込雅史さんと、三浦啓子さんが来社。
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Food Action Nipponのキャンペーンが、
3年前から展開されている。
「食料自給率向上に向けた国民運動推進事業」

農林水産省の主管事業で、
電通が請け負っているが、
私は土井さんを通じて、スタート時点から、
この事業に協力している。

何よりも国の事業として、意義が大きい。

そのFood Action Nipponも3年目を迎え、
少しずつ、前に進んでいる。

その中で、2011年度は、
「おいしい米粉を食べよう」キャンペーンが、
展開されていて、駒込さんと三浦さんはその事務局。

来年年明けから2月末日まで、
今年度最後のキャンぺーンが繰り広げられる。
テレビCMで空中戦が華々しく展開され、
地上戦が小売業店頭で展開される。

今日はその説明。
私も協力することになった。
関心のあるみなさんは、よろしく。

今日、午後には、
㈱ダイナム情報管理部広報担当のお二人が来社。
池上慎平さんと、光廣義宣さん。
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「ダイナム通信」という小冊子が、
年に2回発刊されているが、
私はその編集顧問のような役回り。

内容について、細かく、
あれこれ意見を言い、指示・提案をする。

㈱商業界時代の編集統括のような役目。
グングン内容が良くなって、
嬉しいかぎり。

こういった仕事も私のスキルのひとつなのだと、
あらためて考えさせられて、
小春日和のなかの、
心地よいひととき。

ありがとう。

今日はこれから、
立教でサービス・マーケティングの講義。

では、みなさん。
Good Monday!

<結城義晴>

2011年12月11日(日曜日)

ジジ、クリスマスを待つ[2011日曜版vol50]

ジジです。
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ずいぶん、
さむくなりました。

でも、ことしは、
あたたかい。

いま、おちばが、
まったりしています。
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ユウキヨシハルのおとうさん、
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このところ、
rikkyoにばかり、
いってます。
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夜のキャンパスはうつくしい。

ゼミやコウギ、カイギ。
いそがしそうだけれど、
でも、ずいぶん、
おちついてきた。
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きのうの晩は、
とくにお月さまが、
きれいだった。
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カイキ・ゲッショク。
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ゲンソー的なきもちになる。
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それからrikkyoの名物、
クリスマス・ツリー。
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あと2週間で、クリスマス。
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ボクもまってます。
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ジングル・べ~ル♪
20111211124502.jpg

ジングル・べ~ル♪
20111211124511.jpg

なんだか、うきうきしてきます。
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おうちのなかにも、
ちいさなクリスマス・ツリー。
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ガラスのクリスマス・ツリー。
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心をしずかにして、
クリスマスまですごしましょう。
20111211124604.jpg

サンタクロースは、
ぼくのところに、
やってくるのでしょうか。。
20111211124554.jpg

おとうさんも、
すこしずつ、すこしずつ、
ジカンがゆったりしてきた。
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ボクも、ゆったりしたジカンを、
おくっていきたいとおもいます。

<『ジジの気分』(未刊)より>

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