小売り大手企業、打ち揃って、安売り合戦に突入。
しかし、仕組みで安さをつくり出していなければ、
どこかが泣く。
その仕組みづくりにチャレンジしているのが、
ロヂャース・北辰商事。
ディストリビューションセンターとトランスファーセンターによって、
全品の検品をし、自動発注の仕組みと連動させている。
それによって、安さをつくり出している。
粗利益率17%、販管費率11.5%で、営業利益5.5%の商売。
太田順康副社長のご厚意で、
コーネル大学リテール・マネジメント・プログラム・オブ・ジャパン特別講習。
昨日4月3日、埼玉県大宮駅に9時集合して、
岩槻センターを訪問。
太田さんはコーネル大学RMPジャパン第一期生の級長。
まず、2階会議室へ。
このセンターは日本アクセスが運営し、ロヂャース専用センターとなっている。
太田さんと石川さんの解説。
コーネル大学RMPジャパンのオプションメンバー・プラスで受講。
センターだからまず商品が入荷する。
そして一部は在庫される。酒の在庫は現在、8日分くらい。
しかしこの量。
安く買った商品なども在庫されるが、
太田さんは「300坪までに抑えろ」といっている。
買い過ぎを注意している。
そして在庫はラインに乗せられて、仕分け場へ。
ケース単位の商品は、仕分けラインで、店ごとに振り分けられる。
カートラックに乗せられる。
そして店へ。
この機能は、世界共通。
しかしこのロヂャースセンターの特徴は、
検品ラインがあること。
特に非食品など、実は誤入荷が多い。
ロヂャースでは、一品一品をバーコードリーダーで読み取らせて、
検品を行っている。
集中して検品し、店では一切検品作業をしない。
それが店の生産性を飛躍的に上げる。
バーコードを読み取った商品はベルトコンベアを流れ、
一品一品、店ごとに仕分けされる。
店ごとに、一品ずつ落ちていく。
バーコードの威力。
そして店ごとのカートラックに。
センターでできることはみな、センターにやってもらう。
だから取引先への発注はセンターが2人態勢で行う。
店は自動発注の仕組みの上にのって、
最低限の発注点を決定する仕事にだけ専念する。
商品部とセンターは、電話でコミュニケーションし、
それでつつがなく商品が流れる。
センターに関するレクチャーが、かなり綿密な数字を伴って行われたが、それは秘密。
しかしロヂャースの販売量を支え、店舗のローコストオペレーションを支えているのは、
このセンターであることは間違いない。
それが結果としてロヂャースの安さをつくり出している。
全員で写真。
心から感謝。
次いで、直近の店舗「ロヂャース大宮店」へ。
この店は19年前にオープン。
オープン初日、私は太田さんと店の中から、
店頭に行列したお客さんの群れを見て、
鳥肌が立ったことを思い出した。
先ほどのセンターから送られてきたカートラックの商品。
バックルームの在庫は、このロヂャースのような店にしては驚くほど少ない。
ビール売り場は、ケース販売が中心。
これも当然、センターから運ばれたもの。
2階売り場は、かつてのロヂャースを思わせる非食品の品ぞろえ。
しかし現在、ロヂャースは売上げ高の75%が食品。
商売の「乗物を変えた」のだ。
その根本に、センターが存在している。
牛乳売り場。
かつてロヂャースは店頭の省力化をずいぶん研究した。
ミルク売り場など、省力補充什器を開発した。
しかしそれよりも、「儲けは仕組みでつくる」方針に転換。
それがセンターを中核に置いた商売の在り方である。
野菜の売り場も、ご覧のように充実。
太田さんは、自動発注についてレクチャーしてkれた。
店に入る商品はすべて、センターでバーコードで検品されている。
だから入荷データはある。
そしてPOSデータで、売れ数は確定されている。
引き算によって、在庫量は明らかだ。
店頭の最大陳列量と最低陳列量が明確になっていて、
最大発注点がSKUごとにあらかじめ決められていれば、
現場の発注作業は、必要ない。
もちろんイレギュラーなことが起こるのが商売。
それに対応するために、発注点の変更は必要となる。
それがこの端末で行われる。
パートタイマーにも取り扱いは簡単。
太田さんは言う。
「90%の売り場ができればいい。
うちは、みんな売り切るから。
10%の発注誤差など販売力でカバーできる。
最後の10%の誤差をなくそうとするから、
そこに膨大なコストがかかる」
この太田順康の割り切り。
それがロヂャースの「仕組みで安さをつくり出す」ことのポイント。
粗利益率17%、販管費率11.5%で、営業利益5.5%の商売。
全員、納得。
しかし「わが社にはできないかも」という声しきり。
ロヂャースの「差異が価値を生む」の一編、
これにて終了。
太田順康と結城義晴、固い握手。
[真ん中の写真、自転車に乗って颯爽としているのは太田さん。
これが見せたかったのかも]
ロヂャースと太田さんに、心から感謝。
<結城義晴>