結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2010年09月13日(月曜日)

「どや顔」と「伺い顔」、そして上海訪問記(その3 ウォルマートの巻)

Everybody! Good Monday!
[2010 vol37]

昨日、上海の短い旅から帰国した。

そして今日から、2010年9月第3週。
年の初めから勘定すると、第37週目。

上海では、夕方、スコールのような大雨が降って、
気温は26度前後。

東京・横浜は、まだ35度を越える猛暑日。
それでも朝夕は、ずいぶん涼しくなった。

元気全開で、秋を楽しみたいものです。

今週は、明日、14日火曜日が、
民主党代表選挙の投開票日。

日本の総理大臣に直結する選挙だけに、
大いに注目しなければならないが、
いかんせん、民主党内の党首選び。

これは党員、サポーターか、
地方自治体議員、国会議員でなければ参加できない。

私はもちろん特定の政党を支持するものではないから、
今回は傍観者。

しかしその傍観者の生活や仕事に、
大きく影響を及ぼす選挙になる。

しかも日本国の政治経済は、緊急課題山積。
国際的にみても、歴史をふりかえっても、類をみないほど、
現在の日本のリーダー選びは重要だ。

その人物が明日、決まる。

今週末は、新しい首相に沸き上がるときとなる。

今週末から来週まで、
20日月曜日の敬老の日、23日木曜日の秋分の日など、
祭日が挟まって、飛び石連休。

4月末から5月はじめの「ゴールデンウィーク」に対して、
この9月下旬を「シルバーウィーク」 と呼ぶことがある。

「祝日法」で、敬老の日が第3月曜日に固定されている。
曜日周りで秋分の日が、水曜日となり、
間の火曜日が「国民の休日」となって、5連休になる場合、
とくに「シルバーウィーク」が強調される。
昨2009年がその典型。

今年は、飛び石連休。
昨年対比のみの基準で営業計画を作っていると、
「今年は予算達成できない」といったことになるかもしれない。

ご注意あれ。

「ゆめゆめ欲かくべからず」。

さて今、若者たちの中ではやっている言葉。

「どや顔」

関西弁で「どや!」
と、見栄を切ったときの顔。

自慢顔。
得意顔。
したり顔。

中国を歩いていて、彼らは、
この「どや顔」ばかりであることに気づいた。

しかしここには、
裏付けとしての自信がある。
本質的な熱意がある。
欲の強さがある。

それに対して日本人。
一国の首相になろうとするのに、
ご機嫌伺い顔。

「どや顔」をすると、
マスコミや国民大衆から、
すぐさま非難批判の大合唱。

クレージーキャッツにたとえると、
ハナ肇・植木等が「どや顔」タイプ。
一昨日亡くなった谷啓は典型的な「伺い顔」タイプ。

とうとう、みんな故人になってしまった。

小沢一郎は「どや顔」型。
菅直人は「伺い顔」型。

今や日本人は、総谷啓化。
成熟社会の「伺い顔」。
高度成長型の「どや顔」は、
敬遠される。

かくして「どや顔」は、
お笑いの世界に押し込められてしまう。

政界から引退したハマコーの「どや顔」は、
故横山やすしの「どや顔」に通ずる。

しかし、努力と研鑽の挙句に生まれる「どや顔」。
私は、嫌いではない。

今の中国人の「どや顔」、
私は嫌いではない。

その中国の小売業。

世界第1のウォルマートは、2010年1月31日段階で、
中国に279店を展開。

1991年にメキシコに進出してから、
ウォルマートの世界戦略は始まった。
その前年の1990年にアメリカ第1の小売業に躍り出た、翌年のこと。

そして翌1992年、創業者のサム・ウォルトンは逝去している。

それから20年。

メキシコでは、1469店。
店数第2はブラジル434店。
第3はイギリスと日本の371店。
次はカナダ317店。

チリ252店、コスタリカ170店、グアテマラ164店と3桁が続く。

エルサルバドル77店、プエルトリコ56店、
ニカラグア55店、ホンジュラス53店と中米が続き、
アルゼンチンは43店。
そして今後が期待されるインドに1店。

インターナショナル部門は、合計4112店。

国際部門の年商は1001億ドル。
1ドル100円で換算すると10兆円。
2009年が988億ドルだったから、
年間に13億ドルの伸びと、やや伸長率は縮んだ。

ドイツや韓国からは、2006年段階で、
すでに撤退を決め込んでいる。

ドイツの店舗は、メトロに売り、
韓国の店舗は、新世界百貨店グループが経営するEマートに売却。

日本でも、撤退の意思決定が下されれば、
西友をイオンにでも譲渡することになるのだろうが、
現在も、さらなる買収先を探しているらしい。
まず、200店を超えると売却は考えにくい。
だが、この中国とインドは、
ともに人口13億人、12億人という巨大な消費国家。

ウォルマートは、必死に中国に溶け込もうとしている。
それが店舗によく表れている。

私たちが訪れたのは、
ウォルマート南浦大橋店。
英語でNanpu Bridge店。

上海一番の繁盛店で、フォーマットはスーパーセンター。
2フロアの5000坪くらい。
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ウォルマートのコーポレート・カラーはブルーだが、
中国では入り口から店内から、真っ赤っ赤。

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日本人が中華街の大きな中華料理店に入っていく感じ。

入ると、大きな門のようなデコレーションがある。
「中秋享好礼」。

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そしてアイランドディスプレーのオンパレード。
まず青果部門から。

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主通路はコの字型だが、長い長いナマズの寝床風コの字型。

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「キャベツ1個0.99元」
1元12円だから、11円くらい。
驚くべき安さ。
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葉物コーナーは、みずみずしい鮮度を持つ。

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中国野菜コーナーはケース陳列。
ここも鮮度良し。

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他の店舗では見られなかったバナナの大量陳列。
ウォルマートらしい展開。

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青果部門の右壁面に鮮魚部門。
活魚の水槽から始まる。

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その活魚。
泳いでいる魚もあるが、
白い腹を上に向けて、浮かんでいるものもある。

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鮮魚につづいて、精肉売り場。

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アール型の対面コーナーから、多段のセルフサービスコーナーへ。

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冷凍食品売場はアイランド型売場。

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ベーカリー売場は広い。

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エスカレーターの横には日本食売場。
これはちょっと勘弁願いたい。

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中通路の加工食品売場では、
メーカーの派遣社員が売り込みを展開。
中国では、これでもローコストオペレーションとなる。

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2層のスーパーセンターで、1階はオール食品売り場。
その意味では、スーパーセンターを名乗っても、
米国流とは全く違う。

なぜか。

発展途上で「高度成長」真っただ中の中国では、
食品で支持を受けなければ、大型店として成り立たないからだ。

その意味で、日本の高度成長時代に、
ダイエーや西友、イトーヨーカ堂が、
食品の強化に、「これ努めた」のも、うなずける。

スロープ式のエスカレーターで2階へ上がると、非食品の売り場。
エスカレーター脇は大切なプロモーションスペース。

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自転車売り場。
中国では電動自転車が大人気。

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主通路上では、大々的にプロモーション。
アメリカ本国の「プロジェクト・インパクト」とは正反対の政策。
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アメリカでは「アクションアレー」と呼ぶが、
島陳列ディスプレーは上海小売業界で、
最も工夫が凝らされている。
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衣料品は、「チーピー」そのもの。
現在の上海の大衆の生活水準がこのあたりにあるのかもしれないが、
南京西路にオープンしたユニクロなどと比べると、
まだまだ「安かろう悪かろう」。
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ウォルマートが、「低価格高品質」を中国に持ち込むことは、十分可能だ。
なぜ、衣料品で、それをしないのか、不思議でならない。

家電売り場はウォルマート流のつくりとオペレーションだが、
決して安くはないし、総合店としても完成されていないため、閑散としている。

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子供服売り場こそ、ウォルマートの力を発揮すべき部門だと思うが。

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壁面ではシーズン商品のダウンジャケットを展開。

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最後に店頭のカスタマーサービスコーナー。

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周辺の住宅地や駅から無料バスを走らせ、集客する。
これはどの店も常套手段。
ローコストオペレーションだからといって、バス抜きでは集客力に響く。
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ウォルマートが必死で、上海や中国に溶け込もうとしているのはわかる。
しかし、強みは強みとして生かせないのか。

ウォルマートの「どや顔」を見せつけないのか。
ウォルマートは、アメリカでは食品の後発企業だ。
中国では、その食品に力を入れざるを得ない事情は理解できる。
だからといって、非食品がこの状態では、
「強み」の薄い小売業となる。

「どや顔」のない店となる。

中国は日本と違って、
「どや顔」が受ける国。

なぜそれをしないのか。

カルフールのほうが「どや顔」をしている。

最後に、案内してくれたシン・チエさん。
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日本の関西学院大学に留学後、
日本企業に就職し、その企業の中国支社に移り、
さらに中国の消費財メーカーに転身し、
副社長を務めた才媛。

上海流通視察の折には、
シンさんを御用命ください(ご連絡は、商人舎まで)。

ご覧のように、シンさんも私も、
「どや顔」ではない。(上海訪問記は明日につづきます)

では、みなさん、
Everybody! Good Monday!

<結城義晴>

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