結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2010年12月31日(金曜日)

「M1」と「京都大学学寮型大学院」の区切りとドラッカー「フィードバック分析」の区切り

2010年の大晦日。
人類の歴史が21世紀に入ったのが、
2001年1月1日。
それからちょうど10年。

一つの区切りがついたということになる。
いや、自ら一つの区切りを、
つけなければならないのかもしれない。

テレビ朝日が主催した「M1グランプリ」。
漫才日本一を決めるイベント。
2001年から始まり、
今年、2010年に終わりを告げた。

漫才の一時代が終了したとの認識。
それを主催者が自ら決した。

「新しい区切り」は何事においても必要だと思う。
これを「蛻変」に変える構想がありや、なしや?

一方、京都大学が「学寮型大学院」の開設方針を固めた。
文部科学省の「リーディング大学院」に応募し、
スタートは2012年4月。

全寮制、5年一貫制、定員1学年16~20人、授業はすべて英語。
国際的な人材育成プログラム。
政財界のリーダー育成が目的。

そのために「専門性+幅広い知識」を教育する。

1・2年目は各研究科の研究室に配属。
3年目は8分野の必修科目に取り組む。これが専門性の習得。
4年目には海外の大学や企業などに留学。
そして5年目は国連の関連機関や官公庁へのインターンシップなどを行う。

教育の中身そのものは、
いかにも20世紀的ではあるが、
これもひとつの「新しい区切り」への試み。

私の人生にも区切りがある。
12年を一区切りにしている。

横浜市立宮ヶ谷小学校までの子ども時代が第1の区切り。
中学から高校、大学を卒業して就職するまでの青年時代が第2の区切り。
㈱商業界に入社して、編集記者としての修業時代が第3の区切り。
この時に社会人としての地力をつけた。

36歳で『食品商業』編集長に就任し、
奮闘するミドルマネジメント時代が第4の区切り。
この時代は私にとって、有難いことにほんとうに充実していた。
そしてこの時に自分の分野が決まった。
商業・サービス業を一生のテーマにしようと。

そして第5の区切りがトップマネジメント時代。
㈱商業界の取締役に任命され、専務、社長を全うし、
㈱商人舎を起こして代表取締役に就任した。

この間も私は、自らジャーナリストであり続けようと考えた。
現在、コーネル大学ジャパン副学長や立教大学大学院教授の職にあるが、
そういった立場にありながら、㈱商人舎のトップマネジメントとして、経営を担っている。
経営とジャーナリズム・アカデミズムの両立が今の私の課題。

経営の全うは、
経営分野・マーケティング分野で、
ジャーナリズムやアカデミズムを展開することに、
大いに役に立っている。
私の「強み」でもある。

この3年ほどは、急にいろいろな現象が、
私の周りに頻発しているが、
基本はトップマネジメント時代で一貫している。
その第5の区切りが60歳頃に終わる。

次はどうなるのか。
自分でも想像がつかない。

「M1」のように、60歳を過ぎたころには、
自ら新しい区切りを目指すことになるかもしれない。
京都大学の「学寮型大学院」のように、
新しい構想をつくるのかもしれない。

もちろん㈱商人舎は30年構想で、
「商業・サービス業の現代化」を目指し、
「知識商人」を養成する機関であることに変わりない。

私は、このことに一生を捧げようと考えている。

そんなことを考える大晦日ではある。
今日のブログはまさに「結城義晴の日記」の感あり。

2010年の大晦日。
お許し願いたい。

これから私は、
1月1日に書いて封印しておいた「2010年の決意」を開封する。
ピーター・ドラッカー先生の薦める「フィードバック分析」のため。
「記録」して、
一定期間おいて、
「照合」して、
「自らの強み」を知る。

これも「区切りの効用」。
そのうえで、まずやること。
1「強みに集中する」
2「強みをさらに伸ばす」

次にやること。
3「傲慢を正す」
4「悪癖を改める」
5「対し方を改める」

さらにやること。
6「成果が上がらないことはやらない」
7「並みにしかなれない分野に時間を使わない」

私たちは「自分の弱み」の克服に時間を割く傾向を持っている。
しかし弱点を克服するのはせいぜい修行時代までのこと。
私の人生でいえば、36歳まで。
もしかしたら青年時代までのことかもしれない。
私の人生でいえば24歳まで。

その後は、「強みに集中し、強みをさらに伸ばす」。
ドラッカー先生は書いている。
「何かを成し遂げられるのは強みによってである。
弱みによって何かを行うことはできない。
もちろん、できないことによって何かを行うことなど、
とうていできない」

最後の「できないこと」とはたんなる「願望」を指す。
「願望だけでは、何もできない」ということ。

自分の強みを知る。
そしてそれを「実践躬行」する。
12月の商人舎標語で今年を締めたい。

最後に1年間のご愛読、心から感謝。

365回のブログ更新が、今年も為った。
これは「結城義晴の強み」ではある。
このことにも、心から感謝。

1月元旦に「毎日更新」を宣言し始めて、3年。
毎年12月大晦日に、いったん「毎日更新」を閉じる。

2010年も同様。
「結城義晴の毎日更新宣言」は、
今日をもって終了することとなる。

これが「区切り」。
区切りをつけるから、
次への期待が高まる。

「朝に希望、昼に努力、夕に感謝」

<結城義晴>

2010年12月30日(木曜日)

「小売業元旦営業」の是非の”identify strengths”と「自分を泥まみれにして社会に貢献する喜び」

2010年12月30日。
今日から明日にかけて、
西日本と北日本を中心に大しけ。
平野部でも大雪が降る。

さらに年明けの1月元旦から2日にかけて、
冬型の強い気圧配置が続く。

元旦のニューイヤー駅伝や2日、3日の箱根駅伝、
サッカーの天皇杯決勝、ラグビー大学選手権準決勝など、
もしかしたら雪の舞い散る中での激闘となるかもしれない。

いつだったか、雪の中の早稲田・明治戦、
スクラムの熱気で湯気が上がった。

あんな感動を期待したいものだ。

さて今日は、帰省ラッシュのピーク。
東京発の東海道新幹線、
指定席は満席、自由席も乗車率100%を超える列車が相次ぐ。
東北、長野、上越新幹線なども指定席はほぼ満席。
空路も、羽田発国内線はほぼ満席。

正月を故郷で過ごす。
いいことです。

これでなければ、日本の正月ではない。

一方、Uターンラッシュのピークは、
正月の3日から4日となる。

ピークだけ勘定すると、
30日に帰省し、
31日、1日、2日と実家で過ごし、
3日か4日にUターン。
これでは実質の休息日3日間か4日間。

正月ぐらいもっと休んでもいい。
そう考えていたら、
小売業の「元旦の初売り」にも見直しが始まった。

朝日新聞が報道している。
理由は「人件費がかさむのに、十分な売上高が期待できないから」と同時に、
「従業員に福利厚生の充実をアピールするねらいもある」とのこと。

いかにも朝日新聞らしいを理由付けだが、
ここには企業のアイデンティティが出ている。

ピーター・ドラッカー先生のいう「自分の強み」。
英語で“identify strengths”と表現する。

まず百貨店は、例年通り1日は休み。
2日に初売りする店が多い。
福袋の販売が眼目。

ヤマダ電機は昨2009年から、「元日は休み」。
「従業員のワーク・ライフ・バランスの実現が目的」。
今回も元旦は全店休業。

首都圏のスーパーマーケット「サミット」は、
2011年の元旦営業を止める。

1998年から13年間、元日営業をしてきたが、
「経費の割に売上げが少ない」。

田尻一社長は言う。
「社員が家族と過ごす時間を増やしたい」。

特に食品スーパーマーケットは、
31日大晦日まで、これでもかと正月商品を売る。
そのうえで1月1日に店を開けても、
「福袋」くらいしか売れない。

ならば、30日、31日に社員、従業員ともに、
目いっぱい売りまくって、今年を終わらせ、
元旦は一斉に休み、
2日から新年スタートと言うのも、
これはいい考え方だ。

首都圏の東急ストアも、
来年は元旦営業店舗を18店にとどめる。

昨2009年には92店で展開していたが、
今年2010年には14店に減らした。

一方、1月1日から営業するのは総合スーパーなど大型店。

もともと、「元旦営業」を先駆けたのは「ダイエー」。
それも故中内功さんが元気な時だった。

「なんでも破壊者」「イノベーター」の中内ダイエーは、
1996年から元旦営業をスタートさせ、
ダイエーがやると影響を受ける他者が追随した。
「指をくわえて見ている」ことに我慢できなかったのだと思う。

2011年もイオンリテールのジャスコやイトーヨーカ堂を始め、
総合スーパー各社はほとんどの店で「元旦営業」。

非食品の「福袋」など、百貨店に先駆けて売り込む。

ヨドバシカメラ、ビックカメラも元旦営業するし、
ユニクロもキャッシュバックくじを発行して営業。
「3000円以上買えば3000円が当たるチャンスがある」。

それぞれの元旦営業でよろしい。
それが”identify strengths”であれば。

中内ダイエーが日本で初めて「元旦営業」を始めた。
これは中内ダイエーの”identify strengths”だった。
だから顧客から喝さいを受けた。

今、ヤマダもサミットも東急ストアも「元旦営業」を止めたり縮小したり。
それが”identify strengths”ならば、
従業員も顧客も歓迎するに違いない。

すべての小売店が元旦営業するならば、
12月30日、31日の意味は薄れる。

うちはやる。
うちはやらない。

それが”identify strengths”である。

来年からの2011年代、
「自らの強み」を発揮する企業が、
残っていくに違いない。

他に追随するだけの者には、
アイデンティティがない。
そしてそこにはイノベーションがない。

最後に一つ。
日経新聞のスポーツ欄の「チェンジ・アップ」。
野球評論家・豊田泰光のコラム。
「何か景気付けの道具はないか……」と呼びかけておいて、
「ないことはない。スライディングである」と答える。

「威勢のいい滑り込みほどチームを活気づけるものはない」

なぜか。
「捨て身の技である滑り込みは、
究極の自己犠牲の姿でもある」

ここにあるのは、
「自分を泥まみれにし、
組織に貢献する喜び」

帰省ラッシュの今日も明日も、
そしてUターンラッシュの3日も4日も、
小売業・サービス業は、
「自分を泥まみれにして社会に貢献する」

だから、おそらく中内ダイエーの「元旦営業」にも、
それがあったに違いない。

豊田は指摘する。
「野球界だけでなく、
この1年の日本はどこもかしこもどんよりしていた」

だから提案する。
「ここはもうみんなが捨て身になって、
ガンガン滑り込むべし。

沈滞ムードも少しは変わろうというものだ」

今や「小売業の元旦営業」が即、
「野球におけるスライディング」とは言いがたいが、
「自分を泥まみれにして社会に貢献する喜び」は、
忘れてはならない。

<結城義晴>

2010年12月29日(水曜日)

日本スーパーマーケット協会会長・川野幸夫さんの「土をなめるくらいの店長」

昨日は夕方、
地方都市のスーパーマーケット店回り。
超のつく有力企業でも、
地方の雄の企業でも、
年末商戦としては驚くほど客数が少なく、
しかも売れていない。

まったくの普通の売場で、普通の状態。

有力企業は店の側も、この時期は、
年末を意識せず、紅白の腰巻など施さず、
普通の火曜日とした方がいいといった態勢。

やはり、「ギリギリ消費」が鮮明だ。
それが厳しい現実となる。

総務省発表の二つの指標。

第1に、11月の家計調査。
1世帯当たりの消費支出が前年同月比マイナス0.2%で3カ月連続減少。
1カ月平均支出金額は28万4212円。
物価変動分を調整した実質消費支出はマイナス0.4%。

第2は、11月の完全失業率。
季節調整値が5.1%。
これは前月の10月から動かず。

完全失業者数は318万人で、この1年間に13万人減少。
就業者数は6252万人で、こちらは1年間に8万人の減少。

一方、厚生労働省発表の11月の有効求人倍率は、
10月よりわずかだが0.01ポイント上がり、0.57倍。
これは7カ月連続向上。

家計調査や失業率、有効求人倍率は、
芳しくないまま、停滞気味。

㈱セブン&アイ・ホールディングス会長の鈴木敏文さんの言うとおり、
「世の中が明るくない」ことこそ最大の問題で、
小売業・サービス業はなんとかこの明るさを、
表現したいし、主張したい。
それが存在意義だと認識したい。

昨日は、午前中、
カスタマー・コミュニケーションズ㈱の今年最後の役員会。
その後、㈱プラネット本社を訪れて、
玉生弘昌社長、井上美智男副社長と懇談。
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今年も、お世話になりました。
ありがとうございました。

プラネットは2011年1月1日から、
またまた料金の値下げに入る。
プラネットのシステムを利用する製造業・卸売業・小売業にとっては、
有難いこと。

さて、ブログは昨日の続き。
東京・日本橋の日本スーパーマーケット協会。
3団体合同のスーパーマーケット販売統計発表記者会見。
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3団体とは、
社団法人新日本スーパーマーケット協会(横山清会長)
日本スーパーマーケット協会(川野幸夫会長)
オール日本スーパーマーケット協会(荒井伸也会長)

今回は日本スーパーマーケット協会専務理事の大塚明さんの発表。
いわば2010年の総括と2011年の取り組み。
そこへ川野幸夫協会会長がご登場くださって、
一気に盛り上がった。
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小売業界に大転換が始まった。
その中で、来年はどうするか。
その取り組み事項とミッション。
第1に、スーパーマーケットとして「食を創り、食を守る」
これを大きなミッションとして、闘う必要がある。

第2に、「買い物難民」にスーパーマーケットとして、どう対応するか。
ビジネスモデルそのものが、顧客を不幸にしたり、不便にしたりしている。
スーパーマーケットは毎日の食に関して、
多くの消費者に不満足を与えず、
そのうえでいかに利益を出すか。

第3のミッションは、製配販三層のコラボレーション。
製造業・卸売業・小売業の間の無駄をいかに省いていくか。

さらに環境問題、容器リサイクル法見直し問題、消費税、最低賃金問題など、
山積している。

第3の問題に関しては、
「消費財流通業界における『製配販』の取組」というプロジェクトが始まっている。
川野会長がこれに参画。

主催は経済産業省、流通経済研究所、流通システム開発センター。
製造業5社・卸売業4社・小売業6社の合計15社で、
ワーキングがスタートした。
スーパーマーケットからはライフコーポレーションとヤオコーが参画。
総合スーパーからはイオンリテールとイトーヨーカ堂
ドラッグストアのマツモトキヨシとコンビニのローソン
製造業は、味の素、花王、キリンビール、資生堂、P&G。
そして卸売業は、あらた、国分、菱食、Paltac。

そうそうたるメンバーが参画し、
トップが自ら参加して議論が進みつつある。
代理出席はほとんどない。

ここでは、大きく5つの問題が議論されている。
1.リベート、センターフィー問題
2.返品問題
3.物流問題
4.クレート等の標準化問題
5.流通BMS問題

川野さんは述懐する。
『製配販運命共同体』の認識がなければ、
こういった試みはうまくはいかない」
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「真剣に、実のあるものにしていこうと考えている。
分科会で各社事務局が発言し、詰めているから、
それなりに意味が出てくる」

インフラは共有して、
それぞれはサービスと商品で闘っていく。
そのためのプラットフォームづくりが必須。

「モノ離れの今、まだまだモノを売ろうとしているが、
小売り、卸、製造業一体となって、
顧客との距離を短くしていきたい」

大塚専務理事の言葉。
「35年前、白菜はふた束売りが主流だった。
それがひと束売りになり、
今は半分、4分の1カットが出てきた。
そのうちざく切りも売るようになるに違いない。
つまり、お客に近づいていくことが必要です」

このあたりから記者の質問が出る。
「都市型小型店とコンビニの競争はいかに?」
大塚さんが答える。
「生まれてこのかた『コンビニの客』というお客さまも増えてきた。
スーパーマーケットの最終の敵はコンビニだと思う。
マスではなく個をターゲットにし、
すぐに使うものをターゲット商品にすれば、
当然、ぶつかり合う」
この認識は正しい。

「いま、卸が強いから、
小売業が強くなっていくには卸機能をどれだけ上げていくか。
チェーンストアでも本部は儲かっているし、
卸企業も統合しつつ、儲かっている」

川野幸夫さんの今年への感想。
「足掛かりとして、突破口として、
参議院選では清水信次さんに当選してもらいたかった。
まだまだ小売業は味噌っかすで、
失業のバッファー程度にしか考えられていない。
それを変えていくのが今の経営者の役割だし、
若い連中がこの業界に入ってこられるような、
足掛かりをつくっていけたらいいなと思っている」

「私たちの意識がまだ高くない。
どうしても当選してもらう、
なぜ受かってもらうか、の認識がない。
だから運動がうまくいかなかった。
小売業は隣同士で戦っている。
個々の競争の問題に頭が向いて、
業界の認識になっていない」

「去年は『安売り大会』だった。
しかし今年も『安売り大会』から抜け出られなかった。

ただし日本人は舌が肥えている。
おいしさを求めている」

「小売業は買い物意欲、消費意欲を、
いかに高めていくかが仕事。

それをいかに実現するか。
そのために知恵や工夫をする」

「わが社も含めて、それができていないから、
行ったり来たりしている」
「『スーパー』の本家は『スーパーマーケット』。
一般マスコミを含めて、
われわれの代表は『総合スーパー』だと思っているが、
それは違う」

「小売業はお客様に伝えていくことが役目だ。
わが社は雪印問題のときにも、
全工場が悪いわけではないという立場をとった。
そうするとお客さんからは、叱られる。
しかし伝えることは伝えていかないと、
小売業の役目は果たせない」

「原材料に関しては、買い負けしている。
日本そのものがクラッシングして、
ハイパーインフレとなる危険性がある。
その時にどう対応すべきか。
協会として考えていかねばならない時期に来ている」

「農業問題一つとってみても、
生産者は、だれが消費するかを意識せずにつくってきた。
しかし小売業もだれがつくっているか、
どうつくっているかを意識化しなければならない。
農家の方にあったとき、
小売業の店長がその畑に行って、
土を舐めるくらいでなければ、
農業者は信用しない、
と言う。
あなたたちは汗水たらしてつくってくれている。
私たちがその価値を認めなければ、
相手は本気になってくれない」

「商品やサービスについて、
もっと真剣に、本気になって進めていかないと、
地産地消もうまくいかない。
土を舐めるほどの店長がいる店では、
互いに信頼している農家が、
1年間に千数百万円分もつくっている」

「お客の情報が生産者に伝わっていかなかった。
生産者の情報は生活者に伝わらなかった。
その意味でも小売業の果たすべき役割は大きい」。

最後は川野さんの一人舞台だった。

「12月後半、11日かけて全店を回った」

川野さんは、満足そうに語った。
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私は言った。
「年末商戦は小売業の従事者にとって無上の喜びがあります。
それは商売の神様がすべての商人にくれるご褒美です」

川野さんは答えた。
「私は店を回って、年末は通信簿だと言ってる」

私は言った。
「だからヤオコーは成績がいいんだ」

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記者会見が終わると、乾杯して、懇親。
日本スーパーマーケット協会・大塚明専務理事と。
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オール日本スーパーマーケット協会・松本光雄専務理事と。
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そして新日本スーパーマーケット協会・島原康浩事務局長と。
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日本スーパーマーケット協会事務局長の江口法正さんと、
オール日本スーパーマーケット協会の統括マネジャー、中村伸一郎さん。
事務方として今年一年、お疲れ様でした。
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最後に、日経新聞消費産業局次長・白鳥和生さんと。
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良い記者会見と記者懇談会だった。

「土を舐めるくらいでないと信じてもらえない」

印象に残る言葉だった。

皆さん、ありがとうございます。
来年もよろしく。

<結城義晴>

2010年12月28日(火曜日)

コーヒー値上げと野菜の値下がり、総合スーパー&食品スーパー11月販売統計と大塚明専務理事の分析

キーコーヒーが15%前後の値上げを発表。
時期は来年3月1日から。

「いよいよ来たか」
多くの小売業・問屋のバイヤーや現場担当者は、
そんな感慨を持ったに違いない。
これが他の商品群にも広がるのか。

家庭向け、業務用コーヒーの出荷価格が平均15%値上げされると、
このカテゴリーの商品構成を考え直さねばならない。

コーヒーの値上げは2006年4月以降、ほぼ5年ぶり。
当時の値上げ幅は平均12%。

キーコーヒーに誘導されるように、
業界最大手のUCCホールディングスも、
AGFも値上げの検討をしていることを明らかにした。

理由は原材料コーヒー豆の国際相場高騰。
13年ぶりの高値圏にある。
ニューヨーク市場の先物価格は、
2010年頭に比べ、約2倍の値をつけている。
1ポンド230セント前後。
産地における天候不順が最大の原因。
さらにブラジルなど新興国での高品質コーヒー豆の消費量急増も原因の一つ。

一方、野菜はこの年末に、値下がりが始まった。
こちらは天候安定が原因で、出荷量が回復。
レタスやホウレンソウなど葉物の卸値は昨年よりも低くなり、
小売価格はほぼ平年並み。

東京都中央卸売市場の卸値。
レタス1Kg134円。前年同期比で26%の安。
ホウレンソウ12%の安。

年末年始も平年並みの取引価格になる見通し。

あるものは値上がりし、あるものは値下がりする。

商売の妙味が現れる。
もちろんここで私の言う商売の妙味とは、
「儲け」が出ることではない。

環境変化が起こり、時局判断の難しい時こそ、
顧客が喜ぶ商売ができるということ。

さて、11月の販売統計が続々、発表されている。
日本チェーンストア協会の総合スーパーの販売概況と、
3協会による食品スーパーマーケットの販売統計。

日本チェーンストア協会62社、7889店の11月は、
前年同月比0.5%マイナス。
総販売額は1兆0137億円。
食料品販売額がマイナス0.7%、
衣料品はマイナス幅が大きく2.5%。
住関連品は逆にプラスの1.4%、
サービスはマイナス13.4%の大幅減、
その他はプラス0.6%。
住関連の伸びは、家電製品に牽引された。
家電はエコポイント半減を控えて駆け込み需要が生れた。
もちろんニトリやダイソーもチェーンストア協会会員企業で、
両社が住関連部門売上げを引き上げた。
総合スーパーの住関連が良かったとは聞かない。

一方の3団体合同「スーパーマーケット統計調査」。
昨日、東京・日本橋の日本スーパーマーケット協会で記者会見が行われた。
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今回、前半は大塚明専務理事の一人舞台。
後半は川野幸夫会長(㈱ヤオコー会長)の一人舞台。

まず、スーパーマーケットの11月販売統計。

総売上高は前年同月比101.4%。
7321億1830万円で、6カ月連続前年をクリア。
総合スーパーは99.5%だったから、こちらは健闘したことになる。
食品合計で6220億8719万円と昨対101.6%。

生鮮3部門は、青果が111.3%の916億4301万円。
野菜の高騰が数値を押し上げた。
一方、鮮魚は98.1%で660億6177万。
この間、魚が売れない状況が続いている。

畜産は100.3%の765億805万。
惣菜は103.2%で638億4856万、
一般食品その他で100.5%の3240億2579万。
非食品合計は99.2%の1100億3112万円。

青果・惣菜・精肉が好調。
鮮魚・非食品が不調。
明暗くっきり。

スーパーマーケット全体の傾向を見ると、
営業利益は出せる体質になってきた。

粗利益はさほど改善されていないが、
経費に関してはコントロールできるようになったということ。
これは大塚専務理事の分析。
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景気が一つの業界の業績全体に影響を与えることはなくなった。
しかし、個別企業には影響を及ぼす。

さらに重要なことは、
粗利益には景気は影響しない。
ところが景気が低迷しているにもかかわらず、
経費に関しては予定通りという企業、
あるいは想定以上の削減が進んだ企業が多かった。

つまり粗利益で見るか、営業利益で判断するか、
どの指標にフォーカスするかで、結果は違ってくる。
現在の多くのスーパーマーケット企業は、
商品粗利益率向上よりも、
オペレーションの経費削減に向かっている。
だから「アベレージでは判断できない」。
A社もB社もC社も、それぞれに尺度が異なる。
それでよいし、そうあらねばならない。

すべての企業、すべての店が、
「こうあるべきだ」という時代では、
断じてない。

大塚専務理事はこのことを強調した。
私も、まったく同感。

大塚さんはコーネル大学RMPジャパン講師でもあって、
「マーチャンダイジングの原則」を講義してくれている。
私の見る限り、現状、どのコンサルタントよりも、
この面では、理論的で、公平で、優れた見識を持っている。

「売上げを上げよ」、
「粗利益を最大化せよ」。
それもよいだろう。
ある店においては、
ある企業においては。

しかし大半の企業、
大半の店にとっては、
いま「営業利益を確保せよ」がふさわしい。
それが現在の日本の小売業界。

だから、あなたの店、あなたの企業は、
自分の力を見定めて、
それぞれにどうあるべきかを考えなさい。

ピーター・ドラッカー先生のいう「自らの強みを知れ」

大塚専務の分析は続く。
日本スーパーマーケット協会のこの7年の部門別動向を見ると、
2008年までは水産物以外全部門が伸びた。
ところが2009年以降は全部門が悪くなった。

その中で、農作物は相場に左右される。
だから原価をそのまま売価に転嫁する傾向が強い。
お客も許してくれる。

しかし肉、魚は、許してくれない。

特に水産物は7年間低迷を続けている。
惣菜、加工食品も月によっては低迷する。

つまるところ、
小売業に大転換が始まった。
集物型小売業・集客型小売業の時代から、
顧客に近づく小売業の時代へ。

百貨店、総合スーパーの時代から、
スーパーマーケット、コンビニ、ドラッグストアの時代へ。
さらに都市型小型スーパーマーケットやネットスーパーへ。

特に大ブームの都市型には3つのパターンがある。
1.レギュラーサイズの600坪をコンパクトにしたタイプ
2.成城石井、クイーンズ伊勢丹のように、
やや高い、こだわり商品を提供するタイプ
3.コンビニ・タイプ

ネットスーパーは、売上げの前年対比では伸びた。
しかし利益は上がっているのか。
日本スーパ―マーケット協会会員企業でも、
売上げだけは上がっている。
しかし利益構造がどうなるかは予断を許さない。

店舗形態だけでなく、
品揃え、サービスでも顧客に近づいていかなければならない。
「売ること」を「買うこと」から発想しなければ、
皮肉なことに、売れない。

まず「コンシューマー」を「カスタマー」にする。
そのカスタマーは、「ショッパー」と「コンシューマー」の両面を持つ。

顧客には「購買局面」と「消費局面」の両面があり、
「購買局面」から「販売局面」を考え直さねばならないということ。
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大塚専務の分析する「成功している企業」の4つのタイプ。
①地域対応を徹底している
②首都圏市場で面積生産性技術を持っている
③ソリューション対応している
④EDLP型で 安く売れる構造をつくっている

この第4のタイプは利益が出るようになって、
その利益を再投資できる企業となってきた。

地方のローカル・スーパーマーケットは、
経費を抑えて損益分岐点を下げて、
「生き残る」戦略をとる。
それは「勝ち残る」ではない。

かつては商圏人口が6500人から7000人を割ると経営できなかった。
しかし今、スーパーマーケット、総合スーパーを合わせた店数で、
日本人口を割ると、7000人に1店ということになる。
だから特に地方企業は、
「全商品を買って下さい」という店にならざるを得ない。

そんなことを考えると、
ローカル・スーパーマーケットは、
それぞれの地域ごとに1社になりそうだ。

さらに利益構造や生産性の問題も変貌してきた。
この20年間で坪効率は半分になった。
スーパーマーケットで1坪100万を投資して店をつくると、
600坪タイプで6億円となる。
その損益分岐点は、3倍の売上げの18億円か、
同じ粗利益6億円となる。

そのうえ1人当たり生産性も伸びない。

だから商品を仕入れて、ただ売るだけでは利益は出ない。
商品をつくる、あるいは何らかの商品の組み合わせをする。

そこで考えられるのは、3つの戦略。
これしかない。
第1が、縦軸の問屋、メーカーの利益をとる。
第2は、商業集積をつくって賃料で利益を出す。
第3は、中国はじめ海外に出ていく。

いずれも、リスクを張って、
自分たちで利益をつくっていく。

かつては、サービスがいいか、立地がいいか、
商品ならば安売りしかなかった。

60年前はレジスターを入れて、セルフサービスに取り組んだ。
30年前は、POSレジが導入され、商品動向を把握する仕組みを追求した。
いま、新しい第3のビジネスの萌芽が始まっている。

そして過去60年、30年にはモデルがあった。
アメリカ企業、優れた国内企業を、
ベンチマークすれば改革できたし、成長できた。
これから先はまねすることができない。
自分たちで考えねばならなくなった。

「自分で考える」という意味において、
大きな転換期に入っている。

大塚専務理事の分析は、
私の認識と一致している。

年末最後の記者会見ということもあって、
出血大サービスの「講演会」。
感服、脱帽。
(明日につづきます)

<結城義晴>

2010年12月27日(月曜日)

年末商戦の「無上の喜び」は商売の神様がすべての商売人にくれる「最後のご褒美」だ!

Everybody! Good Monday!
[vol52]

とうとう今年も第52週。
2010年の最終週です。

㈱ハローデイ流にいえば、
「お元気様です」。

これは通常、「お疲れ様です」というところを、
その逆手をとって、
「お元気様です」
と言葉にするもの。
なんだか元気が出てくるから不思議。

さて、最終週の態度。
私の経験を通して、
スポーツの試合にたとえて三つの考え方を披露している。
大敗しているとき。
「試合を投げるな、あきらめるな、楽しめ」

大勝しているとき。
「徹底的にやっつけろ、
相手が顔も見たくないと思うくらいに叩きのめせ」

拮抗しているとき。
「練習のつもりでやろう、
一人ひとりの役割を丁寧に果たそう」

酷な言い方かもしれないが、
年末商戦の勝負はもう決まっている。

今年1年、勝ち続けてきた店は、
顧客がどんどんやってきて、
年末商材が飛ぶように売れる。

品切れに十分に神経を張り巡らせ、
つまり「売れ筋でロスを出す」くらいのつもりで準備し、
さらにホスピタリティ溢れた売場を維持する。

それ以外の店は、
つまり大敗してきた店、拮抗している店は、
今日の27日月曜日からの三日間、
通常の売れ行きと変わらない。
驚くほど変化のない展開。

それに耐えなければならない。
辛い仕事。
今は、辛抱、辛抱。
そして30日、特に31日に爆発するが、
手堅く手堅く、今年を終わる。
それが拮抗してきた店、負けている店の態度。

「売れ筋でロスを出せ」は、
今年の年末際商戦では、
一部の大勝し続けている店や企業だけの話。

それでも年末最終週の商売は、
ワクワクするもの。

通常よりも、客数は増える。
買い上げ点数も増える。

どんな店でも、
商売をしていることの無上の喜びを感じることができる。

この喜びを忘れてはいけない。
来年へのバネにしなければいけない。

さて今日の日経新聞の経済欄。
㈱セブン&アイ・ホールディングス会長の鈴木敏文さん登場。
中国の消費動向について分析してくれている。

記事の最後に、「日本の消費」へのコメント。
「全体として沈滞ムードが漂っている」。

ご存知のようにセブン&アイには、
百貨店のそごう・西武から、
総合スーパーのイトーヨーカ堂、
スーパーマーケットのヨークベニマル、ヨークマート、
そしてコンビニのセブン-イレブンまで、
業態が揃っている。

それ以外にロフトや赤ちゃん本舗、
様々な専門店やデニーズなど外食企業もある。

それらの動向を総合した傾向が、
「沈滞ムード」。

だから日本全体の消費産業には「沈滞ムード」が漂っている。
これが第1ポイント。

「経済が沈滞してきている中、
やっと利益を絞り出しているのが現状だ」

しかし鈴木さん、これでは終わらない。
「そうは言っても、日本は非常に恵まれた状態にある」

どんな風に恵まれているのか。
「食べるものに困り、失業者があふれかえる状況にはない」

「肝心なのは世の中の明るさだ」
これです。
私もまったく同感。

「政治が沈滞し、明るさがなさすぎる」

鈴木さん、「沈滞」を強調するが、
今こそ必要なのは「明るさ」。

この「明るさ」を店にあふれさせるのは、
小売流通業とサービス業。

先週はセブン&アイの顧問となっている大久保恒夫さんに、
忘年会などで、3度も出会って、その都度、じっくり話し込んだ。

そして年末商戦の「無上の喜び」について共感し合った。
「年末の無上の喜び」こそ、
商売をやっている者に、
商売の神様がくれる最後のご褒美だと思う。


ご褒美が大きいのか、
ご褒美が小さいのか。
それは今年1年の成果に他ならないが、
商売の神様は、
サンタクロースのように公平に、
すべての商売に携わる者に、
ご褒美をくれる。

それが今週であり、
年末際の30日、31日である。

今やるべきことは、
今月の商人舎標語。
「実践躬行」のみ。

では、今年最後の、
Everybody! Good Monday!

< 結城義晴>

2010年12月26日(日曜日)

ジジの行く年[2010日曜版vol52]

ジジです。
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今年も生かしてもらいました。
ありがとうございます。

すべてのことに、
感謝したいきもちになります。

ゆく年が、もうすぐ、
いってしまうからでしょうか。
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木も、生かしてもらっている。
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ニンゲンもドウブツも、
みんな、生かしてもらっている。

自分で生きているのではない。

生きているってことには、
どんな意味があるのでしょう。

ボクもそれを考えてみます。

考えると、ねむくなる。
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ねむりながら、考える。
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でも、こたえはみつからない。

だから、もっとねむる。
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ねむりながら、考える。
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考えているのか、いないのか、
それもわかりません。

木はねむっている。
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ボクもねむっている。
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ねむりながら、生きている。
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ねぇ、おとうさん。
ねむることも、
生きていることですよね。
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ならば、いしょうけんめいに、ねむりましょう。
いっしょうけんめいに、生きましょう。
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「助言」

みんな、云っとくがな、
生れるってな、つらいし
死ぬってな、みすぼらしいよ――
んだから、掴まえろよ
ちっとばかし 愛するってのを
その間にな。 

<ラングストン・ヒューズ・木島始訳>

ゆく年に感謝して、
いっしょうけんめいに、
生きましょう。

くる年もよろしく。

<『ジジの気分』(未刊)より>

2010年12月25日(土曜日)

寒波クリスマスの西武・有楽町店閉店に思う

東北・北海道、そして日本海側は、
寒波クリスマス。
だからホワイト・クリスマス。

ヨーロッパにはもっと激しい寒波来襲。
ロンドンのヒースロー空港はマヒ状態だったが、やっと正常化。
その代りパリのシャルル・ド・ゴール空港は400便がキャンセル。
ドイツ・デュッセルドルフ空港は閉鎖、
ベルギー・ブリュッセル空港でも欠航便続出。

日本はやっと冬らしくなって、
突然の雪は、何かと暮らし向きには大変だろうが、
ホワイト・クリスマスのロマンティシズムを感じ取って、
生きる糧にしてほしい。
商売のエネルギーにしてほしい。

ヨーロッパの寒波ほどではないのだから。

午前7時、東海道線の辻堂から茅ケ崎あたりを通過中。
朝日が美しい湘南。
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それぞれの朝があり、
それぞれの暮らしがある。

小さな喜び、
ささやかな幸せ、
明日への希望。

クリスマスの今日、
これを実感したい。

さて菅直人内閣。
昨日クリスマス・イブの夕方の臨時閣議で、
来年度予算を決定。

国家予算規模を表す一般会計総額は、
92兆4116億円。

2010年度当初予算に比べてプラス0.1%。

税収がこの予算にはるかに及ばないから、
新規国債を発行する。
つまり借金をする。
その額は、44兆2980億円。
これは過去最悪だった前年度並み。

「2年連続で借金が税収を上回る」ことになり、
まさに異常事態。

会社経営ならば、
社長は首。

私が㈱商業界社長のとき、
㈱セイミヤ会長の加藤榮一さんに言われたことがある。

「借金が2カ月分の売上げになったら、
会社は危なくなる」

加藤さんは商業界の全国連合同友会長として、
日本中の商業者の指導をしていた。
その加藤さんの実践理論からしても、
今回の一般会計は異常。
借金が6か月分になって、
加藤実践論の3倍。

新聞各紙こぞって、「国の財政運営限界」を唱える。

その菅首相、来年1月の通常国会に向けて、
内閣改造を意図している。
立ち上がれ日本の平沼赳夫代表などに打診。

借金過多で資金繰りが苦しいときに、
人事で乗り切ることは絶対にできない。

まずは、資金繰りだ。

それが経営。
行政府にイノベーションとマーケティングが要求されるが、
そのまえにマネジメントは必須条件である。

さて今日のクリスマスをもって、
有楽町・西武百貨店が閉店する。
今や㈱セブン&アイ・ホールディングス傘下のそごう・西武のひとつの顔。
私はずっと、この判断は正しいと言い続けている。
むしろ遅いくらいだ。

鈴木敏文会長は言う。
「1984年の開店以来、一度も黒字を出したことがない店」。
今年2月決算で年商138億円。
1992年度が売上高のピークで、
260億円くらいだったが、
その半分ほどに売上げが落ちている。

その260億円時代にも利益が出ていないのだから、
どんな経営だったのかと耳を疑うが、
これも、菅政権と同じような体質だったに違いない。

いつも思うが、
今年に入ってからの閉店セールは好調で、
「12月は前年対比2.5倍」の売上げ推移。

2倍では赤字だったものの、
2.5倍ならばさすがに利益も出よう。

ここから学ぶ教訓。
その1、顧客は残酷なものだ。
死にそうな人間に世間の注目が集まる。

その2、死んだ気で仕事に向かえ。
「いつでも閉店・閉鎖」の心構えで店を経営・運営すること。
いつも開店の日の初心を忘れないこと。
開店日が閉店日。
この危機感を維持できれば、
いい店になる。

大創産業㈱社長の矢野博丈さんの心持ちがそれだ。
有楽町マリオン、
いっそのこと矢野さんに経営権を委ねて、
ダイソーを入れたらどうだろう。

西武百貨店だったダイソー。
日本中の商業者にとって記念碑的な教訓を残すことになる。
これこそ、日本商業へのクリスマス・プレゼントである。

では、みなさん、
Merry Christmas!

<結城義晴>

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