結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2010年11月30日(火曜日)

朝日新聞『経済気象台』の「デジタル技術」論と「ラッダイト運動」の歴史的皮肉、そして知識商人

朝日新聞のコラム『経済気象台』。
ものを考えさせてくれる。

日経の『大機小機』と比べると、
ゆったりとしているが、深い。

今日のタイトルは「デジタル技術」
コラムニストは樹氏。

「長く続いたアナログ技術がデジタル技術に置きかわり、
ビジネス環境は大きく変化した」
実によくわかる。

そしてアナログ技術の時代とデジタル技術の時代では、
競争の軸が大きく変わる。

「アナログ技術が主流の時代は技術格差が大きく、
日本は優れた技術大国となった」

アナログ技術は追いつきにくく、
逆転しにくい世界だった。

㈱菱食特別顧問の廣田正さんの持論。
「後進の先進性」。

遅れていた者ほど、思いのほか障害を低くして、
最新の技術を導入することができる。

それはむしろ既存の進んだ者よりも、
先進的ですらある。

㈱プラネット代表取締役社長の玉生弘昌さんの見解。
「後発の優位性」。

プラネットは、日用雑貨や化粧品の分野のEDIを受け持つ。
EDIとはエレクトロニック・データ・インターチェンジ。
製造業と卸売業の取引をインターネットでつなぐ。
まさに日本産業社会のインフラのひとつ。

デジタル技術時代の申し子のような会社だが、
その玉生さんが語る「後発の優位性」にはリアリティがある。

経済気象台の樹氏は語る。
「デジタル技術は技術移転(コピー)が簡単で、
追い上げが容易だ」

これが、ほんとうに怖い。

コピーが簡単だから、
後進は先進にとって代わり、
後発は優位に立つ。

歴史的にみると、「ラッダイト運動」があった。

私の著書『メッセージ』。
「歴史の皮肉」という文章がある。

さかのぼること200年。1811年の暮れ。
イギリス・ノッティンガムシアというところで、
1000台のくつ下編み機械が暴徒に破壊された。

この“機械打ち壊し運動”は、
産業革命のさなかのイギリス全土に、
広がっていくかとみられた。

ラッダイト運動と呼ばれた。

しかし、失業や賃金低下を恐れた手工業者、
マニファクチュア労働者のこの運動は、
彼らが自ら繊維工業機械を打ち壊したために、
時代とともに改良が進んでいた生産性の高い新型機械への、
切り替え導入を早めさせた。

そして、ますます彼ら自身の存在の意味を、
失わせることとなった。

大衆消費社会の訪れと、その時代が要求する生産性。
この流れに逆らったために起こった歴史の皮肉である。
<第8章『時流』より

200年後の今、
かつての手工業はアナログ技術になるか。
新型機械工場がデジタル技術になるのか。

コラムニスト樹氏は続ける。
「ガソリン車から電気自動車への転換は、
自動車製造技術のデジタル技術化でもある」

このデジタル技術は、しかし、
「技術移転」の宿命を背負っている。

私の言う「コモディティ化現象」は、
デジタル技術の時代にさらに加速化する。

米国ゼネラルエレクトリック会長のジェフ・イメルト。
「コモディティ・ヘル」と嘆く。
つまり「コモディティ地獄」。
「技術によって競争相手を振り切れなくなった」

このイメルトの発言の背景に、
デジタル革命がある。

樹氏は、結論付ける。
「21世紀、デジタル化された知識と情報こそが、
企業にとって最重要資産となるであろう」

ピーター・ドラッカー先生は、
「21世紀のポスト資本主義時代」を、
「知識社会」と読みとった。

樹氏は、デジタル化した「知識と情報」こそ、
最優先すべき資産という。

ところで、「デジタル化した知識と情報」による競争は、
行きつくところ、人間そのものの競争となる。

ドラッカー先生は
「知識経営者、知識専門家、知識労働者」
といった。

私は『お客様のためにいちばん大切なもの』の中で、
「知識商人」と呼んだ。

知識は、ラッダイト運動のように、
先進性を打ち壊したりしない。

知識は先進を吸収し、包含し、
そのうえにイノベーションを積み上げる。

もちろん、商品においては、
アナログ的な要素は、
ノンコモディティの価値を有する。

だからアナログがすべて否定されるわけではない。

クラシックカーやレコード盤を愛好する顧客は存在する。
アンティークの家具や古茶碗には価値がある。

桃井かおりは名言を吐く。
「蛇は古いほどいい」

しかし競争を優位に立たせるのは、
デジタル化された知識と情報。
知識経営者であり、知識専門家であり、
知識商人である。

ああ、今日で、2010年11月が終わる。
<結城義晴>

2010年11月29日(月曜日)

クリスマス・年末商戦突入と日本マクドナルド原田泳幸の「値下げも値上げもしない」ポリシー

Everybody! Good Monday!
[vol48]

2010年第48週です。
そして11月と12月の繋ぎの週。

ということは、日本では勤労感謝の日が終わったあとは、
アメリカのサンクスギビングデーの後と同様に、
クリスマス・年末商戦一色になる。

すなわち今週からもう、
「ジングルベル♪ ジングルベル♪」

もちろん、「わが社わが店は違います」というのも、
大いに結構。

「淡々と冬支度」
これもいいだろうし、
師も走る「師走」で、
「今日も一日、慌てず、急げ」を、
コンセプトにするのもいいだろう。

泣いても笑っても、
あと5週間で今年の終わり。

「たいへんよくがんばりました」
小学校の先生から、
花丸のハンコを押してもらった時は、
うれしかった。

あのハンコを、みなさんにあげたい。

そんな気分です。

あと5週間。

11月16日の商人舎二人のビッグセミナーで、
林廣美先生が最後に言っていたけれど、
「今年の年末はギリギリ消費」
当日まで、購買は動かない。

クリスマス商材は23日、24日に集中する。
その前も、そのあとの25日も、
背中がぞっとするほど動かない。

しかし当日にどっと来る。

年末年始商材も、30日、31日に 、
どっと購買が起こる。
そのことを念頭に入れて、
直前までは辛抱に次ぐ辛抱。
当日は、「失敗を恐れない」心持で、大爆発。

これです。

しかし、生活の機微を捉えて、
生活者の心理を読み取って、
観察し、熟考すれば、
「ギリギリ消費」直前までのアソートメントは、
見えてくる。

これが2010年12月のマーケティングの鍵を握る。
その12月商戦は、もう始まっている。

アメリカでは、 「巣ごもり消費」のトレンドが一段と強まっている。
ウォルマートは、サンクスギビングデー後に作戦を立てた。
名づけて「サイバー・ウィーク」。
11月28日から12月3日まで、
インターネット販売でディスカウント攻勢に出た。

先週月曜日のこのブログで「サイバー・マンデー」のことを書いたが、
米国の調査会社コムスコアは予測している。
「今年の年末商戦のネット通販売上高が、
昨年より11%伸びる」

日経新聞のニューヨーク特派員杉本晶子さんが、
今日の国際欄で報じている。

アマゾン・ドット・コムも、ベスト・バイも、
ウォルマートもターゲットも、
ネット販売ディスカウント攻勢に出ている。

杉本さんは総括する。
「今年はネット主導の販促がまずまずの出足につながったが、
実店舗でのさらなる値引きの呼び水ともなっており、
小売り各社には痛しかゆしの構図となっている」

日本でも、チラシからネットへと販促手法が、
すこしずつ移行し始めている。
「カミ(紙)からアミ(網=ネット)へ」

この「網の販促」が、
「紙の販促」をリードする時代に、
「プロモーション」の中身が、
「低価格」だけではいけない。

日経の「人こと」に、
日本マクドナルドホールディングカンパニー
原田泳幸会長兼社長。

「値上げも値下げもしない」

世界的な農産物の高騰は一昨日書いた。
その中でも、日本マクドナルドは、じっと辛抱を決め込む。
「日本での値上げは来年以降も含め考えにくい」

同社は2010年末の決算でも、
「7年連続で全店売上高が増収の見通し」

「(低価格戦略が)2年間維持すれば本物だが、
本当にもつのか」

原田さんの競合他社へのけん制の言葉だが、
外食に限らず、2年以上持続可能な低価格戦略でなければ、
いや、半永久的に貫徹できる施策でなければ、
本当の「低価格戦略」とはならない。

ウォルマートは本来、「エブリデー・ロー・プライス」だった。
それが「プライス・マッチング」政策の行き過ぎで苦境に立っている。

ウェブにおけるディスカウントも、
本来の「エブリデー・ロープライス」の補強作戦であれば問題ないが、
それを逸脱すると、取り返しのつかないことになる。

原田泳幸の「値下げも値上げもしない」ポリシー。
これは今、キラキラ光る「ポジショニング」ではある。

では今週も、「朝に希望、昼に努力、夕に感謝」

Everybody! Good Monday!

<結城義晴>

[追伸]
「常盤勝美の2週間天気予報」
お見逃しなく。

「浅野秀二のアメリカ寄稿」は、
「ワシントンDCとニューヨーク」
こちらも御覧ください。

2010年11月28日(日曜日)

ジジはまるまる[2010日曜版vol48]

The Yuuki’s のJijiです。
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ボク、
まるまるになって、
きました。
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冬だからです。
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木も空も、
冬のしたくを、
しています。
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ボクも、
冬のしたく、
しなければなりません。
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rikkyoのキャンパスのイチョウも、
冬のしたく。
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そして、まいとし、
たのしみにしているもの。
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キャンパスのクリスマス・ツリーが、
キャンドル・アップ。
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ボクの冬じたくは、
まるまるに、なること。

ねぇ、おとうさん。
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ボクが、
この銀のペールボックスにのると、
ユウキヨシハルのおとうさんが、
アレをくれることになっています。
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そうです。
シーバ。

ボクの大好物。
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夏のころにくらべて、
1.5倍くらい、
食べるようになりました。
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なんでも、
一心にするのが、
ボクのモットー。
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おいしいし、
たのしいし、
そのうえ、
冬のしたくができる。

ああ、マンゾク。
ごちそうさまでした。

おとうさん。
どうも。
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ありがとう。
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こころから、
ありがとう。

<『ジジの気分』(未刊)より>

2010年11月27日(土曜日)

「格差を差別せず」の商売の精神と10月の内食&外食販売統計の変化

世界の農産物価格が高騰している。
その影響は食品のみならず、
衣料品や生活用品にまで及ぶ。
クリスマス・年末年始商戦に向けて、
「価格高騰」は大きな与件となってきた。

いかに取り組むか。

さて昨日、補正予算が成立した国会。
仙谷由人官房長官と馬淵澄夫国土交通相の問責決議案が可決。
菅直人内閣、どんどん追い詰められている。

いま日本に、絶対に必要なのは、「長期政権」
そのもとで、一貫した施策を実行し続けねばならないと思う。

会社でも同じ。

危機の時には、実行力のある長期的な経営陣が、
一貫したシナリオのもとに改革を続けねばならない。
次々に経営者が変わるのでは、
危機からの脱出はできない。

そんな中、昨日、プロボクシングに、
二人の世界チャンピオンが誕生した。

朝日新聞文化欄では、
「イクメン」や「草食系男子」のことを記事にしている。
その一方で、最もきついスポーツでの世界王者誕生。
フェザー級の長谷川穂積とスーパーフェザー級の栗生隆寛。
ともに2階級制覇のチャンピオン。

草食系男子とボクシング世界王者。

日本の若者には二通りの生き方があるのだろう。
それはそれで頼もしいことだと思う。

11月17日のこのブログで取り上げた「格差」。
朝日新聞のコラム『経済気象台』のコラムニスト遠雷氏は、
格差がバネ力を生む」という。

「失われたのは若者のハングリー精神である。
若者自身に怒りが乏しいことこそが危機である」
遠雷氏は、こう、訴える。
しかし、この日本に現在、
プロボクシング世界チャンピオン6人。
怒りやハングリー精神を持ち合わせた変革の担い手」が、
存在しないわけではない。

頼もしい限りだし、
「格差」を一概に無くすばかりがいいわけではない。
「格差そのものを差別視すること」こそ、
避けねばならない。

その点、商売はいい。
顧客を差別しない。

1673年の日本、「越後屋」を創業した三井高利が、
1683年に「店前現金無掛値」を訴えた。
「今度私工夫を以て呉服物何よらず格別やす値に売出し申候間、
私店へおいで御買上げ下さる可く候。
何方様えも持たせやり候儀は仕らず候」

「何方様えも」とは顧客を差別しない宣言だ。

1930年のアメリカでは、マイケル・カレンが、
スーパーマーケットを創業した。
カレンがロングアイランドの日刊地方紙に出した広告。
『最新型高級車にお乗りの方も、うば車をお引きの方も、ご来店歓迎。
流行遅れのお召物でも、そのままお気軽に、さあ、さあ、どうぞ!
金曜午後九時、土曜午後十時まで営業』

これも顧客を差別しないことの宣言だった。

商業の革新者二人のモットー。
「格差」の中で「差別」せず

さて昨日は午前中に、㈱いなげやの面々が揃って、
商人舎オフィスを訪ねてくれた。
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私の隣から、吉野繁美さん、
小森俊幸さん、
押木昌巳さん、
そして高橋一郎さん。

小森さんが私の著書『メッセージ』をご持参下さったので、
サインした。

心は燃やせ、頭は冷やせ」
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最近はこの言葉、大好きだ。

午後は、「スーパーマーケット販売統計調査」の記者発表。
東京・神田の社団法人新日本スーパーマーケット協会。
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一昨日の日本フードサービス協会の発表と見合わせると、
「10月の内食と外食の動向」が鮮明になる。

「10月の販売統計調査と11月の景況感調査」を、
まず協会副会長の増井徳太郎さんが流暢に報告。
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10月の総売上高は、7492億1083万円で
前年同月比102.1%。

食品合計は6424億4609万円(前年同月比102.6%)、
非食品合計は1067億6474万円(前年同月比98.9%)。

注目すべきは生鮮3部門。
3部門の合計は2419億2903万円で、
前年同月比104.2%だった。
そのなかで青果が前年比109.9%の993億3856万円。
これは、野菜の相場が高騰したための実績。
水産は相変わらず苦しく、前年比99%の659億4864万円。
そして、秋冬物の商材として畜産が売れ、
766億4183万円、前年比102%。
「昨年の年末は単価の低いものを発注しすぎて、
チャンス・ロスを出した。
この年末をどう乗り切るか。
昨年から学んでいれば、
各社知恵を絞るだろう」

続いて、株式会社マルトの安島浩代表取締役社長。
マルトはいわき市において圧倒的シェアをもつ。
安島さんの販売動向についての話は、
謙虚ながらも、自信にあふれていた。
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マルトは地元シェア50%を誇るスーパーマーケット企業。
いわき市内では3kmおきに店舗をかまえ、どの道を通っていても、
必ずマルトの店舗に行きつくような展開がなされている。

「マルトが大切にしているのは、健康な食品を売ること。
そのため、マルトのお弁当は腐ります。
温かいお弁当はおいていません」

「先ほど販売統計の説明では、
水産が苦戦しているとの話だったが、
マルトでは魚は売れている。
昨対で129%伸びている。

これはちゃんと品揃え、商品づくり、アピールするなど
手間をかけた結果」

「経常利益は昨対で3割伸びた。
これは昨年が悪すぎたのと、
あいみつを取るなど、基本をしっかりしたから」

「しかし、マルトは地域密着企業。
多少値が高くても、地元を大事にします」

「たとえば、ヨーグルトや乳製品は120%伸びている。
地元の味を大事にしながら売る。
しっかり根付いているから売れているのです」

一方の、日本フードサービス協会
10月の外食産業市場動向調査」。

全体で前年同月比プラス2.7%。
4カ月連続の前年同月クリア。

内食の2.1%プラスを0.6ポイント上回った。

外食は内食の水先案内人。
外食の落ち込んだ部分を内食がかすめ取るといった構図からは、
一刻も早く抜け出して、内食・外食協力して、
「食の喜び」「食の楽しさ」を日本中の消費市場に知らしめたいもの。

10月の外食の客数はプラス4.4%、客単価はマイナス1.7%。
とはいっても客単価も、
9月の前年対比マイナス3.4というレベルから抜け出しつつある。

外食産業で唯一、伸び続けてきたファストフード。
10月の売上高プラス2.7%。

外食全体のトレンドと同じ水準。

客数はプラスの5.4%、客単価はマイナス2.6%。

ずっと悪かったファミリーレストランは、
リニューアル効果が実って売上高3.5%増。

客数がプラス3.5%、客単価はプラマイゼロ。

ディナーレストランも売上高プラスの4.2%。
客数3.1%、客単価1.1%、ともにプラス。

10月の統計で見ると、
コンビニ既存店の売上高は前年同月比マイナス5.9%。

総合スーパーを中心としたチェーンストアは、
前年同月比マイナス0.3%。

たしかに、生活の何かが変わりつつある。

「格差が差別」につながらないことだけを祈りたい。

良い週末を。

<結城義晴>

2010年11月26日(金曜日)

「言論の府」が「口論の場」に変わっていることとiPadによる会議での「思考」

「国会は言論の府のはずが、
このところ口論の府になり下がっていないか」

朝日新聞『声』欄の投書を『天声人語』が取り上げた。

「たしかに実のある議論は少なく、
ののしりの声ばかり大きい」

テレビの影響か、衆愚世論の反映か。
酒場の酔っ払いの政治論議もどきが、
日本国国会で展開されている。

イギリス議会の論戦など見ていると、
つくづくそれを感じる。

しかし、政治家ばかりにこの責を負わせるわけにはいかない。
私たちの社会全体のことだと受け止めねばなるまい。

私たち自身のなかに、それが巣くっているのだと。
イギリスの鉄道や地下鉄の乗客には、
新聞を読んでいる者が多い。

読む習慣と能力は、
考える習慣と能力に比例する。

考えずに、口に出すことが多い。
だから「口論」となる。

『広辞苑』によると、「言論」は
「言語や文章によって思想を発表して論ずること」。

根底に「思想」がなければ、
「口論」になりやすい。

以って自戒とすべし。

さて、昨日、一昨日と、
顧問先の丸まる2日間の事業報告会議。

その会議は初めてiPadを使って行われた。
したがってペーパーレス。

これが意外な効果をもたらした。

まだまだ改善の余地はおおいにある。
しかし膨大な紙の資料が配られ、
それを読み合わせるようにして進行される会議は、
行き過ぎると時間の無駄にすぎなくなる。

iPadの画面にふさわしい分量と体裁の資料群は、
まだまだリニューアルが要求されるが、
コンパクトでシンプル。

だから、会議に参画する者は、
「考える」時間を提供されるようになる。

膨大な紙の資料はともすると、
「口論」の「口による争論」のごとき暴力性を持つ。

iPadによる資料とプレゼンテーションは、
「思想」を論ずるごとき「思考」の世界に人々をいざなう。

もちろん、その「思想」と「思考」の水準が、
常に進化していなければ、
やがてこの新しいツールも、
紙以上に膨大な暴力的「口論」の武器に、
変貌してしまうだろうが。

人々がものを考えるという志向で、
ITツールが活用される。

そしてそれが瞬時にデータベース化される。

こんなに素晴らしいことはない。

私は実際に使ってみて、感じた。
「ITほどチェーンストアに相性のいい道具はない」

もちろん、「××とはさみは使いよう」というがごとく、
ものを考える水準を上げる方向で活用されなければ、
「言論」が「口論」に堕してしまいつつあるかに見える日本国国会と同じ。
その空気を醸成しているだろう日本社会と同じ。

うまく使えば、「思考」のレベルは、
格段に飛躍する。

ドラッカー先生が生きていたら、
これをどう評するだろうか。

そんなことを考えた。

<結城義晴>

[追伸]
今日の「新着ブログ」Today!に二つ。
一つは「杉山昭次郎の流通仙人日記」の新論文。
「本格的スーパーマーケットの“店づくり”」
淡々とした杉山節、いいですね。

もうひとつは「林廣美の今週のお惣菜」
第116回「カニ風味入り いなり寿司」
これはおいしそう。

今週は火曜日が「勤労感謝の日」でしたが、
毎日このブログおよびホームページに来て下さったことに、
感謝します。
ありがとうございました。

今週にはより良い決着をつけて、
心地よい週末をお過ごしください。

2010年11月25日(木曜日)

延坪島砲撃とワンアジア市場の中の日本

北朝鮮による韓国・延坪島(テヨンピョンド)砲撃。
民間人も2人死亡。

アメリカと韓国は、黄海での大規模合同軍事訓練実施を決定。
対して中国は曖昧な姿勢を崩さず。

日経新聞のコラム『大機小機』。
コラムニスト三角氏が書いている。
「アジア・アズ・ナンバーワンの日本」
1979年の「ジャパン・アズ・ナンバーワン」。
著者はアメリカの社会学者エズラ・ヴォーゲル。

それから31年。

三角氏は、訴える。
「『日本が』という単独主義の発想を変えれば、
新たな道がみえてくる」

私もこれには賛成したい。

「日本を含むアジアが世界の成長センターとなり、
日本もそれに貢献しながら果実を得て再成長へ進む」

これが「衰退を逃れる唯一の道」

日本・中国・インドにその他アジアの国を加えたGDPは、
2009年で世界の24.7%。
「これが2030年には、40.5%まで上昇する」

「個人消費は32兆ドルに増加、世界の43%を占める」

アジア全体が「世界の工場」であると同時に、
「世界の市場」に変わる。

私は「ワンアジア財団」の評議員を務めているが、
この財団法人もその方向での活動をしている。

隔世の感があるが、
アジアが「世界の被侵略国」から、
「世界の工場」へと変貌し、
さらに「世界の市場」へと、
ポジションを変える。

その意味でも、北朝鮮の砲撃と中国の対応、
米韓の対処など、日本のかかわり方は大切。

「ワンアジア」の思想を持って、
2030年を見定めるといった視野が不可欠だと思う。

そのアジアからの顧客で潤う日本の百貨店。
10月は32カ月ぶりの売上高プラスを記録した。

日本百貨店協会の91社・261店舗の前年同月売上総額、
プラス0.6%の約5121億円。

主力の衣料品が40カ月ぶりに前年同月をクリア。
もっとも1カ月前の9月の外国人観光客の売上高は、
マイナス7.0%だった。
これは尖閣諸島船長逮捕事件の影響が明らか。

一方、日本ショッピングセンター協会の10月の売上高。
こちらも既存ショッピングセンターの前年同期比はプラス1.9%。
26カ月ぶりに増加した。

新設商業集積も含めた全体の総売上高は、
推計ながらプラス3.0%。

大型商業集積や百貨店のように、
人が集まるところでの消費が活発化しつつある。
そろそろ「節約・倹約、もったいない」の消費に、
飽きがきつつあるのか。

クリスマス、年末商戦がちょっと楽しみになってきた。

<結城義晴>

2010年11月24日(水曜日)

「論理」と「事実」の協働と、コンビニ・総合スーパーの10月販売統計

先週のコーネル大学RMPジャパン第3期の講義。
荒井伸也先生の時間の中で語られたこと。
「学問は突き詰めると論理ということです」

私は、はっとした。

荒井先生はコーネル・ジャパン首席講師。
サミット㈱社長、会長を歴任され、
現在、作家であり、オール日本スーパーマーケット協会会長。
さらにコンサルタントとしても活躍されている。

斯界随一の「識者」荒井先生の見識。
その表現力。

恐れ入った。

「産学協働」が盛んに叫ばれているが、
これは「実務」と「論理」の融合である。

実行したら、検証し、論理化する。
この論理化が、次の実行に役立つ。

一方、ジャーナリズムは「事実」を伝える。
この事実も極めて重要。

通常、事実は当事者にしかわかりにくい。
しかし当事者は自分の「事実」しか経験していない。
だからジャーナリズムは、
多くの事実を集めてきて、
それを正確に伝える。

ジャーナリズム、学問、どれも役割が違うということだ。
役割が違うから、どれもが大切な機能ということになる。

実務家とジャーナリストと学者の協働は、
だからこそ重大な意味を持つ。

ここで、荒井先生の認識を借りると、
「学問を否定する者は、
論理を否定していることになる」

ジャーナリズムを否定することは、
「事実の集積を否定することと同じである」

そして実務を否定することは、全否定となって、
論理は矛盾し、事実はゆがめられる。

ピーター・ドラッカー先生は、
ドイツでジャーナリストとしてスタートした。
その後イギリスでは投資銀行に勤めつつ、新聞記者でもあった。

やがてアメリカにわたって学者となった。
学者として研究を続けつつ、
コンサルタントとしてゼネラルモーターズから依頼を受け、
その実務体系を調べた。

そして膨大な報告書を書いた。
それが第3作「企業とは何か」に結実する。

すなわちジャーナリスト、学者、コンサルタント、
三足のわらじをはいていた。

ここでいうコンサルタントは、
実務指導する者ではない。

その会社の診断をする役割を担う。
端的にいえば「医者」のようなものだ。
商業の世界では故渥美俊一先生がそれだった。

渥美先生は読売新聞のジャーナリストとして、
キャリアをスタートさせ、
コンサルタントに転身した。

診断には論理性が不可欠だ。
だから学者兼コンサルタントは多い。
商業の世界では故川崎進一先生がそれだった。

渥美・川崎、お二人を合わせたようなキャリア、
それがまさにドラッカー先生だった。

重要なことは、
論理と事実からスタートしたということ。

もちろんどんな役割にも、
理想形と現実形がある。

つまり理想形の学者やジャーナリスト、
コンサルタントや実務家がいると同時に、
現実形のそれらも存在する。

理想的なコンサルタントと現実形の学者を比較して、
どっちがいいとか悪いとか評するのはお門違いというもの。
逆に現実形のコンサルタントと理想形のジャーナリストの比較も、
意味がない。

論理的に話を進める場合、
理想形と理想形の比較がいい。

そうすると、それぞれの役割が明確になって、
別々の役割の協働や連携も理解できる。
さて、10月の販売統計。
コンビニと総合スーパーから発表された。

まず日本フランチャイズチェーン協会発表のコンビニ統計調査月報。

既存店の売上高は前年同月比マイナス5.9%。
タバコ景気が終わって、4カ月ぶりダウン。
もともとコンビニはずっとダウントレンドにあった。
それが現れてきたということ。

店客数マイナス4.4%、
平均客単価マイナス1.5%。

店舗数は1.7%増えて、4万3268店。
1カ月の来店客数は2.6%減って11億5065万人。
平均の客単価はマイナス1.1%の558.8円。

コンビニの客単価559円は覚えておかねばならない数字のひとつ。
みなさんも覚えておいてください。

いろいろなことの基準のひとつになる。

一方、日本チェーンストア協会の発表。
この協会の会員企業62社、7872店。
そのうち、売上高の49%が、
8社の総合スーパー企業によって占められている。

そこに食品スーパーマーケットやホームセンター、
ホームファッションチェーン、100円ショップなどが加わる。
つまりは体制は総合スーパーの統計ということ。

その総合スーパーを中心とした10月の売上高、
前年同月比マイナス0.3%で、1兆0090億円。

23カ月連続ダウン。

商業統計では、総合スーパー業態は、
1997年をピークに、もうずっと13年もダウントレンドにある。

食料品は前年同月比で0.0%。
まったく変わらず。
「安定の食品」の面目躍如。

コンビニも食品販売中心の業態だから、
コンビニのマイナス5.9%は、
いかにこの業態がタバコに依存していたかを鮮明にした。
タバコの売上げだけでなく、
タバコを買いに来るという購買動機に連動した売上げ。

衣料品はマイナス1.4%、
住関品はマイナス1.1%。
この住関連にはニトリの貢献も織り込まれていて、
だから総合スーパーの住関連がまだまだ改善されていないことを物語る。

コーネル・ジャパンの講義中にも、
「総合スーパー」業態をどうするかがテーマとなった。

大久保恒夫先生、荒井先生、私、三者三様の解ながら、
決め手は見つかりにくい。

これこそ論理と事実との協働によって、
次の視点が要求されている課題である。

<結城義晴>

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