結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2010年11月19日(金曜日)

コーネル・ジャパンの荒井伸也・大久保恒夫・廣田正講義

ゼネラルモーターズが、再上場。
20世紀のアメリカの象徴の復活。

ウォルストリートに「GMのエンジン音」が響いて、
「アメリカの自信」が蘇りつつある。
1月から9月までの利益が3500億円と完全に復調。
しかし、国がかりの再建は、
国家と企業、企業と国民の関係性を、
私たちに考えさせることとなった。

私たちは、考えねばならない。
よくよく、考えねばならない。


昨日は、コーネル大学RMPジャパン第3期11月の2日目。
東京・市ヶ谷のお堀沿いの法政大学ボアソナードタワーも、
晴れ晴れとした容姿。
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25階の私たちの教室の窓の下に、
東京の街が広がる。
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午前9時、荒井伸也首席講師の講義。
「スーパーマーケット原論1」
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荒井先生のこの講義も、
コーネル・ジャパンを特徴づける内容。
すなわちあくまで論理的に、
あくまで問題解決的に、
スーパーマーケットを考察し、
企業や事業、仕事を考える姿勢。

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荒井先生の講義は、ダイエーの大型店は、
果たしてスーパーマーケットだったのか、というところから始まる。
林周二『流通革命』やダイエーと西友の赤羽戦争。

セルフサービスとチェーンストア。
それらの本質を解き明かしつつ、
「スーパーマーケットとは何か?」を明らかにする。

その間に「産業の理論」と「小売業」の関係性、
「小売業の業態」の社会的機能に基づいた分析。

毎回聞くけれど、毎回、目からうろこ。

荒井先生のスーパーマーケット論は、
「日本における小売業発展の特色」を時系列に整理し、
完璧な定義に至る。
「『家庭内で食べる食』を総合的に品揃えしている店」

この講義は、今後も様々な人に聞いてもらいたいと思う。

次の講義は、大久保恒夫先生。
㈱成城石井前社長にして現在、セブン&アイ・ホールディングス顧問。
その大久保先生は、コーネル・ジャパンの第1期生。
そのことを紹介する。
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大久保先生の講義テーマは、
「スーパーマーケット・マネジメント」
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「小売業にとって一番大事なのはマネジメント」
「小売業の目的はお客様に喜んでいただくこと」
「挨拶を良くするだけで5%経常利益が上がる」

「実行のマネジメント」こそ大久保先生のモットー。

これまでも何度もいっしょにセミナーを開いたり、
講義をお願いしたりした。

これまでの講義や講演も秀逸だった。
しかし今回はその中でも最高だった。

第3期生は幸せだと思った。

「実行の第3期生」が「実行のマネジメント」の、
最高の講義を聞くことができたからだ。

大久保さんの心境は、
「志定まれば、気盛んなり」
私はそう読み取った。

あっという間に昼食。
窓の外は小春日和。
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午後1時15分、講義再開。
「ディスカッション」とタイトルしたが、
荒井先生、大久保先生への質疑応答。
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私が司会を務め、
もちろん私も発言する。

すぐに質問が出始めた。
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大久保先生が淡々と、しかし的確に答える。
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荒井先生も経験に基づきつつ、
総括的に答える。
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さらに質問が広がる。
論点が変わる。
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大久保先生が答える。
荒井先生が解説する。
副学長が整理する。
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今度もあっという間に90分は過ぎた。
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荒井先生と大久保先生に共通すること、
それは21世紀の日本のスーパーマーケットや小売業にとって、
不可欠の経営機能である。

大久保先生は、来年1月の湯河原合宿での講義が最後となる。
来年からはしばらく教壇を降りる。
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心から感謝しつつ、固い握手。

3人の質疑応答の後の最後の講義は、
「双葉の前に双葉なく、双葉の後に双葉なし」の、
菱食最高顧問・廣田正先生。
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テーマは「食品卸売業からの提案」

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廣田先生は、1955年に社会人となった。
食品の中間流通に属する。
その7年後に林周二著『流通革命』が大ブーム。

しかし、卸売業や中間流通の社会的機能を果たしつつ、
廣田先生は会社を1400倍に成長させた。

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「メーカーにとって卸売業が顧客ではない。
卸売業にとって小売業が顧客ではない。
メーカーも卸売業も小売業も、
コンシューマーが共通の顧客だ」

最後に「食品流通業の先輩として」5つの提言。
1.成長と膨張は違う(田島義博)

2.不満足領域の継続は新産業を生む。

3.企業の利益はその企業が果たした社会貢献の対価である。

4.「脱皮」には「単純脱皮」と「変態脱皮」がある。

5.構造変革期にはリーダーの役割がより重要。
「志」を持った指導者になってほしい。

素晴らしい講義だった。
「食品産業の将来を支える人たちに、
ミッションを与えてほしい」
私のお願いは十二分に果たされた。

75分の講義が終わると、
質疑応答。

真っ先の質問は、国分㈱千木良治さん。
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そして三井物産の小竹経一さん。
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千木良、小竹、両君が質問したところが、
何よりも、いい。

廣田先生も、質問に丁寧に答えてくださった。
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コーネル・ジャパンは食品産業全体のための、
教育機関であることが証明されたわけで、
私はことのほか嬉しかった。
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廣田先生にも、心から感謝したい。

講義が終わるころ、
窓の外の「スカイツリー」も喜んで、
私たちのクラスを覗きこんでいるように見えた。
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ゆうぐれの富士も、
美しかった。

荒井先生が最後につぶやいた。
「こんなにいい授業はそうそうない。
でも最初からこんないい講義ばかりで、
来月から見劣りしないだろうか」

荒井先生が、ほんとうに心配されている様子に、
私はほほえみを禁じえなかった。

コーネル大学RMPジャパン、
快調です。

「朝に希望、昼に努力、夕に感謝」

<結城義晴>

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