結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2010年11月11日(木曜日)

首都圏店舗クリニック埼玉・千葉編は「レイクタウンvsららぽーと」にヤオコー・サミット・オーケー

中国漁船衝突映像流出事件に新展開。
第五管区海上本部の神戸海上保安部海上保安官が、
「投稿は自分だ」と上司に告白。

「鼠小僧次郎吉」の正体が明らかになって、世論騒然。

国家公務員法守秘義務違反容疑が確定されれば、
逮捕される見込み。

保安官が次郎吉だった。
この事件自体はシンプルだが、
投稿したのが中国との国際問題をはらんだ例のビデオ。
これが守秘義務違反の情報だったか否かで、
識者が駆り出されて論議が展開される。

国会でも、菅直人首相が、
「最終的責任は私自身にもある」と発言。

義賊であろうが無かろうが、
日本の行政府のマネジメントレベルの低下を、
つくづくと感じさせられる。

公僕だけでなく、
様々な民間企業にも、
この症状が出ているのではないか。

私は、そんなことの方を強く思う。

日本人のもつ誠実さ、真摯さ。
それが失われていくことは、
私自身の問題として我慢がならない。

さて、昨日は、首都圏店舗クリニック2日目。
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私たちの乗り込んだバス。
ドライバーはツノダさん。

良いドライビングをしてくれた。
まずは感謝。
日本はいい。
欧米と比べて、
この面のマネジメントレベルは一級だ。

大宮のホテルを出発して、
朝一番で向かったのは、
越谷のイオンレイクタウン。
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今回のパートナーの浅香健一先生とツーショット。
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まだショッピングセンター全体は朝のオープンをしていないが、
核店舗のジャスコは開店している。
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朝一番の売場づくり。
良い状態。

総合スーパー・ジャスコのオペレーションレベル、
私は今回、ちょっと見直した。
現場の地道な努力が、
少しずつ少しずつ実ってきた。

この店はセルフレジを設けている。
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早朝のこの時間、セルフレジの方が顧客が多い。
不思議。

午前10時きっかり。
モールゾーンがオープン。
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全テナントで、店員さんが店の前に立って、
お出迎えタイム。
顧客が店の前を通過すると、
丁寧なお辞儀をする。
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この世紀のショッピングセンターは、
2008年10月2日オープン。
敷地面積26万1633㎡、
延床面積36万4843㎡、
店舗面積21万8483㎡。

モール総延長、なんと1,090m。
端から端まで1㎞を超える。
建物は地上3階建、
駐車場約8,200台、
駐輪場約6,200台。

この世紀のショッピングタウンは二つに分かれる。
イオンモール㈱が経営する[kaze]。店舗面積8万0736㎡。
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イオンリテール㈱が運営する[mori]。店舗面積13万7747㎡。
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核店舗は、ジャスコレイクタウン店。
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ジャスコの店舗面積12万1918㎡。

越谷レイクタウンビブレ。3527㎡。
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それにマルエツ越谷レイクタウン店。
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マルエツの店舗面積2069㎡。

さらに食品では成城石井が入っている。
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車30分のアクセス範囲を一次商圏とすると、
約330万人、140万世帯の巨大商業集積。

オープン以降、丸2年が経過するも、
客足は衰えず。
11月第2週水曜日の午前中というのに、
来店客は多い。
もちろん、どれだけ買っているかは分からないが。

今回はメーカー・問屋の若手・中堅の研修会。
視察中でも質問が出ると、
できる限り現場で答える。
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私にはとても良い勉強になる。
ある概念やある経営体系、ある技術を説明するときに、
これでいいのかといつも自問している。

亡き渥美俊一先生も、「説明の仕方」をいつも考えられていた。
商人舎最高顧問の杉山昭次郎先生は、
年齢が渥美先生のひとつ下の同世代コンサルタントだが、
同じように「いかに説明するか」をいつも意識している。
その説明の仕方を私に教えて下さったり、
失敗談を話して下さる。

訳のわからない言葉や言い回し、
論理的でない説明の仕方で、
煙に巻いているコンサルタントも多いが、
渥美先生・杉山先生の姿勢には、
私は感心させられることばかりだった。
だから私も、努力する。

さて、11時に越谷レイクタウンを去り、
私たちはららぽーと新三郷に向かった。
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2009年(平成21年)9月17日、
レイクタウンから遅れること約1年。
こちらはイトーヨーカ堂食品館を核店舗として開業。
地上2階建て(一部地上4階、地下1階)は、
越谷レイクタウンの3層構造よりシンプル。
敷地面積約8万5,200m²、
店舗面積4万6,822m²、
店舗数178店舗。
駐車台数は3,262台、駐輪台数1,235台。

こちらも堂々たるリージョナル・ショッピングセンター。
しかも越谷から車で10分の距離。

越谷レイクタウンの1次商圏が30分だから、
完全に競合ショッピングセンター。

このららぽーと新三郷を挟んで、
イケアがデンと構える。
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正反対の位置にはコストコ。
その意味で、このららぽーと新三郷は、
アメリカのパワーセンターの要素も持ち合わせている。

核店舗のイトーヨーカ堂は、「食品館」として、
スーパーマーケット出店。
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スーパーマーケットとして、良くできている。
欧米ではハイパーマーケットという業態でくくられる日本の総合スーパー。
その食品売場だけ切り取っても、
スーパーマーケットにはならない。
スーパーマーケットとしての完成度が不足してしまう。
イトーヨーカ堂は、さすがにそれをこなした。
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もちろん、私の目で見ると、足りない部分も散見される。
しかし、「良くできました」のハンコは押せる。
特に青果・鮮魚部門は、今、
日本のスーパーマーケットに欠けている要素に果敢にチャレンジ。

コモディティ・グッズのマーチャンダイジングを、
いま一段、検討すると、もっと良くなると思うが、いかが?

隣にはマツモトキヨシ。
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さらにユニクロと無印良品。
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ニトリも入り口はせまいが、
奥の広い売場で、
これは安定した力を発揮している。
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こうなると、今や「曖昧総合」と化したイトーヨーカ堂のハイパーマーケットを、
このショッピングセンターに持ってくる意味は薄い。
セブン&アイ・ホールディングスの意図は明確だ。

テナントにはH&Mもあるし、ZARAもある。dscn4507-3.jpg

ロフト、アカチャンホンポ、ライトオン、石丸電気といったテナント構成も、
越谷レイクタウンに対抗していて、顧客にとっては選択肢が違っていて良い。

ただし、こうなるとイトーヨーカ堂は今後、どうするのだろう。
日本の商業全体にとっても重要な課題が見えている。

さて私たちは、ここ埼玉県から、
1時間かけて千葉県を目指す。

最後に、新浦安のスーパーマーケット競合を視察するため。
今回は意図を持って、視察店舗の設定をした。
年商2000億円級のスーパーマーケットをコンパリゾンの中心においた。
それも「ポジショニング」の鮮明な3社。

私は「ポジショニング競争」の時代であることを、
強く主張している。

それを実証したいがためである。
ただし、APEC開催中ということもあって、
予定通りにはバスが動かない。
ご迷惑をおかけした。
まず、ヤオコー浦安東野店。
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一昨日、訪れた相模原下九沢店は最新の店だった。
しかし、最新店ばかり訪れても、
その企業の実力は測れない。

ヤオコーにおけるその典型がこの店。
さすがにヤオコー。
良い売場づくりだった。

次に訪れたのが、サミットストアライフガーデン浦安富岡店。
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この店はこの9月に「リブレ京成」跡地へ出店した最新店。
年商目標26億1000万円という凄い数字を掲げている。
この数字が掛け声だけでないことは、
良好なオペレーションと店内の活気が物語っていた。
千葉周郎店長のもと、モチベーションの高さがうかがわれた。

従業員数87.0人(正社員33.0人、パートタイム・アルバイト社員54.0人)
1次商圏内世帯数は3520世帯で人口9230人、
2次商圏は1万2824世帯、3万1208人。
3次商圏2万8722世帯、6万6608人。

部門別取扱品目は青果329、鮮魚310、精肉380、
さらに惣菜200、日配1495、加工4687、菓子967、
そしてベーカリー70、家庭用品5616の合計1万4054品目。

サミットの現時点の最高水準の店舗だった。

このクリニック最後の店は、オーケー新浦安店。
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2008年11月28日オープンで、
もう2年経過している。
売場面積は2874m²(869坪)。
駐車場355台。

オーケーとしては清水の舞台から飛び降りるほどの大型店。
従って、その大型売場面積をややもてあまし気味。
しかし「高品質・Everyday Low Price」を標榜する店づくりは健在で、
オーケーの新しいフォーマットへの意気込みがぷんぷんにおう店ではある。

この日も、完全に予定通りの店舗を巡り、
私たちは大きな収穫を得て、東京・日本橋へ戻る。

午後4時、日本スーパーマーケット協会会議室を借りて、
最後の総括セミナー。
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まず浅香先生から、立地を始めとする根本的な競争力に関するレクチャー。
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そして私のまとめ。
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2日がかりの視察を終えてのセミナー。
どうしても力が入る。
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Doing things betterとDoing better things。
どちらも重要だが、日本もアメリカも、
小売業は前者に傾きがちとなる。

両者の間に最大のパフォーマンスを導き出す。
それが「知識商人」の仕事である。

ご清聴を感謝したい。

セミナーが全部終わって、解散。
残った協会に大塚明専務理事。
2日間、店を巡り、語り、
至福の時を過ごして結城義晴。
大塚さんがいれば、喉をうるおしたくなるのは、当然の成り行き。
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呉服橋龍名館。

大塚さんとの議論。
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これも至福の時だった。
ありがとうございました。

それにしても最後に再び思った。
「亡き父よ、店見るたびに見るたびに」
合掌。
< 結城義晴>

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