結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2010年11月10日(水曜日)

首都圏店舗クリニック東京・神奈川編は隣接競合「三和vsオーケー」&「イトーヨーカ堂vsジャスコ」そしてサミット、ヤオコー、オオゼキ

一昨日のニュース。
10月の景気ウオッチャー調査。
「足もとの景気実感を示す現状判断指数」。
9月から1.0ポイントの3カ月連続ダウン。

エコカー補助金終了、たばこ増税など、
個人消費の落ち込みが大きい。

この指数を構成している3大項目は、
①家計、②企業、③雇用。
10月にはすべての数値が低下してしまった。

2~3カ月先の先行き判断指数も出しているが、
それは9月段階から0.3ポイントのダウン。
これは2カ月ぶりの悪化。

しかし2カ月先となると、12月、
3カ月先となると1月。

すなわち年末年始の先読み指数は、
良くはない。

心してかかるべきだ。

さて、昨日から今日にかけて、
首都圏店舗クリニック。

メーカー・卸売業の中堅・若手社員41名とともに、
スーパーマーケット、総合スーパーの優良店をウォッチング。

昨日は、首都圏の外環状線国道16号の西側を探索。
朝11時に新横浜集合。
Apec警備厳重な横浜。

まずは、サミットストア町田旭町店。
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1階にダイクマ、2階にヤマダ電機、
地階にサミットストアのスーパーマーケット。
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21世紀に入る前から、サミットはこの地区で、
ディスカウントストアのダイクマと、
コラボレーションで出店してきた。
サミットが開発した物件にダイクマが参加する。
ダイクマが手当てした物件にサミットが乗る。

そのダイクマは、イトーヨーカ堂の傘下にあったが、
ヤマダ電機に売却されてしまった。

しかしサミットと組んで出店した店は残っている。
それがこの町田旭町店。

古い店だが、良くメンテナンスされ、
なおかつ最新型にリニューアルされて、
状態はすこぶる良い。

店舗クリニックの場合、
日本でもアメリカ、ヨーロッパでも、
その日の最初に訪れる店は重要。

後の店の基準になるからだ。

サミットストア町田旭町店は、その意味で、
最良の店ではあった。

次に訪れたのが、
三和とオーケーの激戦地。
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「オセロ主義」を出店戦略の核とする三和は、
4つのフォーマットを持っている。
そのうちのディスカウントタイプ「フード・ワン」。
もともとレギュラー型のスーパーマーケットだったが、
隣接地にオーケーが進出してくるというので、
対抗型のフード・ワンにフォーマット転換した。

オセロ主義とは、出店エリアを2㎞の升目に区切り、
オセロのようにその升目すべてに自社店舗を埋めていく作戦。
オセロ主義をとると、必然的にマルチ・フォーマットとなる。
4平方㎞ごとに標準化した物件が確保できるはずもないからだ。
隣は、オーケー。
「高品質  エブリデー・ロー・プライス」を標榜する
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2008年にオープンしたディスカウント・スーパーマーケット。
この隣接競合、日本有数のケーススタディ。

ディスカウント型2店舗の競争は、
近隣同業に強いインパクトを与える。
この2店舗から、少なからず影響を受けているサミットが、
いかに対抗し、対応しているかも、知ることができる。

この3店舗は、必見の競争を繰り広げている。
その後、国道16号線を北上して、
JR横浜線の古淵駅近隣の総合スーパー隣接競合地区へ。
イトーヨーカ堂古淵店。
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そしてジャスコ相模原店。
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前にも書いたが、私が『販売革新』編集長の頃、
「イイ戦争・古淵の闘い」という特集を組んだ。

どちらも箱型の「日本型GMS」と呼んだりする一時代前の総合スーパー。
オペレーション力はイトーヨーカ堂が優れているはずだが、
隣り合わせで毎日毎日、競争していると、
追いかける者が少しずつ追いついてくる。

今や、それほどの遜色のない売場となっているから不思議。

イトーヨーカ堂が旧来タイプの箱型GMSであるのに対して、
ジャスコはちょっとだけショッピングセンタ―志向で、
それが総合力となって、互角の戦いを見せている。

一方、イトーヨーカ堂もテナント揃えの重要さをジャスコから学んで、
その後、ショッピングセンターのアリオ開発につなげた。

競争は、競争する者たちを進化させる。
そのことが、良く分かるケーススタディとなっている。

バスの中で、ずっと解説。
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私はもう、アメリカ視察モード。
メーカー・問屋の中堅・若手対象ということもあって、
説明はいつも以上に懇切丁寧になる。
国道16号をさらに進むと、
相模原のアイワールドへ。
ロヂャース、ダイクマ、アイワールド。
1990年代に関東の非食品ディスカウンター御三家だった。

ロヂャースは太田順康副社長が、
スーパーマーケット店舗に転換させた。
ダイクマはヤマダ電機に売却された。

そしてアイワールドは、
1階にオオゼキを誘致し、
上階にはダイソーを導入して、
何とか生き延びている。
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この多層階商業施設は、
いまやオオゼキによって持っている。

結局、バッタ仕入れの非食品ディスカウンターは、
長続きはしなかった。

私の言う「ディスカウンター1000億円限界説」を、
この3社は証明することとなった。

アメリカのウォルマートやターゲット、Kマートのように、
仕組みでディスカウントできる企業体をつくり上げるしかない。

オオゼキの店舗入り口で展開されていた「号外セール!」レタス98円。
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昨日の最後は、ヤオコー相模原下九沢店。
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「ザ・マーケットプレイス」と名づけられている。

この10月26日にオープンしたばかりで、
現在、ヤオコーの実験店との位置づけ。
何を実験しているかというと、
従来のライフスタイルアソートメントのヤオコーに、
「エブリデー・ロー・プライス」の要素を組み入れる趣旨。

21世紀に入って、アメリカのウェグマンズは、
「コンシステンシー・ロープライス」を採用した。

すなわちこれは、
ウォルマートの「エブリデー・ロー・プライス政策」の取り込み。
どうやらヤオコーも、その域に入ってきたということ。

実に良い店で、視察者一同、満足。

その後、中央高速道路を走り抜け、
埼玉県大宮市のホテルへ。

そして、夕方の6時半からセミナー。
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8時40分までのレクチャー。
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ゲスト講師は、リテイル・マーケティング研究所社長の浅香健一先生。dscn4445-1.jpg
浅香先生は立地論の専門家。
「集める立地・集まる立地・近寄る立地」の持論と、
業態・フォーマットとポジショニング論。

松嶋奈々子型企業、大竹しのぶ型企業など、
たとえ話がとても面白くて、勉強になった。
私の話は、業態・フォーマット論と「店舗・商品論」。
メーカー・問屋の中堅・若手に「商品構成グラフ」の考え方を、
これまた丁寧に解説。
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かくて、首都圏店舗視察初日、順調に終わった。
浅香先生とホテルの中華料理で乾杯。
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お疲れ様でした。

しかし店を回るのは楽しい。
アメリカでもヨーロッパでも、
日本でも。

今回も、思い出した。
「亡き父よ、店見るたびに見るたびに」

合掌。

<結城義晴>

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