結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2012年11月23日(金曜日)

「勤労感謝の日」は小売りサービス業で働く人々が主役となる日だ! 

今日は「勤労感謝の日」。
私が一年で一番大切にしている日。
「勤労をたつとび、生産を祝い、
国民たがいに感謝しあう」

それが勤労感謝の日の趣旨。

小売業・サービス業に携わるものは、
その勤労感謝の日に仕事する。
経営者はもとより、
社員、パートタイマー、アルバイトまで。

一般の顧客は、国民の祝日。

だから勤労感謝の日は、
小売業者・サービス業者にとって、
際だって尊い。

アメリカでは昨日の11月第4木曜日が「感謝祭」。
そして今日は「ブラック・フライデー」。
一年で一番売る日、売れる日。

クリスマス・イブよりも売れる。

今日からクリスマスまでの1カ月間が、
最大の「書き入れ時」。

日本でも、勤労感謝の日から、
大晦日までが、アメリカほどでないにしても、
最大の「書き入れ時」だ。

そのスタートとなるのが今日。
そしてその日は、
国民こぞって「たがいに感謝しあう」日。

大新聞の一面看板コラムは、
どこを見渡しても「勤労感謝」に触れていないが、
[毎日更新宣言]は、
声高らかに宣言しよう。

今日こそ、
小売業・サービス業に従事する人たちが、
主役となる日だ。

「今日も一日、優しく、強く」
「今日も一日、元気と勇気」
「今日も一日、慌てず、急げ」

朝に希望、
昼に努力、
夕に感謝。

ちなみに日本の国民の祝日は年間に15回。
1月1日 元日
1月第2月曜日 成人の日
2月11日 建国記念の日
春分日〈今年は3月20日〉 春分の日
4月29日 昭和の日
5月3日 憲法記念日
5月4日 みどりの日
5月5日 こどもの日
7月第3月曜日 海の日
9月第3月曜日 敬老の日
秋分日〈9月23日〉 秋分の日
10月第2月曜日 体育の日
11月3日 文化の日
11月23日 勤労感謝の日
12月23日 天皇誕生日

一方、アメリカの連邦祝日は基本的に10回。
1月1日   New Year’s Day 元旦
1月16日  Martin Luther King Day キング牧師記念日(振り替え休日)
2月20日  Presidents Day  大統領の日(振り替え休日)
5月28日  Memorial Day  メモリアルデー
7月4日    Independence Day  独立記念日
9月2日    Labor Day  勤労感謝の日(振り替え休日)
10月8日  Columbus Day  コロンバス記念日
11月12日 Veterans’ Day  ベテランズ記念日(振り替え休日)
11月22日 Thanksgiving Day  感謝祭
12月25日 Christmas Day  クリスマス

日本の方がアメリカよりも祝祭日は多い。
小売りサービス業にとって、
これは好条件と言える。

商売の節目をつくることができるからだ。

ただし最後の勤労感謝の日と天皇誕生日からのクリスマスは、
アメリカと一緒。

何度も繰り返すが、
この1カ月間が最大のピーク。

今年は特に「無呼吸泳法」となります。

ちなみに、これも繰り返しになるが、
メンバーシップ・ホールセールクラブのコストコは、
年間7回の休業日を設けて、
アソシエーツを休ませる。
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この中で、第2のイースターは、復活祭。
春分の日の次の満月の週の日曜日。
特別に祝日とはなっていないが、
コストコはこの日曜日にも休業する。

国民が休んでいるときに働くことは貴重だが、
その国民と同じに休む。

それができる小売サービス業は、
幸せである。
さて、一昨日の11月21日、
阪急百貨店うめだ本店が全面開業。
日経新聞が記事にした。

2005年から改装を続けていて、
売場面積8万㎡に拡大。
従来比3割増。

10月25日に部分開業していて、
その後約1カ月間の来場者は前年同期比2.2倍、
なんと400万人。
1日換算13万人強。

売上高は前期比6割増。

初年度売上高計画は2130億円で、
伊勢丹本店、三越日本橋店と並んで、
2000億円超を果たす。

これは前年度比7割プラス。

凄い計画だし、すごい店だが、
ほかの店はそうでもない。

昨春改装開業の高島屋大阪店は、
上半期の増収効果が想定の3割にしかならない。

梅田に期待の新店をオープンさせた三越伊勢丹、
1年半で188億円の減損損失を計上。

今春に一部改装した松坂屋名古屋店、
13年2月期の予想売上高を下方修正した。
東武百貨店池袋本店も一部改装したが計画未達。

日本百貨店協会によると、
2011年の全国の百貨店年間売上高は、
6兆1525億円で15年連続前年割れ。
ピークの91年比では37%減った。

百貨店は日米ともに衰退業態だ。
衰退業態の特徴は、
全体の営業状況が悪くなるのではなく、
絶好調のほんの一握りの店と、
ほとんどの大不振の店とに、
明確に分かれること。

百貨店の機能自体は、
必須のものだ。
「大都市の良いもの何でも屋」。

しかし良いものが、小さなコンビニでも売られることになると、
「何でも屋」の機能は、あっちにもこっちにもある必要がなくなる。

だから百貨店は、
絶好の立地の、
最大面積の店舗しか、
集客できず、売上げも利益も、
上げられなくなる。

その10月の「全国百貨店売上高概況」。
全国総売上高は4955億9612万円で
既存店前年比はマイナス2.4%。
これで6カ月連続のマイナス。

都市別に見ると、
プラスは札幌の+1.3%と、
神戸の+0.8%のみ。

札幌はもちろん、
日本ハムファイターズの優勝セールで、
大きく売上げを伸ばした。

今年は前年に比べ、
土日がそれぞれ1日ずつ少なかった。
また10月中旬まで気温の高い日が続いたことで、
主力の冬物衣料が売れなかった。

高級宝飾品やブランド品は変わらず堅調で、
クリスマスケーキやお節の早期受注も順調ではあるが、
全体としてみると、まだまだ商況は厳しい。

他の業態も10月の営業成績が発表されている。
「コンビニエンスストア統計調査月報」
日本フランチャイズチェーン協会の発表。

既存店の店舗売上高は
6992億4300万円、前年同月比マイナス2.1%。
コンビニは5カ月連続でマイナス。

それでも、全店ベースで見れば、
前年同月比プラス2.4%と好調。
店舗数は46224店で昨年より5%増えている。

既存店の来客数が11億9845万人でマイナス0.9%、
平均客単価は584円のマイナス1.2%。

商品別では、
日配がプラス3.7%、
加工食品が7.4%。
食品は好調に推移していることが分かる。

ただし、非食品がマイナス2.0%。
タバコの購入者が減少しているが、
それがコンビニに大きな打撃を与えている。

一昨日発表されたのは、
「スーパーマーケット販売統計調査」
日本スーパーマーケット協会、
オール日本スーパーマーケット協会、
新日本スーパーマーケット協会からの合同発表。
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10月の総売上高は7881億5366万円、
既存店前年同月比はマイナス2.8%。
スーパーマーケットは8カ月連続マイナス。

部門別の詳細は、
以下のような結果となった。

食品合計 6847億0196万円(マイナス2.8%)
生鮮3部門合計 2508億7451万円(マイナス3.8%)
青果 1018億8786万円(マイナス4.5%)
水産 682億5893万円(マイナス4.3%)
畜産 807億2771万円(マイナス2.4%)
惣菜 696億6349万円(マイナス2.1%)
日配 1494億6152万円(マイナス2.4%)
一般食品 2147億0244万円(マイナス2.0%)
非食品 687億6480万円(マイナス2.8%)
その他 346億8690万円(マイナス2.1%)

全部門マイナス。

今月の発表は、増井徳太郎さん。
新日本スーパーマーケット協会副会長。
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「発表するのに、心痛い」

そして、
「新店を含めた全店ベースでも、
今年の7月以来初めて100%を割れてしまった」

「青果は果物がよく動いたものの、
野菜の相場安の影響で売上げにつながらなかった」

「水産も不調。
今月は不漁が続いたため、
築地での動きに変化がみられた。
以前は、午前2~3時に仕入れをしていた人たちが
今は前日の夜11時頃に出勤してきている。
そうしないと、良いものが買えないからだ」

「今までずっと好調だった惣菜も、
ここにきて商品のマンネリ化がみられる。
コンビニとの差別化が非常に厳しい。
今後、品揃えの見直しが必要だろう」

厳しいコメントばかり。

今月のゲストスピーカーは市森曉さん。
㈱三越伊勢丹フードサービス代表取締役社長。
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昨年4月、Queen’s Isetanと、三越の子会社・二幸が統合。
株式会社三越伊勢丹フードサービスが生まれた。
売上高は540億、店舗数は20店。

「10月の売上げは前年比98.8%。
客数は99.4%でそれほど変わっていないが、
客単価が96.5%で下がっている。
6月に実施したナショナルブランドのEDLPが要因。
飲料を中心に600~1000アイテム値下げした」

「顧客のライフスタイルを見直してみようと考えて、
顧客1600名にアンケートを行った。
三越伊勢丹フードサービスの重点顧客は、
40代前後の小学生が2人いる4人家族。
しかしこのターゲット層の離反率が高まり、
買いまわりが増加しているという状況が見えた」

「今後も厳しい状況が続くだろう。
独自性のある商品を提供し、
顧客の価値観に見合った価格を、
見直していく必要がある」

市森さんも厳しいコメント。

そして最後に、
総合スーパーの商況。
昨日発表の「チェーンストア販売統計」
日本チェーストア協会のまとめ。

総販売額は1兆0036億2273万円、
既存店前年比はマイナス4.0%。
チェーンストアも8カ月連続マイナス。

食料品 6202億円(マイナス3.4%)
衣料品 1087億円(マイナス8.0%)
住関品 2059億円(マイナス3.4%)
サービス 33億円(プラス0.7%)
その他 652億円(マイナス4.2%)

サービスだけプラス。
総合スーパーの店舗の広さが、
サービス機能に貢献している。

この中で特に低迷したのは衣料部門。
マイナス8%。
10月下旬にようやく気温が下がってきたことで、
冬物衣料に動きが見られたが、
前半の不調をカバーできず。

売上げの前月比だけは、
3.8%増加している。

厳しい10月商戦だった。
11月12月も環境は、
全く変わらない。

そのうえ、衆議院総選挙がある。
残念ながら12月16日まで、
国民不在の政党主義が闊歩する。

消費は白け、冷え込む。

しかし、小売りサービス業は、
なんとか国民に「元気」を提供し続けたいものだ。

スポーツや芸術と同様に、
国民の暮らしに明るい灯を供したい。

朝に希望、昼に努力、夕に感謝。

<結城義晴>

2012年11月22日(木曜日)

折兼セミナー「白熱教室」の「お客様のために大切なこと」

昨日のブログで書いた。
イオンも必ず、
このセブン&アイへの対抗策を、
打ち出してくるに違いない。

そうしたら今朝の日経新聞の一面記事。
「イオン、100円の第三のビール
製造はサッポロ」

350ミリリットル税込み100円の第三のビール。
サッポロビールの製造、
イオンの専売商品。

新商品名は「サッポロ みがき麦」

従来のメーカー品より約1割安い。
年間4000万本の販売計画。
「セブンプレミアム 100%MALT」は、
サッポロビールが製造する通常の缶ビールで、
350ミリリットル198円、
500ミリリットル258円。

国内メーカーの通常ビールに関して、
PB受諾は初めてのこと。
こちらの方がインパクトは強いが、
セブン&アイが仕掛けたら、
イオンも応じる。
イオンが取り組めば、
セブンが追随する。

この関係はしばらく続きそうだ。

さて、毎日新聞の巻頭コラム『余禄』。
このところ私が引用する頻度が高い。

「インフレは歯磨きペーストのようなものだ」

元ドイツ連邦銀行総裁カール・オットー・ペールの言葉。

そのココロは、
「チューブを絞ればすぐ出てくるが
元に戻すのはとても難しい」

ペール総裁と対峙していたヘルムート・コール首相。
「政治家として連銀の金融政策を好ましく思ったことはあまりない。
だが、一市民としての自分は連銀の存在を喜ばしく思う」

コラムニストは言う。
「政治家と中央銀行の関係を示す至言だ」

ポール・クルーグマンらが説く「インフレ・ターゲット論」。
ペーストをしっかりコントロールして、
すこしずつチューブから出すのが、
最大のポイント。

さらに中央銀行は政府に対して、
インディペンデントな存在でなければいけない。

さて昨日は、名古屋。

㈱折兼主催のフードくるむセミナー。
「白熱教室」での講演。
場所は、名古屋駅前のミッドランドスクエア。
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トヨタが所有する高層ビル。

その5階のミッドランドホールが会場。
開始時刻10時前には、
続々と参加者がやってきた。
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折兼は中部エリアを地盤にする包装資材の総合商社。
この日は、取引先のスーパーマーケット、フードサービスなど、
取引先関係者250名が参集し、会場は満席。
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はじめに折兼社長の伊藤崇雄さんが、近況報告。
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折兼は、近年、支援体制を強化。
PB商品開発をはじめ、
ipadを使ったオーダーシステムの構築、
物流の効率化などが、
伊藤社長の下で、進められている。

そうした報告の後で、私の講演がスタート。
テーマは「お客様のためにいちばん大切なこと」
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はじめに、秋のアメリカ視察で気づいたことの報告。
ウォルマートの「早仕掛け、早仕舞い」を紹介しつつ、
年末年始の取り組みは、
今週末の3連休が大事であることを強調した。

そして本題。

まず、皆さんに問いかけた。
お客様のためにいちばん大切なこととは何か?
一人ひとりが頭のなかでイメージしてほしい。

ハーバード大学マイケル・サンデル教授の白熱教室。
ちょっとそれを意識してみた。
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そして、顧客とは何か、
ロイヤルカスタマーの効能と維持、
CS(顧客満足)とES(従業員満足)の合致などを語った。
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もちろん最近、欠かさず紹介していることにも触れた。
スチュー・レオナードとイータリーの、
「アワー・ポリシー」の差異。
この差異こそが、「お客様のために大切なこと」。
これでなければいけないということはない。

最後は、中越地震後の往復メールを紹介。
十日町市在住の松村ひろみさんと私の交換書簡。
そして、感謝、元気、人間力経営。

最後の最後は、
「お客様のために一番大切なこと」は何か。
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冒頭で約束した私なりの「意外な回答」を提示した。

理解し、納得していただけただろうか。
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90分間のご清聴に、心から感謝。

講演が終わると、
すぐにやってきて質問してくれたのが、
杉浦大西洋さん。
豊橋の一期家一笑の名物バイヤー。
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毎月欠かさず、
ユニークで温かい手作りの販促カレンダーを、
商人舎宛に送ってきてくれる。

勉強熱心な優秀な青年。
商人舎ファミリーの一人だ。

杉浦さんもほぼ毎日、ブログを書いている。
商人舎ホームページの、
「なんでもリンク集・知識商人の輪」にも、
一番新しいボタンでリンクさせてもらっている。
タイトルは「一期家一笑 ヒロシのブログ」

私の講演の「アワー・ポリシー」について、
考え方を披露してくれた。

㈱デライト社長の白井正樹さんとも久しぶりに懇親。
商人舎第5回USA研修会の団長を務めてもらった。
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この日午前中に、京都の㈱マツモトの松本隆文社長一行が、
デライトの新店視察に訪れたらしい。
松本さんも白井さんも、本当に勉強熱心。
しかも、両社ともに業績がいい。

講演後に伊藤社長と記念撮影。
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控室に戻って、モニターを見ていると、
最後まで会場に残って、
熱心にアンケートに記入している女性がいた。
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どんなことを感じて、
何を書いてくれたのだろう。

講演会を終えるといつも、
充実感とともにそんな気分が湧き上がる。

講演の感想と言えば、
ウォルナットこと森川祐紀生さんから、
すぐにメールをいただいた。

森川さんは、
「胡桃の三流句」というブログを書いていて、
昨日の欄には早速、
「結城さんから元気を!」と題して紹介してくれた。
こちらも商人舎「知識商人の輪」に、
リンクさせてもらっている。

森川さんからのメール。

「結城さま

ボクは、スチュー・レオナードのほうですね」

あなたは、
スチュー・レオナード派か、
イータリー派か。

私が講義の際、
参加者に投げかけた言葉に対する森川さんの答え。

スチュー・レオナードの「Our Policy」。

Rule1 The Customer is Always Right!
原則1 顧客はいつも正しい。
Rule2 If the Customer is Ever Wrong, Reread Rule1.
原則2 たとえ、顧客が間違っていると思っても、原則1を読み返せ。

一方、イータリーの「Our Policy」。
1 The customer is not always right
顧客はいつも正しいわけではない。
2 Eataly is not always right
イータリーもいつも正しいわけではない。
3 Through our differences, we create harmony
顧客とイータリーの差異が調和を創り出す。

森川さんはスチュー派。

「久しぶりに結城さんの講演を聞かせて頂き、
元気をもらいましたよぉ~!
お声を掛けることができなくて、
申し訳ありませんでした。

『売る』店作り・商品でなく、
『売れる』店作り・商品を目指していかなければと思っておりますが、
やっぱ結城さんの言う、人間力経営が、
日に日に重要度を上げてきていますね。

ちょっと気になったことを言ってもいいですか?

人間力経営のところなんですが、
『心の力』を3番目に持って行ってはどうでしょうか?
能力があって、努力があって、
頭の力と技の力が高得点であっても、
キチンとした姿勢をお客様からお墨付きをもらえなければ、、、

と書きながら、まずは心がなければ、と思い悩んでますけど、、、

それと、『武装』という表現もちょっとだけ気になるかなぁ~

結城さんのご活躍とご健康を祈ってます」

私はすぐに答えた。

「森川さん

会いたかったです。
声かけてほしかった。

スチュー派。
いいですね。

王道です。

心の力。
やはり一番だと思います。

東日本大震災で、店も家も、
全部流されてしまった気仙沼の、
熊谷電気㈱の熊谷光良さん。

『建物も商品もみんな流されてしまいました。
しかしお陰様で、家族も社員も全員無事でした。
多くのものをなくしたけれど、
商売で大切なものはひとつも失っていない』

やはり心の力は、一番初めに必要だと思います。

頭の力、技の力は、
テクノクラートやスペシャリストを雇用したり、
パートナーになってもらったり、
場合によっては他力を活用できます。

理念武装、理論武装、技術武装。
『武装』は森川さんの言う通りかもしれません。

これはびっくりドンキー社長だった故庄司昭夫さんの概念です。

それが偶然にも私の心の力、頭の力、技の力と一緒だったので、
ずっと使っています。

庄司さんは、
商業界で理念武装し、
ペガサスクラブで理論武装し、
ペリカンクラブで技術武装した、
そう語っていました。

成長志向の経営者ならば、
『武装』と言ってもいいかもしれません。

御助言ありがとうござます」

私は「人間力経営」は、
三つの力によって成り立っていると考える。
1.心の力<理念武装>
2.頭の力<理論武装>
3.技の力<技術武装>

そして「人間力経営」とは、
三つの力の「掛け算の積」である。

森川さんの指摘は、
心の力を3番目にもって来てはどうか、とういうもの。
それと「武装」という言葉のニュアンスについて。

私の解は、メールの通り。

しかしこういった対話や対論が、
とても必要なこと。

森川さんに感謝したい。

さて講演の後は、
折兼の伊藤進康会長と伊藤社長、
そして午後の講演を担当する岩田松雄さんと、
昼食をご一緒した。
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岩田松雄さんはスターバックスジャパンの元CEO。
現在は、リーダーシップ コンサルティング代表で、
執筆、講演で大活躍中。

岩田さんもほぼ毎日更新のブロガー。
「岩田松雄’s Official Message Blog」

来年1月9日に東北シジシーの新春講演会でもご一緒する。
今から、楽しみだ。

そして今回の「白熱教室」を担当してくれたのが、
秋田豊晴さん。
㈱折兼営業企画グループマネジャー。
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秋田さんは、今秋の商人舎USA視察研修会specialコースに、
参加してくれた。

お世話になりました。

ミッドランドスクエア正面に飾られたクリスマスツリー。
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最近、クリスマスツリーとのツーショットが多いような気がするが、
それでも力いっぱい講演して、
自分で講演しながら、元気と勇気が湧いてきた。

心から感謝。

<結城義晴>

2012年11月21日(水曜日)

「小さく、狭く、濃く、深く」と「セブンプレミアムMALT」のポピュリズム

今日は朝一番で、名古屋へ。

富士が美しい。
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雲の上に、浮き上がるような姿。
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まったく不思議な感覚になる。
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大きく、広く、高く、雄々しく。

今日の名古屋行は、
㈱折兼主催の「白熱教室」の講演が目的。
詳細は明日報告するが、
ここでは、ご清聴を感謝しておきたい。

富士を見ていて、思い出した。
㈱商業界発行の月刊『販売革新』。
「チェーンストアの経営専門誌」
その巻頭言「Editor’s Voice」。

今はもう、なくなってしまったが、
創刊以来、定評のあるコラムだった。

2001年10月号「Editor’s Voice」は、
当時取締役編集統括で編集長兼務の私が書いた。

そのタイトルは、
「小さく、狭く、濃く、深く。」

アメリカ・ブッシュ政権下で、
同時多発ハイジャックテロ。
日本の小泉首相のもとでは、
株価1万円割れとマイカル1兆7400億円の破綻。

世界恐慌には至らぬまでも、
世界同時不況の観はある。
このグローバルエコノミーを立て直す切り札が、
軍需景気と石油高騰では、悲しすぎる。

あちらを立てれば、こちらが立たず。
こちらを立てれば、あちらが立たず。
皿回し芸人と揶揄していた自分たちまでが、
揃いもそろって素人皿回し。

あちらを立てて、こちらも立てる。
こちらを立てて、あちらも立てる。
それにはネイバーフッドマーケティング。
それにはマス・カスタマイゼーション。

前者はネイバーフッド[近隣]という、
小さく狭いコミュニティを対象とする。
それは決して、従来の小商圏主義ではない。
小さく、狭いマーケットを揺り動かす経済行為は、
濃く、深く展開されねばならない。

後者はカスタマイズ[特注]という、
小さく狭いニーズ・ウォンツに対応する。
それがマス[固まり]に仕組み化されていく。
小さく、狭いカスタマイズが、
濃く、深くマスになっていく。

小さく、狭く、濃く、深く。
重厚長大を凌駕する。
小さく、狭く、濃く、深く。
軽薄短小を圧倒する。

ほんとうに懐かしい。

この「小さく、狭く、濃く、深く」のスローガンを、
2002年の商業界ゼミナールのメインテーマにした。
私は㈱商業界専務取締役だった。

その後、2007年8月に商業界社長を退任し、
2008年2月1日、㈱商人舎設立。
このとき私は、新しい会社によって、
「小さく、狭く、濃く、深く」の機能を、
果たしていきたいと書いた。

今また、このコンセプトの貴重さを認識しつつ、
商人舎最高顧問・杉山昭次郎先生の単行本制作に勤しむ。
タイトルは『マス・カスタマイゼ―ション』。

来春、発売予定。
㈱商人舎初の単行本の発刊です。

さて、今日の日経新聞経済コラム『大機小機』。
私の大好きなコラムニスト渾沌氏が断じる。
タイトルは「市場迎合のポピュリズム」。

「安倍晋三・自民党総裁の
金融政策での突出した発言が際立つ」
いま、円高を誘発している例の発言。
「インフレ目標を設定し
目標達成まで無制限の金融緩和を続ける、
マイナス金利もあり得る」

コラムニストは言う。
「政府と日銀がデフレ脱却で協力することに異論はない。
しかし、金融政策の中身に踏み込んで
中央銀行の独立性を侵す政治家の発言は自制を欠き、
市場の反応への自画自賛にも違和感を覚える」

「金融政策はデフレ脱却の決め手にならず、
自民党は財政出動を主張している。
すると、日銀批判に同調する安倍発言は、
自国通貨の信用の毀損を通じて
円安誘導を意図している
ように思える」

ここが需要なポイント。

「通貨戦争の現実は厳しくても、
経常収支が黒字基調の世界最大の債権国の経済政策は、
構造改革と内需振興による不均衡の是正が基本になる」

構造改革と内需振興。
それによる不均衡の是正。

内需振興の場面では、もちろん、
小売りサービス業が活躍せねばならない。

「金融危機後の世界は政治主導の時代に移行し、
政治は正当な民意の反映と大衆迎合のポピュリズムの間で揺れている」

今回の総選挙の特異性は、
まさしくこの「揺れ」が表面化している点だ。

そして「大衆迎合のポピュリズム」が横行している。

「経済のグローバル化、市場化、金融化の反省期の現在は
市場迎合のポピュリズムにも警戒が必要だ」

同感。

「政治家の発言は
歴史の検証に堪えるものでなければならない」

このコメントは、
安倍晋三はもとより、
野田佳彦、そして石原慎太郎、橋下徹、
全てに向けられている。

ところで、昨日のニュースで、
見落としてはならないことが一つ。
各紙が取り上げたが、
日経新聞の記事が一番詳しい。

「セブンプレミアム 100%MALT」
セブン&アイ・ホールディングスのプライベートブランド。

サッポロビールが製造する缶ビール。
11月27日発売。
350ミリリットルで198円、
500ミリリットルで258円。

メーカー品より約1割安い。
味は辛口仕上げ。

国内メーカーのPB受諾は初めてのこと。
サッポロも決断した。

初年度目標売上高は72万ケースで51億円。
1ケースは大瓶20本換算というところが酒類業界の古さを示しているが、
72万ケースはアサヒビール・スーパードライに次いで二番手になる。

セブン‐イレブン店頭では、12月商戦で、
このサッポロのPB以外にも、
キリンビール、アサヒビール、サントリー、
それぞれと取り組んだ独自商品が出そろう。

セブン&アイの年間ビール類売上高は約1200億円。
この売上げは小売業界最大。
もちろん単体最大小売企業のセブン‐イレブンが、
セブン&アイのビール類の75%を占める。

そのセブン‐イレブンのビール類売上げ、
PBと独自商品の割合は現在9%弱。

「今後、数年で15%に伸ばす」と記事にあるが、
これは確実だろう。

12月商戦に入ったら、
セブン‐イレブンのビール売り場のゴールデンラインに注目。
ズラリ、そんな商品が並ぶ。

しかし私は思う。
イオンも必ず、
このセブン&アイへの対抗策を、
打ち出してくるに違いない。

11月の終わりまでに、
イオンのインパクトある政策が発表されるだろう。
これは私の「当たらぬも八卦」。

しかし、プライベートブランドが、
ナショナルブランドを超えてしまう現象。

国家の経済政策違って、商売では、
「大衆に受けるポピュリズム」は、
必須なのだ。

<結城義晴>

2012年11月20日(火曜日)

ウェグマンズのデプス・アソートメントと東京オイリオ会講演の年末対策

11月17日の毎日新聞一面コラム『余禄』。

「スーパーで
6種類のジャムと24種類のジャムの売り場を作り、
売れ行きを調べた」

「訪れた客の割合は、
4対6で種類の多い売り場の方が人気があった。
だが客のうち実際に買った人の割合は6種類の方が30%、
24種類の方はわずか3%だった」

どうやって人気を調べたのかは、
このコラムからは分からないが、
「人間は選択肢が多すぎると決定できない」

小売業の人々にとっては、いわば常識。
「絞り込みの効用」

もうひとつ。
「チョコレートを並べた同様の実験で
客にチョコを一つ選んで試食してもらい、
味に点数をつけさせる」

「種類の少ない売り場の平均点数の方が、
多い売り場を大きく上回った」

「選択肢が多すぎると自分の選択に自信がもてず、
その満足度も低くなる」

友野典男著『行動経済学』(光文社新書)から、
「選択のパラドックス」と呼ばれる現象。

ここでいう「種類」とは、
品種、あるいは品目だろう。

専門的に言えば、
品揃えには「広さと深さ」がある。
そのなかから戦略を選ぶ。
Narrow and deep。

私がつくった言葉でいえば、
「小さく、狭く、濃く、深く」
これは私の専売特許。

この品揃えをつくることを、
「デプス・アソートメント」という。
英語でDepth Assortment。

アメリカのウェグマンズは、
同じ品目のなかに、
クラブパックを多用する。
つまり大容量商品。

通常の容量の商品と大容量商品とで、
ひとつの品目のなかに単品を増やす。
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写真は両サイドがオーガニック・グレープ・トマト。
左が大容量3ドル99セント、
右が小容量2個で5ドル、
つまり1個2ドル50セント。

こんな売り方が至る所で展開される。

そして大容量のクラブパックを集めてコーナーづくりする。
名づけて「クラブパック・セクション」。
20121120172018.jpg

精肉では大々的にクラブパック展開。
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これもデプス・アソートメントの成果。

ウェグマンズは、
2011年度年商61億9900万ドル。
1ドル100円で換算すると6199億円。
その伸び率は前年比10.7%。
店舗数80店。

1店平均年商77億4875万円は、
こうして創り出される。

品目は英語でItem、
単品はStock Keeping Unit、
略してSKU。

鈴木哲男さんは定義する。
品目Itemは、
「顧客が識別できる商品の最小分類」
単品SKUは、
「これ以上分割できない商品の最小管理単位」
この定義、とてもいい。

顧客が識別できる最小分類を、
さらに分割して管理単位として提案する。

顧客側から見ると、
アイテムがわかればいい。
そのアイテムの中から、
自分の好きな容量のSKUを選ぶ。

店側はSKU管理して、
顧客の利便性を創出する。

ウェグマンズは小容量と大容量、
あるいは通常容量とクラブパック大容量。

さまざまな顧客が、
便利な方を選んで買ってくれる。

面倒だけれど、顧客には極めて便利。
そして大容量を集めれば、
ウォルマートやコストコに負けないコーナーが出来上がる。

つまり全部ウェグマンズで揃う。

これを「コンプリートストア」という。
完璧な店。

関西スーパーが考え出した「2・3の原則」。
例えば「鮭の2切れ入りと3切れ入り」を品揃えする。

そうすると二人家族は2切れ入りを、
三人家族は3切れ入りを買う。
これは便利だ。

四人家族は2切れ入りを2パック、
五人家族は2切れ入りと3切れ入りを、
六人家族は3切れ入りを2パック。
このようにすべての家族構成に対応できる。

ただし単身者世帯には、これは通用しないので、
そんな人が多い商圏の店やコンビニなどでは、
1切れ入りを売る。

アメリカではコストコやサムズ・クラブが、
ほとんどの地区に出店している。
だからアメリカ人は大容量の購買に慣れていて、
それを上手に消費しつくすし、使いこなす。

だからウェグマンズは、
クラブパック大容量と通常容量を、
青果、精肉などほとんどの部門でつくり、
デプス・アソートメントしている。

品揃えの深さが、
ウェグマンズの特長なのだ。

さて毎日新聞のコラムは、
ジャムとチョコレートの「選択のパラドックス」を、
衆議院総選挙の政党乱立に当てはめる。

なんと14政党。

「政党の組み合わせ次第では
ジャムを買おうとしたら
チョコを売りつけられることになりかねない」
品種が多すぎて混乱している売場のようだ。

デプス・アソートメントならば、
その心配はない。

さて昨日、午後に東京・台場へ。

ゆりかもめから見る東京湾は、
薄日が差す程度のあいにくの曇り空。
この秋一番の冷え込み。
12月中旬並みだった。
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それでも、台場の景色はなかなかのもの。
海面に高層ビルが反射している。
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私は、15時30分から、
日清オイリオグループ㈱の政策発表会での講演。
「東京オイリオ会」。
10月18日に大阪で、
西日本地区対象に講演したが、
今回は東日本地区向け。

会場は、グランパシフィック LE DAIBA。
クリスマスツリーが出迎えてくれた。
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到着してすぐに、
代表取締役専務の芋川文男さんと懇談。
来年の主力商品の展示コーナーの前でツーショット。
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講演会場には、
総合スーパー、スーパーマーケットの商品部が参集。
その数、150名ほど。
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テーマは、「2013への商品と価格の行方」
「コモディティ化と価格透明化現象が招くもの」が副題。

初めは日本流通業の5つのTide of Time。
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東日本大震災の影響、
消費税税導入論議と価格意識の問題、
M&Aの新たなうねり、
小型店舗開発とノンストアリテイリング、
食品分野の多業態間競争激化。
そんなテーマをダイジェスト。

そして、米欧のチェーンストア動向。
数表とスライドを見せながら解説。
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さらに商品問題の持論を展開。
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コモディティ&ノンコモディティの現象、
プライベートブランドの最新動向。
10月にアメリカで発見した最新情報も提供。

これは今、どこにも出ていない内容。

全体として、年末から来年に向けて、
商品戦略のカギを握る重要な考え方を語った。

90分間のご清聴を感謝。

講演後には、社内報のために再び、
芋川さんと記念撮影。
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そして、急ぎ、タクシーで池袋へ。
立教大学大学院のサービスマーケティングの授業。
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初めにレポートや論文を書くための、
「結城義晴の文章法」を伝授。
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その後は、履修生個々の「私のクレド」の発表。

それぞれに熟考したクレド。
丁寧なパワーポイントで、
ユニークなクレドをつくり、
プレゼンしてくれた。

本当に面白い授業だった。

寒い一日だったが、
充実感にあふれていた。

心から感謝したくなった。

<結城義晴>

2012年11月19日(月曜日)

日本の「勤労感謝の日」をアメリカの「ブラック・フライデー」にしよう!

Everybody! Good Monday!
[2012vol47]

2012年第47週。
あと5週

11月第4週。

アメリカでは今週の木曜日が、
感謝祭、Thanksgiving Day。

通常はThanksgivingと略して使われる。

Turkey Dayと呼んだりする。
つまり七面鳥の日。

その由来は、1621年、
イギリスからアメリカに移住した人々の、
最初の収穫を祈念する日。

それをアブラハム・リンカーンが、
南北戦争終結後、復活させた。
第16代アメリカ合衆国大統領。

南北戦争の対立から、
国内の融和を図り、
国家としての団結を取り戻すために、
連邦休日と定めた。

つまり感謝祭は、
極めてアメリカ的な、
アメリカ固有の祝日ということになる。

ほとんどの州は、第4金曜日を祝日扱いとして、
4連休のDay After Thanksgivingとする。

感謝祭の前日の水曜日からの5 連休とする州もあれば、
ニューヨーク州のように感謝祭当日のみを祭日とする場合もある。

しかし感謝祭前日の水曜日と、
感謝祭休日最後の日曜日は、
高速道路をはじめとして空港、鉄道などの交通機関が、
1年で最も混雑・渋滞をきたす。

日本のお正月がアメリカの感謝祭と考えると、
いくぶんかぴたりとくる。

この感謝祭はクリスマス商戦の前哨戦。
したがって、第4金曜日から特別セールが展開される。

この日を「ブラック・フライデー」と呼ぶ。
小売業の店舗が「黒字になる金曜日」

そして感謝祭連休の翌日は、
週明けの月曜日にオフィスのインターネットを使って、
クリスマス・プレゼントを購入する人が圧倒的に多い。
そこでこの日を「サイバー・マンデー」と呼ぶ。

サンクスギビングからクリスマスまでの1カ月間。
日常的な商品を扱う業種業態以外は、
年間売上高の5割がこの1カ月に集中する。

ショッピングセンターに入っているファッション・服飾店、
宝石貴金属店などなど、この1カ月が書き入れ時。

ちなみに感謝祭の朝、
大統領がTurkey Pardonという行事を行う。
今年はバラク・オバマ大統領。
二羽の七面鳥を屠殺される運命から恩赦する。
感謝をこめて。

このアメリカの感謝祭にあたるのが、
日本では「勤労感謝の日」。
まったく偶然にも今年の11月23日は、
「アメリカのブラック・フライデ―」に重なる。

日本の「勤労感謝の日」は、
新嘗祭(にいなめさい、しんじょうさい)の日に由来する。

農業国家日本には、
神々に五穀の収穫を祝う風習があった。
それが新嘗祭で飛鳥時代・皇極天皇のときに始まった。

それが第二次大戦中まで続いた。
GHQは占領政策として、
天皇行事・国事行為を切り離し、
その代りに「勤労感謝の日」が定められた。

趣旨は、
「勤労をたつとび、生産を祝い、
国民たがいに感謝しあう」こと。

私は小売り・サービス業の人々にとって、
「勤労に感謝する日」に勤労するのだから、
とりわけて大事な日だと思っている。

そしてこの日が、
アメリカの「ブラック・フライデー」に重なる。

日本でも年末商戦はクリスマスからスタートする。
クリスマス商戦が年末年始の前哨戦と言われたり、
年末年始商戦は一年の集大成と位置付けられたりする。

それはそれで正しい。

しかし勤労感謝の日の三連休にはもう、
年末年始商戦に突入している。

そして「この1カ月が1年の半分を占める」というほどに、
ここに集中すべきであると思う。

それが偶然にも今年、
アメリカと重なった。

勤労感謝の日を
ブランク・マンデーにしよう。

それが私の提案。

その勤労感謝の日、
今週の金曜日。

目いっぱい盛り上げたい。

早仕掛け・早仕舞い・際の勝負。
今年の大潮流。

心して取り組みたい。

顧客の心境。
松茸の値札試しに覗きけり

〈日経俳壇 亀山・岡田良子〉

松茸の値札。
覗きつつ気になるものだ。

バッテラのうまい秋なる大阪よ
〈同 豊橋・河合清〉

バッテラの旨い季節。
日本の冬も、いい。

さて今週の私のスケジュール

月曜日はいつものように立教。
サービス・マーケティングの講義。
各自がつくってきたクレドの発表。
これ、ほんとうにおもしろい。

夕方は日清オイリオグループでの講演。
東日本のお取引先向けの政策発表会。
「2013年への商品と価格の行方」をテーマに、
コモディティ化と価格透明化現象について語る。

明日は終日エキスパート研修会。
水曜は名古屋のミッドランドホール。
フードぐるむ公開合セミナー
白熱教室で講演。
折兼が主催。
テーマは、「お客様のために一番大切なこと」
内容は、ロイヤルカスターマーづくりのすすめ。
午前10時から。

午後は、岩田松雄さんが講演。
スターバックス元CEO

現在、リーダシップコンサルティング代表。

250名の参加があるという。
中部エリアの皆さんに会うのが楽しみだ。

木曜22日は、終日、
横浜商人舎で原稿執筆。
久しぶりに、オフィスでの仕事になる。

23日金曜は「勤労感謝の日」の祝日。
そして週末は、立教大学大学院でのゼミ指導。

あわただしさのなかで、秋が過ぎ、
初冬を迎える。

11月の商人舎標語。
朝に希望、昼に努力、夕に感謝。
「勤労感謝の日」がある11月、
いつもと変わらぬ感謝を。
いつも以上の感謝を。

では、みなさん。
Good Monday! 

<結城義晴>

2012年11月18日(日曜日)

ジジとお父さんのゴルフ行[日曜版2012vol47]

ジジです。
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ずいぶん秋がふかまってきて、
トーキョーに木枯し一号がふきました。
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それでも、きょうは、
いい天気。

ユウキヨシハルのおとうさん、
朝早く、でかけました。
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これです。
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でも、ほんとうに、
ひさしぶり。
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ずっとずっと、シゴトばかり。

朝日がのぼる。
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なんだか、からだが、
ムズムズしてくるみてたいです。
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ゴルフにいく日は。

ヨコハマ・ベイブリッジ。
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ヨコハマからチバまで。
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みなとみらいとミナトがみえる。
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アクアラインをはしって、
つきました。
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立野クラシック。

空がすんでいる。
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空気をいっぱいに、
すいこんで。
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ずっと、あるいて。
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おとうさんにとって、
とてもいいこと。
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風がつよくて、
雲はうつろう。
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ずっと、空をみている。
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木々もかわってきた。
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イチョウは葉をおとす。
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うつくしい。
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葉がおちた木。
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冬じたく。
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ゴルフコースも、
日々、かわっている。
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冬の花サザンカ。
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赤いサザンカ。
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白いサザンカ。
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空をみて、雲をかんじて、
木々や花をたのしんで、
もちろん、プレーにもうちこんで。
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おとうさんは、
リフレッシュしました。

すぐに夕方。
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もう、すぐにかえってきます。
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トーキョー・ベイに日がしずむ。
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アクアラインの海ほたる。
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ちょっとジュータイ。
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ちかづいてきた。
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でもそれもクリアして。
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もうすぐ、かえってきます。

ベイブリッジに夕日がはえる。
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もうすぐでしょうか。
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かえってきたかな?
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おかえりなさい。
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おつかれさま。
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ところで、
スコアは?

「・・・・・・」

<『ジジの気分』(未刊)より>

2012年11月17日(土曜日)

「人間」の如き会社の「信用」とアマゾン・キンドル「ショールーミング」

10月から11月初旬にかけて、
23日間アメリカにいた。

帰国してから今度は、
第2回商人舎ミドルマネジメント研修会。
ご参加に心より、感謝したい。

上田惇生先生をはじめ、
鈴木哲男講師、
高野保男講師、
白部和孝講師、
そして結城義晴。

鈴木さん、高野さん、白部さんは、
もちろん私を含めて、
それぞれ互いによく知り、
互いに信頼が深い。

社会的にも信用され、
互いに信用し合っている。

だから全体の論理にブレがない。

自分で言うのもなんだが、
素晴らしい研修会だったと思う。

さて、『ほぼ日刊イトイ新聞』。
糸井重里さんが書く巻頭言「今日のダーリン」。

今日は「信用」について考察する。

信用されることは、
とてもよいことだと思うのだけれど、
「信用されよう」としちゃぁいけな
い。

実に、糸井さんらしい切り出し。

つまり、自然にあなたが(わたしが)やっていることが、
人に信用されているということなのだから、
「信用されよう」としてやっていることは、
ただの、「中身のないカタチ」になっちゃうからだよね。

「信用されよう」としてきたことが積み重なって、
信用されるしかないというくらいまでに
信用が貯ったら、信用されてもいいのかもしれない
‥‥のだけれど、かっこよくはないなぁ

糸井さんは「かっこよくない」と表現する。
私は「美しくない」と思う。

「信用されよう」としてじゃなくて、
「たがいに気分よくいたい」くらいの気持ちで、
当たり前のようにやっていたことが、
あんまり好感度の得点を上げられなかったとしても、
そっちのほうが、美しいような気がする。

やはり「かっこいい」と「美しい」は同じ意味だった。

たぶん、人間は、無意識でそういうことを思ってて、
「信用されよう」としている人の集めた「信用」と、
「信用されよう」としてない人の得ている「信用」とを、
なんかちがうんだよなぁ、と嗅ぎ分けているのだろう

鋭いなぁ、糸井さん。

企業とか組織っていうのは、
「機械」というか「道具」だから、
「信用」だとか「かっこよさ」だとかについて、
意識的、戦略的に増やそうとする。


「機械」なんだから、これも自然なことだよな。

ピーター・ドラッカーは、
その組織や企業や産業を徹底的に突き詰め、
「美しいか、美しくないか」というレベルに至った。

なのに、それでも、
「信用されよう」と目的にするんじゃなく、
「信用」されている企業だってあるように思
う。

「店の暖簾」だとか「会社の信用」だとか、
本物は、結果として「信用」されている。
糸井重里、こんな結論に到達する。

「機械」じゃなく、それより
不完全な「人間」に似せた
会社なんじゃないだろうか

人間はみな、不完全。
機会のような「完全」な存在ではない。

しかしかっこいいし、美しい人がいる。

「不完全な人間」のような会社、
人間のような「組織」。
それが美しくて、かっこいい。

ながらく美しくあれば、
それが自然な「信用」となり、
「暖簾」となる。

不完全でも、
人間らしい美しさ。
それが店や会社に、
にじみ出てくる。

ここで岡田徹詩集より。

小さな店であることを
恥じることはないよ。
その小さなあなたのお店に、
人の心の美しさを
いっぱいに満たそうよ。

岡田先生、ありがとう。

さて日経新聞一面の記事。
「アマゾンのキンドル、
ヤマダなど販売見送り」

ヤマダ電機とエディオン、ヨドバシカ メラの3社。
アマゾン・ドット・コムの携帯端末「キンドル」シリーズを販売しない。

アマゾンは来週月曜日の19日から、
日本国内でまず電子書籍端末「キンドル・ペーパーホワイト」を売り出し、
12月には小型タブレット「キンドル・ファイア」を発売する。
さらに高精細液晶搭載の「キンドル・ファイアHD」が続く。

「キンドルペーパーホワイト」が8480円と1万2980円。
「キンドル・ファイア」は1万2800円、
「キンドル・ファイアHD」は1万5800円。

破格の値段。

「キンドル・ペーパーホワイト」は、
Wi-Fiでネット接続する機種が8480円。
NTTドコモの3G携帯電話回線も使える機種が1万2980円。

3Gの通信料金はアマゾンが負担。
利用者は無料でアマゾンの電子書店「キンドルストア」に接続、
もちろん購入には金がかかる。
電子書籍は約5万冊。

キンドル・ファイアとファイアHDは、
電子書籍の他、音楽やゲームの購入、
もちろんインターネット接続は可能。
楽曲数は2000万曲。

アマゾンCEOのジェフ・ベゾスの発言。

「日本語を美しく表示できるよう特別なフォントを開発した。
世界最高の端末とサービスを用意した」

「ショールーミング」と呼ばれる現象がある。
リアル店舗が「ショールーム」化してしまうこと。

実際の店舗で見て触って、
ネットで買う。

土地を手当てし、
建物を建て、
什器・備品を準備し、
人を配置して、
商品を販売する。

それが有店舗。

対して無店舗販売は、
ネット上で見せて、
ネット上で決済し、
しかも安い。

唯一の弱点は、
顧客が商品に触れられないこと。

その商品との接触をリアル店舗でやって、
購買はバーチャル店舗。

これでは有店舗販売はたまったものではない。

そのうえネット王者のアマゾンが、
プライベートブランドを開発し始めた。

そしてキンドルそのものが、
アマゾンの通販サイトなどへの顧客流入につなげる機能。
だからリアル側は、それを販売しない。

日本では、ビックカメラ、ケーズホールディングス、
上新電機などが販売。

アメリカでは、
ウォルマートが初めは売っていたが、
販売中止。

リアルで販売していても、
最終的にはアマゾンで購入する人が多い。

はてさてこのヤマダ、エディオン、ヨドバシカメラの政策、
さらにアマゾン・ドット・コムの戦略。

かっこいいのはどっちか、
美しいのはどっちか。

アマゾンの方が、頭はいいし、
かっこいい。

リアルの側には、
リアルとネットの融合で、
ネット・オンリーを打ち破るアイデアが求められる。

週末。

自分くらいは、
美しくありたい。

<結城義晴>

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