結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2016年09月20日(火曜日)

広島カープ「41期連続黒字」の地方ローカルチェーン経営

台風16号。
和歌山県田辺市付近に上陸。
最大風速25m。

そして今夜遅く、
関東の南へ達する見通し。

この台風が来たからではないが、
今週木曜日出発のアメリカ出張は、
残念ながら延期決定。

目的地はニューヨーク・マンハッタン。
㈱ロピアのアメリカ研修会。

17日、そのマンハッタン中心部で、
「意図的な爆発テロ」が起こり、
29人が負傷した。

それ以外にも、
対岸のニュージャージーなどで、
同じような爆発が起こり、
容疑者が拘束された。

事件はいまだ、
解決されてはいない。
ニューヨークへの研修が、
延期されても致し方ない。

残念なお知らせをもう一つ。

商人舎恒例の秋のUSA研修会も、
今回は開催しないことになった。

予定を入れてくださっていた企業には、
たいへん申し訳ないことをした。

来年は開催するつもり。
お知らせして、お詫びしたい。

それでも私自身は、
10月に二つの視察研修、
11月にも二組の研修を、
アメリカ現地で行う。

毎年、400人以上の知識商人を、
アメリカで指導・教育する。

月刊商人舎9月号
特集タイトルは、
The US Retail Industry 2016
2016年アメリカ小売業テキスト

その表紙のカバーメッセージに書いた。

Walmart has stopped!
1962年の創業以来、
初めて年商が前年を割った。
ただし2016年1月末決算の
年間売上高は4821億ドルで、
48兆円。
もうおそらく今後、
こんな怪物のような小売業は
生まれてくることはないだろう。
しかしそれでも明らかに
時代が変わったのだ。

そのウォルマートはアマゾンと、
熾烈な闘いを繰り広げる。
リアルとバーチャルの過激な競争だ。

一方、ホールフーズは、
ディスカウントフォーマットに挑戦。
「365 by Whole Foods Market」
時代の変容は明らかだ。

そんな2016年の秋、
米国チェーンストアの変質を知るには、
「賢者は歴史に学ぶ」の姿勢を持ち、
理論武装すること。
そのうえで自分の目で見、
自分の耳で聞く。
五感で感じ取る。現場で体験する。
真の探究者だけが、真理に触れて、
生き残ることを許されるのである。
アメリカ小売産業に、
その真理のエネルギーは、
充満している。
〈結城義晴〉

アメリカ小売業には、
この真理のエネルギーが、
脈々と流れている。

さて、プロ野球セ・リーグ。
横浜ベイスターズ。
ペナントレースの3位以内を決めた。

これでクライマックスシリーズに、
進出できる。

おめでとう。

セパ12球団で最後に、
クライマックスシリーズに進出。

監督は就任1年目、
アレックス・ラミレス。

ベネズエラ出身のメジャーリーガー。
クリーブランド・インディアンズから、
ピッツバーグ・パイレーツ。
2000年に来日して、
ヤクルト・スワローズ所属。
2008年、読売ジャイアンツ、
2011年、横浜ベイスターズと移籍し、
2013年に引退。

その2013年に2000本安打を達成し、
日本プロ野球名球会に入会。

今年、べイスターズ監督に就任し、
年間を通して「信頼と忍耐」の采配で、
横浜としては「見事」に3位。

ラミレスの「信頼と忍耐」は、
前任の中畑清には学ばせたいし、
同じ新人監督の高橋由伸、金本知憲にも。

アレックス・ラミレス41歳、
ジャイアンツの高橋由伸41歳、
タイガース金本知憲48歳。

ちなみにセ・リーグの6名の監督は、
全員が40代の若さ。

ペナントレース25年ぶりの優勝は、
広島東洋カープ。
監督は緒方孝市、47歳。

その広島カープは、
「41年連続黒字経営」

YOMIURI ONLINEに、
公認会計士の福留聡さんが書く。

株式会社広島東洋カープ。
昨2015年12月期決算で、
41年連続最終損益の黒字を達成。

理由の第1は、
そのインディペンデンス性。
カープは日本野球機構所属の12球団で、
唯一、親会社を有しない球団。

1949年設立のカープは、
原爆被害からの復興の象徴であった。
当初から親会社を持たず、
地域に根ざした「市民球団」

草創期には財政難に直面し、
市民は「樽募金」などで経営を支えた。
これは球場入口に大きな樽を置いて、
寄付を集めるという方法。

そのカープの現在の株主構成。
自動車製造業マツダ創業の松田家が、
筆頭株主で42.7%。
二番目はそのマツダが32.7%、
カープ関係会社のカルピオが18.5%。
これはグッズ販売などを手掛ける会社。

上場株式会社マツダにとっては、
財務、営業、事業の方針の決定に
影響を与えることができる関連会社。
ただし、カープを支配はしていない。

だからマツダは、赤字の補填など、
経営に関与できない。
つまり親会社ではない。

市民球団で、なおかつ、
頼るべき親会社が存在しない。
だから「黒字経営」は、
カープにとって必須の使命である。

41年連続黒字経営の第2の理由は、
その財務体質。

最新決算の貸借対照表では、
総資産83億円、負債総額33億円、
純資産50億円。
したがって純資産比率60.2%。

2004年以降、純資産比率は、
ずっと43~60%で推移。
財務基盤が健全な優良企業だ。

第3は旧広島市民球場の刷新。
球団にとって球場は、
小売業・サービス業の店舗である。

2009年に広島市が主体となって、
マツダスタジアムが建設された。
ここには米大リーグのアイデアが、
ふんだんに取り入れられ、生かされた。

マツダスタジアムは、
内・外野ともに天然芝が敷かれている。
天然芝はクッション性に富む。
選手の体への負担が減り、
ダイナミックなプレーが展開される。

収容人員は3万3000人だが、
客席は旧球場よりひと回り大きい。
スタンドのこう配は緩やかで、
ゆったりと試合観戦ができる。

客席の種類も多彩だ。
プレーを間近で味わえる「砂かぶり席」
食事を楽しみつつ観戦できる「テーブル席」
それから「パーティーフロア」
横になって観戦できる「寝ソベリア」
「コンコース」は試合を見ながら、
球場を周回できる。

観戦環境を整えたことで、
ターゲットが広がった。
「カープ女子」と呼ばれる女性客は、
この新たなファン。

観客動員数は、
新スタジアム移転の2009年に、
187万人で球団史上最多。
2003年の94万6000人の約2倍。

2009年から13年まで、
150万~160万で推移し、
カープ女子が脚光を浴びた14年に190万人、
翌15年は緒方監督就任で200万人。
今年もすでに200万人を突破。

つまり客数増を果たした。

それにつれて売上高は、
09年に初めて100億円を超え、
15年には148億円。

成功した総合スーパーのような規模。

第4は売上高増の努力。

入場料収入は、
15年に54億円で、
旧球場時の27億円の2倍増。

観客動員数増加のために、
カープは生え抜きスター選手を、
発掘、育成して地元の人気を高める。
首都圏・関西圏からの観戦ツアーをする。
ファンサービスの充実ももちろん図る。

グッズ収入は08年の10億円弱から、
15年は35億円に急増。

例えば、チームがサヨナラ勝ちをすると、
数日後には「サヨナラヒットTシャツ」が、
期間限定で発売される。

試合で商品に結びつく出来事があれば、
ただちに商品化する。

選手オリジナル弁当を発売し、
それを定期的に入れ替える。

そして第5に収益性。
最終損益は07年まで、
1億円に届かなかった。
しかし08年に2億円を超え、
14年に5億円、15年には7億円。

大幅な売上増とともに、
厳密な経費コントロール。

選手の年俸総額は、
売上高の16~20%の間で、
コントロールされている。

売上高が150億円になれば、
選手年俸総額は20%で約30億円。

これで黒田博樹投手は、
チーム最高年俸4億円プラス出来高で、
大リーグから復帰することができた。

プロ野球球団でこんな経費率経営を、
実行する会社はない。

経営としては当たり前の定石だが、
小売業やサービス業でも、
売上至上主義に陥ったり、
逆に利益至上主義に埋没したり、
バランスが悪いこと甚だしい。

広島東洋カープの優勝は、
だからこそ日本の産業界にとっても、
意義のあることだ。

もちろんラミレスの「信頼と忍耐」も。

さてさて台風16号が関東に近づく今日、
午後から東京・日暮里。

夕方までプロジェクトチームの会議。
チェーンストア3.0を考察します。

その後、大雨の中を銀座へ。
鹿児島華蓮銀座店。
DSCN9764-6
鹿児島県経済連の直営店。
3年前の2013年3月15日オープン。

目的は鹿児島県産の農畜産物の普及。
鹿児島黒牛・鹿児島黒豚・黒さつま鶏、
さらに鹿児島の旬の野菜や焼酎が売り物。

入り口には、
「ギュージンガー・ブラック」
DSCN9767-6

ブルーチップの、
トップ、幹部の皆さんと、
恒例の情報交換懇談会。
DSCN9760-6
私の右が社長の宮本洋一さん。
左は松井康彦さん、
後ろは左から中野茂さん、金田正勝さん、
鍋島丈夫さん、そして大島一太さん。

中野さんは肩書が多い。
取締役 第一営業統括部長
兼第一開発本部部長、
兼とくし丸事業部長。

とくし丸事業は、
もう全国に180車になって、
「200店の動くチェーンストア」も目前。

金田さんは、
ビーコミュニケーションズグループ㈱
取締役財務部長。

鍋島さんは営業企画本部本部長で、
大島さんは、第二営業統括部の
統括部長代理・開発担当部長。

松井さんはもちろん、
商人舎エグゼクティブプロデューサー。

ブルーチップは、
全国のローカルチェーンを支援する。
そのローカルチェーンの経営は、
読売ジャイアンツではないし、
阪神タイガースでもない。

広島カープの経営こそ、
地方企業のモデルとなる。

広島東洋カープは、
その新フォーマットたる、
マツダスタジアムができてから、
著しい経営改善ができた。

まさにローカルチェーンだ。

そしてローカルチェーンが、
優良企業とならねば、
小売業界、サービス業界も、
おもしろくない。

それは常勝球団ではない、
広島カープの優勝が、
本当によく示している。

〈結城義晴〉

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