結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2021年03月31日(水曜日)

ニトリ34期連続増収増益決算説明会の「主要経営指標19勝3敗」

三月、去る。
もう三月、最後の日。
早かった。

二月、逃げる、
一月、往ぬる。

今年は、とりわけ早く感じる。
今月は1都3県の緊急事態宣言が、
7日の日曜日で終わるはずだったが、
それがぎりぎりになって21日まで延期。

そして21日に解除されると、
皮肉なことに、
徐々に新規感染者数が増えた。

今日は大阪府が599人。
東京都の414人を抜いている。

兵庫県が211人で、
宮城県が200人。

全国合計が2843人。

尾身茂新型コロナ対策分科会会長。
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「新型コロナは、
人々の行動が感染動向を左右する」

「社会全体の感染防止への意識が
低下していないか判断しながら
アクセルとブレーキを踏む必要がある」

何よりも大事なのは、
「社会全体の感染防止意識」

この、ぼわんとした、
社会全体の意識を、
繊細に、丹念に、
読み取らねばならない。

これはマーケティングそのものだ。
マーケティングはたとえば、
社内の顔色を窺っていては間違う。
顧客とマーケットの意識をつかまねばいけない。

新型コロナウィルス感染第四波は、
新株の感染拡大とともに始まっている。

今日は横浜商人舎オフィス。
そして夕方、東京・溜池へ。

右が高速道路の高架。
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左は桜並木。
もう葉桜だ。
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そして最新のホテル。
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決算説明会の立て看板。
㈱ニトリホールディングス。
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ANAインターコンチネンタル東京。
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地下1階の大宴会場を全部使って説明会。
アナリストとジャーナリストが参集。

私も久しぶりに顔を出した。

冒頭で白井俊之社長兼COOが、
簡潔に全体報告をした。
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2021年2月期決算。
34期連続増収増益。

世界レベルで見ると、
かつてのウォルグリーンの記録と並んで、
世界第2位。

ちなみに世界第1位は、
2013年度までのウォルマートだ。

似鳥昭雄会長兼CEOが誇らしげに語った。

売上高は7169億円で、
前年比111.6%。
営業利益は1376億円で128.1%。
経常利益は1387億円で126.4%。
当期純利益は921億円で129.0%。

店舗数は国内651店、海外71店。
合計すれば722店で、前期比111店増。

素晴らしい。

粗利益率は57.4%、
営業利益率は19.2%、
経常利益率は19.3%。
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ニトリは「製造物流IT小売業」を標榜する。
そして目標は、
2022年・1000店舗・1兆円。
2032年・3000店舗・売上高3兆円。

アナリストからもジャーナリストからも、
㈱島忠のM&Aに質問が集中した。

島忠の立て直しに関しては、
似鳥さん自身が言い切った。
「始めたばかりだから、
細かいことは言えないが、
自信はある」
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「石の上にも三年、
風雪五年、苦節十年」

似鳥節炸裂。

似鳥昭雄さんは、
社会全体の意識を読み取る能力が、
ずば抜けている。

ニトリホールディングスは、
21項目の主要経営効率を、
目標に対して達成すれば勝、
未達成ならば負と評価して報告する。

そしてこの年度は、
19勝3敗だった。

申し分ない。

私が関心があったのは、
3つの負の指標についてだ。

ニトリの実績。
「総資本回転率は0.94、
商品回転率は5.5、
従業員1人当り売場面積は35.6坪」

目標とする指標は、
総資本回転率が2回以上、
商品回転率が9回以上、
1人当たり面積は60坪。

これは故渥美俊一先生が掲げた、
理想的に高い目標だ。

私の質問。
「日本固有の事情もあるでしょうが、
2032年段階の3兆円のとき、
この3つの指標はどうなるとお考えでしょうか」

似鳥さんも、
私の考えと同じだと理解した。

必ずしもすべての指標を、
達成する必要はない。

総資本回転率2回以上は、ほしい。
すべての企業が、
その方向で経営努力してほしい。

商品回転率もノンフードビジネスならば、
5回を超えていればいい。
9回というのは食品などを均した指標だ。

1人当たり面積の60坪は、
いかんともしがたい高い指標だ。

アメリカをモデルにした目標指標は、
そのままでは日本の環境とは合わない。

それでも日本にとってアメリカが、
立派なモデルであることは変わりない。

久しぶりに似鳥節を直接、聞いた。
大いに感謝しつつ、満足した。

〈結城義晴〉

2021年03月30日(火曜日)

厚労省官僚23人宴会のJSTとドラッカーのマネジメント

12月期決算企業の定時株主総会。
今日の3月30日にピークを迎えた。

株主総会の日が集中する理由。

決算期末から3カ月以内に、
総会を開催する会社が多い。

上場企業の株主総会では、
議決権を行使することができる株主を、
特定しなければならない。

そのために、
一定の日を「基準日」として定める。
その基準日の時点の株主を、
議決権行使ができる株主とする。

会社法第124条では、
この基準日の効力が及ぶ範囲を、
3カ月以内に開催した株主総会に限っている。

多くの会社はこの基準日を、
事業年度末日としている。
そして定款で、総会の開催日を、
3カ月以内と定めている。

法人税の確定申告書の提出期限もある。

さらに招集通知の発送などの事務手続きもある。
なかなか大変だ。

そこで多くの会社で、
可能な期限を最大限利用したいと考えて、
3カ月ギリギリの日に集中する。

もちろん、一斉に株主総会が開催されると、
総会屋が出席しにくいという理由もある。

三菱UFJ信託銀行の調査では、
今年3月開催の総会510社のうち、
会場とオンラインとを併用する企業は74社。
全体の15%を占める。

コロナ禍の影響だ。

今日は朝から東京・小平。
第一屋製パン㈱本社。
小平工場が併設されているが、
敷地内は桜が満開だ。IMG_23621

毎年、この桜の下で、
社員・従業員は花見をする。IMG_23661

素晴らしい桜。
しかし昨年も今年も、
新型コロナウィルス感染拡大で、
その花見会は中止。

しかし下から見ているだけで、
桜は満喫できる。
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今日は定時株主総会。

旧商法では233条で、
株主総会の開催場所を、
定款に定めがある場所を除いて、
本店所在地、またはこれに隣接する場所で、
招集するよう決められていた。

しかし現行の会社法では、
株主総会招集地の制限規定は撤廃された。

オンラインを採用しても、
会場は設けなければならない。

第一屋製パンは旧商法のままで、
本社に会場を設けて総会を開く。

ウイルス感染防止を徹底しつつ、
オンラインも併用する。

私はこの本社での開催は、
第一パンらしくて、
とてもいいと思っている。

それが会社のポジショニングでもある。
株主もよく理解していて、
発言したい人はわざわざやって来てくれる。
そして温かい励ましや提案をしてくれる。

いい株主。
その期待に応えねばならない。
甘えてはいけない。

それが上場企業の責任である。

さて、厚生労働省にまた事件。

東洋経済オンラインには、
詳しく書かれている。
厚労省官僚
「銀座で0時頃まで23人宴会」のあぜん

老人保健課の職員23人が3月24日夜、
東京・銀座の飲食店で送別会を開いた。
夜11時まで営業している店を探して予約。

マスクもせず、大声で宴会を続けた。
十数人が深夜0時前まで残った。

老健局の老人保健課長は、
大臣官房付に異動させられ、
事実上の更迭。

参加した課長補佐ら14人に訓告、
主査ら5人は注意・指導の処分。

事務次官は厳重注意、
老健局長は訓告。
田村憲久厚労相は、
大臣給与2カ月分を自主返納。

国家公務員法82条。
公務員の懲戒処分は4種類。
免職、停職、減給、戒告。
さらに法律の定めがない2種類。
訓告と厳重注意。

免職は、
公務員の職を失わせる処分で、
いわゆるクビ。
停職は、
一定期間その職務に従事させない処分、
期間中は無給。
減給は、
文字通り俸給の支給額を減ずる処分。
戒告は、
本人の将来を戒める旨の申し渡しをする処分。

訓告は戒告より軽い申し渡し、
厳重注意はさらに軽い申し渡しの処分。
注意・指導はさらにさらに軽い処分。

政府はお詫びをしているけれど、
それで終わるものではない。

しかし私はマネジメントの基本に、
問題があるのではないかと見ている。

行政には「人事院式監督者研修」がある。
「Jinjiin Supervisory Training」。
JSTと略される。

三つのコースがある。
基本コース、専科コース、
そして応用実践コース。

基本コースは「初任監督者に、
仕事の進め方や部下の管理・監督の
基本を修得させる研修」。

基本コースには三つの柱がある。
マネジメントの基本、
リーダーシップ、
コミュニケーション。

この三つの内容のタイトルだけ見ると、
問題はないように見える。

しかしこの「マネジメントの基本」に、
大問題がある。

会社の教育も同じだ。
項目やタイトルだけで判断してはいけない。

JSTは戦後のGHQが準備した、
カリキュラムをベースにしている。
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そしてそのGHQのマネジメントは、
アンリ・ファヨールの理論をもとにしていた。
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1950年当時の欧米の主流理論だったからだ。

しかしピーター・ドラッカーや、
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ヘンリー・ミンツバーグは、
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そしてハーバート・サイモンは、
ファヨールをはっきりと否定している。

この内容は、
商人舎ミドルマネジメント研修会で、
じっくりと講義する。

厚生労働省の公務員たちも、
例外なくこのJST研修を受けてきた。

すごい数の公務員たちが全員、
この基礎コースの教育を受けてきた。

中には自分で考える公僕もいただろう。
ドラッカーやミンツバーグを、
自ら学んだ役人も多いに違いない。

それが日本の希望だ。

しかし厚労省の23人は、
この宴会のときには、
ドラッカーやミンツバーグを忘れていた。

X理論の懲戒処分に、
あまり効力がないことは、
この事件が証明した。

ドラッカーはY理論も賛成はしていない。
そのあたりも、
ミドルマネジメント研修会で明らかにする。

23人宴会の事件は、
マネジメント教育の基本の重要性を、
あらためて考えさせてくれた。

〈結城義晴〉

2021年03月29日(月曜日)

永守重信日本電産会長の「目標をもつこと・掲げること」

Everybody! Good Monday!
[2021vol⑬]

2021年第13週。
そして3月第5週の最終週。
今週木曜日から4月。

一月、往ぬる。
二月、逃げる。
三月、去る。

今年の3カ月は早かった。
コロナは時間を早める!

今年は4月・5月・6月も、
あっという間に過ぎていく気がする。

今週は各社ともに新入社員が入ってくる。
例年ならば一同に集めて入社式を行うけれど、
昨年はコロナ禍で、
オンラインに変えて開催した会社が多い。

今年はどうするのだろう。

セブン&アイ・ホールディングスは、
ニュースリリースで発表しているが、
グループ19社に748 名が入社する。
昨年度は999 名だった。

今年は全体での合同入社式は開催せず、
事業会社ごとにオンラインなどで行う。

イオン㈱では、
イオン琉球㈱が4月1日午前10時から、
沖縄県産業支援センターで行う。
本年度は新卒社員34名、正社員登用者7名、
合計41名が入社式に参集する。

4月の終わりには、
ゴールデンウィークがやってくる。

入社して1カ月足らずで、
年間三大商戦に突入する。

若い人たちの力が、
このコロナ禍の「キャズム」を、
乗り越えさせてくれる。

今年の商人舎標語は、
「若返れ!」
時代と時代の節目のとき。
「断絶」を乗り切る武器は若い力である。
若さによってしか「時代の溝」は凌げない。
だから組織は若返るべきだ。

まず商人一人ひとりが自分を若返らせる。
さらにその商人の集団を若返らせる。
すると組織が若返る、会社が若返る。
産業全体が若返る。
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その意味でも新入社員の存在は大事だ。

さて、日経新聞「月曜経済観測」
永守重信日本電産㈱会長が、
インタビューに答える。
「コロナに負けぬ成長産業」
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聞き手は、西條都夫編集委員。

「私は過去50年間、
企業経営の一線にたってきたが、
今ほど変化の激しい時代を知らない」

それを結城は「キャズム」と名づけた。
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「いい変化も悪い変化もあるが、
とにかく変化のカーブが急で、
先が見通せない」

だから若い力が必要だ。

「こんな時代には経営トップの判断力や
変化への対応力が問われる。
会議ばかり開いて意思決定の遅い企業は
時代についていけないだろう」

走りながら、考えよ。
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これからの大きなトレンド。
「世界規模で進む”脱炭素”だ」

小売業、流通業も、
CO2対策は必須である。

「ドローンやロボットも伸びる」

「今はエンジンに頼る航空機も
バッテリーとモーターで飛ぶ日が
いずれ来るはずだ」
このあたりは少し我田引水。

「私は出張が激減し、
海外拠点との意思疎通は
すべてビデオ会議になった」

つまり、
コミュニケーションが変わる。
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「今後問われるのは、

個人の実力と実績だ」
若くても、力と志があれば、
登用される。

「人事システムを抜本的に変えて、
実力があれば20代でも
部長に登用できる仕組みを整えた」

永守さんは、
「2030年売上高10兆円」を掲げる。

2021年3月期の予測では、
売上高1兆5500億円、前年比1.0%増、
営業利益1550億円、40.5%増、
純利益1200億円、99.7%増。

9年で6.45倍。

実績も凄いけれど、目標はもっと凄い。

76歳のトップは、
自らを若返らせる。

目標をもつこと、
目標を掲げること。
それが若返りの秘訣だ。

多分、9年後の2030年、
85歳まで頑張るのだろう。

見習いたい。

では、みなさん、
今週も、「キャズム」のなかで、
走りながら考えよ。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2021年03月28日(日曜日)

寝て起て大欠して桜哉(小林一茶)の一日

家を出て、小さな坂を登る。
そこに咲く桜。
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満開だ。

桜の木の下に、
桜の花に包まれるように立つ。

散った桜散る桜散らぬ桜哉
〈正岡子規〉
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小林一茶には桜の句が実に多い。

ちる桜けふもむちやくちやくらしけり
〈文化三年〉

桜の季節は心が落ち着かない。
宗左近(そうさこん)は一茶を読み解く。
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「あわただしい季節の移り変わりのなかに、
置かれるからでしょうか。
何か出鱈目なことを仕出かさなければ、
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来年はなきものゝやうに桜哉

この咲っぷりが桜だ。
来年のことなど考えずに、
今年に咲き乱れる。IMG_23581
古き日を忘るゝなとや桜咲

旧い昔を忘れるなと、
桜は説教する。
桜を見るたびに説教される。

昨夜は10時間寝た。
今朝8時半に起きて、
だらだらと過ごして、
ブランチをいただき、
また寝た。

このところハードワークが続いた。
とりわけ単行本を仕上げるという、
プレッシャーがずっしりと全身を覆っていた。

それをやり遂げたら、
ちょうど春眠暁を覚えずの季節。

しかしCOVID-19感染拡大は、
第四波を予感させる。

世の中は
地獄の上の花見哉

〈文化九年〉

花見はいいけれど、
今、宴会はいけません。
地獄の上の花見となってしまう。

けふは花見まじ
未来がおそろしき
〈文政一年〉

江戸の時代にも、
仏典には「未来永劫」の言葉があった。
現代の私たちの「未来」とは異なる。
それを一茶の感性がとらえた。

仏様の救いの届かない「無」の「地獄」。
そういう未来を心の片隅に置きながら、
一茶の日々はつづく。

だから今日は、
桜を見るのをやめよう。
目が開かれて、
未来が見えてしまう。

だらだらとした私の一日。
商売に励んでいる人たちには申し訳ない。

おそれながら申上まする桜哉
〈発句鈔追加〉
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寝て起(おき)て大欠(おおあくび)して桜哉

今日だけは、
未来を見るのをやめましょう。

〈結城義晴〉

2021年03月27日(土曜日)

埼玉県蕨市の店舗クリニックと規模拡大の「成長と膨張」

埼玉県の蕨市と戸田市。
東京都との境目。

店舗クリニックした。

その理由は、
ビバモール蕨錦町がオープンしたから。IMG_23471
核店舗はスーパービバホーム蕨錦町店。
そしてヤオコー蕨錦町店。

鈴木國朗さんとご一緒。
一瞬だけマスクを取って。IMG_23421

スマイル。
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朝の8時から夕方6時ごろまで、
10店舗を巡った。

アメリカでもヨーロッパでも、
アジアでも日本でも、
結城義晴のやり方。

時にはじっくりと1日中、
その店に腰を据えて調査することもある。

これは故森龍雄先生の方法論。

アメリカのウォルマートなど、
1日中、1店舗に張り付いて、
隅から隅まで調査する。

その結果が一冊の本になった。
森龍雄著『ウォルマートの成長戦略』
商業界刊のいい本だった。
編集担当は故高橋栄松さんだった。
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私は1978年の春先に、
関西スーパーで1週間研修を受けた。

それは開店から閉店まで、
店をウォッチングすることでもあった。

さらにロサンゼルスのラルフでは、
24時間ウォッチングをやった。
1985年だったか。

しかし最近の米国研修などでは、
通常、1日10店ほどを訪れる。
業態やフォーマットを理解するためだ。

今日もヤオコーは3店。
それからライフコーポレーション、
マルエツ、サミット、オーケー、
そして西友と東武ストア。

この蕨市は日本で一番面積が狭い市だ。
そのかわり単位当たりの人口密度は、
日本の市町村で最も高い。

そこで激戦が展開されている。

ヤオコーが新店をオープン。
競争はどう変わるか。

「埼玉蕨の陣」
月刊商人舎4月号でお届けしよう。

クリニックの途中、ここに寄った。
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㈱日本流通未来教育センター。??????????
2002年10月設立。

㈱マルエツと㈱ライフコーポレーションが、
共同でつくった教育機関だ。

ライフ会長の清水信次さんと、
当時のマルエツ社長の吉野平八郎さん。

お二人が意気投合してつくったのが、
他社にも公開する教育・訓練の場。

生鮮食品の加工技術の実務訓練、
店長・バイヤーなど中堅幹部教育、
新入従業員向けの基礎教育など。

私も一度、ここで講義する依頼を受けた。
実現しなかったけれど。

かつてこの地はマルエツの本部だったか。
私の勘違いかもしれないが。

マルエツの前身は、
高橋悦造の魚悦商店。
浦和市の魚屋として創業。

その後、1965年に、
スーパーマーケット1号店開店。
1970年、丸悦ストアーに名称を変えて、
1974年、マルエツに商号変更すると同時に、
多分、本社をここに移してきた。

その後、1977年2月、
東京証券取引所市場第2部に上場。

日本の食品スーパーマーケットで初の上場。
高橋八太郎さんが社長だった。

1978年には、
千葉県の㈱プリマートを経営統合。
首都圏で100店を超える店舗を展開して、
日本最大だった。

その後、1981年には、
神奈川の㈱サンコーと合併。
サンコーがダイエー傘下だったから、
存続会社はマルエツになったけれど、
実質的にダイエー傘下に入った。

この時点で、1都3県に145店を展開。

その後、ダイエーがイオンの子会社となり、
マルエツもイオングループの企業として、
ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスの一員となった。

懐かしい。??????????
私が㈱商業界に入って、
販売革新編集部に配属された1977年、
首都圏の代表的なスーパーマーケットは、
マルエツ、いなげや、
そしてサミットストアだった。
あとは北関東のカスミストアととりせん。

ヤオコーもベルクもエコスも、
まだ規模は小さかった。

マルエツは群を抜いて、
店数が多かった。

考えてみると現在も、
ユナイテッドは520店。

店舗数は日本最大のスーパーマーケットだ。

故田島義博学習院大学院長。
流通理論の権威であった。

その著『成長と膨張』にある。
「規模拡大は、
成長によってももたらされるが、
膨張によってももたらされる」

「外見的には同じような規模拡大も、
成長と膨張では、全く意味が違う」

マルエツの規模拡大が、
膨張であったとは言わないが、
常に店舗数ナンバー1ではあった。

私はその歴史を見てきた。

田島先生は書いている。
「すべての規模拡大が、
規模経済を結果するとは限らない」

規模の不経済を生むこともある。

さらに恐ろしいことを書いている。

「企業が膨張ではなく、
本当の成長をしているとしても、
成長そのものが、
成長阻害要因を生むことによって
成長を制約するようになる」

マルエツがそれだとは言わないが、
第1に規模拡大には成長と膨張があって、
膨張であってはいけない。

第2に規模拡大は、
規模の経済を成果とするだけでなく、
規模の不経済を生むことがある。

第3に、きちんとした成長そのものが、
成長阻害要因を生んで、
成長を制約することがある。

不思議なことに、
ウォルマートにはそれがない。

今回の単行本にも、
このことは書いた。

現場のクリニックは、
様々なことを考えさせてくれる。

ありがたい。

〈結城義晴〉

2021年03月26日(金曜日)

マルト安島浩さんの聖火リレーと「学ぶ集団・学習する組織」

東京オリンピック。
昨日から聖火リレーが始まった。
スタートは福島県。

いわき市では、
㈱マルトの安島浩さんが、
栄えあるリレー走者となった。
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もちろんマルト代表取締役社長。163857226_2226117980856214_4626983424565889413_n
安島さんのメッセージ。
「いわき市が世界で一番、
住みやすい市であることを
アピールしたい」

「10年前の東日本大震災の時に
日本全国そして世界から
応援していただいたことに
感謝を申し上げたい」165144534_1778787928956676_4319444241944773783_n
いい走りでした。

横浜商人舎オフィスのそばの新田間川。
川べりの桜も見ごろ。IMG_22691

家のそばの夜桜も、
そろそろ見ごろ。IMG_22771

今年の桜は散るのが早い。
コロナが時間を早めている。IMG_22801
夜桜や人静まりて雨の音
〈正岡子規〉

さて、待望のお知らせ。
商人舎ミドルマネジメント研修会。
第17回を開催します。IMG_22701

今日、各社に発送しました。IMG_22731
昨年はCOVID-19の影響によって、
開催を中止しました。

しかし今年度は、
万全の感染防止対策を講じたうえで、
実施します。

第17回は6月8日(火)~10日(木)、
第18回は9月14日(火)~16日(木)。

いずれも2泊3日。

この研修会は、
オンラインではできません。
やりません。

直接の動機づけが必須だからです。
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商人舎のミドルマネジメント研修会は、
ドラッカーのマネジメントを基本にしています。
自ら考え、自ら行動できる、
次代のリーダーを育成します。

結城義晴の言葉で言えば、
智慧と知識をもち、
行動力の備わった「知識商人」です。

将来の幹部候補生を養成します。

その一人ひとりの商人としての人生を、
豊かで尊いものとします。

これまで1200名を超える知識商人を、
輩出してきました。

国内最高の講師陣が、
モノの見方、考え方、そして行動の仕方を、
丁寧に指導します。

研修中には2回の理解度テストを行い、
受講後には課題レポートを課します。
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これによって、
SABCDの5段階で理解度を評価して、
本人と派遣企業へご報告します。

今年は講師陣も結城義晴も、
いつにもまして燃えています。

ご派遣、ご参加を、ご検討ください。

学ぶ集団、学習する組織、
それを推進する人間を養成します。

ピーター・センゲは、
「学習する組織」を提案する。
著書は『学習する組織』、
そして『最強組織の法則』。
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センゲは書いている。
「本物のビジョンがあれば、
人々は学び、力を発揮する」

しかしそのビジョンが、
個人と組織とで、
共有されねばならない。

イオンのビジョンは、
平和産業、地域産業、人間産業。

セブン&アイ・ホールディングスの社是は、
「基本の徹底と変化への対応」。

ファーストリテイリングは、
「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」

そしてマルトの経営理念は、
幸せを創造する企業づくり
公正・公平・公明な企業づくり

社是は、
「商売とは
心からありがとうといってくださる
お客様という名の友人をつくること」

そして社訓は、
「私たちの進歩向上によって
会社の発展が得られ、
会社の発展によって
私たちの幸福が得られる」

安島さんが、
「いわきは、
日本で一番
住みやすい市であることを
アピール」するのは、
そのビジョンである。

東日本大震災の時に
日本全国や世界から応援されたことも、
そのビジョンに基づくものだ。

それに感謝することも、
マルトのビジョンである。

学ぶ集団、学習する組織、
それを推進する人間が、
求められる。

〈結城義晴〉

2021年03月25日(木曜日)

コロナ禍とテレワークの「animal spirits」と「若さ」

横浜の桜も八分咲き。
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駅までの通勤の道の桜。
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今日は東京駅へ。
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ちょっと雨模様もあって、
人出は少ない。
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東京都の新規感染者数は394人。IMG_22661

私は毎月、大手町プレイス内科で、
検査と診察をする。
だから東京駅を通過する。IMG_226312
この1カ月、単行本でハードワークした。
座って仕事することが多かった。
けれど検査の結果はすこぶるいい。

田嶼尚子先生にお褒めの言葉をいただいた。

さて日経新聞電子版。
「経営者ブログ」は、
㈱IIJ会長の鈴木幸一さん。
毎週火曜日に自分で書く。
鈴木幸一

鈴木さん、このところ心配している。
IIJは日本のインターネットの草分け。
いわゆるITの会社の先駆けだ。

技術開発、事業計画など、
様々な報告事項を、
会長に向けて社員が持ってくる。

「そのスケールが
小さくまとまってきたことに対する
危惧である」

IIJのカルチャーは、
「妄想と言われようと、取りあえずは、
膨らむだけ膨らませるような
リポートや提案だった」

「それが少なくなってしまったのである」

私は大企業病の兆候だと思う。

「社員間の会話が膨らんで、
まずは妄想ともいえるほどに
膨らみ過ぎた計画を潰すのが、
私の役割だった」

それが、
「もう少しふくらみがないと、
将来が見えないなあ」
などと言わねばならない。

現実的な案が増えている。

「飲み屋のばか話を勧めるわけではない」
と断ったうえで鈴木さんは述懐。

テレワークによって、
「ひとりでいる時間が長いと、
どうしても、刺激的ではあるが
難問ばかりといった案が生まれず、
確実にできそうな案に
なってしまうのではないか」

「今更の話だが、人というのは、
ひとたび、ある観念に寄りかかってしまうと、
そこから離れることができない」

「技術開発や事業開発の考えも、
すぐに一つの考え方や観念に支配されて、
そこに閉じ込められてしまうことが多い」

小売業で言えば、
商品開発やサービス開発である。
店舗開発やフォーマットの開発である。

「余計なようでも、
仲間や知人との会話という
キャッチボールから
飛躍が生まれることも事実なのだ」

「在宅勤務のメリットはメリットとして、
自らのうちに閉じこもらないようにしないと、
発展はない」

まったく、同感だ。

「在宅勤務」は、
大企業病に陥りやすいのか。

日経新聞経済コラム「大機小機」
コラムニストは一直さん。
「出でよ 熱気ある起業家」

日経の「私の履歴書」には今月、
島精機製作所の島正博会長。
子どものころから発明家で、
手袋編み機の全自動化で大成功を収めた。

私も毎日、読んでいる。

かつて島さんは、
編み機の全自動化を目標に、
仲間とともに会社を立ち上げた。

ところが編み機の半自動装置が売れ行き好調。
自身以外の出資者は、
「現在の半自動装置で十分だ」という意見。

島さんは彼らと袂(たもと)を分かった。

一方、アイリスオーヤマの大山健太郎さん。
「ロングセラーはだめ。
それに頼るようになります」

経営学でいう「金のなる木」。
つまり現在安定して
収益を稼いでいる部門に固執する。

経営環境が読みにくい状況では
保守的になりがちだ。

経済学者ケインズは80年前、
「将来の長期間を要するような、
積極的なことをしようとする
われわれの決意の大部分は、
血気の結果としてのみ行われる」

血気は原文では「animal spirits」。
ケインズは明言している。
「将来の利益の数学的期待値ではなく、
人間本来の楽観に基づく行動だ」

「血気が鈍り、自生的楽観がくじけると、
企業は衰え、死滅する」

コラムニスト。
「デジタル社会、脱炭素社会に向けて
世界の産業界は一斉に走り出している。
熱気にあふれる島さん、大山さんが
大勢出てくることを期待したい」

同感だ。

今年の商人舎標語。
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「若返れ!」

時代と時代の節目のとき。
「断絶」を乗り切る武器は若い力である。
若さによってしか「時代の溝」は凌げない。
だから組織は若返るべきだ。

若さが「キャズム」を乗り越える
早さの鍵を握る。
若さが「キャズム」を凌ぐ
柔らかさの源である。

若さが「キャズム」をバネにする
強さの礎である。
そして若さが、
企業の生命線である。

〈結城義晴〉

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