結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2021年03月19日(金曜日)

緊急事態宣言解除とオークショットの「合理性と知性」

単行本の最後の校正。

また一つの章をカットした。

編集者の二宮護さん。
「いいんですか?」

そのくらいドラスティックに変える。
最後まで粘って、
より良いものにする。

校正しながら本も見直す。
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20世紀に戻ったり、
2030年の先に行ったり、
ときには14世紀をうろついたり。
そして人類の全史を駆け巡ったり。

今回の本はそんなことをしながら書いている。

さて、パリは、
みたび外出制限。

新型コロナウイルス感染の第三波。
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厳密に言えば、パリをはじめ16地域。
仏北部と東部の一部。
パリはフランスの北に位置するが、
そのさらに北のノルマンディなどだろう。
20日午前0時から少なくとも4週間。

感染力が強い変異ウイルスが広がっている。
ジャン・カステックス首相。
「感染は急拡大している。
この感染第三波は、
英国型変異ウイルスが原因」

食料品店や薬店などを除いて、
原則的に商店は休業する。

スーパーマーケットとドラッグストア。
ライフラインはこの二つの業態である。
日本ならばこれに、
コンビニエンスストアが加わる。

散歩などで外に出る場合には、
制限時間は定められていない。

しかし距離に関しては、
自宅から半径10㎞の範囲のみ許可される。
時速60キロで走れば10分圏内。

ああ。

私なら横浜市港北区の妙蓮寺の自宅から、
西区北幸の商人舎オフィスまでも、
移動することはできない。

地域外に出るとしても、
必須の理由がなければ認められない。
外出理由を自己申告した紙などを、
携帯する必要がある。

夜間外出禁止令は仏全土で続く。
夜間と言っても午後6時からだったが、
それは午後7時からと緩められる。

フランスのワクチン接種は、
約570万人が少なくとも1回している。
今後は6月半ばまでに、
3000万人が摂取する計画だ。
これは18歳以上の約3分の2に当たる。

日本でも第四波を、
想定しておかねばならない。

最悪を覚悟して、
最善を尽くす。

これがリスクマネジメントだ。

しかしテレビで見ていると、
フランス人もマスクをしていない。

これではいけない。

日本では
1都3県の緊急事態が解除された。
これは日本全体に心理的影響を及ぼす。

しかし首都圏1都3県は、
宣言解除後も3月末まで、
飲食店への時短要請を続ける。

これじゃあ、緊急事態宣言の解除は、
「意味ないじゃん!」

そこで小池百合子東京都知事。
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時短要請に応じていない27店舗に対して、
特別措置法に基づく時短営業の「命令」を発出。
昨日の3月18日のこと。
効力の期限は21日まで。

全国初のこと。

命令を拒否すれば30万円以下の過料。
つまり罰則。

東京都の職員が繁華街を回ったりして、
時短要請に応じていない店を調査した。

そして飲食店やカラオケ店など129店に、
「要請」を出した。

そのうえで「命令」に踏み切った。
ある種の「見せしめ」。

ただし店名、企業名は公表していない。

「集客の助長や誹謗中傷につながる恐れがある」

一方、㈱グローバルダイニング。
長谷川耕造社長。
硬骨漢の経営者。
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「都内の26店舗が命令を受けた」と明言。
21日までは午後8時までの営業とする。

千葉県の森田健作知事。
「4月上旬までかと思ったが、
区切りをつけるのは難しい」
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神奈川県の黒岩祐治知事。
3月末まで全県を時短要請の対象とする。
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緊急事態宣言を先行解除した府県でも、
飲食店などの時短要請は続く。

大阪府の吉村洋文知事。
飲食店などへの営業時間短縮の要請を、
31日まで継続することを決めた。
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栃木県の福田富一知事。
無症状の人を対象に唾液によるPCR検査を実施。
繁華街や事業所、学校などに、
検査キットを配布。
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宣言解除が最も早かった栃木だが、
PCR検査を2月下旬にスタートした。
追加解除となった6府県でも、
3月から始めている。

政府の緊急事態宣言解除効果は、
逆説的に地方自治体の自主を促したか。

そこまで深く考えていたとしたら、
菅義偉首相も大したものだが、
そんなことはないだろう。
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政府と地方自治体、
ちぐはぐなのが気になる。

フランスの第三波のような第四派が、
来ないとも限らない。

マイケル・オークショット。
イギリスの政治哲学者。
保守主義の重鎮。
1901年~1990年。

先ほどの写真で掲げていたのが、
『政治における合理主義』という本だ。
その本のなかの「合理的行動」という一章。
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「”合理的”に行為するとは、
“知的”に行為することである」

「合理的」は、イコール、「知的」。

政府の解除と自治体の継続は、
その意思決定において合理的ではない。
つまり知的ではない。

この章の最後の一文は、
「人間活動は、それが
当該活動のイディオムにふさわしい
“知性”を示すときに、
“合理的”だと言うことができよう」

翻訳は大阪学院大学の玉木秀敏教授だが、
「イディオム」(idiom)に苦労したのか、
そのままカタカナ語にした。

「イディオム」は、
高校の英語の授業に出てきたか。
「慣用句」のことだ。

オークショットの一文を、
私なりに解釈すると、
「人間活動は、
その活動の自然の流れに沿った、
論理性を示すときに、
合理的だと言うことができよう」

緊急事態宣言解除が、
自然の流れに沿って、
論理的か否か。

それが合理性を示すことになる。

〈結城義晴〉

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