結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2021年09月25日(土曜日)

「ノーブル・パーパス」と関西スーパーの経営統合問題

今日は土曜日だが、
商人舎オフィスで執筆。

「ハーバードビジネスレビュー」
今月の特集は、
「ステークホルダー資本主義」IMG_69671
特集のサブタイトルは、
「パーパス主導の経営で
新たな未来をつくる」

特集のリード文。
「格差拡大や気候変動問題、
パンデミックなど、
世界が危機に直面するいま、
社会や地球環境の持続可能性に向けて、
企業は株主のみならず、
従業員、顧客、取引先、コミュニティなど、
すべてのステークホルダーを、
戦略の中心に据えなければならない」

「パーパス主導の経営こそが、
長期的な企業価値を実現し、
新たな未来をつくることにつながる」

商人舎もまったく同じ考えである。

パーパスは「崇高な目的」。
そして企業の中心に人を置き、
従業員一人ひとりが成長できる環境をつくる。

Harvard Business Reviewでは、
アメリカのベストバイの前CEOが語る。
ヒューバート・ジョリー。
ヒューバート・ジョリー
「企業の唯一最大の目的は
株主利益の最大化であるという、
ミルトン・フリードマンの
主張した考え方を捨て去り、
企業はすべてのステークホルダーに、
貢献すべきである」

ここで言うステークホルダーは、
株主だけでなく、
従業員、顧客、取引先、
そして地域コミュニティである。

「筆者は、40年ほどの自分の経験と、
その反省からも、
そう身にしみて感じている」

ピーター・ドラッカーの考え方そのものだ。

さて、商人舎流通スーパーニュース。
関西スーパーnews|
H2Oとオーケーからの経営統合案への見解発表

㈱関西スーパーマーケットが、
金曜日の9月24日(金)に見解を発表した。

8月31日付で、
H2Oリテイリングとの経営統合を表明した。
オーケーがそれに待ったをかけた。

経緯はこのブログでも、
月刊商人舎9月号「流通時評」でも、
丁寧に書いた。

第3株主のオーケーは6月上旬に、
関西スーパーに提案した。
株式公開買付け(TOB)を行って、
連結子会社化することを前提として、
資本業務提携をすることを。

しかし7月下旬には連結子会社化ではなく、
完全子会社化(非公開化)の提案に変更した。

関西スーパー取締役会は、
特別委員会を設置して検討した。

その結果、企業価値と株主利益の観点から、
H2Oとの経営統合を選択した。

これは初めて知ったが、
9月14日の労使協議会において、
労働組合からも賛同の表明を得ている。

労使ともにH2Oとの統合を望んでいる。

一方、オーケーは9月3日に、
関西スーパーの臨時株主総会で、
H2Oとの経営統合に反対票を投じ、
かつ1株当たり2250円でTOBすると表明。

球は関西スーパーに投げられていた。

それに対して関西スーパーが投げ返した。

あらためてH2Oとの経営統合を選択した理由を、
6つの観点から分析した。
kansaisuper_20210924
第1は「企業理念・経営方針」の観点。
H2Oとは親和性が高く、
オーケーとは相いれない。

第2は「これまでの提携実績」の観点。
H2Oとは2016年以降の提携関係の実績がある。
オーケーとはそれがない。

第3は「中長期におけるシナジー」の観点。
H2Oは関西圏で様々な小売業を展開している。
私の考えだが、阪急阪神のブランドもある。
それが将来のシナジー効果となる。
オーケーは首都圏のディスカウント業態で、
関西でのシナジー効果が見込めない。

第4は少数株主に対する見解。
H2Oとは株式上場を維持する。
オーケーの場合は非公開化される。
少数株主にはH2O案が望ましい。

そして第5は「経済的価値」の観点。
第三者算定機関2社に評価してもらった。
統合会社の理論株価は、
⑴2400~3018円
⑵1787~3128円

オーケーの1株2250円と比べると、
⑴は上回る。
⑵はどちらの場合もありうる。

そして第6は「取引の実現可能性」の観点。
H2O案は実現性が高く、
オーケー案は実現の保証がない。

株主はどう判断するか。

その臨時株主総会は、
10月29日に開催される予定。

「Harvard」が指摘するように、
株主だけでなく、
従業員、顧客、取引先、地域を、
忘れてはならない。

それを忘れてしまったら、
企業の価値は薄れていく。

売上げが伸びて、利益が上がれば、
もちろん企業価値は高まる。

しかし「株主利益の最大化」が、
「唯一最大の目的」では、
断じて、ない。

そのことを考えさせられる案件である。

会社の「ノーブル・パーパス」(崇高な目的)。

創業者の故北野祐次さんのことを、
私はいつも思い出す。

〈結城義晴〉

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