結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2022年02月02日(水曜日)

農林水産省のガイドラインと「価格凍結」の真実

2月2日。

明日は節分。
寒中も明日まで。
そして明後日は立春。

春は、
もうすこし、
もうちょっと、
あとわずか。

新型コロナオミクロン株。
今日の新規陽性判明者は、
全国で9万4930人。

1日10万人を超えるだろう。
たとえインフルエンザに近いものだとしても、
10万人ずつ新規陽性者が増えると、
10日で都合100万人の増加になる。

東京都は2万1576人。
新規陽性者が2万人を超えた。

大阪が1万1171人で1万人超え。
神奈川が7610人、愛知が6191人。

デルタ株などと比べることは、
さして意味はないかもしれないが、
疾患をもった人たちは感染したくないだろう。

マスク、手洗い、ディスタンス。

もうすこし、
もうちょっと、
あとわずか。

さて「値上げの季節」真っ最中。

日経新聞が連載を組んでいる。
「進む食品値上げ」

はじめに言っておくと、
便乗値上げだけは許されない。

イオンは「価格凍結宣言」をしている。
かつては中内功さんのダイエーが、
いつも先陣を切って断行した。
中内功
現在は、イオン。

昨2021年秋から食品約3000品目を、
価格凍結宣言した。
当初は年末までとしていたが、
年を越して今年3月末まで延長した。
イオン価格凍結宣言

21年9~11月の第3四半期、
食品トップバリュの売上高は、
主要品目で前年同期比14%増と好調だった。

日経の記事は、
好調だから価格凍結を継続すると書くが、
そうではない。

顧客がそれを求めているから、
好調なのだ。

だから商品担当の西峠泰男執行役は語る。
「消費者のニーズに
可能な限り寄り添いたい」

日経の記事は、
好調だから続けるとなっているが、
もちろんそれもあろうが、
顧客の要望に応えるのが、
小売業の使命だから、
価格凍結を継続しているのだ。

岡田卓也さんも伊藤雅俊さんも、
その順番が逆になったことはない。

それが逆になってしまうと、
会社はだんだん駄目になっていく。

記事は続ける。
「西友もPBの価格は
可能な限り現状を維持する考えだ」

そして大久保恒夫社長登場。
「”安くて品質も良い”というイメージは
絶対に崩せない」

PBをつくるのはメーカーだ。
小売業は「工場を持たないメーカー」だ。
これも中内さんの言葉である。

そのメーカーの見方も、
少しずつ変わってきた。

昨秋に自社製品の値上げを表明した、
ある大手食品メーカーの社長が明かす。
こういった時は匿名を希望する。
「PBの納入価格についても
小売りと交渉したが、
聞く耳を持ってもらえなかった」

「PBは安定的な販売量が見込めるだけに、
小売りの意向を尊重せざるを得ない」

メーカーはデュアルブランド戦略を採る。
つまり自社のナショナルブランドと、
小売業のプライベートレーベル。
両方つくる。

ナショナルブランドは、
売れるかどうかわからない。

しかし小売業のプライベートレーベルは、
小売業の意志で販売量を確保してくれる。
だから製造量も安定して、
工場の生産体制にも波がない。

それがメリットである。

その代わり安く提供する。

利幅は少ないが、量が出る。
それが製造業の経営を、
ある部分、安定させる。

それをしなくてもいいメーカーは、
ナショナルブランド一本で、
胸を張って事業をすればいい。

しかしコモディティ化現象が進むと、
そうもいかなくなる。

だからデュアルブランド戦略となる。

ところが記事は指摘する。
「メーカーと小売りの取引の
風向きは変わりつつある」

「政府の姿勢が背景にある」

今年1月中旬の全日本菓子協会の会合。
農林水産省の水野政義総括審議官の挨拶。
「ガイドラインを策定したので
活用してほしい」

そのガイドラインのイラスト。
nousui gaidorain1 ガイドラインⅱ

日経の記事。
「昨年末に策定したガイドラインは
独占禁止法などで問題視される取引事例を示し、
小売業者の無理な発注や
一方的な価格据え置き要請などの
是正を図る内容」

同省の吉松亨新事業・食品産業部企画グループ長。
「国際的な需給で原材料価格があがる中、
適正に価格転嫁が進まなければ
食品産業そのものが成り立たなくなる」

下請け取引に目を光らせる、
下請けGメンの体制も強化される。

そこで中堅の水産会社幹部。
「最近、値上げに関して
前向きに動いてもらえるようになってきた」

「メーカーが値上げした品目については、
納入価格引き上げを
受け入れる雰囲気が出始めた」

ただしガイドラインに強制力はない。
行政が競争にまで口出ししては、
経済活動のダイナミズムを奪ってしまう。

小売業サイドとしては、
「好調だから価格凍結」ではなくて、
あくまでも顧客の要望に応える考え方が、
底辺に流れていないと、
ガイドラインに沿うことにもならない。

同時に取引先にだけ、
値下げや価格凍結の負担を、
押し付けてはならない。

正当であるとともに、
合意がなければならない。

中内功のスピリットも、
失ってはならない。

そして最初に書いたように、
便乗値上げは断じて許されない。

〈結城義晴〉

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