結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2022年01月31日(月曜日)

「商業の現代化」の両利きと「両利きの経営」の「深化・探索」

Everybody! Good Monday!
[2022vol⑤]

2022年もはや第5週。
今週火曜日から2月に入る。

一月、往(い)ぬる。
二月、逃げる。
三月、去る。

毎年書いているが、
よくできた言い回しだ。

1月はいつも、
あっという間に往ってしまう。

今日はその1月最後の日。
㈱商人舎にとっては年度修めの日。

2008年2月1日に創業して、
まるまる14年が経過する。
発足の会
明日から15年目。

小売業ならば、
創業祭でもやるのだろうが、
商人舎は粛々と仕事をする。

2007年8月末に、
30年間働いた㈱商業界を辞して、
あと30年は現役で仕事をしようと決意した。

だから商人舎も、
私自身の手で30年は続ける。

計算すると2038年、
私が86歳のときまでとなる。

その折り返し点が、
明日から始まる15年目である。

この間、2011年には、
東日本大震災が起こった。

そして2020年からは、
新型コロナウイルスパンデミック。

前者は日本の、東側の地震と津波の災害。
後者は世界中を巻き込んだ感染症の流行。

商業界は2020年4月に自己破産した。
商人舎の役割も重くなる。

商業界の倉本長治の思想を受け継ぎ、
それをさらに発展させる。
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商業界は「流通近代化」を果たした。
商人舎はその「現代化」を目指す。

テーマの壮大さに比べると、
まだまだ私たちの力は及ばない。

商業の近代化は、
何かに追いかけられるように、
誰かから急かされるように、
必死の思いで推進された。

しかし現代化は、
自らの意志で楽しんだり、
面白がったりしながら、
成し遂げるものだと思う。

近代化の次に現代化がある。
だから近代化を否定することは間違いだ。
歴史はそのことを物語っている。

しかし近代化への対応の方法が、
そのまま現代化に通用するわけではない。
この点を間違って捉えていることが多い。

現代化は近代化以上に混迷する。
デジタルトランスフォーメーションも進む。
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産業全体が一斉に同じ方向を向いて、
突進するわけにはいかない。
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だからこそ自らの意志が重要になる。

そして現代化はすでに進んでいる。
このCOVID-19パンデミックが、
それを早めたのだと思う。
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明日からの折り返し点に対して、
心を新たにして、
あくまで謙虚な姿勢で臨みたい。

さて、日経新聞の今日の「社説」。
タイトルは、
「企業は”両利きの経営”で
新事業の創出を」

「経営の世界でいま最も
注目されているコンセプトの一つが
“両利きの経営”だ」

企業の活動には2軸がある。
第1は、
「コストダウンなどで既存事業の競争力に
磨きをかける”深掘り”」

第2は、
「新たな事業機会を発掘・育成する”探索”」

社説子がキーワードにした「両利きの経営」は、
2019年2月、東洋経済新報社刊。
両利きの経営
チャールズ・A・オライリーと、
マイケル・L・タッシュマンの共著で、
翻訳者は入山章栄、冨山和彦、渡部典子。

同書の翻訳では、
「知の探索」と「知の深化」という言葉を使う。

社説がなぜ、
「深化」を「深掘り」としたのかはわからない。

知の深化は、
「自身・自社の持つ一定分野の知を
継続して深掘りし、磨き込んでいく行為」

知の探索は、
「自身・自社の既存の認知の範囲を超えて、
遠くに認知を広げていこうとする行為」

社説。
「例えば自動車会社にとっては
従来のエンジン車の原価低減や性能向上が
“深掘り”であり、
電気自動車など新技術の開発や
ライドシェアのような
新たな事業モデルへの挑戦が
“探索”」
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「この2軸をバランスよくこなすことが
持続的な発展には欠かせない」

ゴーイングコンサーンのためには、
むしろ当たり前のことだ。

「ただ2軸の両立は、
口で言うほど簡単ではない」

「組織には慣性があり、
過去からの継続である、
手慣れた”深掘り”活動には
熱心に取り組むが、
結果が出るかどうか判然とせず、
手探りで進める”探索”は
先細りになりがちだ」

「それを乗り越えるには、
探索活動を粘り強く続けるための
経営上の仕掛けが欠かせない」

「仕掛け」と言うよりも、
トップマネジメントの意志だと、
私は思うけれど。

社説はその3つの仕掛けを提案する。
⑴何より重要なのは、
経営トップの強力な関与だ。

私の言うことと一緒。
しかしトップの関与は仕掛けではない。

⑵既存事業との利益相反や
文化の衝突を避けるために、
探索のための別組織を設けるのも一案だ。

新規事業は、別動隊で展開し、
組織は分ける。
これも定石だ。

直近ではヤオコーが、
フーコットを別組織にした。

⑶技術や市場の変化の予兆を
素早く感知することも重要だ。

これは「知の探索」そのもの。

「両利きの経営」は、
『コロナは時間を早める』の第四章とも、
ちょっとだけ同期する。
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トレードオフから、
トレードオンへ。
これも二兎を追え、である。
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明日、入山章栄教授と会うから、
時間があればそのあたりも確認しよう。

両利きは、大谷翔平の二刀流にも通じる。

商業の近代化は右利きだったが、
現代化は両利きである。

では、みなさん、今週も、
心新たに、そして謙虚に。
Good Monday!

〈結城義晴〉

2022年01月30日(日曜日)

ガツガツもなく/ギラギラもなく/ギラッがある。

一月、往ぬる。

あと2日で2月。
昨年の1月は緊急事態宣言下にあった。
今年はまん延防止等重点措置が適用されている。

それでも昨年よりも、
ちょっとだけ明るい兆しが見える。

ほぼ日の糸井重里さん。
毎日書くエッセイ「今日のダーリン」
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「ずいぶんと年上の方々に会って、
まじめな話にかぎらず、
いろんなことを話してもらえるのは、
ほんとにたのしいし、ありがたい」

私も。

「ぼくの干支で一回り上に
横尾忠則さんがいる」

糸井さんは1948年生まれの子年。

「同じ年に操上和美さんがいて、
和田誠さんもそうだった。
和田さんは、先に逝かれて残念だけれど、
横尾さんも、操上さんも
いい感じの現役のままだ」

みんな1936年生まれの86歳。

島田陽介先生も同じ年。
島田陽介

石原靖曠先生は一つ上。
石原先生

「ガツガツしてはいないし、
ギラギラもしてないのだけれど、
ギラッとはしている」

わかる。

月刊商人舎1月号を読んでいただければ、
島田陽介のギラッが出ている。
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流通コンサルタントではあるが、
ガツガツしていない。
ギラギラもしていない。

それでもギラッとしている。

石原先生も2019年12月号では、
島田先生とは全く違うけれど、
ギラッとしていた。
2019年12月号
まったくガツガツがないし、
ギラギラもない。

最近の若手コンサルタントにも、
見習ってほしいところだ。

故倉本長治先生は、
83歳で亡くなったけれど、
誰よりもギラッとしていた。
もちろんガツガツ、ギラギラはなし。
倉本長治像
経営者では、
セブン&アイの鈴木敏文さんは、
1932年生まれの89歳。

旧菱食の廣田正さんは、
1933年生まれの88歳。

アークスの横山清さんが、
1935年生まれの86歳。
石原先生と同年だ。

安土敏ことサミットの荒井伸也さんは、
1937年生まれの84歳。

とりせんの前原章宏さんも1937年生まれ。

日本水産の垣添直哉さんは、
1938年生まれで83歳。

エコスの平富郎さんは、
1939年1月22日生まれで83歳。

年上の人と会うのは、
うれしいし、ありがたい。

糸井重里。
「いいなぁ、あと12年後に、
あんなふうにいられたらなぁ
と憧れてしまう」

私もそうありたい。

「とても自然な勇気をもらえるのだ」

私が島田、石原両先生、
廣田さん、横山さん、荒井さん、前原さん、
そして垣添さん、平さんの諸先輩方に、
感じることと同じだ。

「先日、久々に
谷川俊太郎さんを訪ねたのだけれど、
なんと90歳になっていた」

清水信次さんは95歳。
もちろんライフコーポレーション会長。

イオンの岡田卓也さんは96歳、
セブン&アイの伊藤雅俊さんは97歳。

寿屋創業者の壽崎肇さんも、
健在で、95歳。

「谷川さんの”居方”って、
ほんとに変わらないなと思った。
ただ、なんとなく
正直さが増しているように感じた」

「正直さといっても、
いわゆる本音と称する露悪に
なるのではまったくなく、
ずっとやわらかなままだ」

「とにかく飾りのない
考えやことばが出てくるのだ」

清水さんや岡田さん、伊藤さんも、
壽埼さんもいまや、
やわらかくて飾りがない。

「老いてからの吉本隆明さんも、
そうだった。
裸のままのじぶんを、
そのまま出せるようになるのだろう」

「こういう人たちのことを知ると、
老いるのはかっこいいものだなぁと思う」

同感だ。

そして糸井。
「ぼくのような年齢のものが、
先輩たちと会う話もいいが、
ぼく自身が年長者の立場にいながら、
若い人たちと
遊んでもらっていることについては、
もう、もう、まったくもって
感謝しかない」

これにも同感だ。

ヤオコーの川野澄人さん、
サツドラの富山浩樹さん。
エブリイの岡崎浩樹さん、
ロピアの高木勇輔さん。
それから次々に、
若い社長が登場している。

私はそういった人たちに、
遊んでもらっている感じだ。

感謝しかない。

糸井。
「年齢割る3が人生の時刻だとしたら、
ぼくは24時を過ぎたよ」

私はちょうど23時だ。

ガツガツもなく、
ギラギラもなく。
ギラッはあっていいかな。

〈結城義晴〉

2022年01月29日(土曜日)

将棋王将戦第三局と人口減少国日本の「教育と産業」

先週の日曜日から、
働きづめで疲れた。

今朝は10時過ぎまで眠った。

そして疲れは取れた。

神奈川県は、
オミクロン株の新規陽性判明者が、
8699人となった。

東京は1万7433人、
大阪が1万0383人。

全国で8万4934人。

それもあって、
夕方まで家にこもっていた。
将棋王将戦第三局を、
囲碁将棋プレミアムで、
見るともなく見ていた。

渡辺明王将(37歳)対藤井聡太挑戦者(19歳)。
渡辺が名人をはじめ三冠、
藤井が竜王とともに四冠。
王将戦第三極初日初手
将棋界のメジャータイトルは八つあって、
この二人がそのうちの七つを保有する。

最高峰の対戦だ。

王将戦は二日制のタイトル戦である。

両者得意の相掛かり戦型となって、
一日目から難解な局面が続いた。

午後6時、渡辺が62手目を封じ手として、
立会人の深浦康市九段に提出した。
王将戦第三極封じ手

これまで藤井聡太が2連勝。
風格のようなものも出てきた。
王将戦第三極初日
プロ棋士たちですら、
「ワクワクする」と発言する一戦。

明日の二日目に雌雄は決する。
楽しみな第三局2日目だ。

私は日が暮れるころ、
ちょっとだけ車で出かけた。IMG_0792

夕焼けも少し春っぽくなってきたか。
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1日が早く感じられる。

さて、日経新聞の経済コラム「大機小機」

コラムニストは私立大学学長の一直さん。
タイトルは、
「人減る日本、活路に2つの難題」

「筆者にとって最近衝撃的だったのは、
昨年秋に確定値が出た84万人という
2020年の出生者数だ」

18歳人口は2018年を境に減少過程に入った。
この流れが長期にわたって加速する。

18歳人口は大学の経営を左右する。
もちろん消費産業や商業にも、
大きく影響を与える。

「”人口減少国・日本”の活路は、
生産性引き上げしかない」

人口減を食い止める施策以外には、
それしかない。

しかしそれが日本にとって難題で、
一直さんはその理由を2つ挙げる。

「第1は労働市場の硬直性である」

ニューヨーク・タイムズの記事。
「米国が大離職時代を迎えている」
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「昨年11月の自発的離職者が
この20年間で最大を記録した」

自発的離職者は、
自分の意志で職を替える人のことだ。

「しかも自発的離職者の賃金が
離職しなかった人々より
大きく上昇している」

この現象をコラムニストは分析する。
「経済の変動期に労働力が
衰退部門から成長部門へ
移動することによって
経済全体の生産性が上がる」

仕事の本籍地と現住所。
どんどん現住所を変えて、
転居する。

「残念ながら日本では
このメカニズムが働きにくい。
労働市場の流動性が乏しいのである」

労働市場の流動性が高まれば、
小売業やサービス業にも、
労働力が移動してくる。

いつの時代も商業は、
衰退部門にはなりにくいからだ。

アメリカでは全産業のうち、
売上高首位と2位が小売業である。
ウォルマートとアマゾン。

しかし労働力が移動してくるには、
商業の世界がもっと魅力的に変わらねばいけない。

待遇も賃金も、なによりもイメージも、
飛躍的に上がらねばならないし、
それには労働生産性も、
飛躍的に高まる必要がある。

「第2は日本の教育の問題である」

故・森嶋通夫ロンドン大学名誉教授。
ノーベル経済学賞候補と言われた。

『なぜ日本は没落するか』なぜ日本は没落するか
1999年刊の著書。

2050年ごろの日本を予言している。
「国際的発言力のない
没落した国に落ちぶれている」

28年後だ。

森嶋教授の理屈。
「日本の戦後の学校教育は知識偏重で
“価値判断を行う能力”
“論理的思考で意思決定する能力”の
涵養(かんよう)をおろそかにしている」

「涵養」は、自然に、しみこむように、
養成すること。

知識の詰め込みだけでは、
判断能力は涵養されない。

しかし価値を判断し、
論理的思考で意思決定するには、
知識は必須である。

「そうした戦後教育を受けている
執筆当時の青少年層が50年後には
政官財の指導者になっているはずだから、
日本は没落する――」

そんな事例は現在でも散見される。

公文書の改ざん問題、
キャリア官僚の給付金詐欺問題、
某銀行の度重なるシステム障害問題。

すべて教育と組織に根差す問題だ。

一直さん。
「日本はコロナを抑え込むことでは
成果をあげているが、
経済の活力という点では
欧米に劣後していると言わざるを得ない」

「教育制度から経済産業組織まで
長期展望に立った構造改革が急がれる」

この正論に同感はするが、
一方で藤井聡太や大谷翔平が、
世に出てきた。

将棋では羽生善治がいたし、
羽生世代が活躍した。

野球ではイチローや松井秀喜、
野茂英雄が先鞭をつけた。

そのあとにも次々に、
驚くべき逸材が登場している。

一手や一球の価値判断能力、
論理的思考の意思決定能力。

凄いものをもつ若者がいる。
商売の世界にも、
中内功、伊藤雅俊、岡田卓也に続いて、
柳井正や似鳥昭雄が登場した。

そのあとにも、
将来が楽しみな若い起業家が出てきている。

2050年には藤井は48歳。
大谷は56歳。

同年代の、従来とは異質な、
政治家、官僚、財界首脳、
そしてトップマネジメントたちが、
日本をリードしているかもしれない。

頂に立った人たちは、
教育や産業の制度や組織を問題視するが、
どんな逆境の中からでも、
社会が必要とする人間は出てくる。

逆境や艱難が人を育てるからだ。

そこに望みをかけるのは、
ひどく淋しい気もするが。

〈結城義晴〉

2022年01月28日(金曜日)

大谷翔平の「ゼネラリストの高み」と「楽しむエネルギー」

オミクロン株と言えど、
新規陽性判明者は増加の一途。

東京が1万7631人。
大阪も1万0013人、
神奈川が6469人。

全国で8万0810人。

ずっと書いているが、
感染症は原則的に、
伝染力が強ければ、
毒性は弱く、
伝染力が弱ければ、
毒性は強い。

14世紀のペストや、
17世紀のインフルエンザ、
18世紀の天然痘、19世紀のコレラ。

感染力が強くて、
毒性も強い場合もまれにある。

それが厄介なのだが、
カミュが描いたペストのように、
突然、静かに去って行くことがある。

これが集団免疫だと思う。

新型コロナウイルスのオミクロン株は、
感染力が強くて、毒性は弱いらしい。
欧米各国でその水際規制が変わってきた。

イギリスではワクチン接種者は、
入国後の検査が不要になる。

アメリカでは接種証明と陰性証明があれば、
入国が容認される。

日本は原則的に入国停止中だが、
全国に適用中の「まん防」が解除されれば、
少しずつ変わるだろう。

ちょっとだけ光明が見えてきたか。

アメリカに行ける日が、
近づいたような気がする。

頑張ろう。

昨日の明治記念館。
ドラッグストアMD研究会での講演。IMG_07482

真っ青な空に飛行機雲が描かれた。IMG_07472

その線が上に向かって伸びた。IMG_07461
ちいさな喜び、
ささやかな幸せ、
あすへの希望。

どんなときにも、
それがあればいい。

小売業もサービス業も消費産業も、
人々にそれを提供する。

昨日も、今日も、明日も。

朝日新聞のコラム「経済気象台」
タイトルは、
「ゼネラリストの高み」

エンジェルスの大谷翔平の話。
アメリカンリーグ年間最優秀選手。
昨年11月に満票で選ばれた。
大谷翔平
コラムニストは海星さん。

「彼は”二刀流”と言われてきたが、
不正確かつ失礼である」

「野球選手は、守備も打撃もこなす
という意味では、本来、二刀流である」

「たまたま投手という
ポジションの専門性が高く、
打撃との両立はプロでは不可能だ
と考えられてきたがゆえに、
注目されたというべきだ」

そこで海星さん。
「むしろ、彼は三刀流である」

年間26盗塁。

走ることにも果敢に挑戦した。

「そもそも野球には、
走攻守という3要素がある。
彼は、それらのすべてで高みを目指した」

普通の場合、投手は盗塁しない。
けがの危険があるからだ。

さらに右投手は左打ちをしない。
右手に死球を受けるリスクがあるからだ。
大谷翔平そのリスクを大谷は背負っている。

投手としての登板の合間にも、
打者として出場し続ける。
コンディションの調整は難しい。

「危険かつ疲労もたまるのに、
なぜ彼は走攻守すべてに
こだわり続けたのか」

コラムニスト。
「恐らくそれは、
楽しいからなのだ」

同感だ。

「走攻守の各魅力を存分に味わって
完全燃焼したかったのだろう」

「その意味では彼は三刀流というよりも、
フル規格のゼネラリストとみなすべきだ」

なるほど。

「勝利数も防御率も、
またホームランも打率も、
1位だったわけではない」

今回のMVP受賞は、
何らかの部門でトップ記録を残すよりも、
幅広い分野で高い能力を示す者に与えられた。

選者たちが無意識にそれを評価した。

つまりスペシャリストより、
ゼネラリストが評価された。

コラムニスト。
「ゼネラリストの高みを目指すのは、
しんどいが楽しい」

理由は、
「いろいろなものが見えてくるからだ」

もちろんスペシャリストも楽しいはずだが、
ゼネラリストはその楽しさが異なる。

「ゼネラリストの生き方を再評価し、
能力が生かせる組織のあり方について
考える良い機会だ」

すべてが平凡で、
全体が見える場合もある。

いずれかの分野で突出する場合もある。

いずれの分野でも突出し、
全体も見える場合が、
大谷翔平だ。

ただし光り輝く期間は、
そう長くはないだろう。

どんな人間にも、
体力の壁という問題があるからだ。

チェーンストア組織では、
スペシャリストとゼネラリストが、
よく話題にされ、問題にされる。

故渥美俊一先生がそれを、
ことさら強調したからだと思う。

それは理想的なトップマネジメントの出現を、
渇望していたからだ。

日本の野球でも米国のベースボールでも、
ゼネラリストは本来、監督である。

組織においても、
ゼネラリストはトップマネジメントだし、
オーケストラでは指揮者だ。

しかし大谷翔平は、
現場の選手でありながら、
ゼネラリストを成し遂げた。

そこが新しいし、
その可能性があることを、
べーブ・ルース以来100年ぶりに示した。

世界中の子どもたちが、
それを目指すことも、
「可能だ」と知った。

少年野球から高校野球まで、
ゼネラリストで突出する選手はいる。

それを最高峰のメジャーリーグで成し遂げた。
そこに意味がある。

しんどいけれど、
楽しい。

いや、
しんどいからこそ、
楽しい。

大谷翔平を見ていると、
この楽しむことのもつ、
無限のエネルギーを感じさせられる。

ゼネラリストやスペシャリストを、
脅迫観念を利用して鍛錬するのは、
現代的ではないし、人間的ではない。

ゼネラリストでもスペシャリストでも、
自ら楽しむことによって生まれるエネルギーが、
いちばん大切なのだと思う。

ありがとう。

〈結城義晴〉

2022年01月27日(木曜日)

ドラッグストアMD研究会基調講演と「頂しか見えない富士」

今年の富士山は雪が少ない。

そう思っていたけれど、
新神戸から帰ってくるときには、
頂のあたりに雪がかぶっていた。IMG_07211

頂上だけ見えて、
裾野は雲に隠れていたから、
余計に雪が多く見えたのか。

それにしても裾野が見えない富士は、
妙に大きく見える。
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不思議だ。IMG_07371
富士の姿が大きく見える。

頂しか見えないものは、
その頂が高ければ高いほど、
大きく見える。

今日午後から、
明治記念館。
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「昭和は遠くなりにけり」などと言うが、
明治はさらに遠い。

本館。
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明治神宮による結婚式場として、
昭和22年11月1日に開館。
現在は宴会場・会議施設としても利用される。IMG_07991

明治神宮会館庭園には立派な松がある。IMG_08181

ドラッグストアMD研究会。
第193回定例会新春政策セミナー。

私は基調講演1。IMG_0836

もちろんこのオミクロン株の第六波だから、
オンラインセミナーとなった。

テーマは、
「コロナは時間を早める」

それがドラッグストアに、
どんな影響をもたらすか。
そしてどんな意思決定をしなければならないか。IMG_0837

私の後は基調講演2。
「マツキヨココカラ&カンパニーの今後のビジョン」
塚本厚志代表取締役副社長。

私も別室で聴講したが、
ビジョンとともに、
最新のMDやDX、ロゴの新発表もあって、
実に興味深い話だった。

その塚本さんとツーショット。IMG_08041
塚本さんは商業界時代から、
私の講演などを聞いてくれたそうだ。

広報担当や事務局が、
入れ替わり立ち代わりで、
シャッターを切ってくれた。IMG_08081

そのあとで、
この研究会の石田岳彦会長と写真。
ウエルシア薬局㈱取締役副社長。IMG_08101

石田さんは今回のセミナーの冒頭で、
会長としての開会挨拶をした。

月刊商人舎も読んでくださっていて、
「島田先生はお元気ですね」

父上の石田健二さんの話もした。
今年90歳になられるから、
島田陽介先生よりも4つ年上だ。
まだまだお元気だとか。
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今日はありがとうございました。

その島田陽介先生のドラッグストア観。
ちょっと手厳しい。

月刊商人舎1月号、
「島田陽介の大予言」から。
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「今、スーパードラッグストアの
業績がいいと盛んに言われていますが、
僕はスーパードラッグが
一番危ない商売だと思っています」

島田陽介は、
「スーパードラッグストア」の用語を使う。

「化粧品と薬は
基本的にナショナルブランドで、
“ストアブランド”を出すのは
ものすごく難しい」

ここで言う「ストアブランド」は、
メーカー製品のコピーブランドではない。
島田用語だが、
小売業独自の商品であり、
独自のブランドである。

「雑貨や食品を
ラインロビングしていますが、
その食品はラインロビングできる
範囲だけのものです」

食品ではオリジナルブランドは、
比較的開発しやすい。
しかし薬と化粧品は難しい。

「つまりメーカーがつくったものを
仕入れて並べているだけですから、
完全にコピーされます」

「コピーされるとは
どういうことかと言うと、
規模が大きい企業が圧倒的に
有利であるということです」

「したがって買収・合併が進みます」

私も「コロナはM&Aを早める」と考えている。

「一番手がウエルシアなら、
二番手は誰になるのかというのが
現在の競争です」

「極端なことを言えば
日本では2社か3社になってしまう」

これも私の言葉で言えば、
「複占」か「鼎占」である。

「スーパードラッグが
有望であるということと、
各企業が有望であるということは
まったく逆で、
業界が有望であればあるほど、
企業の淘汰が進みます」

私は基調講演で、
アメリカの状況を示した。
ドラッグストアに関しては、
ウォルグリーン・アライアンス・ブーツと、
CVSヘルスによって、
「複占」状況が出来上がっている。

全米チェーンストアランキングでは、
ウォルグリーンが第6位、
CVSヘルスの小売事業が第8位。

三番手のライトエイドは26位で、
大きく離されている。

マーケットリーダーと、
マーケットチャレンジャー。

マーケットフォロワーは、
ずっと引き離されていて、
全体として見れば、
鼎占から複占に至る過程にある。

もちろん多数のニッチャーは、
潰れていくことはない。

それがドラッグストア産業にとっても、
大いなる救いである。

裾野が雲に隠れて、
頂しか見えないものは、
その頂が高ければ高いほど、
大きく見える。

庭園の一本松とは違う。

不思議なことだが、
それが事実である。

〈結城義晴〉

2022年01月26日(水曜日)

ロピア神戸岩岡店オープンの「頭は冷やせ、心は燃やせ」

「新店ドラ」
新店ドラ
おかげさまで、
次々にご注文をいただいています。

感謝します。

宮本洋一ブルーチップ㈱社長からは、
大量に注文が届いて、
そのなかの一部には、
私のサインを求められた。

大相撲の関取ならば、
手形でいいけれど、
私のサインは筆で書く。

だから可能な限りですが、
それなりに応じます。

さて私は関西4日目。
昨日から神戸市。
JR西明石駅のホテルに宿泊。

朝5時半に迎えの車が来て、
まだ暗い中を、
ロピア神戸岩岡店へ。
6時前に到着。

オープンは10時。
早めに店に着いたのは、
オープン恒例の賄(まかない)をいただくため。
1IMG_E0587

福島道夫関西ロピア社長率いる賄チームが、
前日から仕込みをして、
朝4時から調理にかかり、
全員分を作ってくれた。
応援者や挨拶に訪れた取引先も、
すべての関係者が賄を食べる。

オープン初日定番メニューはカレー。
分厚いステーキ肉が入っている。

ローストビーフやサラダ、漬物、
ダイコンの煮物、スープ、
スムージー、デザートまでついている。

朝からボリュームたっぷりのフルコース。1IMG_0590

大満足。

店内では淡々と開業準備が進む。

ピーター・ドラッカー。
「いい工場は静かだ」

そしてオープン前の全体朝礼。
1IMG_0623

仕切るのは㈱関西ロピアの佐藤博和さん。
関西ロピアの営業本部長執行役員。1IMG_0630
訓示やスピーチもなく、
実にシンプル。

接客七大用語唱和も中止した。

朝礼が終わると、
各部門がそれぞれの売場に散って、
オープン前の最終確認。

部門チーフが仕切る。

惣菜部門。
1IMG_0635

こちらは鮮魚部門。1IMG_0636

日が昇ってきて、
店の外観が見えてきた。

神戸岩岡店はパチンコ店の2階に出店する。
施設自体はホームセンターのコーナンの物件。

コーナンが撤退した後、
1階を延田エンタープライズ に賃貸し、
パチンコ&スロット、ゲームコーナーの店になった。

もともとホームセンター仕様のため、
施設は天井も高く、
エスカレーターやエレベーターもある。
設備環境は整備されている。

しかも駐車場は店舗前面と側面、
さらに施設の2階、3階にもあって、
台数も十分確保されている。1IMG_0642

パチンコ店の2階と聞いて、
少し心配していたが、
この物件はとてもいい。

10時オープンだが、
8時にはお客が列をつくりだした。1IMG_0641

徐々にでき上がっていく売場を、
確認しながら撮影して回る。

月刊『商人舎』2月号で紹介するためだ。1IMG_0733

各部門最後の売場づくりの仕上げに入る。

青果部門のオープンの目玉はイチゴ。
20品種ほどをずらりと並べる。I1MG_0597

顧客はその青果売場の作業を見ながら、
楽しみに待っている。

ロピアのオープン日には必ずやってくる、
追っかけの顧客もいる。1IMG_0651

2階の駐車場に待機スペースが設けられ、
9時過ぎには100人以上の行列ができる。
1IMG_0754

その先頭のところの店舗入り口では、
ロピア専用のエコバックを販売。

値段は1000円だが、バッグの中に
次回利用できる1000円の券が入っている。
だから実質無料。

ほとんどのお客が購入している。
1IMG_0755

次から次へ顧客がやってきて
開店時間は30分繰り上げることになった。1IMG_0767

そしてオープン。
カートにカゴを3つも4つも積んで、
ワクワクしながら店に入ってくる。1IMG_0772

オミクロン感染の拡がるなか、
入場制限をしつつ、お客を入店させる。

それでも生鮮売場には人があふれる。1IMG_0770

買物を終えた人たちを横目に、
入店するのを待つロピアファンたち。

これが午前中ずっと続いた。1IMG_0780

神戸岩岡店の成果を確認しつつ、
私は周辺の店を視察した。

兵庫県加古郡稲美町にある、
マックスバリュ稲美店。

ロピアから車で5分ほどにある。
1IMG_0783
この店は影響を受けた。

さらにハローズ東加古川店。
ロピアからは車で20分ほど。1IMG_0786
ハローズは良い状態の店をつくっていて、
商圏も異なるためロピア開業の影響はない。

再び店に戻って、
福島さんとディスカッション。

そして「新店ドラ」にサイン。
1IMG_0689

福島さんに贈った言葉は、
「頭は冷やせ、心は燃やせ」1IMG_0691
神戸岩岡店開店、おめでとう。

岩岡店はこれまでの開業とは、
ずいぶん異なる点が多い。

福島さんをはじめ、
幹部たちのイノベーションへの挑戦が、
随所に現れている。

都心の人口密集地への出店から、
地方の郊外への出店。

競争相手も靴のヒラキやイズミヤ、
マックスバリュ西日本、トーホーストアと、
これまでとはかなり異なっている。

ホームセンターや商業集積への出店から、
パチンコホールの2階への出店。

そして食品専門スーパーマーケットから、
雑貨部門の新設へ。

その成果と評価は、
月刊商人舎2月号でご披露する。
乞うご期待!!

〈結城義晴〉

2022年01月25日(火曜日)

兵庫県を横断して辿りついたロピア神戸岩岡店の「新結合」

関西3日目。

新型コロナウイルス新規感染。
陽性判明者は、大阪が8612人、
兵庫は3360人。

全国で6万2613人。
東京は1万2813人、神奈川が4131人。

シェラトン都ホテル大阪から、
車で兵庫県芦屋市へ。

いかり芦屋本店。IMG_04681
㈱いかりスーパーマーケットの旗艦店。

店の前にはトレードマークのいかり。IMG_04701
昨年12月1日にリニューアルオープン。

その店舗入り口前のテラス。
花屋と珈琲屋がある。
IMG_04721

店内はいかりらしい実にいい雰囲気だ。
お客さんも満足そうにゆったりと買物していた。IMG_04731
代表取締役社長の行光恒夫さんは、
コーネル大学ジャパン実行の3期生。

急ぐ旅なので挨拶もせず失敬。

店を見て安心しました。
今度、ゆっくり来ます。

その近くにあるのが、
こちらも高級スーパーマーケット。
ビッグ・ビーンズ芦屋店。IMG_05382
昨年12月にオープン。

㈱高鍋食品の最新店。
IMG_0540q2
この芦屋でいかりスーパーと真っ向勝負。

それから海の近くのオープンモール。
IMG_04891

㈱マルハチが運営する強力な店舗。IMG_04831
マルハチは2021年2月期で797億円となった。

そのスーパーマルハチ南芦屋浜店。
IMG_04751

2010年オープンだが、
ショッピングセンターの威力もあって、
そつのない店づくりで繁盛店となっている。IMG_04811

隣にウエルシア。
IMG_04851
さらに中央の広大な駐車場を取り巻くように、
ホームセンターのコーナンが入っている。

マルアイ玉津店。IMG_04961
マルアイも66店舗で年商711億円となった。
鮮魚・精肉ともにセンター供給だが、
地域に密着した商売に徹している。

さらに車を飛ばして、西明石駅へ。
IMG_04992

この駅前のホテルに宿泊する。IMG_04981

ホテルに荷物を置いて、
岩岡の靴のヒラキへ。IMG_05012
㈱ヒラキは靴の専門店から発して、
総合ディスカウントストアも展開する。

この岩岡店は1953年オープン。

年商は160億円。
現在は通販事業が88億円、
店舗小売業は69億円。
経常利益率は5.7%。

凄い店だ。

ヒラキ食品館は別棟。
IMG_05021

それからカナート西神戸。
㈱イズミヤのショッピングセンター。
カナート第1号として1990年に開業。
シネマコンプレックスも併設。
IMG_05212
近隣にはニトリ、ケーズデンキ、
さらにしまむら・アベイルなどが出ている。

その核店舗はイズミヤ西神戸店。IMG_05031
地域一番店のはずだが、
1階の食品売場は広いけれど、
苦戦している様子がうかがえる。IMG_05082

ドラッグストアは、
ココカラファイン+イズミヤ。IMG_05202

2階の非食品フロアも苦しそうだ。IMG_05161

2階にはナフコが入っている。
ツーワンスタイルカナート西神戸店。IMG_05172

カナートの近くの生活圏に、
トーホーストア大久保高丘店。IMG_05241

今日の最後の目的地は、
ロピア神戸岩岡店。
場所は神戸市西区岩岡町で、
西明石駅から車で20分ほど。
IMG_05362
明日がオープン。

パチンコホールの「123」の2階に出店。

2階の駐車場がロピアの入り口だ。IMG_05272

ロピアのオープン準備の店内を視察。IMG_05312

オープン当日は込み合って、
ゆっくりと見ることはできない。
IMG_0553

ロピアらしい壁面の装飾。
広い主通路。
IMG_0554

グロサリーや日配は、
ほとんど準備が終わっている。IMG_0557

韓国ドラマの主人公を、
イラストで装飾した壁面。
ロピア専属のアーティストたちが、
楽しんで描いているのがわかる。IMG_0568

レジ前エンド。

お気づきだろうか。IMG_0560
この店からロピアは雑貨を品揃えする。

以前から聞いていたが、
いったいどんなコンセプトの売場なのか。
そしてそれをどう実現させるのか。

生鮮や惣菜は明日の朝、
一気に品出しされる。

その精肉売場の前で、
福島道夫さんにヒアリング。
福島さんは㈱関西ロピア社長。IMG_0569

今回の雑貨への取り組みや、
これからの出店など、
話題は尽きない。
IMG_0570

相川博史さんが、
牛肉の試食を持ってきてくれた。
相川さんは㈱ロピア取締役。IMG_0573

福島さんが「マイ包丁セット」を見せてくれた。IMG_0574

オープンの時に、
この包丁や調理ばさみを駆使して、
スタッフのための賄(まかない)をつくる。IMG_0575

明日から3日間、朝4時に店に来て、
3人の精鋭スタッフとともに、
120名の店員のための食事を手づくりする。IMG_0576
福島さんにしかできないことであるし、
それもロピアの強みになっている。

今日は広いひろい兵庫県を横断した。

大阪、奈良、京都、兵庫。
ロピアの進撃は衰えないが、
新しい店をつくるだけではない。
目に見えるイノベーションが、
必ず用意されている。

それはなぜなのか、と考えた。

ヨーゼフ・シュンペーターは、
イノベーション概念の発明者だが、
最初のころには「新結合」と言った。
「Neue Kombination」。

この着装と同じようなものが、
福島道夫の頭の中に、
満ち溢れている。

明日が楽しみだ。

〈結城義晴〉

東北関東大震災へのメッセージ

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結城義晴・著


流通RE戦略―EC時代の店舗と売場を科学する

鈴木哲男・著

結城義晴の著書の紹介

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