結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2022年01月31日(月曜日)

「商業の現代化」の両利きと「両利きの経営」の「深化・探索」

Everybody! Good Monday!
[2022vol⑤]

2022年もはや第5週。
今週火曜日から2月に入る。

一月、往(い)ぬる。
二月、逃げる。
三月、去る。

毎年書いているが、
よくできた言い回しだ。

1月はいつも、
あっという間に往ってしまう。

今日はその1月最後の日。
㈱商人舎にとっては年度修めの日。

2008年2月1日に創業して、
まるまる14年が経過する。
発足の会
明日から15年目。

小売業ならば、
創業祭でもやるのだろうが、
商人舎は粛々と仕事をする。

2007年8月末に、
30年間働いた㈱商業界を辞して、
あと30年は現役で仕事をしようと決意した。

だから商人舎も、
私自身の手で30年は続ける。

計算すると2038年、
私が86歳のときまでとなる。

その折り返し点が、
明日から始まる15年目である。

この間、2011年には、
東日本大震災が起こった。

そして2020年からは、
新型コロナウイルスパンデミック。

前者は日本の、東側の地震と津波の災害。
後者は世界中を巻き込んだ感染症の流行。

商業界は2020年4月に自己破産した。
商人舎の役割も重くなる。

商業界の倉本長治の思想を受け継ぎ、
それをさらに発展させる。
倉本長治モノクロ2
商業界は「流通近代化」を果たした。
商人舎はその「現代化」を目指す。

テーマの壮大さに比べると、
まだまだ私たちの力は及ばない。

商業の近代化は、
何かに追いかけられるように、
誰かから急かされるように、
必死の思いで推進された。

しかし現代化は、
自らの意志で楽しんだり、
面白がったりしながら、
成し遂げるものだと思う。

近代化の次に現代化がある。
だから近代化を否定することは間違いだ。
歴史はそのことを物語っている。

しかし近代化への対応の方法が、
そのまま現代化に通用するわけではない。
この点を間違って捉えていることが多い。

現代化は近代化以上に混迷する。
デジタルトランスフォーメーションも進む。
201812自動発注

産業全体が一斉に同じ方向を向いて、
突進するわけにはいかない。
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だからこそ自らの意志が重要になる。

そして現代化はすでに進んでいる。
このCOVID-19パンデミックが、
それを早めたのだと思う。
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明日からの折り返し点に対して、
心を新たにして、
あくまで謙虚な姿勢で臨みたい。

さて、日経新聞の今日の「社説」。
タイトルは、
「企業は”両利きの経営”で
新事業の創出を」

「経営の世界でいま最も
注目されているコンセプトの一つが
“両利きの経営”だ」

企業の活動には2軸がある。
第1は、
「コストダウンなどで既存事業の競争力に
磨きをかける”深掘り”」

第2は、
「新たな事業機会を発掘・育成する”探索”」

社説子がキーワードにした「両利きの経営」は、
2019年2月、東洋経済新報社刊。
両利きの経営
チャールズ・A・オライリーと、
マイケル・L・タッシュマンの共著で、
翻訳者は入山章栄、冨山和彦、渡部典子。

同書の翻訳では、
「知の探索」と「知の深化」という言葉を使う。

社説がなぜ、
「深化」を「深掘り」としたのかはわからない。

知の深化は、
「自身・自社の持つ一定分野の知を
継続して深掘りし、磨き込んでいく行為」

知の探索は、
「自身・自社の既存の認知の範囲を超えて、
遠くに認知を広げていこうとする行為」

社説。
「例えば自動車会社にとっては
従来のエンジン車の原価低減や性能向上が
“深掘り”であり、
電気自動車など新技術の開発や
ライドシェアのような
新たな事業モデルへの挑戦が
“探索”」
20171020_seven_01
「この2軸をバランスよくこなすことが
持続的な発展には欠かせない」

ゴーイングコンサーンのためには、
むしろ当たり前のことだ。

「ただ2軸の両立は、
口で言うほど簡単ではない」

「組織には慣性があり、
過去からの継続である、
手慣れた”深掘り”活動には
熱心に取り組むが、
結果が出るかどうか判然とせず、
手探りで進める”探索”は
先細りになりがちだ」

「それを乗り越えるには、
探索活動を粘り強く続けるための
経営上の仕掛けが欠かせない」

「仕掛け」と言うよりも、
トップマネジメントの意志だと、
私は思うけれど。

社説はその3つの仕掛けを提案する。
⑴何より重要なのは、
経営トップの強力な関与だ。

私の言うことと一緒。
しかしトップの関与は仕掛けではない。

⑵既存事業との利益相反や
文化の衝突を避けるために、
探索のための別組織を設けるのも一案だ。

新規事業は、別動隊で展開し、
組織は分ける。
これも定石だ。

直近ではヤオコーが、
フーコットを別組織にした。

⑶技術や市場の変化の予兆を
素早く感知することも重要だ。

これは「知の探索」そのもの。

「両利きの経営」は、
『コロナは時間を早める』の第四章とも、
ちょっとだけ同期する。
1tannkoubonnhyousi
トレードオフから、
トレードオンへ。
これも二兎を追え、である。
tobira
明日、入山章栄教授と会うから、
時間があればそのあたりも確認しよう。

両利きは、大谷翔平の二刀流にも通じる。

商業の近代化は右利きだったが、
現代化は両利きである。

では、みなさん、今週も、
心新たに、そして謙虚に。
Good Monday!

〈結城義晴〉


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