「そごう・西武」売却相手決まって和田繁明さんを思い出した。

村田兆治さん、逝去。
マサカリ投法の剛球投手だった。
東京・成城の自宅で火災が発生し、
一酸化炭素中毒で亡くなった。
72歳。
私とは2つしか違わないが、
ずっと年上のような印象がある。
それだけ古風な面を持った野球選手だった。
「人生は先発完投」
その通りだ。
「人は誰でも、
人生というマウンドに立っている」
ご冥福を祈りたい。
それから王國雄さんも、
10月9日の朝、永眠された。
4日後が80歳の誕生日だった。
長崎の中国菜館「江山楼」代表取締役会長。
商業界同友会チューターで、
九州の同友会の重鎮だった。
誰にも分け隔てなく接し、
優しい人だった。
「出会った方々の小さな幸福のお手伝い」
これを自分のテーマとしていた。
けれど筋の通らないことには、
断固として意見を言った。
王さんの長崎ちゃんぽん、皿うどん。
美味しかったな。
ご冥福を祈りたい。
立冬を過ぎて、
冬がやってくる。
商人舎流通SuperNews。
セブン&アイnews|
そごう・西武を投資会社&ヨドバシに譲渡
㈱そごう・西武の売却先が決まった。
フォートレスインベストメントグループ。
アメリカの投資運用会社で、
ソフトバンクグループの子会社。
日経新聞が先行して報じていたが、
セブン&アイが取締役会を開いて決議し、
それを公開した。
2006年6月、
セブンア&アイ会長の鈴木敏文さんが、
和田繁明さんと話し合って、
㈱ミレニアムリテイリングを傘下に入れた。
このミレニアムは2003年、
西武百貨店がそごうに吸収される形で生まれた。
和田さんは「西武百貨店白書」を書いて、
西武を蘇生させた辣腕経営者だ。
その後、そごうの再生も和田さんに託された。
和田さんは両者を統合して、
ミレニアムリテイリングをつくった。
そして結局、そのミレニアムを、
セブン&アイの傘下に入れた。
鈴木敏文さんに委ねた。
鈴木さんは、
「オムニチャネル」の時代に、
百貨店業態を生かす道は、
「業態揃え」にあると考えたのだと思う。
しかし鈴木さんがセブンを去ったあとは、
そごう・西武を動かせる人間はいない。
当然の流れで売却された。
譲渡先のフォートレスは、
㈱ヨドバシホールディングスと組んでいる。
そごうや西武百貨店のテナントとして、
ヨドバシカメラが入る。
小型の百貨店、郊外百貨店を、
どんどんヨドバシカメラに変えていくのは、
いい対処法だろう。
売上げトップの西武池袋店、
売場面積断トツで売上げ2番目の横浜そごう。
大胆な言い方になるが、
そごう・西武はやがて、
この2店プラスアルファの百貨店企業になる。
それでもブランドが輝けばいいと思う。
いつも言うけれど、
イギリスのハロッズは、
ロンドンのナイツブリッジの1店だけだ。
売上げや店数のスケールを追わず、
ブランド価値を高めることに、
一心に取り組めば企業価値は上がる。
他の店はヨドバシカメラにすればいい。
顧客もそれを望んでいる。
ヨドバシカメラは、
奈良そごうの1階がロピアに変わったように、
京都ヨドバシの地下がロピアになったように、
食品はロピアを誘致するかもしれない。
それも西武百貨店やそごうの小型店として、
一つの再生方法だ。
それでも私は池袋西武はいい店だと思うし、
横浜そごうは価値のある小売業だと考え、
よく利用する。
百貨店は「先発完投型小売業」だ。
中継ぎや抑えの小売店舗ではない。
村田兆治流に、
ちょっと古風でも、
それぞれに唯一の百貨店の価値を高め、
それぞれの意志を貫くのがいいと思う。
和田繁明さんは、
今年7月25日に没していた。
88歳だった。
ご冥福を祈りたい。
〈結城義晴〉