結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2024年11月13日(水曜日)

創業家によるセブン&アイMBOと「会社は誰のために」

セブン&アイ・ホールディングス。

事態は小説のように転換する。
月刊商人舎11月号。
「会社は誰のためにあるのか?」
202411_cover-page

セブン&アイを事例にして、
考察し、解明を試みた。

セブン-イレブン・コーポレーションと、
ヨーク・ホールディングスとに、
分けられる予定だった。

そこへまた一つの新しい局面が生まれた。

新聞各紙が報じた。
商人舎流通SuperNewsも。

セブン&アイnews|
伊藤順朗副社長と伊藤興業からの提案を「受領」と発表

主役は伊藤順朗セブン&アイ代表取締役副社長。

創業家の管理会社「伊藤興業㈱」代表取締役であり、
ヨーク・ホールディングスでも代表取締役だ。

その伊藤興産がセブン&アイに「買収提案」をした。

ご承知のようにアリマンタシォン・クシュタールも、
すでに買収提案をしている。

そこでカナダの会社に買収されるよりも、
創業家がマネジメント・バイアウト(MBO)をして、
株式の非公開化を果たすことによって、
防衛しようという考えだ。

このとき株式公開買い付け(TOB)が行われる。

思い切った策である。

全株式を取得した場合の買い付け総額は、
6兆円以上、10兆円をこえるかもしれない。

今年の1月15日に、
大正製薬ホールディングスでは、
創業家の上原茂副社長が代表を務める大手門㈱が、
同じようにMBOを完了した。

3月18日の臨時株主総会では、
株主の84.89%が賛成した。

そして4月9日、
東証スタンダード市場の上場廃止となった。

伊藤興産はこれと同じ選択をするようだ。
ただし大正製薬は7100億円ほどだった。

セブン&アイは、
伊藤興産を中心に伊藤忠商事、
そしてメインバンクの三井住友銀行、
さらに三菱UFJ銀行、みずほ銀行の、
メガバンク揃い踏みで融資して、
10兆円を超えるTOBとなりそうだ。

日本の金融機関が挙げて、
セブン&アイを守ることになる。

まだ、推測の域の話だ。

伊藤興業はセブン&アイの株式の8.2%を保有し、
信託銀行の日本マスタートラスト信託銀行㈱に次ぐ、
第2株主である。

商人舎11月号の特集で私は、
伊藤興産はヨーク・ホールディングスに対して、
資本投入するのだろうと書いた。

しかしそれは違っていたようだ。

伊藤順朗さんはその上を考えていた。

私は書いた。
「この会社にはオーナーシップ経営が
求められている」

「この会社」とは、
ヨーク・ホールディングスだ。

それは私の確信である。

ただし、セブン-イレブンまですべて、
非公開とするようだ。

株式市場からの資金調達を受けずに、
セブン-イレブンの世界戦略は果たせるか。

スティーブン・デイカス取締役会議長。
セブン&アイの特別委員会委員長を兼務する。

「当社の特別委員会および取締役会は、
価値最大化に向けて、
各関係者との対話を継続するとともに、
当社株主およびその他のステークホルダーの
利益の最大化に向け、引き続き取り組む所存」

私はそのステークホルダーに関して、
「従業員=株主、顧客=株主」の提案をした。
スクリーンショット_14-11-2024_24650_magazine.shoninsha.co.jp

井坂康志氏は、
11月号の「経営哲学の視点から考察する」で、
指摘した。
スクリーンショット_14-11-2024_24313_magazine.shoninsha.co.jp

「そもそも経営とは二極性をはらんでいる。
異質なもの同士が一つの企業の中にあるのは
現実を見るなら普通のこと」

「そもそも企業とは生き物であるから、
矛盾・葛藤を内部にはらんでいて当然である」

私はそれを「特集のまえがき」で、
「産業論理と商人論理」と呼んだ。
スクリーンショット_14-11-2024_24415_magazine.shoninsha.co.jp

イトーヨーカ堂から発した会社、
セブン&アイ・ホールディングスは、
すべてを包含して「時代の子」である。

だからこそ、
「会社は誰のためにあるのか?」のテーゼが、
ますます重要になってきた。
そのことを考え続けねばならない。

頑張れ。

〈結城義晴〉


2 件のコメント

  • 月刊商人舎11月号はまだ読み始めたばかりですが、おそらく、何度も繰り返し読まさせて頂くことになりそうです。

    • 吉本さん、ご愛読、感謝します。

      特集号が印刷されてきた途端、
      伊藤順朗さんがMBOの意志を明らかにしました。

      私たちは編集という立場で、
      時代とともに動いていることを実感します。

      これは珍しい体験です。

      『世界を揺るがした10日間』の、
      ジョン・リードほどではありませんが。

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