結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2021年12月29日(水曜日)

最初で最後の2021令和名人会と「紙の新聞読者の少子化」

2021年が終わっていく。

令和拡大名人会、
2021年最初にして最後の開催。

2日目のメンバーは8人。IMG_0069 (23)1
令和名人会のメンバー。
土井弘さん、鈴木國朗さん、
新谷千里さん、そして結城義晴。

ブルーチップ㈱社長の宮本洋一さんと、
商人舎GMの亀谷しづえさん。

そこにブルーチップ㈱の両常務が加わった。
中野茂さん(右から3人目)と土橋和人さん(その隣)IMG_00701
2日目の舞台は、
ザ・カントリークラブ・ジャパン。

宮本洋一さんがメンバーのコース。

12月末にしては、天気も上々。

年末商戦で忙しい皆さんには、
申し訳ない気もするが、
1年間、頑張ってきた人たちの、
骨休めだからお許しください。

私にとっては、
体力が回復したかどうか、
目途をつけるラウンドだ。

もう1カ月以上もゴルフから離れて、
体を動かさずに養生していた。

しかしスループレーで、
一気に18ホールをラウンドして、
そこそこのプレーができた。

有難い。

上がってきたらすぐに昼食。

そして小さなパーティー。
もちろんソーシャルディスタンシング。

まず、主催者挨拶。IMG_007411
1989年の平成元年から始めて、
2021年まで33年間続いた名人会。
継続できたことに感謝した。

来年から装いを新たに、
第4期の名人会となる。

第1期はオリジナルメンバーのころ。
小森勝、浅香健一、鈴木國朗、結城義晴。

第2期は小森さんが亡くなって、
土井弘さんが加わってくれた時期。

第3期は浅香さんが引退して、
新谷さんが加わってくれた時期。
そしてこのとき令和名人会と名称を変えた。

さらに土井弘さんが、
今回で引退することとなった。

まるでイーグルスや、
オールマンブラザーズバンド。
メンバーが変わってもバンドは続いた。

来年から新メンバー・新システムの、
第4期名人会が始まる。

そこで土井さんが引退のスピーチ。IMG_00771

土井さんは電通一筋の人で、
「電通きっての流通通」。
つまり電通で一番流通に詳しい人だった。
残念ながらそんな人は今、
電通に見当たらない。

土井さんは「日記調査」の専門家でもあって、
Web版商人舎で連載を執筆してくださった。
「日記調査と生活動線マーケティング」

みんな土井さんのスピーチを聞いていた。
鈴木さんと中野さん、宮本さん。IMG_00721

それから成績発表。
今回は宮本さんがプレゼンター。  IMG_00781

そして新ぺリアのトーナメント。
優勝は土井弘さん。
おめでとうございます。IMG_00801

全員、拍手。
IMG_00811
ちなみに2位タイが土橋さんと結城義晴。

亀谷しづえさんがドラコン2つ、
ニアピン賞もとって絶好調。
ほかにドラコンは宮本さんと土橋さん、
ニアピン賞は宮本さんと鈴木さん。

ベストグロスは宮本名人。

それなりに収まった。

2021年の令和名人会、
たった1度しかできなかった。

来年はもっともっと開催します。
新しいシステムでは、
みなさんもご招待できると思います。

名乗りを上げてください。

帰りのアクアラインは、
夕日がきれいだった。IMG_00831

来年はどんな年になるのか。IMG_00841

さて昨日の朝日新聞コラム「経済気象台」
タイトルは、
新聞読者の「少子化」

ある電機メーカーの社内報が社員に尋ねた。
「新聞を毎日読んでいるか」

その結果は20代4%以下。
30代12%、40代23%、
50代30%、60代42%。

新聞通信調査会の11月の発表。
「メディアに関する全国世論調査」
「新聞を毎日読む人」は、
20代3%、30代9%、40代21%、
50代42%、60代58%。

結論は日本の若者が新聞を読まない。

コラム。
「全国調査は2008年が初回で、
新聞を読む人の割合は全世代とも
年々減少傾向にある」

世界的な傾向だ。

「読まない人が歳を取ると
読み始めるわけではない」

その通り。

「10年後に30代の値が
3%以下になることも予見される」

「新聞読者の”少子化”は深刻だ」

小売業の新聞折込みチラシも、
効果はどんどん薄れていく。

「朗報は20代の49%、30代の68%が
インターネットのニュースは毎日読む」

私も両方で読むが、
インターネットほうが多くなった。

ネットならば地方紙にも目を通せる。

「興味関心に合う記事を、
“スマートニュース”など、
キュレーションアプリで取捨選択し、
スマホで読む様子が調査結果からうかがえる」

「ニュースショーケース」は、
グーグルが9月に始めた配信サービス。
朝日新聞を含め全国紙や地方紙、
通信社四十数社の記事にアクセスできる。

「紙の新聞は1面から最終面まで、
一連のフルコース料理だが、
デジタル化により各記事が
一品料理としてネット上に提供されている」

いや紙の新聞も、
フルコースメニューが提示されているが、
読者はアラカルトで記事を読んでいる。

商人舎は、
紙の月刊商人舎と、
網(ネット)のWeb版商人舎で、
両方読める。

もう8年になる。

商人舎流通スーパーニュースも、
インターネットでの配信だ。

もちろんこのブログも。

コラム。
「学生時代に、朝日新聞の笠信太郎、
扇谷正造、松山幸雄、石川真澄ら
各氏の記事や著作に魅せられた。
今も”この人の記事は読もう”と
思う記者が多くいる」

「一品料理の時代に
若い読者を獲得するひとつのカギは、
各記者の筆力だと期待したい」

記者の筆力は大事だが、
それがあっても、
紙の新聞にもどることはない。
つまりこの結論自体がもう古い。

それ以上に紙の新聞の衰退は、
「折り込みチラシ」に決定的な打撃を与える。

いずれの小売業も、
顧客との「網」のコミュニケーションツールを、
至急、開発しなければならない。

それによって競争格差がついてくる。
それだけで競争優位に立つことだって可能だ。

〈結城義晴〉

2021年12月28日(火曜日)

令和拡大名人会、2年ぶりに開催! 優勝しました。えへへ。

2021年もあと4日。
どんな年だったと総括するか。

クリスマスが終わって、
年末商戦は最終盤になる。

早仕掛け・早仕舞い・際の勝負。

言い続けている。

その際の際がやってくる。

来年の年始は、
3日まで正月休業をする企業が増えた。
関西の㈱万代はずっと、
正月3ヶ日を休みにしている。

そんな企業が増えてきた。

㈱ロピアは1月4日まで休業だ。
これも正月くらいは、
従業員に休んでもらおうという意図だ。

それまでの際の際は、
売って売って売りまくる。

月刊商人舎新春1月号では、
その消費について、
私の新しい言葉と概念を発表した。

ご期待いただきたい。
1月10日が成人の日の祝日なので、
11日発刊です。

さて今日は今年最初で最後の、
令和拡大名人会。

オリジナルメンバーも勢ぞろいで、
1泊2日のゴルフ三昧。
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ブルーチップ社長の宮本洋一さんが、
特別参加。

とはいっても宮本さんはもう、
令和名人会の常連だ。

ゴルフ名人会は、
1989年に始まった。
平成元年のことだ。

結城義晴が食品商業編集長に就任し、
筆者の先生方やトップのみなさんが、
ゴルフコンペを開催してくださった。

私が36歳のときである。

故人となったが杉山昭次郎先生も、
サミット㈱副社長だった荒井伸也さんも、
故小森勝さん、浅香健一さん、
そして鈴木國朗さんも、
参加してくださったと思う。

そのあと、1回だけではもったいないと、
小森、浅香、鈴木、結城で、
2カ月に1回のゴルフ会を発足させた。
小森さんは コンビニ経営のトップコンサルタント。
浅香さんは立地調査のオーソリティ、
鈴木さんは商品と売場づくりの第一人者。

最初は名前もなかった。
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「結城会」なんていうのも、
おこがましいので、
何となくやっていた。

続けていくと2カ月に1回では、
物足りなくなって、
すぐに1カ月に1回となった。
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会の名称も「迷人会」などと言っていた。

しかしこの会はずっと続いた。
そのうちに「名人会」となった。

2013年9月に小森さんが逝去された。
65歳だった。

残念極まりなかった。

しかし気を取り直して、
土井弘さんにメンバーに入ってもらった。
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ゴルフだけでなく、
忘年会や新年会も、
忙しい中で時間を取って、
欠かさずやった。
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年はとっても元気だった。
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しかし2018年に浅香さんが引退。
残念だったがこのときにも、
新谷千里さんが大阪から、
毎回参加してくれることになった。

新谷さんは生産性向上策の専門家。
商人舎の筆者でもある。
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そして平成時代を通して、
名人会は続いた。

しかし平成が終わって、
2019年5月に令和となった。

そこで「令和名人会」と名称を変えた。
したがって、33年も継続するゴルフ会となった。

ただし新型コロナウイルス感染が拡大し、
令和名人会は第1回開催から中止となった。

今回は2年ぶりの令和名人会。

メンバー以外の参加がある場合、
「令和拡大名人会」と称する。

ラウンドが終わって、
夕食は全員でつかさのうな重。IMG_98331
鰻は厚みがあって柔らかい。
もちろん味も鰻独特。
リューム感があって、美味い。

その会場で成績発表。
寒さと1年の疲労が重なって、
全員が低次元のラウンドだった。
それも仕方がない。

しかし新ぺリア方式で、
優勝は結城義晴。
準優勝は土井弘さん。
三位は宮本洋一さん。

ベストグロスは宮本洋一さん。

ドライビングコンテストは、
宮本さん、亀谷しづえさん、結城義晴。

ニアピン賞は結城義晴。
これはバーディのおまけつき。

自分の成績がいいときだけ、
発表してしまう。

私は病み上がりだし、
お許しを。

明日はザ・カントリークラブジャパン。
2日目はどんな展開になるやら。

さて、「新店ドラ」IMG_9813
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2章 あなたの「お店」の強みは何か
3章 店長が行う「マネジメント」
4章 マネジャーはどうやって「組織」を引っぱっていくべきか
5章 店長の最大の任務、「マーケティング」と「イノベーション」
6章 「成果を出せる」店長の条件
エピローグ:ドラッカーと倉本長治「商売十訓」

一度手に取ってみてください。
お願いします。

さあ、1年最後のゴルフ。
頑張ろう。

〈結城義晴〉

2021年12月27日(月曜日)

「人の悪口を言わない」ってかっこいいなぁ。

Everybody! Good Monday!
[2021vol52]

2021年第52週。
12月最終週にして2021年の最終週。
1年間、何とかやってきた。

不思議なことに、
今年も風邪をひかなかった。

そんなことを思っていたら、
商人舎編集スタッフの鈴木綾子が言った。
「私、この2年間、
風邪、ひかないんですよね」

悪いこともあれば、
良いこともある。

「右・左。上・下。
どっちを向いても感謝」
故水口健次先生の言葉だ。

そんなことを思った。

朝9時、東京・御成門。
慈恵大学病院本院。

炭山和毅教授に面会。
12月8日に、
大腸ポリープの摘出手術をしてもらった。

2つのポリープがあって、
その1つが大きかった。

摘出した検体の分析が終わって、
その報告を受けた。

「結城さん、良性でした。
良かったですね」

「ありがとうございます」

「また2、3年後に内視鏡検査をしましょう」

「2年後にお願いします」

ほっとした。

ふたたび、
「右・左。上・下。
どっちを向いても感謝」

大手町プレイス内科の田嶼尚子先生が、
私の主治医だ。

別の病院の人間ドックで検査したら、
大腸のポリープが見つかった。

その結果を毎月糖尿病の検査をしている、
大手町プレース内科で、
田嶼先生に相談したら、
その場で炭山教授に電話してくれて、
サクサクと検査や入院、手術が決まった。

ありがたい。

病院や医師の先生は、
超のつく一流にお願いすべきだ。

右目の緑内障も、
私は富田剛司先生にお願いして、
何とか光が見える状態を維持している。
東邦大学病院の名教授だった。

イオン名誉会長の岡田卓也さんは、
イオンの人たちに言っている。

「なんでも超一流の先生に頼め」

その通りだ。

慈恵大学病院での面談のあと、
1階に入っているカフェテリアで、
コーヒーを飲んでサンドイッチを食べた。

ディーン&デルーカ。
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テラスがある、明るい店だ。IMG_98251

アボカドとベーコンのサンドイッチ。
そしてカフェラテ。
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マンハッタンのディーン&デルーカよりも、
断然、美味い気がした。

みたび、
「右・左。上・下。
どっちを向いても感謝」

それでも今日は今年最後の原稿書き。
終わるかなぁ。

ほぼ日刊イトイ新聞。
巻頭言は糸井重里の「今日のダーリン」
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お正月がくると、
糸井さんが元旦の「ほぼ日手帳」に、
記すことがある。

「人の悪口を言わない」

「ひとつの約束のようなものですが、
他人には言いません」

「そう書きたいと思う気持ちがあるから、
書くのです」

「一年、その約束を守れたかといえば、
ま、その、おそらく一度も
守れたことはありません」

「ただ、そう記しておいたせいで、
ぼくが人の悪口を言う機会は
減っていると思います。
書いておかなかったら、
もっと言っていたでしょう」

そうだろうな。

「そして、ぼくが人の悪口を言うことは、
おそらくですが、かなり少ないほうだと
思いますよ(自己認定)」

わかる。

「こんなことを言うと、
“どういうときに言ったか?”
読んでる人は気になってくると思うのですが、
そういうことは教えません」

「どういう場で言うかについては、
はっきりしています。
親しい人しかいない場所で言ってます」

私も同じだ。

「おそらく、いちばん聞いているのは
愛妻だと思います」

愛妻は女優の樋口可南子さん。

「愛妻の悪口は、
その場では言いません。
いや、いっさい、言いません」

「言うときは、ひとりで
布団かぶって泣きながらです」
(これ、冗談)

「人は、人の悪口を言うのが
自然ではあると思うのです」

そうかもしれない。
私も悪口を言う。
気分がささくれ立っているときなど。

「ただ、その自然を自然と認めた上で、
“人の悪口を言わない”ってかっこいいなぁ、
そういう人になってみたいなぁ、
とも思うのです」

同感、同感。

「逆に、
人の悪口ばっかり言う人を見ていると、
いくら”出物腫れ物所嫌わず”だとは言っても、
そういうのはかっこわるいなぁ、
と感じてしまいますし、
あんまりその人のそばに
いたくないなぁとも思います」

悪口を言う人が悪口を言っている席に、
一緒にいたくはない。

「と、これをこう書いただけで、
人の悪口をよく言う人は、
“そういう態度がよくない”と言うでしょう」

そうだろうな。

「正か邪かではなく、
憧れとか美意識の話なんですけどね」

「”人の悪口を言わない”人を
ぼくはかっこいいと思ってる。
だから、そういう人のように
なってみたいと考えている」

私もそう思う。
露骨な自慢話をしないのも、
かっこいいなぁ。

「そうすると、そういう考えに
近い人とつながるようになる」

同感。

「そんな、少年野球の子どもが
大谷翔平に憧れるような、
“かっこいいよなぁ”みたいな
ことなのかもしれません」

「また、新しい年も、
同じことを書きそうな気がしてます」

納得。
今日はとくに大納得。

私もそうしよう。
元旦に書いてみよう。

糸井さんのように考えると、
とくに商人は「人の悪口」を言ってはいけない。

言っては商売にならないから、
人の悪口を言う商人は少ない。

それは良い産業なのだと思う。

今日はとくにそう思う。

では、みなさん、今週も。
悪口は言わない。
気分がいいもんです。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2021年12月26日(日曜日)

新保民八「滅びてもよし」と「断じて滅びず」の間にあるもの

2021年も終わろうとしている。
ひどく寒くなった。

昨日の土曜日も執筆。
今日の日曜日も執筆。

なかなか進まない。

それでも今年最後の原稿書き。
ブログは別として。

『あきないの心』
「繁昌を招く倉本長治の88のことば」あきないの心2
88の文章のうち一遍だけ、
倉本以外の筆になるものがある。

新保民八の一文である。

1901年生まれ、1958年没。
20世紀が始まった年に誕生し、
その20世紀の前半を生きた。

倉本長治の盟友の一人として、
商業界設立に参画した経営指導家。

霊南坂教会神学校で学んだキリスト者。
同志社大学を経て、米国に留学。
戦前のマーケティングを習得した。
帰国後、花王石鹸㈱(現、花王㈱)常務。
宣伝広告の専門家だった。

1948年、倉本とともに、
雑誌『商業界』を創刊し、
初代主幹に就任した。

私は直接聞いたことはないが、
演説の名手だった。
テープが残っている。

その火を吐くごとき弁舌は、
倉本以上のものがあって、
多くの商業者に激しい感動をもたらした。

熱を帯びてくると、
壇上から降りてきて、
聞き手の胸ぐらをつかんで、
「なぜ、わからないんだ!」と叫んだ。

その熱がまた多くの聴衆に伝わっていった。

この小文のタイトルは、
「正しきに依りて滅ぶる店あらば
滅びてもよし断じて滅びず」
新保民八1
「私は日本が敗戦の惨めな状態に陥ったとき、
毎日泣いた」

「そうしたら私の友だちが、
立ち上がれ、
そんなことでは駄目だぞと言って
教えてくれた歌が、平田篤胤(あつたね)の
『正しきに依りて滅ぶる国あらば
滅びてもよしかならず滅びず』
という実にいい歌だった」

「私はこの歌によって奮起し、
ふたたび働く気持ちになった」

「それを諸君にそのまま伝えるならば、
『正しきに依りて滅ぶる店あらば
滅びてもよし断じて滅びず』である」

「もし、あなたが正しい商人として、
信念ある商人として、
科学性に立脚して、
目標を正しく進んでゆくのに対して、
受け入れないような世間であるならば、
それはよこしまな世間じゃないか、
邪悪な世間じゃないか、
われわれが一致して、
生きる価値のない世間なのだ」

「だが、そうじゃない」

「大衆は真実を求めているのだ。
正しきことを考えて、
正しきによりて滅びる店があるならば、
滅びてもいいじゃないか、
こう思い切るならば、
断じて滅びるはずはないんだ」
(新保民八講演集『愛と真実の商道』より)
愛と真実の商道

商業界に入ったころ、
倉本長治よりもむしろ、
私は新保民八に感動した。

倉本は存命であったが、
新保は没していて、
神格化されていたからかもしれない。

そしてこの新保の言葉を突き詰めて、
私なりの結論を導き出した。

新保の言う「滅びてもよし」と、
「断じて滅びず」には、
一瞬の間がある。

それは何か。
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そして雑誌の巻頭言で発表した。
「滅びてもよし、断じて滅びず」

新保民八の言葉。
「正きによりて滅ぶる店あらば、
滅びてもよし。
断じて滅びず」

新保は何よりも、正しくあれ、と諭す。
そして正しくあるならば、
滅びてもよし、と言い切る。

現実を顧みると、
正しくないものは即座に、滅びる。

しかし、正しさを唱えるものが
滅びてしまうことも、ある。

なぜか。
なぜ、正しくあることを目指しているのに、
滅びるのか。

それはイノベーションがないからである。

イノベーションとは、
不断の自己革新である。
「店が客のためにある」ことに向けた
自己変革である。

『商売十訓』の第二訓、
「創意を尊びつつ良いことは真似ろ」は、
イノベーションの考え方を明らかにしている。

「良いことを学び、実行する」
「創造力を働かせ、実践する」
両方を実現させ続けることが、
自己革新である。

原点を貫くための原則を新保は、
「滅びてもよし。断じて滅びず」と、
心意気を示すように訴える。

だが私は、
「滅びてもよし」と「断じて滅びず」の間に、
「自ら、変われ」「自己革新せよ」という
強い意志が横たわっていると考える。

経営の革新と技術の変革は、
滅びぬために不可欠だからである。

商いの原点と原則は、
「正義」を貫き、
「革新」を続けることにあるのだ――。

残り僅かな2021年を噛みしめ、
自己変革の2022年にしたいものだ。

〈結城義晴〉

2021年12月25日(土曜日)

Xmasの贈り物は「新装版 店長のための《ドラッカー講座》」

12月25日。
Christmas。

私はキリスト者ではない。
けれど完全中高一貫教育の学校に通った。
この学校はカトリックを教義としていた。

私もカトリック研究会に属して、
福音書を読んだ。

まだまだ10代だったが、
欧米人の教養の一端に触れたいと考えていた。

そしてその目的は果たしたと思っている。

クリスマスはそんな中学高校時代を、
強く思い出させてくれる。

大学を出て、社会人になって、
30年務めて、退社した。

そのあと立教大学に縁があって、
社会人大学院の特任教授となった。

こちらはイギリス国教会を母体としていた。
だから就任のときも退任のときも、
ミサを開いて迎え、送り出してくれた。

カトリックにも、
イギリス国教会にも属していないけれど、
クリスマスは特別の気分になる。

朝日新聞の巻頭コラム。
昨日の「天声人語」

「大学時代の記憶では、
クリスマスはつらい日だった」

「恋人と過ごさねばならないという空気が
あまりに強かったからだ」

私のころはそんなことはなかった。
多分、コラム子は50代後半か60代前半だ。

「相手のいない者同士で集まり、
アパートで焼酎を飲んでいた」

「とはいえこの日と恋愛を結びつけるのは、
日本独特の習慣にすぎない」

タラ・ムーア著『図説 クリスマス全史』
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クリスマスの祝い方は世界各地で、多様だ。

そのなかで19世紀の英国で生まれたのは、
本をプレゼントする習慣。

これはなかなかいい。

私もクリスマスや誕生日に、
本をプレゼントしたことがある。
気に入られるかどうかは、
リスクがいっぱいだけれど。

「出版社はクリスマス前に
特別な本を出すことに力を入れ、
作家や挿絵画家、植字工の
仕事の進め方を変えてしまった」

ルイス・キャロルも、
『鏡の国のアリス』の執筆を、
クリスマスに間に合うように急かされた。

今年のクリスマス。
出版社から本が届いた。
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新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》

そう、10年前に上梓した自分の単行本の、
新装版である。

印刷したばかりの見本。
その印刷の臭いがする。

株式会社イースト・プレスからの発刊。

奥付に記された第1刷発行日は、
2022年1月26日。

それでもすでに、
イースト・プレス社のホームページには、
広告が出ている。
もちろんAmazonにも。

11月下旬に初版の原稿にすべて手を入れて、
完全に書き直した。

前回は東日本大震災の直後で、
今回は新型コロナウイルス感染の最中。

もちろん原稿の大筋はそのままだが、
ケーススタディや事例はアップデートした。
一言一句の表現に関しても、
気になるところは全面的に訂正した。

だからずっと読みやすくなったと思う。

新原稿を脱稿してから編集者に渡し、
その後、慈恵大学病院に入院する直前に、
3日ほどで全ページの校正をした。

最後の最後に書き直した「はじめに」だけは、
編集者の責任校了にしたけれど。

それが刷り上がって、送られてきた。
装丁もデザインも、
私、とても気に入っている。

今回は「新店ドラ」と略称する。
ぜひ、読んでください。

朝日新聞一面コラム「折々のことば」
第2243回。

甘うておいしいお菓子を、
こうぇえ顔して食べる人は
おらんでしょう。
(和菓子屋の娘、安子)

「怒りょっても、くたびれとっても、
悩みょうっても、自然と明るい顔になる」と、
店を訪れた、のちに夫となる学生に
主人公の安子が語る。

お菓子屋さんは良い仕事です。
パン屋さんも花屋さんも、
小売業やサービス業はみんな、
いい仕事です。

編著者の鷲田清一さん。
「人は落ち込めば食欲をなくし、
言葉も失い、歌を忘れる。
その凍りついた口元をゆるませるのが
餡子(あんこ)の甘み」

「その味に救われている人が今もきっといる」
(NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
脚本・藤本有紀の11月5日放送分から)
無題

「新店ドラ」も、
そんなおいしいお菓子のような本でありたい。

Merry Christmas!

〈結城義晴〉

2021年12月24日(金曜日)

ドストエフスキーの「神と金」と「儲けることの目的」

クリスマス・イブ。

とはいっても仕事。
多分、明日のクリスマスも仕事。

原稿の執筆と入稿。

今年最後の雑誌づくり。
力が入ります。

もうこうやって、45年。

雑誌づくりのために、
取材し、資料を読み、現場を訪れる。
つまり研究する。

それらを総括して、
一定の結論を出す。
それが一冊の雑誌となる。

その合間に、
研修をやったり、講演したり。
その合間に単行本を書いたり。

少しずつ一歩ずつ、
真理に向かって進んでいく。

それが私の仕事です。
それが私の役目です。

いくつになっても、
止められない。
止めてはいけない。

今日はオフィスのそばの歯医者へ。
急に冷たいものを飲むと、
歯が染みる状態になった。
虫歯ではない。

軽い「象牙質知覚過敏症」だと診断された。
歯の磨き方を基本からレクチャーされる。

毎日、丁寧にそれを続けると治る。

12月を振り返ると、
まず大腸ポリープの切除で慈恵大学病院、
糖尿病の治療で大手町プレイス内科、
緑内障の治療でお茶の水井上眼科、
そして知覚過敏症で浅間台歯科医院。

2021年12月は病院巡り月間だった。

幸いにしてこの2年間、
新型コロナウイルスには、
感染しなかった。

それが私へのクリスマスプレゼントだろう。

歯科医院の前の公園の木々。
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小学校は今度の日曜日から冬休みだ。
それでも子どもたちが大勢、遊んでいる。
その声が弾んでいる。

クリスマスのプレゼントが、
待っているからだろうか。

葉のなくなった木々の枝が、
青空に映える。
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2本の銀杏の木。
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師走の空に枝を伸ばす。
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残念ながら横浜は、
雪のクリスマスにはならない。
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日経新聞の一面コラム「春秋」

ロシアの文豪を取り上げる。
フョードル・ドストエフスキー。
(Фёдор Mихáйлович Достоевский)

今年生誕200年、没後140年を迎える。

「ドストエフスキーは
常にお金の問題で悩み続けた」

「自身の賭博癖。
無心に群がる親戚たち。
人生最後の文章も、
小説の印税を早く払ってほしいという
編集者へのお願いだったという」

わかるなあ。

「文豪の素顔は妙に人間臭い」

だから文豪の長編小説にも、
何度もお金が具体的な金額を示して登場する。

『カラマーゾフの兄弟』では、
「現金3000ルーブルが殺人事件の鍵になる」
カラマーゾフの兄弟

現在1ルーブルは1.55円だから、
3000ルーブルは4650円だが、
ドストエフスキー時代の19世紀には、
1ルーブルが現在の1000円相当で、
3000ルーブルは300万円ぐらいだった。

当時の可処分所得にすると、
1500万円くらいだろうか。

『罪と罰』でも、
主人公の貧乏学生ラスコーリニコフが、
金貸し老婆を殺してしまうが、
質草として父親の形見を持ち込む。
その質草の銀時計の値段が、
利子天引きで1ルーブル50コペイカだった。
罪と罰

1500円と言ったところか。
これは情けないほど安い。

ドストエフスキーは、
信仰の意味など深遠な議論を展開しつつ、
金に翻弄される人間を描く。

コラム。
「当時のロシアは
急速な近代化で混乱の中にあった」

社会学者の大沢真幸さんが解説する。
「この作家には神と金が生涯の問題であり、
両者を重ねて見ていた」

今でもそれは人間の悩みの根源である。

その大沢さんの分析。
「金が新たな神となったのが
資本主義であり、
神を巡る精緻な議論は
資本主義の長所と困難を考える
ヒントとして今も有効だ」

渋沢栄一の『論語と算盤』も、
神と金に置き換えることができる。

商売の長所と困難をも考えさせられる。

コラム。
「世情が不安定な時ほど
ドストエフスキーの読者は増えるそうだ。
だとすれば文豪の地位は安泰だが、
素直に喜びにくい」

クリスマスイブの今日。

商売の神様は、
儲けることを正当だとしつつ、
金に対して、

ストイックであれと教える。

倉本長治が書いている。
「金を儲けて富み、尊敬されても、
多くの人を支配しても、
心さびしく、幸せだと感じることのない
哀れな人びとの多いことは、
みんなにもよくわかっている」
倉本長治モノクロ2
商売やビジネスの目的が、
金を儲けることになってしまっては、
いけない。

〈結城義晴〉

2021年12月23日(木曜日)

島田陽介対談の「速射砲島田節」と「人事部教育・教育部教育」

冬至の翌朝の柚子湯。
実にいい。

柚子の香りが強くなって、
ある種の恍惚感が湯船に漂う。

横浜の朝の最低気温は6℃。
体も芯から温まる。

ありがたい。

今日はお昼頃、
商人舎オフィスに出社。

午後2時から、
ZOOM対談。
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お相手は、
島田陽介先生。
1936年生まれの85歳。

こんなご時世でもあるので、
ZOOMミーティングにした。

私が㈱商業界に入ったころ、
倉本長治商業界主幹を筆頭に、
成長する産業に綺羅星のごとく、
偉大な指導者の先生方がおられた。

川崎進一先生、
渥美俊一先生、
奥住正道先生、
城功先生、
藪下雅治先生。

皆さん、故人となられた。

一方で商人道や商業界精神が啓蒙され、
他方でチェーンストア理論が構築された。

この一廻り下の世代が、
故高山邦輔先生、
島田陽介先生、
石原靖曠先生、
山本浩史先生。

私にとって恩人ばかりだ。

これらの先生方を、
販売革新の緒方知行編集長が、
仕切る形で座談会を開催し、
執筆原稿を満載して、
流通革命を推進する雑誌をつくった。

そしてセミナーでは、
パネルディスカッションを展開した。

私は駆け出しの編集記者だった。

その島田先生に、
10数年ぶりにお会いした。
商業界の社長時代以来のことだ。

そして2時間以上も語り合った。IMG_E00631

現在も現役コンサルタントとして、
執筆やオンラインセミナー出講、
そして経営指導に活躍中だ。

速射砲のような島田節は、
85歳になった今も、
まったく変わらなかった。

「緒方さんが亡くなって、
誰も話す人がいない。
わかる人がいない」

私も商業界を離れて、疎遠だった。

島田先生も実に楽しそうだった。
1時間半を過ぎ、2時間を過ぎても、
それは止まらなかった。

私もうれしかったし、楽しかった。
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この長編対談は、
月刊商人舎新年1月号に、
たっぷりと誌面を取って掲載する。

対談というよりも、
今回は島田陽介の激白か。
そこに結城義晴の述懐を書こうか。

オフレコのコメントも、
次々に出てきて、
ハラハラさせられる内容もあったが、
実に刺激的で面白かった。

ありがとうございました。

2016年と2019年には二度、
石原靖曠先生と対談した。
リアルミーティングだった。
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石原先生は1935年生まれで、
現在は86歳。

このときも、
私は楽しかったし、
うれしかった。

私もお二人を見習って、
生涯現役で行きたい。

さて日経新聞電子版「経営者ブログ」
㈱IIJ会長の鈴木幸一さん。
日本のインターネットの草分け。

毎週火曜日に欠かさず執筆する。
suzuki_s
「最近はAIという言葉を使えば、
利用されたAI がどのようなものなのかは
一切説明されず、その信ぴょう性を疑わず
報道されてしまうこともあるようだ」

そうだ、そうだ。

「どんなパラメーターを設定し、
推測統計の手法を使おうと、
AIという言葉をかぶせることで、
一も二もなく信用されてしまう」

「DX」もまったく同じだ。

それ以外にもこういったことは、
たくさんある。

「出雲大社の
縁結びのお札の効能とは違うのだから、
どのようなAIを利用した結果、
このような推測値が出た
という説明を付与すべきだと思う」

同感だ。

「ところが、
AIという言葉をつけるだけで
信用され、説得されてしまうとすれば、
それはそれで危険である」

「クラウドに始まって、
あらゆるモノがネットにつながる
“IoT”に至るまで、
IT(情報技術)の利用について、
あらゆる可能性が報じられている」

何でもできるという錯覚すらある。

「ITの将来に関して
これらのキーワードが示す内容が、
いまだ未成熟な過程にあるにもかかわらず、
政府から民間に至るまで、
あたかも明確で共通な概念であり、
同じ認識をしているものとして
捉えられているとしたら、
ある意味で将来に禍根を残しかねない」

国や産業や企業が、
“クラウド化を徹底する”という方針を出す。
異を唱える者はいない。

しかし肝心のクラウドに対する認識が、
それぞれのレベルで異なっている。

「現にクラウドについて、
単なるサーバーのこととしか
認識できない要人がいることを見るにつけ、
私の心配は大きくなるばかりである」

だからITリテラシーが必須になる。

しかしITやAIやIoTにかぎらない。

「マネジメント」も「組織」も、
「教育」や「人材」の概念ですら、
その中身は千差万別、
天と地ほども異なる。

同じマネジメントでも、
アンリ・ファヨールと、
ピーター・ドラッカーでは、
正反対と言えるほど違う。

古典的チェーンストア理論では、
その「管理」や「マネジメント」は、
ファヨールの考え方をもとにしている。

しかしドラッカーは、
それを激しく批判した。
ヘンリー・ミンツバーグも、
ハーバート・サイモンも、
ファヨールを否定している。

それでも「マネジメント教育」は、
ファヨール理論を基本にして、
今でも平気で行われている。

たとえば「教育」や「研修」に関しても、
人事部や教育部は、
新入社員教育や店長研修を考える。

しかし、
その人事部教育や教育部教育こそが、
その前に必要である。

最も必要なのは、
トップマネジメントの教育や研修だ。

そしてなにを、どう教育するかが、
一番大事だ。

もちろん、
「チェーンストア」に対する考え方も、
渥美俊一と島田陽介とでは、
まったく異なる。

いったいどんな会社にしたいのか。
どんな使命をもつのか。

すべてはそこから始まる。

島田陽介先生との対談。
楽しかったなぁ。

〈結城義晴〉

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