結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2026年06月09日(火曜日)

第26回ミドルマネジメント研修会の「賢者は歴史に学ぶ」

新横浜から新幹線に乗った。

そして熱海駅。  IMG_3463.jpg2

車で湯河原に向かう。
相模湾は静かだ。

右手に初島が見える。
その奥には伊豆大島も。
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今日から、
商人舎ミドルマネジメント研修会。
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6月9日~11日の2泊3日の缶詰セミナー。

2012年5月に1回目を開催して、
毎年2回ずつ実施している。

コロナ禍中は中止したものの、
14年目の今回で第26回を数える。
2000人以上の修了者を輩出している。

会場は「ニューウェルシティ湯河原」
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神奈川県と静岡県の境界線にある。
もちろん、住所は静岡県。

梅雨空だが、新緑はみずみずしい。

しかしこの周辺にも、熊が出没したらしい。
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会場はいつものように、
天井高のある大観の間。
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2008年2月1日に商人舎を設立した。
そして4月17日に発足の会が開催された。
結城挨拶

ありがたいことに、
93人の発起人のみなさんが、
商人舎の在り方を支持してくださった。

その93名の方々のうち、
もう23人のみなさんが亡くなられた。

心から感謝しつつ、
志を新たにした。

この発足の会で私は、
3時間の講演をした。
「小売流通サービス業
21世紀の日本を救う」講演4

私は一世一代の講演をした。
講演会

ミドルマネジメント研修会の冒頭はいつも、
この発足の会の講演の再現。

志を共有したいからだ。IMG_7316

商業の基幹産業化のために必須のこと。
それが近代化の精神。

そしてそれは倉本長治の考え方だ。
イオンの岡田卓也さんは、
長治先生の一番弟子だった。
「エルダー」と呼ばれた。

伊藤雅俊さんも大髙善雄さんも、
倉本長治の教えを受けた。

だから現在のチェーンストアは、
みな、商業近代化の思想をベースにしている。

それが「店は客のためにある」

そして「商売十訓」

これらが不思議なことに、
ピーター・ドラッカーの考え方と同期している。IMG_7312

それから商業近代化の歴史を辿る。
「賢者は歴史に学ぶ」

私はいつも、
「三井高利」の「店前現金掛値無」から始める。

イノベーションのルーツは、
ここにある。

歴史の合間には、
ラストワンマイルの「勝者総取り」の話が出てくる。

さらに1980年から、
アメリカでコンビネーションストアが登場する。
ここからチェーンストア3.0が始まる。IMG_7331

さらに基幹産業化のためには、
顧客満足と従業員満足が不可欠だ。IMG_733422時間の講義が終わると、
30分のコーヒータイム。

16時からは鈴木哲男講師。
㈱REA会長。

ご存じ、52週マーチャンダイジングの大家。
講義は52週MDとストアコンパリゾン。
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具体的な事例と図表を駆使して講義してくれる。
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52週MDは組織風土を変える活動だ。
そのための「作・演・調」の役割、
目指すべき風土、
スーパーマーケットのポジショニング分析など、
その講義は多岐に渡る。

けれども実践的だから、わかりやすい。
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商人舎刊の『流通RE戦略』を、
サブテキストにして講義。
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3講義、3時間半。
すべての講義が終了したのは20時。

お疲れさまでした。
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すぐにレストランで夕食。
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刺身、豚鍋、ローストビーフ、釜飯と、
盛りだくさんの料理。
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会話しながらも、食は進む。
湯河原で開催するのは、
この食事と癒しの温泉があるからだ。

缶詰セミナーだからこそ、
こうした環境が必要なのだ。
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講師陣と事務局はビールをいただく。
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年に2度、この研修会で会うのが、
鈴木講師と高野保男講師。
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高野さんは明日午前の講義を担当する。
お二人とも年に2度の逢瀬を、
楽しみにしてくださっている。

26回目の講義、ありがとうございます。

食事のあと、受講生たちは、
それぞれに復習に勤しむ。

明日の理解度判定テストのためだ。
部屋で、ホワイエで、
自習室として開放された研修会場で。
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23時前にその様子を見に行く。
みな、真剣に復習している。
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健闘を期待している。

朝日新聞「折々のことば」
今日の第3655回。

英知は、長いあいだ
正しく維持された人間関係から
生まれるのだ。
〈エドワード・M・フォースター〉

「人の英知はたしかに
『年月の産物』ではあるが、
必ずしもつねに経験の蓄積や
知識の多寡に拠(よ)るわけではなく、
それ故『予言者やガイド』の役を
果たしうるものでもない」

「それは人と人との交わりの中で
数知れぬ訂正を経て育まれるもので、
その意味で、関係において
最後まで破られなかった何かだと言えよう」

評論『老年について』(小野寺健訳)から。
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歴史は、
人の英知の積み重ねによってできている。

その英知は、
正しく維持された人間関係から生まれる。

私たちはそれを伝えていきたい。
(つづきます)

〈結城義晴〉

2026年06月08日(月曜日)

商人舎6月号巻頭Message「さようなら、鈴木敏文さま」

Everybody! Good Monday!!
[2025vol㉓]

2026年第24週。
6月第2週。

横浜も梅雨入りしました。

今週は火曜・水曜・木曜が、
商人舎ミドルマネジメント研修会。

来週は水曜・木曜が、
商人舎バイヤー研修会。

2週連続のセミナー。

その間の今週6月10日に、
月刊商人舎6月号発刊。

巻頭の[Message of June]に追悼文を書いた。
発刊前だが一足先に紹介しておこう。
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さようなら、鈴木敏文さま

あなたは「コンビニの父」と呼ばれました。
あなたがつくったセブン-イレブンは、
あなたのたぐい稀なる経営力によって、
商業史に燦然と輝く企業となりました。
祖業のイトーヨーカ堂を凌ぐ小売業となりました。
さらに日本のすべてのコンビニエンスストアは、
先陣を切るイノベーターをひたすら追いかけながら、
立派なフランチャイズチェーンとなって成長しました。
その結果、コンビニエンスストアは、
日本小売産業を代表するトップ業態となりました。
最も小さな売場と最も狭い商圏の店舗によって、
あなたは日本最大の小売りビジネスをつくりました。
チェーンストアの革新的なモデルを創造しました。
しかもあなたは専門経営者でした。
ほとんどがオーナートップのこの商業世界のなかで、
あなたはサラリーマンとして統率力を発揮しました。
それを決意し、それをやり遂げました。

しかし際立った事業家である以上に、
あなたは現代の社会革命家でした。
あなたは日本国民の生活をガラリと変えました。
365日24時間を当たり前のライフスタイルにしました。
休日にも深夜にも人々はコンビニに立ち寄って、
おにぎりや弁当やサンドイッチを手に入れました。
手軽な挽き立てコーヒーを楽しみました。
コンビニエンスな生活の糧を獲得しました。
あなたは小さな店を銀行に変え、
役所にし、郵便局にしました。
あくまでもお客さまの立場に立って、
仮説をつくり、それを実践し、
検証を繰り返しました。
その日々の活動によって、
日本の国民が欲するであろうニーズを先取りし、
その問題解決に勤しむ組織を育てました。
国民が抱える問題を解決するために、
セブン-イレブンの社員だけでなく、
すべての加盟店オーナーを顧客志向に変え、
メーカーやベンダーの人々を巻き込み、
多くの若者たちを育てました。
革命は一人では成就しません。
あなたは多くの同志たちを叱咤し、
奮い立たせたのです。

あなたは原則に忠実な人でした。
あなたは厳しい人でした。
あなたは妥協を許しませんでした。
自分に厳格な人でした。
それらによってまた、
数多くの人たちが去っていきました。
けれどあなたはそんなことには目もくれず、
自分の信じることを貫きました。
あなたは孤独な人でした。
それが傑出した経営者であり、
優れた革命家であるための条件だったからです。
今、その孤独から解放されてあなたは、
多くの人々の記憶の中に残ることとなりました。

鈴木敏文さま。
ありがとうございました。
さようなら。  〈結城義晴〉2019120501-448x264

セブン-イレブン・ジャパンをはじめ、
米国のセブン-イレブン・インクも、
それからヨーク・ホールディグンスも、
鈴木さんの遺志を継いでほしいものだ。

もちろん先に亡くなった、
伊藤雅俊さんのご遺志を継承することも、
極めて重要だ。
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伊藤雅俊さんと鈴木敏文さん。
このお二人こそが、
セブン&アイ・ホールディングスをつくった。

それは「基本の徹底」と「変化への対応」を、
同時にやり遂げることだ。

あちらを立てて、
こちらも立てる。
「トレードオン」を実現させることである。

セブン-イレブンならば、
まだまだ執拗に、徹底的に、
コンビニエンスストアの可能性を、
追い求めることだ。

ファミリーマートやローソンに、
勝とう、負けないと考えることではない。

おにぎりの安売りをすることではない。
半額揚げ物販売タイムセールをすることではない。
お菓子無料クーポンなど効果があるか。

梅雨寒で気温が下がったら、
レジ横ホットドリンクやカップ麺を、
丁寧に売ることではないのか。

基本アイテムの品切れを防ぐことではないのか。

加盟店オーナーの負担を減らすことではないのか。
パートさんやアルバイトさんの、
仕事を軽減することではないのか。

フィールドカウンセラーが、
もっともっと頭を使い、
配慮をすることではないのか。

インフレの時に顧客はどう動くか。
仮説を立て、実行し、検証する。

基本を徹底し、
変化への対応をする。

そういった面で、
図抜けたチェーンストアでなければならぬ。

それは他の小売業も同じだ。

では、みなさん、今週も、
お客様の立場で、
Good Monday!

〈結城義晴〉

2026年06月07日(日曜日)

過去と未来の間の「人生の平衡感覚」

沖縄は5月4日に梅雨入りした。

九州南部が6月1日、
四国が6月2日、
九州北部、中国、近畿が4日に梅雨入りした。

東海と関東甲信は、
そろそろ梅雨入り。

急に寒くなった。
梅雨寒(つゆざむ)か。

ゼイバーズのコーヒーを淹れて飲んだ。
梅雨寒の朝の珈琲まるやかに

〈安立公彦〉

それから音楽でも聴くか。
梅雨寒や部屋いっぱいにビートルズ
〈岡山敦子〉

今週は国会の衆議院と参議院の予算委員会で、
酷いやり取りを見せつけられた。

朝日新聞「折々のことば」
鷲田誠一さんが続けて、
同じ作家の言葉を紹介してくれた。

第3652回。
人は……過去(うしろ)へ引っぱられ、
未来(まえ)へ引っぱられ、
いわば前後に存在をひろげて
生きている。
〈古井由吉(ふるいよしきち)

「だがこの広がりが急に狭まると、
人は『現在地、現在時』を見定められずに
前後不覚に陥る」

「そして時に思いもしない凶行に及びさえする」

ん~、文春砲が報じた事件もこれに違いない。

「齢(よわい)を重ねると
『情熱の尽きた故の興奮』なるものに
襲われたりするが、これを抑えるのは
存外難しい」

これはドナルド・トランプだ。
わが女性首相も。

「脈絡を見失うと
人生の平衡感覚も崩れてしまうから」

人生の平衡感覚は、
いくら歳をとっても、
崩してはいけない。

随筆集『裸々虫記(ららちゅうき)』から。
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つづいて第3653回。

過去は、
現在生きやすいようには、
積み重ねられていない。
蒲団(ふとん)を押入(おしい)れの中に
片づけるのとわけが違う。
〈古井由吉〉

「取り違えに物忘れ。
その一方で、知らないはずが知ったつもり」

「不安が濃くなるにつれて依怙地(いこじ)になり、
似ても似つかぬものの中に
『過去との符合』を強引に見てとる」

「前者では既知のものが消され、
後者では偽の既知感に覆われる。
だが根は一つ」

「年月が積もると、その重みに拉(ひし)げ、
歩行も鈍る」

これも随筆集『裸々虫記』から。

古井由吉は日比谷高校から、
東京大学文学部、同大学院。
立教大学助教授。

1971年、『杳子』で芥川賞。
「内向の世代」と呼ばれた。
自己の内面に入り込んで描く作風の作家たち。

『裸々虫記』は古井49歳の随筆。
1937年生まれの作家は、
若いころから老成していた。

人生の平衡感覚。
現在地と現在時の認識。

49歳くらいから、
強く意識しておいたほうがいいだろう。
商人にとってこの平衡感覚はとても大切だ。

私くらいの歳になると、
それは必須の感覚となる。

年月を重ねてこれが失せると、
思いもしない凶行に及びさえする。

だから自分で珈琲を淹れ、
好きな音楽でも聴いて、
平衡感覚を取り戻す。

ありがたい。

〈結城義晴〉

2026年06月06日(土曜日)

就活イベント「AEON Group Day 2026」と小嶋千鶴子の「愛情」

東京ドームシティプリズムホール。prismhall

「AEON Group Day 2026」
イオングループ合同採用イベント。

山本恭広編集長が取材に行った。aeon-enter

イオングループは約300社の規模となった。

そこで採用する学生に対して、
グループの理念やビジョンを紹介しつつ、
事業フィールドを知ってもらうイベントを開催した。

昨2025年に続く2度目の開催。

基本的に2027年以降卒業の学生が対象となっている。

イオンの人事部門が中心となって企画され、
グループ30社が参加して開催された。kaijo-zenkei

イオンリテール、イオン九州、
マックスバリ東海、カスミ、ウエルシア薬局、
イオンモール、イオンディライトなど、
主要の小売り企業や機能会社が出展した。

そのオリエンテーション会場。aeon-seminar

展示ブースを紹介し、
その回り方をガイダンスする。

そのなかでイオンリテールは、
食品、H&BCに分けて出展した。aeon-retail

U.S.M.Hは、
首都圏のスーパーマーケット4社の持ち株会社。
ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス。

傘下のスーパーマーケットでは、
カスミとイオンフードスタイルが出展。aeon-food&kasumi

まいばすけっとのブースには、
学生の立ち寄りが目立つ。aeon-mybas

イオングローバルSCMは、
サプライチェーンの中核となる会社。
学生の関心が高い。aeon-scm

イオンスマートテクノロジー。
グループのデジタル戦略の中核を担う。
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販売と接客から商品開発、物流、デジタル、
さらに農業まで。

イオンはあらゆる人材を受け入れる。
その領域の広さと懐の深さが表現されたイベント。

広報グループマネージャー末吉真さん(右)と、
リーダー壬生雅洋さん。koho
ていねいなご案内、感謝します。

6月13日には大阪で開催する。
東京・大阪の2会場で、
1000人の学生の参加を見込んでいる。

イオンの合同採用イベント。
社会に向けて小売業の存在を示す。

実にいい試みだ。

とりわけ人事部門が企画したことに意義がある。
人事がやることは組織づくりだけではない。
異動、採用などに関与するだけではない。

自ら組織の在り方を、
学生や世間に主張する。

それも有益なことだ。

月刊商人舎2018年1月号。
特集は「2018真の人間産業へ」
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この号の[Message of January]
人の強みを発揮させよ。

人間の、
人間による、
人間のための産業。
それが小売流通サービス業だ。

AIが仕事を変えようと、
IoTが広がろうと、
ビッグデータが活用されようと、
ロボットが現場に導入されようと。

人間の、
人間による、
人間のための産業。
それは変わらない。20180110_cover_02

この号の「特集のまえがき」を私は、
「真の人間産業構築を決意する」と題した。

その最後の文章は、
『あしあと』という本からの引用である。
イオン名誉顧問だった故小嶋千鶴子さんの著書。
非売品ながら正真正銘の「名著」。
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小嶋さんは岡田卓也名誉会長相談役の姉上。
戦前の1939年、㈱岡田屋呉服店の社長を務めた。

ジャスコ時代にも人事責任者として、
ヒューマンリソースマネジメントの、
基礎を築いた人だ。

この本の一節。

「人事は人間を知ることから始まる。
人間を知ることは、
人間を愛することから始まる。
愛することは理解することである。
よりよく知ることである」

人間を愛することから始まる――
小売業の在り方の根本だ。

「個々人は個々に違う。
違うことを知ることである」

「一人一人について、
過去どのように生きてきたかを知り、
今後どのように生きていきたいか
という希望を知り、
今どうしているかを知り、
目標をもたせることである」

イオンの基本のこの言葉、
すべての学生に知ってほしい。

小嶋さんは言い切る。
「人事担当者は知ることから始める。
そのためには、聞くことから始める。
注意深く見ることから始める。
基本は、愛情である」
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この「まえがき」を書いた結城義晴は、
感動している。

「人間の、人間による、
人間のための産業は、
ここから始まる。
すなわち一人ひとりを注意深く
見、聞き、知ることから始まる」

「AEON Group Day 2026」
来年も再来年も、
すっと続くのだろう。

そこで貫かれるものはこれだ。
「真の人間産業の基本は、
愛情である」

〈結城義晴〉

2026年06月05日(金曜日)

ヤマダ&エディオンの経営統合と「感動の正体」

台風が去って、
紫陽花の花が目立つ。

梅・桜からツツジ、
そして紫陽花。
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日本は四季がなくなって、
二季になったなどと言われるが、
花の移り変わりを見ていると、
確かに四季はある。

ツツジの色変化(へんげ)。
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淡い紫。
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紫。
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青。
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商人舎流通SuperNews。

ヤマダホールディングスとエディオンが、
共同記者会見を開いた。

ヤマダnews|
エディオンとの経営統合合意/2027年10月に持株会社設立

ヤマダホールディングスは、
山田昇会⻑兼CEO。
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エディオンは、
久保允誉(まさたか)会長兼社長。
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「対等」を基本方針とする経営統合。
合意書を締結した。

それぞれに取締会で決議して、
締結に至った。

山田さんは「くらしまるごと戦略」を掲げる。
久保さんは地域密着・アフターサービスを強みとする。

営業の親和性と経営の方向性が合致している。
だから相互補完でシナジー効果を追求することができる。

共同株式移転によって持株会社を設立する。
そして両社を完全子会社とする。

持株会社の商号は全く別とする。
それがいいだろう。

それくらいの対等合併である。

代表取締役会長に山田さん、
代表取締役社長に久保さん。

これもいい。

山田さんは83歳。

久保さんが76歳。

カリスマ二人で、
仲良く経営してほしい。

2026年3月期売上高は、
ヤマダが1兆6918億0800万円、
エディオンが7937億4600万円。

単純合計で約2兆5000億円の、
断トツ家電チェーンが誕生する。

2位のノジマは売上高9828億円。
その2.5倍のスケールとなる。

経営統合と新会社設立のあと、
2027年10月1日付けで、
統合会社の上場を目指す。

会社の融合こそが大事だ。

1位と5位の統合によって、
家電業界のM&Aは、
さらに加速するに違いない。

さて日経新聞夕刊のエッセイ。
「あすへの話題」
推理小説作家の今野敏さん。
「感動の正体」

「最近、ある文学賞の選考会のために
候補作を読んでいたときのことだ。
時代小説の短編集にいたく感動してしまった」

「なぜかは自分でもよくわからない」

「もちろん書き手が達者だったということもあるが、
そんなことが理由ではないはずだ」

「だいたい、感動の正体そのものが
よくわからない」

ここから小説に限った話。
「時折、不意討ちを食らうように
感動してしまうことがある」

「それも、(たぶん)作者が意図していない、
さりげない描写や台詞(せりふ)で、
まんまとやられることが多い」

わかる。

「長年創作を続けてきたので、
他人の作品を読んでも、
ここは力を入れているなとか、
ここが泣かせどころだなというような
作者の企(たくら)みはよくわかる」

「だから、逆にそういう場面では
あまり心が動かない。
本当に、不意討ちのようなものなのだ」

これも、わかる。

感動させるためのノウハウはある。

「まず、読者の意表をつくことだ」

「お約束の流れだと思わせておいて、
少しばかりひねりを加えるのだ」

「だが、企みはたいてい滑ってしまう。
あくまでも、自然な流れの中に、
意外性がなければならない」

「ここまで書いて、ふと思った。
不意討ち、相手が意図しない動き、
相手の意表をつくこと、
流れを敢(あ)えて断ち切る……」

「まるで、武道か格闘技の話をしているようだ」

今野さんは武道家でもあって、
少林流空手今野塾を主宰する。
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「そうか、感動が生まれる瞬間というのは、
武術や格闘技に通じるものがあるのかもしれない」

「まあ、それに気づいたからといって、
すぐに読者に感動してもらえるものが
書けるとは限らない」

結論。
「妙な企みなどせず、
常に真剣勝負をするしかないようだ」

この話は商売に通じる。

店や売場や商品で、
顧客に感動してもらいたい。

その感動の正体を知りたい。

まず、顧客の意表をつくこと。

お約束の流れだと思わせておいて、
少しばかりひねりを加える。

だが、見え見えの企みは、
たいてい滑ってしまう。
あくまでも、自然な流れの中に、
意外性がなければならない。

売場の中での不意討ち、
顧客の意表をつく。
流れを敢えて断ち切る。

ウォルマートにはそれがある。
サム・ウォルトンは、
この意表を突く売場づくりが大好きだった。

だからいまでも、

DNAとして残っている。

山田昇さんも久保允誉さんも、
そんなものをもっているに違いない。

それらのDNAを伝承してほしい。

極めてオーソドックスに進めておいて、
突如、意表を突く。

それが感動の正体なのだから。

〈結城義晴〉

2026年06月04日(木曜日)

日本ボランタリーチェーン協会60周年の「ポスト・モダン」

家電チェーンの統合が、
また一歩進んだ。

商人舎流通スーパーニュース。
ヤマダnews|
エディオンとの経営統合を検討、年商2.5兆円へ

ヤマダホールディングスは、
家電チェーン最大手。
2026年3月期年商は1兆6918億円。
エディオンは第5位で7937億円。
経営統合に向けた協議に入った。

統合すれば売上高は約2兆5000億円となる。

経済産業省の商業動態統計によれば、
2025年度の国内家電小売市場6.9兆円。
「大型専門店の家電チェーン」は、
その中で4.9兆円を占める。

ヤマダとエディオンが統合すれば、
大型家電チェーンの半分を占める。

「クリティカルマス」は、
経済の臨界量を示す。

マーケティングの世界では、一般に、
そのカテゴリーの中でシェア17%を超えると、
特別のご利益が与えられるとされる。

かつてコジマが、初めて5000億円を超えた。
しかし5000億円ではクリティカルマスに及ばず、
コジマはその後、失速した。

ヤマダは2009年度連結決算で、
年商が2兆0161億円となって、
一度はクリティカルマスを超えた。

その後、マネジメントの問題もあって、
クリティカルマスのご利益は得られなくなった。

しかしエディオンとの経営統合で、
今度は本物のクリティカルマスとなる。

月刊商人舎6月号の責了の日。
急遽、記事に加筆をした。

責了の1日遅れが、
このニュースを間に合わせた。

不幸中の幸い。
人間万事塞翁が馬。

さて、商人舎6月号の最後の原稿を書いてから、
東京湾へ。

新橋からゆりかもめに乗った。BCO.99ffed8b-254d-4363-a1a2-4c2523b85424

レインボーブリッジを渡る。
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グランドニッコー東京台場。vc-daiba

日本ボランタリーチェーン協会。
この一般社団法人の60周年記念大会。

協会として還暦を迎えた。

三部構成になっている。
第一部会場は地下1階のシャトレ。vc-b1

冒頭では協会60年の歩みを、
スライドで紹介。vc-hall

記念冊子が出来上がっている。
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井原實現会長のあいさつ。
井原さんは協同組合セルコチェーン理事長も務める。vc-ihara1

続いて功労者表彰。

3名が対象者。
それぞれの監督官庁から表彰状の授与。

全日本食品㈱の平野実社長は、
中小企業長官表彰。vc-hirano

続いて協会推薦の会長表彰は6名。

玉生弘昌さん(左端)も表彰された。
一般社団法人流通問題研究会会長。vc-award1

さらにVC本部推薦。
全日食チェーンの各地の協同組合理事長、
ジュエラーズジャパンの要職経験者を含む、
18名の皆さんが登壇。vc-award2

第二部は記念講演会。
講師は竹林正樹青森大学客員教授。vc-seminar

「行動経済学が変える中小小売りの未来」
頭でわかっていても行動しない要因を、
「認知バイアス」と呼ぶ。
行動したくなる環境づくりが「人を動かす」。
身近なケースを挙げて解説してくれた。

第三部は懇親会。
会場は29階の銀河。vc-party

会の冒頭で再び井原会長のあいさつ。vc-ihara-party

続いて来賓祝辞。

自由民主党元幹事長の甘利明さん。
政治家としてもっとも流通に詳しい。
今は講演家として引っ張りだこ。
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小泉進次郎防衛大臣が予定されていたが、
公務のため欠席。

代わりに祝電が寄せられた。

乾杯の音頭は、
中小企業基盤整備機構理事長の宮川正さん。vc-toast

続いて懇親。

井原實さん。
春の叙勲で旭日双光章受賞。
長男は井原ゆたか衆議院議員。
今年の選挙で初当選した。
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平野実さん。
協会副会長も務める。vc-z-hirano

玉生弘昌さんはいつもお元気だ。
㈱True Data取締役で、
毎月、オンライン会議でご一緒する。 vc-tamaniu

泉田幸雄さん。
2019年から2023年まで協会会長を務めた。
現在はVC協会名誉会長。vc-izumida

そして管野利雄さん。
長らく協会の専務理事を務めた。
91歳でも矍鑠(かくしゃく)としているvc-kanno
歴代の協会会長とは、
深いお付き合いをさせてもらった。

商業界の倉本長治主幹がまず、
この協会設立にかかわった。

第五代会長の故林信太郎さんは、
旧通産省の役人からこの協会の会長となった。
ジャスコの副社長もやっていた。

第六代の村内道昌さんは、
私の「元気を出そう」をとても評価して、
何度も講演をさせていただいた。

第七代の宮下正房さんは学者で、
東京経済大学名誉教授。

第八代の小川修司さんは、
経産省の官僚出身で、
私は月刊商人舎で対談した。

そして第十代が故齋藤充弘さん。
全日本食品㈱社長・会長を歴任して、
現場を重視した協会会長だった。

この60周年に齋藤さんがいないのは、
本当に寂しい。

そして第11代が泉田さん。
ドラッグストアの代表。

2013年12月の月刊商人舎特集は、
「ポスト・モダニズム・ボランタリーチェーン」
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「近代化」の次の「現代化」が、
ボランタリーチェーンにも求められる。

60周年記念の会でも、
それを強く感じた。

おめでとうございます。

〈結城義晴〉

2026年06月03日(水曜日)

台風一過/「経済は民間にあり」と「士農工商はまだある」

台風6号「チャンミー」

5月26日、フィリピン東のカロリン諸島付近で、
熱帯低気圧が発生。

翌27日午前9時、気象庁は、
台風6号になったと発表。

米軍JTWCも発達可能性を「High」と評価。

5月28日から30日、
北上しながら勢力を強め、
沖縄へ接近。

6月1日から2日、
沖縄・奄美を暴風域に巻き込む。

「沿岸型台風」の進路をとりながら、
本州太平洋側へ向けてスピードを上げた。

そして2日から3日にかけて、
西日本から東日本を駆け抜けた。
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静岡県では激しい雨が降り、
線状降水帯が発生した。

関東地方には今日昼前後に最接近した。

わが商人舎は自宅での仕事を指示した。
オフィスに近い者は出社した。

私も自宅で原稿を執筆し、
商人舎6月号の「特集のまえがき」を書き終えて、
午後、出社した。

それから夜まで、
もう1本の署名原稿を書いた。

夜9時には台風6号は、
関東の東で温帯低気圧に変わった。

台風に翻弄された責了の日だった。
そのためもあって、
1日分、雑誌の進行が遅れた。

さて、日経新聞「大機小機」
「経済は民間にあり」

コラムニストは硬派の一直さん。

私、大いに共感する。

「高市早苗政権は昨年11月、
17の重点分野を柱とした
成長戦略を閣議決定した」

「この中には、労働時間規制の緩和のほか、
特定分野の研究力を強化するための
大学改革なども含まれる」

「今後、日本成長戦略会議での議論を踏まえて
『骨太の方針』に盛り込み、
予算編成を経て実行段階に移る」

ちなみにこの会議の議長は高市首相。

コラムニストの表現。
「中国が製造強国を目指して打ち出した
『中国製造2025』を彷彿とさせる、
このような官主導の成長戦略で、
日本産業の競争力が強化され
日本経済の生産性が上昇するのだろうか」

中国の政策と似通っていると、
一直さんはオカンムリ気味。

ここで福澤諭吉「学問のすゝめ」を持ち出す。
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「明治維新以降の日本の経済発展の
社会的精神的基盤を築いた福沢諭吉は、
富を築き社会を豊かにするのは、
政府ではなく民間の自由な活動だと言い続けた」

その通り。

福澤はさらに、
経済の入門書『民間経済録』を著した。
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そしてこの中で、
自由な経済活動の重要性を繰り返し説いている。

この本は数万部も売れた。

しかし「明治14年の政変」以降、
文部省の学校教本検定で採用されなくなった。
この政変によって薩長閥は主導権を強化した。

「薩長閥を中核にした明治政府は1890年、
天皇を頂点に掲げた帝国憲法を施行し、
帝国議会を開設した」

「これによって戦前の官主導の経済体制が確立した」

コラムニスト。
「このような官主導の考え方は、
現在まで受け継がれてきているのではないか」

流通業に身を置いていると、
なおさらのようにそのことを感じる。

政府の経済計画としては、
1992〜96年度の宮沢喜一政権の、
「生活大国5か年計画」がある。

一直さん。
「今回、久しぶりに復活した」

そして強調する。
「福沢が言い続けたように、
『経済は民間にあり』ということだ」

賛成。

「企業の自由な競争こそが
成長の源泉なのだ」

1980年代初めには、
現在と同じように石油危機に見舞われた。
世界経済は同時不況に陥った。

「さまざまな省エネ技術革新で不況を乗り越え、
工業製品の多くの分野で世界をリードしたのは、
激しい競争で鍛えられた民間企業だった」

その通りだった。

このころエズラ・ヴォーゲルが、
『ジャパン・アズ・ナンバーワン』を書いた。
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「今回の成長戦略で
政府としての長期展望を示すのはよいが、
それぞれの重点分野で
関連企業が協力し合うということでは、
異次元の技術革新は生まれない」

「大事なのは、
財政が引っ張るのではなく、
自由競争の足かせとなる規制や慣習を
排除することだ」

「士農工商はまだある」
岡田卓也さんは言い切る。
イオン相談役名誉会長。

しかしだからこそ商業は、
自由な競争を主張し続け、
それを成長の源泉としてきた。

私も言い続けている。
「競争はあなたの仕事です」

今の政権、浅はかで、
僭越すぎる。

「経済は民間にあり」
福澤先生の言う通りだ。

〈結城義晴〉

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