結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2019年05月28日(火曜日)

ニコルソンの「外交」の鉄則と豊田章男の「数値目標はない」

68時間の滞在――。
そしてドナルド・トランプ大統領、
帰国した。
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全国紙、地方紙の巻頭コラムは、
各紙の達人たちが覇を競う。
情報網も読書量も豊富で、
したがって優れた内容ばかりだ。

その中で今日は、毎日新聞「余禄」

ハロルド・ニコルソンを登場させた。

20世紀初頭のイギリスの外交官で、
歴史家、政治家、作家。
「サー」がつく貴族でもある。

出身はオックスフォードで、
大学卒業後、英国外務省に入省。

パリ講和会議に参加。
著書の『外交』は世界中で、
教科書・必読書と位置づけられている。
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ニコルソンが活躍した20世紀前半には、
首脳同士の外交は例外的だった。

「ニコルソンは、
政治家の訪問外交を
批判した」

「その手の外交は
公衆の期待や誤解を引き起こし、
政治家当人の虚栄心を刺激して
誤った判断を誘発する」

ニコルソンの定義。
「外交とは会話や社交の術ではなく
国益を異にする国の間で
認証可能な合意を取り決める術だ」

余禄のコラムニスト。
「合意よりも首脳同士の親密さを
内外に示すショーが
“外交”となる時代の到来は
ニコルソンには想定外だったろう」

「首脳同士の親密な関係が、
もしや両国の国益の調整よりも
お互いの政権の都合の
すりあわせの場になってはいないか」

同じことは多くの人が感じただろう。

「国益を守るべき外交が
政治家の権力の小道具とされるのは
ニコルソンの悪夢であろう」

「仲良き事は美しき哉」
武者小路実篤。
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それもあるけど。

初夏の横浜。
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商人舎オフィスの裏の遊歩道。
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この数日は暑いけれど、
それでも快適。
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アジサイが咲き始めた。
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もう1週間ほどで梅雨入り。
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それまでは1年で最高のとき。

考えてみるとトランプ夫妻は、
最高の時季に日本にやってきた。
感じたかどうかはわからないが。

さて昨日の日経新聞「核心」
「トヨタ30兆円の城は盤石か」
論説委員の西條都夫さんが考察する。

トヨタ自動車の2019年3月期の連結売上高。
30兆2256億円。

「日本企業として初めて30兆円の壁を突破」

「大台突破は日本産業史の一里塚」
その意味を分析する。

まずは30兆円のスケール。
他社比較。

トヨタに続く2位はホンダ、
売上高は16兆円弱で約半分。

トヨタの連結営業利益2兆4675億円も、
ソフトバンクグループなどを抑えて、
日本一だ。

自動車と並ぶ「製造業の雄」電機。
日立制作所が9.5兆円、
パナソニックが8.0兆円。
トヨタの3分の1に満たない。

平成が幕開けした1989年頃は、
トヨタと日立、松下電器産業の3社は、
6兆~8兆円で団子状態だった。

平成の30年で差が開いた。

世界でも同規模の企業はそうない。
米フォーチュン誌の企業番付。

これは私の得意とするところ。
1 Walmart(アメリカ) 小売業5003億ドル。

ご存知、ウォルマート。

2 State Grid(中国)電力 3489億ドル。
3 Sinopec Group(中国)石油 3270億ドル。
4 China National Petroleum(中国)石油 3260億ドル。
中国の石油・電力・エネルギー。

5  Royal Dutch Shell(オランダ)石油 3119億ドル。

3000億ドル以上、
トヨタ以上はこの5社。

6 Toyota Motor(日本)自動車 2652億ドル。
7  Volkswagen(ドイツ)自動車 2600億ドル。

「有力な油田を掘り当てれば
数百億円単位の収入が転がり込む
資源会社などと異なり、
自動車会社は数万点の部品を組み合わせて
1台1台作り込む地道な仕事だ」

ウォルマートは10万品目の商品を、
1品1品売って50兆円だ。

「政府から独占権を得ているわけでもなく、
競争は激しい」

「そんな環境下での30兆円は、
相当に密度の濃い30兆円といえる」

ウォルマートも同様。

今年は豊田章男氏が社長になって、
10年の節目でもある。
もちろんトヨタ創業家ご出身。
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ここからが面白い。

「過去10年のトヨタの経営には、
他の会社にはあって当然のものが
なかった」

なにか。

「販売台数などの数値目標である」

おお。

「数値目標」がない。

「リーマン・ショック後の危機のさなか、
09年の登板直後から、豊田社長は、
前任体制へのアンチテーゼも込めて
“数値目標はあえて掲げない”と言い続けた」

数字なしでどうやって、
組織を引っ張るのか。

しかし、その後の10年で、
逆に数字のわなに足を取られた、
ライバルの失態が露呈した。

フォルクスワーゲンは、
「米国での100万台販売」を、
ヴィンターコーン元社長から厳命され
その技術陣は排ガス不正に走った。

世界販売600万台の旗を掲げたホンダは、
背伸びをしすぎて失速。

極め付きはゴーン日産の転落。
台数や利益率の「コミットメント」を、
経営の切り札として多用した。

考えさせられる。

コラムニストも言う。
「”数字なし経営”が、
どんな場面でも通用する
普遍的な手法かどうかは留保がつく」

しかし豊田章男さんは、
「頑固にこだわり続けることで、
独自の経営スタイルを確立した」

もう一つは、
「創業家出身ならではの大胆な意思決定」

住宅事業のトヨタホームを、
パナソニックとの共同出資会社へ移管。

米ゼネラル・モーターズとの合弁工場では、
「NUMMI(ヌーミー)」の閉鎖を決断。

電動化など「CASE」の新技術の領域でも、
ソフトバンクグループと提携した。

中国の新興メーカーへ、
小型車の設計ライセンスを供与する。

つまり、
オープン・イノベーション戦略を進める。

最近の一連の提携戦略も、
従来型自動車メーカーの殻を破る試みだ。

最後にトヨタの歴史の奇妙なジンクス。
⑴売上高が10兆円を超えた直後に
国内のバブル景気が崩壊。

⑵20兆円に届くと、
リーマン・ショックが起きた。

⑶30兆円に到達した今回も、
米中対立の激化など世界情勢は波乱含み。

「GAFAに代表される世界のデジタル企業も
自動車ビジネスの創造的破壊をもくろむ。
もしかすると嵐が来るかもしれない」

最後まで読むと、
西條都夫さんの豊田章男さんへの
一種のラブレター記事であることがわかる。

しかし、「数値目標なしの経営」は、
それ自体、ユニークだ。
アウトスタンディングだ。

かつて、鈴木敏文さんは、
「店を見るな!」と言い続けた。
セブン-イレブン創業者で、
セブン&アイ・ホールディングス前会長。
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それでもイトーヨーカ堂の社員たちは、
誰よりも競合他社を見ていた。

まったくの私見だが、
「数値目標」は表に出さないが、
トヨタの幹部や社員は、
どこよりも数字にシビアであるはずだ。

もともとシビアすぎるから、
「数値目標」を掲げないのだと思う。

それぞれの経営――
これこそ豊田章男のトヨタの経営だし、
鈴木敏文のマネジメントである。

〈結城義晴〉

2019年05月27日(月曜日)

トランプの「Commander in Cheat」と「噛む育」の食パン

Everybody! Good Monday!
[2019vol21]

2019年の第22週。
そして5月第5週。

1年で一番いい季節。
初夏のすがすがしさ。
花粉も飛ばなくなったし。

しかし昨日の日曜日は、
全国的な猛暑となった。

北海道佐呂間町では午後2時過ぎに、
39.5度を記録。

北海道内の年間最高気温記録を更新、
5月の最高気温の全国記録も更新。

53地点で猛暑日となって、
最高気温は35度を超えた。

そんな中、国賓の来日。
ドナルド・トランプ大統領。

新天皇即位のあと、
最初の国家元首の来日。

しかし到着直後にはヘリコプターで、
千葉県の茂原カントリークラブへ。

安倍晋三首相とのツーショットは、
「シンゾー」のスマホでの自撮り。
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こう見るとただの、
じいさんとおっさんのゴルファーだ。

楽しそうなところは、
同じゴルファーとして共感を覚える。

しかし。

リック・ライリー著『Commander in Cheat』
訳せば「イカサマ指揮官」。
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Cheat(チート)は動詞の場合、
「騙す、不正をする」という意味。

名詞の場合は、
いかさま(をする人)、いんちき(をする人)、
ごまかし、ずる、ずるいやつ、偽物、
カンニング、詐欺、詐欺師、詐取、
不正行為、だますこと、などを意味する。

サブタイトルは「How Golf Explains Trump」
「ゴルフで明らかになるトランプ」

ライリーはスポーツライターで、
「Sports Illustrated」誌の元記者。

「政治でどんな不正をしているかは
知らないし、わからない。
しかしインチキゴルフは、
ゴルファーの一人として
見逃すことはできなかった」

ニューヨーク郊外の名門コースが、
「ウイングドフットゴルフクラブ」。
ライリーもこのクラブのメンバーだ。

キャディたちは大統領トランプを、
“ペレ”と呼んでいた。

「ラフに入ればボールを蹴り出していた」
だから彼をサッカーの神様にたとえた。

もちろんゴルフルールでは、
足でボールを蹴ってはいけない。
手で運んでもいけない。

クラブで打つものだ。

自称2.8のハンディキャップ。

タイガー・ウッズは、
「年齢を感じさせない、
パワーあふれるショットだ」と、
感嘆してはいるが。

昨日は青木功プロも一緒だったが、
どんなゴルフだったのか。

あまり興味はないけれど。

その後、やはりヘリコプターで、
アメリカ大使館に戻り、
夕方、国技館へ。

大相撲の観戦。

桝席を取っ払って、
椅子席を設けた。

相撲史上初の出来事で、
これにも批判や皮肉が飛び交った。

歴代天皇陛下や国賓が観戦するために、
貴賓席が設けられている。

しかしシンゾーの忖度か、
ドナルドのご要望かはわからないが、
桝席にトランプ夫妻と安倍夫妻が座って、
周辺をSPが取り囲んだ。

朝日新聞「天声人語」

「館内で取材した同僚によると、
腕を組み、笑みが乏しい。
取組の間、拍手を送る場面は少なかった」

私にはトランプ大統領は、
どこか退屈しているように見えた。

相撲は本来、奥深い精神性を有する。
そして裸一貫、土俵の上で、
cheatが許されないスポーツだ。

多分、そのこともあったろうし、
仕切りが繰り返されることに、
アメリカ人のトランプ氏は、
退屈したに違いない。

あるいは昼間のゴルフの疲れが出たか。

私も小さな子どものころは、
相撲の仕切りの間合いの長さが、
我慢できなかったことを覚えている。

一転、表彰式で土俵に上がると、
自信満々で満足げだった。

パンアメリカン航空日本支社長、
故デビッド・ジョーンズさん。

大相撲の千秋楽に欠かせない人気者だった。

大きな地球儀のトロフィーを贈呈するとき
「ヒョー・ショー・ジョー」と日本語を使って
全国の観衆を沸かせた。

私はトランプ大統領は、
これをやるだろうと期待していたが、
残念ながら、英語だけだった。

ジョーンズさんは語っていた。
「相撲は単なるスポーツを超えた文化」

米国大統領にはそれを、
少しでも理解してほしかった。
だがそれは無理な注文のようだ。

北國新聞の巻頭コラム「時鐘」

平幕優勝した朝乃山の、
恩師から学んだ「相撲の心」を称賛する。

「男は感情を表に出すな」

北國新聞にとって、
富山県出身はいわば地元力士だ。

しかし、「この日の国技館には
政治家や評論家の顔がいつになく多かった」

「千秋楽は見事な”政治ショー”と化し、
一歩間違えると後味の悪い
一番になるところだった」

「それを救ったのは、
人生一番の歓喜も抑え気味にできる
朝乃山の柔和さだった」

相撲の仕切りにおける「無言の間」は、
「男は感情を表に出すな」そのもの。

それに対して、
政治ショーの主役の二人は、
「俺が俺が」のポピュリズムだった。

その対比がいかにも面白かったが。

さて今日の午前中は、
第一屋製パン㈱のお二人が、
横浜商人舎オフィスを訪ねてくれた。

鎌田恒雄さんと松下隆哉さん。
右の鎌田さんは、
関西事業本部副本部長兼西日本営業部長。
左の松下さんは営業企画室、
ブランド戦略グループリーダー。
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今日は新製品の報告と相談。
食パンの「emini」ブランド。IMG_70859

松下さんが中心となって開発した新Brand。

コンセプトは、
「こどもにも安心して食べさせられるパン」

石臼全粒粉、天塩を使って、
湯種製法で丹精を込めて製造した。

管理栄養士の田中美智子さんは、
「噛む育」を標榜している。
つまりよく噛んで食べることで、
食育を振興しよう。

そこで「かむ食・かむ育カウンセラー」と、
称して大活躍中。

その田中さんが「emini」のコンセプトを、
高く評価してくれて、
互いに協力しながら「噛む育」を進める。

昨日と一昨日、
イトーヨーカドー小田原店で、
ワークショップが展開された。
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タイトルは、
「ママへのごほうびフェスタin小田原」

伊藤誠朗ストアマネジャーが積極的で、
管理栄養士の野口友美さんを招いて、
クイズを出して、「噛む育」を施し、
商品サンプルをプレゼントした。
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野口さんは上級食育アドバイザー、
幼児食アドバイザー。IMG_70969
マーケットニッチャーでも構わない。
良い商品をつくり、
その良さを訴えていく。

ひとつずつ、
すこしずつ、
いっぽずつ。

ブランドをつくるとはそういうことだ。

ゴルフも仕事も、
“in Cheat”ではいけない。

そのあと朝川康誠さん来社。
立教大学大学院の結城ゼミ第3期生で、
㈱USEI代表取締役社長。IMG_70899
経営の流儀はあくまで知識商人流。
経営モデルはLCCのサウスウェスト航空、
「安価多売」を標榜する。

今日は様々な報告をしてくれて、
今後のビジョンを語り合った。
ランチミーティングを挟んで3時間近く。IMG_70939
今日も、結城ファミリーが、
やってきてくれた。

うれしいものだ。

では、みなさん、今週も、
もちろんcheatなしで、
Good Monday!

〈結城義晴〉

2019年05月26日(日曜日)

[日曜日の雑記帳]橋田壽賀子の「オシンドローム」の紙一重

連続テレビ小説、
おしん。
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日経新聞「私の履歴書」
今月は橋田壽賀子さん。
ご存知、脚本家。
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その圧倒的代表作が「おしん」。

昨日のタイトルは「おしん症候群」

昭和58年のNHK連続テレビ小説。
「おしん」は4月から始まった。
1983年。

このNHK連続番組自体は、
昭和41年(1966年)の「おはなはん」が最初。

そして歴代人気ランキングは、
第1位が樫山文江のおはなはんで、
第2位がおしん。

おしんの放送が始まると、
瞬く間にブームが起こった。
それが”オシンドローム”。

おしんのシンドロームで、
“オシンドローム”。
語呂合わせだが、
世の中では語呂が大事だ。

おしんの子役は小林綾子。
いまや46歳のレディだが、
芯の強い、いい子どもを熱演した。

その演技に対して、
NHKに届いた封書は数千通。

まずはおしんへの同情、
そして過去の自分と重ねての感動、
そんな内容ばかりだった。

さまざまな現象が起こった。
橋田壽賀子さんが思い出しつつ語る。

おしんの奉公先は山形県酒田市。
「団体がバスを連ねて押しかけ、駅前には
赤ん坊を背負ったおしん像ができた」

母親の出稼ぎ先の銀山温泉の旅館。
“大根めし”がメニューに加えられた。

各地でおしんの名を付けた土産物が登場。

「おしんの子守唄」というレコード発売。
民謡歌手の金沢明子が歌い、
橋田壽賀子作詞、遠藤実作曲。
作詞したのは夫の嘉一さんだった。

衆議院の議院運営委員会。
「おしん後援会」が発足。

小林綾子は文部大臣に呼ばれて面会した。
政治は「おしん国会」と呼ばれたし、
中曽根康弘首相のキャッチフレーズは、
「おしん・康弘・隆の里」
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当時の横綱隆の里が辛抱の末に、
最高位に上り詰めたからだ。

しかし橋田壽賀子さんは述懐する。
「昔の貧しさに耐えて
生きてきた人を描いたことが、
修身の復活のように受け取られて
心外だった」

「明治から昭和の時代を、
おしんという架空の人物を通して
忠実にたどっただけなのに、
なぜそこに政治が入り込んでくるのか
理解できなかった」

幼少期が小林幸子、
成人してからは田中裕子、
そして晩年は乙羽信子。

その乙羽おしんは、
「スーパーの仕事に専念する」

すると視聴者からの反響。
「商売の鬼になっている」
「こんなおしんは見たくない」

なぜスーパーマーケットの経営が、
「商売の鬼」なのか。

しかし橋田。
「それこそ私が狙っていたことだった」

「あのころの日本人は
金もうけに走りすぎて、
本当の自分を見失っていなかったか。
金もうけと人としての幸せの区別が
つかなくなっていなかったか」

「私はおしんを通じて
そう言いたかった」

ドラマの中でおしんは、
「セルフサービスのスーパー」を開業する。
昭和30年(1955年)。

紀ノ国屋のオープンが昭和28年、
九州の福岡・小倉の丸和フードセンターが、
昭和31年のスタートで、
これが生活圏スーパーマーケットとして、
第一号とされているから、
ドラマとは言え、おしんの「スーパー」は、
日本の先駆けとなるものだった。

しかし 橋田壽賀子も、
スーパーマーケットやチェーンストアを、
「金儲け」の象徴としてとらえた。

私はここに「偏見」があるのだと思う。
残念ながら。

「1年間の放送が終わってみれば、
平均視聴率52.6%、最高視聴率62.9%。
その後、68の国と地域で放送された」

海外のテレビの最高視聴率は、
イランで82%、タイで81%、
北京でも76%を記録。

現在の中国やタイの経営者たちも、
おしんで学んだ、のかもしれない。

「耐えるおしん、
夢を捨てないおしん、
優しさを失わないおしん」

その姿が言葉や宗教を超えて、
人々に届いた。

おしんのモデルは、
和田カツさんともいわれている。
熱海のヤオハンの創業者だ。

現在の㈱イズミ社長の山西泰明さんの、
ご母堂ということになるが、
橋田壽賀子さんは言う。
「ヒントはいただいたが、
モデルはいない」

それは作家の自負であり、
真実だ。

「いるとすれば、それは、
苦難の時代を生き抜いてきた
“日本の女たち”だ」

そして最後に、
「私は昭和天皇にご覧いただきたくて、
このドラマを書いたような気がする。
だからおしんの生まれを
陛下と同じ明治34年にした」

しかし晩年のおしんが、
「金儲け」に走ったことは、
作家の自負から生まれた、
日本人批判でもある。

「商人と屏風は、
曲がっていないと
立たない」

この言葉に対して倉本長治は、
石田梅岩を引いて反論した。
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「商人も屏風もどちらも、
まっすぐで
平らなところにしか、

立たない」

おしんもそれだったはずだ。

「耐えるおしん、
夢を捨てないおしん、
優しさを失わないおしん」

この辛抱と商売は、紙一重。

人々の意識の中で、
結びつきやすいのかもしれない。
そして商売をする人間も、
紙一重で「金儲け」に走りやすい。

日曜日に、そんなことを思った。

〈結城義晴〉

2019年05月25日(土曜日)

商人舎オフィスそばに開業した「まいばすけっと」のLast1mile

5月のメッセージ[Message of May] caver_20190510_03
もっとお客に近づこう!

“Staying Close”――
「いつもお客さまのそばにいて、
お役に立ちます」
古くからのウォルグリーンのクレド。
ウォルグリーンは米国ドラッグストア。

「ネイバーフッドマーケティングとは、
お客さまの喜びに参加して、
その一部を分けていただくことです」
戦前のジョー・アルバートソンの言葉。
米国アルバートソンズの創始者。

マス・マーケティングから、
STPマーケティングへ。
そしてone to one Marketingへ。
どんどん、顧客に近づいていく。
それは我々の想像を超えて
スピードアップしてくる。

リージョナルから、
コミュニティへ、
ネイバーフッドへ。
さらにラストワンマイルへ。
そして最後にホームへ。

どんどんお客に近づいてゆく。
限りなくお客のそばに寄り添っていく。
商品そのものやサービスの中身よりも、
お客に近づくことのほうが重要になる。
とりわけコモディティの提供において。

生活が向上し、
消費が成熟してくると皮肉なことに、
コモディティ領域は拡大してきて、
ラストワンマイルからホームへが、
最も重要なカギを握ることになる。

しかしそのときにも、
顧客のそばにいるという姿勢と、
顧客の喜びに参加して、
その一部を分けてもらうという意識は、
永遠に変わることはない。

ラストワンマイル戦略こそ、
ネイバーフッドマーケティングである。
だから、もっとお客に近づこう。
お客のそばに寄り添おう。
お客の喜びを分けてもらおう。〈結城義晴〉

この「もっとお客に近づこう!」は、
月刊商人舎5月号の主張。
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お陰様で大好評。

[特集のまえがき]は結城義晴執筆。
「最後の顧客接点」が
総取りさせる競争時代

「ラストワンマイル」は、
直訳すれば「最後の1マイル」
すなわち商品が顧客に届くまでの、
最後の段階の「1610メートル」

半径800メートルの円を描けば、
これこそラスト1マイルの顧客が、
居住する商圏となる。

この「ラストワンマイル」は、
「最後にして最強の顧客接点」である。

その顧客接点が競争優位をつくり、
商売の生命線を握ることになる――。

日本の場合、その業態はコンビニだった。

「しかしこのコンビニ産業が
2016年3月から昨2018年7月までの
29カ月連続で既存店客数前年割れを示した」

「ラストワンマイルビジネス」の王者に、
陰りが見えた。

eコマースのラストワンマイルが、
彗星のように登場したからだ。

しかしそれだけではない。

横浜商人舎オフィスのそばの新田間川。61421139_2480046095391873_3904901875165560832_o

2013年1月31日に、
ファミリーマートがオープンして、
6年ほど営業していた。
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しかし今年、閉鎖。
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そのあとに、
イオンまいばすけっと。IMG_69639

オープン準備をしていた。IMG_69649

5月24日(金曜日)にオープンした。60877421_2480046105391872_3655739152898457600_o
私の自宅の妙蓮寺駅にも、
2店のセブン-イレブンの間に、
まいばすけっとが開店して、
顧客たちは重宝し、
店舗側は繁盛している。

身近にまいばすけっとがあると、
コンビニとは違うラストワンマイルの、
その利便性に納得させられる。

イオンにはまいばすけっと㈱がある。
関東地方の東京・神奈川で766店、
ドミナント展開している。

それ以外にはイオン北海道㈱が36店。
こちらはまだドミナントとは言えないが、
都市型小型食品スーパーマーケット。

コンビニエンスストアではない。

1号店はイオン㈱が、
2005年12月に新井町店を開業して始業。
横浜市保土ケ谷区の店舗で、
この店は閉鎖しているが、
東京23区と横浜川崎両市以外には、
出店しない。

新田間川の店のように、
コンビニが撤退した跡にも出店できる。

2008年にイオンから、
イオンリテール㈱へ事業承継。
さらに2012年1月21日、
まいばすけっと㈱として独立。
この時点で246店舗だった。

今年の2月期決算では、
売上高1537億円、前年比9.6%増。
イオンのなかでは超優等生。

営業利益19億7900万円、
経常利益19億9900万円。
どちらも今のところ、
売上対比1.9%と低く抑えられているが、
1000店を超えたら急速に高収益になる。

イギリスのテスコは、
大型の「エクストラ」と、
中型レギュラーの「スーパーストア」。
これらが主力フォーマット。

そして小型の「エクスプレス」
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都市型の「メトロ」
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つまりマルチフォーマット戦略。

テスコはこの4つのリアル店舗を、
メッシュのごとく配置し、その間を、
テスコ・コムとテスコ・ダイレクトで、
埋めてしまう。
これらがeコマースであり、
宅配ビジネスだが、
テスコがラストワンマイルを、
マルチフォーマット&オンラインで、
綿密に組み立てていることがわかる。

このエクスプレスとメトロを、
上手にミックスしたのが、
イオンのまいばすけっとだ。

特にディスカウントするわけでもないし、
しかしコンビニよりはるかに安くて、
そのうえ内食需要に対応して便利。

ラストワンマイルは、
eコマースだけではない。

むしろマルチフォーマットが、
ラストワンマイルの総合戦略となる。

〈結城義晴〉

[追伸]
月刊商人舎は年間購読が基本ですが、
単月号販売もします。

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年間購読のお申し込みは、
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よろしく。

2019年05月24日(金曜日)

故田島義博先生の遺志を継いで旺文社マネジメントスクール出発

新聞コラムの最高峰といわれる。
朝日新聞「天声人語」

「あなたなら、どちらの言葉が
心に響くだろうか」

A「ウソをつかないで」
B「ウソつきにならないで」

面白い。

心理学の実験をした。

Aはほとんどウソが減らなかった。
Bはウソが激減した。

「行動より人格のことを言われた方が
身が引き締まるようだ」

脳研究者の池谷裕二さん、
近刊『脳はなにげに不公平』で紹介する。

池谷さんが考えた応用例。

「裏切らないで」より、
「裏切り者にならないで」

「私の状況を理解して」より、
「私のよい理解者になって」

英語はもともとこんな表現をする。

米国研修の一日の終わり。
リムジンバスを運転してくれた運転手に、
私は感謝の気持ちを込めて言う。

“You are a very good driver!”

商売やマネジメントにも、
どこかで使えそうな気がする。

コラムはこの後、
朝日新聞らしく(?)自民党の批判。

同党がマニュアルを議員に配った。
「失言しないで」の願いが込められ、
手取り足取り。

しかし必要なのはむしろ、
「”失言するような政治家にはならない ”
という議員たちの決意ではないか」

自民党だけではない。
維新の会の議員の発言も、
最近は目に余る。

ただし「失言」を避ける努力は、
問題の本質を隠ぺいさせることになる。
「本心」こそ大事なことなのだから。

だから政治家に向けては、
「ウソをつかないで」も、
「ウソつきにならないで」も、
本当はどちらも意味がない。

そんな人間たちを、
日本国民の代表者にしてはいけない。

さて今日は、夕方から、
東京・虎ノ門。IMG_70749

法曹ビルだけに、
ロビーには正義の女神「テミス」像。
「ウソ」や「ウソつき」を見破る。IMG_70759

その地下1階の法経ホール。

今日は、
「旺文社マネジメントスクール」DSCN94289

昨年までの名称は、
「学習院マネジメントスクール」だった。

創始者は前学習院院長の故田島義博先生。

田島先生は日本の産業界にとって、
そして流通業界にとって、
大恩人の学者であり、教育者である。

とりわけ小売業にとって、
チェーンストアにとって、
忘れてはならない人だ。

だから先生のご遺志は、
是非とも継がねばならない。

林周二著『流通革命』は、
1962年に発刊された。
この歴史的な名著の、
生みの親が田島義博その人だ。

当時、日本能率協会から、
月刊「マネジメント」誌が発行されていた。
この媒体から『流通革命』が誕生した。

そして田島義博は、
この雑誌の若き編集長だった。

田島先生が務めた役職は、
学習院院長に限らない。

日本商業学会会長、
日本ダイレクトマーケティング学会会長、
社団法人消費者関連専門家会議会長、
通商産業省大規模小売店舗審議会会長、
国税庁中央酒類審議会会長、
農林水産省食品流通審議会会長など、
数え上げたらきりがない。

その田島義博学習院院長が、
2001年に創設したのが、
学習院マネジメントスクールだ。

その構想は、
「日本の企業と産業界の再活性化に
教育を通じて貢献する」

今年からこのスクールを、
一般財団法人日本生涯学習総合研究所が、
運営を引き継ぐことになった。

この財団法人は1994年、
㈱旺文社によって、
生涯学習の振興に貢献する目的で設立。

“田島マネジメントスクール”を継承し、
産業社会人に革新的な知見を提供する。

初めに事務局長の林純子さん。DSCN94309

そして生駒大壱さんが、
開講のメッセージ。
旺文社代表取締役社長。DSCN94339

そして開講の第一講義は、
結城義晴の「流通概論」DSCN94369

2007年12月から、
このスクールで講義を担当している。

実務的であり、なおかつ分析的、
アカデミックであり、
ジャーナリスティックであり、
なおかつ結城義晴らしい個性的な講義。
DSCN94389

与えられた時間は110分。
レジュメはA4版で22枚。
パワーポイントのスライドは150枚。DSCN94459
いつも田島先生の前で、
講義している気持ちなので、
どうしてもテンションが上がる。

私が持っているものは、
漏らさず伝えたいと考える。 DSCN94449

だから脱線はするし、
最後はいつもの超早回し。
それでも十分に語り切った。
DSCN94439

講義が終わったら、
湯沢威学習院大学名誉教授を中心に、
全員で写真。

湯沢先生は、
この旺文社マネジメントスクールでも、
顧問を務めてくださる。
ありがたい。
IMG_70829
“田島義博マネジメントスクール”、
再出発です。

よろしくお願いします。

〈結城義晴〉

2019年05月23日(木曜日)

カンブリア宮殿の「サミットスタディ」と竹野浩樹の涙

毎日毎日、何か出来事がある。
エブリデー・イベント。

今日は、鼎談。
「ていだん」と読む。

対談「たいだん」は、
二人が向かい合って話をすること。

それに対して「鼎談」は、
三人が向かい合って話をすること。

「鼎」は「かなえ」とも読む。
もともとは中国古代の器。
土器、あるいは青銅器。

よくある器の「鼎」は、
鍋型の胴体に3本の足が付いている。
その足も中空状態になっている。
さらに上部には2つの耳がついている。
運んだり持ったりするためだ。

この3つの足で支えられるということから、
「鼎」が「三」の意味となった。

その鼎談。

場所は横浜商人舎オフィス。

高木和成さんと和田光誉さん。
そして結城義晴。
DSCN92239

お二人とも昭和44年に、
チェーンストア産業に入った。

74歳。

高木さんはユニー、和田さんは長崎屋。

そろって幹部となって退任。

それからも高木さんはコンサルタント、
和田さんはジャーナリスト。

お二人とも、
商業経営問題研究会のメンバー。
かつて故杉山昭次郎先生を中心に、
「杉山ゼミ」という勉強会が開催された。

その師範代の役目を果たしていたのが、
故磯見精祐さん。

杉山先生に座長になっていただいて、
磯見さんを中心にして誕生したのが、
「商業経営問題研究会」
Retail Management Learning Circle。
略称RMLC。

磯見さんも逝去され、
師範代は高木さんとなった。
そして若輩の私が、
恐れ多くも座長を務めた。

和田さんもこのRMLCのメンバーだ。DSCN93349

RMLCは東洋経済新報社から、
本を発刊した。
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結城義晴編著、商業経営問題研究会著。
「小売業界ハンドブック」

和田さんも執筆陣に入っていただいた。

その高木和成さんと和田光誉さんと、
結城義晴の鼎談。
DSCN93359
午後4時から始めて、
7時くらいまで3時間に及んだ。

凄い内容で、
活字にはできない出来事が、
次々に語られた。

実に面白い。

他のメディアでは読めない内容。
月刊商人舎6月号で掲載予定。
ご期待ください。

鼎談が終わってからも、
「魚盛」に場所を移して、
飲み、食べ、語り合った。

結局、6時間も話し合いは続いた。

ありがとうございました。
心底、楽しかった。

帰宅してみると、
「カンブリア宮殿」
テレビ東京で放映中だった。

サミット㈱の物語。
主役は社長の竹野浩樹。
O

こちらも村上龍と小池栄子の鼎談。
サミットが4年連続最高実績を積んでいる。

商人舎流通Supernews。
サミットnews|
’19年3月期売上高2823億円2.3%増で過去最高

その絶好調の秘密を探る。

かつての社長、会長。
荒井伸也さんも、
雑誌『サミットスタディ』を読みながら、
番組に登場。

これは結城義晴の作品。
サミットスタディ

食品商業編集長のころ、
レギュラー号で1年間連載特集を組んで、
それを一冊にまとめた。

竹野さんのチラシ作戦。
白紙のチラシに、
「創業祭特価」㊙
詳しくは店頭で
summit_301-600x421

凄い発想。

大胆。
思い切り。
怖いもの知らず。

服部哲也さんも登場。
現在、取締役専務執行役。
コーネル大学RMPジャパン伝説の第一期生。
DSCN24419-448x336

最後に竹野さんが、
感極まって涙。
O

この言葉がよかった。
「会社の成長より
自分の成長を楽しんでくれている」

サミットの現在は、
この言葉に象徴されている。

私の言い回しでは「脱グライダー商人」

竹野さんはそれが、
何よりうれしいようだ。

ついでに結城義晴も、
ほんのちょっと登場。
DSCN24379-448x336
サミットストア鍋屋横丁のオープンの日、
取材をしていたら、
カメラクルーに呼び止められて、
アドリブで話をした。

感激屋の竹野浩樹。
その全人格が、
たちどころに全社員に受け入れられて、
新しいサミットの風土をつくる。

会社は人です。

しかし一人ではできない。

荒井伸也さんが基礎を築いた。
理論的にも実践的にも。

それがサミットの、
スーパーマーケット産業内の、
ポジショニングとなった。

テレビには出なかったけれど、
その後、前社長の田尻一さんが、
間違いなく展開・発展させた。
マーケティング面で。

竹野さんはそれらを否定することなく、
エネルギーがたまっていた器の、
蓋を開けた。

そして再びビジョンを与えた。

その蓋の開け方が、
素晴らしかった。
竹野浩樹にしかできないことだった。

それが今のサミットだと思う。

コンセプトは、
「日本のスーパーマーケットを楽しくする」

そのためには何よりも自分たちが、
心の底から楽しくなければいけない。

もちろんサミットのビジョン、
マネジメントとオペレーション、
店と売場と商品。

それらがあって初めて、
楽しさが生まれる。

その楽しさは、
自分が成長する楽しさ。

アブラハム・マズローの発展段階説。
その最終段階「自己実現の楽しさ」である。

〈結城義晴〉

2019年05月22日(水曜日)

双葉山69連勝と紀文正月フォーラムの「運と人と本気」

一年を二十日で暮らすいい男

江戸の川柳。

安永7年(1778年)、
相撲興行は晴天の8日間から、
晴天の10日間に延長された。

この江戸時代の「定場所」は、
春と秋の2回開催だった。

そこでプロの相撲取りは、
年間に20日間相撲を取る。
そうすれば暮らしていける、
「いい男」となった。

ただし、当時も地方巡業はあった。
大名に呼ばれて「御用相撲」も取った。

江戸から明治、大正を経て、
横綱双葉山が69連勝したのは、
昭和11年(1936年)1月場所7日目から、
昭和14年(1939年)1月場所4日目まで。

このころも1年間に2場所で、
1月場所と5月場所だった。

しかも昭和12年1月までは1場所11日制、
12年5月から13日制。

双葉は3年間も、
公式戦で負けなかった。

東前頭2枚目から勝ち始めて、
関脇、大関と上り、東横綱まで、
勝ち続けた。
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現在は年間6場所で15日制。

連勝記録の2番目は白鳳の63連勝、
続いて千代の富士の53連勝、
大鵬の45連勝。

すべて1年6場所、90日制での記録。

双葉山定次の凄さは想像を絶する。

いまは大関貴景勝光信。
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本当にいい力士だ。

残念ながら今場所は5日目から休場。
右膝内側副靱帯損傷、右膝骨挫傷。

しかし8日目の碧山戦で再出場。
この心意気はよかったが、
再び9日目から休場。

7月の名古屋場所はかど番で迎える。

今の貴景勝には、
「一年を二十日で暮らす」の環境を、
与えてやりたい。

日曜日の千秋楽には、
ドナルド・トランプ米国大統領が、
大相撲を観戦する。

バラク・オバマ前大統領は、
4度目の来日の際に、
広島の原爆ドームを訪れた。

一方、トランプは、
いきなりゴルフと相撲。
ゴルフは青木功プロとラウンドし、
大相撲では桝席で観戦した後、
土俵に登って、
優勝力士に大統領賜杯を手渡す。

ポピュリズムとパフォーマンスの男。
それに忖度する日本の首相。

ああ。

さて今日は朝から東京・浜松町。
芝大神宮の参道。
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新緑が深まってきて、
青い空に映える。
IMG_70649
㈱True Dataの取締役会。

カード会員数5000万人、
日本最大級のビッグデータ。

それを提供し、分析し、
マーケティングし続けるには、
日々、難題が訪れる。

ひとつずつ、
すこしずつ、
いっぽずつ。

それらを解決していく。

横浜商人舎オフィスに戻って、
夕方、堀内慎也さんがやってきた。
㈱紀文食品の部長に昇進。
おめでとう。
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商人舎ゼネラルマネジャー亀谷しづえと、
三人で打ち合わせして写真。

堀内さんが就任したのが、
事業企画室正月ユニット部部長。

紀文正月フォーラムの責任者にして、
年末・正月商戦を仕切る。
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もちろん総責任者は弓削渉副社長。
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「紀文正月フォーラム」
今年も9月3日(火曜)・4日(水曜)両日に、
東京・東銀座の時事通信ホールで開催。
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皆さん、おいでください。
令和時代幕開けの正月商戦、
その戦略や政策をご披露します。IMG_70659
堀内さんは本当に稀な仕事の人となった。

一年を一つで暮らすいい男

しかしそのプレッシャーと苦労は、
並大抵ではない。

「ほぼ日」の糸井重里さん。
今日のダーリン。
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「なにかに成功した人や組織が、
“ああしたからうまくいった、
こうしたから勝った”
と言うことは多い」

つまりは、サクセスストーリー。

「じぶんから
語りたがることもあるだろうし、
それを聞いてじぶんの糧に
しようとする人びともいる」

「そういうなかで、
じぶんたちのうまくいったことを、
“運がよかった”であるとか、
“そこらへんは、よくわからない”だとか、
計算したわけじゃない要素を
混ぜて語る人のことは、
なんだか信用できる気がしている」

同感だ。

「勝ったり負けたりのある世界や、
成功や不成功が語られやすい
事業の領域などでは、
“こんなにアタマいいわたし”が
勝ちをつくっている…という文脈で
ものごとが語られやすい」

そうそう。

「他人のことも、じぶんのことも、
なんでも説明できて、
世界のことを含めて
世の中の流れがわかっていて、
やるべきことを見つけられる人が
山ほどいる。
ていうか、いるように見える」

「そういう人の言うとおりにやれば、
きっとなんでもうまく行くように
思えたりもする」

そんなことはないのにね。

「だけど、”こんなにアタマいいわたし”が、
実際に責任やリスクをともなう試合で、
なにかをやっているという例は
あまり見たことがない」

「また、
“こうやればうまくいく”という理論で、
じぶんがやってうまくいった例も、
伝わってこない」

そこで糸井の考察。

「たぶん
“こうやればうまくいく業界”とか、
“こんなにアタマのいいわたし業界”
だとかがあって、
そこでの”こうやれば”や”アタマいい”が
“商品”として流通しているのではないかと
思うのだ」

流通業界もその気(け)はある。

「その業界には”運がよかった”や、
“なんででしょうね”は
あってはならないのだろう」

いや、小売サービス業界こそ、
ドラッカー先生の「予期せぬこと」が多い。
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糸井重里。
「そんなことを考えると、平然と
“運がよかった”と言える人のことは、
実際の試合なり事業を
やってきたんだろうなぁと、
信用できると思ってしまうのである」

双葉山定次はそれだった。

イトーヨーカ堂創業者の伊藤雅俊さん、
ヤオコー会長の川野幸夫さん。
お二人は「お陰さまで」が口癖だ。

「ドラッカーは
“なぜかは、わからないけど”
というフレーズをよく使う。
“なぜかはわからないけれど、
事実はこうなっている”。
そしてその事実に対して、
ドラッカーは、
行動の原則と具体的な方法とを示す」
月刊商人舎2月号。
結城義晴「上田惇生を悼む」から。201902_coverpage-448x634

「運がよかった」
「お陰様で」
「なぜか、わからないけれど」
謙虚だ。

それに対して、
アタマのいいひとのふりをするひとは、
ほんとうに情けない。

最後に糸井さん。
「運だけではないのだけど、あとは人。
と、少しの本気さかな」

同感。

一年を二十日で暮らすいい男や、
一年を一つで暮らすいい男は、
運と人柄と、かなりの本気でしょうか。

〈結城義晴〉

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コロナは時間を早める

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