結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2012年03月15日(木曜日)

豊田泰光「技術は継承と継続の賜物」と「スーパー」の小型店開発

「日経平均1万円回復 円下落83円台」

日経新聞一面トップ。
このところの米連邦準備理事会(FRB)と日本銀行が、
「インフレ・ターゲット政策」を明らかにしたことが奏功。

「マネーの流れが変わり始めた」

しかしこのブログでは何度も取り上げたが、
「世界は3年に1度程度ずつのバブルを経験してきた」
内閣府の水野和夫さんの見解と、
日経新聞編集委員の土屋直也さんの主張。
「バブル多発時代にいることを忘れることはできない」

私は書いた。
「ちょっと光明が見えたけれど、
安心もできないし、
細心の注意が必要だ」。

一方、ちょっと驚いたが、
朝日新聞の一面トップ記事。
「巨人、6選手に契約金36億円 球界申し合わせ超過」
「朝日の讀賣叩き」はいつものことだが、
かなり大袈裟。

球界には「新人契約金の最高標準額」に申し合わせがある。
「1億円プラス出来高払い5000万円を超えてはならない」。
しかし読売巨人軍が、この違反契約を多数の選手と結んでいた。

それが、「複数の関係者証言」と、
さらに「朝日新聞が入手した内部資料」から判明したらしい。

読売新聞側は、これに対して反論。

とは言っても、清武前代表の訴訟問題もあって、
こちらは「しどろもどろ」。

プロ野球開幕は3月31日。
まさに「球春」直前。

一面トップで騒ぐことかとも思う。

日経新聞スポーツ欄のコラム『チェンジアップ』。
元西鉄ライオンズのサムライ・豊田泰光が書く。

「“世界一”の日本の技術も、今発明されたわけではなく、
先達から連綿と受け継がれてきた技の蓄積の上にあるのだよ」。

「技術は歴史の積み重ねの上にあるということを、
今の世代もわかっていてほしい」

「それを忘れたら、最先端にあるものもたちまち廃れる」

「技術とは継承と継続であり、
一度途切れたら容易に戻らないということは
産業界などをみてもわかるだろう」

これ、野球の技術の話だが、
小売りサービス業の技術も同じだ。

技術は継承と継続の賜である。

最後に、日経新聞の記事。
「スーパー、都市部で小型店 コンビニに対抗」

いなげや「エスビィ」の1号店は今週土曜日17日、
東京都立川市に100円均一(税抜き)でオープン。
面積は約600平方メートル。
店内調理惣菜も品揃えする。

2014年度までに20店出店計画。
プロトタイプを完成させ、2016年度には100店、
売上高400億~500億円の規模を目指す。
このタイプは最低でも100店を超えなければ利益は出ない。

アメリカのフレッシュ&イージーは
300店が損益分岐点としている。

一方、マルエツは、
既存の小型店からさらに
売場面積を半分程度に絞り込んだ店
を実験する。
150平方メートル前後のエクスプレスストア。
2012年度から年10店程度ずつ出店。

実験店では成果が出ているという。
単位面積当た りの売上高が、
300~500平方メートルのマルエツ・プチの2倍に達し、
社員1人が3店を統括するスーパーインテンデント制を採用して、
ローコスト運営を志向する。
「黒字化のめどが立った」という。

ユニーは生鮮コンビニ「99イチバ」を、
小型スーパー「ミニピアゴ」に衣替えする。
「現在の約60店から5年後に300店に拡大、
売上高も6倍の600億円に増やす方針」。

小型店を増やす。
ドミナント展開して多店化する。
そのうえで利益を出す。

この方向性だけは、確立されたようだ。

スーパーマーケットの店づくりの技術は、
小型から中型へ、そして大型へと進んだ。
しかし今、大型から中型化、小型化へと進んでいる。
この間の技術にはイノベーションが不可欠であるが、
根本の考えた方は継承され、継続される。

<結城義晴>

2012年03月14日(水曜日)

ドール経営者セミナーでCWニコルさんと共演/「森」の閃きを得た

今日はホワイトデーだった。
百貨店などの売場は盛り上げようと必死だったが、
みなさんの店ではどうだっただろうか。

さて朝日新聞の『CM天気図』。
雑誌「広告批評」主宰者の天野祐吉さんのコラム。
天野さんはマドラ出版の社主でもある。

アメリカの歴史学者ジョン・ダワーさんの言葉を引く。
「大きな災害や事故が起きると、
すべて新しく創造的な方法で
考え直すことのできるスペースがうまれる。

いま日本はまさにその時だが、
もたもたしていると、
そのスペースはまた閉じてしまう」

ダワーさんはマサチューセッツ工科大学教授で、
奥さんが日本人という親日家。

東日本大震災後のこのジョン・ダワーさんの言葉、
天野さんの心に突き刺さる。

そして天野さんは、
広告やCMが想像力を発揮していないと残念がる。

「世の中を動かしていく気のない
ノーテンキなCMをなんとなく見過ごしているうちに、
ダワーさんの言う『スペース』は、
日に日に小さくなっていく」

私は思う。

小売業・サービス業は、
否応なくこのスペースを埋めている。

そこに新しい創造も生まれている。
広告よりも地に足がついているからだと思う。

しかしもっともっと想像力を働かせて、
イノベーションを起こすことができる。

小売流通・サービス業における「スペース」は、
まだまだ閉じてはいない。

さて昨日は、「ドール経営者セミナー」。
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㈱ドール主催の講演会。
そして一般社団法人ファイブ・ア・デイ協会が協賛。

会場は、東京・水天宮ロイヤルパークホテル。
スーパーマーケットや青果卸売企業のトップマネジメントが参集。

第1部講演会では、
カスミ会長の小濵裕正さんが開会の辞。
小濵さんはファイブ・ア・デイ協会会長でもある。
もちろん商人舎発足の会発起人のおひとり。

講演者紹介は、
ファイブ・ア・デイ協会理事長の池田健太郎さん。
池田さんにはCDオーディオセミナーにご出演していただいて、
その見識の高さに触れた。

講演は4部構成で、
講演1は、㈱インテージ会長の田下憲雄さん。
テーマは「小売業マーケティングの課題」

講演2は同じくインテージ社長の宮首賢治さん。
田下さんの講義に続いて、
「データ活用事例」を紹介。

講義3が結城義晴。
「知識商人(Knowledge Merchant)の経営作法」
私は自分の講演の40分ほど前に到着し、
準備をした。
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そして、80分の講演。
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マーチャンダイジングに関連する潮流や消費の実態、
そしてナレッジ・マネジメントの在り方など、
持論を展開。
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ピタリ、80分で収めた。

小濵さんを始め、
周知のトップの皆さんが聞いてくださっていたので、
気合も入ったし、安心して語ることができた。

自分でも、上出来の講演だったと思う。

私はいつも、
「この講演・講義が人生最後のものだ」と考えて、臨む。
今回も、変わらぬ気構えだった。

講義4は、C・W・ニコルさん。
ご存知、作家、評論家、コメンテーター、社会運動家。
いただいた名刺には、こうある。
「一般財団法人C.W.ニコル・アファンの森財団理事長」

ニコルさんは1940年、英国ウェールズ生まれ。
1962年に空手の修行のため初来日。
1980年、長野県に居を定め、
執筆、環境保護、探検活動を続ける。

長野県上水内郡信濃町に荒廃した森があった。
ニコルさんは荒れ果てた里山を購入し、
26年かけて、人の手によって再生。
『アファンの森』と名付けた。

ニコルさんのテーマは、
「心に木を植える~人と自然の共生~」
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アファンの森の映像や音響を盛り込んで、
素晴らしい40分の講演だった。

ニコルさんの話をダイジェストしよう。

最近の子供たちは、自然の中で育っていないから、
落ち着きがない、我慢できない、集中できない。
こんな症状を、
「ネイチャー・ディフィシェンシー・シンドローム」と呼ぶ。

本来、子供は自然に触れると、
五感を使って探検をする。
しかし今の子供はバーチャルの世界の中で満足している。
男は18歳になっても 腕立て伏せや懸垂ができない。
斧やマッチが使えない。本当の話だ。

30年前、黒姫に住み着き、山を知りたくなった。
猟友会に参加して山歩きをすると、
原生林が切られていることがわかる。
山の斜面を丸坊主にすると、鉄砲水が起こる。
雪解け水で地滑りを起こす。
食べ物が減り、熊が出没して、畑を荒らす。
森の大切さ、森の知恵を猟師たちから学んだ。

一方で、日本の自然が破壊されている。
山の奥のゴミ捨て場は不法投棄、産業・医療廃棄物がひどい。
こうした日本の現状は、悲しい。

1966年、自分の生まれたウェールズで、
石炭採掘からでたボタ(捨石)を捨てた山が地滑りして、
中学校を襲い、121人の子供が死んだ。
政府は、ボタばかりの森を再生し、
5%の森林面積を60%にまで広げた。
カワウソやサケが戻り、豊かな自然がよみがえった。
いまは、故郷を誇りに思っている。

日本でも同じだ。
「アファンの森」づくりをして26年。
現在9万5000坪の森には、
29種の絶滅危惧をはじめとする多くの動物、
196種類の植物、137種の山菜がある。
生物多様性のある自然は、癒しの場所でもある。

ドイツの森林面積は日本とほぼ一緒だが、
ドイツは100万人の森林従事者がいる。
それに対し、日本は5万人しかおらず、しかも高齢者ばかり。

人間が荒らした自然は、人間が手入れしなければならない。
全国的な活動をすすめるために『アファンの森財団』を創設した。

この財団では、虐待を受けた子供たちを、
年に5回、森に招き、自然に触れさせている。
トラウマのある子供たちが森に入ると笑顔になる。
東日本大震災の被災した東松島の人たちも招いた。
それが縁で、今、東松島の藪を切り開き、
高台に木造校舎を作ろうという復興計画がある。
木造であっても設備はハイテクで、自然と共生する学校。
出来あがったら、国内、カナダ、インドなど、
海外の学校とネットワークを作っていく。
そんな構想がある。
私は残る人生をこの仕事にかける決意だ。

傷口を癒し、心をたくましくし、健康的にする。
自然の力は強い。

私は、ニコルさんの話に感動した。

そして大きなヒントをいただいた。
「小売業は森である」
そう、言い続けている。
本にも書いた。

その森は、人の手によって、
再生された生きた森でなくてはならない。

荒廃した森にしてはいけない。

講演が終わると、主催者あいさつ。
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㈱ドール取締役副社長の渡辺陽介さん。

その後第2部は懇親会。
ニコルさんと話した。
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ニコルさんはウェールズに、
いいスーパーマーケットがあるという。
木造の店、木製のカートまである。
私は早速、訪れることを約束した。

もちろん、日本にも木造の店舗があることを、
ニコルさんに言った。
例えばダイナムの店は木造だ。
その店は東日本大震災にも負けずに残った。

ニコルさんも答えた。
「木造は強いのです」

そのニコルさんと小濵さん。
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小濵さんと私。
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和やかな交流会だった。

商業経営問題研究会のセイミヤ社長・加藤勝正さん。
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キョーエイ社長の埴渕一夫さん。
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写真をとることはできなかったが、
スーパーマーケットの社長職にある人だけでも、
名前を列挙させていただく。
マルト社長の安島浩さん、
丸久社長の田中康男さん、
与野フードセンター社長の井原實さん、
セルバ社長の桑原孝正さん、
コーネル・ジャパン3期生のタカヤナギ社長の高柳智史さん、
大阪屋ショップ社長の平村秀樹さん、
紅屋商事社長の秦勝重さん、
モリー社長の冬頭守雄さん、
それにエレナ社長の中村國昭さん。

みなさん、ご清聴、心から感謝します。

ニコルさんの活動は、
震災で生まれたスペースを、
創造的に作り直している。

私たちも、小売流通の世界で、
それに負けてはいられない。

<結城義晴>

2012年03月13日(火曜日)

コンビニPBとSMのNB定番、NB特売の価格比較⇒「どれが安い?」

花粉症がひどくなってきた。

気づかずにいると、
たらりと鼻水が垂れている。

目がかゆい。
くしゃみは出ないが、
顔全体が腫れぼったいし、
赤みがさしている。

かつては、
鼻うがいなどやった。
あまり効き目はない。

生来のずぼらで、
放っておく。

いつの間にか、
花粉症のシーズンが終わる。

一昨年だったか、
伊豆の川奈ホテルゴルフコースで、
強い風の中、プレーした。

その強風にあおられて、
杉林から大量のスギ花粉の群れが、
たなびくように流れだして、
私たちの立っているティグランドを覆った。

それからは、何とかしなければと、
気に病むことしきり。

しかし、何ともならない。

だから、じっと我慢の子。

いつも雲の上を漂っている気分で、
ゆったりと構えているのが一番。
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それでも気づかずにいると、
たらり、鼻水が垂れる。

さて、5月に商人舎の研修会が二つ。
既にお知らせしたけれど、
またまたアナウンス。

ひとつは商人舎USA視察basicコース。
自分で言うのもなんだが、
商人舎を始める前から、
ずっと温めていた研修内容が、
商人舎4年間の経験を経て、
完成の域に到達しつつある。

はじめてアメリカを訪れる人、
はじめてアメリカ小売業に触れる人、
知識だけでアメリカを学んでいた人、
久しぶりにアメリカ流通業を再確認する人、
そして原理原則や基礎基本を習得したい人。

そんな人々に最適。

最後に私は迫る。
「自ら、変われ!」と。

もうひとつが商人舎ミドルマネジメント研修会。
これもずっと温めていた研修会。

「店長が変わると、その店の実績が変わる」
店舗の立地も建物も、
競合相手も、従業員も変わらない。
しかし売り上げや利益が変わる。
不思議なことだ。

なぜか。

小売業やサービス業は、
ミドルマネジメントとしての店長の役割が重くて、大きいからだ。

その店長をはじめとしたミドルマネジメントに、
現代的なマネジメントの在り方を教授する。

この研修会でも最後には、
「自ら、変われ!」と、迫る。

そして彼らは変わる。
自信がある。
確信といってもいい。

乞う、ご期待。
ご参加のご検討を。

さて、日経新聞ばかりで恐縮だが、
『経済教室』の「脱・成長論を疑う」

東京大学教授の北岡伸一さんが、
「『受動的な無責任』改めよ」と主張。

震災後の対応に関して、指摘されること。
「政治指導者の危機意識の欠如、リーダーシップの欠如と非効率」

北岡教授は過去の例と比べる。

まず「明治24年(1891年)の濃尾大地震」。
この時の名古屋の師団長は桂太郎だった。
のちの総理大臣。
桂は直ちに被災者の救援と人心の安定のために、
師団を出動させ、大きな成果を上げた。

のちに桂は天皇の命令なしに兵を出したことについて、
進退伺を出すも、却下されている。

次に「大正12年(1923年)の関東大震災」。
日本チェーンストア協会会長の清水信次さんの話によく出てくる。

「震災の翌日に内務大臣に就任した後藤新平は、
その日のうちに復興に関する4カ条の基本方針を書き下ろし、
その具体化に努めた」

要は、素早く責任者を決め、
そのグランドデザインに沿って仕事を進めること。

堺屋太一さん言うところの「本気のプロデューサー」が、
不可欠だということだ。

北岡教授は、「安心・安全」に関しても言及。
「大事なのは安全の確保であって、
安心の確保ではない」

この指摘、故渥美俊一先生の言葉と全く同じ。
チェーンストアは「安全の確保」を第一義とせよ。

「安心を強調するのは、
実はお上に依存するということである」

「国民が安心を求め、リスクをゼロにせよといえば、
政府はこれに答えて、リスクはゼロだという。
こういうフィクションはやめるべきだ」

北岡さんの人生訓。
「人生はリスクに満ちている。
リスクを直視し、これをできるだけ減らすように様々な努力をし、
あとはリスクを取って行動すること」

関東大震災後の大正12年10月、
石橋湛山は「精神の振興とは」を書く。
「亡び行く国民なら知らぬこと、
いやしくも伸びる力を持つ国民が、
この位の災害で意気阻喪してはたまるものではない。
心配はむしろ無用だ

「頑張れ、東北、頑張れ、日本」の声も、
途中から聞こえなくなった。

「伸びる力を持つ国民、
伸びる力を持つ東北関東人、
伸びる力を持つ私たち全員」
意気阻喪してたまるものか!

同じく日経新聞『消費の現場』。
「みそ・牛乳・洗剤…」
店頭と購買の現場を追う。

「みそ、牛乳、洗剤など毎日の生活で使う消費財を、
スーパーではなくコンビニエンスストアで買う傾向が強まっている」
ここでいうスーパーはスーパーマーケット。
「毎日の生活で使う消費財」はコモディティ・グッズ。

「大手メーカー品と遜色ないプライベートブランド(PB)商品が増え、
消費者が手を伸ばしやすくなっている」

これこそ「コモディティ化現象」。

事例は、コンビニ2強。
東京都文京区のローソン千駄木店。
PB「ローソンセレクト」のだし入りみそ(750g)は248円。
製造元はマルコメ。

記事にこうある。
「同店から歩いて5分ほどの食品スーパーでは、
マルコメのだし入りみそ(750g)が348円」

セブン‐イレブン文京千駄木店。
PB「セブンプレミアム」、
カロリーを抑えたマヨネーズタイプの調味料(400g)は198円。
製造元はキユーピー。

同じく、「近隣のスーパーでは、
ナショナルブランドのキユーピーの同商品(400g)238円。
カロリーや脂質などの栄養成分は同等」。

「東京都文京区の小売店舗を歩く」。
1リットル入りの牛乳では
明治の「おいしい牛乳」1リットル、
スーパーでは228円、
セブン‐イレブン、ローソン、ファミリーマートでは250円台。

ナショナルブランドの価格は、
コンビニが高い。

「ただPBではセブン‐イレブンが218円、
ローソンとファミリーマートが222円で販売」。

コンビニのPBと、
スーパーマーケットのNBでは、
コンビニが安い。

この記事を読んでいると、
コンビニの方が低価格路線のように思えてくる。
しかしスーパーマーケットも特売では安くなる。

記事にもその調査がある。
「ローソン阿佐ケ谷駅南口店でPBのトイレットペーパー(8ロール)は258円。
駅近くのスーパーでは特売品の12ロールが348円」
ローソンのPBは1ロール約32円、
駅近くのスーパーマーケットは29円。

スーパーマーケットの特売と、
コンビニのPBならば、
コンビニが高い。

ハイ&ローのスーパーマーケット。
エブリデー・フェア・プライスを標榜していたコンビニ。
しかしPBの力によって、
エブリデー・フェア・ロープライスになってきた。

昨年2月期、セブン-イレブンのPBの売上高全体構成比は4%、
それが「今年2月には8%に倍増」。

ナショナルブランドとプライベートブランド。
それも品質が同等の商品群。
そしてハイ&ローとエブリデー・ロープライス。

アメリカの競争と同じ軌道を歩んでいることは、
不思議でもなんでもない。

<結城義晴>

2012年03月12日(月曜日)

ACジャパン「魔法使いの少年」とスターバックス「持続的イノベーション」

Everybody! Good Monday!
[vol11]

2012年の第11週。
3月第3週。

昨日は東日本大震災の日。
亡くなられた方々へ哀悼の意を表し、
ご冥福をお祈りしたいと思います。

合掌。

そして今日からまた、
「ひとつずつ、
すこしずつ、
いっぽずつ」

ともに歩みましょう。
その決意を新たにしましょう。

1年前の今日、
九州新幹線全線開通
[youtubeID:UNbJzCFgjnU]
「ひとつになってくれて、ありがとう」

感動した。
励まされた。

私は昨年、このユーチューブを4回も、
このブログにリンクした。

そのたびに、
感動した。

今年も、来年も、
この感動を忘れてはならない。
そう思った。

三月の十一日よ人類よ
〈日向市・松重幹雄 朝日俳壇より〉

三・一一東北に吹く涅槃西風(ねはんにし)
〈豊橋市・河合清 朝日俳壇より〉

涅槃西風は「冬の季節風のなごりで春の彼岸の前後に吹く風」
「2週間天気予報」の常盤勝美さんの口調を借りると、
「発達した低気圧が日本海を通過したあとに、
気圧配置が一時冬型に戻り、この風が吹く」

さあ、今日から、
人類として再び歩き始めよう。

暦は春、梅の季節。
まだ冬型に戻ったり、
春を跳び越して初夏の陽気になったり、
そんなことを繰り返しながら、
桜の季節に移っていく。

花粉症さえなければ、
本当にいいシーズン。

仕事に勉強に、
趣味や余暇の楽しみに、
精を出して、
生きている気分を満喫したい。

そのうえで、
来週火曜日の春分の日を迎える。

地域によっては、
それから家庭によっては、
今週土曜日の17日が彼岸の入り、
来週20日が彼岸の中日で春分の日、
来週金曜日23日が彼岸の明け。

仏式行事をするところもあれば、
それはせずとも敬虔な気持ちになることは多い。

ましてや東日本大震災から1年。
昨年のことを思い出す。

日本中がどんよりした気分で、
「ACジャパン」の広告を見ていた。
力づけられた人もいるかもしれないが、
いまはもう、あのCMは見たくない気がする。

そのかわり、
2011年全国キャンペーンがいい。
「魔法使いの少年」

[youtubeID:7kX2u_C6hZw]

仕事疲れの帰り道。
押しボタン式の信号が赤に変わり、
私は車を停めた。

「はぁ―」
ため息がこぼれた、次の瞬間、
私は魔法を掛けられた。

横断歩道をわたり終えた男の子が、
私たちに向かって、丁寧に頭を下げたのだ。

思いがけないその仕草は、
私を、対向車のひとを、
一瞬にして笑顔に変えてしまった。

「ありがとう」の気持ちには、
思いもよらない力がある。

さて、日経新聞の月曜日の『景気指標』
編集委員の土屋直也さんが、
「日経平均1万円と金融政策」と題して問題提起。

「日経平均株価が先週末に一時1万円に乗せた」
日本経済にとって、ちょっと明るいニュース。

「2月14日に日銀が追加緩和を決定」。
その効果あって、「海外投資家が日本株買いに積極的に動き、
円安・日本株高の流れができた」

しかしここでまた逆の心配。
「バブルのような動きを見てしまうとつい気になるのは、
資産価格の上昇が将来の金融政策の制約にならないかという点だ」

米国FRBの「物価目標を正式に導入」に関しては、
2月28日に書いた。
いわゆるインフレ・ターゲット政策。

「第1に、個人消費支出物価指数でみて
インフレ率2%がゴールである」

「第3に、目標値については、
下限値を1%とする」
この明快さがいい。

アメリカ人の率直さ、明快性は、
本当にいい。

昨日のテレビでやっていた東日本大震災のあとの、
「米国海兵隊の友達作戦」にも感動したが。

話を戻して、日本のバブル崩壊以来、
「世界は3年に1度程度ずつのバブルを経験してきた」
これは内閣府の水野和夫さんの見解。

コラムニストは最後に言う。
「バブル多発時代にいることを忘れることはできない」

ちょっと光明が見えたけれど、
安心もできないし、
細心の注意が必要だ、
ということ。

いつでも、なんでも、
これは同じこと。

さて、もう一つ、
「ソーズバーグと読むスターバックス再生物語」
その3。

今回は「継続的なイノベーション」。
ハワード・シュルツCEOが繰り返し強調すること。
「イノベーションの追求を止めてはならない。
失敗を恐れず、挑戦することが大切だ」

そのいくつかの例が挙げられる。

もともとやっていた「ハウスブレンド」を、
さまざまなブレンドを試して、
2008年、「パイクプレイスロースト」の定番商品に切り替えた話。

2008年に「クローバー」という汎用コーヒー抽出マシンの企業を買収、
一部店舗でクローバーの試験的導入をしている話。

世界レベルでウェブサイトやソーシャルネットワークを利用している話。

ハウスブレンドのイノベーションは、
コーヒーショップチェーンとして、
コーヒーそのものの見直しを図った事例。

「たとえ成功している大企業でも、
常に自分たちの行動に疑問を投げかけ、
さらに改善していくために積極的に行動していく」
マッキンゼー・アンド・カンパニーのブライアン・ソーズバーグは、強調する。

企業や店の中核にある要素ですら、
持続的なイノベーションの対象から、
外してはならない。

それは私たち自身においても、
私たちの会社や店においても、
私たちの国においても。

ただしその時も、
「ひとつずつ、すこしずつ、いっぽずつ」

では、みなさん、今週も。
Good Monday!

<結城義晴>

2012年03月11日(日曜日)

「雨ニモマケズ」[日曜版2012vol11]

雨ニモマケズ
風ニモマケズ
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雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
丈夫ナカラダヲモチ
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慾ハナク
決シテイカラズ
イツモシヅカニワラッテヰル
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一日ニ玄米四合ト
味噌ト少シノ野菜ヲタベ
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アラユルコトヲ
ジブンヲカンジョウニ入レズニ
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ヨクミキキシワカリ
ソシテワスレズ
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野原ノ松ノ林ノ蔭ノ
小サナ萱ブキノ小屋ニヰテ
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東ニ病気ノコドモアレバ
行ッテ看病シテヤリ
西ニツカレタ母アレバ
行ッテソノ稲ノ束ヲ負ヒ
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南ニ死ニサウナ人アレバ
行ッテコハガラナクテモイゝトイヒ
北ニケンクワヤソショウガアレバ
ツマラナイカラヤメロトイヒ
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ヒドリノトキハナミダヲナガシ
サムサノナツハオロオロアルキ
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ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
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サウイフモノニ
ワタシハナリタイ

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合掌。
   <「【新】校本宮澤賢治全集第十三巻(上)覚書・手帳 本文篇」筑摩書房刊より

2012年03月10日(土曜日)

イオン㈱岡田元也社長発言「東北は成長地域に変わる」

3月11日。
明日、
あなたは何をしていますか?

私は、今日から、
立教大学新座キャンパスの太刀川記念交流会館。
ビジネスデザイン研究科の結城ゼミ、
その2012年新年度のキックオフ・ミーティング

新ゼミ生7人と、
結城ゼミのOB・OGが集まって、
研究に対する考え方や方法をレクチャーし、ヒアリングする。

集まって、議論したり、交流したり、
絆を確かめながら、3月11日を迎える。

私は「モノを考え、モノを教える」役目を果たしながら、
東日本大震災が起こった同じ日を過ごそうと思う。

亡くなられた方々のご冥福を祈りたい。

さて日経新聞の「人こと」欄に、
イオン㈱岡田元也社長が登場。

その発言が衝撃的だ。
「ビジネスモデル自体が変わった」

震災後に消費トレンドが変わるとか、
商品が変わるとか、
売り方を変えよとか、
さまざまな論議がある。

しかし東日本大震災のあとには、
被災地とその付近で、
「業態」や「フォーマット」の変化、変貌が起こる。

例えばドラッグストアが食料品、それも生鮮食品や日配、惣菜を拡充。
コンビニエンスストアでは主婦や高齢者の顧客が増加。

だから、「東北での事業展開は
既存業態にとらわれていては対応できない」。

そんなところから新しいフォーマットが誕生する。
私はそう思う。

岡田さんが語った場は、
仙台市で開かれた従業員の集い。

東北地方に関して、「市場として飽和感があった」が、
復興投資で「東北は成長地域に変わる」
岡田さんは、こう強調。

この日は東北エリアの新卒内定者が80人、参加していた。
彼らに対するエール。
「被災地での仕事は、
人々の命を支える小売りの原点を学べる。
恵まれていると思ってほしい」

私も、思う。
東北の子供たちは、きっといい大人になる。
東北の新入社員は、いい知識商人になるに違いない。

さて、先週末に行ってきた台湾旅行
結城ゼミ3期生の修了旅行。

観光編をちょっとだけ紹介。
まず、台北101
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行ってみると、
上の方は雲に煙っている。

高度382メートル。
89フロア。
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下界も煙って、
見えにくい。
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しかし下に降りてきたら、
なぜか、ピカピカの晴れ。
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残念。

中正紀念堂。
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中華民国(台湾)の建国者・蒋介石の史跡。
台湾では「蒋中正」と呼ばれる。
だから中正紀念堂。

蒋介石の像は、
ワシントンのリンカーン記念堂とそっくり。
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自由広場の両側には戯劇院=オペラハウス(左側)と、
音楽庁=コンサートホール(右側)。
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紀念堂の反対側に、
自由広場
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中正紀念堂を背景に写真。
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自由広場の門を背景に写真。
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さらに国立故宮博物院
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美術品数合計60万8985件。
世界四大博物館のひとつ。

こちらのロビーには孫文の像
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ここでも写真。
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新北市にある淡水区。
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ウォーターフロントの観光地。
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ここで舟に乗って、対岸に渡る。
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そしてムール貝の専門店。
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極めて美味。

ここでも写真。
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最後は九吩
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映画「千と千尋の神隠し」のモデルとなった観光地。
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ノスタルジックな坂の街。
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この街で最も見晴らしの良い店。
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おいしい中華料理と台湾ビール。
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一番最後の写真は、ホテルで。
全聯福利中心の初貴民さんを囲んで。
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台湾は、「世界で一番日本のことが好きな国」。
みなさんも、いちど、訪れてください。

私がお薦めします。

観光もよいし、流通小売り・サービス業の勉強にもなる。

では。

<結城義晴>

2012年03月09日(金曜日)

タブレット、スマホの時代とユースキン製薬新社屋披露会で感じたこと

今日も東京・横浜は雨。
ひと雨ごとに春。

松任谷由美の「春よ、来い」

春よ 遠き春よ
瞼閉じればそこに
愛をくれし君の
なつかしき声がする

とはいうものの、今年は、
胸の奥がざわざわしている。

あの日が迫っているからだ。

ほぼ日刊イトイ新聞の「それぞれの3月11日」
「3月11日、なにしてる?」と問いかける。

3月11日、
あなたは、
何をしていますか?

さて日経新聞3面に、
「タブレット端末、1億台時代へ」 の記事。

米国の調査会社ガートナーの昨年の予測。
世界のタブレット出荷台数は、
2011年に約7000万台だった。
それが2014年には2億2000万台に増える。

その時点で、パソコンは、
5億3000万台と予想されているから、
パソコンの半分に迫る。

今年の2012年、
米国でのタブレット出荷台数予測は3530万台。
これは個人向けノートパソコンの2950万台を上回る。

1カ月ほど前の2月7日のこのブログ。
「スマホがパソコンを逆転」 と書いた。

さらに今度はタブレットがパソコンに迫る。

タブレットの代表はアップルのiPad。
これが世界シェアの約6割。

韓国サムスン電子とグーグルの「ギャラクシータブ」、
米アマゾン・ドット・コムの「キンドル」シリーズが、
iPadを追う。

マイクロソフトも今年度の「ウィンドウズ8」で、
タブレット・マーケットでの巻き返しを意図している。

タブレットは、
①パソコンの高性能
②スマホの携帯性

両者を併せ持つ。

私も月1回の会議のひとつは、
ipadを使う。

アップルのティム・クックCEO。
「タブレットはわずか2年で
普通の人々の生活に無くてはならない存在になった」。

「日本では3月16日にソフトバンクモバイルが新型iPadを発売。
KDDIも4月以降に発売する見通し」

スマホとタブレットが、
もうパソコンを追い抜き、それに迫る。

このスピード感。

しかしそれらがすべてを塗り替えてしまうわけではない。
共存しつつ、さらに便利になっていく。

インターネットのホームページからブログへ。
そしてツイッターからフェイスブックへ。

しかし、古い古い古本も残るし、
単行本は新書、文庫ジャンルも広がる。
新聞や雑誌もなくなるわけではない。

ただただチャネルやメディアの種類が増える。
そしてそれぞれにマーケットを獲得し、
定着していく。

より便利なものが最大の存在に、
そうでないものはそれなりに定着する。

1962年、エベレット・ロジャースが説いた「イノベーター理論」。
顧客は5種類に分けられる。
1.イノベーター =革新的顧客
2.オピニオンリーダー=初期少数顧客
3.アーリー・マジョリティ=初期多数顧客
4.レイト・マジョリティ=後期多数顧客
5.ラガード=伝統主義顧客

例えばラガードは、どんなマーケットにも存在する。
いまだに携帯電話を持たない人がいるし、
仕事でもパソコンを使わない人もいる。

さすがに据え置き電話は必要だろうし、
武者小路や志賀の白樺派や、
安吾、団などの無頼派の時代ように、
ハガキや電報で待ち合わせの連絡をするという輩はないだろう。

余談だが、昭和52年、
私が社会人になりたての頃、
慶応大学教授の村田昭治先生の担当になった。
村田先生はハガキ派だった。
電話すら受けなかった。

だからタブレットのipadが増えようと、
スマホパソコンを抜こうと、
それだけになるものではない。

小売業の業態では百貨店が一番古いものだし、
「業態の盛衰」という概念でとらえると、
衰退気味の業態でイノベーションが要求されてもいるのだろうが、
世界中でデパートメントストアはなくなりはしない。

タブレットとスマートフォン、
そしてパソコン。

いずれも現代ビジネスマンは、
使いこなさねばならないことにはなるが、
それだけになってしまうものでもない。

「ひとつの手段に頼ろうとする誘惑は、
これを退けなければならない」

だから手書きの文章や手紙もいいし、
ペーパーの活字もいいし、
デジタルのワープロ文字もいい。
ネットで伝播する絵文字もいいだろう。

きのうの夜は、
川崎のユースキン製薬㈱を訪れた。
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その新社屋落成披露パーティーにお招きいただいたからだが、
代表取締役社長の野渡和義さんが、
私の中学高校の器械体操部の先輩にあたるからでもある。

「ユースキン」クリームは、
昭和32年に発売された古い商品だ。
しかしその商品の機能的・品質的な強みが、
今日まで引き継がれていて、
その心意気が新社屋に表れていた。

1階は吹き抜けのギャラリー。
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ユースキン製薬のコンセプトが、
その歴史によって語られている。

2階は全フロアが研究室。
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そして3階がオフィス。
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私も㈱商業界の社長のころ、
古い古い社屋の全面改装をしたことがある。

その時の心弾む気分を思い出して、
野渡先輩や社員のみなさんの心情を察した。

4階の会議室では、
西村真児常務取締役が、
新社屋の構造やコンセプトをレクチャーしてくれた。
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環境に適応し、働きやすい空間をつくり、
なおかつ製薬会社のコンセプトを貫く。

いい会社のいい本社。

懇親会では、
野渡社長のご挨拶。
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淡々としていて、
しかもユーモアがあって、
社員を大事にしている様子が、
スピーチに込められていた。

パーティーにはトマス・トランブレ聖光学院学院長、
工藤誠一校長も列席。

トマス先生には英語を教わった。
懐かしかった。
「8期生は特徴的な生徒たちでした。
結城君も頑張って」
そう、声をかけていただいた。

工藤校長は11期生で、私の3年後輩。
「母校を守ってくれてありがとう」
私はそう、お礼を言った。

ずいぶん長い年月を経たのだなあ、と感慨深かった。
最後に野渡先輩と握手。
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私たちは横浜にある私立聖光学院に通った。
中学・高校一貫教育のカトリック系の学校。

野渡さんは5期生、私は8期生。
3期生にはあのオフコースの小田和正さんがいた。

私が中学1年で器械体操部に入った時、
野渡さんは高校1年のカッコいい先輩だった。

今は、誰も、
私たちがバク転をやったり山下跳びにチャレンジしたり、
鉄棒で車輪をやったりしたとは信じないが、
野渡さんは3年上のあこがれの人だった。

体育会的には弱小高校の弱小クラブ。
指導教員は全日本学生選手権者だった酒井志郎先生と超一流だったが、
選手は少なく、練習時間も限られていて、
高校生と中学生が一緒に練習した。
酒井先生が横浜国大の監督を務めておられたので、
1回だけ国大に行って合同練習もしたことがある。

その聖光学院器械体操部先輩の野渡和義さんと、
私は44年ぶりに札幌で再会した。

感動した。

その野渡さんがユースキン製薬社長として、
日本の薬事業界やドラッグストア産業に貢献する。

本当に不思議なご縁を感じた。

スマホやタブレットの時代になろうとも、
私はいつも自分の著書には筆でサインし、落款を押す。

長い原稿は400字詰めの「結城義晴原稿用紙」にペリカンの万年筆で、
1時間6~7枚を一気に書き上げる。

もちろん毎日のブログは、
パソコンに向かって打ち込む。

「ひとつの手段に頼ろうとする誘惑は、
これを退けなければならない」

中学生の昔を思い出しながら、
そんなことを強く感じた夜だった。

<結城義晴>

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