結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2012年05月25日(金曜日)

画家・中川一政の「神品も凡品」とドラッカーの「Communication」

「若しも」

もしもその人の絵が
よいかわるいかわからぬ者は
作者の顔を見よ。
作者の顔には
ちゃんと書いてある。

もしもそのうえわかりたいなら
作者と一言話してみよ。
例えば「今日は」と云っても
真心がこもっているかいないかわかるものである。

画には真心がなければならず。
画に真心をこめるほどの人は
一つの言葉にも軽薄なところはないと思う。

〈『歳々年々』(中川一政著・自在書房・昭和22年刊)より〉

この詩、実は、孫引き。
鶴巻敏夫著『働き方の研究』(パルス出版)から、
引用させていただいた。
20120525234143.jpg

私は昭和56年5月27日にこの本を、
鶴巻先生からいただいた。
20120525232350.JPG

中川一政は、画家。
倉敷のアイビースクェアのロビーに、
十六号の椿の油絵がかかっている。

それが中川の作品。

鶴巻先生は言う。
「ビジネスにおいても
同じでなければなるまい」

昨日のこのブログの川野幸夫さんの写真を見返していて、
急に鶴巻先生の本を取り出した。
20120524210443.jpg

中川の言葉。
「芸術家は作品を作るが、
一方においておのずから
その顔をつくってゆくものである」

鶴巻先生は、俳人・荻原井泉水の言葉も紹介する。
「『俳句』を作るよりも
『人間』をつくる方が第一である」

(『生命は長し』(実業之日本社、昭和36年)

「かれが俳句の形を排して、
俳句の心を第一としたゆえんである」

お店も商品も、
このレベルまで行かねばならない。

中川一政のもうひとつの詩。

「神品も凡品」

悲しみは
悲しみを持つ人々にのみ
了解さるべし。

人の悲しみを悲しむは、
わが身に引き比べて悲しむなり。

わが身に悲しみの用意あり人の
悲しみを受くるなり。

画もまた其のごとし。

一つの画が人に迫るは、
観者の用意に向かって
画が働きかけるなり。

観者の用意なくば
神品も凡品のごとし。

ここで私は、ピーター・ドラッカーを思う。
『マネジメント・エッセンシャル版』は100万部となった。
その第6章 「マネジメントの技能」のなかに、
「コミュニケーション」の項が出てくる。

コミュニケーションには4つの基本があるが、
その第1が「知覚」。
「コミュニケーションを成立させるものは
受け手である」

コミュニケーションを成立させるのは、
その内容を発する者ではない。
聴く者がいなければ、
コミュニケーションは成り立たない。

だから「受け手の知覚能力の範囲内」にあるのか、
「受け手が受け止めることができるか」を、
よく考えてコミュニケートせよと、
ドラッカーは言う。

さらに第2に、
「コミュニケーションは期待である」
「われわれは期待しているものだけを知覚する。
期待していないものは受けつけられることさえない」

だから、「期待されているものが何かを
知らなければならない」

「期待するものを知って、初めて、
その期待を利用することができる」

ドラッカーらしい言い回し。

中川一政に言わせれば、
「観者の用意なくば
神品も凡品のごとし」

これも店や商品に当てはまる。
チラシやPOPにまでつながる。

ビジネスにおいても、
同じである。

<結城義晴>

[追伸]
今週も、ブログを読んでくださって、
ありがとうございました。

良い週末を迎えてください。
ドラッカー流に言えば、
「成果の上がる週末を!」


2 件のコメント

  • 「神品も凡品のごとし」
    私も神品を作っているつもりだが、観者の用意に、なかなか応えられない。
    小売業の顧客商品購買履歴が公開されないかぎり、次世代の情報化社会は到来しない。
    そんな日本国の情報化社会へのパラダイムシフトを目指して、小売業が政府/地公体と協労して、あるべき、政治/行政を再設計している。
    まず、手始めに、その原動力となる経済の流れ(資金・予算)を、小売業のステークホルダー(お客様/小売業/仕入れ業者/広告屋/店舗建築屋/関連会社/従業員)間を「地域」と見立てた小売業地域通貨で稼ぎたい。
    実は、この地域通貨は小売業の造幣権であり、即、無限に資金が調達できる。
    さらに、この地域通貨は電子化しており、キャッシュレス化が徹底し、小売業の情報の数値信頼性が確立し、小売業が科学的な近代産業へ飛翔する。
    小売業の飛躍は、キャッシュレス化による数値信頼性の確立にある。

    ・・・・・・
    訳の判らない文書でごめんなさい。
    先生の素晴らしいブログに触発されて、ついフライイング!
    素晴らしい心意気、ありがとうございます

  • 吉田豊昭さま、ご返事遅れ、恐縮。
    「神品」をつくるという心意気、
    尊いものです。
    それが「凡品」に堕してしまう。
    恐ろしいことです。

    必須のことは、
    「相手の立場」に立つ。

    「コミュニケーションを成立させるものは受け手である」
    これはドラッカーの言葉。

    商品も施策も、
    コミュニケーションと考えることができます。
    受け手を知ること。
    何ごとにも、それが必要なようです。

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