結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2024年04月05日(金曜日)

八幡市「背割提」の桜並木とロピア京都ヨドバシの「インスタ映え」

㈱マツモト会長の松本隆文さんから、
写真をお送りいただいた。

京都府八幡市、背割提(せわりてい)。IMG_9216 (002)3

桜並木が有名だ。
IMG_9248 (002)3
松本さんは桜が大好きで、
毎年、吉野の山桜や、
弘前の桜を見に行くそうだ。

「桜散策」

うらやましい限りだが、
この時期は私も、
できるだけ桜を見たいと思う。

今、満開。
IMG_9218 (002)4
ありがとうございました。

マツモトの店を訪れて、
講演もした。

マツモトらしさ、京都らしさを、
一所懸命に追及しても、
うまくいかないことはある。

そこは仮説と検証を繰り返す。
Plan-Do-Check-Actを回す。

それによって、
模倣困難なマツモトらしさを生み出す。

みなさんの奮闘を期待したい。

私は京都駅へ。
IMG_34874

京都タワー。
IMG_E34894

1964年2月3日に立柱式、
12月28日の開業。

鉄骨は一切使われていない。
円筒型の塔身は12~22ミリの、
特殊鋼板シリンダーを、
溶接で繋ぎ合わせて作られた。

モノコック構造という。
IMG_34884
今年の4月から2029年3月末まで、
名称が「ニデック京都タワー」となる。
ニデックが命名権をとった。

私は京都ヨドバシカメラへ。
1階のアップルショップ。
IMG_34774

地下2階にロピア。
IMG_34924
2021年11月18日オープン。

2020年9月29日に、
「寝屋川島忠ホームズ店」を開業した。

京都淀橋店は関西圏7号店。

今やTOKYO-BAYと並ぶ、
ロピアの代表店舗だ。

京都に来たら、ロピアの視察は欠かせない。

入り口の青果部門には、
氷を敷き詰めた売場があったが、
今は氷がなくなった。
IMG_34954

旬の筍はこの3本アイテムが2800円。IMG_34855

惣菜売場は相変わらずの大人気。IMG_34844

鮮魚の魚萬もいつも客数が多い。IMG_34834

「海鮮たっぷりちらし」は、
宮城のはらこ飯だ。
鮭とイクラがのったちらし寿司。
これを購入。
IMG_34934

「インスタ映え」と書かれた「はみ出し巻」。IMG_34824
インスタで受ける映像も、
商品の要素となってきた。

相変わらずの大繁盛で一安心。IMG_34964
オープン当初の意欲的な挑戦は、
残るものと残らないことがある。

現場がやりやすいように変えればいい。
しかしロピアのポジショニングに関する、
革新的な試みは続けなければならない。

そして新しいチャレンジが必須である。

ここでもPDCAである。

毎月第4月曜日。
「やったるDAY」。
この日には「大試食会」も行われる。
IMG_34794

さらに「店置きチラシ廃止」。
ロピア公式アプリ「ロピタ」で、
毎日配信することになった。
IMG_34804

店は常に変わり続ける。
それはとてもいいことなのだ。

横浜に帰ってきて、
家の近くの夜桜。
IMG_34994

こちらは少し寒い。
けれど遅ればせながら満開の桜。

初桜折しもけふは能日(よきひ)なり
〈松尾芭蕉〉

京都の桜の二日間。
良い日だった。

ありがとう。

〈結城義晴〉

2024年04月04日(木曜日)

京都マツモトの店舗訪問と絶品料理&夜桜の「卓越」

今日は東海道新幹線で京都へ。

あいにく富士は厚い雲の向こう。
IMG_3375

マツモトの取材と講演。

京都府亀岡に本部を置くマツモト。
業容は25店舗・売上高575億円。

売上げの7割は京都市内の店舗が、
ドミナントを築いて稼ぐ

京都市内の旗艦店はマツモト五条店。
IMG_4662

木曜の今日はセール日。
午後2時に店に到着したら、
次々に顧客がやってくる。
IMG_4622

社内研修の「北水会」の実施日で、
マツモト幹部が勢ぞろいしている。
IMG_4639

「北水会」はもともと、
オール日本スーパーマーケット協会の中の、
特別に濃いメンバー企業の勉強会だった。

当時の関西スーパーマーケットの、
北野祐次社長と水谷久三専務を中心に、
メンバー企業の店舗を視察して、
侃侃諤諤(かんかんがくがく)、意見を交換した。

北野さんは会長になり、
水谷さんも最高顧問になった。

そしてお二人とも亡くなられた。
それでも北水会は続けられた。

残念ながら新型コロナウイルス感染拡大で、
この北水会は中断した。

そこでマツモトでは、
この活動を自社内で行うことにした。

今年は第5回「社内北水会」となった。

その北水会の対象となった店を私も訪れた。

売場にはマツモトらしさがあふれている。

バイヤーの顔写真入りPOP。
IMG_3378

京都の名物「ちりめん山椒」。
目利きの達人の写真入り。IMG_3392

それからブランド化した、
「まごころ牛」
実によく売れている。IMG_3383

さらに京菓子の島陳列。
これも大人気となった。IMG_3385

マツモトだから取り扱える商品。IMG_3386

京風だし巻き玉子やにしんの昆布巻き。
今日のおばんざいだ。IMG_3396

自慢の惣菜はすべて、
店内加工。
IMG_3397

さば寿司と巻き寿司。
マツモト名物のセットアイテム。
買って食べた。
肉厚の鯖がのったさば寿司も、
かんぴょうと玉子が入った巻き寿司も、
優しい味で美味かった。IMG_3401

天ぷらコーナー。
カボチャのてんぷらのこの厚み。
おやつとして食べられることもあって、
よく売れている。
IMG_3404

マツモトがどんどん進化している。
それを見てうれしかった。
案内してくれた幹部の皆さんと写真。IMG_4669
グリーンのジャンパーがマツモトの幹部の皆さん。

右から松本隆文会長、松本健司社長。
私の左隣は村田五条店店長、堀内智之部長。
加茂晶一店舗運営部ブロックマネジャー。
堀内さんは第一商品部で青果と海産を担当。

そしてレンゴーの皆さん。
右から山本麻依子さんと勝村佳代さん、
そして縄田幸男さん。

レンゴーは段ボール什器を、
マツモトの店頭で実験している。
今日はその取材だが、
デザインマーケティングセンターから
三人が同行してくれている。

次に向かったのは、
マツモト西小路御池店。IMG_4673

青果売場。
レンゴーの段ボール什器を効果的に使用している。IMG_4687

海産売場のテーマは「まんぷくの春」。
IMG_4699

鮮魚では辻昌幸店長と鮮魚担当者が説明してくれた。
IMG_4698

京都産生乳100%の京都農協牛乳。
マツモトでは大人気。
地元の商品開発が進んでいる。IMG_4723

レジ前島陳列の米売場は京都産米がメイン。
京都丹波産こしひかり。

買って帰りたかった。IMG_4736

ご案内くださった辻店長初め、
西小路御池店の皆さんと写真。IMG_4733
右から二人目は小谷真也さん。
営業企画部長で今回の取材のアテンドをしてくれた。

皆さん、ありがとうございました。

京都市から亀岡市のマツモト本部へ。
今年初めに改装を終えた。

故松本定市前会長の部屋を応接間にした。
窓から眼下に亀岡市内が見える。IMG_4741

4階のホールで、結城義晴の講演。IMG_4750

マツモト社内北水会のメンバーとして、
経営トップから部長、マネジャークラスの人たちが、
全員参集。
IMG_4751

事前に私の新著『チェーンストア』が、
全員に配られていた。
商人舎ミドルマネジメント研修会や、
US研修会ベーシック編などに、
マツモトからは幹部やミドルマネジメントが、
多く参加している。

理解度テストなどのS級獲得者の比率は、
極めて高いレベルだ。

だから私は講義がしやすい。
伝えたい内容はすでに勉強済みだ。

つまりマツモトは「学習する組織」なのだ。
そうすると講義や講演は、
理解度が飛躍的に高まる。

そこでチェーンストア1.0と2.0、3.0の解説。IMG_4758

とくに2.0の「業態チェーンストア」時代に、
関西スーパーが果たした役割は極めて大きい。
マツモトは北水会などを含めて、
徹底的に関西スーパーに学んだ。
そして業態の確立を実現させた。
IMG_4763

そのうえでフォーマットの時代となった。
チェーンストア3.0である。

このフォーマットは、
業態としての関西スーパー方式に、
マツモトらしさのポジショニングを加えることで、
完成に近づく。

3.0は関西スーパー方式の徹底と、
マツモトらしさの貫徹によって成し遂げられる。
IMG_4765

もっともっとマツモトらしさを極めてほしい。
アウトスタンディングな、
模倣困難なマツモトらしさ、
京都らしさ。

それがマツモトのポジショニングとなる。

最後は祈り。
変えられるものは変える勇気を、
変えられないものは受け入れる心の静かさを、
それらを見分ける英知をお与えください。

何度も拍手をいただいた。
ご清聴、感謝したい。IMG_4768

講演が終わると、
ふたたび京都市内へ。

大井川が流れる嵐山付近。IMG_3410

河畔にある「天ぷら松」。
松本会長の大学の先輩が創業した店。

ここで松本会長、松本社長、
そして松本幸男専務との会食。
亀谷しづえ商人舎ゼネラルマネジャーも。IMG_3415

車で送ってくれた八田茂徳さん。
店舗運営部チーフマネジャー。
この嵐山に住んでいるそうで、
観光名所ではゆっくりと走ってくれた。IMG_3416

「天ぷら松」の料理は言葉に表せないくらい、
素晴らしかった。

まさにアウトスタンディングだった。
卓越した料理だった。

まずはビールで乾杯。
講演で乾いたのどに染み渡った。
IMG_4778

先付けの青豆とキャビアのおかゆには、
いきなりびっくりさせられた。
先付けでおかゆさん、
しかも、超美味。

次々に趣向を凝らした料理が出てきた。

松葉蟹を目の前の炭火で焼いてくれる。IMG_4780

そのままいただくのかと思いきや、
丁寧に身をほぐしてくれて、
カニの甲羅に蟹肉と湯葉を詰めてあげた天ぷらに、
ほぐした身をこんもりとのせて、
絶品の蟹みそソースをかける。IMG_4787

食べると蟹のさまざまな味が楽しめる。
絶品。
IMG_3422

京都は筍の産地だ。
朝獲れの新鮮な筍は、
糠を入れずにお湯だけで炊き上げる。
それで十分らしい。
IMG_3429

まず茹でただけの筍の本体。
これが素朴で筍本来の味で、
素晴らしかった。
新鮮な筍はトウモロコシの香りがする。
IMG_3435

さらに筍の穂先を叩いた木の芽と一緒に、
塩だけでいただく。
IMG_4799

大ぶりの伊勢エビは、
しっかり掴んでおかないと、
飛び出すほど新鮮だ。IMG_3425

白みそ仕立てで出てきた。
器は螺鈿細工入りのお椀。IMG_4795

食べ終わると絵柄が現われる。

この店は器に凝っている。
古い器、著名な作家の器を、
惜しげもなく使って、
おいしい料理を提供してくれる。IMG_3428

本まぐろと琵琶湖産うなぎの小ぶりな丼。
ご飯もおいしい。
IMG_4801

ホタルイカを目の前のまな板で調理。IMG_4802

熱々の器にホタルイカを入れ、
茶碗蒸しのスープを注いで、
ふうふう言いながらいただく。IMG_4805

最後にフキノトウやエビ、
新タマネギの天ぷら。
天ぷら屋の絶品の天ぷらが、
最後の詰めの料理だ。IMG_4807

最後の最後に締めのうどん。

私はフグの煮込みうどん。IMG_3442

こちらは梅うどん。
自家製の氷の器で供される。IMG_4808

デザートはわらび餅とアイスクリーム。
写真を撮り忘れたメニューもあった。
おいしいおいしいと言いながら、完食した。

地元のお酒と素晴らしい創作料理に、
大きな感動を覚えた。

今夜の食事は一生忘れない。

食事の後は、夜桜見物。

円山公園にある祇園枝垂れ桜。
正式名称は「一重白彼岸枝垂桜」

スポットライトに照らされたその姿は、
神々しいばかり。
IMG_3443

枝垂れ桜は二代目。
初代は昭和22年に枯れた。
樹齢220年だった。
その初代の種子から育てられたのがこの桜。
樹齢約80年の大木に成長した。IMG_3447

枝垂れ桜の周りを一周する。
若芽の木々とのグラデーションもいい。IMG_3451

多くの外国人が訪れていた。
IMG_3455

そして白川沿いの桜。IMG_4814

ここでも外国人の姿。
日本の桜を愛でている。
うれしいことだ。
IMG_3470

枝垂れ柳と桜。
日本らしさ、京都らしさ。IMG_3472

長いながい一日だった。

アウトスタンディングな店、
アウトスタンディングな学習する組織。

そして卓越した料理と桜。

自分たちらしさを発揮する仕事こそ、
お客様と地域に貢献するために、
もっとも必要なことなのだ。

〈結城義晴〉

2024年04月03日(水曜日)

静岡県知事川勝平太の「士農工商」と「旧サニー」のイズミへの売却

毎日、桜を楽しむ。IMG_33654

雨の中の桜も、なかなかいい。IMG_33664

1日がかりで、
最後の原稿を全部書き上げて、
責了した。

それから「結城義晴の定義集」、
表紙の特集タイトルとCover Message、
さらにMessage of April。

これらも書き終わった。

表4はこれです。
IMG_33724
みんな、ありがとう。

いい出来栄えの一冊です。

自分で言うのも恐縮だが、
チェーンストアやリテールを専門的に掘り下げて、
このクオリティと品格を保つ雑誌は、
歴史の中でも稀だと思う。

そのくらいの気概で取り組んでいる。
ご期待ください。

さて、静岡県の川勝平太知事。

もうワイドショーネタになっている。

失言だらけ。
あまりにひどい言説を自ら認めて、
昨年の冬の知事のボーナスを返上すると言った。

しかし実際はいつまでも返上しなかったので、
県議会が条例を可決して、
知事の冬季ボーナスと12月の月給をカットした。

そしてまたまた失言。

今度は6月いっぱいで辞任すると言い出した。
その辞任の時期は夏のボーナスのあとだ。

川勝平太、老害だ。

最後の失言は、
県庁の新入職員への訓示で出た。

「実は静岡県庁というのは、
別の言葉で言うとシンクタンクです。
毎日毎日野菜を売ったり、
あるいは牛の世話をしたり、
あるいは物を作ったりとか
ということと違ってですね、
基本的に皆さま方は頭脳、知性の
高い方たちです。
ですからそれを磨く必要がありますね。
磨き方はいろいろあります」

これは「士農工商」の序列を言っている。
野菜を売ったりの商と、
牛の世話をしたりの農と、
物を作ったりの工。

自分たちは「士」であるから、
頭脳と知性が高い。

失言ではない。
腹の底から、
こんな偏見が染みついている。

だから次々にこういったことが、
口をついて出てくる。

ピーター・ドラッカーは、
ナレッジ・ワーカーと言う概念を主張した。
それからヒントを得て、
私は「知識商人」と言っている。

商人は、知識と知恵の仕事の人なのだ。

農業も工業も、
知識と知恵の体系で成り立っている。

川勝平太、許さない。

川勝は早稲田大学政治経済学部教授、
静岡文化芸術大学学長などを経て、
静岡県知事となった。

75歳の団塊の世代。

2008年刊の『産業人の未来』
ドラッカー著。
IMG_33714
この赤本では、
帯の言葉を書いている。

しかし川勝の言動は、
ドラッカー思想とは、
真逆にある。

断じて許さない。

夏のボーナスさえ、
支給してはならない。

さて、西友。
またまた大ニュースを発表した。

商人舎流通SuperNews。

北海道に続いて、
九州の店舗事業の譲渡決定を発表した。

九州事業とは店名「サニー」の67店と、
「西友」の長崎駅店、道の尾店の2店。

相手は㈱イズミ。

大久保恒夫社長のコメント。
「日本には地域ごとに非常に豊かな食文 化があり、
きめ細かな対応が必要です。
北海道および九州ともに
順調に利益を生み出してきましたが、
今後は本州をコア地域として、
200強の店舗において最高の価値を提供すべく
経営資源を集中させることとしました」

イズミnews|
西友の九州事業を取得/サニーなど69店舗年商970億円

西友の九州の店舗を事業継承するのは、
イズミとその連結子会社㈱ゆめマート熊本だ。

69店舖は2022年12月期で、
年商970億円、売上総利益267億円。

8月1日からイズミグループとなる。

㈱サニーは1963年に、
百貨店の岩田屋と伊藤忠商事の共同出資で設立。
seiyu_20220615_01

福岡生まれの私は、
サニーの人たちと長らく、
親しくしていた。

私の従弟はサニーで精肉のバイヤーをしていた。

2004年に西友の完全子会社となった。
それからウォルマートの孫会社となり、
西友に併合されて今度は、
店舗と従業員がイズミの傘下に入る。

イズミにとっては実にいい「買物」だった。

イズミは「2030年長期ビジョン」を打ち出していて、
中四国・九州地域を軸とした300店舗体制、
営業収益1兆円の達成を掲げる。

それに大きく近づく案件だった。

サニーの人たちにも、
「商人の本籍地と現住所」のことを言おう。

商人には本籍地がある。
それは今もサニーだ。

そして現住所がイズミに変わった。
こちらでも全力を挙げて、
知識商人を貫いてほしい。

ちなみに私の現住所は、
いまでも福岡県福岡市早良区にある。

サニーの店と人は、
私の同志だと思っている。

頑張れ。

〈結城義晴〉

2024年04月02日(火曜日)

西友札幌店舗のイオンへの売却と「日本のカリフォルニア論」

西友が北海道から撤退する。

日経新聞電子版が報じた。

札幌市内の総合スーパー全9店舗を、
イオン北海道に売却する。
170億円。

イオン北海道は取締役会を開いて、
西友と北海道事業の取得に関する契約を結んだ。
5月末に定時株主総会で承認を受け、
10月1日付で西友の店舗を取得する。

全9店舗で働く従業員は、
イオン北海道に移籍する予定。

イオン北海道は札幌市内に、
全店の過半の95店舗を持つ。
そのうち総合スーパー業態は13店舗だ。
これに西友の9店舗が加わる。

西友は大久保恒夫社長のもとで、
改革を進めている。

現在はスーパーマーケット業態のチェーンだ。
したがって遠隔の北海道の、
利益率の低い総合スーパー業態は必要ない。

25年12月期に売上高9000億円、
営業利益率5%以上を目標にする。

札幌市内の総合スーパーは26店。
イオン北海道が13店、西友が9店、
そしてイトーヨーカ堂が4店。

イオンは22店となる。
イトーヨーカ堂の3店はロピアが引き継ぐ。

かつて北海道は、
「日本のカリフォルニア」と呼ばれて、
大手総合スーパーがこぞって進出した。

ダイエー、イトーヨーカ堂、
ジャスコ、西友、マイカル。
長崎屋、東急ストア。

残るのはイオンということになる。

アメリカのカリフォルニア。
ロサンゼルス。

ローカルチェーンの2強は、
ラルフとボンズだった。

ナショナルチェーンは、
セーフウェイとアルバートソン。

リージョナルチェーンがラッキー。

ラルフがクローガー傘下となり、
ボンズはセーフウェイに買収され、
ラッキーはアルバートソンに統合された。

そのセーフウェイとアルバートソンが合併し、
今またクローガーに併合されている。

結局、クローガー一色となった。

こちらは食品スーパーマーケット業態が、
ほとんどクローガーとなる。

チェーンストア2.0企業は、
クローガーに吸収される。

ホールフーズとトレーダー・ジョー、
スプラウツ・ファーマーズマーケット。
ユニークなポジショニングをもつ企業、
チェーンストア3.0の企業が、
自分の道を歩いていく。

北海道の総合スーパーも、
どうやらイオンに収れんしそうだ。

チェーンストア3.0企業が残る。

北海道はやはり、
日本のカリフォルニアなのかもしれない。

もちろんスーパーマーケット業態は、
アークスとコープさっぽろ、
そしてイオン北海道のそれが、
鼎占現象を見せている。

こちらもポジショニング競争である。
そしてこちらもチェーンストア3.0の時代である。

今日は夕方、
當仲寛哲さん、来社。
USP研究所代表取締役所長。IMG_33554

データドリブン経営に関して、
さまざまな意見交換をした。

それから1日中、原稿を執筆し、
デザイナーに入稿した。

よく仕事した。

夜は山本恭広編集長と一献。
IMG_33584

帰り道の夜桜。
IMG_33614

七分咲きといったところか。
IMG_33594

これから桜は本番。

仕事も最後の詰めだ。

頑張ります。

〈結城義晴〉

2024年04月01日(月曜日)

「できるだけ若いうちに料理は始めた方がいい」

Everyone, Good Monday!
[2024vol⑭]

2024年第14週。
4月第1週。

4月1日。

心新たに、新年度が始まる。
その日が月曜日というのは、
とてもいい。

Good Monday!

商業界の時代には、
編集長として食品商業や販売革新を担当していた。
「読む雑誌」ではなく、
「使う雑誌」をつくろうとしていた。

読者は店長やバイヤー、
チーフ、売り場担当者、
その候補生としての新入社員たちだった。

だから毎年4月号は、
フレッシュマン特集を企画した。

現在の月刊商人舎は、
「考える雑誌」を標榜している。
202401_coverpage
トップマネジメントや幹部、
トップを目指すミドルマネジメント。
そんな知識商人のための雑誌。

もちろん「考える雑誌」といっても、
知識商人は考えてから行動する。
行動してから考える。

さらに考える。
行動する。

生きている限り、
これを繰り返す。

新入社員も考えることから学んでほしい。

お勧めしたい本を一冊だけあげるとしたら、
外山滋比古著『思考の整理学』
71BEVvImOCL._SL1200_
考える雑誌のコンセプトそのものの内容だ。

日経新聞夕刊のエッセイ。
「あすへの話題」
料理研究家の土井善晴さんが、
「魚の煮付け」と題して書く。
51ihEkFuL5L._SL1000_

春の魚、メバルやカレイ。
旬の魚の煮付けが旨い季節だ。

父が魚好きだった。
母は煮つけが得意だった。
私も魚の煮つけが大好きだ。

そのコツを土井善晴さんが教えてくれる。

まず[魚の水洗い]
「姿のままウロコ、内臓をとって、
血合いを洗い、水気を拭き取るまで」

――魚には表裏があるので、
頭を左、腹を手前におく。
頭を右にするカレイは例外。
左ヒラメ、右カレイと覚える。

煮魚は途中で返さない。

[道具]
魚が重ならないように入る広口の雪平鍋、
鍋に見合った落とし蓋、
玉じゃくし。

あとは、
[水]
[調味料]砂糖(あれば味醂)と醤油。

[飾り包丁]
火を入れると皮目が縮むので、
シューと気持ちよく切り込みを入れる。

さて[煮つけ]
《鍋に水をいれ火にかける。
砂糖と醤油で味をつける。
およそ煮立てば、魚の表を上にして入れ、
煮汁をかけて表面に火を通し、
落とし蓋をして中火で煮る。
魚に火が入り、煮汁をとろりと煮詰めて
火を止める。》

――煮汁が流れない平皿に、
箸とヘラを使って、慎重に盛り、
鍋の煮汁をソースにする。

――煮汁の水は、
火を通す時間であり、
ヒタヒタよりも少なめ、
味付けは、冷やっこの感じをイメージして
醤油を入れ、ご飯のおかずなら
砂糖+味醂は醤油より多い目。

土井さん。
「煮付けは、《 》部分が示すように、
いたってシンプルな料理だが、
だれもが分かるように書こうとすれば、
ここでは到底書ききれない」

「しかし、一度魚を煮れば、
これだけのことが経験できるのだ」

素晴らしい。

「料理行為とその周辺には
さまざまな学びがあり、
しかも、料理を超える無限の気付きがある」

料理は思考の整理にも役立つ。

土井善晴さんのメッセージ。
「だから、大人になったら、
できるだけ若いうちに
料理は始めた方がいい」

この言葉を今年の新入社員に贈ろう。

できるだけ若いうちに、
料理は始めた方がいい。

とくにスーパーマーケットに働く者、
食品製造業、食品卸売業に従事する者。
食品産業に生きる者は、
若いうちに料理を始めたほうがいい。
自戒を込めて。

では、みなさん、今週も、
料理をしよう。
そして考えて、考えて、
考え抜こう。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2024年03月31日(日曜日)

倉本長治の「損得より善悪」とドラッカーの「integrity」

一月、往ぬる、
二月、逃げる、
三月、去る。

3月が終わる。

1月はニューヨークに行った。
2月もニューヨークを訪れた。
3月は日本にいて、取材や会議をした。
ずっと雑誌を作り続けた。

あっという間に2024年の四半期が過ぎた。

ショージ・オーウェルの1984年も、
スタンリー・キューブリックの2001年も、
あっという間にやってきて、
あっという間に過ぎていった。

家のベランダには花が咲き乱れた。
IMG_E33454

白と紫のビオラ。
IMG_E33414

これも薄紫と黄赤色のビオラ。
IMG_E33424

桃色のパンジー。
IMG_E33434

朝のテレビ番組では、
関口宏が引退した。
IMG_33064
毎週日曜日8時からの番組を36年務めた。

うしろから「あっぱれ!」と、
声をかけられて、
関口は泣いた。
IMG_E33384

この3月、ブログにはほぼ毎日、
熟慮のうえの投稿があった。

吉本一夫さん。

感謝したい。

月刊商人舎も熱心に読んでくださっている。
こちらも感謝したい。

確かな見識とキャリアを積んだ経営者だ。

今朝の投稿は、
昨日のブログへの考察。

「『損得より善悪』という概念は難解です。
資本主義では、得=善、損=悪ですし、
実際、赤字は社会的悪だと、私も思います」

倉本長治の商売十訓。
その第一訓が、
「損得より先に善悪を考えよう」
45367199_1795093417279625_2413885123452731392_o
これに対する吉本さんのコメント。

「時間軸起点で、目先の損得より
長期的損得という視点もありますし、
スコープ起点で、部分最適でなく
全体最適という視点もあります」

「しかし、それらは結局、
実用主義、功利主義的な発想です。
倉本長治さんが言われてるのは、
もっと違う気がしています」

その通りです。

吉本さんのご指摘の通り、
長治は第五訓に入れている。
「欠損は社会の為にも不善と悟れ」

第二訓は、
「創意を尊びつつ良い事は真似ろ」
これを私はinnovationであると読み解いた。

第三訓は、
「お客に有利な商いを毎日続けよ」
marketingである。

そのあとの第四訓が、
「愛と真実で適正利潤を確保せよ」

そして第五訓が「欠損」のこと。

第一訓は、
これらを先導するように、
integrityを教える。

世間が「士農工商」と蔑(さげす)んでいようとも、
いや、蔑まれているからこそ、
integrityを第一に考えようよ、と、
長治は説いた。

「商人と屏風は、
曲がっていないと立たない」

この蔑みの言葉に反論して、
倉本長治は言った。
「商人も屏風もどちらも、
まっすぐで平らなところにしか、
立たない」

ちなみに、
ピーター・ドラッカーは言う。
「マネージャーとして、始めから、
身に着けていなければならない資質が、
ひとつだけある。才能ではない。
真摯さ(integrity)である」
Drucker57899999

さらにドラッカーの最も有名な言葉。
「企業の目的として、
有効な定義はひとつしかない。
すなわち顧客の創造である」

「従って企業は二つの、
そして二つだけの基本的機能を持つ。
それがマーケティングとイノベーションである。
マーケティングとイノベーションだけが
企業に成果をもたらす」

長治のインテグリティは、
「損得より先に善悪を考えよ」

イノベーションは、
「創意を尊びつつ良い事は真似ろ」

マーケティングは、
「お客に有利な商いを毎日続けよ」

吉本さん、
そのことに気づいてくださって、
本当にありがとう。

朝日新聞「折々のことば」
2024年1月13日の第2967回。

「時代をこえて
超然と生きるなんて、
つっぱりすぎ。さりとて、
時代を気にして
引きずられっぱなしも
気にくわぬ」
〈森毅(つよし)〉

森毅は数学者、エッセイスト。
京都大学名誉教授。

「歴史が好きなのは、歴史を知ると、
ふだん当然だと思っていることに
距離をおけるから、
『現在の考えの幅をひろげる』
ことができるからだ」

「時代とは、
適度な『間合い』をもってつきあうのが大事。
ある視点から見た歴史の道筋に縛られるのも、
自分にこだわってばかりなのもつまらぬ」
〈随想『歴史のなかの自分』から〉

倉本長治も超然と生きてはいなかった。
もちろん歴史に引きずれらもしなかった。

それはドラッカーと同じだ。

二人とも歴史が好きだった。
だから見えるものがあった。
そして見えたものが共通していた。

私はそれを発見して、
驚いたし、納得した。

吉本一夫さん、ありがとう。

36年間を通じて、
関口宏にも、
見えたものはあっただろう。

〈結城義晴〉

2024年03月30日(土曜日)

ゴルフも商売も「心のゲーム」であると思う。

嵐のような強風の日に続いて、
快晴の一日。
IMG_33064

空は青い。
IMG_33074

ノースポールの花。
IMG_33324
マーガレットに似ているが、
少し小ぶりで、
和名はカンシロギク。

春の花を楽しむときだ。
IMG_E29994

今日はホームコースでゴルフ。
最高のメンバーで、
真剣なラウンドを楽しんだ。

前にも書いた。
岡田卓也さんから聞いた話。
もちろんイオン名誉会長相談役。
今、98歳。

岡田さんがアメリカの会合で、
親しい友人から教えられた。
車椅子の紳士の隣に、
紳士が立っていた。
二人とも同じくらいの高齢者だった。

友人は言った。
「あの車椅子の紳士はゴルフをしない。
立っている紳士はゴルフをする。
だから私もゴルフをするんだ」

ゴルフは健康をもたらしてくれる。

岡田さんもそれ以来、
忙しい仕事の折を見て、
ゴルフを楽しむようになった。

私も岡田さんを見習うようになった。

サミット社長・会長を務めた荒井伸也さんからも、
ゴルフの奥深さを教えられた。

プラネット会長の玉生弘昌さんとも、
ゴルフを楽しむ。

故小森勝さん、浅香健一さん、
そして鈴木國朗さんとは、
1989年に「名人会」を始めて、
それは今も続いている。

目いっぱい仕事をし、
その合間にゴルフを楽しむ。
交流をし、互いに高め合う。

中部銀次郎。
生涯アマチュアを貫いて「球聖」と呼ばれた。
その中部の言葉の中で、
一番、響く一言。
「ゴルフは心のゲームです」

「見えや高望み、あるいは不安や迷い、
これらは心の不純物です」
91cpRY6lQAL._SL1500_

私は密かに中部銀次郎を師と仰いで、
ゴルフに親しんでいる。

「ゴルフでは、一切の言い訳は無意味です」

ウィンストン・チャーチルは面白い。
「コースでモタモタする奴は、
何をやってもドジを踏む」

ゴルフを中傷する者は、
例外なく、何をやってもドジを踏む。

凄くいい一日だった。

さて日経新聞「私の履歴書」
今月は、
野本弘文さん。
㈱東急会長。
pic-nomoto

私と同じ福岡県生まれ。
行橋市の商店街の商人の子に生まれた。
実家は酒屋と八百屋。

同級生が原田政照さん。
惣菜チェーンの㈱むすんでひらいてを創業。
原田さんの実家は陶器とお茶の店で、
野本さんの家と同じ商店街にあった。

その縁もあって、
原田さんが商業界ゼミナール運営委員長の年、
野本さんに基調講演をお願いした。

私は商業界の社長だった。

野本さんは早稲田大学理工学部土木学科を出て、
東急電鉄に就職する。

長く宅地開発や不動産業、
ニューメディアなどの子会社を渡り歩いて、
本体の鉄道業には従事しなかったものの、
社長に抜擢され、さまざまな改革を進めた。

野本さんは東急創業者の五島昇さんを師と仰いだ。

「日本小売業協会という団体は
百貨店、スーパー、ショッピングセンター、
専門店といった業態ごとにある
各業界団体が参加している」

「小売業の社会的な地位と発言力を高めたい」
五島昇さんはそう考えて、
1984年から第2代会長を務めた。

初代会長は東京商工会議所会頭の永野重雄さん。

五島さんを尊敬する野本さんも2019年から、
小売業協会の会長を務める。

「就任に至る経緯は忘れられない」

前会長は故清水信次さん。
ライフコーポレーション創業者。

「私が東急の社長だったころ
清水さんに協会の会長を継いでくれと
突然言われた」

「産業界に身分制度みたいなのが残っているのを
何とかしなくてはいけない」

士農工商の序列である。

「もともと五島昇さんが
協会の創設に力をいれたのだから、
お願いしますよ」
ざっくばらんな清水さんの口調。

野本さんは社長で多忙だからと断った。

「私が東急の会長になると
すぐさま連絡があり、
副会長をやってほしいと言われた」

「多くの副会長のうちの一人なのだから
大丈夫だろうと内諾した」

「そして協会の総会の日。
会議に参加し資料をみると、
私の名前のところに副会長と併記して
『会長代行』との文字が……。
全く知らされておらず目が点になった。
清水さんのたくらみだった」

いかにも、清水さんだ。

「代行を1年務めた後、
清水さんの狙い通りに、
私が会長になった」

面白い。

「アジア太平洋小売業者大会」は、
五島昇さんをはじめ、
伊藤雅俊さんや岡田卓也さんが中心となって、
1983年に第1回大会を東京で開催した。

野本会長が開催権を勝ち取って、
その第22回大会が東京で行われる。

再来年の2026年、
10月7日から9日まで、
東京フォーラムで開催される。

今から楽しみだ。

私は清水さんが言っていたことが、
今でも大切だと思う。

産業界に残る身分制度みたいなもの、
士農工商の序列。

これはアジア太平洋の諸国にも、
そして欧米にも存在する。

ウィリアム・シェークスピアは、
「ヴェニスの商人」を書いている。

だからこそ倉本長治は、
真っ先にこれを言ったのだと思う。
「損得より先に善悪を考えよ」

商売も心のゲームである。

〈結城義晴〉

「月刊商人舎」購読者専用サイト
月刊商人舎 今月号
流通スーパーニュース
月刊商人舎magazine Facebook

ウレコン

今月の標語
商人舎インフォメーション
商人舎スペシャルメンバー
商人舎発起人

東北関東大震災へのメッセージ

国内研修会
ミドルマネジメント研修会
商人舎の新刊
前略お店さま

チェーンストア産業ビジョン

結城義晴・著


コロナは時間を早める

結城義晴・著


流通RE戦略―EC時代の店舗と売場を科学する

鈴木哲男・著

結城義晴の著書の紹介

新装版 出来‼︎

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》
(イーストプレス刊)

新着ブログ
毎日更新宣言カレンダー
2025年9月
« 8月  
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930 
指定月の記事を読む
毎日更新宣言カテゴリー
毎日更新宣言最新記事
毎日更新宣言最新コメント
知識商人のためのリンク集

掲載の記事・写真・動画等の無断転載を禁じます。商人舎サイトについて
Copyright © 2008- Shoninsha Co., Ltd. All rights reserved.