11月が始まった。
あと2カ月。
9月・10月と米国出張やセミナーが相次いだ。
11月と12月は特別なイベントがない。
その分、落ち着いて、
執筆などの仕事に邁進できる。
ありがたいことだ。
Major League Baseball。
2025Game 6 of the World Series。
ドジャース対ブルージェイズ。
ロサンゼルスとトロント。
これまでドジャースは2勝3敗。
もう負けられない。
エース山本由伸が満を持して先発。
第2試合は9回完投で1点に抑え、
勝利投手となった。
日本一のピッチャーは、
アメリカのワールドシリーズでも主役を務める。

その「ヤマ・モロー」は6回を1点に抑えた。
実に見事なピッチングだった。
打線は3回にランナー1塁2塁。
1番打者の大谷翔平が申告敬遠で1塁に歩いた。
2番ウィル・スミスがタイムリーヒット。

1番大谷、2番スミス、3番フレディ・フリーマン、
そして4番ムーキー・ベッツの打順。
3点を先取した。
これが決勝点となった。
その後、デーブ・ロバーツ監督は、
早め早めの継投。
決断力が戻ってきた。
7回頭からジャスティン・ロブレスキー、
8回頭から佐々木朗希。
朗希は8回二死2塁のピンチを切り抜け、
9回にも登板したが、
無死2塁3塁の絶対絶命のピンチ。
弱気なローキが出てしまった。
ロバーツは第7戦先発のはずの、
タイラー・グラスノーをマウンドに送った。
そのグラスノーが一死を取って、
なお2塁3塁のピンチ。
強打のブルージェイズ9番アンドレス・ヒメネス。
レフトのキケ・ヘルナンデスが、
ダッシュして好捕。
そのまま2塁へ送球。
飛び出していたアディソン・バーガーを刺した。
決定的なダブルプレー。
これでゲームセット。
手に汗握る第6戦。
これで3勝3敗。
明日の最終戦は大谷翔平が先発する。
もう、言うことはない。
全力を出し切ってほしい。
それだけだ。
さて日経新聞の「直言」
歴史人口学者エマニュエル・トッド登場。
1951年、フランス生まれ。
パンテオン・ソルボンヌ大学、パリ政治学院、
英国ケンブリッジ大学卒業。
1976年『最後の転落』は、
ソビエト連邦の崩壊を予言した。
2016年のドナルド・トランプの当選を言い当てた。
2024年、米欧の政治・社会の混迷と、
その原因を掘り下げた『西洋の敗北』が近著。
現代の「知の巨人」と呼ばれるが、
なるほど実に鋭い。
タイトルは、
米国に「暴力的衰退」の恐れ
「今やトランプの矛盾も、
政治や国民生活への悪影響も明らかだ」
「破壊への欲求を伴う、
ニヒリズム(虚無主義)が米国を覆った。
真実を攻撃し、科学を否定し、宗教をゆがめ、
ウソや変節をあがめる
ヒトラー的な外交を展開している」
「今や米国が輩出する技術者は、
人口が半分以下のロシアより少ない。
この技術者の減少が米製造業衰退の背景で、
教育や宗教の崩壊とも絡む」
「だが米国の状況を悪化させたのは、
ドルの覇権だ」
「成功をめざす優秀な若者は
自動車や航空機産業でなく、
ドルが湧き出す魔法の泉に近い
金融や法律分野で働く」
「当然技術者は不足し製造業の衰退は続く。
問題は米産業が外国産業でなく
自国のドルと競っている点だ」
「このドルの地位ゆえ、
トランプの経済政策は
失敗する」
「米国が産業システムと金融覇権の相克から
抜け出すのは手遅れだ。
産業基盤や技術者は足りないし、
ドル覇権を放棄すれば製品を輸入する力を失い
国民が生活に窮してしまう」
ソ連の崩壊の時にも人々の見方とは違った。
「ソ連の崩壊も西側の勝利だと誤解された」
「実際は崩壊に向かう米ソの両体制のうち、
ソ連が先に崩壊しただけだ」
「だが勝ち誇った米国は、
2001年に中国を世界貿易機関(WHO)に迎え入れる
自殺行為に出た」
「米国貧困層の中核はもはや労働者ですらない。
生産活動も行わず、
アジア製の安い製品を消費して生きつなぐ
別の何かになった」
「古代ローマでエジプト産の穀物を、
配給されていた平民と同じだ」
「この状況が家族や社会、国に役立っているとの
自尊心と幸福感を人々から奪い、
自殺や薬物依存が深刻化した」
「米国の衰退は長期の傾向で、
私の関心事はむしろ、
衰退が平和裏に起きるか暴力的になるかだ」
そして現在を言う。
「乱暴な崩壊しか予想しにくい」
「内戦の可能性が指摘され、
大統領は国内の民主党系の都市に
部隊を派遣している」
「政権が国内外を区別できなくなるのは
帝国崩壊時の典型的な現象だ」
ただしそれでも米国チェーンストアは、
国民の生活を支え続けると私は信じている。
ジョンFケネディは言った。
「アメリカとソ連の差は、
スーパーマーケットがあるか否かである」
しかしトッドは続ける。
「米国が『敗北の帝国』となれば
同盟国への支配と搾取を強める可能性があり、
日本も注意が必要だ」
日本に対してもコメントを発してくれる。
「日本は明治時代、新興国として初めて、
西洋に対抗した」
「うまくいきすぎて、
西洋の植民地主義に染まり、
大戦に巻き込まれたが、
多極化した世界で
日本には特別な地位がある」
「それを生かす方策を真剣に考えるときだ」
私たちの「特別な地位」を、
私たち自身が誤解してはいけない。
過大評価してはいけない。
エマニュエル・トッドが指摘するように、
真剣に、真摯に考えねばならない。
〈結城義晴〉























