結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
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2025年11月16日(日曜日)

「私の履歴書・財津和夫」の大量生産世代の「心の旅」

日経新聞「私の履歴」

今月は財津和夫。
チューリップのリーダー。
シンガーソングライター。

同じ福岡生まれ。
そんなに好きなミュージシャンではない。
けれど毎日読んでいる。
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1948年2月生まれ。
早生まれだから、
学年にすると私より5つ上。

小田和正は1947年9月生まれで、
中学・高校の5年先輩だ。
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吉田拓郎が1946年4月で、
小田、財津より一つ上。
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「フォークの神様」岡林信康も46年7月生まれ。
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ザ・フォーク・クルセダーズの北山修も46年6月、
加藤和彦は47年3月で拓郎と同学年。
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はしだのりひこは45年1月。

一方、井上陽水は1948年8月で財津の一つ下。
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若いころから老成していた泉谷しげるも、
48年5月で陽水と同年。
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アリスの谷村新司も48年12月生まれ。
堀内孝雄は49年10月。

南こうせつは1949年2月で、
学年にすると陽水、泉谷、堀内と一緒。
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同じ福岡出身の武田鉄矢は1949年4月で、
財津、小田より二つ、
陽水、泉谷、こうせつよりさらに一つ下。
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私が一番好きなはっぴいえんどは、
大瀧詠一が1948年7月、細野晴臣が47年7月、
松本隆が49年7月、鈴木茂は51年12月。
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矢沢永吉は49年9月で、鉄矢と同級生。
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いずれにしろ、
一世を風靡したフォークシンガーは、
このあたりに固まっていて、
堺屋太一が名づけた「団塊の世代」だ。
昭和22年(47年)から24年(49年)ごろの世代。
第一次ベビーブームの連中だ。

この3年間、年間出生数は260万人を超えた。
47年生まれは267万8792人、
48年は268万1624人、
49年は日本史上最多の269万6638人。

3年間合計出生数は約806万人。

当時は中国が1900万人、インドが約1500万人、
両国が断然多かったが、
アメリカが364万人、ソ連が308万人。

日本はそれに次ぐ5番目に多い国だった。

大量にスターが登場したフォークやロックは、
団塊の世代という「多種大量生産の世代」の産物なのだ。

みなボブ・ディランにあこがれ、
ビートルズを目指した。
あるいはロックンロールで燃焼した。

しかし今まで誰も、
「私の履歴書」に登場していない。

財津が最初というのは、
ちょっと軽すぎる。
いや、軽いからでたのだろう。

第14回の昨日のタイトルは「心の旅」

私は大学に入ったばかりのころで、
ギターを抱えて、よくこの歌を歌った。

財津は1971年、アマチュアバンドの名を、
「チューリップ」に改めて、
福岡市のライブ喫茶「照和」でステージに立った。

この「照和」からは、
凄いミュージシャンが次々に出ている。
鉄矢の海援隊、甲斐バンド、
陣内孝則のザ・ロッカーズ、
CHAGEandASKA、長渕剛などなど。

チューリップは東京でデビューしたが、
2枚のシングルレコードは全然、売れなかった。
崖っぷちに立たされていた。

今度こそ売れるものをと思って、
1973年に3枚目のシングルレコードを出した。
それが大ヒットした「心の旅」

「この曲は姫野に歌わせよう」

レコーディング日に突然、
プロデューサーの新田和長が言い出した。

姫野達也は52年1月生まれの、
バンドで最年少。

海援隊にも属していた。

その若くて、ルックスも可愛げな姫野に、
財津はメインボーカルを譲った。

西南学院大学3年生のころ、
財津は北九州市に暮らす女性と交際していた。

彼女が会ってくれる日には、
列車で1時間以上かけて逢いに行った。

チューリップの上京が決まって、
二人は別れた。

そのことを財津は歌にした。

あ~、だから今夜だけは
君を抱いていたい
あ~、明日の今ごろは
ぼくは汽車の中
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4月に発売したシングル盤は、
1カ月ほどたってもようやく、
オリコンで71位。
振るわない。

ところが5月から、
同じレコード会社のグループ全国ツアーを回ると、
徐々に風向きが変わった。

7月14日、「心の旅コンサート」。
東京・郵便貯金ホールでの公演は、
2378人を動員。

9月3日にはオリコン2位、10日は1位。

9月18日、ヒット記念パーティー開催。
この時点で売上げは87万枚。

喉から手が出るほどほしかったヒットなのに、
財津にはあまり高揚感がなかった。

新しいシングル「夏色のおもいで」は、
はっぴいえんどの松本の作詞、
これも姫野が歌った。

「リードボーカルを奪われ、
作詞も奪われたショックに消沈していた」
財津が歌ったらこんなにヒットもしなかっただろう。

一番のヒット曲にも、
財津和夫の心は晴れない。

団塊の世代の成功は、
多種大量生産の賜物なのだろう。

私は仲間の曲、自作の曲を、
いつも歌っていた。

財津の歌は「心の旅」だけだった。

プロになれるとは思っていなかった。

すぐ一つ上の凄い先輩も、
プロミュージシャンになったが、
ヒット曲を出すスターにはならなかった。

団塊の下の世代は、
姫野達也のようなラッキーもあったが、
ほとんどは報われることが少なかった。

結局は才能の多産多死の世代なのだ。
しかしその多種大量生産の競争の中からしか、
凄いものは生まれないのかもしれない。

財津和夫の「私の履歴書」。
それほど好きではないが毎日読んでいる。

〈結城義晴〉

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