結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2011年09月07日(水曜日)

コーネル・ジャパン第3期9月補講「ヤオコー狭山物流センターでの実習」で学びとったイノベーション

「お客の支持を得る店は、
レベルが高い低いよりも、
そのレベルが高くなろうとしている店、
高くなりつつあるのがお客にわかる店なんだよ」

昨日のブログで報告した宇都宮クリニックの最中、
10店以上の店を回りながら、
流通仙人の杉山昭次郎先生が漏らした言葉。

さすがに流通仙人、
プロのコンサルタント、
商人舎最高顧問。

このクリニックは、毎年の夏の恒例行事。
現在は私が座長を務める商業経営問題研究会だが、
もともとは杉山先生が座長だった。

84歳になりながら、
「試行錯誤することが成長の源だ」と、
仙人は最近、気が付いた。

その含蓄のある言葉。

レベルが高まりつつある店。
レベルアップがお客にわかる店。

小さくともよい。
日々、レベルが上がっている店。

クレイトン・クリステンセンの持論。
「持続的イノベーション」
その意志をもつ店、
それが顧客にわかる店。

店に限らない。
人間や組織にも、
このことは当てはまる。

自分の部下でも、
自分の学生でも、
友人でも知り合いでも、
もともとのレベルが高い者は、
それはそれで評価する。

しかし、低い者が、
努力をして自分を高めようとしている。
実際に、努力によってレベルが上がってきた。

そんな人間、
そんな組織が、
私は好きだ。

これまでも好きだった。

これは私に限らず、
店に対する顧客の評価にも通ずる。

逆に停滞している店、
レベルダウンしている店。
お客は、そんな店から去っていく。

商品の品質や鮮度でもよいし、
クレンリネスでもよい。
プロモーションでも、
ホスピタリティでもよい。

セブン&アイ・フードシステムズ社長の大久保恒夫さんは、
「まず、挨拶」と言う。

挨拶のレベルが、
店全体で、
グングン高まっている店。

「挨拶」は誰にもそれが、よくわかる。

必ず、地域のお客から支援してもらえる。

さて昨日から、
コーネル大学RMPジャパン第3期の補講。
東日本大震災で延期となっていた情報システムと物流問題。
今年も埼玉県川越駅に集合し、
バスでヤオコーの狭山物流センターに移動。
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センター内の会議室をお借りしての講義となった。

第一講座の講師は㈱プラネットの玉生弘昌社長。
「流通業界におけるITシステム活用の常識」。
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東日本大震災で、
情報や物流のシステムは多大な被害をこうむった。
その前提に立った講義となった。

まずセシウムをはじめとする放射線汚染の誤解、
そして正しい知識の必要性。
専門家の内容をわかりやすく語ってくれた。

次に事業継続を脅かすさまざまな危機に、
いかに対処すべきか。

中央集権より現場自立、
中央依存より相互依存、
そのための現場力の条件、

こうしたことを整理したうえで、
日本の流通におけるネットワークの進展、
より良いEDIを実現させるための標準の三要素、
そして情報システムのレガシー問題とオープン系の問題。

自らの体験や実績をもとに、
これ以上ないというほどにわかりやすい講義が展開された。
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私が最後に、CIOの必要性を付け加えさせていただいて、終了。

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CIOとはチーフ・インフォメーション・オフィサー。
情報担当取締役のことだが、
役員の中に一人、専門家が必要となる。
玉生さんの持論でもある。

講義を終えた玉生さんを囲んで、
荒井伸也首席講師と写真。
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控室で荒井先生から質問。
「経営者はいつ、どんな時に。
情報システム投資をしたらよいのか」

玉生さんの答えは、
「そのためにCIOが必要」というもの。

情報の専門家を経営者に育てるか、
経営者が情報リテラシーを学んでCIOになるか。

道は、どちらかしかない。

それがコンピュータ・リテラシーの問題だ。
すなわち、コンピュータを読み書き算盤のように使いこなすこと。
決して難しいスキルではない。

玉生社長を、
ヤオコー顧問の大塚明さんが送ってくれた。
日本スーパーマーケット専務理事。
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大塚さんもコーネル・ジャパンの講師。

第二講座の講師は、臼井秀彰さん。
チェーンストアの物流コンサルタントの第一人者。
「スーパーマーケットのロジスティクス問題」がテーマ。
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ロジスティクス戦略の立案、
センター開設の目的と課題などを、
実務的な視点から話してくれた。

センターフィー問題は数値を示しながら課題を指摘。
小売業は、物流機能を事業に加えた新しいビジネスモデルを作るべきだ。
これが臼井さんの主張。

私は講義の初めに「真摯に受け止めてほしい」とくぎを刺した。
第三期生はどのように受け止めただろうか。
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そしていよいよ、ヤオコー物流センターの視察。
はじめに大塚明さんからの解説。
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さらにヤオコーロジスティックス推進部長の笠本秀之さんのコメント。
笠本さんは㈱ヤオコービジネスサービス常務取締役を兼務する。
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そのうえで、物流センター運営に携わる皆さんが、
センター施設を案内してくださった。

ヤオコー狭山センターはグロッサリーセンターとチルドセンターからなる。
昨年12月に2300坪を増床し、3万7000坪に拡張。
現在、狭山センターでグロッサリーは64店舗、
チルドは47店舗に供給するが、
増床強化によって70店ほどにまでキャパシティが広がった。
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そのセンター施設とオペレーションを、
2チームに分かれて解説してもらう。
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小分けピッキングには興味津々の三期生。
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3温度帯で管理されるチルドセンター。
ここでは精肉と鮮魚(おもにマグロ)の検質も行われる。
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1時間ほどの視察を終えて、再び会議室にもどり、
それぞれの部門担当の方から詳しく説明していただいた。
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最後に質疑応答。
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三期生の質問に丁寧に丁寧に答えてくださった。
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物流センター担当部長の本城宗尚さん、
グロッサリーセンター長の加藤さん、
狭山チルドセンター長の中下さん、
精肉マネジャーの水野尚さん、
鮮魚マネジャーの椿さん。

皆さんに心から感謝。

講義が終了したのは午後8時。
ヤオコーの皆さんもご一緒して、
近くの豆腐料理の「梅の花」で夕食。
お酒もいただき、みんなで談笑・懇親。

最後に副学長からのお礼の言葉。
「ヤオコーには持続的なイノベーションがある。
センターや物流に関しても、
1年間に、その変化がよくわかる」

「シンプルにシンプルに変わっている」

「このイノベーションこそ、
私たちがヤオコーから学ぶものだ」
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流通仙人の言葉が、
ヤオコーの中で実現されている。

締めのご挨拶は笠本秀之さん。
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「シャン・シャン・シャン、
シャシャシャン・シャン
」の締め。
本庄の生まれで、
かの地の締め方だそうだが、
これもシンプルで、とてもよかった。

感謝をこめて笠本さんへ『店ドラ』をプレゼント。
そして固い握手。
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すべての皆さんに、
心から感謝。

私は、
イノベーションを続ける者が、
大好きだ。

それを阻む者とは、
闘い続ける。

そんな意を強くした一日だった。

<結城義晴>

2011年09月06日(火曜日)

「健全な中間層は経済成長の果実」と宇都宮店舗クリニックの「ディスカウント派と真ん中派、中の上・上の下派」

台風12号、日本列島に、
またしても大きな被害をもたらして去った。

関東地方の今日は、
やっと台風一過の日本晴れ。
しかし台風13号が日本の東、太平洋上にある。

日本は地震国でもあるが、台風国でもある。

被害に遭われた人々に、
心よりお見舞い申し上げたい。

今朝の日経新聞コラム『大機小機』。
コラムニスト蜻蛉氏が「中間層の反乱」と題してコメント。

「最小不幸社会」を謳った前首相に対して、
野田佳彦首相は、
「中間層の厚みが増す日本をつくる」

「はるかにイメージが湧く」と蜻蛉氏は評価。
これは小売流通業・サービス業にとっても、
あるべきことであり、ありがたいことだ。

「社会の広範で健全な中間層は
経済成長の果実である」

「財政立て直しのための消費増税」は、
「広範な中間層に負担を強いる」

しかし「これ抜きに中間層を維持できない」
それを野田さんは「率直に語らなければならない」

「鳩山由紀夫元首相の荒唐無稽な言動に、国中があきれた。
他者を指弾するばかりで一向に前に進まない菅直人前首相の政治にも失望した」

蜻蛉氏は「中間層」を失望させるな、と訴える。
それなしには「中間層の反乱」が起こる。

さてその中間層が本来、けん引する消費。
これも日経新聞の8月インターネット調査。
東京都、愛知県、大阪府の20代、40代の男女1000人の回答。
都会の消費者の二つの世代の調査。

タイトルは「震災6カ月 消費の行方(上)」

「震災後の2~3カ月に『消費を手控えた』人は55.1%」
どのくらい控えたか。
「震災直前の70~90%未満」が40.3%、
この回答が最多。
全体平均は震災後に約85%の消費支出だった。

世代別にみると、
40代が6割、
20代は5割弱。

「現在の店頭では、若年層の購買行動が比較的目立つ」

「『ハレ消費」」の分野で、消費意欲回復の兆し」
ハレ商品とは「嗜好品や海外旅行など非日常の商品」

今後の消費のキーワードとして「低価格」を挙げる人、
20代では、42.2%。
40代は6ポイント低い38%。

20代は、「貯蓄意欲」は高く、
「メリハリ消費」の意識が強い。
これに対して「バブル世代の40代」、
「不要不急の商品の購入を手控える傾向」。

アパレル・ファッションでも、
「40代向けブランドの回復が鈍い」

それは「景気の先行き不透明感も購入を控える要因」

電通総研の四元正弘氏は、指摘する。
「現状では“プチぜいたく”にとどまっている」
つまり「全般的な回復の腰折れ懸念」の指摘。
「日本人全体に震災後のストレスはたまっているが、
そのはけ口は”プチぜいたく”」

この調査から読み取れるトレンドは、
「メリハリ消費」と「プチぜいたく」か。

私はこの傾向の中で、
顧客が「賢く」なっていると思う。

賢い消費者に対しては、
賢い商人である必要がある。

我田引水のようだが、
「知識商人」の出番であるということだ。

さてさて先週木曜日9月1日、
商業経営問題研究会(RMLC)の店舗クリニック。

最初の視察店は百貨店・福田屋のFKDインターパーク店。
福田屋は宇都宮を地盤とする百貨店。

宇都宮市と河内郡上三川町にまたがる複合型工業団地に位置する。
このエリアは北関東自動車道宇都宮上三川ICをはじめとする交通アクセスがよい
だから大型商業施設が次々に出店している。
集客力のある地域であると同時に、競合も厳しい。

FKDインターパーク店は、
郊外型の百貨店として話題になった店。
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次に向かったのは、隣接エリアにあるジョイフル本田宇都宮店。
㈱ジョイフル本田は、巨艦型ホームセンターを15店展開するが、
栃木県では初出店。
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その一角にあるのが㈱ジャパンミート宇都宮店。
生鮮強化のディスカウントタイプのスーパーマーケット。
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ジョイフル本田の抜群の集客力のご利益で、
「売上げはすべてをいやす」の生鮮・日配・惣菜主体の安売り店舗。

宇都宮市から真岡市に移動し、
たいらやのプライムマート真岡店。
512坪。
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その真岡エリアの競合状況を視察。
㈱とりせん真岡店。643坪。
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イオン㈱のザ・ビッグエクストラ真岡店。
スーパーセンターをリニューアルした4999坪。
その食品売り場の入り口。
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㈱オータニのフードオアシス荒町店。643坪。
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とりせん善光寺店。875坪。
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真岡市から芳賀町に移動し、
たいらや芳賀店。

カワチと地元商業者との出店による、いわゆるNSC。
606坪。
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そして宇都宮市にもどり、
㈱カスミの「フード・マーケット」テクノポリス清原店
672坪。
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最後に栃木を本拠とする㈱かましんの清原テクノ店
700坪。
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10店舗を一気に回った。

ディスカウント型のイオン・ザ・ビッグ・エクストラとジャパンミート。

どちらかといえば、高級型の福田屋百貨店。

「高質スーパーマーケット」と呼ばれる中の上、上の下を狙うのが、
たいらや、プライム・マート、オータニ・フードオアシス。

真ん中を抑えようというのが、
カスミ・フード・マーケット、とりせん、かましん。

ちょっと乱暴で、まことにおおざっぱだが、
こんな分類ができようか。

野田佳彦首相ではないが、
「中間層の厚みが増す日本」となれば、
真ん中派がマス・マーケットを占める。

そうでなければ、
「ディスカウント派」と「中の上・上の下派」とが、
マーケットを二分する。

もちろんおおざっぱな価格帯だけでの論議は、
危険であることは承知の上で、
そんな構造が見える。

宇都宮市の郊外や真岡市では、
「高売りの店」は生き残れない。

福田屋百貨店も限りなくスーパーマーケットに近寄っている。

「中の上・上の下派」も、
「コモディティ・ディスカウント&ノンコモディティ・値ごろ戦略」のマージンミックスで、
利益を確保する。

ディスカウント派は、徹底したローコスト、
そして物量で薄利多売を図る。

それぞれの派の中での優劣が、
明確になってきた。

すなわち「ポジショニング競争の時代」に、
入ったということだ。

宇都宮郊外はまるで、
アメリカのサバブ・エリアのようになってきた。
日本中に広がりつつあるのだろう。
そんなことを強く感じたクリニックだった。

<結城義晴>

2011年09月05日(月曜日)

政権の方程式「勝利⇒大丈夫⇒退陣」とセブン&アイ鈴木敏文会長の「ネットとリアルの融合」

Everybody! Good Monday!
[vol35]

2011年第36週、9月に入って第2週。

最初にお知らせ。
商人舎USA視察研修会の第10回記念。
経営戦略スペシャル編、
商品戦略マーチャンダイジング編。

申し込み締め切りは、
9月8日今週の木曜日。
迫っています。

残る席数は10名と9名。
早い者勝ちです。

さて大型の台風12号、
私の命名で「ナオト台風」。
<居座る台風だから「菅ナオト型台風」>

四国・中国地方を通過し、
近畿地方には記録的な雨量をもたらし、
山陰沖から日本海に抜けた。

紀伊半島の河川の氾濫など見ていると、
今年は日本列島に、
「水難」の相が出ている。
そんなことを実感せざるを得ない。

東日本大震災の津波、そしてナオト台風。

全国で24人が死亡、54人が行方不明。
とりわけ和歌山、奈良、三重3県では、
20人が死亡、51人が行方不明。

被害規模は、
7年前の2004年の台風23号以来。
この時は98人が死亡・行方不明。

ちなみにこの台風のアジア名は「トカゲ」。
「ナオト」の方がちょっと上品か。

9月に入って、この台風が行ってしまうと、
一気に秋になる。

もう、日暮れがずいぶん早くなった気がする。

その9月は「防災月間」。
あざ笑うように台風12号。

負けるな、日本。

そして今週日曜日の9月11日は、
東日本大震災から数えて半年であると同時に、
米国の9・11同時多発テロから数えて丸10年。
ニューヨーク「グラウンド・ゼロ」では追悼式典が開催され、
オバマ米大統領が出席する。

世界中を奮い立たせる演説に期待しよう。

東日本大震災の方も、
野田佳彦政権に変わって、
こちらも期待しよう。

こちらには結城義晴の常とう句を捧げよう。
「慌てず、急げ!」

商売の上での9月のピークは、
第3週末の土曜日17日から、
第4週末の日曜日25日まで。

17・18の土日の次に、
19日月曜日「敬老の日」。

23日金曜日が「秋分の日」。
そして土日の休み。

9日間に6日の休み。

お盆商戦に次ぐ大型の書き入れ時。
お盆に成功した店は、
その勢いを堅持して、
「疾走せよ、疾駆せよ」
商人舎9月の標語。

お盆にそれほどでもなかった店は、
敬老・秋分の日に向けて、
「疾走せよ、疾駆せよ」

ウサイン・ボルトのように。
颯爽と風を切って、
トップを走ろう。

それが今日から始まる。

さて、日経新聞『オピニオン』
論説委員長の芹川洋一さんが、
「核心政権の方程式 教えます」と題して持論を開陳。

「政権の方程式といっていいものがある」

「ひとつは、退陣の方程式」

内閣支持率と政党支持率の和が50%を下回ったら
首相は政権を維持できなくなり、退陣に追い込まれる」
これ参院自民党の青木幹雄・元議員会長が唱えていたから、
「青木の方程式」とも呼ばれる。

次は、「勝利の方程式」
これには二つの方程式がある。

第1方程式は、
「内閣支持率と政党支持率の和が
100%を上回った場合」

第2方程式は、
「内閣支持率が50%程度で、
政党支持率を加え、計90%あり、
選挙戦略がうまければ勝つ」

さらに「大丈夫の方程式」
危険と安全の水域中間で政権がとりあえず安泰なのは、
「内閣支持率と政党支持率の和が80%」

菅政権は、今年7月、
「内閣支持率19%+民主党支持率25%=44%」だった。

野田政権は、組閣直後の世論調査で、
内閣の支持率67%、民主党の支持率36%で、
合計103%。

野田政権はスタート後ということもあって、
「勝利の方程式」にあり、
当然、「大丈夫の方程式」には十分。
「退陣の方程式」にはない。

「世論調査で政治が動き、内閣の命運を決する」
これを「ポル・ポリティクス(世論調査政治)」と呼ぶ。
新聞人は喜びそうだが、
行き過ぎると「衆愚政治」となるし、
世論調査はメディアによって数字が違う。
メディアの意図が数字に反映されているようにも見える。

面白い見方だから紹介するが、
私は好まない。

ただしほとんどの政権は、この方程式に則って、
「勝利⇒大丈夫⇒退陣」と推移する。

私たちは人気よりも、
如何に実行するかだけを、
見つめていたい。

世論調査の数値ではなく、
実行度の数値化はできないものか。

企業経営のごとく。

さて同じ日経新聞の「世界経営者会議特集」。
㈱セブン&アイ・ホールディングス会長鈴木敏文さんが語る。
実行の数字の世界に生きて、
それを積み上げてきた人。

1974年5月、セブン‐イレブン・ジャパンがコンビニを開店。
わずか35年余りで店舗数1万3000店超の企業に成長。
2005年9月、純粋持ち株会社セブン&アイ・ホールディングス設立。
コンビニ、総合スーパー、スーパーマーケット、百貨店、
さらにフードサービスなど多業態で「相乗効果を生み出す」取り組みに邁進。

2001年、決済銀行をスタートさせ、店内にATMを設置、
すぐに黒字化して、まったく新しいサービスを構築。

現在の鈴木さんの関心事。
「ネットとリアルの店舗の融合」

ヨーカ堂のネットスーパー、
セブンネットショッピングのインターネット通販などなど。
78歳の鈴木さんの関心事は、
59歳の私の興味と一致する。

「リアルとバーチャルの融合」
そのメカニズム、そのモデル。

21世紀前半の小売流通業の大テーマだ。

2050年ごろまで頑張って、
私は必ず、この決着を見届ける。

体力、精神力、記憶力、考察力を堅持しつつ。

では、今週も、「疾走せよ、疾駆せよ」
Everybody! Good Monday!

<結城義晴>

2011年09月04日(日曜日)

ジジと台風とおとうさんの誕生日[2011日曜版vol36]

タイフー12号。
まだ、います。
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すっごくおおきなドーナツみたいなかたち、
しているそうです。

おはようございます。
じじです。
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タイフーはいすわっていますが、
ボクもおとうさんもげんきです。

そのタイフーのなか、
おとといの二百十一日に、
ユウキヨシハルのおとうさんに、
おとどけものあり。
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これです。
お花。
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夏の花・ひまわりがあって、
バラなどがきれいにかざってあります。

カードがありました。
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そう、おとといは、
おとうさんの59回目の誕生日だったのです。

rikkyo結城ゼミ三期生のみなさん、
ありがとうございます。

さっそく、しらべてみました。
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たべられるかどうか、
おいしいかどうか。

わかりました。
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たべられそうだけれど、
おいしくはなさそう。

「ザンネン!!」
[ギター侍。  すごく古い!」]
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それでもおとうさんは、
とてもうれしそう。
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ことしの夏は、
ジュージツしていたからです。
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阿波踊りにも、
はまった。
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誕生日には、
父母に感謝する。
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おとうさんは、そう、
いってます。

生まれてきたことに、
感謝する。
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生きていることに、
感謝する。
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生かされていることに、
感謝する。
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われわれはどこからきたのか。
われわれはどこへいくのか。
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タイフーとおとうさんのお誕生日、
そんなことを考えました。
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ありがとう。

<『ジジの気分』(未刊)より>

2011年09月03日(土曜日)

朝日「天声人語」、日経「春秋」、ほぼ日「今日のダーリン」からリーダーシップ論の両面性を読み取る

台風12号、居座る。
このところ毎日、書いている。

アメリカのハリケーンは、
「アイリーン」や「カテリーナ」など女性名だが、
日本では男性名にして、
この居座り台風を、
「ナオト」と名付けようか。

さて「ヨシヒコ」はなかなか評判がいい。
期待値含みの評判であることは確かだが。

一面トップのコラムで、
ヨシヒコが様々に取り上げられている。
煎じ詰めると、どれもリーダーシップ論。

朝日新聞『天声人語』。
「たらい回しの民主党3代目ながら、批判の声は小さい」
「泥臭さを売る作戦は功を奏しているようだ」

「世の中、長所で嫌われる人もいれば、
短所で好かれる人もいる」

「トップリー ダーには弱点ともいえる『地味さ』を裏返して、
プラスの資質に見せる才はなかなかだ」
朝日はいつも、民主党に好意的。

民主党に辛口の日経新聞の『春秋』は、
「PM理論」を持ち出した。
社会心理学者・三隅二不二さんが唱えた「リーダーの分類」。

目標達成を優先しぐいぐい引っ張るパフォーマンス(P)型。
人間関係や和を大事にするメンテナンス(M)型

「1人で両方の性格や能力を兼ね備え、
場面に応じて巧みに使い分けるのが理想かもしれない」
ただし「そういう人はまずいない」

「P型は、えてして他人への気遣いが足らなくなる」
だから「ベンチャー企業の立ち上げ」には向いている。

一方、「構成員にやる気や経験が十分ある場合」、
M型の方が業績が上がる。

ここでは組織構成員の資質が問われる。

コラムニストはヨシヒコを「M型ふう」と見立てる。
「変なことをしない」経営者もM型。
「困難なときユーモアで緊張を和らげるのもM型の得意技」

M型のリーダーが率いる集団の落とし穴
は、
「妥協や甘えが生まれやすい」こと。

新リーダーのNさん、
心しよう。

ほぼ日刊イトイ新聞の巻頭言『今日のダーリン』

糸井重里さんもリーダーシップ論を語る。

「『主将(キャプテン)』
という人の役割は大きいです。
選手たちは、直接に試合をやっていますが、
他に、監督やらコーチやら、
チームの全体を俯瞰して見ていて、
試合の外で、試合をしている人たちがいます。
『主将』というのは、その両方をやる役割です」

最近の雇われ社長や専門経営者など、
さしずめ「主将」だろう。

「主将」タイプのリーダーは、
「監督やコーチ、支えてくれる人々の目を、
じぶんのなかに持っている必要があるんですよね」

そして糸井さんは言う。
「これは、実に、なかなかのことです」

「『中間管理職』という立場も、
こういうものなのかもしれませんね」

「いわば、戦いの場を『平面』として使う選手がいて、
それを『立体』としてつかんでいる監督がいる。
「『主将』は『平面』で試合をしているのだけれど、
それが『立体』で見えている必要がある‥‥」

リーダーは両面性を持つ必要がある。
朝日の「長所と短所」、
日経の「P型M型」、
ほぼ日の「平面と立体」。

最後にピーター・ドラッカー。
『店ドラ』第3章から、「マネジメントの三つの役割」。
第1に、自らの組織に特有の使命を果たす。
第2に、仕事を通じて働く人たちを生かす。
そして第3に、自らが社会に与える影響を処理するとともに、
社会の問題について貢献する

「自らの組織特有の使命」と「社会の問題」の両面性を、
ドラッカーも強調する。

そしてその実現のために、総括する。
「マネジメントとは、
人の強みを発揮させることである」。

私も、そうあることに努力しよう。
あなたも、どうぞ。

そして、良い週末を。
「ナオト」に負けるな。

<結城義晴>

2011年09月02日(金曜日)

9月の商人舎標語「疾走しよう、疾駆しよう」と商業経営問題研究会の宇都宮クリニック

台風12号、まるでドーナツのような形。
その巨大なドーナツ状の低気圧帯から、
日本列島に大量の雨をまき散らし、
明日未明に四国に上陸。

まだまだ予断を許さない。

昨日から9月に入った。
東日本大震災から半年を迎える。
日本全体で再出発のために走り出す月としたい。

だから今月の商人舎標語。
「疾走せよ、疾駆せよ」
これから年末まで、
全力疾走しよう、

昨日の1日は「防災の日」。
関東大震災が起こった日。
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そして9月は「防災月間」。

今年は3・11の年。
「9月は防災」を合言葉にしたい。

昨日が二百十日で、今日は二百十一日。
典型的な台風シーズンに、
大型の12号は到来したことになる。

今年の9月は、
第3週末の土曜日17日から、
第4週末の日曜日25日までが、
長くて大きなピーク。

月曜日の19日が敬老の日。
20日の火曜日が彼岸の入り、
金曜日23日が秋分の日。
サラリーマンにとっては、
土日月・・・金土日と休みが続く。

この間、9日間に6日の休み。
しかも季節は9月の食欲の秋、行楽の秋。

巣篭り気味だった消費も、
活発な野外活動型になる。

15日水曜日は「老人の日」で、
この日から21日までの1週間が、
「老人週間」。

これは老人福祉法第五条に定められている。

高齢者のいる家庭、
そして、おじいちゃん・おばあちゃんのいる家族は、
この1週間に主役の座を変えてほしい。

しかしいまどきのおじいちゃん・おばあちゃんは、
ひどく若い。

だから敬老の日、老人の日、老人週間といっても、
あまりの爺くささ・婆くささは、
勘弁してほしい。

何と言っても9月の標語は、
「疾走しよう、疾駆しよう」
若々しい敬老の日、老人の日、老人週間にしたい。

さて野田佳彦内閣が発足。
総理を含む18人の国務大臣のうち、
40歳代が5人、
50歳代は野田首相を入れて4人。
女性は2人、蓮舫さんと小宮山洋子さん。

野田さんはあえて、
この内閣のキャッチフレーズを言わない。
それもいいだろう。
期待しよう。

野田新総理のコメント。
「福島の再生なくして、
日本の再生はない」

その通り。

大山健太郎さんではないが、
「復旧は素早く、
復興は時間をかけて議論を」

大山さんは仙台経済同友会代表幹事にして、
アイリスオーヤマ社長。

復興の議論の方も早く始めてほしい。

昨日今日と、栃木県宇都宮市。
商業経営問題研究会(RMLC)恒例、
夏の店舗クリニック。

今年は宇都宮周辺御競合状況を視察。

今回視察参加のRMLCメンバーの皆さん。
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右から小林清泰さん、山口紀生さん、
帽子をかぶった杉山昭二郎先生、和田光誉さん、
視察のコーディネートをしてくださった㈱たいらやの村上篤三郎さん、
井口征昭さん、私、、そして古川芳之さん。

店を見るのは本当に楽しい。
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参加者メンバーはそれぞれの視点で、自由に動き回る。
もちろん、その時にはカートを押したり、カゴをもって見て回る。
20110902225123.jpg

視察を終えるとその場で議論。
20110902225114.jpg

杉山先生も久しぶりの店舗クリニックで、
よく動きまわっている。
20110902225054.jpg

そして輪になって議論。
20110902225133.jpg

たいらやの「プライムマート真岡店」深水昌憲店長を握手で応援。
右は、㈱セイミヤの加藤勝正社長。
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プライムマート真岡店の視察を終えて、
たいらやの鈴木定男専務(右端)、
店長、店次長も加わって記念撮影。
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視察は朝10時に集合し、夕方5時まで行った。
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最後に全員で締めの記念撮影。
後列左のお二人は、
まるまる一日お世話になった馬籠明男開発部長と小林静夫常務。
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潮来から2時間車を飛ばし、参加した加藤社長。
再び2時間疾駆して潮来に戻る。
お疲れ様です。
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「神は現場にあり」

9月も現場回りに「疾走・疾駆」しよう。

<結城義晴>

2011年09月01日(木曜日)

テスコジャパン撤退の考察と「高い障壁」vs「展望のあるマーケット」

台風12号。
大型なれど、
ゆっくり歩き。
粘る。

菅直人前首相のごとく。
菅は小型だったが・・・。

この台風が行ってしまったら、
秋がやってくる。

東日本大震災のあった年の最後の夏を、
台風によって実感することになる。

大型の台風。
くれぐれも用心を。

さて、イギリスのテスコ。
日本ではテスコジャパンの法人名で展開。

その実態は、
シートゥーネットワークやスーパーフレックを買収した129店。
店名は「つるかめランド」、「テスコエクスプレス」。

このテスコが、「日本事業からの撤退」を発表。
売却先をどこにするかの検討に入る。

撤退の理由。
「中長期的にビジネスを拡大する展望が
うかがえないため」

日本のマーケットへの対応はテスコでさえも、
難しかったということか。

今後のアジア戦略は、
「成長の見込める地域」に狙いをつけ、
そこに資金、人材を集中させる方針。

テスコは世界14カ国で約5400店舗を展開中。
世界第1位の小売業ウォルマートよりも、
第2位のフランスのカルフールよりも、
「現地化」が巧みなコングロマリットとして知られる。

2011年2月期の売上高は676億ポンド(約8兆4353億円)。

世界小売業ランクでは、
第3位、アメリカのCVSケアマーク、
第4位、ドイツのメトロに次ぐ第5位。

「ウインブルドン方式」と呼ばれる考え方で、
現地の人材を最大限に活用して、
現地に溶け込む政策は、
国際小売業の中で最も柔軟と言われた。

日本には企業買収で進出したが、
その買収先とミスマッチもあり、
結局、飛躍できなかった。

外資小売業の日本上陸の歴史。
1998年、コストコ。
福岡のトリアス久山に出店。
現在、9店舗で、すべて黒字の成功。

2000年、フランスのカルフール、
幕張に出店。
私は「正体見たり、カルフール」の特集を、
『販売革新』誌上で展開。

この年、ドイツのメトロもキャッシュ&キャリー業態で上陸。
メトロは日本に類似例がほとんどない異業態での進出。
2002年、ウォルマート、西友と資本提携して参入。

2003年、テスコがシートゥーネットワークを買収して日本上陸。
2004年、そのシートゥーネットワークに、
千葉県のスーパーフレックを買収させて拡大。

ここまでが上陸の歴史。

しかし翌2005年、カルフールは、
店舗をイオンに売却して撤退。

カルフールは一番主義で、
「真っ先進出、真っ先撤退」を繰り返してきた。

2011年の今になって、
テスコが撤退表明。

フランスのカルフールとイギリスのテスコが撤退、
アメリカのウォルマートは苦戦続きながらも維持、
ドイツのメトロ、アメリカのコストコは一応の成功。

5者3様の結果を招いて、
結論は持ち越し。

まあ、当たり前の中間総括といったところか。

撤退の理由に挙げられているのが、
一般には主に2つ。

第1は、日本の「消費市場が難しい」という論拠。
もちろん食生活に関して、
「生魚」を食べるなど鮮度にうるさい国民性は、
欧米の小売業にとっては困難な障害だろう。

しかしコストコは見事に成功している。
外食産業でもマクドナルドやケンタッキーフライドチキンは、
うまくいっている。

だから、テスコやカルフールがこの面で躓いたというのは、
正当な撤退原因ではない。

第2は、日本の「商習慣の違いの壁が高かった」という点。
日経新聞は「とりわけ主力の加工食品が欧米と違い、
過当競争で利益率が低いほか、改廃が激しい」とする。

もちろんそれもあろう。

しかしこれもコストコやメトロは、
加工食品を大量に扱っている。
特に前者は取引慣行にコストコ方式を持ち込んで、
大きな成果を上げている。

テスコが、日本の商慣行を、
乗り越えられないはずはない。

商慣行や法律の問題のリスクだけ考えると、
中国のほうがむしろ、断然大きい。

例えば韓国では、
カルフールやウォルマートが撤退したが、
テスコだけはサムソン商事と組んで、
「ホームプラス」というハイパーマーケットを開発し、
マーケットに定着させている。

一方、アメリカでは独自資本で進出し、
フレッシュ&イージーという小型店を開発。
200店弱まで店舗網を広げ、
「400店になったら黒字化する」と意気軒昂。

なぜこうもあっさりと、
日本に見切りをつけたのかは、
理解しがたい。

やはり発表の額面通り、
日本は中長期的にみて、
「拡大する展望のうかがえないマーケット」なのか。
だとすると日本企業にとっても、問題は深刻だ。

だが私は、それよりも、
「困難を乗り越える内部材料」が、
テスコジャパンにそろっていないという条件が、
本当の撤退理由だろうと思う。

海外進出の場合、
ふたつの要件が考えられる。
第1は、独自の資本で行くか、
第2は、確かな提携先と組むか。

合弁企業をつくるにしても、
提携するにしても、
相手先選びを間違えば、
取り返しのつかないことになる。

テスコジャパンはその失敗の例となった。

ウォルマートの提携先も、
「ボタンのかけ違え」だったが、
ひどく苦労しながらも、
展望が見えるところまでこぎつけてきた。

日本の消費市場と商慣行が、
外国資本から見て難しいのならば、
それは参入障壁となって、
日本企業にとっては好都合だ。

しかしテスコが「展望のないマーケット」だと考えたとしても、
ウォルマートは「展望」を見ていることになる。、

こう考えると複雑な思いもするが、
参入障壁が高いよりも、
展望のあるマーケットのほうが望まし
い。

これからは小売業の顔ぶれが減っていく。
その減っていく顔ぶれの中にテスコがいたということだ。

あなたの会社が、
テスコと同列にならないことを祈るのみ。

コストコのメンバーシップホールセールクラブ、
メトロのキャッシュ&キャリー。

日本にない業態やフォーマットは残る。

「総合スーパー」や「ミニスーパー」は、
腐るほどある。

それは残らない。

価値あるものには、
高い障壁も、
何でもないのだ。

<結城義晴>

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