結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2024年01月04日(木曜日)

2024年も最大の仕事はリスクマネジメントである。

令和6年能登半島地震。
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石川県内の死者は78人になった。
輪島市44人、珠洲市23人。

さらに七尾市5人、穴水町2人、能登町2人、
羽咋市、志賀町それぞれ1人。

ご冥福を祈りたい。

経済評論家の故堺屋太一さんの指摘。
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非常時対策の5段階。

①救助
②救済
③復旧
④復興
⑤振興

この際、
「長期的な視野を持つ必要がある。
決して方向を誤ってはいけない」

短期的・短絡的な救助・救済の視点だけで、
長期的な復興・振興を間違わせてはいけない。

絶望的な状況の被災者たちに、
希望をもってもらわなければいけない。

非常時の原則。
「軽いものから先に」

第1に、最も急ぐ軽いものは「情報」。
携帯電話やインターネットで、
情報が簡単に入る世の中となった。
しかし非常時の情報収集は難しい。

第2は、「生活物資」。
まず飲料と医薬の配布。
その次が緊急の食料。
そしてその次が燃料と衣料。

第3は、「安全な生活空間の準備」。
そしてそこへの搬送、
仮設住宅の提供。

ここまでが第1段階の救助である。

このあと第2段階の救済は、
被災から10日後くらいになる。
道路、水道、衛生、電力、ガスなどの
ライフラインの応急処置。

堺屋さんは指摘している。
「大事なのは速度。
最低限のライフラインをつなげるリミットは、
1カ月以内」

そして第3段階の復旧に入るのは、
被災後1カ月。

水道、道路、電力、鉄道などを、
旧(もと)に復すとともに、
店舗や飲食店を再開させ、
日常生活を復元させる。

その間も小売業は、
いち早く自力で復旧する。

それが社会貢献となる。

復興から振興へは、
ビジョンが問われる。

地震が頻発する能登半島。
この地域の将来像をどうするか。

国会や内閣をはじめとする国と、
石川県をはじめとする地方自治体に、
構想力、想像力が求められる。

私たち日本列島に住む人間にとって、
共有すべき命題である。

「元気を出そう・元気を売ろう」

元気を出そうよ。
それがあなたの仕事です。
元気を売ろうよ。
それがあなたの役目です。

お客さまに笑顔が戻る。
街に活気が蘇える。
あなたの商品のおかげです。
あなたのサービスのたまものです。

たとえ店頭から、
商品が消え失せようとも。
たとえ倉庫が、
空になろうとも。

あなたは店を開けようよ。
あなたは売場に立ち続けようよ。
店で元気を出そう。
売場で元気を売ろう。

元気があなたの付加価値です。
元気があなたの利潤です。

苦しい時にも、
元気が買える。
どんな時でも、
元気が貰える。

たとえ地震に
襲われようとも。
たとえ津波に
見舞われようとも。

店を開けよう。
売場に立とう。
元気を出そう。
元気を売ろう。

それがあなたの仕事です。
それがあなたの役目です。

店を開けよう。
売場に立とう。
元気を出そう。
元気を売ろう。
〈結城義晴〉
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新潟日報の巻頭言「日報抄」
〈アスファルト道路もあちこちで
ポッカリ地割れしており、
地下からボコボコ水が吹き出している〉
〈砂といっしょに吹きあげた水が、
高さ二メートルもあった〉
〈家が傾き、砂の中にめり込んだ〉

1964年の新潟地震を伝える記事。

それからちょうど60年。

「自分が住む場所の特性を理解することが
防災の第一歩になるはずだ」

その通り。

生活する場所、
仕事する場所。
その地域特性。

「災害も事故も、
時と場合を選ぶことなどない」

「そんな当たり前のことを、
改めて胸に刻む年明けになった」

2024年も私たちの最大の仕事は、
リスクマネジメントである。

〈結城義晴〉

2024年01月03日(水曜日)

能登半島地震と羽田日航機事故と初売りの「バタフライ効果」

2024年はどうなるのだろう。

能登半島地震。
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富山新聞によると、
1月3日10時17分時点で、
64人の死亡が確認された。

輪島市の被害が多くて31人、
珠洲市が22人、七尾市が5人、
穴水町、能登町が各2人、
羽咋市、志賀町が各1人。

ご冥福を祈りたい。
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一方、東京都大田区の羽田空港。

2日の午後5時50分ごろ、
C滑走路で日本航空516便が、
海上保安庁の航空機に接触した。

着陸の際、発火し、炎上した。
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516便は午後4時15分に新千歳空港を離陸し、
約1時間半後に羽田に着陸しようとしていた。

516便の乗客・乗員計379人は、
スライダーを使うなどして全員が脱出した。

海上保安庁機は5人が死亡した。

英国のガーディアン紙は、
「奇跡の脱出」と見出しを掲げて、
元パイロットの言葉を載せた。
「私たちは奇跡を目撃したと、
言わなければならない」

海上保安庁の航空機は、
能登半島地震対応物資を搬送するために、
新潟航空基地に向かうところだった。

「バタフライ効果」とは、
蝶がはばたく程度の非常に小さな撹乱でも
遠くの場所の気象に、
影響を与えるという現象のこと。

小さくはないけれど、
能登半島地震が、
羽田の航空機接触事故に、
影響を与えた。

NHKは予定していた番組を、
すべてキャンセルして、
能登半島地震の実況中継を実施した。

思い切った番組変更だが、
さすがにNHKだと思った。

余震はまだまだ続いている。
予断は許されない。

さて正月恒例。
箱根駅伝。

往路は青山学院大学が制した。
今年は「負けてたまるか大作戦」

「一強」と呼ばれた駒澤大学は今年、
三大駅伝の出雲駅伝と全日本大学駅伝を勝利し、
圧倒的に有利だという評判だったが、
それを覆した。

復路も安定した走りでトップを堅守。
大会新記録の10時間41分25秒で優勝。
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駒澤大学は昨2023年に三冠で、
今年も2年連続三冠を目指したが2位。
3位には櫛部静二が監督を務める城西大学。
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わが早稲田は7位に入った。
まあまあの走りを見せてくれた。
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箱根駅伝が終わると、
正月気分も抜ける。

そして気持ちは現実に戻る。
その現実の初売り。

日経新聞が報道した。
「百貨店初売り、高額品好調」

1日から初売りを実施したのが西武池袋本店。

客数は前年同日比8%増の約35万人。
売上高は6%増。
免税売上高は2倍。

2日が初売りの高島屋日本橋店。
前年を約1割上回る売上高。

国内富裕層とインバウンド客がけん引する。
初売りに向けた福袋は、
約430種類、約1万4000個。

食料品の数千円の福袋から、
ダイヤモンドなどのセット福袋2024万円まで。

伊勢丹新宿本店や三越銀座店は、
アジアからを中心に訪日客が目立った。

大丸心斎橋店は開店前に600人が行列。
中国や韓国、香港などからの訪日客が回復。

阪急うめだ本店は、
開店前から約2000人が列を作った。

関西ではとくに外国人客が、
福袋を狙って押し寄せた。

イオンの初売りは、
1月1日から4日までの4日間。
約380店舗とオンラインショップで開催。
280以上の企画を用意した。
前年の1.4倍。
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そしてイオンは1月3日、
「令和6年能登半島地震 緊急支援募金」を始めた。
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実施期間は1月3日から1月31日まで。
全国のイオンのグループ店舗約1万カ所で、
店頭募金を実施する。

セブン&アイ・ホールディングスは、
1月2日から2万2000店で募金を開始している。

迅速な対応は素晴らしい。

小売業、商業全体の格を上げてくれる。

考えてみると商売こそ、
バタフライ効果の生業(なりわい)だ。

ほんの小さな、
蝶の羽ばたきのような、
店頭の行為や笑顔が、
やがて全体の繁盛を生み出す。

そんなことを信じて、
この得体の知れない2024年に、
立ち向かいたい。

〈結城義晴〉

2024年01月02日(火曜日)

「令和6年能登半島地震」と「イオン7%賃上げ」報道

三が日は年賀状。
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新年のお祝い気分を覆すように、
「令和6年能登半島地震」が起こった。

心からお見舞いを申し上げたい。

石川県能登地方で最大震度7の揺れ。
マグニチュードは7.6。

この地方では2018年ごろから、
地震回数が増えている。
2020年12月からは活動が活発化して、
能登群発地震と呼ばれている。

2021年7月からは、
さらに活動が活発になり、
昨2023年5月5日には、
最大震度6強の地震が起こった。
マグニチュードは6.5。

それが1月1日に最大化した。

今後も広範囲に活発な地震活動が続く。

北陸の小売業の皆さん、
頑張ってほしい。

スーパーマーケットも、
ドラッグストアもコンビニも、
自らの安全を担保しつつ、
役割を果たしてほしい。

とくに㈱どんたくは、
この能登半島のローカルチェーンだ。
13店舗を経営する。

㈱バローと業務提携をしているが、
こういったときにこそ、
その関係は心強い。

頑張ってほしい。

さて1月1日の日経新聞一面。
「イオン、パート7%賃上げ」

昨年も賃上げ7%をいち早く発表して、
それを実施したイオンだが、
今年の元旦の日経一面記事でも、
今春の7%賃上げを公開することになった。

これはイオンの広報のヒットだ。

国内企業最多の40万人のパートタイマー。
日本の非正規雇用の約2%を占める。

パートのグループ平均時給は現在1070円。
それが75円程度の引き上げとなる。

イオングループ労働組合連合会は、
その非正規雇用者が組織されていて、
これも国内最大だ。

「年収の壁」にも対応する。

政府は昨23年10月に、
「年収の壁・支援強化パッケージ」制度を始めた。
これを活用し、なおかつ手当を出して、
保険料の負担を緩和する。

短時間で働く従業員にも、
ボーナスや子育て支援金などを支給する。

これはグループ会社にも適応される。

正社員は約10万人だが、
彼らの賃上げも前年超えで調整する。
定期昇給やベースアップを含む、
グループ平均の前年実績は4.85%だったが、
これを上回って、7%に近づける。

記事にはイトーヨーカ堂との比較が出ている。
23年の春季労使交渉で妥結した賃上げ率は、
パートで3.07%、正社員で2.01%だった。

イオンはパートが7.09%、
正社員が4.85%だった。
40万人のパートと10万人の正社員。

イオンにやられた、
と感じる経営者もいるかもしれない。

しかしイオンが他産業に先駆けて、
小売業、流通業、チェーンストアは、
賃上げに積極的であることを示した。

むしろそれを追い風にすることを、
考えて、対応したほうがいい。

それだけのインパクトのある記事だったと思う。

それにしても能登半島地震。
お見舞い申し上げたい。

〈結城義晴〉

2024年01月01日(月曜日)

2024年、あらためて毎日更新を宣言します。

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あらためて2024年12月31日までの、
毎日更新を宣言します。

初心に戻って366日、書き続けます。

ご愛読、よろしくお願いします。

Again, Everybody, Good Monday!
[2024vol➀]

2024年は元日が月曜日。
つまり第1週の第1日が月曜日。

これからの52週間が2024年です。

この一瞬の積み重ねこそ、
君という商人の全生涯。
〈倉本長治〉
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今年のMessage。
それは[Message of January]でもあります。

みんなで学べ。

「まなぶ」は「まねぶ」から生まれた。
学ぶことは真似ることから始まる。
創意を尊びつつ良いことは真似よ。

商人は商売と仕事から学ぶ。
会社と上司と仲間から学ぶ。
顧客と取引先と地域から学ぶ。

話を聞いて学ぶ。
本を読んで学ぶ。
体験して学ぶ。

みんなが学ぶ。
しかし優先されるべきは、
個人が学ぶことだ。

個人が人生をかけて学ぶ。
それが組織の学習の基礎となる。
個人の学習なしに組織の学習はない。

「みんなで学ぶ」とは、
「チーム学習」とは、
学んだ者同士が対話することだ。

対話を通じて、
ビジョンを共有し、
成果を最大化させることだ。

ポストコロナの2024年。
学習する組織をつくろう。
みんなで学ぼう。

個人が人生をかけて学ぶ。
それが組織の学習の力となる。
個人の学習なしに組織の学習はない。
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――ポストコロナ時代に入った。
トレードオンを成し遂げねばならない。
両利きの経営であり、両利きの運営である。

しかしトレードオンは、
トレードオフのようにはいかない。

この難問に立ち向かうにあたって、
学ぶ組織をつくらねばならない。
学習する組織体質にしたい。

個人が学習することによってのみ、
組織は学習する。

ただし個人が学習したからといって、
必ずしも学習する組織にはならない。

個人の学習が組織の学習となるためには、
ビジョンの共有が必須である。

さらに頻繁で濃密なダイアローグ(対話)が、
必要である。

学んで、動く。
動いて、考える。
そしてまた学ぶ。

では、みなさん、今週も、今年も。
学んで、動いて、考えよう。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2023年12月31日(日曜日)

商人舎「原稿大賞・特集大賞」発表とロピアの店舗巡りに感謝。

2023年も大晦日となった。
最後の日。

1年間、ありがとうございました。

2023年月刊商人舎を12冊つくった。
そのうちから自分で選ぶ賞。

昨日は、表紙大賞。
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そしてMessage大賞。
[Message of October]
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そして大晦日には、
[原稿大賞]発表。

ジャジャーン。

9月号から、
[特別研究]ベルクのクルベが来た!!
超優良企業が「限界に挑戦」して開発した
新フォーマットの出来栄えスクリーンショット 2024-01-01 014741
ベルクが挑戦した新フォーマット。
「ベルクのクルベ」

そのリード文。
「㈱ベルクが7月29日、群馬県高崎市に新フォーマットの「CLBE(クルベ)江木店」をお披露目した。CLBEとは「Challenging the Limits of Belc」の頭文字をとったバナー名だ。「ベルクの限界に挑戦」をコンセプトにする。そのベルクの挑戦はどこまで進んだのか。オープン4週目、1カ月後の8月21日(月曜日)に商人舎クリニックチームが訪店した。さらに9月2日土曜日に再度訪問した。そこから見えてきたクルベの実態と挑戦の狙いを分析し、診断する」

丁寧に観察し、5つの課題を挙げた。
執筆者は記していないが、
実は亀谷しづえ商人舎GM。

いい原稿だった。

それからどの号の特集が一番良かったか。
[特集大賞]

1月号特集は、
「23両利きトレードオン」
チェーンストア産業全体の潮流をつくった。
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多くのコンサルタントの皆さんが、
合言葉のように「トレードオン」を語り、
その内容を深めてくださった。

いい特集だったと思う。

2月号特集もよかった。
年末年始の「凄い売り」
「享楽円Merchandising」と「ハレの方程式」を、
はじめて明らかにした。
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6月号「前橋が熱い!!」
ジョイホンパーク吉岡とユニクロ・ロゴ・ストア前橋南登場の意義
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商人舎得意のクリニック特集。
よかった。

11月号「OK 銀座とWegmans NYC」
〈一等地2層店舗の深掘り研究〉
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商人舎でしかできない特集だ。
日米スーパーマーケットの比較研究。

しかし、しかし、
それらを抑えて[特集大賞]は、
ジャジャーン。

23US Retail大写真集
ポストコロナの店舗アルバム In San Francisco
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3年ぶりにアメリカを訪問。
それを大写真集で特集した。

46年間も経営雑誌編集をしていて、
写真集は初の試みだった。

これが特集大賞。
再読をお薦めしたい。

さて今年の最後の最後も店回り。

近場の横浜・港北ニュータウン。
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ロピア・ノースポート・モール店。
2019年3月オープン。
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開店前の状態を見に来た。
9時20分。
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売場はほぼ出来上がっていて、
整然としている。
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オペレーションが安定してきて、
年末といってもバタバタすることはない。
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「肉のロピア」は顧客を待っている。
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10時少し前に開店すると、
モールの駐車場側から、
顧客が押し寄せる。
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あっという間に主通路は込み合ってくる。IMG_08213

モールのコンコースにも続々と顧客が押し寄せる。IMG_08153

年末の爆発的売りは、
日頃の商売の総決算だ。
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福島道夫さんが案内してくれた。IMG_E08283

センター南に移動。

そのTOKYU S.C.
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ロピア港北東急SC店。
2011年オープン。
ロピアの大躍進の基礎となった店だ。IMG_08293

2022年9月23日に、
リニューアルオープン。
青果・鮮魚・精肉のそれぞれの部門が、
ワンウェイコントロールとなった。IMG_08333

年末にはそれが特に奏功する。
顧客にとっては買いやすい。
店にとっては売りやすい。
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年越しそば用の天ぷら、かき揚げ。IMG_08483

大人気のピザ各種。IMG_08473

菓子売場は楽しい。IMG_08623

亀谷しづえGMも加わって、
三人で写真。
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朝は雨模様だったが、
それも上がっていい大晦日商戦となった。
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福島さんとロピアのみなさんに感謝したい。

「享楽円マーチャンダイジング」は、
年末の「凄い売り」のなかで、
十二分に機能を発揮していた。

今年も多くの店を巡った。

私は店から多くの着想を得た。
店から元気づけられた。

多くの人と話をし、考えた。
そして語り、書いた。

来年もそれは続く。

では、1年のご愛読を感謝しつつ、
[2023年毎日更新宣言]を終了する。

朝に希望、
昼に努力、
夕に感謝。

ありがとうございました。

〈結城義晴〉

2023年12月30日(土曜日)

2023年月刊商人舎の「表紙大賞」と「Message大賞」発表。

2023年カウントダウン。
あと2日。

12月30日は、
小晦日(こつごもり)

12月31日が大晦日
「おおみそか」と読むのが普通だが、
「おおつごもり」ともいう。

その小晦日。

今年も月刊商人舎を12冊つくった。

どの号も全力を挙げて編集した。
最後に勝手に、
いくつかの賞を発表しよう。

はじめに今年の[表紙大賞]

ジャジャーン!!

12月号。
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シュールですねえ。
小売業の経営雑誌の表紙とは思えない。
けれどすごくインパクトがある。

受賞者はもちろん七海真理さん。
商人舎のデザイナー。

二番目に今年の[Message大賞]
自分で書いていて、
自分で選ぶ。

1月号の「両利きの歌」もよかった。
6月号の「決算、決算、また決算」も面白い。
9月号の「商売は値段をつけることだ。」もいい。

しかし、ジャジャーン!!

[Message of October]
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「商売が救うもの」

商売は顧客を救う。
顧客の日々の生活を支え、
有事のときには命さえ救う。

商売は生産者を救い、
製造業と卸売業を救う。
小売業が販売することで収益は還元される。

商売は店を救い、会社を救う。
店が繁盛し利益を上げれば会社は発展する。
従業員もその家族もそれによって養われる。

商売は日本経済を救い、
日本の民主主義社会を救う。
資本主義社会も共産主義社会も商売が救う。

しかし商売が救うものは、
何よりも商売をしている人間である。
働く者であり、経営する者である。

ヨークベニマル創業者の大髙善雄は、
戦前の腕利き新聞記者を辞して、
野越え山越えの商売を始めた。

ニチイ創業者の西端行雄と春枝は、
小学校の熱血先生を辞めて、
戸板商売から再出発した。

ヤオコーの川野幸夫は、
弁護士になる夢を捨てて、
スーパーマーケットに身を投じた。

商売はそれを為す者を救う。
それに真剣に立ち向かう者を救う。
商売はそこに働く者を救う。

商売は顧客を救う。
商売は社会を救う。
そして商売は人間を救うのだ。
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自分で選ぶのも気恥ずかしいが、
自分で一番好きなMessageです。

ではどの原稿が一番良かったか。
原稿大賞。

それからどの号の特集が一番良かったか。
特集大賞。

ん~、これらは困る。

おおいに困るから、大晦日に発表しよう。

さて糸井重里さんにも、
お世話になった。

ほぼ日刊イトイ新聞の巻頭エッセイ。
毎日更新の「今日のダーリン」
私も毎日読んでいて、
何度も引用させていただいた。

その12月27日版。
「なにをすればうまくいくのか?」

「これがわかってさえいれば、
たいていの人は努力もできる」

「うまくいくためになにをすればいいか」

「わかってさえいれば、
人はあんまりさぼったりしなくなる」

そのとおり。

「一流の選手たちが、
練習熱心なのは、その練習が、
どういう効果をもたらすかを想像して、
その成果をみながらやっているからだ。
じぶんの成長のプロセスが
おもしろくなっているのだ」

糸井さんもいうけれど、
「なにをすればうまくいくのか?」を、
わかっている人は、
多くはない、いや、少ない。

「ひたすら走る」
ただただ「苦痛に耐える」
「毎日スイングを千本ずつ繰り返す」

「ことわざみたいに
覚えている方法をやっていても、
おそらく妙な我慢強さが
育ってくれるばかりだろう」

「コーチがいないと、
無駄な回り道をすることもありそうだ」

そう、コーチは必要だ。

「先に知っている人の方法や、
知識、知恵、想像力、
そういったものを教えてもらうだけでいい」

ただし、コーチにも、
良いコーチ、悪いコーチがいる。

糸井さん。
「これは、スポーツの話のように
読まれるかもしれないが、
たいていの領域で
共通していることだと思う」

実に、同感だ。

仕事がうまくいくために、
なにをすればいいか。

糸井さんのいた広告の世界では、
「100本コピーを書け」と教えられた。

しかし「100本も書こうとすると、
数を揃えるための要領を覚える。
よくある言い回しを
機械的に当てはめていったりもする」

糸井さんは断言する。
「これではうまくなったようなふりはできても
まったくうまくなってはいないのである」

そう、そう。

数を繰り返しても、
うまくなるわけではない。

では、どうするか。
「考える、人に聞く、
仮説を立てて試してみる、
本を読む、
うまい人のまねをする、
などいろいろな方法がある」

真似をする。
考える。
人に聞く。
考える。
いい本やいい雑誌を読む。
考える。

「考える」が挟まっている必要があると思う。

「たいていの一流の人たちは、
それをいつも探している。
たぶん、それを向上心と
呼ぶのだろうと思う」

「向上心」だけでは片づけられないが。

大谷翔平も山本由伸も、
いつも考えている。
なにかを変えている。

練習のやり方がユニークだ。
そして考えている。

糸井さんの結論。
「一芸に秀でる」人は、
うまくいく方法を
探すのがうまい。

そう、なんでもかんでも、
うまくいかそうとするのはよくない。

まずは「一芸に秀でる」ために、
「一芸」を選ぶ。
これは人生のポジショニング戦略だ。

そして秀でるための方法を、
一心に探し続ける。

来年もそうありたい。

〈結城義晴〉

2023年12月29日(金曜日)

伊集院静と石川啄木・坂口安吾の「ふるさと」

2023年のカウントダウン。
あと3日。

来年の2024年は昭和99年。
2025年が昭和100年となる。

最近、よく使われる。

日経新聞は元旦から連載を始める。
「昭和99年 ニッポン反転」

多分に期待を込めた企画だろう。
昭和27年生まれとしては、
大いに気になる。

まだあの時代を引きずっている。
昭和は故郷のような印象だ。

日経新聞の巻頭コラム「春秋」

「故郷は黙って、そこにある」
亡くなった伊集院静さんの言葉。

コラム。
「帰省のコピーのようだが、
自身はめったに帰らず、
郷里を憎んでいた」

「移民の家族は冷たくされ、
父は土地の人とやり合い、疎まれた」

「だが、後年、父の言葉に驚かされる。
『やさしい土地、やさしい人たちだった』」

「人間は依(よ)るべき所がないと
生きていけない。
そう父の思いを感じた」

「頼ろうが、嫌おうが、
デンと黙って存在し、
『故郷を捨てる』とわざわざ
言わねばならぬほどの引力を持つ」

『大人のカタチを語ろう。』に、
移ろう望郷の念がつづられている。
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「この年末年始に帰省する人は2割もいない」
少ない。

「帰る里のない人も増えたのか。
長きにわたる東京一極集中を思う」

伊集院さんは東京に出るとき、
母にこう言って送り出された。
「自分をきちんと見つけられる土地に出逢えたら、
そこで生きていきなさい」

居場所こそがふるさとなのか。
住めば都か。

母の言葉は伊集院の身体に生き続ける。
そして旅先である人に巡り合う。
その人は言う。
「ずっと本当の故郷を探す旅をしている」

かっこいい話だ。
伊集院静らしい。

コラム。
「それぞれの、ふるさとを想う年の瀬である」

私はこのコラムを読んだとき、
二人の言葉を思い出した。

石川啄木は歌を詠んだ。
ふるさとの山に向ひて
言ふことなし
ふるさとの山は
ありがたきかな

そのまんまの歌だ。

一方、坂口安吾は短文を書いている。
それが詩碑となっている。

砂丘の松林に置かれる寄居浜安吾碑。
発起人は尾崎士郎や壇一雄ら。
昭和32年6月の建立。

ふるさとは 語ることなし
R

安吾は色紙を三枚書いた。
「雪も新潟の雪は
変に親切すぎる」

「コタツはガサツで
親切すぎて
イヤなものだが
あたらぬわけにもいかぬ
悲しい新潟」

そのあとに、
「ふるさとは
語ることなし」

いかにも安吾らしい。

三番目を選んだのは檀一雄だ。
無頼派の仲間だった壇も、
「らしい」と選んだのだろう。

ありがたきかな、の啄木。
語ることなし、の安吾。

それでも、
「故郷は黙って、そこにある」

年の瀬には私も、
ふるさとを思う。

君も、あなたも、
ふるさとを思うがいい。

今の若い人たちには、
その故郷にスーパーマーケットがあるのだろう。
ドラッグストアやコンビニがあるのだろう。

それらをひっくるめて、
ふるさとなんだろう。

そんな店には、
この年末年始、
活躍してもらいたいものだ。

ふるさとらしさを満載にして。

それにしても2割しか、
帰省しないのか。

それでも、
故郷は黙って、そこにある。

〈結城義晴〉

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