結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2011年12月10日(土曜日)

今宵の皆既月食52分間と、論語の「知者は惑わず、 仁者は憂えず、 勇者は恐れず」

今夜、皆既月食が見られる。
それも空の高いところで。

「一夜のうちの月の満ち欠け」

国立天文台「星空情報」
によると、
今宵の21時45分から、
1時18分にかけてのこと。
3時間33分間。

21時45分に、
満月の左下からゆっくり欠け始める。
23時06分には満月が地球の本影にすっぽり入る。
これを「皆既」というそうだ。

この瞬間は見逃せない。

そしてこの皆既状態は、
23時58分まで続く。

52分間。

現象が科学的に解明されているから、
幻想的な気分になれるが、
解明されていなければ、
不安、不吉が人々の心を満たすだろう。

しかし現代人の私たちは、
この幻想を楽しむことができる。

そ皆既状態のあと、
再び地球の影から、
月が顔をだす。

今夜のように、
「食」の始めから終りまでの皆既月食を堪能できるのは、
2000年7月16日以来のこと。
つまり11年ぶり。
ただし今年は月食の当たり年で、
6月16日にもこの現象が起こった。

次に皆既月食の全過程が見られるのは、
2018年1月31日になるという。
6年先。

私はその頃、65歳。

いったいどんな世の中になっているのか。
私はどうなっているのか。

3時間33分間は見続けないけれど、
皆既の52分は見ようと思う。
その間に、さまざまなことを考えるだろう。

昨日は、午後、立教大学。
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大学院ビジネスデザイン研究科委員会。
いわば教授会のようなもの。
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立教キャンパスでは、
恒例のクリスマスツリーが出来上がっていて、
にぎやか。

ビジネスデザイン研究科委員会は、
重要案件を議論し、
より良い社会人大学院を目指す。

今日は午後からその立教の結城ゼミ。
夕方、来年のゼミに関して、
教授・准教授陣による調査研究・演習指導ガイダンス。

来年度にゼミを履修する院生に、
各教授・准教授がプレゼンテーションをする。

そのあと私は、結城ゼミ現役生との忘年会。

きっと、みんなで皆既月食の始まりあたりを、
眺めるのだろう。

それもいいもんだ。

㈱商業界に入社して30年。
最後の4年間は社長をやっていた。
「皆既月食」があっても、
眺める余裕もなく仕事していたと思う。

それから4年。

立教の大学院の院生諸君とともに、
「一夜の月の満ち欠け」を堪能する。

さて朝日新聞のコラム『経済気象台』。
コラムニスト昴氏が書く。
「知者惑わず、勇者恐れず」

まずアメリカでのリンゴ・フジや、
コーベ・マーブル・ビーフのエピソードを紹介して、
日本農業・畜産業の技術の高さ、確かさを語る。

「コシヒカリのおむすびがコンビニで売られる国だ。
日本産米にかなうものはない」

さらに高名な大病院の内科部長の手術例の話を出す。
「80万円かかる手術資材が
輸入自由化されれば30万円で済む」

ここで「知者惑わず、勇者恐れず」
野田総理や民主党に向かって言い放つ。
つまりはTPP問題への政府の逡巡を指弾する内容。

この言葉、原典は『論語』
「子曰、知者不惑、仁者不憂、勇者不懼」
子曰わく、
知者は惑わず、
仁者は憂えず、
勇者は懼
(おそ)れず。

「知者は迷うことはない。
仁者は悩むことはない。
勇者は恐れることはない」

昴氏は「仁者」を外して語ったが、
「仁者」であることこそ、大切だと思う。

知者は、正しい知識・知恵を備えた者。
だから惑うこと、迷うことがない。
知識商人は迷わない。
仁者は、正しい行いをする者。
だから悩んだり、憂えたりしない。

ただし、仁者が一番難しい。
理念がしっかりしていなければならない。
勇者も難しいが、
真の勇者は、正しきことでのみ、闘う。
つまり大義を背負う。
だから恐れることがない。
だから勇者なのである。
勇気とは、大義を背負うからこそ、
湧き出てくるものなのだ。

などと考えつつ、
惑わず、憂えず、恐れずの心境を思う。

今宵は皆既月食の52分間で、
その心境に近づけるかもしれない。

みなさんも、良い週末を。

<結城義晴>

2011年12月09日(金曜日)

「欧州危機、どう見るか」仏独対論とベルギーの「売らない手法」、そしてRMLCのディスカッション

朝日新聞の国際面に、
「欧州危機 どう見るか」
フランスとドイツの反対の論客を並べた。

まずフランスからは、
エマニュエル・トッド。

1951年生まれの人類学者、歴史学者。

のっけから言い切る。
「塔から転落するように
ユーロはつぶれる」

ヨーロッパ連合の共通通貨ユーロが、
崩壊し、消えてなくなる、と給う。
しかし「最終的にはどこの国も
ユーロ消滅でよくなるだろう」

なぜか。
「国の大小にかかわらず平等であることが
欧州の理念だったのに、
自由貿易とユーロのせいで
不平等や優劣が生じている」

トッドは、ユーロ消滅のメリットを、
庶民の目線で、分かりやすく表現する。
「ユーロがなくなったほうが、人々は、
イタリア人はいいやつじゃないかと思うだろうし、
ドイツ人はちょっと違うけども
まともな人たちだと気づくだろう。

ユーロに縛られた状態のままだと、
ドイツを憎むことになる」

そして結論づける。
「ユーロは憎しみの製造機になっている」
皮肉屋のフランス人の真骨頂。

一方、ドイツからは、
テオ・ゾンマー。

1930年生まれのジャーナリスト。
西ドイツ国防省計画局長、
週間紙ツァイト編集主幹、
同紙共同発行人を歴任。

「今回の危機から教訓を得て、
さらなる統合へ進むと信じる」

どんな教訓か。
「単一通貨を導入しながら、
税制や退職年齢といったものをそろえず、
財政と政治の統合を置き去りにしたこと」

「この二つの柱を築いて欧州連合(EU)の
建設を完成させねばならない」
前向きに方針を提示し、決意表明する。

『多様性における統一』が欧州であり、
それが我々を強くする」
これ、オクシモロン。

「一つの国では対処できない問題が増えていることを見ても、
欧州の分裂はない」

「気候変動、安全保障、経済などに
我々は共に取り組まなくてはいけない。
地域で孤立する日本よりも恵まれている」
最後は日本に刃を向けて、
ドイツ人は意気軒高。

私は朝日新聞のこの対比手法、
大好きだ。

物事がよく見えてくる。
そしてフランスとドイツのEUリーダー国の、
見解の対立こそ、
ヨーローパの柔らかさ、強さ、広さを表していると思う。

ユーロは消滅しないし、
また一段と「統一的多様性」を、
紡ぎ出し、描き出すことになる。

ヨーロッパ・ベルギーのネタを日経MJからもうひとつ。
「『売らない』手法で客誘引」
こちらは商売に役立つ。

「どうか、クリスマスの週末、
我々の製品を使わないでください!」

スカーレット社の宣伝文句。

インターネットプロバイダーと携帯・固定電話事業を手掛ける会社。
昨年、この「殺し文句」で大成功。
今年、クリスマスを控えた現在、
この戦略が語り草になっている。

スカーレット社のメッセージはつづく。
「クリスマスは家族や友達の集まる日です。
中東でさえ、武器を置いて休戦するのです。
我々も電話・インターネット・テレビという『三種の神器』を、
クリスマスの週末ぐらい、しまいましょう」

自社製品を「使わない」おすすめ。
しかしこれは表向きのメッセージ。

メッセージを発しておいて、
プレゼント・キャンペーンを展開。
「『電話、ネット、テレビなしの耐久コンテスト』に賛同する人に、
ホームページで名前や電話番号などを登録させ、
この3つを本当に我慢できた人に
抽選で最新型のテレビ、ラップトップ、スマートフォンを贈る」

「この情報はツイッター、フェイスブック、
口コミで瞬く間に広まった」

しかしそれだけでは終わらない。
昨年のクリスマスの週末、
「スカーレット社は『インチキ発見スタッフ』を配置し、
登録者におとりメールを送ったり、
おとり電話をかけたりした」

商道徳としてみるとどうか、なんて、
ドイツ人しか言わない。
「メールを送り返してしまった途端に、
『あなたはアウト!』というサインが出て
資格が剥奪される」

このキャンペーンに乗ったのは3000人。
900人が「おとり電話」に出て、
1500人が「おとりメール」に返事をした。
そして失格。

しかし、面白味のない世の中。
このキャンペーンは大ヒット。
「同社のサイトのビジター数は、
前年の同時期に比べ68%増の118万4803人、
そのうち73%が新規客だった」

「クリスマスに我が社製品を使わないでください」
これだけではうまくはいかない。

第二第三の仕掛けがあった。

しかし、ネット社会が進む中で、
その便利さを生業(なりわい)にしながら、
それを否定して見せた心意気
に、
共感が得られたんだと思う。

商人舎スペシャルメンバーの川勝利一さんは、
トレイメーカーのカリスマ営業マンの頃、
「わが社の製品は社会の必要悪」と、
言い切っていた。
そして凄い営業成績を上げていた。

ドイツ人にはこの感覚、わからないかもしれない。
しかしフランス人は、大いに好感を持つ。

ベルギー人は、両者を冷静に見ている。
そのベルギーで成功したキャンペーン。

あなたは、このケースをどう考え、
どう自分の仕事に活かすか。

さて日経MJの『身につく読書』欄に、
「1秒でわかる! 小売業ハンドブック」が、
とり上げられた。
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「同書は小売業の仕事の特徴は
『結果がすぐにわかるという点である』と指摘する」

「顧客から『ありがとう』と言ってもらえる仕事が
小売業の醍醐味であるとも説く」

私の言いたいことをキリリと搾り取ってくれた。
心から感謝。

そして皆さんには、
ご愛読をお願いしたい。

私は、この「小売業ハンドブック」の編著者として名を連ねているが、
この本の著者は、商業経営問題研究会(RMLC)
RMLCはRetail Management Learning Circleの略。
私が座長を仰せつかっている。
昨日は、そのRMLCの2012年最後の定例会。
この日の定例会の場所は、
虎ノ門の日本チェーンストア協会会議室。
今年は、日本スーパーマーケット協会会議室と、
交互に使用させてもらった。

さて今年最後のテーマは、
杉田幸夫さんの「小売業の〝サービス”を考えるⅡ」
杉田さんは、リテック商業技術研究所代表(手前から二人目)。

最初に小売業のサービスとは何かを再定義した上で、
顧客満足度を高めるためのサービスの体系づくり、
PDCAマネジメント・サイクルに基づくマネジメントの必要性を問題提起。
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参加者の各メンバーからさまざまな意見が発せられた。

議論が一通り終わったところで、
日本チェーンストア協会協会長の清水信次さんが、
井上淳専務理事とともにご登場。
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清水さんは先週12月2日に「生団連」こと、
国民生活産業・消費者団体連合会を発足させたばかり。
精力的に活動している清水さんに、一同、脱帽。
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来年 1月20日(金)に、
日本チェーンストア協会の賀詞交歓会が開催される。
恒例のこと。

この交換会に先立って今回は、
パネルディスカションが行われる。
コーディネーターを、私、
この場で仰せつかってしまった。

パネリストは3名。
清水信次会長、
木下雄治副会長(㈱東急ストア社長)、
小濵裕正常任理事(㈱カスミ会長)。

テーマは、
「アメリカ・ヨーロッパ・アジア・日本の流通業の
現状と今後の予測(仮)」

今から楽しみだ。
みなさんぜひ、ご参加ください。
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そのアメリカ・ヨーロッパ・アジアの小売業を、
私は9月から12月にかけて大忙しで視察して回ってきた。
この日のもうひとつの議題が、結城義晴の海外視察報告。
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スライドを映しながら、ドイツ・アヌーガの報告、
そのドイツ小売業の寡占状況を解説した。
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参加メンバーの中では、
㈱たいらやの村上篤三郎社長が、
今回のアヌーガを視察している。
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定例会を終え、近くの小料理屋でRMLC忘年会。
1年を振り返りながらの楽しい会話で、
大いに盛り上がった。

神谷町から虎ノ門にかけて
雨にぬれた冬のイチョウ並木を見上げながら、
今日も、充実。
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そのことに感謝。

しかしフランス人とドイツ人、
そしてベルギー人、オランダ人、
さらにイギリス人。

「統一的多様性」
あるいは「多様的統一性」
もしかしたら前者か後者かというところでも、
フランス人とドイツ人は論議するのだろうが、
「孤立している」と指摘された日本人として、
なんだか、うらやましい。

だから私は、
ワンアジア財団で、頑張ろう。

<結城義晴>

2011年12月08日(木曜日)

イトーヨーカ堂「キャッシュバックセール」廃止/万代の今年度新店

日経新聞の『会社研究』で、
セブン&アイ・ホールディングスが取り上げられた。
その(上)は 「ヨーカ堂改革、背水の陣」

イトーヨーカ堂社長の亀井淳さんは、
日経新聞夕刊の『人間発見』にも今週、連載で登場していて、
いい話をしている。

ショッピングセンター開発を担当している当時、
「大型SCには高齢者らがゆったりと過ごせる休憩所を設ける」。

「明るくきれいなトイレ作りにも力を入れてきました。
買い物が現実の世界だとすると、
トイレは利用者がほっとできる、ある意味で非現実の世界」

亀井さんの視点は正しい。

けれども総合スーパー業態は「回復途上」。
「セブン&アイ・ホールディングスの連結経常利益が2012年2月期、
17%増の2840億円と最高益を更新する」

ただし、これはセブン-イレブンのおかげ。
イトーヨーカ堂は足を引っ張っている。

ここで重要な改革。
「キャッシュバックセール」の廃止。
昨年12月を最後に同セールをやめた。

「レシートをみせれば最大で20%程度を返金するこの手法は、
簡単に売り上げが作れて予算達成に役立つ半面、
利益はついてこない」

「かかるコストは年間50億円程度とみられるが、
副作用はそれ以上に大きい『麻薬』」。

ポイントセールの5倍増、10倍増なども、
同じく小売業にとっての『麻薬』。

それを止めた。
「売り上げはすべてを癒やす」
この「業界の呪縛からの脱却」である。

「危機感から部門横断的に約50人の緊急対策チームを組成」
そのチームでの激論の末の結論。

「今年上期、ヨーカ堂は60億円の営業黒字に浮上。
売上高が減る一方で、
粗利益率が約30%と1.4ポイントも改善した」

ただしこれも『麻薬』をやめただけ。
記事では「収益構造改革はまだ『5合目』」と指摘する。

本格回復は「祖業」の衣料品改革。
しかしこれとても、いまだ迷走。

亀井さんは「生ぬるい商売はしない」と、
背水の陣を敷いた。

「我々はまだ過去の成功体験に縛られている」
これは鈴木敏文会長の言。

イトーヨーカ堂の本格改革は、
これから。

私は業態論とフォーマット論でも、
イトーヨーカ堂のコンセプトが問い直されていると考えるが、
いかがだろうか。

さて、昨日は大阪での2日目。
㈱万代の新店を視察した。
朝から兵庫県の伊丹荒牧店へ。
今年9月オープン。
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2階にしまむら、1階にセガミ・ドラッグ、
駐車場の反対側に西松屋などを誘致し、
万代は600坪とたっぷり売場をとった意欲店舗。
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しまむらと万代のマッチングがいい。

入り口では、いちご1パック398円が大々的にアピール。
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万代は1品1品が魅力的な商品。
ダイコンとネギ。
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鮮魚部門ではよこわの販売。
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パック商品の商品化も的確。
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この時期はとらフグとあんこう。
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そして天然真鯛598円。
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個食なべ物用セット2パックで698円。
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次々にお買い得単品が続く。
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豚ロースしゃぶしゃぶ用138円。
このボリューム。
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豚もも切り落としは100グラム98円。
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ひき肉売り場のボリューム陳列。
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国産若鶏モモ肉。
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安くて、味が良くて、鮮度が良くて、たっぷり。

鍋用豆腐、絹あげ、うすあげのエンド平台。
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惣菜部門の煮物。
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米飯売り場。
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寿司カテゴリーに一人、
米飯カテゴリーに一人、
こういった分担でバイヤーが担当している。

揚げ物売り場。
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カキフライ298円。
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本当に1品1品に魅力がある。

スープバーと実際に手で握ったおにぎり。
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菓子パンの98円均一と88円均一のアイランド売り場。
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カテゴリーごとに、
1品ごとに、
力のこもった開発や仕入れが行なわれ、
商品化が展開されている。

万代の売り場には、
その単品の力とカテゴリーの魅力がある。
左から吉川英樹惣菜部マネジャー。
圓石一治店長、
東本明店次長、
黒田久徳デイリー部マネジャー。
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一気に初年度で36億円の年商を上げる勢いで推移。
凄い店だ。

次に、宝塚中筋店。
荒牧店から直線で10分ほどの約300坪。
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300坪で改装を施し、
20億円を売り上げる。

こちらは「べたべた」の万代スタイルの店。
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中ノ忠敏店長をかこんで、激励。
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最後に、12月にオープンしたばかりの中小阪店。
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入り口や出口あたりにお祝いのランの花が並ぶ。
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御堂宏司店長を囲んで、笑顔。
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入り口の青果部門からして気合が入っているが、
「万代のイメージを一新」。
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要は洗練された店。

しかしオープニングセールはすごいインパクト。
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その一例。
バターロール105円。
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ドラッグ部門を導入した。
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万代は100坪から300坪、600坪まで、
いわばマルチ・フォーマットのような展開。
148店舗。

ただしそれはすべて、
一貫したマーチャンダイジング。
4つのフォーマットで、
統一したライフスタイル提案をするテスコと同じ。

だから、迷いはない。

商品部も店舗も、スーパーバイザーも、
全社挙げて、50周年の3000億円に向けてまい進中。

2012年は日本全体にとっても「復活の年」だが、
ここで「迷いない」方針と仕事の実現が、
一番重要となる。

日本国も迷いなく、
全国民あげて一心に突き進みたいものだ。

<結城義晴>

2011年12月07日(水曜日)

明治ステップのセシウム検出対策とノンアルコールビールのコモディティ化と万代ドライデイリー会での講演

昨日の午後、共同通信の報道で、
チェーンストアやスーパーマーケット本部に衝撃が走った。

㈱明治の粉ミルク「明治ステップ」の一部製品から、
1キログラム当たり最大30.8ベクレルの放射性セシウムを検出。

ちょっと共同通信が煽りすぎたようにも感じたが、
日経新聞の夕刊にも載って、
夜のニュースや朝のワイドショーでも、
トップか二番目に取り上げられた。

逆のトップか二番手のネタは、
柔道オリンピック金メダリスト内柴正人容疑者の事件。

明治の「ステップ」(850グラム入り缶)は、
生後9~12カ月の乳児向け粉ミルク。
だからこそ、消費者も非常に敏感。

明治は、検出された製品と同期間に生産した粉ミルク約40万缶に関して、
すぐさま無償交換に応じ始めた。

小売店舗はその無償交換の窓口になる。
つつがなくこの手続きを進めることだ。

厚生労働省は「暫定規制値を下回っている」ため、
回収命令を発してはいない。
暫定規制値は200ベクレルだから、
7分の1ほど。

検出された製品は埼玉県春日部市の埼玉工場製のもの。
3月14~20日に原料を乾燥させる工程を経た製品。

消費者から「放射性物質を検出した」との指摘があった。
この指摘を受けて、明治自身で調査したところ、
賞味期限が2012年10月の4日、21日、22日、24日の製品の一部から、
放射性セシウムが検出された。

原料の脱脂粉乳はすべて東日本大震災より前に加工されたもの。
一部は北海道産だが大半は米国やオセアニア地域からの輸入。

加熱した大量の空気で乾燥させる製造過程で、
「福島原発事故で放出された
大気中の放射性セシウムが混入」

これが真相のようだ。

200ミリリットルの湯に粉ミルク約30グラムを溶かして使う。
従って放射性セシウムの濃度はさらに下がる。
「暫定規制値を大きく下回り、
毎日飲用しても健康への影響はないレベル」
これは明治の見解。

さらに今後は、粉ミルクについて、
すべての製造日ごとに放射性物質検査を実施し、
結果をホームページで開示する。

最善の対応だろう。

ただしこれで、海外の幼児用粉ミルクの輸入に、
拍車がかかるかもしれない。

さて日経新聞朝刊の消費欄。
「チラシで読むノンアルコールビール」

キリンフリーが開発した新マーケット。
2年半前に登場。

現在、ノンアルコールビールは、
カクテルなどを含めたノンアルコール市場の9割超。

サントリーの調査では、
2011年のこの市場は2900万ケースで、
前年比34%プラス。

1ケースは250ミリリットル入り24本換算。

10年夏発売のサントリー「オールフリー」。
チラシ調査の結果、
オールフリーを掲載した食品スーパーマーケットは、
10月に6988店。
前年同月比約9割増。

一方、キリンビール「キリンフリー」は、
2147店。
問題の特売チラシ掲載販売価格は、低下傾向。
キリンフリーの10月の平均売価は710円。
これは前年同月比6.6%のダウン。

サントリーのオールフリーは700円。

こちらは4.4%ダウン。

記事のインタビューに答えたバイヤーの弁。
「1円単位でノンアルコールビールの値下げが
繰り広げられている」

ノンアルコールビールのコモディティ化現象が起きている。
こうして新製品はコモディティ化していく。

さて昨日は新横浜からのぞみに乗って、
新大阪⇒新今宮⇒堺、
リーガロイヤルホテル。

万代ドライデイリー会12月定例会で講演。
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私は「アヌーガ・ドイツ小売業から学ぶもの」
10月のアヌーガ・フランス視察勉強会報告。
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私はピーター・ドラッカーのマーケティングとイノベーションから、
アヌーガとドイツの5大食品小売業をとらえた。
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2011ドイツケルンメッセ「アヌーガ」の共通トレンドは9つ。
①グルメ食品および特産品
②オーガニック食品
③ベジタリアン・フード
④健康食品および機能性食品
⑤ハラル・フード(イスラム教徒が食べることのできる食品)
⑥コーシャ食品(ユダヤ教徒用の食品)
⑦フィンガー・フード(片手で一口で食べられる食品)
⑧プライベートブランド
⑨原材料

ドイツ小売業から紹介したのは5フォーマット。
①メトロのハイパーマーケット「リアル」
「アルディ」のハード・ディスカウントストア
③エデカのハード・ディスカウントストア「ネット―」
リドルの「ハード・ディスカウントストア」
レーベのスーパーマーケット

ここから導き出される仮説と理論は、
クリティカル・マス、スコープの経済、
そしてコモディティ化現象。

その中でリミテッド・アソートメントストアが隆盛している。

最後はドラッカーのイノベーションの原理。
これは本当に大事なこと。
第一に、機会を徹底して分析する。
第二に、自分の目と耳で確認する。
第三に、焦点を絞り、単純なものにする。
第四に、小さくスタートする。
第五は、最初からトップの座をねらう。

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ご清聴を感謝したい。

私のあとは、
ヨーロッパ研修参加者を代表して、
三井食品㈱の岡本泰和さんの発表。
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ユーモアたっぷりと、
商談や店舗視察の成果を報告した後、
万代への提案は夢一杯のものとなった。
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セミナーのあとは分科会で、
9チームからのそれぞれの発表。
これも水準の高い内容だった。

そして夕方6時15分から懇親会。
食事が進んで、壇上に上がったのは、
万代のバイヤーたち。
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生鮮食品のバイヤーは参加しなかったが、
ドライ、デイリー、住関連の若いバイヤーがズラリ揃うと、
万代の強さの本質が理解できた。

最後に山下和孝副社長が登壇して、
気合一発「やるぞ~」。
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私は加藤徹社長の隣で食事し、
情報交換しながら、
楽しんだ。
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企業の目的は、顧客の創造である。
したがって、企業は二つの、
そして二つだけの基本的な機能を持つ。

それがマーケティングとイノベーションである。
マーケティングとイノベーションだけが成果をもたらす。

この夜も、ドラッカー先生の言葉が頭に残った。

<結城義晴>

2011年12月06日(火曜日)

中国戦略はイオンがSC+SM、セブン&アイがデパ地下・食品SM、その中の台湾資本RTマートの強さ

今朝の日経新聞のスポーツ欄。
コラム『クールダウン』
日経は文化欄やスポーツ欄に以外にいいコラムがある。
今日は「最大のファンサービス」というテーマ。

「夏休みのラジオ体操最終日や学校の卒業式など、
小さい時分は『皆勤』すると景品がもらえ、表彰された」
そうだった。
「皆勤賞」は勉強ができるできないではなく、
全員に権利がある公平なものだった。

「社会に出て仕事を持つと『休まない』というだけでは、
だれも何もくれないようになるけれど
『皆勤』はいくつになっても誇っていいことなのではないか

賛成。
大いに。

大阪の㈱万代社長の加藤徹さんは、
代表取締役社長に就任してから、
皆勤で、朝6時に出社する。

だから4時半に起床する。

「皆勤」というのはすごい。

私も、2007年8月10日から、
皆勤でブログを書き続けていてわかるが、
本人は当たり前になりつつあるが、
「皆勤」は尊い。

「例えば横綱白鵬。
4年半前の横綱昇進から休場が一度もない

そのひたむきさが、モンゴル人でありながら、
日本人以上に日本国民から敬愛される理由のひとつ。

「派手な連勝記録などと違い、
『休まない』だけでは注目されないが、
それが信頼を生む」

小売りサービス業は、
派手な連勝記録の仕事ではない。
しかし毎日毎日、コツコツと、
売場をつくり、顧客をもてなす。

コラムは結ぶ。
「スポーツ界で最も大切なファンサービスといえるだろう」

小売りサービス業にとっても、
最も大切な顧客サービスである。

その意味で、
コンビニはすごい。

さて、中国進出のニュース連発。

これも今朝の日経新聞。
イオン、出店攻勢 中国の中間層に照準」

イオンの中国での現状。
ショッピングセンター(SC)を含む大型店が30店、
食品スーパーマーケットは主に香港で10店、
コンビニエンスストアは少ないが22店。
2010年度の中国での総売上高は約1千億円。

今後は、2013年度までは年数店の出店。
しかし2014年度は2ケタ出店、
その後は年20店ペース。
そして2020年度に200店体制を目論む。

ハイパーマーケット(総合スーパー)が核店舗。
そこに衣料品や雑貨など百数十の専門店が入るSC。
延べ床面積は10万平方メートル、年商100億円。
これが標準タイプ。

「賃借のため1店当たりの投資額は20億円程度」

さらに食品スーパーマーケットは全国のマックスバリュが地域ごとに担当。
マックスバリュ東海が広東省、
マックスバリュ中部が江蘇省、
マックスバリュ西日本が山東省。

2012年中に現地法人を設立し、
競うように出店をスタート。

スーパーマーケットといっても、
延べ床面積が1000~2000平方メートルの小型店の集中出店方式。
こちらは2020年度段階で400店体制の計画。

このSC200店、スーパーマーケット400店の体制のために、
各省に物流センターを創設。
筆頭株主の三菱商事が保有する物流網や商品調達先を活用。

一方、セブン&アイは、
「中国で『デパ地下』
高級食品スーパー開業」

これは日経新聞の12月3日の記事。

2日の金曜日に、北京市で、
百貨店の地下フロアに
高級食品スーパーマーケットを開業。
店名は「王府井ヨーカ堂・三里屯店」。
売り場面積は約2000平方メートル。

イオンとは反対に、
「これからの中国での食品スーパー事業は
『デパ地下』運営を柱にする」

「総菜や輸入食品、有機野菜の品ぞろえを充実させ、
大都市で急増する富裕層を顧客として獲得する」
運営会社に出資するヨークベニマルの大高善興社長
「『デパ地下』で最後の勝負をかける」と意気込む。

上海でも久光百貨店の地下売場のフレッシュマートは、
市内に高級スーパーマーケットとして市場をリードする。
郊外にはウォルマート、カルフール、テスコなど、
有力外資企業が群雄割拠。

さらに台湾資本のRTマートが完全に現地化して、
ハイパーマーケット業態で群を抜く。

ならばデパ地下で高所得者層を狙う。
これはSTPの戦略として理にかなう。
Sはセグメンテーション、
Tはターゲティング、
Pはポジショニング

イオンとセブン&アイ。
異なるマーケット観と異なる経営戦略。

これはとてもいい。

さてその上海のRTマート。
私の手元にある資料は、
「中国のトップ・グロサリー・リテイラー」
①ウォルマート・チャイナ 322店 99億6900万ドル
②オーシャン&RTマート 
174店 72億3000万ドル
③チャイナ・リソース 
3042店 68億1300万ドル
④カルフール 
645店 57億3200万ドル

中国チェーン経営協会発表のランキングでは、
①百聯グループ 1037億元(1兆3481億円)
②華潤万家 718億元
(9334億円)
③大潤発 502億元
(6526億円)
④カルフール 420億元
(5460億円)
⑤ウォルマート 400億元
(5200億円)

この第3の大潤発がRTマート
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フランスのオーシャンと資本・業務提携をしていて、
台湾資本。

ハイパーマーケット業態だが、
店舗と売り場は一番良い。

1階フロアにはテナントが入る。
箱型のショッピングセンター。
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動く歩道のスロープを昇って、2階へ。
20111206134539.jpg

2階も両サイドにテナントが並ぶ。
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一番奥に、見えてきました。
RTマートの入り口。
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これが、カルフールが編み出した典型的なハイパーマーケット。
まず、非食品プロモーションの大量陳列。
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入り口右手は書籍・CD売り場。
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入り口から店舗の半分くらいがノンフード。
奥がフード。
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コンコース沿いのエンド陳列も原則そのもの。
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店舗中央を走るコンコースの真ん中には、
島陳列のプロモーション。
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右手にドラッグ・コスメティックスが売場が見えてくる。
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高級感のある売り場は上海第一のクレンリネスぶり。
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左手は衣料品売り場。
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衣料品も定番アイテムが並ぶが、
高いクオリティ感がある。
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コスメティックスの次に雑貨売り場。
バザーと呼ぶ。
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左手はグロサーと雑貨。
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エンドはサンプル陳列の典型で、
1アイテム2SKUの原則通り。
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そしていよいよ、生鮮食品売り場。
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青果部門は上海のハイパーマーケット第一の管理状態。
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カルフールやウォルマート、テスコのクレート陳列と異なり、
日本流の単品陳列。
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青果部門に続いて、穀類などのバルク売り場。
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乾物売り場も充実しているし、
管理レベルが高い。
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もちろん人員も投入されている。
ここがカルフール、ウォルマートとの大きな違い。

右手奥通路沿いは対面売り場の精肉。
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精肉も品質管理が良い。
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鮮魚は氷を敷き詰め、
その上に陳列。
これはカルフールから学んだ。
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「水産区」と部門名が表示されている。
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鮮魚部門のスペースも品揃えも日本並みの上海最高レベル。
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上海蟹も品揃え。
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惣菜部門は中華料理の豊富なメニューが満載。
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真ん中に作業スペースがある惣菜売り場。
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ホット惣菜もおいしそうだし、
清潔感がある。
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肉まんの売り場はアツアツの品ぞろえ。
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右手奥の売り場はベーカリー。
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コーナーを曲がるとインストアベーカリーの売り場が続く。
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未成熟のべーカリーは菓子パンが多い。
しかしRTマートでは主食となるパンが売られている。
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ベーカリーをかこむように、
洋惣菜売り場。
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揚げ物惣菜もパレット盛りで、
衛生的できれいな売り場。
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冷蔵多段ケースには、
日本と同じような豊富な品目が用意されている。
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飲料の島陳列も見事。
アメリカの売り場のようだ。
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コンコースに戻って、グロサリー部門。
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そのエンド陳列も原則的。
ハイパーマーケットとはこれだ、という売場づくり。
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私はすっかり感心してしまった。

売場の管理状態が良いというだけではない。
客数は多いし、売れている。

それでいて管理がいい。
上海小売業では多くはない。

それはオペレーションとマネジメントが出来上がっているからだ。

RTマート、恐るべし。
台湾資本の小売業、すごい。

台湾企業は日本の小売業をよく学んでいる。
アメリカ・チェーンストアも学習している。
そのうえ、上海の中国人の生活を知っている。
上海の中国人の働かせ方を熟知している。

カルフール、ウォルマート、テスコ、メトロ。
並み居る世界企業を相手に、
彼らから学びつつ、
彼らの追随を許さない経営と運営。

日本企業も、
ハイパーマーケットづくりの面では、
RTマートに真摯に学ばねばならない。

今回の上海旅行で一番の収穫が、
このRTマートだった。

その中国でイオンやセブン&アイ、
平和堂、イズミヤなどが、
21世紀戦略を展開しようとしている。

<結城義晴>

2011年12月05日(月曜日)

デフレ経済の「実感とのズレ」と「生団連」のミッション「国民の生活、生命を守る」

Everybody! Good Monday!
[vol49]

2011年第49週です。

暦の上では初冬といってよい季節なのでしょうが、
横浜では晩秋の感強し。
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良い陽気です。

12月第2週。
今年も残すところあと4週間。
充実した日々を送りたいものです。

3月11日の東日本大震災直後のことは、
まだまだ生々しく覚えていますが、
あれからずいぶん、
時間が経ったようにも感じられます。

「みたび、ひとつずつ、
すこしずつ、いっぽずつ」

今月の商人舎標語。

今週と来週は、
12月第4週の黄金の三連休、
天皇誕生日からクリスマスまでの23日、24日、25日に向けて、
準備の週。

しかしこれは世界中の商売の傾向ですが、
みな、早仕掛け。

そのことを忘れてはなりません。

さて先週金曜日の「ふたりのビッグ・ショー」商人舎忘年会。
ご参加くださった皆さんに、心から感謝申し上げます。
ありがとうございました。

土曜日のブログは大長編のフォトレポートになりました。
商人舎写真班に加え、
立教大学大学院の結城ゼミから、
柿沼将人君と佐藤康裕君の写真、
大量に使わせてもらいました。
お礼します。

さてさて今朝の日経新聞の一面トップ記事。
「デフレ経済、実感とズレ
物価が『二極化』」

犬が人を噛んでもニュースにならないが、
人間が犬を噛んだら大ニュース。

人が知らないことを知らせること、
人が知っていると思っているが誤解していること、
そんなことを教えるのがジャーナリズム。

ならば月曜日の一面トップ記事として、
「デフレ、デフレ」と思い込んでいるビジネスマンに、
そうではないですよと警鐘を鳴らす。

「10月の消費者物価指数は、
値動きが激しい生鮮食品を除くベースで前年同月比0.1%下落」
つまりはデフレ基調。

「日銀は10月の経済・物価情勢の展望で、
2011年度、12年度とも物価上昇率は0%近辺と予想」

「にもかかわらず」である。

内閣府の10月の消費動向調査。
1年後の物価見通しは「上昇する」との回答が69.6%。
これは前月比2.4ポイントの増加。

CPIの個別品目では、
「価格が上昇した品目の割合は36%に拡大。
下落は51%」

「CPIは財とサービスに分かれ、
構成比率は半々」

「財」は三つに分かれる。
第1に、家電など『耐久財』、
第2に、衣類など『半耐久財』。
これらがおのおの7%。
第3に、食料品やガソリンなど『非耐久財』で、
これが36%。

「消費者のデフレ予想が強まった2002~04年と09年は、
3つの財すべてが下落基調だったが、
最近は非耐久財が上昇している」

「下落が続く耐久財はパソコンなど家電を中心に、
メーカーが激しい価格競争を繰り広げている」
つまりコモディティ化現象は耐久財で起こっている。

「これに対し、食料品は
食パンや砂糖、コーヒーなどの価格が上昇。
東日本大震災後は電気代など公共料金の引き上げも加わった」
つまり非耐久財やサービスは、デフレ基調から脱しつつある。
これらの比率は86%。

「雇用者の現金給与は97年をピークに減り、
必需品価格の上昇で低所得世帯中心に実質購買力は下がった」

「家計調査で消費支出に占める『食料』と『光熱・水道』の割合は、
今年1~10月平均で31.4%」
これは2000年以降、最大。

必需品の重要度はますます増し、
こちらはデフレばかりとは言えない。

これが年末商戦で、顕著に表れる。
重要なポイントだ。

さてさてさて、12月2日に、
「国民生活産業・消費者団体連合会」が発足した。

以下は設立声明文の抜粋。
「日本の実情は、
我々が明治、大正、昭和、平成にいたる
今日迄の143年間の長きにわたり
御国任せ、御上頼りにしてきたことも一因であるが、
残念ながら1億2600万人の生活、生命を守るための組織団体が
未だに存在していないことにも起因している」

「本連合会の使命は、
国民の生活、生命を守ることである」

「使命を達成する為には、政府、行政の政策運営に対し、
一致団結して我々の考えを十二分に反映させるだけの
発言力、提案力、そして実現力が必要である」

会長は清水信次さん。
日本チェーンストア協会会長にして、
㈱ライフコーポレーション会長。

副会長は12名。
各協会、団体の会長、代表が名を連ねた。
荒井伸也 オール日本スーパーマーケット協会会長
大木美智子 消費科学連合会会長
横山清 新日本スーパーマーケット協会会長
坪井明治 全国商店街振興組合連合会理事長
阿南久 全国消費者団体連合会事務局長
谷茂岡正子 東京都地域婦人団体連盟会長
土方清 日本小売業協会会長
川野幸夫 日本スーパーマーケット協会会長
黒川光博 日本専門店協会会長
関口信行 日本チェーンドラッグストア協会会長
鈴木弘治 日本百貨店協会会長
小川修司 日本ボランタリーチェーン協会会長

理事は44名で、
小売業、卸売業、製造業のトップがズラリ。

発足時の会員数は、
団体会員24、企業会員454、特別会員3、
合計481社(団体)。

この日、午後、総会が開かれ、
平成23年度の事業計画が決定された。
事業活動は5つ。
1、組織基盤の強化・整備
2、東日本大震災からの復興貢献策の検討
3、「産業別協議会(仮)」の設置
4、ビジョン策定の検討
5、会員サービスの充実

そして午後5時から、
設立記念パーティが開催された。
ニューオータニの芙蓉の間は、
多くの参加者であふれかえった。
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はじめに登壇したのは、
副会長、理事の皆さん。
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そして清水会長のあいさつ。
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清水さんは85歳の大正15年生まれ。
特攻隊の生き残り。
その思いは、日本の国家の健全な発展にある。

清水さんのスピーチには、
このことへの熱いメッセージが込められていた。
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日本経済を支えてきた「経団連」は、
製造業や金融業など巨大企業の集まり。
それに対して「生団連」は、
小売流通業、食品・雑貨・衣料品メーカーなど、
半耐久財や非耐久財の提供者たち、および消費者団体。

国民の生活により近いところで仕事する人々、
およびその国民の代表者たちの集まり。

清水さんの発想力によって、
結集された連合会だ。
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連合会の生みの親は清水信次。
育てるのはすべての団体・協会、参集企業、
その経営者、従業員たち。

「生むこと」と「育てること」。
どちらも大変な事業だが、
まずは生まれた生団連。
大きく、大きく、
育てなければならない。

その時に一番大事なこと、
それはミッションの共有である。
「本連合会の使命は、
国民の生活、生命を守ることである」

政界からも与野党の議員が駆けつけた。
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まずは清水さんと旧知の麻生太郎元首相。
自民党衆議院議員。
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次に鹿野道彦農林水産大臣。
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樽床伸二民主党幹事長代行。
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最後に公明党の石井啓一衆議院議員。
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そして乾杯のあいさつは鈴木弘治副会長。高島屋社長。
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清水さんの前には長蛇の列。
握手しているのは日本食料新聞社社長の今野正義さん。
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私も列に並んで、新しい名刺をいただいた。
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そのあとは、いつもの懇親。

㈱カスミの小濵裕正会長、
㈱ライフコーポレーションの岩崎高治社長と、
並木利昭常務。
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㈱ヤオコーの川野幸夫会長。
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㈱関西スーパーマーケットの井上保社長。
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㈱エコスの平富郎会長と平邦雄社長。
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三菱食品㈱の中野勘治会長。
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同じく三菱食品㈱中嶋隆夫専務。
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中嶋さんは先日、
日本チェーンストア協会主催のパネルディスカションで、
すばらしいプレゼンをしてくれた。

日清食品㈱の中川晋社長も、
同じパネルディスカッションのパネラーを務めていただいた。
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もちろん私がコーディネーター。

そして日本スーパーマーケット協会の大塚明専務理事と
管理渉外部長の内藤俊之さん。
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使命の共有とともに、
事務方の一致協力が、
必須であることを確認したい。

年末に向けて、
あと4週間。

みなさん、今週も。
Good Monday!
<結城義晴>

2011年12月04日(日曜日)

ジジと「ふたりのビッグ・ショー」本番[2011日曜版vol49]

ジジです。
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ふたりのビッグ・ショー。
おわりました。
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いまは「祭りのあとの寂しさ」・・・・。
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ユウキヨシハルのおとうさん、
そんなことを、いってます。
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お話したり。
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ギターをひいたり。
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うたったり。
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35年ぶりに、音楽を楽しんだ。
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オオクボ・ツネオさんと、
ふたりのビッグ・ショー。
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ニノミヤ・マモルさんが、
むかしからのおとうさんの相棒。
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バンドは、シオザキさんとアソウさん。
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ナカマで音楽をやるたのしさは、
格別のもの、らしい。
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ボクのうたも、
やってくれました。
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あんまり ひざしが まぶしくて
あんまり せなかが やわらかくて

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ジジの目 ジジの目 黄色にとけた♪
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ボク、うれしかったです。
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それから、有名なゲストも、
うたってくれた。
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アナウンサーのスミヨシ・ミキさん。
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すばらしかった。
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さいごに、みんなでうたった。
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上を向いて歩こう
なみだがこぼれないように♪

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ひとりぽっちの夜♪
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おもいいずる ふるさと♪
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全員がうたった。
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全員のこころが、
ひとつになった。

おとうさんは、それがいちばん、
うれしかった。
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スミヨシさんは、
プライベートのボランティアで、
司会もやってくれた。
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オオクボさんと、かたい握手。
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三人そろって、Vサイン。
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ふたりのビッグ・ショー、
終わりました。

おとうさんは、
ちょっとさみしそう。
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おとうさん、
ゲンキ、
だしてください。

また、やりましょう。

百人ぐらいのビッグ・ショー。

<『ジジの気分』(未刊)より>

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