結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2011年11月19日(土曜日)

コーネル・ジャパン第3期「総括講義と修了式」、結城義晴の最後のメッセージは「基幹産業化」と「志定まれば、気盛んなり」

プロ野球日本シリーズは、
例年以上に淡々と進んで、第6戦。

互いに本拠地で負け続け、
今日はソフトバンク・ホークスが福岡に戻って、
みたび中日ドラゴンズに惜敗。

スコアは1対2。
これで3勝3敗。

明日の最終戦に、
2011年度の日本一決定は持ち越された。

この間、読売巨人軍は、
「会長ナベツネ対専務キヨタケ」のありがちな争い。

当然ながらすぐに決着がついて、
キヨタケはあっけなく、クビ。

日本シリーズの直前に勃発し、
最終戦前に、お騒がせの大団円。
しかしどちらが勝ったかは、
本当のところ藪の中。

スポーツの方が、
組織の人事や人間の葛藤よりも、
断然わかりやすいし、
しかも、気分がいい。

週末の関東地方は、豪雨。
しかし妙に生暖かくて、
得体のしれない11月・12月の展開を予感させる。

さて、コーネル・ジャパン第3期2日目は、
最終講義を終え、
いよいよ最後の最後の「修了式」。

本来ならニューヨーク州イサカのコーネル大学で行う修了式だが、
東日本大震災の影響もあって、
11月17日の、この補講の最終日になった。
サミットのレイバースケジューリングを学んだ17日午後、
最後の副学長の総括講義。
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第3期生に贈ったメッセージは、
「基幹産業」。
コーネル・ジャパンの本来の目的は、この考え方にある。
小売業や食品産業が、日本社会の基幹産業になる、
私たちはそれを目指して共に学ぶ。
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「産業の空洞化」が叫ばれているが、
それは一方で、
「消費産業の基幹産業化」を促す現象でもある。

「重厚長大」産業から「軽薄短小」産業への、
「基幹の役割」の転換と移行。
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私たちはこの2011年の今、
しっかりとそのことを自覚し、
産業のなかの中核を担う覚悟を持たねばならない。

そして実行の第3期生へのメッセージは
「志定まれば、気盛んなり。」
吉田松陰の言葉。

目標が定まれば、意気が高まり、
実現に向けて全力を尽くすことができる。
実行の3期生ならではの言葉。
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私自身、㈱商業界を辞して、
商人舎をつくった2008年、
この言葉をスローガンにした。
そして、「自ら、変われ!」を実践した。

自ら、志を定めれば、
自ずから、気は盛んになる。

コーネル・ジャパン第3期生にとって、
東日本大震災に遭遇した今年こそ、
その時だ。
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総括講義のあとは、
コーネル大学修了証書の授与式。
コーネル大学学部長であり、
ジャパン学長のエドワード・マクラフリン教授のサインと
副学長・結城義晴の筆による署名が入っている。

一人ひとりに心を込め、卒業証書を手渡す。
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修了証を受け取ると、
ひとりずつ、一言ずつ、
決意を語ってくれた。
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最初に読み上げられたのは、
「顧問」と一目置かれた㈱キョーエイの森雅之さん。
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第1期には級長の太田順康と副級長の大久保恒夫がいた。
第2期には「番長」の柄谷康夫がいた。
そして第3期には「顧問」の森雅之がいた。

㈱ランドロームジャパンの村越淳司さん。
ゴルフでも宴会でも、いつも懇親の輪の真ん中にいた。
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㈱JR東日本ウォータービジネスの浜田剛さん。
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毎回、ソフトドリンクをありがとう。

東日本大震災で活躍した㈱シジシージャパン、
辻信之さんもコーネル第3期で活躍してくれた。
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㈱いかりスーパーマーケットのレストラン事業部の松尾圭祐さん。
フードサービス畑ながら、食品産業とスーパーマーケットを学んでくれた。
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「外食と内食の融合」がテーマとなる2010年代。
松尾さんにはその架け橋となってもらいたい。

超多忙な中、修了にこぎつけた三井物産㈱の小林将人さん。
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シミュレーションでは見事、店長を務めた。

㈱ユニバースの長崎善人さん。

東北人の忍耐強さと包容力が際立っていた。
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㈱カスミの髙橋茂幸さん。
「優しさと厳しさ」を兼ね備えた実務の人。
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紅一点、第3期のマドンナ。
㈱アンデルセンの髙木明子さん。
男所帯の中で、よく頑張った。
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第3期生の中から誕生しました!
社長に就任した㈱タカヤナギの高柳智史さん。
二重におめでとう。
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関西コーネルを陰ながら支えた
㈱伊藤軒の羽倉修一さん。
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㈱よこまちの横町正俊さん。
いつもいつも明るく場を盛り上げてくれた。
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㈱マルエツの本間正治さん。
問題意識の高さは群を抜いた。
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㈱紀ノ国屋の阿部智則さん。
新生「紀ノ国屋」の誕生は彼の双肩にかかる。
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穏やかで生真面目な㈱阪食の廣田亘さん。
廣田さんも実行の第3期を象徴する知識商人。
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㈱万代の山口成樹さんは、
いつも後方の席から全体を見通していた。
クールな知識商人。
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ジン・ジャーマン杯で優勝を飾った国分㈱千木良治さん。
食品卸売業の立場から「基幹産業化」に貢献してくれるはず。
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国太楼の尾関篤さん。
スーパーマーケットの実務を知る「製造業の営業本部」をつくってほしい。
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北海道から毎回通ってくれた㈱ラルズの松尾直人さん。
「実行の3期生」を代表する実行のスーパーマーケットマン。
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笑顔で人気の実務派、
㈱関西スーパーマーケットの岡秀夫さん。
質疑応答ではいつも質問を発してくれた。
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㈱マミーマートの青木繁さん
青木さんも質疑応答に積極的に加わってくれた。
スーパーマーケットへの情熱を内に秘めた人。
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面倒見のいい親分肌の㈱万代の黒田久徳さん。
こわもては外見だけ。
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その黒田さんにいつも面倒をみてもらっていた、
「まっちゃん」こと、
㈱タカキベーカリーの松本剛さん。
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タカキベーカリーからは2人のアイドルが誕生した。

どんな場面でも仕切り役に徹してくれたこのひと、
㈱平和堂の福嶋繁さん。
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㈱ユニバースの三浦建彦さん。
アークスグループの一員になり、
ますます活躍してくれそうだ。
コーネル第3期生のなかで、
最も成長したひとり。
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㈱ジョイスの阿部修さん。
修了論文は力作だった。
残念ながら7月の修了ツアーに参加できなかった阿部さんのために 、
お土産が手渡された。
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㈱マルエツの釜萢直人さん。
いつも一番前の席で、
先生方に質問を投げかけ続けた
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昭和産業㈱の藤原勇一さん。
キョーエイ森さんの誘いで、
初めて踊った阿波踊りには、
私とともに「はまった!」
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㈱いかりスーパーマーケットの行光恒夫さん。
「コーネル・ジャパンはどんなセミナーよりも価値があった」と述懐。
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最後はこの人、三井物産㈱の小竹経一さん。
開講講座での英語での質問に、
第3期生は度肝を抜かれたらしい。
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しかし「実行の3期生」のなかで、
最も「税変」が期待できるのは、この人。
「商業の基幹産業化」に貢献してほしい。

そうして第3期生全員に修了証書を渡し、
名残惜しいがコーネル・ジャパン第3期はすべて終了。
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すべての人に、
心から感謝。

と、おもいきや、
何やらホワイトボードの裏側から連絡事項が現れた。
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そして協力部隊が集まった。
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仕切りはやっぱり福嶋さん。
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第3期生からの感謝状ともいえる寄せ書きの贈呈。
うれしかった。
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びっしりと書かれた一人一人のメッセージ。
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このサプライズを演出してくれた高木マドンナ。
ありがとう。
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花束もいただいた。
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さらには、アンデルセンのクッキー詰め合わせ。
マドンナ、ありがとう。
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事務局スタッフにも寄せ書きやプレゼント。
本当にありがとう。
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最後は全員で記念撮影。
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伝説の第1期、
奇跡の第2期、
そして実行の第3期。

総勢86名。

コーネル・ジャパンに集った「志高き知識商人」たち。
彼らとともに私は、「学ぶ喜び」を味わった。

3年間ありがとう。

この86人のメンバーによって、
Cornell Innovation Associationが結成される予定。
略して「CIA」。

CIAの今後の活躍を期待しつつ、
3年間の日々に、心から感謝。

<結城義晴>

2011年11月18日(金曜日)

コーネル・ジャパン最後の講義「サミットのレイバー・スケジューリング」のユニークさを学ぶ

今朝の日経新聞「消費」欄の見出しタイトル。
「クリ」出さず家で「スマス」

座布団1枚!

今年のクリスマスには、
外に繰り出さず、
家の中で済ます。

だから「クリ」出さず、
家で「スマス」。

覚えてください。
今年のトレンド。

それが「クリ」出さず家で「スマス」。

記事は、以下のように言う。
「節電意識の高まりや身近な人との『きずな』重視」で、
「自宅を中心に家族や恋人など、ごく親しい人たちと過ごす予定が多い」

「なるべく電気を使わないツリーや電飾が人気」、
「ホームパーティー向けのケーキ予約も好調」。
「家族同士で贈り物をする人も増える傾向」。

私はずっと言い続け、
『店ドラ』では本のなかにまで書いてしまった。

小さな喜び、
ささやかな幸せ、
明日への希望。

それを「ホーム」で実感する。
「クリ」出さず家で「スマス」

「幸せ」と言えば、
来日中のブータンの国王夫妻。
ジグミ・ケサル・ナムゲル・ワンチュク国王。
東日本大震災の被災地・福島を訪問してくれた。
ワンチュク現国王は世界最年少の元首。

その父君のジグメ・シンゲ・ワンチュク前国王が考え出したGNH。
国民総幸福量「Gross National Happiness」。
「国民全体の幸福度」。

1972年代というからもう40年も前のこと、
GNPの代わりに唱え始めた。

9つの構成要素がある。
1.心理的幸福
2.健康
3.教育
4.文化
5.環境
6.コミュニティ
7.良い統治
8.生活水準
9.自分の時間の使い方

日本の今年末も、
ブータンのGNHの気分が高まる。

これは私たちにとって、
決して悪いことではない。

さて昨日の11月18日木曜日。
コーネル・ジャパン第3期の最終講義。
実行の第3期生も、この最後の日を迎えた。

昨夜の酒もなんのその。
朝、8時に全員、元気に、
サミットミナノ分倍河原店に集合。
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店長をはじめ店舗サポート部のスタッフの皆さんが迎えてくれた。
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早速、朝の開店準備作業を視察。
青果のバックヤードで説明してくれたのは、
店舗サポート部生産性向上推進グループの椎名跣さん(いちばん左)。
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精肉部門の説明は、同じく吉田暁さん(左)。
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グロサリー部門の説明をしてくれたのは、
今年5月に商人舎USAベーシック視察に参加してくれた磯川雅樹さん(左)。
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成長している磯川さんと思わず握手。
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開店前8時50分には、レジ前に集合して、
チェッカーの朝礼を全員で見学。

毎年、この講義で見学するのがこれ。

どのスーパーマーケット店舗でも、毎朝、
例外なくレジチェッカーの朝礼をやっている。
その中で、サミットのチェッカー朝礼は、
とりわけすばらしい。
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50人の視察者に囲まれても、
動じることなく朝礼は淡々と進む。
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一通り朝礼が終わると、
見学者たちから拍手が巻き起こった。

朝礼が終了すると、もう8時58分。
各自が自分の役割を果たすべく、行動。
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9時オープンのために、
最後のクレンリネスチェック。
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そして9時。

朝日を浴びるサミットミナノ分倍河原店。
その一日が始まった。
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視察を終えた私たちは、
府中駅前のホテルにもどり、再び講義。

サミットのスタッフの皆さんにも参加願って、
レイバースケジューリングの考え方や実際の仕組みなどを、
レクチャーしてもらう。
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私の隣は、今回の視察研修を仕切ってくれた中村聖広報室マネジャー。
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中村さんからはミナノ分倍河原店の概要が説明された。
売り場面積831坪、バックヤード385坪。
このバックヤードから弾き出す年商35億1000万円。
駐車台数445台。

第1次商圏は4046世帯。
第2次商圏は1万6618世帯。

この商圏内に競争店は、
いなげや、コープとうきょう、さくら市場、京王ストアがある。
府中本町駅前にあったイトーヨーカ堂は撤退。
それがサミットの35億円の売上高にも影響している。

レイバースケジューリングの根幹にかかわる人員配置。
社員25名、パートタイマー73.7人。

人時売上高は、サミット全体の既存店で、
1万4000円。

この指標が基準になる。

中村さんの説明のあとで、
左から第8ブロックマネジャーの田村源栄さん、
ミナト分倍河原店店長の澤田洋さんの説明。
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写真右の店舗サポート部マネジャーの赤迫伸一さんには、
3年続けて、解説をお願いした。

澤田洋店長には、
開店前の忙しい中で対応してもらった。
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そして質疑応答。
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今年9月からサミットは、
1店舗を除いて、
100店で朝の開店時間を1時間繰り上げた。
すなわち9時開店。
従来は10時開店だった。

サミットはモニター制度を設けているが、
そのモニターからの要望のなかで強かったのが、
開店時間の繰り上げ。

9時に開店するが、
出勤時間は変わらない。
作業開始時間は8時。
そして開店9時。

1時間で開店できる状態をつくる。

ここにサミットのレイバースケジューリングが活きる。
レイバースケジューリング・システムがなければ、
開店時間の1時間前倒しなど、
できるはずがない。

どうするのか。

ひとつはマンアワーを投入して、
朝の時間帯の作業量を増やす。

しかし作業の平準化は、必須命題。
マンアワーを余分に投入しては、
利益を削ることになる。

そこで第2に、
前日の夜間にあらかじめ準備作業をする。

第3に開店時の売り場状態をコントロールする。
顧客の不便にならない範囲で、
品揃えの状態を下げる。

そして開店してから、状態を100%に持っていく。

こういった試行錯誤を店ごとに繰り返す。
そして最善のレベルを模索する。

その時にレイバースケジューリングの仕組みが活きる。
これなくしてはオペレーションの改革もできない。

サミットにとって、
レイバースケジューリングは、
イノベーションを生み出すものなのである。

私がコーディネートを務め、
質疑応答が繰り返された。

店長もブロック長も、店舗サポート部のメンバーも、
丁寧に一つ一つ答えてくれた。

途中から、髙野保男先生にも、質疑応答に加わってもらった。
高野さんはそのサミットのレイバースケジューリングの基礎をつくった人。
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高野さんが加わり、
サミットを取材し続けてきた私も解説に参加し、
9人で質問に答え続けた。

私の最後のまとめは、
「組織は戦略に従う」
そう、アルフレッド・チャンドラー・ジュニア。

そして「システムも戦略に従う」

トレーダー・ジョーには彼らのオペレーションがある。
ウェグマンズにも、ホールフーズにも、
その戦略に従ったユニークなオペレーションがある。

もちろんウォルマートにも、
実にユニークなオペレーション・システムがある。

優れた企業には優れたオペレーションの仕組みがある。
サミットのオペレーションは、
こういった国際レベルに引けを取らない。

最後にサミットの皆さんと記念撮影。
3年間、お世話になりました。
ありがとうございました。
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髙野さんにも2日間にわたり、講義いただき感謝。
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そして、この後、私の総括講義と
コーネル・ジャパン第3期生の修了証書の授与式イベント。
それは明日に続きます。

ユニークな戦略とユニークな組織。
それが企業の幸せをつくるのだと思う。

<結城義晴>

2011年11月17日(木曜日)

コーネル・ジャパン「実行の第3期生」最後の補講「作業システム編」と笑顔・エガオの懇親

「悲しいだろう みんな同じさ
同じ夜を むかえてる」

吉田拓郎作詞作曲の「どうしてこんなに悲しいんだろう」。
1971年の曲。

大学時代によく、口づさんだ。

「どうしてだろう このむなしさは
誰かに逢えば しずまるかい」

二番がいい。

「人の心は 暖かいのサ
明日はもう一度 ふれたいな」

秋が深まってくると、
こんな気分になる。

もうひとつ。
これはサトウハチロー作詞。
作曲は加藤和彦。

そう、フォーク・クルセダーズ。
「悲しくてやりきれない」
1968年のリリース。

「胸にしみる 空のかがやき
今日も遠くながめ 涙をながす
悲しくて 悲しくて
とてもやりきれない
このやるせない モヤモヤを
だれかに 告げようか」

ふたつの歌をみると、
「悲しみ」は「誰か」に、
癒してもらわねばならないらしい。

今朝の日経新聞の「twitter pickup」から。

糸井重里さんの11月11日の「ほぼ日」。
「この3月に、ほとんどの人たちが、
『この痛みは、みんなで分けよう』と思ったはずです。
その覚悟が薄められていかないようにと、ぼくは、
しつこく東日本大震災のことを言っていきます」

俵万智さんの11月10日のつぶやき。
「毎月十日前後になると、
息子が『地震から何日たった?』と聞いてくる。
偶然かなと思っていたけれど、
今夜も寝る前に同じことを言った。
明日で八か月」

「悲しみ」は「誰か」に、
癒してもらわねばならない。

「悲しみ」は、みんなで、
分け合いたい。

明日は、しつこく、
「東日本大震災の教訓と課題」。
パネルディスカッションで語り合います。

雨ニモマケズ
風ニモマケズ
雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
丈夫ナカラダヲモチ
慾ハナク
決シテ瞋ラズ
イツモシヅカニワラッテヰル

「【新】校本宮澤賢治全集第十三巻(上)覚書・手帳」から、
「雨ニモマケズ」。

そして、結城義晴。

元気を出そうよ。
それがあなたの仕事です。
元気を売ろうよ。
それがあなたの役目です。

お客さまに笑顔がもどる。
街に活気が蘇える。
あなたの商品のおかげです。
あなたのサービスのたまものです。

たとえ店頭から、            、
商品が消え失せようとも。
たとえ倉庫が、
空になろうとも。

あなたは店を開けようよ。
あなたは売場に立ち続けようよ。
店で元気を出そう。
売場で元気を売ろう。

たとえ地震に
襲われようとも。
たとえ津波に
見舞われようとも。

元気をだそう。
元気を売ろう。
それがあなたの仕事です。

それがあなたの役目です。

おなじみの「元気を売ろう」。

さて昨日、今日と、
コーネル大学RMPジャパンの第三期生最終補講
RMPは、「リテール・マネジメント・プログラム」。

東京・府中駅前、
コンチネンタルホテルでの1泊2日の合宿。
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レイバースケジューリングの講義と、
サミット㈱での現場研修

コーネル・ジャパンならではの名物授業。

3月の大震災で講座が延期となったため、
昨年の10月にスタートした第3期は、
13カ月にわたって行われたことになる。

すでに、アメリカへの研修修了ツアーも終わっている。
だから、最終補講の講義と研修は、
心から打ち解けて、皆が学び、同時に楽しんだ。
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さて、その初日の昨日は、まず、
副学長の私のあいさつから。
この授業で何を学び、サミットで何を視察するのか。
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コーネル・ジャパンは毎年、社長が誕生している。
第1期生からは、㈱ジョイスの小苅米秀樹社長、
第2期生からは、㈱ベルプラスの澤田司社長、
㈱成城石井の原昭彦社長。
そして第3期からも、今回、新社長が誕生した。
㈱タカヤナギの高柳智史さん
皆が大きな拍手で祝福した。
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私は自分のことのようにうれしく、
そして誇りに思う。
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第一講座は荒井伸也首席講師の
「ストアマネジメントシステム」

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荒井先生は講義が佳境に入ったころ、
なにやらホワイトボードにイラストを描き始めた。
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ゴルフのスイングをたとえにして、
店舗のマネジメントシステムを語り始めた。
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これが解説イラスト。

グリップが店長。
クラブヘッドが売場、
ボディは本部、
右足は財務、左足は理念。
そして頭はトップ・マネジメントやコンセプト。
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「人生で一番打ち込んだ」と自ら語るゴルフ・フリークの荒井先生は、
進化しつつ、また新たな境地を開いた(!?)

第2・第3講座の講師はタクト企画代表・髙野保男先生
テーマは「作業システムの概要」
髙野さんはサミットのレイバースケジューリングのベースを築き、
独立後は全国のスーパーマーケット企業の指導を行っている。
いまやレイバースケジューリングの第一人者。
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充実した講義内容はもちろんだが、
指導先の実際の作業映像に、皆、熱心に見入った。
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18時に講義は、終了。

その後、全員で、隣駅の分倍河原駅前にある、
サミットミナト分倍河原店の事前視察に向かう。
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ミナト分倍河原店の夕方の売り場状態を視察する。
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それぞれの視点で店舗を19時半まで見学。
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すっかり、腹が空き、のども乾いた。
ミナト分倍河原店を後に、
ホテルの前の居酒屋で懇親。
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明日は最終講義。
なごり惜しい。
そんな気持ちを心の底に、
みんな盛り上がった。
大いに語り、笑い、楽しんだ。

そんな第3期生のとっておきの笑顔を一挙に紹介しよう。
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「カンパ~イ!」

左から㈱万代の黒田久徳さん、
㈱タカキベーカリーの松本剛さん、
コーネル杯優勝の國分㈱千木良治さん、
㈱カスミの髙橋茂幸さん、
㈱国太楼の尾関篤さん。
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荒井先生と恭子夫人。
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第3期生からいつの間にか名付けられた愛称「顧問」。
㈱キョーエイの森雅之常務。
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高柳新社長と
みんなのアイドル「まっちゃん」はいい気分。
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左から㈱マミーマートの青木繁さん、
㈱ユニバースの三浦建彦さん、
㈱マルエツの釜萢直人さん。
いい笑顔だ。
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小売業も卸売業もメーカーも、
みな同級生。
㈱関西スーパーマーケットの岡秀夫さん(左)と
㈱伊藤軒の羽倉修一さん。
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なぜか日本人はVサインが好き。
三井物産㈱小林将人さんと
㈱シジシ―ジャパンの辻信之さん。
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よく飲んだ。
㈱ジョイスの阿部修さん(左から2人目)と
その隣で目を閉じ、陶酔気分の㈱よこまちの横町正俊さん。
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右から㈱紀ノ国屋の阿部智則さん、
㈱マルエツの本間正治さん、
やっぱり目を閉じている横町さん。
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満面の笑顔の事務局・太田美和子さんと㈱阪食の廣田亘さん。
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こちらは首絞め。これも楽し。
㈱ユニバースの長崎善人さんと
苦しそうな㈱ランドロームジャパンの村越淳司さん。
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まっちゃんを介抱する黒田さんと釜萢さん。
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居酒屋は50人が入り、貸切状態。
奥まった席の輪の中心には、㈱ラルズの松尾直人さん(右から2人目)。
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松尾さんと太田さん。 1と2で3? 3期生!
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席を変えて、あちこちで交流。
私の隣から㈱万代の山口成樹さん、
㈱いかりスーパーマーケットの行光恒夫さん、松尾圭祐さん、
尾関さん。
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行光さんと松尾さんも1と2と3期生!!
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3期生紅一点の髙木明子さんは、
まったくもってマドンナ的存在。
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なんだか、夜が更けるにつれ、
ふれあい度が増しているようだ。
昭和産業㈱藤原勇一さんの横には、
事務局の中間徳子さん。
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2期生で㈱義津屋の伊藤彰浩社長を横でにらんでいるのは、
おでことほっぺたにシールを張り付けた三井物産㈱小竹経一さん。
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私もしこたま飲んだ。
うれしい酔いだった。

最後に、荒井先生への寄せ書き贈呈。
一人一人が感謝をこめてメッセージを書き記した。

プレゼンテーターは福嶋繫さん。
第3期生の仕切り屋。
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本当に、いい一日だった。

「悲しみ」は「誰か」に、
癒してもらわねばならない。

「悲しみ」は、みんなで、
分け合いたい。

「喜び」も、みんなで、
分かち合いたい。


すべての人々に感謝しつつ。

<結城義晴>

2011年11月16日(水曜日)

「ライフコーポレーション創業50周年感謝の夕べ」で国士商人から知識商人へ託されたもの

日経新聞に早くも、
ファストフード3社のクリスマス対策の記事。

「家族客」を意識した新商品が共通の特徴。

昨日の七五三から11月23日の勤労感謝の日、
そして12月に入って、クリスマス、年末商戦まで、
「ファミリー客」が大きなトレンドとなる。

当然ながら東日本大震災後の人々のマインドが、
特に「家」「ホーム」に向くようになった。

しかし大震災があったから、
人々の目が「ホーム」に向いているというわけではない。

欧米でも、21世紀の小売業・サービス業の最大のコンセプトは、
「home ホーム」に向かっている。

アメリカでは食品マーケティング協会(FMI)が、1996年に、
「ホーム・ミール・リプレースメント」のコンセプトを出した。
「ミール・ソリューション」とも言った。

さて日本の2011年末クリスマスのファストフード。
日本ケンタッキー・フライド・チキンは、
「プレミアム ディナーセレクト」(3300円)を全店販売。
「五穀味鶏 ローストレッグ」の2ピースと石窯パン、レバーペーストのセット。

「家族客向けのちょっと高額商品」

予約受け付けも始めた。
12月23~25日に店舗で引き渡す。

日本マクドナルド「シャカシャカポテト」を復活販売。
これはバーベキュー味の粉末を振りかけて食べるポテト。

モスフードは菓子パンの新セットを12月16日に発売。
これはモスバーガーのキャラクター「モッさん」をあしらった商品。

日経の記事は3社を取り上げたが、
マックとモスはこじつけ記事の感がなくもない。
ケンタッキー・フライドチキンの「プレミアム ディナーセレクト」は、
「ホーム」コンセプトを強く出していると思う。

日経MJに面白い人事の記事。
「アークス、本社機能強化狙う」というタイトル。
業務改革室と社長室を新設する。

業務改革室長に三菱商事から峰松繁さん、
社長室長に三井物産から花牟礼真一さん。

この花牟礼さんは、コーネル・ジャパン「奇跡の第2期生」。
小売業やスーパーマーケットをしっかり勉強した商社マン。

ふたりとも出向の身分で期限は未定だそうだが、
㈱アークス横山清会長、ユニバースと統合したうえで、
ホールディングカンパニーの本部機能を充実させるために、
「商事と物産」の人間に競わせる作戦に出た。

小売流通業界に総合商社が暗然たる力を発揮している。
しかし小売り側からも商社マンを体内に取り込んで、
その能力を活用するという動きが出ている。
私は、とてもいいことだと考える。
ふたりとも会社の威信をかけて、
仕事に邁進するに違いない。

横山さんの、いい意味での「人たらし」ぶりがよく出た人事。
見事だなぁ。

花牟礼さん、峰松さん、
頑張ってください。

どちらも陰ながら、
応援しましょう。

さて昨日の七五三の日、
東京・帝国ホテル孔雀の間で、夕方5時半から、
「ライフコーポレーション
創業50周年感謝の夕べ」。

1300人もの業界関係者が参集し、
盛大な会合となった。

1956年(昭和31年)10月に、
清水商店の食品問屋業から貿易部門が分離独立、
「清水實業㈱」が設立された。
これが㈱ライフコーポレーションの母体となった。

それから50年。
ライフコーポレーションの2011年2月期は、
215店年商4865億円。

50周年の2012年2月期は、
224店年商5013億円。
5000億円の大台を計画し、達成は確実。
もちろん日本のスーパーマーケット業界第1位。

会場となった帝国ホテル孔雀の間には、
懇意の小売業トップ、たくさんのお取引先関係者が参集。

私もお祝いに参上して、
金屏風の前の清水信次会長に続いて、
岩崎高治社長と固い握手。
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会が始まって、冒頭に、
「50年の歩み」の映像が会場に流された。

1961年11月、大阪・豊中に、
スーパーマーケット第1号店を出店。
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関西を基盤に出店を続け、
1971年には東京に進出。

1990年代には怒涛の出店をやり遂げ、
1998年、3000億円を突破。
この時点で、日本一のスーパーマーケット企業となる。
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清水信次社長(当時)がイギリスを視察した際、
三菱商事の子会社プリンセス社長だった岩崎高治さんと、
運命的な出会い。
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会場の前のVIP席では、
㈱セブン&アイ・ホールディングス伊藤雅俊名誉会長と、
イオン㈱岡田卓也名誉会長相談役も映像に見入った。
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2006年、岩崎高治社長が就任し、清水信次さんは会長に。
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そしてこの日、創業50周年感謝の夕べ。
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はじめに清水会長からごあいさつ。
清水さんにはめずらしく、
「今日お配りする本にすべて言いたいことが書かれています」と、
短めのごあいさつ。

しかし清水さんの言葉の数々には、
戦後の焼け跡から甦った日本社会の次の時代を、
「若い人たちに託す」という強いメッセージが込められていた。
私は、清水さんの思いを受け止めて、
ひとり、感動した。
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来賓のあいさつのトップは麻生太郎元総理大臣。
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洒脱な挨拶は、一国の総理の重みを脱した一政治家の、
政治家としての能力を表していた。

お取引先を代表し、三菱商事㈱小林健社長。
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そして、岩崎高治社長のお礼の言葉。
冒頭で、清水会長夫人のご苦労をねぎらったうえで、
次の10年へ向けての抱負を簡潔に語った。
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岩崎社長のあいさつを見守る清水会長の姿が印象深かった。
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10年後の400店体制に向けて、
15の改革が12の課題に昇華され、
直実に企業体質が強化されている。

そのビジョンと政策の中身が、
淀みなく、もれなく、的確に語られた。
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私は、改めて岩崎さんの能力に舌を巻いた。

乾杯の音頭は、
日清食品ホールディングス㈱
安藤宏基社長・CEO。

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清水さんを「本物の国士」と称賛したうえで、
「1兆円のスーパーマーケット」をぶち上げて、
ライフコーポレーションの50周年を祝福。

国士とは「国家のために身命を投げ打って尽くす人物」。
清水さんは「国士商人」なのである。

そして「乾杯」。

乾杯のあとは、
会場を埋め尽くした人たちが一斉に移動して、
あいさつと懇親の大きな渦が出来上がった。

満員電車のような状態のなかで、岡田名誉会長。
オール日本スーパーマーケット協会・荒井伸也会長。
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㈱イトーヨーカ堂の亀井淳社長とイオン㈱岡田元也社長が懇談。
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岡田さんは、「左利き♪」。

その亀井さんと懇親。
ブログ・レビューの月刊『商人舎』のご愛読、感謝します。
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岡田元也さんと三菱食品㈱特別顧問の廣田正さん。
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㈱平和堂の夏原平和社長と三菱食品顧問の後藤雅治さん。
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三菱食品の中野勘治会長。
三菱食品は中野さんの号令一下、
幹部総出でこの会を支えた。
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㈱エコスの平富郎会長と平邦雄社長もお祝いに駆けつけていた。
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㈱ヨークベニマルの大高善興社長と固い握手。
東日本大震災後の店は絶好調だが、
原発問題との苦闘は続く。
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右は三菱食品の中嶋隆夫専務。

その中嶋さんには、今週18日金曜日に、
パネルディスカッションでパネラーをお願いしている。
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日本チェーンストア協会主催で、
「東日本大震災の課題と教訓」を語り合う。
もちろん私がコーディネーター役を務める。
成功を期して、ここでも固い握手。

㈱大創産業の矢野博丈社長CEO、
内藤雅義専務(左)、
そして三菱商事から大創産業CEOアドバイザーに就任した西田知之さん(右)。
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話題はゴルフに移り、
二人並んでシャドースイング。
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会場後方で目立たないようにしました。
ライフの皆さん、お許しください。
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写真はボケボケで失礼。

花王カスタマーマーケティング㈱の髙橋辰夫社長。
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いつもありがとうございます。

㈱伊藤園の本庄大介社長と本庄周介副社長。
先日行われた伊藤園レディースの話で盛り上がった。
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㈱テラオカの高野公幸社長と、
右は商人舎エグゼクティブ・プロデューサーで、
アドパイン代表の松井康彦さん。
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流通科学大学事務局長の岩谷堯さん(左)と森本哲司理事。
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日経新聞編集委員の田中陽さん。
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田中さんの鋭い切り口の記事。
いつもこのブログで取り上げさせていただいています。
さらに日経MJ編集デスクの白鳥和生さんと、
記者の大島有美子さん。
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中締めのあとに、50周年記念のマークを背景にして、
岩崎高治社長と㈱オークワの福西拓也社長。
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ライフコーポレーションの並木利昭常務。
この日も、会場運営から清水会長のサポートまで、
獅子奮迅の働き。
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誰よりも苦労を称え、、お祝いを申し上げたかった。

そして清水さんが、
日本スーパーマーケット協会を立ち上げた10年前、
ライフコーポレーションから出向し、以来、
事務局長を務める江口法生さん。
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最後の最後に、日本食料新聞社代表取締役社長の今野正義さん。
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私が手に持っているこの日のお土産、
『ライフコーポレーションの創業50周年記念誌』は今野さんの仕事。

この冊子に清水さんの「語りたかったことが書かれている」。

50周年は次の50年のためにある。
しかしその50年は、
全従業員がつくり上げるものだ。

「この一瞬の積み重ねこそ、
君という商人の全生涯」

これまでの50年は、
清水信次という「国士商人」の一瞬の積み上げだった。

これからは岩崎高治をはじめとする、
若い「知識商人たち」の一瞬の積み重ねである。

<結城義晴>

2011年11月15日(火曜日)

元禄時代の飴売り七兵衛の「千歳飴」と2011年末の「カット野菜」とウェグマンズの「Veggi Market」

今日11月15日は「七五三」
「しち・ご・さん」と読みます。
ちょっと、しつこいけれど。

その七五三につきものの千歳飴。
「ちとせあめ」と読む。
千歳の飴。

七五三の「子供の成長を祝う日」に、
親や祖父母が、子や孫に、
たとえて千歳までの長寿の願いを込めて、
この飴を食べて祝う。

だから細く長い飴。
直径は約15mm以内だが、
長さはなんと1m以内と決められている。

飴の色は紅白で、縁起色。
千歳飴袋も鶴亀や松竹梅などの縁起の良い図案。

この千歳飴、江戸の元禄時代に登場。
浅草の飴売り七兵衛が、長い飴を長い袋に入れて売り出した。
名づけて「千年飴」「寿命糖」。

どんな時代にも他者と異なる知恵を働かせる商人がいた。

それがやがて、
子供の成長を願う「七五三」の代名詞のようになって、
今日に至る。

小さな喜び、
ささやかな幸せ、
明日への希望。

それが飴になった。

さて、「明日への希望」と言えば、
日本のスーパーコンピューター「京」。
理化学研究所と富士通の共同開発。

スパコン世界性能ランキング「TOP500」で、再び首位。

史上初の毎秒1京回を超える計算速度を達成。
その数値は1京510兆回。

1兆は1億の1万倍、1京はその1兆の1万倍。

日本の科学技術力は、高い。
嬉しいかぎり。

中央演算処理装置を増設させて連結し、
前回の1.3倍の高速化に成功。

2位は中国、3位は米国。

実用化に関して富士通は、
「京」の改良版で、毎秒2京回の製品を開発し、
年明けの1月から出荷予定。

一方、アメリカのIBMも、
同性能の「セコイア」を2012年中に開発すると表明。
日本が中国、アメリカに追われるの図。
願わくば、政治もそうあってほしい。

その政治に関して、日経新聞のコラム『大機小機』。
コラムニスト夢風氏が、
「危険な『安全運転』」と題して書く。

タイトルがいい。
まさにオクシモロン。

「いまの世界には、共通した病理がある」

「経済がよくない、だから社会不安が高まる。
そこで政治はポピュリズムに走る」

「結果的に経済は良くならずに、財政悪化が深刻になる。
そしてますます、失業や格差といった社会不安が高まる」

「社会不安とポピュリズムの悪循環」。

「世界が注目しているのは、
この悪循環を食い止める強い政治リーダー」の登場。

ちなみにポピュリズムとは、
「情緒や感情によって態度を決める大衆を重視し、
その支持を求める手法
あるいはそうした大衆の基盤に立つ運動」

<『知恵蔵』より>

大阪市長選挙も告示され、
現職の平松邦夫と前大阪府知事の橋下徹の一騎打ち。
ここでもポピュリズムが顔を出す。

コラムニストは嘆く。
「これはもう民主主義そのものの危機になる」

今はむしろ、
『つらいかもしれないがこうしようではないか』と訴え、
国民を説得する点にこそ、リーダーの役割がある」

「野田佳彦首相は目下「安全運転」に徹し、
多くを語らない」

「首相にとっての安全運転は、
実は日本経済にとって非常に危険な運転」

コラムニスト、嘆くことしきり。

日曜祭日など、
高速道路をトロトロと超安全運転で走るドライバー。
後続車や回りの車をやきもきさせて、ストレスを募らせる。
「危険な安全運転」。

経営においても、同じことが言える場合がある。
会社が下降線をたどり続けているにもかかわらず、
なんらイノベーションに取り組まず、
従来通りの業務に終始する輩。

「危険な安全運転」に、
気をつけよ!

さてもう一つの話題。
日経新聞「消費」欄。
このコーナー、ときどきいい記事がある。
「カット野菜派、増える」

食品スーパーマーケットの店頭で、
この秋、カット野菜の売上げが伸びている。

直接の理由は、
9月10月の葉物類の卸価格の高騰。

生野菜の代替品として、
店側はカット野菜を提案した。
価格が安定しているからだ。

この時に購入した消費者が、
引き続き積極的に買い求めている。
記事はこんな分析をする。
背景には、便利さと安全性がある。
パッカーの努力で、
カット野菜工場のクレンリネスや製品の安全性は、
消費者にも浸透してきた。

もちろんあらかじめカットしてあるのだから、
便利な商品であることは間違いない。

1972年、現在の全米第1位のクローガーは、
はじめて「スーパーストア」を出店させ、実験を開始する。
日本では「スーパースーパーマーケット」と呼んだ。
その後、全米のスーパーマーケットは、
店舗の大型化と品揃えの深さを追求し始める。
いわゆる「デプス・アソートメント」。

それが成就するのは1980年代に入ってからだが、
そのプロセスのなかから、1970年代後半、
カット野菜が登場し始めた。

その後、1986年、
ウェグマンズが調理済み食品を扱う実験店を、
先行的にオープン。

1996年、食品マーケティング協会(FMI)が、
「ミール・ソリューション」のコンセプトを発表すると、
カット野菜も全面展開を見せ始める。

現在は、ウェグマンズ、ホールフーズといったアップスケールタイプはもちろん、
クローガー、セーフウェイのナショナルチェーン、
ウォルマートまで、カット野菜は当然の品ぞろえカテゴリーとなった。

アメリカでは小売りベースで、
3000億円を超える市場にまで成長した。

この傾向は、ヨーロッパでも同様。
こちらも1990年代中盤から伸び始めた。
マークス&スペンサー、テスコ、セインズベリー。
「生野菜を食べない」イギリスで800億円市場。

カルフール、オーシャン、カジーノなどの営業強化によって、
「食」にうるさいフランスで1000億円市場。

わが国においてもカット野菜産業全体で、
1000億円程度の規模があると思われる。
これらは農産物流通学研究室の廣津亜矢子さんの調査。

写真はホールフーズのカット野菜コーナー。
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パックと袋物のオーガニック。

カット野菜も充実。
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ウェグマンズは対面コーナー。
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「ベジー・マーケット」と名づける。
「Veggi Market」。

「Fresh cut & pre-washed」とある。
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まったくもって、一味違う「カット野菜」の売り方。

アメリカ人もヨーロッパ人も、
買って帰って再度、洗いはしない。
そのまま調理する。

だから日本以上に、本当の簡便食品。
よく売れる。

ついでにホールフーズのカット・フルーツ。
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日経の記事では、
日本のいなげやと東急ストアを取り上げる。

いなげやの11月1日から9日の直近のカットサラダ、
1パック98円程度の商品の販売額は前年比4%増。
いため物や鍋物向けのカット野菜180円前後の商品は6%増。

東急ストアの10月のカット野菜は、
販売量が前年同月比13%増、
売上高も同比12%増。

林廣美先生の口癖。
「カットするだけで売価3倍。
それが飛ぶように売れる」

カット野菜は生鮮野菜に比べ、
安いわけではない。
しかしあらかじめ商材を手当しておくので、
価格が安定している。

野菜相場が高騰すると、
この時点で、お買い得感が出る。

そのうえ、手軽に調理できる。
安全でもある。

11月から12月の年末商戦。
浅草の飴売り七兵衛のごとく、
「カット野菜」に一段の工夫をすれば、
必ず売れる。

林先生の言葉が響く。
「カットするだけで売価は3倍」
そのうえでお客様は喜んでくれる。

<結城義晴>

2011年11月14日(月曜日)

七五三とボジョレ・ヌーボー解禁の今週、プロ野球「経営評論家」坂井保之からドラッカーに至る

Everybody! Good Monday!
[vol46]

2011年第46週。
11月第3週。
最終52週まであと7週間。
カウントダウンは、「セブン~!」

今日の東京・横浜は、
この季節にしては、
驚くほど過ごしやすい。

しかし「常盤勝美の2週間天気予報」によると、
今週の「前半から半ばにかけて、
日本付近は冬型の気圧配置となる」

つまり上空にやや強い寒気が流れ込んで、
寒くなる。

それはそれで季節の変化で、
よろしい。

今週のイベントは、
まず明日の15日(火曜日)が七五三。
「しち・ご・さん」と読むように。
福岡の人たちも「ひち・ご・さん」ではありません。

七五三は、「子供の成長を祝う年中行事」。
いいですね。

男の子は3歳と5歳の年、
女の子は3歳と7歳の年に、
成長を祝って神社・寺などに詣でる。

確か女の子の7歳は、
小学校1年生で、
だから私たちの頃には、
七五三の日は女子だけ「学校を休んでよろしい」
といった了解があったように思う。

いまは知らないが。

もう、50数年前のことになるが、
でも、女の子がちょっとうらやましかった。

現在は親や子よりも、
ジジババのほうが張り切っていて、
しかもまだまだ若くて経済的にも豊かな団塊ジジババで、
だから「一点豪華・よりどり選択的」な七五三になるのだろう。

それはそれで、良しとしよう。

昨日、一昨日の日曜・土曜から、
そんなことが進んでいて、
団塊ジジババは元気いっぱいのことだろう。

それから今週木曜日の17日は、
「ボジョレ・ヌーボー解禁日」。
午前0時から始める店もあって、
この日の深夜はなんだかワクワクする。

私もこのワクワクに参加したいものだ。

週末ではなく、
週中にこういった催しがあるのは、
悪くないと思う。

「何でもかんでもウィークエンド」なんて、
つまらない。

しっかり仕事して、そのうえで、
七五三やボジョレ・ヌーボー解禁を楽しむ。

それがいと思う。

さて、私の今週。
結構、忙しい。

月曜日の今日は夕方から、
立教大学大学院サービス・マーケティングの講義。
「クレド」の発表です。
みなさん、よろしく。

火曜日の明日は夕方から、
「ライフコーポレーション50周年記念感謝の夕べ」。
帝国ホテル孔雀の間で開催される。
清水信次会長にとっては、
格別のものだろう。

大正15年生まれの清水さん。
話題の渦中にある渡辺恒雄読売巨人軍会長と同い年。
ちなみに亡くなられた渥美俊一先生も、
同年の大正15年生まれ。

ナベツネ氏と同じ東京大学卒業。
渥美先生は法学部、ナベツネ氏は文学部哲学科。
同じように読売新聞に入社し、
渥美先生は「商店のページ」を担当して、
流通業界に大義を見つけた。

ナベツネ氏はジャーナリズムに身を置いた。

清水さんは商売に生き方を見出した。

今日明日の段階では、
清水・渡辺、
明暗くっきりといったところ。

比較する意味もないが。

水曜日・木曜日は、
コーネル大学リテールマネジメントプログラム・オブ・ジャパン、
最後の補講。

第3期生が参集して、
サミット ミナノ分倍河原店で、
レイバースケジューリングの実習。

コーネル・ジャパンで最も人気のある講座のひとつ。

今年で最後になるが、
サミット㈱の皆さんには、
田尻一社長以下、
大変お世話になった。

心からお礼申し上げたい。

金曜日は、
日本チェーンストア協会主催のパネル・ディスカッション。
16時~17時30分まで、東京・八方園。

タイトルは「東日本大震災からの教訓と課題」

私がコーディネーターで、パネラーは、
㈱イトーヨーカ堂取締役専務執行役員・竹田利明さん、
三菱食品㈱取締役専務執行役員・中嶋隆夫さん、
そして日清食品㈱代表取締役社長・中川晋(すすむ)さん。

そう小売業、卸売業、製造業の代表がパネラーで、
東日本大震災のときの活動を報告し、
今後の対応を提案する。

協会関係者の皆さん、
是非、ご参加ください。

そして土曜日は、
立教大学が入試のためキャンパスに入れず、
結城ゼミは中止。

その代り、「二人のビッグショー」のリハーサル。
これをやっておかないと、
とんでもないことになる。

さて、今日は新聞休刊日。
それでもテレビなど、朝から喧しい。

ライフコーポレーション清水さんと同年の渡辺恒雄球団会長と、
読売の独裁者に楯突いた清武英利球団代表のニュース。

「プロ野球日本シリーズの直前に、
こんなことをぶち上げてけしからん」と、
どの番組もいいながら、
このニュースを丁寧に、面白おかしくいじくる。
それでいて、昨日、この日本シリーズに、
中日ドラゴンズが二連勝したニュースは、
どこへやら。

朝日新聞編集委員の西村欣也をはじめ、
硬派のスポーツジャーナリストの二宮清純など、
そうそうたる顔ぶれがこの事件にコメント。
しかし、私は坂井保之が秀逸だと思った。

坂井は、ロッテオリオンズ、西武ライオンズ、
そして福岡ダイエーホークスで球団代表を歴任。
オリオンズでは東映の永田雅一、
ライオンズでは西武鉄道グループの堤義明、
そしてホークスではダイエーの中内功。
それぞれ一癖二癖あるオーナーたちに対して、
球団代表として対等にやりあった。
結果として、米国メジャー・ベースボール方式の経営改革を、
日本プロ野球においてやり遂げた。

日本野球機構でも要職を務め、
現在、プロ野球経営評論家。
プロ野球の「経営」評論家というところがいい。

坂井の見解は、一言でいえば、
「ゼネラルマネジャーの役割を、
明確にせよ、強化せよ」

ここでピーター・ドラッカー先生。
「マネジメントの三つの役割」
①自らの組織に特有の使命を果たす。
②仕事を通じて働く人たちを生かす。
③自らが社会に与える影響を処理するとともに、
社会の問題について貢献する。

ナベツネもキヨタケも、
どちらもマネジメントである。

この三つの役割を反芻すべきだろう。

そしてもう一つ「組織づくり」。
「あらゆるマネジャーに共通の仕事は五つである」
①目標を設定する。
②組織する。
③動機づけとコミュニケーションを図る。
④評価測定する。
⑤人材を開発する。

ドラッカー先生は強調する。
「人は、企業の所有物ではない」

ずいぶん寝たのに、
時差ぼけが治らず、
5時くらいから目が覚めて、
朝のニュース番組を梯子した。

そしてやはり坂井保之からドラッカーに至る。

朝早く起きた分だけ、
この気持ちが強まった。
朝に希望、
昼に努力、
夕に感謝。

今月の商人舎標語。

では、みなさん。
Good Monday!

<結城義晴>

2011年11月13日(日曜日)

ジジと久しぶりのサム君[2011日曜版vol46]

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おとうさんがかえってきてから、
1週間が、すぎていきました。

このところ、
よく、ねています。
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ボクではありません。
おとうさん。

ボクもぐっすり、
ねむりますが。
20111113120837.jpg

つかれをとるには、
ねるのがいちばん。
20111113120825.jpg

「秋の夜長」などと、
いわれます。
20111113120807.jpg

ということで、ちょっと、
おちついた日々。
20111113111829.jpg
ところで、おうちのリフォームがおわって、
ちょっとかわったことがあります。

サム君です。
20111113111851.jpg

まどのそとに、
います。
20111113111945.jpg

まえは、うちのなかの、
チェンバロのところにいました。

でも、いまは、
まどのそと。

ベランダのところ。
20111113112030.jpg

なんだか、さみしい。
20111113112200.jpg

でも、サム君のかおつきは、
かわりません。
20111113112315.jpg

まいにち元気に、
ナマごみをたべています。
20111113112419.jpg
サム君は環境ロボット犬。

外はさむいけれど、
やねがあって、
雨にはぬれません。
20111113112439.jpg

い~ぬはよろこび
にわかけまわり♪
ね~こはこたつで
まるくなる♪

20111113112453.jpg

そんなかんじのサム君とジジです。
20111113112506.jpg
これで、年末やお正月をむかえます。

よろしく。

<『ジジの気分』(未刊)より>

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