結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2025年05月17日(土曜日)

ウォルマート「トランプ関税値上げ」始まる

「ウォルマート値上げへ」
日経新聞のアメリカからの報告。
ニューヨークの朝田賢治さんと、
ワシントンの高見浩輔さん。

とうとう来たか。
そんな感じ。

アメリカ最大の小売業で世界最大の小売業。
アメリカ最大の企業で世界最大の企業。
アメリカ最大の中国からの製品輸入企業で、
世界最大の中国からの製品調達企業。

5月下旬から値上げする方針を表明。
もちろん理由は「トランプ関税」

その影響を受けた商品が5月から店頭に並ぶ。

仕入れ原価が急騰したら、
当然、売価に反映させる。

ウォルマートのジョン・レイニー最高財務責任者(CFO)
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「5月の終わり頃から値上げする可能性がある。
6月にはさらに価格上昇が顕著になるだろう」

ウォルマートの第1四半期決算。

商人舎流通SuperNews。
ウォルマートnews|
第1四半期1656億ドル、2.5%増/eコマース堅調で黒字化

年度決算が1月末なので、
2~4月期の営業状況。

営業収益は1656億0900万ドル、
1ドル150円換算で24兆8414億円、
前年同期比2.5%増。

営業利益は71億3500万ドル、
1兆703億円、4.3%増。
営業利益率4.3%。

純利益は44億8700万ドル、
6731億円でこちらは12.1%減。

四半期だけで約25兆円の売上高。
それを2.5%伸ばした。
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米国内の事業は総売上高1121億6300万ドル、
0.3%のマイナス。

営業利益は57億ドル、マイナス17.5%。

既存店売上高はガソリン販売が足を引っ張ったが、
商品売上高は4.5増。
客数は1.6%増、客単価は2.8%増。

この第1四半期決算には、
トランプ関税発動によって、
消費者の駆け込み需要が発生した。

だから既存店売上高は4.5%増。
この数値は日経の記事とは違うが、
直接当たって確かめた。

ダグ・マクミロンCEO。
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「(対中関税率が)軽減されたとしても、
関税率は以前より上昇する。
値上げにつながる」

それがレイニーCFOの発言となった。

米国商務省の4月の小売売上高。
関税の影響が消費に出ることを予見させる。
季節調整済みの前月比で0.1%増。
伸び率は縮小した。

国内総生産(GDP)算出に使われる小売業数値は、
0.2%の減少に転じた。

インフレとトランプ関税のダブルパンチのなか、
ウォルマートはエブリデーロープライスを堅持し、
中低所得層の支持を得た。

さらに一部の高所得者をも獲得し始めた。

ウォルマートが値上げすれば他社も追随する。
それは米国全体の国民支出にブレーキをかける。

米国の雇用や所得は堅調。
消費はまだ大崩れを見せてはいない。

非農業部門の就業者数は2~4月、
月平均で15.5万人も増えている。

米国連邦準備理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長。
アメリカ経済は「堅調なペースで拡大を続けている」
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パウエル議長は利下げを急いではいない。

しかしトランプ関税によって、
確実に企業の景況感は悪化している。

関税の影響が雇用環境に波及すれば、
GDPの7割を占める個人消費の勢いはそがれる。

一方、大統領のドナルド・トランプ。
SNSで発信するところが卑怯だと思うが、
ウォルマートを批判した。
「ウォルマートは関税を受け入れるべきだ。
一切売価に転嫁すべきではない」

これはマクミロンに対するプレッシャーとなる。

「チェーン全体で価格を上げる理由を、
関税のせいにするのはやめるべきだ」

関税分を飲み込んで、
自社の努力で売価を維持せよ。

これは見方によれば、
優越的地位の乱用だ。

パウエル議長に対しても、
批判の矛先を向けている。
「パウエルは利下げが遅すぎることで
伝説になっている男だ」

自分のことばかり考えて焦りまくっているが、
それは何より米国民の生活を苦しめている。

世界の人々の暮らしに暗雲をもたらす。

ダグ・マクミロンには、
いつも顧客のほうを向いて、
トランプに対しては、
毅然としていてほしいものだ。

〈結城義晴〉

2025年05月16日(金曜日)

アートとエンタメの「オメガ・マート」体験記(In Las Vegas)

第13回商人舎Basicコース研修会。
無事終了して、全員が会社に帰っていった。
成果が報告されるのが楽しみだ。IMG_3294 (002)

みんなの顔を見てください。
自信と希望にあふれている。

最終日に総括講義をした後は、
「自由研修」の時間。
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私たち事務局が行ったのは、
「オメガ・マート」
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アートとエンタメの複合施設「エリア15」

その核店舗がOmega Mart。
2021年2月18日開業。
双方型・没入型アートスペース。

開業から1年で100万人以上が訪れた。

主体となっているのが、
”Meow Wolf(ミャオ・ウルフ)”。
Meowは英語の猫の鳴き声。
Wolfはオオカミ。

ニューメキシコ州都のサンタフェを拠点に、
7人のアーティストによって創設された。
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左からショーン・ディ・イアンニ、
マット・キング、コーバス・ブリンカーホフ、
エミリー・モントーヤとケイティ・ケネディ、
ベンジー・ギアリー、ヴィンス・カドルベック。

彼らが手掛けたアートスペースの核店は、
スーパーマーケットだ。

三角形の入り口。IMG_3081 (002)

両サイドに赤い獅子が立つ。IMG_3082 (002)

宇宙船に乗り込むような入り口。IMG_3083 (002)

エリア15の中は暗い。 IMG_3084 (002)

現代アート満載。IMG_3088 (002)

「オメガ・マート」は、
ミャオウルフの2つめの展示作品だ。

展示会場は2階建てで、
2つの施設が設定されている。
架空のスーパーマーケット「オメガ・マート」と、
その親会社の「ドラムコープ(Dramcorp)」。

こんなエンターテインメントに、
スーパーマーケットが選ばれた。
それがちょっと誇らしい。

4つのテーマ状況があって、
60以上の作品が展示されている。

第1がドラムコープ社の、
フラッグシップスーパーマーケット。
第2がドラムコープ社のオフィス。
第3が「The Factory」でドラムコープの工場。
第4が「The Projected Desert」(プロジェクトデザート)。
工場が建つ砂漠の村が”セブンモノリスビレッジ”。

エリア15のなかのオメガ・マートの入り口。IMG_3094 (002)

画面に打ち込んでチケットを買う。
大人は65ドル。シニアは50ドル。IMG_3099 (002)

入り口には店員が立っている。IMG_3103 (002)

来場者は店内に入って、
探検しつつ物語を体験していく。

制作には3年が費やされた。
地元ラスベガスと海外から、
325人以上のアーティストや、
クリエーター、ミュージシャンが参加した。

一丁目一番地。IMG_3104 (002)

左手を見るとサービスカウンター。IMG_3105 (002)

本物のスーパーマーケットそっくりの店内。 IMG_3110 (002)
架空のドラムコープ社は1977年創立の同族企業。

食品、旅行、医療、エンターテインメント、
さらに調査、研究、生産、教育など、
多方面に事業を展開する巨大企業。
左がセシリア・ドラムCEO、
右が創業者のウォルター・ドラム前CEO。
ウェグマンズのコリーンとダニーのようだ。IMG_3107 (002)

1968年、ウォルターが22歳のとき、
出場したポーカー大会で、
潰れそうなコンビニを賞品として獲得した。
それがオメガ・マートに成長した。

顧客にとって本当に便利な店をつくるため、
オメガマートは旧来の方法を刷新して、
「アメリカで最も優れた食料品店」と称される。

それ以来、成功が続いて、
ウォルターはドラムコープを創業。
巨大企業に成長させた。

セシリアはウォルターの娘で、
マリン・ドラムの母。

父のウォルターが実は失踪している。
その父に代わってCEOに昇格した。

ウォルターの行方はわからない。
孫娘のマリンも行方不明。

このミステリーが、
オメガ・マートを巡る間に、
さまざまな展開を見せる。IMG_3106 (002)

ハウスホールド売場。IMG_3109 (002)

エンドはブリーチの2色陳列。IMG_3111 (002)

天井は最新のスケルトン。IMG_3112 (002)

時計回りのコンコースで、
左手がプロデュース部門。IMG_3124 (002)

ナゲットマーケットのような美しさ。IMG_3115 (002)

パプリカとキューリ。 IMG_3117 (002)

100以上のヘンテコな商品が開発された。
ダイコンは29.99ドル。IMG_3118 (002)

先が割れたダイコンは平台陳列もされている。 IMG_3114 (002)

孫娘マリンの映像。
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アボカドはチャックがついた小銭入れ。IMG_3122 (002)

開発されたアイテムが並ぶ。
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青果の次は突然、アウトドア売場。IMG_3129 (002)

そしてガーデン売場。
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その奥のトンネルを入って行くことができる。IMG_3130 (002)

するとバックには、
砂漠の村”セブンモノリスビレッジ”が現れる。IMG_3131 (002)

不思議な村だ。
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次々にアート空間が登場する。
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迷路となっていて、どこにいるかわからない。
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売場に戻る。IMG_3133 (002)

モニターには従業員の情報が出ている。IMG_3135 (002)

エンドはシャツでゴンドラにはノンフード。IMG_3136 (002)

スナック・キャンディーのアイル。IMG_3138 (002)

プロモーションコーナー。
真ん中の平台には、
タトゥー(入れ墨)の入ったチキン。 IMG_3139 (002)

ドリンクコーナー。
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そのリーチインケースを開くと、
奥に入って行ける。IMG_3141 (002)

ゆがんだドリンクが並ぶ。
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その奥にはビレッジがある。

奥壁面のデアリー(乳製品)売場。IMG_3144 (002)

エンドはCAGE FREE TOES。
ファーム・フレッシュ。
フック陳列はサンダル。
ゴンドラアイルには、
「Buy 1 Get1 Free」のPOP。IMG_3145 (002)

通路は広い。
そこにアイランド陳列が施される。IMG_3147 (002)

キャンベルスープのアイランド。IMG_3148 (002)

対面方式のミート売場が凄い。IMG_3149 (002)

上段にコールスローサラダとチキン。
下段にハム。
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オメガ・マートの売り物タトゥー・チキン。IMG_3151 (002)

USDAマークが入ったハム。
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右のハムの切り口には、
ダビンチの「モナリザ」と、
ムンクの「叫び」の図柄が入っている。 IMG_3153 (002)

コスメコーナーには、
バーチャルメイクのシステムが入る。
鏡に顔を近づけるとメイクした自分が映る。
鏡は顔認識システムを使用している。IMG_3154 (002)

著名なナショナルブランドをもじったアイテム。IMG_3155 (002)

この売場の隙間を抜けられるようになっている。
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入って行くと、ドラムコープ社の工場がある。
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巨大な工場は2階まで続く。
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工場ではさまざまな商品が製造されている。
そのラインもアートだ。IMG_3173 (002)

ここがラスベガスであることを忘れてしまう。
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2階はドラムコープ社のオフィスだ。
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もちろんデスクもある。
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オフィスでは、
ホスピタリティ教育のビデオが流されている。
顧客の表情を読み取る。IMG_3194 (002)

フロアにトラブルが発生したらどうするか?IMG_3196 (002)

もう、わけのわからない鏡の空間。IMG_3190 (002)

売場に戻ると最後はファーマシー。IMG_3199 (002)

円形の柱回りのTシャツ売場。IMG_3157 (002)

最後にチェックスタンド。
Tシャツがずらりと品揃えされている。
これはそのまま買うことができる。IMG_3156 (002)

2時間近くも迷路を歩いた。
売場はわかりやすくて安心する。
オメガ・マートの出口を出てきた。IMG_3203 (002)
ラスベガスを訪れたら、
時間をつくっていってみてください。

それにしてもスーパーマーケットが、
アートとエンターテインメントになる。

新しいフォーマット創造のヒントになるか‽
(ご愛読を感謝して、ラスベガス研修記を終わります)

〈結城義晴〉

2025年05月15日(木曜日)

ヤオコー&バロー決算説明会の「1兆円ポジティブ志向」

帰国して、時差ボケ。
これから1週間くらい、
ボーっとしていると思う。

商人舎オフィスに出たら、
月刊商人舎5月号が届いていた。

手に取って、頬ずりしたいくらい。
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ラスベガスでも毎日、スクワットをした。IMG_3287 (002)

1セット50回に増えた。IMG_3288 (002)
これを1日に最低1回、
できれば3回やる。

余裕ができたら1回のセットを増やす。
100回セットを朝、昼、晩と3度やりたい。

ラスベガスでもやった。

最終日はいつも郊外の日本料理店「市座」。
タクシーを待つ間に50回。IMG_3289 (002)

さて渡米中に注目2社の決算説明会。
山本恭広編集長が取材して報告してくれた。

ともに売上高1兆円を視野に入れている。

5月12日(月)が、
㈱ヤオコー
会場は東京都中央区のベルサール八重洲。yaoko-ir

2階の会見場には約50人の記者が集まった。
説明者は川野澄人社長と、
上池昌伸専務取締役管理本部長。

2025年3月期決算は、
営業収益7364億円、前期比18.9%増。
営業利益334億円、13.9%増、
経常利益326億円、12.8%増、
純利益202億円、10.6%増。

単体では36期連続の増収増益。

月次既存店売上高の昨年対比の推移では、
日本スーパーマーケット協会の平均値を、
常に3~4%上回る。

既存店の好調ぶりは突出している。yaoko-ir1

前期のテーマは「価値に集中する」
具体的には3つの政策に取り組んだ。

①各部の価格政策
②生鮮の改善
③米不足への対応

とくに③について川野社長は語る。
「バイヤーの稲作体験など、
産地との関係づくりを継続してきた。
それが供給面にも貢献した」
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次期の課題も3つ挙げた。
①生鮮でまだ勝ち切れていない。
②カイゼン・育成が不十分。
③働きやすさの実現。

①の生鮮食品の競合相手として、
ロピアと生鮮市場TOPの具体名を挙げた。

「南北政策」に関しては、
首都圏の南北の地域市場の違いを説明した。
南は共働きが多く、
賃金増の恩恵を受ける世帯が多い。
北は高齢者や年金生活者が多く、
所得の伸びが見込めない。

既存店伸び率でも3%ほど開きがある。
これを川野さんは「南北格差」と表現して、
しっかりと対応する。

ヤオコーは10月から、
ホールディングス体制に移行する。yaoko-ir2

社名は「ブルーゾーンホールディングス」。
ヤオコーを親とした従来の親子関係から、
ホールディングスの下に、
ヤオコー、エイヴイ、せんどうなどが、
兄弟関係となって協力する。

いよいよ、
「500店舗 売上高1兆円」が視野に入る。

「ブルーゾーン」の名称は、
ブルーオーシャン戦略なのかと思ったが、
実は違っていた。

「100歳の人が多く暮らす、
世界5カ所の長寿地域からとった」と、
川野社長は説明した。

イタリア・サルディーニャ島、
アメリカ・カリフォルニア州ロマリンダ、
コスタリカ・ニコジャ半島、
ギリシア・イカリア島。
日本では沖縄がブルーゾーンだ。

澄人さんは100歳の世界を目指しているのか。

川野澄人さんは初めてテレビに出る。
日曜日朝7時半のTBS「がっちりマンデー!!」
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新しい素顔が見られる。
楽しみだ。

一方、5月14日には、
㈱バローホールディングス。
決算説明会の会場は、
東京都中央区日本橋の兜町平和ビル。
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2階の会場には約20人の記者が集まった。02_valor-irroom

出席者は二人。
小池孝幸社長と、
篠花明常務取締役管理本部長。

最初に篠花本部長から業績の説明。03valor-shino

営業収益8544億円、前期比5.8%増。
営業利益232億円、1.5%増、
経常利益262億円、2.2%増、
純利益137億円、14.3%増。

営業収益は30期連続の増収。
純利益は過去最高。

ヤオコーほどではないにしても、
高いレベルの増収増益だ。

けん引役はスーパーマーケット業態である。
売上げで56%、営業利益で84%を占める。
ドラッグストア業態とホームセンター業態は、
増収したものの減益。
販管費や投資分を吸収できなかった。

2026年3月期は、
業績を営業収益9020億円にもっていく。
27年3月期には1兆円か。

スーパーマーケットは、
関西と関東への出店を加速する。
ドラッグストアは、
生鮮食品と調剤を強化する。

続いて小池社長が、
グループ戦略を説明した。
2023年8月に、
田代正美社長(現会長)の後任として、
取締役社長に就任。
1972年生まれの52歳。04valor-koike1

グループの成長戦略で、
核になるのはスーパーマーケット事業だ。

1店舗当たりの売上高向上にこだわる。
そのためにグループシナジーを活用する。

愛知県稲沢では複合施設が大ヒットした。
ホームセンターとスーパーマーケットを核に、
BBQ施設、農園、スイーツ工房、
さらにドッグランを組み合わせた体験型施設だ。valor-ir

話題となっている関東出店については
「全く未知の領域ではない。
すでにホームセンター、ペット事業で、
180億円の売上げをもっている」
自信を見せる。

すでに「バロー横浜店」(仮称)では、
社員募集を始めている。

この店はヤマダ電機の撤退跡に出店する。
5月11日閉店のテックランド横浜本店(戸塚)だ。

ヤマダにとっては狭いけれど、
バローにとっては十分な物件だ。

バローも1兆円に向けて、
ポジティブ志向だ。

川野澄人さん49歳、
小池孝幸さん52歳。
若い経営者による積極政策、
業界に新しい局面が到来している。

〈結城義晴〉

2025年05月14日(水曜日)

第13回米国ベーシック研修終了、帰国しました。

第13回商人舎US Basic Course研修会
5泊7日のラスベガスでの勉強。

無事終了して、帰国しました。
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ありがとうございました。

ずいぶん、いろいろと語ったけれど、
振り返ってみると、あっという間でした。

このブログですでに2回書いた話。

むかし、昔。その昔。

太陽と月と雲が、
一緒に旅をした。

宿に泊まって、朝、
雲が目覚めてみると、
太陽と月はすでに、
出発していた。

雲はしみじみと、言った。
「月日のたつのは、早いものだ」

宿の主人が、雲に聞いた。
「お客さんはいつ、ご出発で‽」

雲は答えた。
「私は、夕立です」

私たちは午前3時半にホテルロビーに集合して、
バスに乗り込んだ。

バスの中で最後の講義。

「イノベーションとは、
顧客にとっての価値の創造である」

「それは科学的・技術的重要度ではなく、
顧客への貢献によって評価される」

だから、
「イノベーションの必要性を最も強調すべきは、
技術変化が劇的でない事業においてである」

小売業、製造業、卸売業の現場こそ、
小さなイノベーションが貴重なものとなる。

最後のメッセージは、
「自ら、変われ!」

自分が変わらねば、
仲間を変えることは出来ない。
自分が変わらねば、
職場を変えることは出来ない。
自分が変わらねば、
店を変えることは出来ない。
自分が変わらねば、
会社を変えることは出来ない。

私自身の実感だ。
商業界から商人舎へと変わって、
ほんとうに良かった。

それまでの仕事を一切止めて、
まったく新しいことを始めた。

自ら、変われ!

それは誰にも可能なことだ。

ラスベガス空港に着いた。
まだ星が出ていた。IMG_3206 (002)

ガランとしたロビー。IMG_3207 (002)

4時からチェックインが始まった。IMG_3208 (002)

私は椅子に座って、
パソコンを開けて仕事。IMG_3291 (002)

「キューティー」こと上松磨代さんとお別れ。IMG_3292 (002)

㈱ユーラス生鮮部部長の持田将さんは、
この後シアトルに向かう。
アメリカンチェリーの買い付け。
頑張ってほしい。IMG_3293 (002)

最後の写真指導。
スマイルをお願いした。
ラスベガスでは「Money!」と言う。
ネバダ大学のライト教授から教わった。IMG_3295 (002)

Money!!
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モノレールに乗って、
さらに長いながいエスカレーター。IMG_3210 (002)

出発ゲートの「Las Vegas」のネオン。IMG_3214 (002)

ここにもスロットマシンが並ぶ。IMG_3213 (002)

乗り込むと日が昇り始めた。IMG_3215 (002)

大きな街になった。
まだまだ発展している。IMG_3220 (002)

上空から見るとやはり砂漠だ。IMG_3225 (002)

40分ほどでカリフォルニア。
緑が見えてくる。IMG_3228 (002)

そして大ロサンゼルス。
「大」をつけてふさわしいのは、
「大ロンドン」とこの「大ロサンゼルス」だ。
ニューヨークにもパリにも「大」は似合わない。IMG_3230 (002)

フリーウェイが走る。IMG_3233 (002)

ロサンゼルスならではの高速道だ。IMG_3235 (002)

そしてロサンゼルス国際空港。IMG_3236 (002)

東京からラスベガスへの直行便がない。
だから行きはサンフランシスコ経由、
帰りはロサンゼルス経由。IMG_3239 (002)

降り立ったゲートの隣が出発ゲート。
そこで最後の説明。IMG_3243 (002)

佐藤公彦添乗員。IMG_3244 (002)

JTBきっての「カリスマ佐藤」
私のツアーには必ず同行してくれる。IMG_3247 (002)

ゲート前で大阪屋ショップのお二人。
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私の隣から荒井雄太さんと清水英之さん。

すぐに太平洋上空だが、
15分ほどで再びアメリカ大陸が見える。
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そのあとはずっと雲の上。IMG_3251 (002)

今回はパソコンは開かず、
映画を見て、食事をして、眠った。
よほど疲れたのか。

11時間後に犬吠埼が見えた。IMG_3261 (002)

そして千葉県上空。IMG_3270 (002)

日本も夏だ。
積乱雲。
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その下に東京湾が現れた。IMG_3273 (002)

TOKYO Bayは静かだった。IMG_3275 (002)

羽田に近づいた。IMG_3276 (002)

タンカーが波をきる。IMG_3277 (002)

そしてランディング。

このユナイテッド機にお世話になった。IMG_3279 (002)

バッゲージクレイムまで歩く。
アメリカもクレンリネスにはうるさいが、
日本の清潔感は世界でも飛びぬけている。
誇らしいと思った。
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荷物を受け取った人から、
ばらばらに解散。
お別れの握手をした。

仕事に戻ってからの成果を期待したい。
そのために「自ら、変われ!」

リムジンバスで横浜へ。
ベイブリッジは美しい。
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最後にマリンタワーが見えた。
1961年に建設、開館した。
高さ106m。

私は開館の年、小学生。
歩いて展望台まで登った。IMG_3285 (002)
帰ってきました。

お疲れ様、
ありがとう。

月日が経つのは早いけれど、
自ら変わることは、
気持ちがいい。

お願いします。
みんな、頑張って。

〈結城義晴〉

2025年05月13日(火曜日)

米国Basic研修の調査発表&表彰式と総括講義

Everybody, Good Monday!
[2025vol⑲]

2025年第20週。

日本ではもう火曜日だけれど、
アメリカはまだ月曜日。

だから、
Good Monday!

2025年も、もう20週。
早いものだ。

ラスベガスにやって来て5日目。
ここまで来ると、
さらに時間は速く過ぎる。

いつものように朝8時に集合。
4回目の最後のセミナー。

団員たちは8班に分かれて、
2日目と3日目の視察店で商品調査をした。

今朝はその発表。
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先頭を切って手を挙げたのが、
精肉担当のD班。
サーロインステーキを調査した。
調査結果をPF(Price Facing)グラフに起こして、
各社の商品戦略を分析、発表する。IMG_5399

D班はさらに鶏卵も調査。
日本のスーパーマーケットで、
事前に卵の調査をしてきた。
それを活用した多角的な分析だ。
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発表が終わると、
他の団員からの質問が飛ぶ。IMG_5404

私も質問をしたり、
補足の解説をしたりする。
これを8班すべてで行う。IMG_5405

2番手はG班のデアリー調査。
1ガロンの牛乳(ホールミルク)の品揃えを調査した。
各社の戦略が鮮明にPFグラフに出た。IMG_5408

ベイクドグッズ担当のF班は、
ベーグルをテーマにした。
コストコでは品揃えしていない。
そんな、調査結果を報告。IMG_5410

H班は冷凍食品の中から、
冷凍フライドポテトを選定して調査した。
その結論をアナログの手書きスタイルで示して、
意外な評価を得た。IMG_5414

ここでも鋭い指摘や質問。IMG_5415

デリ担当のE班はポテトサラダを選んだ。
サラダの中で最もポピュラーなカップサラダだ。IMG_5416

テキストの地図を使って、
パワーポイントで解説する。IMG_5418

A班の加工食品チームはケチャップを調査。
作表もプレゼンも全員出場で、
しかも鋭かった。
IMG_5426

ノンフードを担当したのはB班。
4歳児サイズのベビーオムツを調べた。
調査も分析も良かった。IMG_5431

最後の発表は、青果のバナナを調べたC班。IMG_5432

凝ったプレゼン資料だったが、
トラブルもあって、
他チームの力を借りながらの発表。IMG_5433

すべての発表が終わると、
私と事務局とで議論して、
1・2・3位を決めて発表する。

その前に理解度判定テストの優秀者を発表。IMG_5437

6人が85点以上を採った。
私の隣の出口さんは100点満点だった。
㈱プラネット勤務。
レンゴー㈱の清水勇輝さんは95点。
頼もしい20代だ。
全員に月刊商人舎の年間購読をプレゼント。IMG_5466

そして商品調査&戦略分析では、
3位チームがデリのE班。
賞品はトレーダー・ジョーのハンドクリーム。IMG_5481

2位は精肉担当のD班。
賞品はトレーダー・ジョーの日焼け止めスプレー。
これ、ゴルフの時に私も愛用。IMG_5496

ファンファーレがひときわ高鳴るなか、
1位はケチャップを調べたA班加工食品チーム。

私の著書『チェーンストア』を贈呈。

両手を高らかに挙げてバンザーイ。
おめでとう‼
IMG_5509

今年は各班が、
それぞれの部門の主力商品に挑戦した。
脇役商品の調査では、
歪(いびつ)な結果が出ることがある。
しかし米国チェーンストアは、
主力商品では間違いを起こさない。

結果としてマーケットリーダーと、
マーケットチャレンジャー、
そしてニッチャーのポジショニング戦略が、
実に鮮明になった。

ボンズの凋落ぶりは、
全カテゴリーで証明されてしまった。

ウィンコフーズの健闘が光った。

発表のあとは改めて、
商品調査における注意点や戦略的な視点を解説。IMG_5514
視察だけではどうしても論理的な戦略論に偏る。
商品調査をすることで、実務と戦略の距離が、
近づいて、身のある勉強ができる。

この調査結果は全員に共有される。

すべてのチームに拍手を送りたい。

発表から表彰まで、
予定の時間をオーバーしたので、
総括講義は30分。
IMG_5526

あらためて米国チェーンストアの理念を確認。
ウォルマートの基本哲学。
“サムの10ルール”

創業者サム・ウォルトンが残した十訓。
OIP (5)
1.自己の仕事に献身・専心せよ

2.世間に逆流・逆行せよ

3.顧客の期待を超越せよ

4.競争相手よりも経費を管理せよ

5.自分たちの成功を祝福・賛美せよ

6.従業員の意見を傾聴せよ

7.パートナーと意思を疎通せよ

8.パートナーの意欲を向上させよ

9.従業員と利益を共有せよ

10.従業員の仕事すべてを評価・感謝せよ

前の5訓が、
「店が客のためにあって、成功する法」
うしろの5訓が、
「店員とともに栄える法」

サムと倉本長治はつながっている。

さらにサムの「小さく考えよ」

1.ひとつずつ考えよ

2.意思疎通せよ!意思疎通せよ!意思疎通せよ!

3.地に耳をつけよ(神は現場にあり)

4.現場に責任を、そして権限を与えよ

5.アイデアを沸き立たせよ

6.組織の贅肉を落とせ、悪しき官僚化と闘え

このあと「チェーンストア」の意味と、
その5つの基本となる特徴を解説。

さらにローゼンワールドの3つの信条と、
結城義晴の「5つの利」を紹介。
IMG_5524

最後の最後は、
「ロイヤルカスタマー」

ロイヤルカスタマーとは、
その店、その企業の商品やサービスに満足し、
繰り返し利用してくれる顧客。
つまり固定客、常連客。
繰り返しの来店こそ商売の本質だ。

そして方程式。
[顧客ロイヤルティ]=
[Core Business Quality]×[Hospitality Quality]

顧客ロイヤルティとは、
商売の核となる商品のクオリティと、
ホスピタリティのクオリティが、
掛け算されたものだ。

ロイヤルカスタマーを増やして、
顧客ロイヤルティを高め続けてほしい。

それが最後のメッセージだ。

セミナーはこれで終了。
私は語り切った。
ご清聴を感謝して、
大きな拍手をもらった。
IMG_5534

ミーティングルームを出ると、
マツモトの皆さんが待っていてくれた。
全員で、やる気のポーズ。IMG_5539

その後は各自、自由研修に散っていった。

私たち事務局は、
Omega Martに行った。
(それは明日のブログで)

では、みなさん、今週も、
ロイヤルカスタマーを増やし続けよう。

Good Monday!
(つづきます)

〈結城義晴〉

2025年05月12日(月曜日)

ビル・ゲイツの「金の使い方」とBasic研修のテストと視察

CNN。
IMG_3053 (002)

ビル・ゲイツが登場。
マイクロソフトの創業者。IMG_3062 (002)

今年70歳を迎える。
「私が死んだら、人々は私について
色々なことを言うだろう。
しかし、『裕福なまま亡くなった』とは
言わせないと決意している」

ゲイツ財団は世界最大級の慈善団体である。
設立以来、1000億ドルあまりを寄付してきた。

さらに今後20年間で自身の個人資産の
ほぼ全額を寄付すると表明。
約2000億ドルとなる。

そしてテスラ創業者のイーロン・マスクを非難した。
「世界で最も貧しい子どもたちを殺している」

マスクは政府効率化省(DOGE)で、
国際開発局(USAID)の支援も削減もしようとする。

ゲイツはそれを問題視する。

IMG_3054 (002)

ゲイツは億万長者の模範となろうとしている。
世界中の何億人もの人々を貧困から救おうとしている。

仕事をする。
事業をする。
そして金を儲ける。

問題はその儲けた金の使い方だ。
IMG_3057 (002)

さてラスベガス4日目。
商人舎ベーシック研修。
朝からミーティングルームで講義。IMG_5263

4日目の朝は恒例の理解度判定テスト。

3日間の講義の中から、
4つの設問を設けた。
30分間で回答を書く。

なかなか大変。

テストを受けることによって、
講義内容の重要な点を、
自分のものとしているかを、
自身で知ることができる。
IMG_E5256

私の講義の初めに、
テキストを開いてもらって、
テストの回答を確認しつつ、
あらためて説明を加える。
理解度判定テストでは、
この時間が大切だ。
IMG_5260

3日目の講義は抜け落ちていた内容を、
捕捉しながら、強調したい点を解説する。IMG_5262

米国チェーンストアの「鼎占と複占」
寡占は少数の競争者が、
ある一定の市場のほとんどを支配し、
互いに競争している状態。

そこから鼎占に至る。
三者によって市場のほとんどが支配されてしまう状態。
さらに複占は二者によって支配されてしまう状態。

アメリカの主要な業態は、
みな鼎占から複占になっている。
その複占の企業群の経費率と粗利益率、
そして営業利益率。

売場を見たうえでこの数値を確認すると、
みな、驚く。

あの売場をこの経費率でつくっているのか。
その驚きが自分の仕事の革新の原動力となる。

それから商品問題。
プライベートブランドの問題。

最後にバリューエンジニアリング論。IMG_5358
3日目の講義が終わると、
商品調査のまとめの時間を設けた。

そして最後の視察スタート。

昼食を兼ねて、インアウトバーガーへ。IMG_5368

大谷翔平選手がおいしいと言った、
話題のハンバーガーチェーン。
味もいいけれど、オペレーションがすごい。
それを知るために必ず訪問する。IMG_5362

42人の注文をあっという間にこなしてくれる。
しかも、おいしくて新鮮。IMG_5364

4日目の視察はショッピングセンター巡り。
まず「ダウンタウン・サマリン」へ。
強力な新しい2つの商業集積。
ライフスタイルセンターと
パワーセンターが連なる。 IMG_5381

ライフスタイルセンターは街並みを再現して、
物販だけでなく、ライフスタイルを楽しむ。
街並みを歩いてゆったりとした時間を過ごす施設。

核店舗は百貨店のメイシーズ。IMG_5384

300mほど歩くと、
アーケードのある一角が現れる。
毎週土曜日にフリーマーケットが開催される。 IMG_5374

その一等地にはルルレモン。
ヨガをテーマにした店。
バッグやウェアなどが揃って、
アスレジャーショップとして大人気だ。IMG_5375

スーラ・ターブルは食器専門店。IMG_5373

ところどころに子どもの遊び場や、
休憩のための小さな公園がある。IMG_5378

もう一つの核店舗が、
地方百貨店チェーンのディラーズ。IMG_5387

このディラーズを境に、
パワーセンターに変貌する。
ノードストロームラックなどの
オフプライス店が揃う。

その一角にあるトレーダー・ジョー。 IMG_3072
街並みを歩くのがライフスタイルセンター。
パワーセンターは車で移動する。

だから、パワーセンターの広大な駐車場は、
大人気のトレーダー・ジョーの前から、
どんどん埋まっていく。

店内は母の日一色。
花を求める顧客で混雑している。 IMG_5389

20本入りのチューリップは12.99ドル。
安いし、洗練された色使いだ。 IMG_3066

一方でバラやカーネーションなど、
華やかなブーケも用意されている。IMG_3068

第一エンドには果物が並ぶ。
斬新な商品選択だ。IMG_3069

鉢植えや切り花をもつ顧客たち。IMG_3064

レジもご覧の通りの賑わい。
IMG_3071
スーパーマーケットの最後の視察に、
トレーダー・ジョーをもってきた。

みんな満足してくれた。

そして研修会最後の視察地は、
アウトレットセンター。
「プレミアムアウトレット・ノース」IMG_5395

ラスベガスには2つのアウトレットセンターがある。
ノース(北)とサウス(南)だ。
ノースの方が広くて、店数も多い。
充実している。
IMG_3076

全体にアパレルは苦戦している。
好調はスポーツやアスレジャー。
米国の消費が落ち込み始めている。
それがアウトレットセンターにも表れている。
IMG_5394
ベーシック研修団のみんなの顔つきにも、
少し安堵の色が見えてきた。

理解度判定テストが終わり、
商品調査のグラフ作成もほぼ終わった。

店舗視察も終わって、
あとは発表のみ。

そのあとには自由研修が待っている。

学んだあとの楽しみ方には、
稼いだ後の金の使い方に通ずるものがある。
(つづきます)

〈結城義晴〉

 

2025年05月11日(日曜日)

ラスベガス3日目/ポジショニング戦略の講義とリアル店舗

母の日。
アメリカでもマザーズデー。

大谷翔平の12号ホームラン。
3ランで試合を決めた。
そして大リーグ本塁打トップに躍り出た。GqkRmWHXgAA1iPp

こちらで見ていると、
日本で観戦しているよりも、
実感がある。

ただし普通のテレビでは見られない。
放映されていない。

だからカジノやスポーツバーの映像で知る。

ラスベガス3日目の朝。
今日も8時から結城義晴の講義。
IMG_5100

昨日訪れた店の復習と、
今日訪問する企業の予習。

それから、
「森の中の二人の男と熊の話」

森の中を二人の男が歩いていた。
そこへ熊が出てきた。
一人の男が、叫んだ。
「早く逃げよう」
もう一人は、言った。
「君より早く逃げさえすればいい」

21世紀に入ってから、
アメリカのローカルチェーンは、
ウォルマートという熊が出てきて、
選択を迫られた。

ウォルマートと真っ向から戦うか。
それともどこかの傘下に入るか。
あるいは廃業するか。

真っ向から戦ったのは、
テキサス州のHEBと、
ニューヨーク州のウェグマンズ。

クローガーに逃げた男は助かり、
それ以外は熊に食われた。

ネバダ州では、
スミスがクローガー傘下になり、
ボンズがセーフウェイに糾合され、
アルバートソンのグループとなった。

そして大きな差がついた。IMG_5103

2回目の講義では、
このベーシック研修の中核理論。
フォーマットとポジショニング論。IMG_5108

新しいフォーマットを創造するとき、
「コンバイン」(結合)の方法は有効だ。

ウォルマートのスーパーセンターは、
このコンバインによって生まれた、
最強のフォーマットだ。IMG_5110

講義が終わると、視察&調査。

ホールフーズ・マーケットへ。
そして全員写真。
IMG_5115

それからインタビュー。IMG_5129

チームリーダーのマイクさんが丁寧に答えてくれた。IMG_5128

団員からグッドクエッションがたくさん出た。

その質問に答えて、
ホールフーズで働く喜びを語ってくれた。
待遇の良さ、やりがいを与えてくれることも、
マイクさんは強調した。

ただし私の質問ははぐらかされた。

今、ホールフーズは、
グロサリーや非食品で「SALE」を連発している。
つまりディスカウント攻勢を続けている。

その理由は明らかにされなかった。

多分、アメリカの深刻な消費不況が、
それをさせているのだろう。
日本も例外ではない。

しかしこの店は25%が、
オンライン販売である。
Amazonの力を借りて、
非常にスムーズにその機能を獲得した。

顧客はスマホで発注するだけで、
ホールフーズの商品を手に入れることができる。

店頭からは4分の1の顧客が去ったが、
売上げは変わらない、いや増大した。

確かな商品を提供できる小売業にとって、
近い将来、店舗は商品見本の展示場になる。
そんなことを感じた。

マイクさんと固い握手。
IMG_5138

母の日に向けて派手な花売場。IMG_5120

オーガニックスーパーマーケットにとって、
青果部門は店の顔である。
IMG_2852

精肉と鮮魚は対面売場で、
顧客の注文に応じる。
その担当者たちの商品知識や調理技術は、
最高のレベルである。
IMG_2860

グロサリーは「SALE」のオンパレード。IMG_2861

ベーカリーからデリは、
ホールフーズの真骨頂でもある。IMG_2868

店舗中央の「ホールボディ」売場。
非食品部門だがここでも「SALE」。IMG_2883

この店にもビールバーがあり、
惣菜を購入して食べることもできる。
いわゆる「グロサラント」である。IMG_2882

チェックスタンドは大きく変わった。
セルフレジが広がった。IMG_2884

ネイバーフッド・マーケット。
ウォルマートのスーパーマーケット。IMG_2918

売場の先頭はデリ。
壁面ではバイオーダーの対面売場もある。IMG_2890

そして青果売場。
スーパーセンターに比べるとコンパクトだが、
日常づかいの必要な商品は揃う。IMG_2893

エンドはウォルマートの原則に則り、
1~2アイテムの品揃え。IMG_2901

アメリカのスーパーマーケットは
フード&ドラッグが基本。
処方箋を扱うファーマシーを併設している。IMG_2908

店内ではオンライン注文品をピッキングする
カートが動き回っている。IMG_2889

コロナを経て、
オンライン販売は急成長している。

車で商品を引き取る、
カーブサイド・ピックアップ(Curbside pickup)が多い。
配送費用がかからないからだ。IMG_2911

セルフレジも増えた。
ニューヨーク市では、万引きに悩まされて
セルフレジを辞めた店舗が多い。
ラスベガスではセルフレジが主流。IMG_2914

レジの奥にあるピッキングカート置き場。
顧客が取りに来るのを待つ。IMG_2915

カスタマーセンター。
商品の返品はここで受け付ける。IMG_2916

ターゲット。
ウォルマートと同じディスカウントストアを展開する。IMG_2922

ターゲットのロゴの下に「drive up」のサイン。
ターゲットもオンライン販売を強化している。

オンライン商品を引き取りに来る顧客の専用駐車場。
IMG_2921

売場先頭のプロモーションコーナーは、
もちろんマザーズデーのブーケ。IMG_2926

ディスカウントストアだから、
生鮮食品は限定的だ。IMG_2934

顧客が商品検索したり、
価格を調べたりするための、
デジタルボード。
売場の随所においてある。
もちろんターゲットのアプリをダウンロードしていれば、
同じことができる。IMG_2938

プロモーションコーナーのテーマは「Summer」。
夏物の小物雑貨を展開する。
コーポレートカラーの赤を基調とした色使い。IMG_2940

ターゲットもセルフレジが主体。IMG_2945

同じディスカウントストアでも、
ウォルマートとターゲットの違いは歴然だ。
それがポジショニング戦略である。IMG_5151

トレーダー・ジョー。
ラスベガス地区の繁盛店。IMG_2954

マザーズデープロモーションは徹底している。
入口からずらりとブーケを展開。
IMG_2956

店の先頭部分では、
特設平台で展開。IMG_2983

スイカをエンド展開、珍しい。
パレットで荷姿ごと並べる。
IMG_2962

試食コーナーも完全に復活した。
イラストが面白い。IMG_2963

奥主通路でも切り花や鉢花の展開。IMG_2965

そしてゴンドラエンドもすべて、
切り花と鉢花。
IMG_2980

切り花とクッキーの関連ギフト販売。IMG_2981

買上げ点数が少ない顧客向けのレジ。
レジ前は長い行列。
IMG_2959

通常のレジは2人態勢。
粛々とこなしていく。
見事なプロモーションとオペレーション。IMG_2985

同じショッピングセンターにある
アジア系スーパーマーケット。
シーフードシティ。
IMG_2988

売場の導入部はテナントのデリショップ。
IMG_2989

核部門はもちろんシーフード。IMG_2992

シーフードからミート売場へ。
部門構成はスーパーマーケットだ。IMG_2994

平台に氷を敷き詰めて生魚を販売。
これがウケている。IMG_2995

隣接してダイソー。
昨年オープン。
IMG_5173

日本の高品質の商品を販売して、
ダラーストアの中で鮮明なポジショニング。IMG_2953

アメリカ人には、
新鮮さを感じる商品ばかり。
店数も急激に増えている。IMG_2948

売場の至る所に換算表が掲げてある。
基本売価は1.75ドル。IMG_2949

明るく陽気な従業員もとてもいい。IMG_5179

最後にコストコ。IMG_3012

アメリカでも日本でも、
その他の国々でも、
コストコは変わらない。

商品が違うだけで、
経営も運営も店づくりも、
完璧な標準化が貫かれている。

星条旗が売られている。
5月最終月曜日のメモリアルデー向けの提案だ。IMG_5241[1]

店舗中央の広いスペースでは、
売り切れ御免のポップアップセールが展開される。IMG_3001

店舗の奥が生鮮食品売場。IMG_5211

右手に青果部門の冷蔵庫がある。
部屋全体を冷やす。IMG_3004

奥壁面沿いは平ケースに、
大容量にアイテムが並ぶ。
ベイカリー、ミート、デリ。IMG_3005

乳製品にも冷蔵室がある。IMG_5226

アメリカでも商品の高騰が続く卵。
コストコはその価格も在庫量も圧倒的だ。IMG_5228

フロアマネジャーがフォークリフトを引いて、
商品の販売位置を変えている。
これがコストコの唯一と言っていい、
売場変化の手法だ。

売場の位置を変えることで、
売上げ不振のアイテムが売れるようになる。IMG_5232
消費不況でも節約志向でも、
コストコは一番人気だ。

最後にイータリー。
パークMGMホテルの前面改装のときに、
1階に誘致された。IMG_3024

階段で写真。
IMG_5253

イータリーは買う、食べる、学ぶをコンセプトに、
イタリア料理、イタリア食材を集めた店だ。IMG_3017

しかしホテルの1階フロアに入ったことで、
買う機能が削減され、学ぶ機能も喪失した。
IMG_3021

食べる機能は充実しているが、
それではイータリーではない。
市場であり、食堂であり、学校である。
それがイータリーなのだ。
IMG_3016

OICグループとロピアの面々。
元気に視察し、もりもりと食べる。
それがロピアの社風だ。IMG_5249

ホテルに帰ってから、夕食へ。

ベラージオホテルの前では、
噴水ショーが展開されている。IMG_3035

パリスには実物の半分のサイズの、
エッフェル塔がある。 IMG_3033

私たちはその噴水ショーが見える店へ行った。
「ビアパーク」
IMG_3043

飲みながら、食べながら、
噴水ショーを楽しめる。
IMG_3038

事務局のカリスマ佐藤とJTBの吉田和司さん。
そして亀谷しづえGM。IMG_3042

お疲れ様。

ラスベガスの中心部には、
消費不況はない。

大衆の生活圏で大きな異変が起こっている。
(つづきます)

〈結城義晴〉

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