結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2016年08月27日(土曜日)

大久保賢の「ありあわせのもの・眠っているものを活用する術」 

迷走台風10号。
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〈NHK NEWS WEBより〉

中心気圧945ヘクトパスカル、
中心付近最大風速45m、
最大瞬間風速60m、
中心から半径130キロ以内で、
風速25m以上の暴風。

沖縄県南大東島の南東330キロの海上を、
時速15キロで東北東へ進んでいる。

大東島地方へは27日土曜日夜、
小笠原諸島へは28日日曜日。
30日火曜日には本州に近づくとの予想。

今日の千葉県の空。DSCN8526-6

そして森。DSCN8521-6

今日は久しぶりに峠の会に参加。
立野クラシックゴルフ倶楽部でラウンド。

さて昨日の『折々のことば』
朝日新聞一面のコラム。
鷲田清一さんの編著で、
もう500回を迎える。

もしかしたら伝統の『天声人語』を、
しのぐかもしれない。

求められるのは「創造性」よりも、
既存のものを活かす「創意」である。
……「発明」することではなく、
「発見」することである。
(大久保賢)

現代音楽は、
「未だ誰も聴いたことのない音楽を求め、
逆に隘路に入ったと評される」
鷲田さんのいう音楽学者は書く。

「『刷新』への強迫の中で
見捨てられたものにも
まだまだ可能性は潜んでいる」

1966年、金沢市生まれ。
大阪大学大学院文学研究科で文学博士。
現在、名古屋芸術大学と、
京都市立芸術大学の、
非常勤講師。

著書は『黄昏の調べ』(春秋社刊)
この言葉は著書から引用された。

論文の着眼点が面白い。
「音楽作品ゲーム論」、
「演奏のマネジメント試論」等。

「右肩上がりなど
もはや望むべくもない社会に
求められているのも、
ありあわせのもの、
眠っているものを
活用する術であろう」 

この大久保賢さんの言葉を見て、
ピーター・ドラッカーのイノベーションを、
まず思い浮かべる。

ドラッカーは約1000のイノベーション事例を、
調査・研究した。
その1000のケーススタディを、
分析し、分類し、
7つのカテゴリーに仕分けした。

そして、イノベーションが起こった理由に関して、
頻度の高い順にカテゴリーを並べる。

第1が予期せぬもの、
第2が負のニーズ、
第3が明らかなニーズ、

第4が産業構造変化、
第5が人口動態変化、

第6が認識の変化。
そして最後に第7番目が発明・発見。

大久保さんの現代音楽のいく道は、
発明と発見をさらに分類して、
いまだ聴いたこともない音の「発明」ではなく、
既存のものからの「発見」だとする。

大久保さんは、
現代音楽について語っている。

しかしそれは現代技術について、
そのハードウェア、ソフトウェア、
さらにヒューマンウェアについて、
真摯に考察しているように見える。

商業や流通サービス業に関しても、
チェーンストアに関しても、
その経営論から技術論まで、
ありあわせのもの、眠っているものを、
発見し、活用することが必要である。

とくに右肩上がりなど、
望むべくもない産業において。

見捨てられたものにも、
まだまだ可能性は潜んでいる。
その可能性を探す「創意」こそが、
何よりも求められている。

台風の行方を夢想し、
風向きを心配しながら、
そんなことを思った。

〈結城義晴〉

2016年08月26日(金曜日)

迷走台風10号とUAゼンセン流通部門労使懇談会の講演・パネル

トリプル台風の最後に残った10号。
「迷走台風」と名づけられて、
いまさらにように、
本州上陸の可能性が出てきた。

台風10は19日金曜日に八丈島東で発生。
南西方向に進んだ。

25日木曜日段階では、南大東島の南で停滞。
26日金曜日の今日、進路を東に移した。

午後6時現在、
沖縄の南大東島の南約310キロ地点。

中心気圧は945ヘクトパスカル、
中心付近の最大風速は45m、
最大瞬間風速は60m、
ゆっくり東に進んでいる。

非常に強い勢力。

明日27日土曜日夕方、
再び南大東島の東南東約310キロ付近、
29日月曜日には小笠原付近に移る見通し。
さらに30日火曜日ごろから北西に進んで、
本州に上陸する可能性がある。

なんとも珍しい台風だ。
準備怠りなく。

Daily商人舎に、連日、
7月の営業実績が報告されている。

今日は、総合スーパーと食品スーパー。

そして7月の主要業態別前年同月比。
食品スーパーマーケット 1.4%
コンビニエンスストア 0.3%
総合スーパー 0.2%
百貨店 ▲0.1%

総合スーパーも食品は1.4%伸びた。
ウナギも好調だった。

さて、今日は、
朝から、東京・御成門。
カスタマー・コミュニケーションズ㈱。
恒例の取締役会。

月刊商人舎8月号が話題になった。
「特集 商品前線異常なし!」

「商品前線」を40カテゴリーで展開した。
その基礎資料として、
CCLの全国パネル「TRUE DATA」が使われた。

メーカーや卸売業から、
8月号の購読注文が殺到している。

ありがたいことだ。

取締役会の後、
昼食も取らずに水道橋。
今度は、場所は東京ドームホテルで、
UAゼンセン流通部門の
第4回労使懇談会。
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UAゼンセン加盟小売業の、
人事部トップと労働組合トップ、
そして関係団体から、
総勢400名近い参加者が集った。
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はじめに流通部門長の藤吉大輔さんのあいさつ。
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流通業が置かれた環境と、
それに対する流通部門の、
本年度の方針などを発表。

続いて島田尚信さんのお祝いのあいさつ。
UAゼンセン会長代行。
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そして労使懇談会の開幕。
2本の基調講演と、
パネルディスカッションの3部構成。

第1部の基調講演は結城義晴。
テーマは「流通革命と流通3.0」
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商業・流通業の近代化は商業界精神だった。
その精神に則って、
1962年、林周二著『流通革命』が上梓された。
この流通革命論の骨子を紹介しつつ、
小売業の近代化に果たした役割を整理。
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そして流通革命論に傾斜した
実務家たちの軌跡を客観化しつつ、
脱チェーンストア、
超チェーンストアといわれる
新しいチェーンストアの方向性を語った。
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近代化から現代化に至る働き方、
組織の在り方。
これは「流通3.0」と名づけられる。
石井淳蔵先生流通科学大学前学長の命名。

今、流通業の新たなマネジメントの枠組みが、
必須である。
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それを労使の皆さんに理解してもらう。
これが今日の私の講演テーマ。
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基調講演第2部は、
イオン特別顧問の山梨広一さん。
「流通企業における時代の戦略課題」がテーマ。
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山梨さんはマッキンゼーを経て、
イオン㈱の内務総括、
経営企画担当などの執行役を歴任。

私からバトンタッチされた形で、
「流通3.0」時代の具体的な課題と、
戦略キーワードを解説してくれた。
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この2つの基調講演をもとに、
第3部はパネルディスカッション。
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モデレーターは若林靖永さん。
京都大学経営管理大学院院長。
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パネラーは私と山梨さんと新妻健治さん。
新妻さんは流通部門副部門長、
産業政策委員長、
そしてイオンリテールワーカーズユニオン連合会長。
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新妻さんは流通産業の論点を整理して、
そのうえで産業政策委員長としての、
流通部門の基本政策を提示した。
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パネラーとしてそれぞれが主張し、
モデレーターの進行もよく、
パネルディスカッションらしい90分間だった。
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いくつか参加者からの質問もあった。
わたしはホールフーズのマネジメント、
サム・ウォルトンの標準化の考え方、
さらに要望されて万代の経営など、
流通3.0時代のマネジメント実例を述べた。
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労使の皆さんも、メモを取って、
熱心に聞いてくださった。
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懇談会には最後に、
川合孝典参議院議員が駆けつけて、
あいさつ。
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民主党は逆風だったが、
UAゼンセンの応援もあって、
川合さんは夏の参議院選で当選した。
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労使懇談会はその後、
会場を移して記念パーティ。
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藤吉さんのあいさつ。
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新妻さんの乾杯の発声。
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そして懇親。

山梨広一さんと握手。
お疲れさまでした。
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万代副社長の下岡太市さん。
パネルディスカッションの中で、
万代の経営を語ったので、
懇親会場で、下岡さんは質問攻めにあった。
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ライフコーポレーション会長の清水信次さん。
清水さんは日本チェーンストア協会会長、
日本小売業会会長の立場で臨席。
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開口一番、「何か面白い話はないか?」
90歳にして好奇心は衰えない。
食欲も旺盛で、感心したが、
中国のアリババ集団の話などして、
喜んでもらった。
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そして井上淳さん。
日本チェーンストア協会専務理事。DSCN8513-1

前参議院議員の金子洋一さん。
金子さんは私の高校の後輩。
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流通部門長の藤吉さんと握手。
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最後に新妻さん。
今度、人の問題を語り合いたい。
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いろいろな人たちと話をしていると、
あっという間に中締め。
中締めは流通部門事務局長の木暮弘さん。
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全員きれいにそろって1本締め。
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午後1時から7時まで、
6時間の第4回労使懇談会も、
無事にお開き。

あぁ、疲れた。

けれど講演は大好評だったし、
パネルディスカッションも有意義だった。

迷走したのは台風だけだった。

〈結城義晴〉

2016年08月25日(木曜日)

村営スーパー「かあべえ屋」とセブン-イレブン「欠品の見える化」

Weekly商人舎週刊特別企画公開。
[短期集中連載]
首都圏最新店舗研究②
サミットストア羽衣いちょう通り店
546坪の第4次新MD型フォーマット
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サミット㈱の2016年3月期決算、
売上高は2663億円、
経常利益は64億6900万円。
店舗数は114。

田尻一前社長の最後の実績。

竹野浩樹新社長の最初の仕事は、
この店のオープン。

服部哲也取締役常務執行役員と、
星野郁夫取締役執行役員が答えてくれた。
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ぜひ読んでください。

商人舎IDホルダーしか読めませんが、
悪しからず。

今日は雑誌が2誌届いた。
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月刊コンビニと月刊MD。

月刊コンビニは現在、
㈱アール・アイ・シーが主催している。
昨年末、㈱商業界から売却された。

しかし、毛利英昭発行人兼編集長、
なかなかのもので、いい出来栄え。

メイン特集は、
「予約商品」獲得の仕組み

編集委員の梅澤聡さんが、
頑張って、雑誌づくりも丁寧だ。
梅澤さんは㈱商業界前取締役で、
私の後輩。

ただし一言。

書評欄「Books Review」で、
『コンビニ人間』を取り上げているが、
この芥川賞作品は、
今月号のトップに、何とか、
緊急でもいいから取り上げてほしかった。

わが月刊商人舎では、
8月号の巻頭論文で、
この小説のフレーズを使った。

そんなタイミングが、
雑誌づくりには求められる。

もう一つの月刊MDは、
ドラッグストアの経営誌。
特集は「元気店長列伝」 
5人の店長の取材記事。
スギ薬局、トモズ、杏林堂薬局、
ココカラファインとツルハドラッグ。

それだけ。

店長のマネジメント理論もないし、
統計資料もない。

ただの2ページ取材記事の羅列。

ちょっと、がっかり。

主幹の日野眞克さんも、
編集人の宮﨑文隆さんも、
㈱商業界時代の後輩なので、
頑張ってほしいところだ。

コンビニやドラッグストアの、
店づくり、商品づくり、人づくりと同様、
経営専門誌づくりも、
ドキドキワクワクが必須だ。

そして一誌一誌、
子供を育てるように、
愛でながら、つくりあげたい。

さて、朝日新聞は最近、
経済や流通に弱い。

とくに日経新聞には大きく離された。
しかし今朝の『天声人語』

東京都の檜原村に今夏、
初の「村営スーパー」が開店。

これを全日食チェーンがサポートした。
ご存じ、日本最大のボランタリーチェーン。

「地元にコンビニかスーパーがほしい」
過疎化していく村民の年来の声。

かつて6000人を超えた人口が、
現在は2300人。

商店も今や10店。

コンビニ各社に出店打診をしたが、
毎日の客数300人、月商900万円が、
損益分岐点で、それに満たない。

そこで資金9500万円で、
第3セクターを立ち上げ、
全日食チェーンに加盟して、開店。

全日食は全品供給をする。

店の名は「かあべえ屋」

「村の人の使う言葉『買うべえ』から付けた」

村職員の藤原啓一さん。
「新鮮な肉や魚、卵や牛乳が買える拠点は
村に欠かせないインフラです」

そのとおり。

記事の最後の一文。
「レジに列をなす人々の表情は
とびきり明るかった」

全日食チェーンにも期待しよう。

がんばってくれ。

同じく朝日新聞『日々のことば』
鷲田清一編著。

毎日、いいので、
毎日、引用している。

礼は、頭を下げるときでなく
顔を上げるときこそ丁寧に。
(老舗の女将)

京都の旅館の女将に鷲田さんが教わった。
「顔を上げるとき相手の姿に
ゆっくりと目をやること。
一期一会のご縁を大切にしたい、
心をほどいてごゆっくり、とのメッセージか」

「すると客も『こちら様』ではなく
『あなた様』として迎えられたと思う」

「もてなしとは、客人に
普段とは違う時間を用意してあげること」

すべての商売、
すべてのビジネスに、
共通すること。

大朝日の一面が、
商売の極意で埋まった朝だった。

日経新聞は一面で、
「コンビニ、欠品ゼロへ」

要は、セブン-イレブン・ジャパンが、
10年ぶりに情報システムを刷新する話。

投資額は過去最高の520億円。
「店舗に配る新型の発注端末に
売り切れ間近の商品を
従業員に知らせる機能を持たせる」

ご存じ、コンビニの4大原則。
品揃え(欠品しないこと)
②鮮度管理
③クリンリネス
④フレンドリーサービス

フードサービス業は、
三大原則でQSCという。
Quality、Service、Cleanliness。

コンビニの鮮度管理は、
Quality管理でもあるから、
三つの原則は同じ。

だから品揃え(欠品しないこと)は、
外食と小売りの違いを示す重要原則。

今回はそのコンビニ第一原則に関する、
システム刷新。

今秋までに発注端末・パソコンなど、
機器の更新を完了し、
2017年度から順次、
新システムの運用を始める。

「新型の発注端末は
飲料や菓子などの加工食品、雑貨について、
各店の発注個数や販売個数、
売れ行きから見た適正在庫の情報をもとに、
追加すべき商品を液晶画面に表示する。
警告音でも注意し、
欠品をゼロに近づけることをめざす」

スーパーマーケットなどで大流行の、
「自動発注」と呼ばれる仕組みも、
各社の考え方によってずいぶん異なるが、
セブン-イレブンは人による発注を、
あくまでも基本とする。

その人間の判断を助け、
欠品防止に貢献するのが新システムだ。

新型端末では、
「弁当や総菜についても、
いつ売り切れになったかを
従来より簡単な操作で
確認できるようにする」

このシステムの刷新により、
約2900品目に上る店頭商品の大半で、
「欠品状況の『見える化』が実現」する。

すばらしい。

井阪隆一セブン&アイHD社長、
古屋一樹セブン-イレブン・ジャパン社長。

なかなかいい線をついてきた。

来2017年夏からは、
「クレジットカード決済端末」を組み込んだ、
新型レジも導入する予定。

多分、月刊コンビニも、
この記事の特集を組むだろうが、
「スピード」は何よりも大事だ。

もちろん「記事の欠品」も許されない。

雑誌づくりも店づくりも、
全く同じなのだ。

今日はちょっと、
先輩ぶってみた。

お許しを。

〈結城義晴〉

2016年08月24日(水曜日)

「イチローは嫌いだ」の「嫉妬心」と「千畳敷の真ん中の実践躬行」

トリプル台風が去って、雲は秋の気配。DSCN8283-6

夕焼けが妙に美しすぎる。DSCN8285-6

報告が遅れたが、
先週、商人舎magazineのWeb会議。IMG_9063-6
いま、大変革を企図している。

右から内田憲一郎さん、猪股信吾さん、
髙瀨精宥さん、河内志郎さん。
真ん中は鈴木綾子。

内田さんはFacebookコンサルタント、
猪股さんはWebコンサルタント、
髙瀨さんと河内さんは、
㈱プラージュのディレクター。

さて、RIO2016が終わった。
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ぽっかり、穴が開いたようで、
「祭りのあとの淋しさが
いやでもやってくるのなら」
と、吉田拓郎を口ずさむ。

「イチローが嫌いだ。
あの人を見ていると
限界という言葉が
言い訳みたいに聞こえるから。」

「イチローが嫌いだ。
あの人を見ていると
自分に嘘をつけなくなるから。」

「イチローが嫌いだ。
あの人を見ていると努力すら
楽しまなきゃいけない気がするから。」

「イチローが嫌いだ。
あの人を見ているとどんな逆風も
チャンスに見えてくるから。」

「でも、同じ人間のはずだ。」

トヨタ自動車のCMのセリフ。
「WHAT WOWS YOU.」プロジェクトを、
早くもTOKYO2020に向けて展開。
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イチローへのオマージュ。

リオ五輪棒高跳び日本代表・山本聖途、
パラリンピック水泳日本代表・一ノ瀬メイ、
陸上走り幅跳び代表・芦田創、
そして車いすテニス代表・三木拓也、
4名の選手が声にする「イチローが嫌いだ。」

RIO2016が終了し、
パラリンピックを控えた今、
実に絶妙のタイミングで、
この言葉を吐かせる。

昨日の朝日新聞一面『折々のことば』
鷲田清一さん編著。

人間が抱く嫉妬のなかで
最も暗くて陰湿なのは、
対象となる人間の
正しさや立派さに対してなの。
〈宮本輝作・小説『骸骨ビルの庭』より〉

「人は、正しいことをまっすぐにできる人の
その“無垢(むく)”に嫉妬することがある。
その伸びやかな光に照らされると、
意識にいつも屈折を強いてきた
自身の境遇ないしは悲しき性に、
思いがつい向かうから」

宮本は1947年生まれの団塊の世代。
77年、『泥の河』で太宰治賞、
78年、『蛍川』で芥川賞、
87年、『優駿』で吉川英治文学賞。
この 『骸骨ビルの庭』は、
2010年、司馬遼太郎賞。

文章の達人。
小説の中で、
戦災孤児が成長して、
長く住み込みで働いた先の老婦人に、
言われる。

「あなたも、そういう種類の嫉妬を
知らず知らずのうちに抱くようになる年齢に、
いよいよこれから入ってゆくわ。
最大の恩人に対して
嫉妬の心を起こさせようとする
何か大きな力が
牙を研いで待っているのよ。」

糸井重里の『ほぼ日』
明らかに「折々のことば」から、
インスパイアーされて書いたと思われる。

「人類がもっとずっと、
あんまり人類らしくない時代から、
きっとあったと思うのが
『嫉妬心』というやつだ。
これは、どんな人間の脳のなかにも
あらかじめセットされている
回路だとも思える」

糸井は宮本輝の名にも、
鷲田清一のことにも触れない。

「『嫉妬心』はあって当たり前、
と考えたほうがいい。
そのうえで、その『嫉妬心』に動かされて
じぶんの考えを組み立てていったり、
じぶんの行いを
そこから進めていったりすることを、
『したくない』と思うかどうかが、
その人が、選び、つくった
『人格』なのだと思っている」

トヨタの「イチローは嫌いだ。」は、
その嫉妬心を逆手にとっている。

「嫉妬することがない、
という人間になるのはむつかしい」

「『嫉妬心』というものが、
実はなかなかの曲者で、
裏番長というか、
表に立たないで人を支配するからだ」

糸井の「嫉妬心」分析。
「あいつはわるい、
あいつはずるい、
あいつは‥‥と、
別の理由で、
人を責めようとしたりする」

本当に悪い、狡いという
事実があるときは、まったく別だが。

このあとの糸井の考察が大事。
「攻撃している対象のほうに非があって、
じぶんは責めざるを得ないのだ
というかたちにする。
ほんとうは『嫉妬心』が
そうさせている場合が多い」

糸井自身がさんざん、
「嫉妬心」という裏番長に、
操られてきた。

だから自問する。
「あいつはわるい、
あいつはずるいと
言いたいときには、
『もしかして、おれは
嫉妬しているのではないか?』
と、ちょっとだけでも問いかけてみる」

「そうすると『嫉妬心』がゆえじゃない、
という理由がいくらでも見つかる」

この思考回路を身につけたい。

「そこから先は、とにかくまじめに、
じぶんの感じていることや考えを、
たしかめること。
そして、嫉妬しているかもしれない対象を、
もっとまっすぐに見ようと
姿勢をただすことだ」

しかし嫉妬の対象が、
正しくて立派なときの、
「屈折したコンプレックス」は悲しい。

「怒りのエネルギーは、
コンプレックスのエネルギーより、
数段、健全なのだ」
結城義晴、29歳のときのことば。

ああ。

最後に昨日に続いて、
日経新聞『私の履歴書』
大村智さんの巻。
北里大学特別栄誉教授。
2015年にノーベル生理学・医学賞受賞。

教授を辞して、副所長になった大村さん、
「研究の経営」にまい進する。

「病院とワクチンの製造部門を
立て直したうえで新病院を作るのは、
大変なエネルギーを要した」

そんなときに大村さんは、
安達禎元山梨大学長の言葉を思い出す。
「何事も千畳敷のど真ん中でやれ」

「隠されていた研究所の実情を、
わかりやすい資料を作って
すべてオープンにした」

「製造部門はまず人員削減をした。
といっても首を切るのではなく、
誰かがやめても補充しなかった」

新院長に河村栄二外科部長を任命した。
「社員のほぼ全員が反対したが、
一人ひとり説得して了解を取り付けた」

「河村さんは院長になると
朝は誰よりも早く病院に来て、
夜は一番遅く帰った」

「院内をくまなく見て回り
現場の把握に努めた」

大村さんの信条。
「実践躬行」
「じっせんきゅうこう」と読む。
口先だけでなく自ら進んで実践すること。

「研究所は赤字経営 から徐々に脱した」

大村さんはまさに、
「正しさと立派さ」を備えている。

そうでもなければ、
ノーベル賞は受賞できない。

しかしその裏に、
暗くて陰湿な嫉妬が、
必ずうごめいていたはずだ。

それに立ち向かうには、
「千畳敷のど真ん中」で、
「実践躬行」することしかない。

イチローのように。

〈結城義晴〉

2016年08月23日(火曜日)

石原靖曠先生来訪・岩崎弥太郎「おかめの面」・大村智「研究の経営」

トリプル台風来襲。

毎日新聞巻頭コラム『余禄』が、
「五輪台風」をとりあげた。

「五つの台風が
日本列島を囲むように並んだ
空前絶後の天気図」

56年前の今日、8月23日に発生。

ちょうどローマ五輪が開催されていた。

台風14号はBess、15号はCarmen、
16はDella、17号はElaine、
そして台風18号はFayeと名づけられた。

日本列島を襲ったトリプル台風のうち、
9号・11号は北海道に大雨を降らせて去った。

しかし、このホームページの、
2週間天気予報のページに、
常盤勝美さんが【緊急号外】を寄せてくれた。
台風10号上陸の可能性高まる!

まだまだ、予断は許されない。
しかし関東は一応、台風一過の快晴。

横浜商人舎オフィスを、
石原靖曠先生がご訪問くださった。DSCN8342-6

㈱スペシャリティ研究所代表取締役。
商業界リテールマネジメントスクール校長。
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今年、傘寿を迎えられたが、
とても80歳には見えない。

ピンクのポロシャツに
ピンクのストローハット、
イエローのパンツ。
コンビのシューズ。
若いし、お洒落。

自らポルシェを運転して、
函館までツーリングされたそうだ。DSCN8348-6
私は1977年の㈱商業界入社と同時に、
石原先生には大変、お世話になった。
そのころの私は、
本物のジャーナリストのことばかり考えていた。

石原先生は、
ノンフーズ分野の圧倒的第一人者で、
とくにホームセンター、ドラッグストア、
さらにスーパーセンター開発の指導は、
群を抜いた。

最近は商業界精神の伝道者の役割も担われて、
なくてはならない先生だ。

もちろん米国チェーンストアの専門家。
カリフォルニアのパームデザートに、
家を買って、1年に150日ほど滞在。
現地研究は10年におよんだ。

今日は懐かしい話などしながら、
その石原先生のインタビュー。

先生の著書を持ち出して、
解説してもらったりした。DSCN8351-6

月刊商人舎9月号に、ご登場いただく。DSCN8359-6
乞う! ご期待。

インタビューのあとは、
野田岩で鰻の白焼きと鰻重。

今度は、業界のこと、
亡くなった人々のこと、
商業界の社長時代の話など、
聞いてもらって、
なんだか気分が安らいだ。

私は㈱商業界の経営を担ったこと、
その根本的再生に取り組んだこと、
㈱商人舎を興したことを誇りにしている。

石原先生には、
わかってもらった気がした。

さて日経新聞の巻頭コラム『春秋』は、
岩崎弥太郎の話。
ご存知、三菱グループ創始者。

明治7年、東京・茅場町に事業の本拠を移すと、
「店頭に『おかめ』の面を掲げた」

「いつもこの面を見ることで
店員も穏やかな顔つきに変わり、
客に笑顔で接するようになってほしい」
弥太郎はそう考えた。

店を訪れた福沢諭吉。
「岩崎氏は商売がわかっている」

「店員は岩崎の郷里の土佐で
武士だった者が多かった」

いわゆる武士の商法。

「船で荷物を運んでほしいと頼みにきた客に、
いかにも載せてやるといったふうの
横柄な態度が目立ったらしい」

そこで「腰を低く愛想良く、
と言い聞かせるためのアイデアが
おかめの面というわけだ」

コラムは人型ロボットの接客へと話を移して、
「武士出身の店員よりよほど商人らしい」

私は動いて話すロボットよりも、
無言の「おかめ」の面のほうが、
商売や経営の機微をとらえていると思うが。

日経新聞最終面『私の履歴書』
今月は大村智さん。
北里大学特別栄誉教授で、
2015年ノーベル生理学・医学賞受賞。

北里研究所に入って、
天然物化学分野の研究に従事。
アベルメクチンを発見し、
それを基にイベルメクチンを開発。

イベルメクチンは抗寄生虫薬として活用され、
寄生虫感染症の治療法が確立された。

研究者としても超一流だが、
北里研究所副所長、所長を歴任し、
研究所の財政再建に尽力。

今日はちょうどそのあたりの話。

「研究者の多くは大学の仕事を兼務し、
研究所の実体はほとんどなくなっていた」

当時、流行っていたのが、
「経営を研究する」こと。
しかし大村さんは、
「研究を経営する」と言った。

4つの要素から、
「北里研究所の経営」を考えた。
①研究のアイデア
②そのための資金導入
③人材育成
④得られた成果の社会還元

「経営や財務は
まったくの素人だったので
専門書を読みあさった」

それだけでは当然、足りない。

税務の専門家の井上隆司さん、
日本興業銀行副総裁だった二宮善基さん、
東京海上火災保険社長だった渡辺文夫さん。
スペシャリストから直接、学んだ。

勉強を重ねたうえで、
北里研究所の財務諸表をじっくり調べた。

「気が狂うかと思うほど大変だったが、
とんでもない赤字で
倒産してもおかしくない状態」だった。

大村さんは決意する。
「自分が経営者としてやっていく」

「研究所の副所長に手を挙げ、
大学教授を辞めることにした」

「経営の研究」をする教授は多いが、
「研究の経営」をする学者は少ない。

岩崎弥太郎の「おかめの面」は、
商売や経営には必須だ。

大村智の「研究の経営」も、
もちろん経営には必須だ。

「経営の研究」では、
経営はできない。

〈結城義晴〉

2016年08月22日(月曜日)

台風9号関東直撃と二つのコンビニ統合「対等」の本質

Everybody! Good Monday!
[2016vol34]

2016年第35週。
8月第4週。

RIO2016が幕を閉じた。  DSCN8300-6
今度は9月7日から12日間、
リオパラリンピックが開催される。
正式名称は、
「Rio 2016 Paralympic Games」

開催前は準備不足など喧伝されて心配したが、
終わってみれば世界中が楽しませてもらった。
私は考えさせられた。

最後の最後に、
サッカーとバレーボールで、
主催国が金メダル獲得。
おめでたい。

「一番人気のスポーツはバレーボール。
サッカーは宗教」
ブラジルでこういわれる2競技だが、
人気のスポーツも、
宗教のごときスポーツも、
どちらも金メダルで、
ブラジル人は大満足だっただろう。

次は東京だ。

一方、第98回全国高校野球選手権大会。
決勝戦は栃木の作新学院高校が、
7対1で南北海道の北海高校を破って、
54年ぶり2度目の優勝。

球場に勝者の校歌雲の峰
〈朝日俳壇より 尼崎市・田中節夫〉

作新学院は宇都宮市の私立高校。
1962年に甲子園春夏連覇。
史上初の快挙で名門チームとなったが、
それ以来の夏の優勝だった。

1962年は八木沢荘六がエースで、
八木沢は早稲田大学から、
プロ野球の現ロッテオリオンズに入団、
1973年10月10日、完全試合を記録した。

1973年にはあの江川卓を擁して、
準決勝進出。

マウンドに蹲(うずくま)る肩雲の峰
〈朝日俳壇 札幌市・生出紅南〉

甲子園は、
勝者よりも敗者をよく、
記憶にとどめさせてくれる。

さて、そんなRIO2016と甲子園をよそに、
台風9号が今日12時半に、
千葉県館山市付近に上陸、
首都圏を直撃した。

関東への直接の上陸は、
2005年8月の台風11号以来11年ぶり。

一昨日の午後には、
日本列島付近に、三つの台風が登場。
南西に台風10号、南に台風9号、
南東に台風11号。

台風11号は北海道に大雨を降らせ、
台風9号は関東と東北を縦断中。
迷走している台風10号も、
今週末にはやってくるかもしれない。

今年6月末日には、
まだ台風が一度も発生していなかった。
18年ぶりのことだった。

それが8月下旬に、
三つの台風の量産。
ありがたくない話だが、
実は昨年の7月上旬にも、
同じような現象は起こっている。

もう、当たり前といえば当たり前。

昨年の記録をひっくり返すまでもなく、
しっかりと準備し、
つつがなく店舗運営したい。

健闘を祈念しよう。

それにしても月刊商人舎8月号で、
ウェザーMDを特集した途端、
台風来襲。

商人舎magazineの、
Weekly商人舎日替り連載。
明日の火曜版は、
常盤勝美の2週間天気予報。

「ああ、お天気産業よ」
2週間天気予報に注目せよ。

さて今週のスケジュール。
今日はゆっくり出社して、
横浜商人舎オフィス。
明日は珍しい先生が来社。
たのしみだ。

木曜日は、横浜みなとみらいで、
AJS2016年「秋期商品・用度合同展示会」

顔は出せないかもしれないが。

金曜日は朝からCCL役員会。
カスタマー・コミュニケーションズ㈱。

午後は、
UAゼンセン労使懇談会。
東京ドームホテル。

私は基調講演と、
パネルディスカッションのパネラー。

頑張ります。

そして週末は、
久しぶりに「峠の会」参加。

今週は月刊商人舎9月号の入稿をしながら、
講演やインタビューや役員会。

暑い夏が終わっていくが、
残暑は残る。

さて、今日の日経MJ『射光線』
編集委員の田中陽さんが執筆。
「ユニーGとファミマの統合」

9月1日の経営統合で焦点となるのが、
両社のコンビニ加盟店の統合だ。
サークルKとサンクスの店名は、
少しずつファミリーマートに変更されていく。

12年前の統合のときから、
サークルKとサンクスはとうとう、
看板の統一もできなかった。
契約内容の同一化も果たせなかった。
ロイヤルティをはじめとする、
フランチャイズ契約の透明化と公平さである。

田中さんは鋭く指摘する。
「どこまで対等に持っていけるか」

そのとおり。
サークルKサンクスの低迷の底に、
それがある。

今回も同じだ。

「精神論はどうでもいい。
金銭面での対等に注目が集まる」

同感。

日経MJの『フード面』には、
スリーエフ社長の山口浩志さん。
5月26日に新社長に就任。
DSCN8304-6
その前の4月13日、
スリーエフはローソンと資本業務提携。

2期連続の営業赤字をいかに脱するか。

9月からスタートさせるのが、
「ローソン・スリーエフ」
両社協業の新フォーマット。

「ローソンのブランドを借りて、
店づくりをするが、
スリーエフの強みである、
店内で調理する焼き鳥は販売する」

「不安もあるが化学反応に期待している」

こちらも精神論や全体規模論ではなく、
いかに具体的な数字として、
成果を上げられるか。

経営統合は「現場の数値」が、
改善されねば成功とはいえないし、
意味がない。

それにしても、ローソンもファミマも、
サークルKサンクスもスリーエフも、
セブン-イレブン並みの、
本格的ウェザーMDを実行できるか。

月刊商人舎8月号では、
信田洋二さんに原稿を書いてもらった。
「セブン-イレブンの発注力とウェザーMD」
http://magazine.shoninsha.co.jp/wp-content/uploads/2016/08/Fotolia_27400804_L.jpg
これも熟読してもらいたい。

信田さんが様々なメディアに書いているが、
その原稿としては一番いいと思う。

信田さんから学ぶべきは、
スーパーマーケットへの提案ではない。
セブン-イレブンの考え方と仕組みである。

さて今年の9号も台風一過となるか。
それには十分に注意を払いつつ、
今週も、Good Monday!

〈結城義晴〉

2016年08月21日(日曜日)

【日曜版・猫の目博物誌 その15】ダリア

猫の目で見る博物誌――。
DSCN8963-2016-4-10-66666

猫の目は夜にも見える。
光のないところでも見える。
しかし色は見えにくい。
そんな猫の目で見る博物誌――。

2016年の夏も、
終わりに向かう。
20120819205853.jpg

夏の花といえば、
ヒマワリ、朝顔、そして、ダリア。20120819203320.jpg

あつき名や天竺牡丹日でり草
〈正岡子規 〉

和名は天竺牡丹。
花の形がボタンに似ているから。

英語でdahlia、
フランス語でもdahlia、
学名もDahlia。

その意味では世界共通。

dahliaの名は、
ダール(Dahl)という人の名からとられた。
スウェーデンの植物学者。
アンデシュ・ダール(Anders Dahl)。

その名をつけたのが、
カール・フォン・リンネといわれる。
スウェーデンの博物学者。
生物学者でもあり、植物学者でもあるし、
なにより「分類学の父」と称される。

ダールはその弟子。

リンネ著『自然の体系』(Systema Naturae)は、
1735年に刊行され、
ここから近代的分類学が始まった。

リンネは生物分類を体系化した。
生物の学名は、二名法。
つまり「属」と「種」の2語のラテン語で表す。
これはリンネの考え方に従っている。

分類の基本単位は、
「種」(しゅ、ラテン語も英語もspecies)。
その上の分類が、
「属」(ぞく、これもラテン語、英語ともにgenus)。

その上が「科」(か、familia、family)
目」(もく、ordo、order)
「綱」(こう、
classis、class)と、
上位の分類単位を設けられ、
それらは階層的にポジショニングされている。

 

リンネが生物の分類階級と分類構造をつくり、
それが発展して現代の精緻な階層構造となった。

日本語より、英語やラテン語のほうが、
はるかにわかりやすい。

夏の花「ダリア」は、
キク科ダリア属の多年生草本植物。
20120819203339.jpg

リンネの分類では以下のようになる。
植物界Plantae
被子植物Angiosperms
真正双子葉類Eudicots
キク類Asterids
キク目Asterales
キク科Asteraceae
キク亜科Asteroideae
ハルシャギク連Coreopsideae
ダリア属Dahlia
タイプ種Dahlia pinnata Cav.

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夏から秋にかけて開花し、
大きな花輪と鮮やかな花の色。
赤・橙・黄・白・桃色・紫色・藤色・ボタン色などなど。

ヨーロッパには、
1789年にメキシコから持ち込まれた。
まずスペインのマドリード王立植物園に、
種が導入され、
1790年に開花した。

その後、品種改良が重ねられて、
多種多様な品種が生み出された。

日本には1842年に、
オランダから長崎に持ち込まれた。

原産はメキシコで、
メキシコの国花。

「国花」は、
その国民に最も愛好され、
その国の象徴とされる花。

日本の国花は、もちろん桜。
アメリカはバラ。
ロシアはヒマワリ。

リオデジャネイロ五輪のブラジルは、
これがよくわからない。

イぺー(ipe)だとか、カトレアだとか。

まあ、いろいろあってもいいし、
それがブラジル人の特徴でもある。

色鮮やかで、
大ぶりのダリアの花。

なぜか夏の終わりを感じさせてくれる。
20120819203453.jpg

後れ咲の天竺牡丹活けて秋
〈正岡子規〉

ちなみにダリアに似たボタンは、
ボタン科ボタン属の落葉小低木。
二名法の学名はPaeonia suffruticosa。

猫の目は季節を読み取り、
分類も重視する。
DSCN8963-2016-4-17-666
もうすぐ秋です。

〈『猫の目博物誌』(未刊)より by yuuki〉

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