結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2013年02月11日(月曜日)

建国記念日とバレンタインデー「万有引力とは引き合う孤独の力」

Everybody! Good Monday!
[2013vol7]

2013年も第7週。
2月の第2週で、
今日2月11日は、
建国記念の日の祝日。
そして今年二度目の三連休の最終日。

「建国記念の日」の2月11日は、
1872年(明治5年)に制定された「紀元節」。
その紀元節は、紀元前660年の神武天皇即位の日。
『日本書紀』に書かれている。

ただし神武天皇は日本神話の人物。
つまりギリシア神話などと同様の神話。

その神話の天皇即位の日が、
日本では「建国記念の日」とされている。

アメリカは1776年7月4日の独立宣言の日が、
独立記念日。

フランスは1789年、
バスチーユ牢獄襲撃でフランス革命勃発の日を、
Fête nationale(パリ祭)とする。

中華人民共和国は1949年10月1日、
毛沢東が天安門で建国宣言をした日。
「国慶節」と呼ぶ。

ドイツはベルリンの壁が崩れ、
東西ドイツが再統一した1990年10月3日を、
「ドイツ統一の日」として建国を記念する。

ロシアも新しくて、
1991年6月12日、
ソビエト連邦から独立を宣言した日を、
主権宣言記念日とする。

そして韓国には二つの建国の日がある。
ひとつは、光復節と呼ばれ、
1945年8月15日のポツダム宣言によって、
日本から解放された日。
日本から見ると終戦記念日。

もうひとつは紀元前2333年、
檀君が古朝鮮王国を建国したとされる日。
日本よりもずっと古い建国神話から採用された。

この韓国の10月3日の「開天節」と、
日本の紀元節に由来を持つ「建国記念の日」が、
「神話」をもとにしている。

日本や韓国の建国の日は、
歴史の重みをもっていて、
しかも「神話」のロマンティックな要素を持つ。

ともに素晴らしい「建国記念の日」だと思う。
竹島問題でもめていることを悲しく思う。

(いな)、ということばを耳にする時に
白き椿のさびしさ満ちる

〈日経歌壇 東京・片山由加〉

司馬遼太郎は『この国のかたち』のなかで書く。
「八、九世紀における神仏習合は、
日本人最初の独創的な着想だった」
これによって、神話は守られ、
現在の建国記念の日がある。
日本人のイノベーション・アイデアのひとつ。

祝日法で、規定されているのは、
「建国をしのび、
国を愛する心を養う」

だから国でも会社でも家族でも、
それを愛する心を養うには、
他を知り、それを認め、
他との関係性のなかで
生きていくという姿勢を持たねばならない。

昨日の日経新聞『詩歌・教養』欄で、
ノンフィクション作家の後藤正治が、
谷川俊太郎の第一詩集を引用。
『二十億光年の孤独』

人類は小さな球の上で
眠り起きそして働き
ときどき火星に仲間を欲しがったりする

火星人は小さな球の上で
何をしてるか 僕は知らない
(或はネリリし キルルし ハララしているか)
しかしときどき地球に仲間を欲しがったりする
それはまったくたしかなことだ

万有引力とは
ひき合う孤独の力である

宇宙はひずんでいる
それ故みんなはもとめ合う

宇宙はどんどん膨んでゆく
それ故みんなは不安である

二十億光年の孤独に
僕は思わずくしゃみをした

隣国や隣会社、隣人との付き合いには、
二十億光年の孤独がある。

私は建国記念の日に、
そう思う。

しかし、まだまだ寒い。

寒月やさて行く末の丁と半
小沢昭一著『俳句で綴る変哲半世紀』(岩波書店)

寒さの中で、春を待つ。
不自由も自由も糧に春を待つ
〈朝日俳壇 枚方市・石橋玲子〉

小売業の店頭にも、
春の兆しが漂う。

スーパーの惣菜売り場の菜の花に
迷うが一月春まで待とうよ

〈日経歌壇 東京・安藤匡宏〉

建国記念の日から始まる第7週。
木曜日の14日は、
バレンタインデー。

しかしチョコレートをプレゼントする対象で、
いちばん多いのが「夫」だという。
一番少ないのが「付き合っていないが好きな人」で、
この比率は2.8%。

司馬遼太郎ではないが、
本来の目的は変容する。
それでもロマンティックなバレンタインデーが、
私たちに提供してくれる「テーマ資源」は、
力強い。

どの店が一番バレンタイン商品を売ったか、
社内で大いに煽って、競争してもらいたい。

今週は水曜日13日から金曜日15日まで、
スーパーマーケットトレードショー。
私は真ん中の木曜日14日に、
ビッグサイトを訪れる予定。

バレンタインチョコレートはいらないけれど、
会える人とはできる限り、お会いしましょう。
みなさんよろしく。
声をかけてください。

万有引力とは、
引き合う孤独の力である。

そのために今年の商人舎標語は、
「今日も一日、優しく、強く」

そして今月の標語は、
「志定まれば、気盛んなり」

ともに、よろしく。

では、みなさん。
Good Monday!

〈結城義晴〉

2013年02月10日(日曜日)

ジジと朝の仕事[日曜版2013vol6]

ジジです。
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ねむい。

ボクは、みなさんより、
ちょっとはやく、
季節を感じとることができますが、
光がかわってきました。

「光の春」といいます。

チェンバロのうえ。
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キッチンも。
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ベランダも。
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ちょっと、
ウキウキします。
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ほらね。
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光が、ちがうでしょう?

お花に、光。
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こちらにも。
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そうすると、
お花が元気になる。
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ボクも元気になって、
ハーゲンダッツ。
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それから、朝のおしごと。
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左手をなめます。
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ていねいに。
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たんねんに。
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それから、顔をあらう。
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きもち、いい。
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もういちど。
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耳のうしろも。
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なんども、なんども。
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ボクは左利きなんです。
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それから、舌で、
鼻をペロペロ。
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こんどは、右手。
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こちらも、ていねいに。
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そして、顔。
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おわります。
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おとうさん、
おわりました。
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そしたら、
つぎは、あれです。

おねがいしますよ。
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ねえ、おとうさん。

おやつじゃない「あれ」です。

〈『ジジの気分』(いつか写真集?)より〉

2013年02月09日(土曜日)

『書斎のゴルフ』のSTP・「飛ばし屋仲間」とウェグマンズ&HEB連携

北米のUSAニューヨーク。
大雪で非常事態宣言が発せられて、
寒い寒い。

一方、南米のブラジル・リオデジャネイロ。
リオのカーニバルが始まって、
こちらはサンバにのって、熱い熱い。

今年二度目の3連休の日本列島。
全国的に寒波に覆われ、
太平洋側はカラリと寒いものの、
日本海側は雪、雪、雪。

さて私はゴルフ関連の書籍や雑誌を、
密かに多読している。

アメリカに出張した時も、
帰国の空港で、
米国版『Golf Digest』など買いこんでくる。

日本のもので愛読しているのが、
『書斎のゴルフ』。
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発刊は日本経済新聞社で、
これがなかなかに優れものの雑誌。

メディアの世界でも大切なのは、
マーケティングのSTP。
セグメンテーション、
ターゲティング、
ポジショニング。

『書斎のゴルフ』は、
他のゴルフ雑誌と比べて、
このSTPがビジネス感覚で展開されている。

サブタイトルは、
「読めば読むほど上手くなる教養ゴルフ誌」とある。
ビジネス・エグゼクティブにターゲティングした雑誌。

顧客層がくっきりしているうえに、
その顧客の頭の中、心の中に食い込むポジショニングが精密。
だから広告企画も巧み。

セグメンテーションはさらに進み、昨年9月には、
別冊『60歳からの真剣ゴルフvol1』が発刊された。
私はその9月にちょうど還暦を迎えたので、
運命的なものを感じて、ファンになってしまった。

つまりこれはシニアマーケットを、
ターゲティングしたものだ。

こうして、トータル・マーケット・シェアを拡大していく。

さらにさらに、
単行本や文庫本との連携が図られている。
その『日経ビジネス人文庫』でも、
ゴルフ関連の本はよくできていて、
今、この文庫は経済やビジネスなど全ジャンルで展開されているが、
その中で最も売れているのは、
『岡本綾子のゴルフ上達指南』。
これも『書斎のゴルフ』から誕生した文庫本。

さて『書斎のゴルフ』vol16で、
佐久間馨さんが対談している。
「ゴルフが突然上手くなる頭の使い方とは?」
ゴルフ科学研究所主宰のゴルフスイング解析第一人者。

ゴルフ界にも、
流通小売業界のコンサルタントのような存在があって、
業界雑誌はそんな人たちが活躍する場。

佐久間さんは対談の中でズバリ語る。
「上手い人をゴルフ仲間に持つことです」

「飛ばし屋になりたければ、
技術的にどうと教わるより、
飛ばす仲間と遊ぶと
自然に飛ばし屋になります」

「ロンドンオリンピックで兄弟選手が何組かいたけど、
成績が上の選手はみんな弟か妹でしたね。
弟や妹は兄や姉に負けまいとして取組むから、
いつの間にか姉や兄を追い越す」

これは小売りサービス業の経営にも当てはまる。
小売りサービス業の知識商人にも該当する。

コンサルタントに「教わる」よりも、
同業の上手い仲間から「学ぶ」。

その時に必要なのは、
自分のロマンやビジョン、ポリシーに関して、
「同志」であって、先に進んでいる存在。

はっきり言えば、
小売りサービス業界では、
コンサルタントよりも、
実務家の方が進化している。

スーパーマーケットの世界では、
関西スーパーが革命的な仕組みを作り始めたころから、
この現象がはっきりしてきた。

関西スーパーに続いて、サミット、ニッショー、
そしてヨークベニマル、ヤオコー、
一時のクイーンズ伊勢丹、成城石井、
そして最近では阪食、ハローデイ、
さらに万代、ユニバース。

ディスカウントに関してはベイシア、オーケー。

年商50億円の企業は、
100億円、200億円の優れた先輩企業と仲間になる。

300億円、400億円の企業は、
500億から1000億企業と切磋琢磨する。

志が高くて、現在500億円でも、
2000億円、3000億円、そして5000億円を目指す企業は、
そのレベルの「飛ばし屋」企業とラウンドする。

それが自分を成長させるために、
いちばんよろしい。

アメリカのローカルチェーンでも、
ニューヨーク州のウェグマンズ
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テキサス州のHEB、
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そしてミシガン州のメイヤーとは、
戦略的提携関係にある。

もちろん1000億円企業や2000億、3000億企業も、
300億、500億企業のイノベーティブな「若さ」には、
自分が失いかけたものがあって、
仲間として受け入れる余地がある。

名著『チェーンストア』のなかで、
著者のゴドフリー・M・レブハーは、
アメリカにおけるチェーンストア成長の要因を4つ上げている。
第1は、チェーンストア方式自体に内在する長所、
第2は、チェーンストア経営者になった人々の資質、
第3は、自己の経営を条件の変化に合わせる弾力性を持っていたこと、
そして第4に、彼らの仲間の団体活動が効果的だったこと。

団体として活動しなくとも、
佐久間馨いうところの「飛ばし屋の仲間」こそ、
一番大切な「上達の方法」であると思う。

みなさん、良い三連休を。

〈結城義晴〉

2013年02月08日(金曜日)

ロピアとローソンと日本マクドナルド、好循環と悪循環の分岐点

今日は㈱プラージュ社長の磯浩一郎さんを迎えて、
商人舎の新業態開発会議。

これまでにないものをつくる。

プラージュは商人舎のサイトをつくり、
維持運営してくれている。

磯さんは誠に頼りになるITプロフェッショナル。

2カ月後に、
成果は表れる。
劇的に。

乞う、ご期待。

その後、㈱ロピア専務の高木勇輔君来社。
ロープライス・ユートピアを志向する。
私は、いわば勇輔君の後見役。

その勇輔君、3月1日に、
代表取締役に就任する予定。
おめでとう。

深いご縁を得て、
しかも勇輔君が経営者として優れた資質を持つことを、
早くから見抜いて評価し、
陰ながら支援している。

もちろん私は公正無私。
そのうえでの精神的支援。

いくつかの人生の問題の相談に乗り、
背中を押して、元気をつける。

全ての判断は、
勇輔君が自分で下す。

この関係、とても良い。

ちょっと大げさな言い方をすれば、
ジャック・ウェルチとピーター・ドラッカーの関係。

私はこんなリレーションを理想としている。

話が終って、本にサイン。
まず右手で、
万年筆で相手の名前を書く。

それから左手で、
筆で、心を込めて、
言葉を書き込む。

31歳の高木勇輔。
良い経営者になって、
大いに社会貢献してほしい。

さて、ローソンの「年収3%アップ」が、
いろいろなところで話題にあがっている。

今年2013年度から、
ローソン、九九プラス、ローソンHMVエンタテイメント、
3社の全社員5120人のうちの、
20歳代後半~40歳代正社員約3300人。

彼らの年収を年2回の賞与で、
平均3%、15万円引き上げる。

特に子供がいる社員には手厚く分配。
業績や査定により決まった金額に上乗せする。

その割り増し分は4億円程度。

しかしローソンの2012年度の連結純利益は、
前年度比34%増の334億円で、
過去最高。

きっかけとしての今年度は、
誠につじつまが合っている。

この施策が好結果をもたらし、
来年度の純利益を押し上げ、
それがまた社員年収を引き上げる。
それが一番いい。

私はこの「好循環」こそ、
会社にとって最も大切なものだと思っている。

逆のスパイラルに入ると、
会社が利益を上げるために、
あらゆるコストを削減する。
人件費をまず下げる。

そうすると、社員・従業員の意欲が減退し、
結局、売上げも利益も激減する。

この悪循環に陥ると、
取り戻しは難しくなる。

ローソンは好循環のスパイラルに入ろうとしているが、
一方、悪循環の入り口に立つのが、
日本マクドナルドホールディングス。

2012年12月期、
フランチャイズ店を含めた全店売上高は、
前期比マイナス1.0%の5298億円、
連結売上高は前期比3%マイナスの2947億円、
経常利益は14%マイナスの237億円。

9年ぶりに3000億円を割り、
既存店売上高も3.3%マイナス、
そして7年ぶりの経常減益。

原田泳幸会長兼社長のコメント。
「目先の経営ばかり集中しすぎたことが、
売上げを落とした一因」

60秒無料券キャンペーンも不発。
これは私の1月23日ブログの指摘通り。

四半期決算という「目先の経営」に集中し過ぎて、
本来の強みを忘れると、
日本外食産業のトップリーダーも、
悪循環のもがきに陥る。

高木勇輔君のロピアも、
「目先の経営」に目を惑わされず、
「10年先の経営」を目指してほしい。

それは全ての企業に、
共通していること。

もちろん新業態開発を志向する㈱商人舎においても。
以って自戒とすべし。

〈結城義晴〉

2013年02月07日(木曜日)

「流通の未来を自分たちでつくる会」と「虫・鳥・魚の目」「心の目」

サッカーの国際親善試合キリン・チャレンジカップ。
日本代表がラトビア相手に3対0で快勝。

国際サッカー連盟ランキングは、
日本21位、ラトビア104位。

負けるはずがないとは思っていても、
国際ゲームは何が起こるかわからない。

今年最初の試合で、
気分よくファイトしていたし、
その勝ち方もよかった。

国民に希望を与えてくれる勝利だった。

こういったことは、
消費や景気のマインドにも、
いい影響が出る。

いいぞ、いいぞ

そんな気分になってくる。
それが大切だ。

さて糸井重里の『ほぼ日』。
その巻頭言の「今日のダーリン」。

「人間に、上等も下等も、上品も下品もない。
と思いたいけれど、『なくはないよなぁ』とも思います」
これが糸井重里の問題意識。

「ただ、他人に『品格』を要求したり、
下品だの上品だの品定めしようとするというのは、
なんとも品のいいことではないような気がします」

「品格」というのは、
本当に難しい概念だし、
難しい行為である。

「人は、どこで生まれて、
どんな育ち方をしてきたかによって、
行動やら物腰やら価値観やらが変わってしまいます」
これは仕方のないことだと、
私も思う。

しかし。

「『品格』のある生き方をしている人が、
別の場所で生まれて、別の育ち方をしていてもなお、
その『品格』であったかどうか、
それを、『自身に問いかける』ことこそが、
ほんとうに大事なことなのだと思います」

すべてを失って、
生まれ変わっても、
私たちには品格があるのか。

これこそ人間の「アイデンティティ」である。

糸井さんは結論づける。
「あっちのほうがだの、こっちがややだの、
そんな比べっこするような上品下品を、
いったん抜け出してしまった地平
で、
ぼくにとって『上等』に思えるのは、
やっぱり、ものごとを平らに見ている人かもしれません。
それは、上下を超えて、上という気がします」

公平、公正に、
全てを評価する。

それが「品格」となる。
私も賛成。

人間のアイデンティティにかかわることだからである。

個人的に、恣意的に、独断で判断することなく、
ものごとを「平らに見る」。

私も「平らに見ること」が最も重要だと考えるものだが、
だとすれば、個人的・恣意的・独断は、
まったく信用できないことになる。

ノーベル賞やアカデミー賞、
日本文学の芥川賞・直木賞、
どんな賞も複数の客観的判断で決定される。

それは「平らに見る」ことを貫くためだ。
それが「品格」ある選考であることを保証する。
そしてそれが人類が考え出した民主主義の大原則である。

さて日経新聞に、
「小売業、値下げ広がる」の記事。

「えっ」という感じ。
自民党政権に転換し、
日経平均株価は1万1447円。
円は1ドル94円。

消費は回復、
デフレ脱却。

そんな空気の中、
「値下げが広がる」。

まず「無印良品」の良品計画。
2010年12月以来、2年ぶり。
対象は同社の全取扱品7500品目中、
食器や雑貨など約200品目。
値下げ幅は、1~3割。

なぜか。

良品計画の認識。
ニトリホールディングスなど競合に比べ、
消費者には割高に映っていると判断。
その兆候は、
2012年4月以降続く既存店客数前年割れ。

だから「利益を削ってでも新規客を増やしたい」
狙いは客数増。

これは正しい。

デフレ脱却だろうが、
消費回復だろうが、
商売の基本は客数にある。

もうひとつの事例は、
ホームセンターのカインズ。
3月に日用品を中心に値下げ品目を2割増。
メーカーと連携して価格を継続的に引き下げる。

「スーパーロープライス」商品を、
現在より2割多い800品目に増やす。

スーパーロープライスとは、
日用品のナショナルブランド商品を中心に
通常より2~3割安い価格で販売する商品群。

「競合他社の安売りや消費者の節約志向の強まりに対応する」
これが狙い。

良品計画とカインズ。
ポジショニングを確立した企業の判断。
「為替と株価が好況だから
高額品も売れるに違いない」
そんな短絡に陥らないことこそ、
学び取らねばならない。

さて今日は、
午後から田町のホテルJAL シティ。
「流通の未来を自分たちでつくる会」。
その第1回目の会合での講義。
イオンリテールワーカーズユニオン主催。
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昨年の第2期から彼らの趣旨に賛同し、
アドバイザーとして活動をサポートしてきた。

今年第3期は、アメリカ視察セミナーも担当する。
その事前ガイダンスの講義。

はじめに、 主催者の挨拶や、
昨年のアメリカツアー参加者の報告が行われた。
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その後、私の事前ガイダンス講義。
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日米で共通する小売業のミッション、
「鳥の目・虫の目・魚の目・心の目」で、
アメリカ小売業を学ぶことの意味。
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全米チェーンストア・ランキングとスライドによる解説。
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ポストモダンを実現させるために、
知識商人がカギを握ることなどを、
100分を超えて語った。
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そして質疑応答。
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なかなかに、
現場に立脚した鋭い質問ばかりで、
まことによろしい。
そんな感想を抱いた。

そのあとのグループディスカッションと発表が終わると、
昨年の第2回メンバーのコメント。
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19時からは場所を移して懇親の食事会。
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乾杯の挨拶は、森部達也さん。
イオングループ労働組合連合会副会長。
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「当事者意識を持て」と激励。
いい励ましの言葉だった。

初めて会った仲間と、今日一日を振り返り、
春のアメリカツアーを楽しみにしつつ、
参加者たちの会話は弾んだ。

今日の感想を求められて再び、登壇。
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私は、社会に貢献しようとするすべての人を応援したい。
それが企業だろうと、経営者だろうと、労働組合だろうと。
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今日一日、清聴してくれたみなさんに感謝。
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締めは、坂口浩一さん。
イオンリテールワーカーズユニオン中央執行副委員長。
アメリカセミナーの団長を務める。
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皆が丸く手を合わせ、「エイ・エイ・オー!」
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坂口流の締め、よかった。
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最後に、坂口さん、森部さんに、
東海グループ議長の上山功樹さんが加わって、
一緒に写真。
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皆さん、お疲れ様。
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外はすっかり暗くなったが、
気分は良かった。

サッカー日本代表の勝利の気分と似ていた。

〈結城義晴〉

2013年02月06日(水曜日)

伊藤園大陳コンテスト審査と2月決算予測特集のポジショニング戦略

今日は東京・横浜に雪。

玻璃窓(はりまど)に来て大きさや春の雪
〈高浜虚子〉

気象予報士の常盤勝美さんが言ったとおり、
成人の日のように積もりはしなかった。

朝方の雨が、
みぞれに変わって、
大きめの雪が舞う。
しかし立春のあとの雪で、
積もりはしない。

私は朝から、
東京・清水橋の伊藤園本社に向かう。
秋の大陳コンテストの審査会。

東急東横線で渋谷に出て、
山手線で代々木を経由して、
地下鉄大江戸線に乗り換え、西新宿5丁目駅へ。
これが通常のルート。

しかし、今日の関東圏は大雪注意報が発表され、
朝から交通機関が遅れ気味。
成人の日の1月14日は関東に大雪が降った。
だから私も、30分ほど早めに電車に乗りこんだ。
予想通り、電車は遅々として進まない。
それでもなんとか、渋谷までたどり着いた。

ところが、秋葉原駅で人身事故発生。
環状山手線が直前に全面ストップ。

仕方がないので、地下鉄副都心線で、
新宿三丁目駅へ向かった。

ところが山手線利用の客が一気に押し寄せ、
ホームは押すな押すなの大混雑。
地上に上がるまでに、15分ほどかかった。

山手線が止まると、なんて不便なのだ。

そんなことを思いつつ、
舞う大きめの雪の中、
伊藤園に到着。

会場は本社の地下1階。

いつものように、
本庄大介社長、
江島祥仁副社長、
本庄周介副社長。
三人の審査委員。

商人舎からは私と、
エグゼクティブ・プロデューサーの松井康彦、
そして㈱商業界の三浦美浩『食品商業』編集長。
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参加店舗数は今年も増え、プラス2074店舗。
その中から厳選された各コースの応募写真がテーブルに並ぶ。
それを審査員が1点ずつ丁寧に吟味し、
各自が入賞作品を選ぶ。
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最後にコース別の大賞と優秀賞を選考。
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その後、企業賞の大賞と優秀賞を選ぶ。
これは全員の議論。

今回は参考までに、
受賞辞退企業の優秀写真も並べられた。
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受賞は辞退しているが、コンテストに参加。
「参加することに意義がある」とする企業だが、
店舗は頑張って、本当にいい売場づくりをしている。

すべての審査を終えて、
このプロジェクトにかかわった全員で、
記念写真。
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ご苦労様でした。

本庄大介社長とは、
立教大学池袋キャンパスに昨年、
オープンしたタリーズの話をした。
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タリーズ・コーヒーは現在、
伊藤園傘下にあって、好調。

審査会が終わると、
江島祥仁副社長の部屋で、
抹茶と緑茶をいただきながら、
恒例の情報交換。

4月1日の月刊『商人舎』発行、
「紙(雑誌)と網(ネット)の融合」へのチャレンジなど、
商人舎6年目の施策をご披露しながら、
1時間半も話しこんでしまった。
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江島さんが持っているのが、
現在の月刊『商人舎』。
毎月のブログを編集し、
30ページほどの冊子にまとめ、
お世話になっている方々にお送りしている。

4月1日からはさらに誌面を刷新、充実させ、
商人舎ホームページと連動させて、
新しいメディアに仕上げる所存。
江島さんの評価も好感触。
ありがたい。

さて時間は遡って、昨日。
商人舎に来客。

まず三井物産㈱食品営業本部のお二人。
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右が、食品流通部加工食品営業部部長補佐の品田哲也さん、
真ん中は、同加工食品チームの中野真樹さん。

品田さんとは何度も一緒に仕事してきたし、
中野さんは昨夏、アメリカにご一緒した。

今年、三井物産と組んでまた、
海外の勉強会をやろうかという話になった。

夕方、やってきたのは、
立教大学大学院結城ゼミ第1期生ゼミ長の名古屋文彦さん。
名古屋さんは結城ゼミOB会長でもある。
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真ん中は、同じく第2期生ゼミ長の渋木克久。
渋木は現在、㈱商人舎チーフエディター。

名古屋さんは、OB会長として打ち合わせにやってきた。
来年度の結城ゼミのキックオフミーティング。
今年2年次を迎える大学院生は、
すでに履修希望届を提出済みだが、
4月に最終決定が出る。

そのゼミ候補生に向けて、
わが結城ゼミはOBがほとんど全員参加して、
キックオフ・ミーティングを開催する。

この打ち合わせのあと、
池袋で、各年度の責任者が集って、
OB会としての最終決定がなされた。

2013年度結城ゼミ
キックオフミーティング。

日時:3月9日(土) 午前10時~午後17時半
場所:立教大学池袋キャンパス 14号館

キックオフミーティング終了後、
18時より懇親会。

今から楽しみだ。

さて今日の日経新聞に、
「2月決算予想特集」
珍しく小売業が中心の記事となった。
タイトルは「消費減速、収益に格差」

コメントは、
「コンビニエンスストアは堅調だが、
値引き競争が激しいスーパーは苦戦が目立つ」

「最大手のイオンも、
総合スーパーの既存店売上高が前年を下回る。
ただ、クレジットカードなど金融事業の成長が
業績を下支えする。
調理済み食品の強化などで
年明け以降はGMSの売り上げは回復基調だ」
総合力がモノを言い始めた。

そのイオンリテール社長に、
梅本和典イオンディライト社長転任の新人事。
今日、発表。

「セブン&アイ・ホールディングス
品質にこだわった製品を割安で提供するPBが人気で、
既存店売上高が前年を上回って推移」
これはセブンプレミアム・ゴールドのこと。

イオンのコンペティティブブランドに対して、
セブンはクォリティブランド。

この対比的政策は全体として見て、
よろしいし、戦略的だ。

「同じくPB効果で
ローソン、ファミリーマートの業績も堅調」

記事はコメントする。
「コンビニは利便性の高さと総菜など中食の強化で
食品スーパーの顧客を取り込んでいる。
あおりでスーパーでは
消費者の低価格志向が強まり
苦戦が目立つ」

このコメントが、
食品スーパーマーケットの全体像を
表わしているとは断言できないが、
ポジショニングの観点のない企業に、
堪えていることは確かだ。

記事は、百貨店を「堅調」とする。
「高島屋は不動産事業の好調が、
J・フロントリテイリング
パルコの子会社化が寄与し営業増益を見込む」
しかし地方百貨店は、
見るも無残な状況。

総合スーパーと百貨店は、
衰退業態とみていいと思うが、
そうなるとほんの一握りの好調組と、
大半の絶不調組に分かれる。

個別企業で記事に取り上げられたのはまず、
ニトリホールディングス。
「機能性や耐久性を高めた家具、雑貨の販売が好調。
高価格帯の客層の開拓が進み客単価が改善する」
ニトリはディスカウンターではない。
独特のポジショニングが確立されている。

「為替の円安は海外生産家具の輸入採算悪化要因だが、
為替予約で悪影響を回避」
今後どこまで円高が進むか。
ニトリの心配事は、日本経済とは逆になっている。
しかし今期、「純利益は14期連続で過去最高へ」。

良品計画は、
「春夏は麻、秋冬はウールの衣料品販売が伸びる。
旅行をテーマにした販促で関連商品の売れ行きも好調。
好採算の衣料品の販売比率高まり、利益率改善。
経常最高益を更新する」

わが道を行く。
すなわちポジショニング戦略の好例で、
過去最高の経常利益。

最後に吉野家ホールディングス。
「牛丼が振るわず既存店売上高が苦戦。
焼鳥つくね丼など新メニューは堅調も補えず。
原材料の大半を占めるコメと牛肉の価格高騰で採算が悪化。
コスト削減を進めるも営業減益に」

来期の吉野家は、
米国産牛肉の輸入緩和という朗報がある。
本来の力が発揮され、採算は改善されるに違いない。

日経の見立ての通り、
収益格差が広がる。

ユニークな商売、
ユニークな経営、
ユニークな思想。

すなわちポジショニング戦略。

それが2013年を生き抜く道である。

〈結城義晴〉

2013年02月05日(火曜日)

人間の「利他行動」と人を集める「魔法」と駅ナカ・郊外SC開発

横浜商人舎オフィスの席替えをして、
私のスペースができた。
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6年目に突入ということで、
シンビジウムなど贈ってもらって、
気分はよろしい。

壁にかかっているのは、
私の好きなジャン・ジャンセン。

席移動した日の環境と比べると、
ずっと快適になった。
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気分は爽快だが、
天気はいまいち。

今夜から明日は雪になるらしい。

昨日は夕方から立教大学。
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仕事を終わらせると、
暗くなっていた。

そして今日からキャンパスは閉鎖され、
入学試験シーズンに入る。
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立教大学の入試は、
明日6日の経済学部・法学部などから始まって、
14日の社会学部とコミュニティ福祉学部・現代心理学部まで。
9日間で一応、大学入試は終わる。

ちなみにコミュニティ福祉学部・現代心理学部は、
社会人入試の対象学部。

受験生諸君には、
全力を出し尽くしてほしい。

さて「Harvard Business Review」日本語版2月号。
「ビッグデータ競争元年」の大特集を組んだ。

大量のデジタルデータの有効活用が、
競争のカギを握る。

そのための考え方と戦略を大特集したものだが、
アマゾン・ドットコムやシアーズ・ローバックが、
ケーススタディされている。

シアーズがビッグデータを活かして再生されるとは、
とても考えられないが・・・。

この号の巻頭に小田亮さんが、
「利他学のすすめ」と題して書いている。
名古屋工業大学大学院准教授。

「利他行動とは、行為者が損をして
その相手が得をする行為である」

人間に一番近い霊長類はチンパンジー。
「チンパンジー同士が協力し合わなければ
問題が解決できないような状況を実験的につくってやると、
彼らは相手が手助けを要求した時のみ、
相手に協力する」

しかし私たち人間。
「困っている人を見ると、
頼まれなくても手を差し伸べる」

これを利他行動という。
そしてこれを研究するのが「利他学」。

実験結果から得られた知見。
「人間は外見や身振りだけで
相手の利他性をある程度見極めることができるし、
利他的ではない人の顔を
無意識のうちによく記憶している」

小田准教授は、
人間が進化によって身につけたこの利他性は、
「経済活動」に重要な意味を持つという。

労働契約の多くは、
「不完備契約」である。
「労働者がすべきことを
こと細かに明記していない」からだ。

だから「労働者はなるべく
余計な仕事をしないほうが
自己利益になる」。

ところが、経済実験によって、
面白い結果が得られている。
「『雇用者』が賃金水準を高めに設定すると、
『労働者』の努力水準は最低値よりも少し高くなった」

雇用者の利他的態度に、
労働者が利他的態度で、
お返しをしたことになる。

人間の、チンバンジーとの違いこそ、
マネジメントの根幹にあるものだ。

もうひとつ面白い巻頭言。
おなじみの『ほぼ日』の糸井重里。

「何かがある、
そしてそれが魅力的であれば、
人は動き出すものです」

「ある時代にはアメリカ西海岸で金が出ました。
そしたら、それを掘ろうとたくさんの人が動きました。
ゴールドが、ラッシュを起こさせたわけです」

今年の米国スーパーボウルで、
惜しくも負けたフォーティナイナーズ。
そのチーム名は、ゴールド・ラッシュに由来する。

「ある時代には、鉄道会社の創始者が、
女性ばかりの歌劇団をつくりました。
これが人気でたくさんの人びとが動きました」

ご存知、小林一三と宝塚歌劇団。

「ある時代には、大量仕入れて大量に安く売る店が、
スーパーマーケットという呼び名で人気になりました。
それまでのように駅前や繁華街などではなく、
人通りの少ない安い土地に、大きな店が建てられました。
そこに、人びとは動いて行きました」

「人の集まる場所には、
さらに人が集まります。

集まる人を相手にする商売が成り立つからです。
そして、その人たちを相手にする仕事もできてきます。
人が集まるというのは、すごいことです」

しかしここからが糸井重里の真骨頂。
「人が集まるの根っこのところには、
かならず『魅力(チャーム)』という『魔法』があります」

「人が動き、人が集まるということは、
あらゆるものごとの活力そのものです」

「何もしないよりも失敗したほうがいい、
という言い方がありますが、
それも、まったくその通りだと思います。
失敗の方が、人が動くもの」

「そして、何もしないところには『魔法』もない。
「『魔法』つまり『チャーム』を生み出すことをやめたら、
ただ痩せて枯れていくだけだと思うんですよね」

さてさて日経新聞東京・首都圏経済版に、
「SC、駅前出店が続々」の記事。

日本ショッピングセンター協会の調査。
「2013年中に1都3県で開業するSCは
2012年比6割増の26施設」。

2007年には、29施設の出店があったが、
この時は、出店規制強化に伴う駆け込み出店。
それに次ぐのが今年。
3年ぶりの増加。

ただし、昨年12月に自民党が政権を奪回したから、
SC出店が増えたわけではない。

二つの傾向がある。
第1は、都市型の駅前店舗。
いわゆる「駅ナカ・駅近」。
3月21日、東京駅丸の内口、
旧東京中央郵便局の建物に、
商業施設「KITTE(キッテ)」が開業。
超高層オフィスビルJPタワー低層部に、
テナント店舗数98店。

これは丸の内ビルディング、
新丸の内ビルディングに次ぐ規模。
3月15日には、
小田急線相模大野駅前の「ボーノ相模大野」オープン。
これも駅北口と直結。
店舗占有面積を拡げるために、
北棟と南棟も分けて、3万3000㎡とした。
総事業費587億円。

昨2012年には、
渋谷ヒカリエや東京駅内の商業施設など、
駅と直結した大型施設が開業し話題をさらった。

3年前と昨年の2度、立教の結城ゼミでも、
「駅ナカ・駅近」の研究が進められ、
それが立派な修士論文となった。

開業が増える第2の理由は、
自治体のSCに対する姿勢の変化。

2007年に「改正まちづくり3法」が完全施行された。
これは商店街の再生を目指した法律で、
規制対象となった郊外型SCの出店は落ち込んだ。

しかし、商店街の衰退は止まらないし、
円高で工場の閉鎖や縮小などが相次ぐ。

大型SCは数千人の雇用吸収力を持つ。
「自治体にとって魅力的」。

今春開業予定の「イオンタウン新船橋」は、
旭硝子の工場跡地に立地。

4月開業予定の酒々井プレミアム・アウトレットは、
人口約2万1000人の町で、1000人の雇用。

自治体には、固定資産税や法人税などの税収が見込まれる。
「年間350万人の来場で観光の活性化にもつながる」。

埼玉県春日部市にはこの3月に、
イオンモール春日部が開業。
売り場面積は5万6000㎡。

初年度に1000万人の客数予定。
従業員数2400人のうち半分が地元雇用。

鉄道が主導する大型の駅ナカ・駅近と、
地方自治体が誘致する郊外SC。

人が動き、集まるところには、
魔法がある、活力が生まれる。

それを止めたら、
ただ痩せて枯れていくだけ。
多くの商店街のように。

人という「利他的」霊長類を集めると、
そこには「利他的」な現象が起こる。

自民党が政権に戻る前から、
この現象の予兆が現れていたのだ。

〈結城義晴〉

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