結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2009年02月25日(水曜日)

セブン-イレブン「見切りか廃棄か」問題に結論を出す

昨24日の日経平均株価は一時、7155円。  
バブル崩壊後の最安値を記録。
朝日新聞一面トップ。
「日米欧」
「株安 じわじわ」
先進国で、ジワリジワリと下がっている。
これは、深刻。
本質の問題、構造の問題だから。

さて、
セブン-イレブンの公正取引委員会調査の見切り問題。  
多くの方からご意見をいただいた。
感謝申し上げたい。

私の整理。
まず、この問題は、二つに分けて考える。
第1は、チェーンオペレーションの問題。
第2が、「見切り」という行為の問題。  


第1のチェーンオペレーションという側面から考えると、
今回の問題は、「個店経営」が第一義ではないことが判明したことになる。
チェーンオペレーションでは、標準化や統制が不可欠。
その標準化と統制の上に立って、個店経営がなされる。
安土敏さんのいう「作演システム」である。

日頃、セブン&アイ・ホールディングスが言っている「個店経営」の本質が、
図らずも、明確になったことになる。

その本部統制に、フランチャイジーの加盟店のうち、
従わない店が出た。
従わない店に、監督者であるスーパーバイザーが指導する。
「本部の指示は、全体最適のためです」  
加盟店は反論する。
「いや、自分の店があってこそ、全体だろう」  

レギュラーチェーンと呼ばれる直営のチェーンストアならば、
全く問題は起こらない。
これは、最初に書いた。
しかし、フランチャイズチェーンの加盟店は、
独立した資本家である。
だから本来、個店経営ではある。

ただし、それならば、冷たいようだが、
個人の意思をもって、他のチェーンに鞍替えしたらいいと、私は思う。
その自由は保障されている。
もしくは、チェーン全体に向けて、
「見切り」の提案をすべきだろう。

フランチャイズチェーンといえども、
チェーンストアである。
一部の店舗の事情が、
全体の顧客ロイヤルティを侵害すると考えられる場合、
本部は全体を優先する。

チェーンストアの鎖のたとえである。
一番弱い輪の強度が、
鎖全体の強度とイコールになる。  

チェーンオペレーションの統制と、
その枠組みの中での個店経営とが、
浮き彫りになった。
だから、極めて面白い事件だった。

しかし公正取引委員会で、「黒」と判定されたら、
これは法律の問題となる。
見守らねばならない。

第2の、「見切り」という行為の問題。
なぜ、見切りするのか。  
それは、在庫を売り切って、現金化するためだ。
間違いなく経営行為の一つの手段。
その意味では、生鮮食品や惣菜だけでなく、
衣料品でも雑貨でも、見切りはする。

生鮮食品や惣菜は、鮮度劣化したり、消費期限を超えたりすると、
商品価値は著しく低下する。
もしくは皆無になる。

だから商品価値がゼロになる前に、
安い値段をつけて、販売する。
顧客にも、それが店のルールとして、知れ渡っていれば、
顧客との約束を破ることにはなりにくい。

しかし、なぜ見切りする商品が生まれるのか。  
それは、売れ数の予測が狂い、
発注が過多になったからだ。

小売業は、最終販売者である。
そのあとの顧客は、商品を転売することはない。
最終販売者ということは、
誰かから買って、誰かに売る。
誰かから買うときに、ミスすると、在庫が残る。

この残った在庫の責任は、誰が取るか。
小売業者である。

本来、仕入れた商品、発注した商品は、
すべて売り切れることが理想である。

その理想主義的な経営をセブン-イレブンは、
一貫して追求している。

だからセブン-イレブン本部が考えるように、
見切りの前提があれは、発注の精度が落ちる。
これは確実だ。

見切りを認めたからといって、
廃棄の数量が減るかというと、それは違う。

ここには、おそらく、
8-2の原則が適用できるだろう。  

8割の加盟店は、見切りをうまく活用する。
2割の加盟店は、見切り制度があっても、
廃棄数量は、変わらない、あるいは増えるだろう。

これも推理の域を出るわけではないが、
従って、現在、セブン-イレブンの加盟店の中で、
発注精度が甘く、見切りしなければならない店は、
見切り制度が導入されると、発注はさらに甘くなり、
見切りしても廃棄は出るという矛盾に陥る。

いたちごっこになる可能性が強い。

「見切り」はあくまで行為であり、手段だ。
行為や手段の是非は、
その行為や手段が上手に活用できるか否かによって、
判断される。

野球のバントがいい作戦か悪い手段か。
それ自体の問題は、大きな戦略判断だが、
その前に、バントが上手か下手かの方が問題となる。

ただし、多くの方から指摘があったように、
生鮮品や惣菜の廃棄は、
地球環境問題や食糧問題、人口問題に関連している。

これは、世界の共通認識である。
だからこの問題に反することは、許されない。
損得より先に善悪を考えるべきだ。

セブン-イレブンの惣菜・弁当の「見切りか廃棄か」は、
従って、総量の問題となる。

生鮮や惣菜は腐るし、消費期限がある。
だから廃棄をゼロにすることは不可能だ。

それへの対応策として見切り制度を導入しても、
先の発注の甘い店が、
以前より多量の発注をしてしまったら、廃棄は出る。
すると、環境対応としては、マイナスになる。

しかし、セブン-イレブンが、企業全体として、
チェーン全体として、
現在以上に積極的に、廃棄総量を激減させることを、
第一目的化し、運動化するならば、話は別のことになる。

結論。  
第一は、セブン-イレブンが公正な取引に抵触するのか否かの問題。  
これは、法廷論争になるかもしれない。
事実がそれを証明する。
第二は、チェーンオペレーションと個店経営の問題。  
私は、セブン-イレブン本部に、論議の分はあると思う。
第三は、見切り制度を導入するか否か。  
これは、企業独自の方針であり、戦略問題。
セブン-イレブン本部にお任せすべき問題。
そして最後に第四に、環境問題と食糧危機問題。  
セブン-イレブンという日本最大規模の小売業には、
積極的に、先導的に、この問題に取り組んでほしい。
これは、私の要望。
商業現代化、商業基幹産業化という大目標のために。

見切り制度を導入すれば、
おそらくセブン-イレブンは、
最もバントが上手なチームになるはずなのだから。

<結城義晴>  

「月刊商人舎」購読者専用サイト
月刊商人舎 今月号
商人舎 流通スーパーニュース
月刊商人舎magazine Facebook

ウレコン

今月の標語
商人舎インフォメーション
商人舎スペシャルメンバー
商人舎発起人

東北関東大震災へのメッセージ

ミドルマネジメント研修会
商人舎ミドルマネジメント研修会
海外視察研修会
商人舎の新刊
チェーンストア産業ビジョン

結城義晴・著


コロナは時間を早める

結城義晴・著


流通RE戦略―EC時代の店舗と売場を科学する

鈴木哲男・著

結城義晴の著書の紹介

新装版 出来‼︎

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》
(イーストプレス刊)

新着ブログ
毎日更新宣言カレンダー
指定月の記事を読む
毎日更新宣言カテゴリー
毎日更新宣言最新記事
毎日更新宣言最新コメント
知識商人のためのリンク集

掲載の記事・写真・動画等の無断転載を禁じます。商人舎サイトについて
Copyright © 2008- Shoninsha Co., Ltd. All rights reserved.