結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2009年05月21日(木曜日)

コーネル・ジャパン、上田惇生先生のドラッカー経営思想の実践

とうとう関東地方に、
新型インフルエンザ感染者が出た。  

アメリカから帰国し、日本で発症。
東京・八王子市と神奈川・川崎市。

一方、日本の直近の1月~3月GDPは通年換算でマイナス15.2%。
昨2008年通年では、前年度比マイナス3.5%(実質)。  
統計上でも「戦後最大の経済危機」であることが裏付けられた。

さて、昨日からコーネル大学RMPジャパン第8回講義。
今回は、マネジメント問題。

まず、大高愛一郎事務局長から、
いつもの「フラットな?」レクチャー。
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13時からの第一時限は、4月度優秀課題レポートの発表。
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一番バッターは㈱ラルズの猫宮一久さん。
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サミットやヤオコーのオペレーションを学んで、
自社の改善改革を顧みて、発表してくれた。
「売り」を重視するアークス・グループの考え方が、
猫宮さんの発表に如実に表された。

二番手は、日清フーズ㈱の井上雅之さん。
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メーカーの立場から、スーパーマーケットのオペレーションを学んで、
いくつかの異次元の提案があった。
例えば、商品を梱包している段ボールの改革。
開封のしやすさ、開けた段ボールのたたみやすさ、
陳列しやすいダンボール形態、
カートラックのサイズにあった段ボールのサイズ、
そのまま陳列しても見た目にきれいな段ボールの色。
さらに商品そのものも、
スーパーマーケット店頭の作業改善につながる視点、発想が必要なこと。
そんな発表に、小売り側の同級生からも拍手がわいた。

三番目は、㈱成城石井の大久保恒夫さん。
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大久保さん自身が改革の中心になっている成城石井の作業改善。
店舗作業を分析して、三つの業務で60%が占められていることが判明。
それは①レジ業務、②品出し業務、③荷受業務。
ここで分かった六つの課題。
①レジ環境、
②レジルール、
③荷出し、
④前出し、
⑤倉庫整理、
⑥ワークスケジュール
この三つの業務改善策と六つの課題克服策の成功事例が、
理路整然と報告された。
大久保さんの報告にも、拍手喝采。

第二時限は、待ちに待った上田惇生先生の講義。  
本学主任講師でもあるし、ご存知、ドラッカーの分身。
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「ドラッカーの経営思想の真髄2」
ドラッカーの問題意識、
ドラッカーの時代認識。
そしてドラッカーの方法論。
今回は、方法論・実践論に重点が置かれた。

ホワイトボードに次々に書き込みながらの講義。
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ドラッカーの方法論のひとつは、「モダンからポストモダンへ」。
ポストモダンの七つの作法。  
①見る、そして聞く
②分かったものを使う
③基本と原則を補助線として使う
④欠けたものを探す
⑤自らを陳腐化させる
⑥仕掛けをつくる
⑦モダンの手法を使う  

この七つの手法が溢れるようなドラッカーの言葉をもって、
説明された。

二番目は「一流たるための七つの心得」  
ここで大切なのは「真摯であること」
英語でいうIntegrity。  

三番目は「ビジネスリーダーの七つの心得」  
これは、①姿勢、②計画、③行動の三つに分かれる。
とりわけ二つの姿勢が大切。
「為されるべきことを考える」
「会社のためを考える」
会社のためとは、「世のため人のためにある会社のため」
これは近江商人の三方良しの「世間良し」と全く同意。

最後に、上田先生の好きなドラッカーの言葉。
「成果をあげる人とあげない人の差は才能ではない。
いくつかの習慣的な姿勢と、基礎的な方法を、
身につけているかどうかの問題である」  

もう一つ。
「組織に働く者は、
組織の使命が社会において重要であり、
他のあらゆるものの基盤であるとの信念を、
もたなければならない。
この信念がなければ、
いかなる組織といえども、
自信と誇りを失い、
成果を上げる能力を失う」  

上田先生は、言った。
「この『組織』というところを『流通』に置き換えてみてください」

皆さんも、置き換えてみてほしい。

私、上田先生がそう語った瞬間に、
涙が出てきた。
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休憩中の控室。上田先生、荒井伸也先生と。
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第3時限は、荒井伸也首席講師の講義。
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「組織づくりとコミュニケーション」  

荒井先生も、ホワイトボードに書きながらの講義。
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荒井先生の講義の第一は、組織と人間の関係から。
規範的・古典的組織論と行動科学的・システム論的組織論。
前者は軍隊的組織論、後者は納得づくの組織論。

第二は、組織の諸類型。
これがユニークな視点。
チームプレー型組織と個人プレー型組織。
さらにヒト、モノ、カネ、情報の四つの経営資源に基づいて、
ヒト型、モノ型、カネ型、情報型、そのバランス型。

第三が、スーパーマーケット・チェーンの組織の特色。
典型的なチームプレー型で、なおかつバランス型なのが、
スーパーマーケットのチェーンストア。

荒井先生の講義は、この認識を前提として、
機能分担、コトバによるコミュニケーション、
文書によるコミュニケーション、
そしてマニュアルの意味。
荒井先生の講義は、
小売業の理論化そのもの。

上田先生のドラッカー論を、
スーパーマーケット・チェーンストアに翻訳した講義。

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今日も充実していた。

コーネル大学リテール・マネジメント・プログラム・オブ・ジャパン。
極めて快調です。

誰にというわけでもなく、
感謝したい気持ちでいっぱいだ。

<結城義晴>  

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