結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2009年09月02日(水曜日)

日本のスーパーマーケットの基礎をつくった男・北野祐次

今日は、9月2日。
二百十日の次の日、
すなわち二百二十一日。

立春から数えて、210日目を二百十日という。
台風襲来が始まる時期。

そしてこの二百二十一日は、
私の57回目の誕生日。

目出度くもあり、
目出度くもなし。  

よく生きてきたという感謝の念、強し。

それにしても、8月も、小売業の営業は芳しくなかった。
大手百貨店5社の8月の既存店売上高が一番最初に発表された。
前年同月比8~11%マイナス。
衣料品不振、月末の台風来襲、衆議院選挙の影響、などなど。

9月も、依然、状況は変わらず。
「無呼吸泳法」は続く。  

さて、9月最初の日は、関西へ。
兵庫県の伊丹市、関西スーパーマーケット。
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昭和52年以来、32年間。
何度、ここに通っただろう。

昭和53年の初めには、
「関西スーパー1週間研修」をさせていただいた。

ちょうど、伝説の店「広田店」がオープンした後で、
この店は、日本中のスーパーマーケットのモデルだった。

私はそのモデル店で、
青果・鮮魚・精肉・店長実務など、
1日ずつ研修を受け、取材をし、
『販売革新』誌に、連載特集を書いた。

高橋英松さんという先輩記者と、
入社したばかりの1年生記者の私。

高橋さんは、2~3日やってきて、取材。
私は1週間泊まり込みで、研修と取材。

そしてやがて完成したのが『関西スーパースタディ』。
これは日本のスーパーマーケットの教科書になった。

そしてこれが、私の原体験となった。
商業の世界の応援団で生きていく決意をさせた。

その時からの大恩人・北野祐次名誉会長のインタビュー。
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商人舎と商人ねっとの共同企画CDオーディオセミナー。
タイトルは「知識商人登場」
北野さんは大正13年のお生まれで、今、85歳。
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20歳で徴兵され、幹部候補生となったが、
終戦を迎え、国鉄へ。

その後、山に魅せられて、
親に迷惑をかけるほどに、山へ。

しかし、本当によく働いた。
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その後、結婚し、国鉄を辞め、
鰹節の卸売の商いに入る。

その取引先として、
スーパーマーケットと出会う。

このあたり実にドラマティック。

卸売りで、掛け売りの苦しさを味わっていた北野さんが、
その売掛金を回収に行った先で見たスーパーマーケットは、
お客さんが、わざわざ現金で買い物に来てくれるし、
セルフサービス方式で自分で買って下さる。

福岡県小倉の丸和フードセンターだった。
紀ノ国屋がスーパーマーケット第一号と言われるが、
地方都市の大衆相手のスーパーマーケット第一号は、
丸和という説も有力。

その丸和と、高知スーパーで、衝撃を受けた北野さんは、
自分もスーパーマーケット事業に乗り出す。
昭和34年12月のことだった。
だから今年、関西スーパーは50周年を迎えた。
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その後、昭和42年、初めてアメリカへ。
ハワイの「タイムズ」という店の店長に言われた。
「食べるものだけ売るのが、
スーパーマーケットだよ」  

これが、北野さんの原点となった。

そんな創業期の話から、
「関西スーパー方式」として名高いシステムづくり、
そして商売の哲学まで、
2時間余り、あっという間に時は過ぎた。

北野さんは、左眼が悪い。
(私は、右眼が悪いが)  

だから、かつてに比べて、
北野さんの元気は、少し、欠けた。

しかし、今回の私のインタビュー、
快くお引き受け下さった。
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依頼内容にも、丁寧に目を通され、予習の書き込みがあった。
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その書き込みを、大きな虫眼鏡で見ながら、
お話しくださった。
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しかし、スーパーマーケットの話題を続けていくうちに、
北野さんは、みるみる、元気になられた。
その様を、写真で見ていただこう。
300点ほどの写真から選りすぐった20点。
ご覧いただきたい。

日本のスーパーマーケットの基礎をつくった男の、
自分の仕事にかける魂のようなものが、
写真の表情や手振り身振りに、表れてくる。
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「それはでんなあ」
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手を広げ…。
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「いやあ」
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にこり。
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人差し指で、テーブルを押さえ。
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「なるほど」
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「ジャンケンポン」ではありません。
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「これが大事なんや」
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顎に手を。
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「ふむふむ」
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最後は「人」です。
その人の「和」です。  

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そういって、北野祐次さんは、
大きな額の書を、指さした。

これが結論。

そして最後の写真。
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私は、うれしそうな顔。
北野さんも満足そうな顔。

自分の誕生日の前の日の、
一生忘れられない対談だった。

その30分後。
本部下の関西スーパー中央店の写真撮影をしたあとで、
四人の懇談。

井上保代表取締役社長、
玉村隆司専務取締役。
そして柿木幹雄総務グループ総務チーム・チームリーダー。
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皆さん、なぜか、安堵の表情。

ありがとうございました。

<結城義晴>  

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