結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2011年10月04日(火曜日)

[帰国してからの米国報告]その1・ホールフーズ「小さな、継続的イノベーション」の悲観と楽観

「悲観の中で生まれ、
懐疑の中で育ち、
楽観の中で成熟する」

米国の「相場の格言」。

しかし、こんな意見もある。
「世界景気には緩やかな不況か、
厳しい不況しか残されていない」

ニューヨーク大学ルービニ教授。

一方、米資産運用会社ピムコのビル・グロス最高投資責任者。
「世界の政策当局者がもし構造問題の解決に注力できれば、
不況を何とか回避し、
ニューノーマルにおける成長が可能になるかもしれない」
<日経新聞「ウォール街ラウンドアップ」から>

帰国して、1日。
旅の疲れをとりつつ、
執筆、テキストづくり。

次と、次の次が、控えている。

悲観論と楽観論。
その間の懐疑論。

どうも現時点では、
悲観論一色のようだ。

穏やかな不況か、
厳しい不況か。

「最悪を覚悟して、
最善を尽くす」

しかし、日本には、いいニュースもある。

新車販売に回復の兆し。
東日本大震災の影響に限らず、
1年間、落ち込んでいた。

9月の軽自動車を含む国内販売台数。
前年同月比2.1%減の46万2192台。
13カ月連続マイナス。

だが、下げ幅が少なくなったし、
46万台も売れている。

8月は前年同月比でマイナス22.4%。
大幅に縮小。

普通車はプラス1.77%で、
これが31万3790台。

こちらは13カ月ぶりの増加。

トヨタ自動車が0.7%増、
マツダが8.4%。

全滅ではなく、どこかが良い。

「どこかで春が」なんて童謡もあるくらいで、
どこかが良くなれば、風は吹く。

ヨットなど、
まったく風がないなぎの状態でも、
操作次第で前に進む。

風があれば御の字。

穏やかな不況か、厳しい不況か、とはいっても、
特に小売りサービス業は、
操作次第。

アメリカの絶好調組の実態を写真で紹介しよう。
今日はホールフーズ・マーケット。
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言わずと知れたオーガニック・スーパーマーケット世界第一。

2010年度の売上高90億0600万ドル。
いつものように1ドル100円換算すると、
9006億円にもなる。
売上高の伸び率は12.1%。
既存店の伸び率も7.1%。

純利益は2億4600万ドル、246億円。
この伸び率は67.3%とV字改革。
リーマンショックから完全に立ち直った。

期末店舗数も299まで伸びた。

渥美俊一先生の口癖。
「200店つくらなけりゃ、
チェーンストアじゃない」

ホールフーズはもう300店に手が届く。

店頭はハロウィン一色。
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その徹底ぶりがすごい。
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入り口を入ったところに、each(1コ)99セントのリンゴ。20111004200449.jpg

この店は青果部門だけ、
ワンウェイ方式で誘導するが、
左手はジュースやカットフルーツ。
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平台で奥に誘導する。
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入り口右手には、花売り場。
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これはアメリカのスーパーマーケットの定石。
日本でも本格的にイノベーションを図るべき。

中央平台手前に並ぶのは、
オーガニック・マンゴー。
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右手壁面は多段ケースで、
ピーマンやパプリカがカラーコントロールのお手本のよう。
上段はペッパー。
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「アンディ・スコア」の啓もうにも力が入る。
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右手のコンセプト・ボード。
オーガニックとは何か、
ローカルとは何か、
アンディ・スコアとは何か。
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ホールフーズのパネルには、
深い深い意味がある。
思いつきの内容ではない。

「地産地消」のLocal(ローカル)のパネル。
ホールフーズはファミリー・ファームをサポートする。
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左翼壁面はホールフーズ自慢のオーガニック野菜売場。
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平台の前面はアーティチョーク。
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平台にはアスパラガスとトウモロコシ。
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左が赤いトマト、中央が緑と黄色のレモン、
右が深緑のアボカド。
これをカラーコントロールという。
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ホールフーズのバナナ売り場。
左から黄色、青と、食べごろが違う。
それをお知らせしている。
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バナナが「フェアトレード」であることを訴えている。
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「Quality & Convenience」と訴求されたカット野菜のコーナー。
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左上からオレンジジュース、
左下は卵、
真ん中からサラダ葉物。
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そして朝食の提案。
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フレッシュ・ディップとカットフルーツ。
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真ん中は「オーガニック・ココナツ・ウォーター」。
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バケツに盛られた根菜類の島陳列が青果部門の最後にくる。
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この一角が新設された「ドライフルーツ・デポ」。
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「100%オーガニック・ビーガン・フード」と看板がある。
「べーガン」とは純粋ベジタリアンのこと。
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ドライフルーツが大量に保管された、まさに「デポ」。
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上段はパックに入ったドライフルーツ。
最下段はバルク販売。
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対面方式の鮮魚売り場。
これほどの品ぞろえも鮮度も、
他社にはない。
「シーフード・マーケット」と名付けられている。
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切り身はトレー陳列。
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フレッシュ・フィッシュは敷き詰められた氷の上に並べられている。
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真ん中の青い帯には、
「MSC」など環境・安全の説明。

対面売り場の鮮魚とシーフード・スープバー。
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青果部門と鮮魚部門の間に、
北米伊藤園の「ティーズティ」のペットボトルのアイランド。
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シーフード・マーケットの前には、
イートインの店内レストラン。
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ぐるりと囲むように、
テーブル席が設けられている。
この時、テーブルと椅子の位置が、
通行する顧客の目線よりはるかに高い。
それが大原則。
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Dairyは乳製品の売り場。
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大量のプライベートブランドが並ぶ。

ケージ・フリーなどが主体となった卵売り場。
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そして店舗中央壁面の精肉対面売り場。
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最近の工夫、
ガラスのRケースにペインティングしてアピール。
「Local Beef」
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飛び切りの豚肉、鶏肉売り場も商品は縦陳列。
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質問すれば必ず丁寧に答えてくれる。
試食を頼めば、快く提供してくれる。
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これもガラス・ペインティングされた自家製ソーセージ。
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対面に多段ケースのロテサリーチキン。
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生パスタ・ショップ。
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これだけ集めると他の追随を許さない。
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ワインショップにつながる。
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精肉とチーズ、デリとにまたがっているワインショップ。
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ワインショップを抜けると店舗右翼のサービスデリのコーナーへ。
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真っ先に目に飛び込んでくるのが、
円形の寿司コーナー。
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チーズ売り場も広大で幅広い品揃え。
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「The ABC’s」と名付けられたショップ。
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その真ん中の売り場。
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量販するチーズは2種類。
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サンドイッチ用のハム売り場。
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大皿盛りのデリ。
オーガニック素材で調理されている。
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ビストロメニュー。
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注文に応じてサンドイッチをつくってくれる。
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続いてピザの対面売り場。
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最後はナチョス(Nachos)の対面コーナー。
これにも人が集まっている。
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サービスデリの中央にはバーが並ぶ。
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サラダバー。
もちろんオーガニック野菜を使っている。
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温野菜のバー。
こちらもオーガニック主体。
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メニューはこんな感じでカラフル。
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デリとスープバー。
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ホールフーズの青果売り場を見て、
「ロスはどのくらいあるのか」との質問が多い。
大半はデリとして商品化するから、
ロスはほんのわずかとなる。

入り口近くにケーキ売り場。
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そして当然ながらバゲット。
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インストアベーカリー。
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クッキー売り場。
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中通路を戻ると、ゴンドラエンドは高い。
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人がついてジュース販売。
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ワインショップのエンド。
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チーズが関連販売されている。
スキンケアも健康志向。
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そしてリーチインケースの冷凍食品。
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リーチインケースの通路には、
1品大量の島陳列。
リーマンショック以降、
スーパーマーケットの原則回帰。
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大量陳列のエンド群。
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エンドはペットフード。
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これも伊藤園の「ティーズティ」のエンド。
伊藤園の売り込みはすごい。
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青果部門の裏側に戻って、
バルク売り場。
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レジはいつも混んでいるが、
顧客を待たせない。
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右翼入り口付近が人の出入りが激しい。
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店舗入り口横に料理教室。
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キッチンがあり、調理道具とテーブルが並んでいる。
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ホールフーズはこの2年ほどで、
すっかり元気を取り戻した。

悲観論から楽観論へ。
そのイノベーションの推移を私は見てきた。

それは小さな継続的な改善の繰り返しと積み重ねだった。
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小さな変化を見逃してはいけない。
小さな改革を見過ごしてはならない。

自分のイノベーションへの挑戦を考えれば、
それはすぐにわかる。

小さなことの継続、積み重ね。

それが悲観を楽観に変えてくれる。
(明日につづきます)

<結城義晴>

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