結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2013年01月19日(土曜日)

石川県の東京ストアー民事再生法申請、商人の本籍地と現住所

この1週間、頭痛がした。
よく見ると頭部に湿疹がある。
病院に行ったら、
帯状疱疹と診断され、
強力な薬を処方してくれた。

そのまま午後から立教大学。
結城ゼミの論文審査会発表練習。

論文の出来栄えはいいので、
私は安心しているが、
発表する当の本人たちは、
気が気でない。

終ったら、陽が暮れてしまったが、
池袋の立教キャンパスは、
雪が残って美しい。
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ゼミはホットだったが、
キャンパスはクール。
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伝統の第一食堂が輝いて見える。
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伝統といえば、
東京ストアーが、金沢地裁に、
民事再生法適用を申請した。
昨日、2013年1月18日のこと。

伝統のあるスーパーマーケットだ。
1959年(昭和34年)創業。

石川県金沢市発祥の企業だが、
「東京ストアー」というネーミング。

創業者の故箕田会長は、
気骨のある商人だった。
商業界同友会にも参加していた。

石川県のローカル・チェーンとして、
最大18店舗を展開。
2001年3月期決算では年商182億円。

昨2012年3月期には、
年商136億円で、2億5000万円弱の赤字。
負債総額は約55億円。

石川県内11店舗の営業は継続される。

2011年9月から中小企業金融円滑化法を利用、
金融機関に借入金の返済条件を変更してもらって、
その間に3店舗を営業譲渡。

しかしこういった時には、
条件のいい店しか売れない。

だから経営改善は、
なかなか進まない。

東京ストアーは、
オール日本スーパーマーケット協会に加盟しているが、
その機関誌の『AJSネットワーク』に、
毎月毎月、私はもう5年以上も連載原稿を書いている。

「スーパーマーケット応援団長の『辛口時評』」。
今週月曜日の成人の日に原稿を送って、
火曜日に校正をして、2月1日に発行される2月号。

連載第63回目のタイトルは、
「商人の本籍地と現住所」。

リード文は、こうなっている。
「中小企業金融円滑化法期限切れで、
倒産や企業統合が起こる。
その時の心構えは?」

「日本のスーパーマーケット業界に関して、
今年最大の出来事は、
企業統合や合併、買収だろうと思います。
そしてこれは経営者にとっても、
働く人たちにとっても、直接、
自分の人生に関わる問題となります」

ズバリ当たってしまった。

会社が倒産しても、
民事再生法や会社更生法を適用されても、
商人にはまだまだ十分に、
良い人生の可能性が残っている。

まず、このことを言いたい。
嘆き悲しんだり、諦めたりする必要は、
まったくない。

こんな時の考え方は、
「商人の本籍地と現住所」。

商人の本籍地は、初めて入った会社、
あるいは経営者として代々、受け継いできた会社。

商人の現住所は、
買収・合併されて移籍する会社。
あるいは退職して、転職する会社。

本籍地は変わっても、
現住所で精一杯生きる。

それが商人の本籍地と現住所。
日本人はだれもがそうして生きている。

本籍地で学んだこと、身に着けたことは、
何一つ無駄にはならない。
商人を止めてしまわない限り、
必ず現住所で活かされる。

東京ストアーは民事再生を申請して、
自力復活を意図する。

それが成就するのかどうかは分からないが、
精一杯、努力するしかない。

東京ストア-のホームページには、
代表取締役・箕田秀夫さんの名で、
「民事再生申し立てのお知らせ」が出ている。

「このような事態に至り、
お客様・お取引先の皆様を初めとする関係者の皆様に
ご迷惑・ご心配をお掛けすることとなりましたことにつき、
誠に申し訳なく、心からお詫び申し上げます。

ご高承のとおり、民事再生手続は
会社が再建していくための手続です。
従って、弊社の経営する各スーパーマーケット店舗は、
原則これまでどおり営業を継続いたします。

弊社としましては、皆様にお掛けするご迷惑を最小限に留めるべく、
事業再建に向けて最大限の努力をする所存でございますので、
誠に勝手ではございますが、今後ともご愛顧・ご高配賜りますよう、
よろしくお願い申し上げます」

このお詫びの文章は、いい。
箕田さん、頑張れ。
東京ストアーの皆さん、頑張れ。

いまこそ、真価が問われるときだ。

1997年9月に、
ヤオハンが破たんした時にも、
伊豆のお店にはお客さんがわんさか訪れて、
買い物してくれた。

私はこの目で目撃し、感動した。

これまでのことは、振り返るな。
明日だけを見つめて、
お客様と仲間とお取引先のことだけを考え、
行動せよ。

特にトップは、
自分のことは二の次、三の次、四の次、五の次、
最後にせよ。

それが責任を取るということだ。

そうすれば、むしろ、
堂々としていることができる。
凛としていることもできる。
真すぐ前を見詰めることができる。

会社を手放すことがあるかもしれない。
それでもお客様、従業員、お取引先のことを考えよ。

商人は顧客と共に生きる。
仲間と共に生きる。

会社と共に生きるのは、
第二次的な要件なのだ。

〈結城義晴〉

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