結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2013年01月02日(水曜日)

2013年を考える――「相対化」必要な日本国と小売りサービス業

3が日のあいだは、年賀状。
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一陽来復。
陰の気がきわまって、陽の気にかえること。
悪いことが続いた後で幸運に向かうこと。

もちろん、新年が来ること。
冬が終わり春が来ること。

今年も、よろしくお願いしたい。

そして今年の商人舎標語。
今日も一日、優しく、強く。

さて、2013年最初の取引は、
香港為替市場。
1ドル87円台となる。
約2年と5カ月ぶり。
1ユーロは115円台後半に。

円安は進む。

この一年、
どうなるのだろう。

何ごとも、正当・妥当な評価がいい。

例えば「士農工商」。
司馬遼太郎の『この国のかたち』(文藝春秋)
「74 士」の項にでてくる。

「士農工商というのは、中国のことばである。
紀元前の中国の古典『国語』にすでに見えていて、
以後、中国や朝鮮における儒教文明の
四民の分け方の慣用句になってきた」

1817年に来日した朝鮮通信使の申維翰は書いた。
「国に四民あり、兵農工商」
士を兵に置き換えた。

私は『メッセージ』(商業界刊)のなかで書いた。
「ずっとずっと昔、『士農工商』は
フィジカルな能力の高い順に位置づけられたのだ。

最も強い者が、
人間を打ち倒す軍人になった。
次に強い者が、自然と闘い、
農作物を生産する農民となった。
三番目に強い者が、
道具を使ってモノをつくる工の民となった。
そして一番体の弱い者が、
商人となった」

「兵農工商」とすると理解しやすい。

いずれにしても、商はいちばん下に置かれた。
歴史的に、日本だけでなく、中国、朝鮮でも。

しかし現代、
その商の役割はとても重くなった。
重くなって、工や農、兵や士(どちらも今の日本にはないが)と、
変わらぬ価値を持つに至る。

それなのに特に「工」に対して、
低いという社会的意識が残っている。

高すぎてはいけないし、
低いままでもいけない。

正当・妥当に評価されることが、
いいのだと思う。

日経新聞の元旦号の特集13。
「知は社会とともに」

哲学者の國分功一郎さん。
高崎経済大准教授。

「専門家には2つの役割がある。
専門性を徹底的に掘り下げることと、
それを一般にわかりやすく伝えること

その両方ができないと専門家とはいえないと思う」
私も、この意味で「専門家」でありたいと思う。

どちらか一方では、足りない。
國分さんはそれを言う。

さらに言う。
「これからの日本の社会をポジティブに見ている」

「若い人たちは『将来に期待しない』というけれど、
それは受け身なのではなく、
積極的に『社会をよくしよう』という意志の表れ。
これから社会の中核を担う年代に入っていけば、
きっと様々な変化を起こしていくと思う。
大学を中心とする知の世界ももっと開かれていくはずです」

その通りです。

もうひとりの発言者は、
「行動する評論家」の荻上チキさん。
「僕らはいつまで『ダメ出し社会』を続けるのか」
幻冬舎新書の著作が話題になった。
サブタイトルは「絶望から抜け出す『ポジ出し』の思想」

「これはだめ、あれもだめ、
というのは知識人のやることではない。
現状を批判するだけじゃなくて代案をちゃんと出す。
それをやっていくのが自分の仕事だと思っている」。

批判する。
代案を出す。

荻上さんは続ける。
「効果が限定される施策は
『根本的な解決にならない』と全否定されがち。
でもそれは違う。
10の問題がある場合、
まず1を直す。

革命を起こそうとするのではなく、
小さな抵抗を積み重ねていった方が
現実的に社会を変えられます」

まさに、「ひとつずつ、すこしずつ、いっぽずつ」
朝日新聞の元旦の社説。
混迷の時代の年頭に―
「日本を考える」を考える

「日本を、取り戻す。」(自民党)
「日本再建」(公明党)
「したたかな日本」(日本維新の会)……。

日本という言葉があふれているのに、
「未来の日本についてはっきりしたイメージ」はない。

社説は一つのヒントを与える。
「国家の『相対化』」

1997年に坂本義和が、
『相対化の時代』(岩波新書)を刊行しているが、
その概念がここで今、使われている。

「国家がグローバル市場に力負けして、
地方にも負担を引き受けろというのなら、
そのかわりに自分たちで道を選ぶ権限も渡してほしい」

「国家主権は上から浸食され、
同時に下からも挑戦を受ける」

ハーバード大学マイケル・サンデル教授の『民主政の不満』にある。

「国境を越える資本や情報の移動」によって上から浸食され、
「国より小さな共同体からの自治権要求」によって下から挑戦される。

そこで期待できそうな国のかたち。
「国家が主権を独占しないで、
大小の共同体と分け持つ仕組み」

小売流通業・サービス業は、
この「国家の相対化」のなかで、
むしろ有効に機能すると思う。

「時代はゆっくりと、しかし着実に
その方向に向かっているように見える。
『日本』を主語にした問いが的はずれに感じられるときがある
とすれば、そのためではないか」

チェーンストアでいえば、
ナショナルチェーンがなくなるわけではない。
しかし業種・業態ごとに、
それは限られてくる。

ナショナルチェーンとローカルチェーンが、
互いに正当な競争を展開しつつ、
どちらも共存する状態。

ナショナルチェーンだけを主語にした問いや問題提起が、
的外れになると感じられるときが、今だ。

社説は説く。
「国家はまだまだ強くて大きな政治の枠組みだ」

「国家以外にプレーヤーが必要な時代に、
国にこだわるナショナリズムを盛り上げても
答えは出せまい。

国家としての『日本』を相対化する視点を欠いたままでは、
『日本』という社会の未来は見えてこない」

これは「国家を絶対化するな」ということ。
「流通革命や巨大ナショナルチェーン」を、
「絶対化」して主語として語るな、ということ。

当たり前のことなのだが、
ともすると私たちは、
国家や企業に対しては絶対化する癖がついていて、
それらを「相対化」することを忘れている。

それ以外の自分の仕事に関しても、
「絶対化」することに慣れていて、
「相対化」を忘れている。

ただし最後に、
「相対化」だけでは、
バラバラになってしまう。

相対化にも、
正当・妥当なところが
あるはずだ。

〈結城義晴〉

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