結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2014年03月03日(月曜日)

池上彰「すぐ役立つことはすぐ役立たなくなる」と脱グライダー商人

Everybody! Good Monday!
[2014vol9]

2014年第10週、
3月第2週です。

春です。

春立つや遊具に並ぶ線量計
〈日経俳壇 福島・宗像眞知子〉
福島では子どもの遊び道具の中に、
線量計が一緒に並んでいる。

故郷の表示ある牡蠣買ひにけり

〈同 石巻・石の森市朗〉
石巻在住の有名な俳人。
泣けてくる句。

通学のどの子も春を待ちゐたり
〈同 東京・池田松蓮〉

今日は、子どもたちが待つひな祭り。

日経新聞の『サーベイ』。
「季節の伝統行事『回数減った』」の調査記事。
編集委員の石鍋仁美さんが分析。

全国の20歳以上の男女1030人に、
インターネット調査会社マクロミルが調べた。
調査日は2月20~21日だから、
回答者の頭の中には、
バレンタインデーや節分、
そしてひな祭りやイメージされていただろう。

こういった季節の伝統行事を実施する家庭。
調査結果は「増えた」人9%、
「減った」人47%。

「廃れていく現状が浮き彫り」。

減った原因。
最大の理由は「手間と時間がかかる」。
「子供の独立や成長」、
「費用の負担」。

「詳しかった人が亡くなったから」の声も。

特に伝統的な行事は家族とともに行う。
だから回数の減少は、
単身世帯や子供のいない家庭の増加も映す。

しかし近年、増えた行事もある。
節分の「恵方巻き」。
この調査でも実施した人は55%。
同じ節分行事の豆まきより多い。

恵方巻きは、独り暮らしでも、
簡便に商品を買ってくればできる。
食事を兼ねるから、
特別な支出は要らない。

「手間もお金も家族も不要」
記事は三つの条件が揃うと指摘。

洋風行事では、
クリスマスとバレンタインデー。

これは家族でよりも、
大人が楽しむ行事という性格が強くなった。

さらにハロウィンは15%の回答。

ハロウィンに関して石鍋編集委員は、指摘する。
「子供が幼稚園などで仮装を楽しむ」
「若者らも工夫を凝らした衣装で街を練り歩く」

「お手軽志向と徹底的に凝る人と、
行事への接し方も二極化が進む」

こういった記事は、
二極化で片づけることが多い。
それはつまらない

私なりに整理すると、
まず日本の消費において、
行事は、新しいものが好まれている。
恵方巻き、ハロウィン。

「手間とお金と家族は不要」とあるが、
これも一概には片付けられない。

かつては家族や会社での行事がほとんどだったが、
今は家族でも、友人でも、恋人でも、
いずれもある。

マクロミル調査では、
「家族や友人、恋人と過ごすいい機会」の回答が、
63%。

ただし30%の回答が、
「最近の行事は商業主義に乗せられすぎ」。

ここでいう「商業主義」とは、
他のあらゆる価値に利益を優先させる考え。
「営利主義」といったり、
「コマーシャリズム」と表したりする。

行事催事は、
顧客を楽しませること。
その顧客は様々な個性で楽しむ。
ヤオコー会長の川野幸夫さん流に言えば、
「かつては十人一色だったが、
現在は十人十色を通り越して、
一人十色」。

恵方巻きもハロウィンも、
家族で楽しみ、友人と愉しみ、恋人と愉しむ。

この現象への対応を、
営利主義を排して、提案する。

難しいけれどこれを、
「マス・カスタマイゼ―ション」という。

昨日のfacebookで、
立教大学経営学部教授の亀川雅人さんが、
池上彰さんの言葉としてまとめている。

亀川さんは、
立教大学院ビジネスデザイン研究科の創業者。

その研究科で先週土曜日に、
ジャーナリスト池上彰さんを招いて、
講演会を開催。
テーマは「私の実践的リベラルアーツ論」 。

池上さんの話の要点。
「基本的には、
すぐに役立つことは
すぐに役立たなくなる」

仕事の本質をついている。

「すぐに役立つこと」を、
喜んで教えられているケースが実に多い。
しかしそれは、すぐに役立たなくなる。

だから似非コンサルタントなどは、
すぐに、つぎに、
「すぐに役立つこと」を考え出し、
それを教える。

喜んで教わる。

しかしすぐに役立たなくなる。
だからまた、
「すぐに役立つこと」を、
考え出して教える。

このいたちごっこ。

池上さんは指摘する。
「最先端の技術や知識は
実はその価値が定まっていないので、
基礎的な知識に基づいて、
自分で考える力をつけること」

これこそ、脱グライダー商人。

誰かに引っ張ってもらってばかりでは、
いけない。

自分のエンジンをもって、
自分で考え、
自分で実行すること。

先週金曜日のブログ、
イオン3・1大機構改革と
星野佳路「教科書」の選び方・学び方

その星野さんの方法。
ステップ1・本を探す。
書店に1冊しかないような
古典的な本ほど役に立つ。

ステップ2・読む。
1行ずつ理解し、
分からない部分を残さず、
何度でも読む。

ステップ3・実践する。
理論をつまみ食いしないで、
100%教科書通りにやってみる。

安易な経営の方法、
安易な仕事の流儀を否定し、
自分なりの経営の方法、
自分なりの仕事の流儀を薦める。

池上彰さんと同じです。
もちろん立教大学の「リベラルアーツ」も、
結城義晴の知識商人も、
まったく同じ考え方。

知識商人諸君、
そこんとこ、よろしく。

最後に今日の商人舎Magazine。
Weekly商人舎は、
「月曜朝一・今週の販促企画」。

Daily商人舎は、
セブン‐イレブン 四国・愛媛県に
初出店! 残るは4県

セブンといえば、
日経新聞『きん言』に、
セブン銀行社長の二子石謙輔さん登場。
「2020年の東京五輪までに、
外国人観光客にとって使いやすい
金融インフラを整える必要がある」

セブン銀行のATMは全国に約2万台。
海外カードにも対応済み。

我々も海外に行くと困るが、
外国人も同じ。

日本に来ても、
自国のキャッシュカードで金を引き出せない。
二子さんは「観光立国へ欠かせない要素」。

これは「自分で考える」会社の施策。
セブン‐イレブン全国展開の底力も、
ここにある。

自分で考える。
思考停止してはいけない。

では、みなさん。
今週も「元気を出そう・元気を売ろう」
3月の商人舎標語。

Good Monday!

〈結城義晴〉

「月刊商人舎」購読者専用サイト
月刊商人舎 今月号
商人舎 流通スーパーニュース
月刊商人舎magazine Facebook

ウレコン

今月の標語
商人舎インフォメーション
商人舎スペシャルメンバー
商人舎発起人

東北関東大震災へのメッセージ

ミドルマネジメント研修会
商人舎ミドルマネジメント研修会
海外視察研修会
商人舎の新刊
チェーンストア産業ビジョン

結城義晴・著


コロナは時間を早める

結城義晴・著


流通RE戦略―EC時代の店舗と売場を科学する

鈴木哲男・著

結城義晴の著書の紹介

新装版 出来‼︎

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》
(イーストプレス刊)

新着ブログ
毎日更新宣言カレンダー
指定月の記事を読む
毎日更新宣言カテゴリー
毎日更新宣言最新記事
毎日更新宣言最新コメント
知識商人のためのリンク集

掲載の記事・写真・動画等の無断転載を禁じます。商人舎サイトについて
Copyright © 2008- Shoninsha Co., Ltd. All rights reserved.