結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2015年07月30日(木曜日)

月刊『宝島』廃刊とセブン-イレブン・マツキヨの東南アジア進出

「第二院は第一院と
意見が一致するなら無用だし、
相反するなら有害だ――」
朝日新聞『天声人語』が、
有名な警句を引いて、
「参院不要論」を紹介し、
その有用論を展開する。

しかし相反することは、
必ずしも有害ではない。

企業組織の意思決定においても、
「対立軸」は必須である。

ピーター・ドラッカーは語る。
「マネジメントの意思決定は
全会一致でなされるようなものではない」

そして強調する。
「意見の対立を見ない時には
決定を行ってはならない」

意見の対立を見ないままの意思決定を、
「集団思考」と呼ぶ。

東芝の粉飾は、
集団思考の挙句に行われた。

組織にとって、
最も危険な兆候である。

だから意見の対立を促すことは有用だ。
そのうえで十二分に、
かみ合った議論を尽くしたい。

さて今日のニュースから、
まず「宝島社の月刊誌休刊」
評論家の植草甚一が創刊した月刊『宝島』と、
ファッション誌『CUTiE』を休刊。

「休刊」とは見栄を張っているだけで、
「廃刊」と同義。
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最新の2015年9月号。
こんな雑誌では発刊を続ける価値もないが。

「近年は部数が伸び悩み、
今後も大きな成長は見込めないと判断」。

今後の生き方。
「ブランドやコンテンツを生かして、
ムック本を発行」
紙のメディアを廃刊するのは、まあ分かる。
網のメディアに転換できない経営こそが問題だ。

MookはMagazineとbookの中間メディア。
つまりは紙に変わりない。
紙媒体の中でコストが低くて、
比較的リスクが少ないメディア。

そこに移行するだけの話。
悪いけれど、情けない。

植草も草葉の陰で泣いている。

小売業でいえば、
オムニチャネル。
リアルとバーチャル。
有店舗と無店舗。

そのコラボレーション。

出版業も同じ視点を持たねば、
生き残りはできない。

それでも次の最終廃刊号。
買ってあげよう。

次は「セブン-イレブン、ベトナム進出」

現地のアイエフビーホールディングスと、
米国セブン-イレブン・インクが契約。

アイエフビーは「サブウェイ」をFC展開。
マルチ・フランチャイズ企業。

1号店を2017年にホーチミン市内に出店。
3年で100店、10年で1000店体制をめざす。

日経の記事には「日本流で」とあるが、
契約は米国子会社。

日本からは4人の社員が派遣され、
独自企画商品の開発手法、
出店用地の確保、
オペレーションなどを指導する。

セブン-イレブンは海外で約3万8000店を展開。
東南アジアではタイ、マレーシア、フィリピン、
さらにシンガポール、インドネシアに、
強力な店舗網を持つ。

しかしこれは旧サウスランド社が、
エリアフランチャイズで展開したもので、
日本流コンビニの経営は浸透しにくかった。

私もタイやマレーシアで、
セブン-イレブンの店舗を訪れたが、
最新の実験店を除いて、
まだまだの観はぬぐえない。

しか日本国内は時々刻々と飽和が近づく。
もちろんそれは肯定しないだろうが、
10年後を見ると、
海外進出しか成長の道はない。

その布石がベトナム進出だ。

それでも米国子会社に契約させるところが、
セブン&アイ方式ではある。

一方、「マツキヨ、タイに出店」の記事。
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こちらは現地大手セントラル・グループと組む。
その中核会社セントラル・フード・リテールと、
8月に合弁会社を設立。

資本金は約1億7750万円。
セントラル・フードが51%、
マツキヨHDが49%出資。

来2016年3月期に3店舗を開業し、
都市部中心に顧客を開拓。

マツキヨは2013年から、
セントラル・フードと商品供給で提携。

日本同様、
高品質の化粧品や日用品販売が好調。
タイの国民1人当たりGDPは、
2015年段階で5612ドル。

十二分に勝算がある。
そこで共同での店舗展開をスタート。

マツキヨも将来を見据えて、
初の海外進出先を、
東南アジアに設定した。

セブン-イレブンとマツキヨ。
東南アジア進出は、
新しい世界への挑戦。

ネットビジネスの四次元世界と、
ワールドワイドな三次元世界。

新しい領域へのチャレンジなくして、
どんな企業にもサバイバルはない。

〈結城義晴〉

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