結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2015年08月25日(火曜日)

中学生死体遺棄事件の大人のまなざしと西友ネットスーパー新型店

猛暑から一転、
大型台風連続来襲。

台風15号。
九州を直撃。
DSCN2945ー5

一番の豪雨は、
福岡県福岡市早良区。
DSCN2944ー5
私の生まれ故郷。
早良区小笠木。

1時間に120ミリの雨が降った。

今日は結城輝夫さんの告別式が、
小笠木で行われた。
父の従弟で、私は小さいころから、
ずいぶんと世話になった。

告別式には参列できなかったが、
この台風の大量の降雨は、
故人への哀悼の涙雨だと思う。

ご冥福を祈りたい。

さて寝屋川中学生死体遺棄事件。
痛ましいかぎりだ。

しかし様々な防犯カメラが機能している。
そしてスマホやラインが、
必須の生活ツールとなっている。

それらがこの事件の、
陰の主役だった。

日経新聞巻頭コラム『春秋』
「捜査に役立つカメラも、
名前に付けられたほど
『防犯』には期待できない」

だから「大人の優しく厳しいまなざし」がいる。

そうコラムは訴える。

「行く当てもなく街をさまよう子どもを
見つめているのが、
カメラだけというのでは悲しすぎる」

深夜の商店街とコンビニ。
これは小売流通業の現場。

それをカメラがとらえ、
子供たちがさまよう。

朝日新聞の『天声人語』
「今の時代、見て見ぬふりをする人は多い」

しかし哲学者の鷲田清一さん。
「見ないふりをしてちゃんと
見ている大人のまなざし」

コラムニスト。
「防犯カメラは有用だが
心配する心までは持ち合わせない」

「ここは人の出番なのだと
心の隅に留めたいと思う」

毎日新聞『余禄』は、
23日の日曜日に書いた。

「防犯カメラの映像解析により
警察は平田さんの遺体を遺棄した疑いで
45歳の男を逮捕」

「『彼は誰』も防犯カメラで暴かれる今日だが、
命が失われてからではむなしい。
少年少女らを優しく包む地域のまなざしで
なくしたい『逢魔が時』である」
(★「逢魔(おうま)が時(とき)」とは、
「昼と夜の境目であるかわたれ時やたそがれ時」で、
「この世とあの世がつながるといわれた」)

日経「大人の優しく厳しいまなざし」
朝日「大人のまなざし」
毎日「優しく包む地域のまなざし」

それも確かに大事だ。

どうもコラムニストの世代は、
スマホやLineには無感覚なようだが、
プライバシー保護の問題は別にして、
犯罪捜査にはさらに活用されねばならない。

しかし、子供の世界に起こることは、
大人の世界に先行して起こっている。

大人の世界が色濃く反映されるのが、
子供の世界だ。

子供の世界にいじめが起こるとき、
かならず大人の世界にいじめが頻発している。

大人と子供の狭間の中学一年生。
その親、親類、近所の人たち、教師たち。

大人たちに疎外感が横たわるから、
子供たちも疎外感にさいなまれる。

容疑者が犯人だとすると、
それは断じて許されるものではないが、
原発除染作業員の容疑者も、
疎外の崖っぷちに立ちつくしていた。

だからこそ、やりきれない事件だ。

冷徹な防犯カメラや道具としてのスマホが、
ノンフィクションで世相を映している。

大人のまなざしは当然ながら、
子供にも向けられるべきだろうが、
そのまなざしは同じように、
大人たち自身に、そして自分自身に、
向けられねばならない。

もちろん小売りサービス業の店舗そのもの、
そしてその店頭や商店街、
ショッピングセンターの防犯カメラ。
店長、従業員、スーパーバイザーの眼。

かならず犯罪抑止力となるし、
大いに社会貢献している。
それはこの場で、強調しておきたい。

ただしそれでも、
人の心の疎外感は、
人間が自分たちで解決するしかない。

さて話はがらりと変わって、
「西友、ネット軸の新型店」
日経新聞の先週土曜日版。

「通常の食品スーパーに
ネット販売用の在庫を持つ倉庫を併設」

月刊『商人舎』4月号で総括した。
特集「ネットスーパー! 移動スーパー!!」

「ネットスーパー」には、
大きく二つのパターンがある。
第1は、店頭の商品を集配する「店舗型」
第2は、専用物流センターから宅配する「倉庫型」

倉庫型は運営コストを抑えて広域に届けやすい。
しかし生鮮食品などが扱いにくい。

英国テスコは「店舗型」を基本に、
「ダークストア」という最新モデルを開発した。
これは月刊『商人舎』8月号特別寄稿。
英国オンライン食品市場と
テスコ・ダークストアの秘密
イギリスIGDのニック・マイルズの寄稿。
素晴らしい。
是非、読んでもらいたい。

西友の従来のネットスーパーは、
店舗型を中心にネット宅配サービスを広げた。
その後、2013年に千葉県柏市に、
ネット通販専用物流センターを開設。

しかし倉庫併設新型店は、
英国アズダのノウハウ活用で、
店舗型とセンター型の折衷方式を採用する。

もちろんアズダはウォルマート傘下企業で、
西友とは兄弟会社。

とはいってもアズダの方式は、
ほとんどテスコ方式を踏襲しているが。

西友の新型ネットスーパーは、
1階を通常の食品スーパー、
2階をネット専用の倉庫。
1階の店舗売場面積は500㎡前後。
売場は標準店舗の約半分。
2階のネット宅配用の在庫置き場と、
その作業場も合計約500㎡。

約1万品目の品揃え。

1日の配送可能件数300~500件程度で、
現在の西友ネットスーパーの3~4倍。

2016年5月、東京都練馬区に1号店新設予定。

西友は、店舗近隣の顧客から、
サイト経由でネット宅配の注文を受ける。
常温の加工食品、日用雑貨は、
2階倉庫で専門従業員がピッキング。
生鮮食品や日配、惣菜は、
売場から店舗従業員がピッキング。
そして一括配送。

店舗売上高に占めるネット販売の割合。
従来型は数%、
新型店では25%ほど。

既存店の改装を含め、
年間5店ペースで展開する。

今後は店舗型、センター活用に、
倉庫併設新型店を合わせ、
ネット販売額を3年で2倍に伸ばす。

ネットスーパー市場は、
年間1000億円規模、
年率2~3割の成長率。

ただし、市場はあるが、利益は出にくい。

西友の新しい試みに注目が集まるが、
セブン&アイのダークストア実験もあって、
様々なイノベーションへの挑戦が続く。

ここには「大人の優しいまなざし」は必要ない。
有無を言わせぬイノベーションが求められる。

人の心の疎外感を乗り越えて、
社会全体の防犯能力を高めるためには、
店舗設置カメラやIT機器にも、
そんなイノベーションを求めたいと、
私は思う。

人の命、子供の命ほど、
大切なものはないのだから。

〈結城義晴〉

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