結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2020年07月21日(火曜日)

故渥美俊一先生の命日に思う「新聞の力」と「店の力」

今日は故渥美俊一先生の命日。
もう10年になる。

2010年7月21日午前2時、
多臓器不全でご逝去。

その年の6月28日に、
動脈瘤の大手術を受けられた。
その際に肺炎を併発し、
そのまま集中治療室へ。

そして帰らぬ人となられた。

私は自己を戒めている。
いつも、渥美俊一が見ている。

もちろん倉本長治先生も、
上野光平先生も杉山昭次郎先生も、
壽里茂先生も上田惇生先生も、
いつも私を見ている。

父も、母も。

私はそれらの先生方の遺志を受け継ぎ、
発展、進化させたいと考えている。

10年前の今日、私は、
15時成田発のデルタ航空に乗り込んだ。
デトロイト経由、シラキューズへ。
そしてバスでコーネル大学の街イサカへ。
コーネル大学RMPジャパンの卒業旅行。

だから通夜にも告別式にも、
参列できなかった。

旅の空で黙とうし、ご冥福を祈った。

1977年4月、㈱商業界に入社し、
すぐに『販売革新』編集部に配属された。
入社後、すぐに、
渥美先生へのインタビューをした。
鬼のように恐かった。

それ以来、
編集長の職を離れる2002年8月まで、
毎月、欠かすことなくお会いして、
インタビューや議論を続けた。

私にとって、こんな先生はほかにいない。

入社の年の秋には、
ペガサスクラブ中堅育成セミナーを受講。
幸いにも、1番の成績をいただいた。
渥美先生からは「歴代でもトップだ」と、
過分なお言葉をいただいた。

入社翌年の秋には、
ペガサスクラブ米国セミナーに、
ご招待いただいて、
直接、薫陶を受けた。

1988年には、
商業界40周年記念事業として、
渥美俊一著『商業経営の精神と技術』発刊。
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私は、先生との一対一の、
10数時間におよぶインタビューをもとに、
初めてゴーストライターとして、
1冊の単行本を書いた。

本のタイトルは私が考えた。
故倉本長治先生の単行本、
「商店経営の技術と精神」をもとに、
「商店経営」を「商業経営」と変え、
精神と技術を反対にした。

本の中身も装丁も、
先生はひどく気に入ってくださった。

この本は、
㈱商業界の70年におよぶ歴史の中で、
三本の指に入るベストセラーとなった。
もちろんロングセラーでもあった。
岡田徹著『岡田徹詩集』
力石寛夫著『ホスピタリティ』
そして渥美著『商業経営の精神と技術』

1989年に、
食品商業編集長を命ぜられたときにも、
1996年に取締役になったときにも、
2002年の専務取締役、
2003年の代表取締役社長、
そして退任のときにも、
必ず、いつも、相談に行った。

まるで実の父のように、
厳しくて暖かい助言をいただいた。
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「フィールド・ワークを欠かすな!
おろそかにするな!」

これが渥美先生の助言。

ストア・コンパリゾンは、
渥美先生の流儀だった。

「神は現場にあり」
私の主義主張となった。

しかしそれでも近年、私は、
「純粋渥美俊一批判」を展開している。

ヘーゲルの弁証法を使って、
テーゼ・アンチテーゼ・ジンテーゼで、
チェーンストアの発展モデルを整理する。

タイトルは過激だが、
渥美理論の純粋な歴史的位置づけである。

渥美先生が亡くなられたとき、
私は五七五の句をつくった。

亡き父よ
店見るたびに
見るたびに

合掌。

その本日は、土用丑の日。
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私は朝から東京・小平へ。
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東横線、南武線、武蔵野線を使って、
東京23区を避けつつ、
やや過疎的な路線で新小平へ。IMG_7735 (002)0

そして第一屋製パン㈱の取締役会。IMG_7735 (004)0
積極的で手厳しい発言に努めます。

さて、西日本新聞のオピニオン「春秋」
福岡を中心にした九州の地方紙。
発行部数全国第10位。1080x360
コラムのタイトルは、
「新聞の力」

同紙熊本総局の古川努記者。
熊本県球磨村が豪雨災害に見舞われたが、
そこでの出来事を報告している。

「球磨村の半孤立避難所3カ所に
(災害発生の)初日から
1週間分の新聞セットを届けました」

「ここはテレビが映らず、
新聞配達もなく、
郵便もアマゾンも届きません」

古川記者は、
同僚から情報過疎の状態を聞き、
「喜ばれるかな」と思いつつ、
上司に相談して新聞を用意した。

「ところが喜ばれるどころじゃなく、
こっちが恐縮するほど大喜びし、
奪い合うようにして
読んでもらっています」

「(同紙取材班の)みんなが
懸命に集めた犠牲者の名前や写真、
被災した集落のルポや写真、
人吉や芦北の記事も、
それこそ食い入るように」

「ふるさとで何が起きたのか。
連絡が取れない知人は無事なのだろうか。
一片の情報もない避難所生活の中で、
不安な時間を過ごしていたのだろう。
少しでもお役に立てたなら、
これ以上の冥利(みょうり)はない」

コラムニスト。
「この豪雨では
私たちの仲間も被害を受けた。
床上浸水した販売店がある。
ミニバイクや機械が水損した店もある。
それでもこの1部を、
毎朝送り届けてくれる人がいる」

「古川記者は紙面に掲載した女性から、
“私の安否が友人たちに伝わりました”
とも感謝されたそうだ」

コラムニストの結びの言葉。
「新聞を
求めている人がいる。

そんな”読者の力”に
私たちも励まされる」

これは店と顧客との関係にも当てはまる。

熊本にも多くの店舗がある。
店を開けると、被災した人々から、
恐縮するほど感謝されたはずだ。

「店の力」は「新聞の力」と同じ、
いやそれ以上だ。

私自身もずっと、
雑誌の仕事をしてきて、
同じような感慨をもつことが、
何度もあった。

故渥美俊一先生も、
讀賣新聞「商店のページ」の、
主任記者だった。

再び、合掌。

〈結城義晴〉

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