結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2020年07月25日(土曜日)

ドラッカーの「昨日・今日・明日」とクオモ知事の「今日の態勢」

毎日毎日、COVID-19感染の話で恐縮。
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PCR検査数が少ないことは前提として、
新規感染者数に一喜一憂しても、
始まらないことも了解したうえで、
感染者数を確認する日々だ。

今日の新規感染者は全国で754人。
国内で確認された感染者数は、
累計で3万人を超えて3万494人。
死者数は累計で1009人。

東京都は今日、295人で累計1万0975人。
大阪府も132人で3047人。

愛知県が78人と急増、累計は1019人。

埼玉県は35人で2032人、
千葉県は21人で1444人、
神奈川県は18人で2204人。

兵庫県が24人で965人、
福岡県が18人で1310人、
そして北海道が9人で1386人。

安倍晋三首相の昨日の発言。
「再び今、緊急事態宣言を出す状況にない」
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しかし新たな手立ては明らかにされない。
Go To トラベルキャンペーンの言葉が、
空しく響くだけ。

私は一昨日、「策に溺れる」と書いたが、
策を弄する気力が失せたか、
あるいは万策尽きたか。
それともダンマリで逃げるか。

4月の第一波のときの緊張感とは違う。
「慣れが一番怖い!」

日本の昨日、今日、明日。
世界の昨日、今日、明日。

日本の過去、現在、未来。
世界の過去、現在、未来。

あなたの会社の過去、現在、未来。
あなた自身の昨日、今日、明日。

一体どうなるのか。
それを深く考えねばならない。

ところで私宛に質問が来た。

旺文社マネジメントスクールが、
6月19日に今年度の開講講座を行った。
学習院マネジメントスクールが、
昨年から主宰者が変わり、
名称も変更された。

私はずっといちばん最初の、
「流通概論」の講義を担当してきた。
今年はオンライン講義となった。
その受講生からの質問だ。
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[質問]「過去」と「現在」について
今回ドラッカーの話が多くありましたが、
私は最近ドラッカー学会で、
井坂先生の講義を受ける機会がありました。
その際に、ドラッカーは
未来思考ではなく過去思考である
という話を聞き、
過去に焦点を当てることで
見えてくることがある
(=未来にフォーカスしても
何も分かることはない)
ということを学びました。
結城先生が冒頭、
「昨日の論議が
現在の視野を狭いものとしている」
とおっしゃっていて、
「過去」と「現在」に目を向ける際に
見方の違いがあるように感じました。
もし違いがあるようでしたら、
「過去」と「現在」を観察する際の
ポイントを教えて頂けますと幸いです。

[結城義晴の返事]
井坂康志さんは私が主催する、
商人舎ミドルマネジメント研修会で
講師をお願いしていて、
よく理解し合っている人です。
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私も井坂さんも、
ともに故上田惇生先生の弟子と
言ってもいい関係にあります。

井坂さんが、
「ドラッカーは未来思考ではなく
過去思考である」
と言われたのは、
ドラッカーの本質です。

ドラッカーは、
「未来を予測したり、
予言したりしてはならない」と言います。
未来のことは、
誰にもわからないからです。
だから過去から現在にかけての現象を
モニタリングせよ、観察せよ、
と教えます。そうすれば、
「すでに起こった未来」が見えてくる、
と言うのです。

「われわれは未来について
ふたつのことしか知らない。
ひとつは、未来は知りえない、
もうひとつは、
未来は今日存在するものとも、
今日予測するものとも違う
ということである」
(『創造する経営者』より)
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私もまったく同感です。

おわかりのことと思いますが、
ドラッカーが使う「昨日」という言葉は
過去を象徴しているし、
「今日」は現在を、
「明日」は未来を象徴しています。

一方、
私が講義の「パラダイムの転換」の中で
引用した言葉は、
ドラッカーの『新しい現実』からのものです。
「いまだに昨日のスローガン、
約束、問題意識が論議を支配し、
視野を狭いものにしている。
それらが、今日の問題の解決に対する
最大の障害になっている」

過去のスローガンや約束、問題意識が、
現在の視野を狭いものにしていることは
よくあります。
ドラッカーの指摘はそれです。

私は最高の名著の一つだと思っていますが
ドラッカーに
『経営者の条件』という本があります。
そのなかに、
「集中のための第一原則は、
生産的でなくなった過去のものを
捨てることである」とあります。
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生産的でなくなった過去のものを捨てる。
生産的な過去のものは活かす。
それが未来を創る。
「昨日のスローガン、約束、問題意識」
のなかで「生産的でなくなったもの」が
議論を支配していると、
視野を狭くしてしまう。

ドラッカーの最後の著書は、
『ネクスト・ソサエティ』という本です。
ドラッカーは過去や現在を
モニタリングして、
「次の社会」を見るという作業を
最後の最後まで続け、
次の時代の鍵を導き出しました。
ネクストソサエティ
その意味でドラッカーは実は、
未来に希望をもった「未来志向」の人です。

つまり私と井坂さんとは
同じことを言っているのです。
これは間違いありません。
なにしろ、ともに
ドラッカーから発想しているからです。
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私がよく講演で使うドラッカーの言葉を
最後に挙げておきます。
「未来を築くために
初めになすべきことは、
明日何をなすべきかを
決めることではなく、
明日をつくるために今日
何をなすべきかを
決めることである。」
『創造する経営者』より。
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ニューヨーク州アンドリュー・クオモ知事。
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PCR検査と抗体検査を、
誰でもいつでも、
保険がなくても、不法移民でも、
無料で受けられるような、
「今日の態勢」をつくっている。

そして1日6万件以上の検査が実施され、
その結果、ピーク時には、
1日800人以上の死者が出ていたが、
7月11日には死者ゼロと激減した。

明日をつくるために今日
何をなすべきか。

それこそが今、求められているし、
為政者はそれを日々、
明らかにしなければならない。

〈結城義晴〉

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