Everybody, Good Monday!
[2025vol⑨]
2025年第10週。
商人舎はGoogleカレンダーを使っている。
そのカレンダーも1月1日の週を第1週として、
今週は第10週だ。
雛祭りを迎える女の子たちが、
成人し、成長していく時代は、
いったいどうなっているのだろう。
それが心配だ。
輝かしい21世紀が待っていると思ったら、
20世紀に戻ってしまった。
突然ですが、
ブレーズ・パスカルの「パンセ抄」から。
「美徳の徹底追求」
美徳を両方の端まで
徹底的に追求しようとすると、
悪徳があらわれる。
それは、小さな無限のほうから、
感知できない道を通って、
こっそりと忍び込み、
大きな無限のほうからは、
群れをなしてあらわれる。
その結果、人は悪徳の中で迷子になる。
もはや、美徳の姿など見えない。
人は完全な徳さえ非難するようになる。
(断章三五七)
日経新聞夕刊。
「セブン、井阪社長退任へ 」
セブン&アイ・ホールディングス。
井阪隆一社長が退任する。67歳。
後任はスティーブン・ヘイズ・デイカス氏。
取締役会議長。64歳。
母親が日本人のアメリカ人。
1983年9月 Northrop Corporation入社。
アメリカの航空機メーカー。
その後、米国コンサルティングファームに転職し、
2001年6月、マスターフーズのCEO。
4年後の2005年9月、
ファーストリテイリングに入って、
シニア・バイス・プレジデント。
2年で辞めて2007年7月、
ウォルマートのシニアバイスプレジデント。
2010年4月、現在の西友の上級副社長、
2011年6月、西友CEO。
4年間勤めて2015年10月、
スシローグローバルホールディングス社外取締役。
2016年7月 同社代表取締役会長。
そして2022年5月にセブン&アイの社外取締役、
昨2024年4月、筆頭独立社外取締役。
アメリカ人なら当たり前かもしれないが、
次々に転職してキャリアを積んできた。
セブン&アイには三つの道があった。
第1が自力で経営を続ける道。
第2が創業家の伊藤興業主導による株式非公開化。
第3がアリマンタシォン・クシュタールに買収される道。
その第2番目が白紙となった。
第3の道は選びたくない。
そこで第1の当たり前の道を歩む。
ただし現体制ではそれが難しい。
だからデイカス議長に白羽の矢が立った。
決めたのは誰だろうか。
デイカス議長自身か、
伊藤家の伊藤順郎さんか、
ヨークベニマルの大髙家の大髙善興さんか、
それらの総意か。
善興さんがキーマンだと思う。
こんなときには、
最後の意思決定ができる人に頼るのがいい。
井阪社長は、
1980年3月、㈱セブン‐イレブン・ジャパン入社、
22年間頑張って2002年5月、取締役。
2009年5月、代表取締役社長COO。
同時にセブン&アイ取締役。
このとき鈴木会長は、
井阪セブン-イレブン社長退任を内示。
理由は「新しいアイデアが出てこない」
しかし取締役会などの反対にあって、
鈴木会長が辞任。
セブン-イレブン社長退任を言い渡されていた井阪氏が、
親会社のセブン&アイの社長になってしまった。
もう、9年か、
いや、9年も経ったか。
複雑な感慨だ。
井阪さんも10年はやりたかったのだろう。
しかし状況はそれを許さない。
セブン-イレブンの世界戦略を担う技量も、
残念ながら不足している。
ただしデイカス議長にそれができるか。
「知見に期待したい」という声が出ている。
「海外人脈と交渉術への期待」もあるらしい。
しかしそれらと経営力は別物だ。
だからまったくの未知数。
それでも第1の自力経営路線に進む。
それがはっきりしたことは、
セブン&アイにとってはいいだろう。
順朗さんはファウンダーになるべきだと、
私は言い続けている。
そしてセブン-イレブンに関しては、
世界ナンバー1の30兆円コンビニチェーンを目指す。
全米コンビニエンスストア協会の調査では、
米コンビニ市場における店舗数シェアは、
セブンが8.5%の1位、ACTは3.8%の2位。
日本と違って、
米国ではまだまだ伸びシロはある。
世界を見渡しても、
成長余力はある。
ただし肝心かなめの日本市場で、
セブン-イレブンが圧倒的な優位に立ち続けられるか。
そこに鍵がある。
だから新たなトップマネジメントが、
求められることになるかもしれない。
腰を据えて最低でも10年、
やってもらう必要がある。
問題はヨーク・ホールディングスだと思うが。
いつも言っているが、
社員・従業員、顧客、
そして加盟店オーナーが、
安心し、納得する結果を導いてほしいものだ。
では、皆さん、今週も、
美徳を失ってはならない。
Good Monday!
〈結城義晴〉