結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2025年05月11日(日曜日)

ラスベガス3日目/ポジショニング戦略の講義とリアル店舗

母の日。
アメリカでもマザーズデー。

大谷翔平の12号ホームラン。
3ランで試合を決めた。
そして大リーグ本塁打トップに躍り出た。GqkRmWHXgAA1iPp

こちらで見ていると、
日本で観戦しているよりも、
実感がある。

ただし普通のテレビでは見られない。
放映されていない。

だからカジノやスポーツバーの映像で知る。

ラスベガス3日目の朝。
今日も8時から結城義晴の講義。
IMG_5100

昨日訪れた店の復習と、
今日訪問する企業の予習。

それから、
「森の中の二人の男と熊の話」

森の中を二人の男が歩いていた。
そこへ熊が出てきた。
一人の男が、叫んだ。
「早く逃げよう」
もう一人は、言った。
「君より早く逃げさえすればいい」

21世紀に入ってから、
アメリカのローカルチェーンは、
ウォルマートという熊が出てきて、
選択を迫られた。

ウォルマートと真っ向から戦うか。
それともどこかの傘下に入るか。
あるいは廃業するか。

真っ向から戦ったのは、
テキサス州のHEBと、
ニューヨーク州のウェグマンズ。

クローガーに逃げた男は助かり、
それ以外は熊に食われた。

ネバダ州では、
スミスがクローガー傘下になり、
ボンズがセーフウェイに糾合され、
アルバートソンのグループとなった。

そして大きな差がついた。IMG_5103

2回目の講義では、
このベーシック研修の中核理論。
フォーマットとポジショニング論。IMG_5108

新しいフォーマットを創造するとき、
「コンバイン」(結合)の方法は有効だ。

ウォルマートのスーパーセンターは、
このコンバインによって生まれた、
最強のフォーマットだ。IMG_5110

講義が終わると視察と調査。

ホールフーズマーケットへ。
そして全員写真。
IMG_5115

それからインタビュー。IMG_5129

チームリーダーのマイクさんが丁寧に答えてくれた。IMG_5128

団員からグッドクエッションがたくさん出た。

その質問に答えて、
ホールフーズで働く喜びを語ってくれた。
待遇の良さ、やりがいを与えてくれることも、
マイクさんは強調した。

ただし私の質問ははぐらかされた。

今、ホールフーズは、
グロサリーや非食品で「sale」を連発している。
つまりディスカウント攻勢を続けている。

その理由は明らかにされなかった。

多分、アメリカの深刻な消費不況が、
それをさせているのだろう。
日本も例外ではない。

しかしこの店は25%が、
オンライン販売である。
Amazonの力を借りて、
非常にスムーズにその機能を獲得した。

顧客はスマホで発注するだけで、
ホールフーズの商品を手に入れることができる。

店頭からは4分の1の顧客が去ったが、
売上げは変わらない、いや増大した。

確かな商品を提供できる小売業にとって、
近い将来、店舗は商品見本の展示場になる。
そんなことを感じた。

マイクさんと固い握手。
IMG_5138

母の日に向けて派手な花売場。IMG_5120

オーガニックスーパーマーケットにとって、
青果部門は店の顔である。
IMG_2852

精肉と鮮魚は対面売場で、
顧客の注文に応じる。
その担当者たちの商品知識や調理技術は、
最高のレベルである。
IMG_2860

グロサリーは「SALE」のオンパレード。IMG_2861

ベーカリーからデリは、
ホールフーズの真骨頂でもある。IMG_2868

店舗中央の「ホールボディ」売場。
非食品部門だがここでも「SALE」。IMG_2883

この店にもビールバーがあり、
惣菜を購入して食べることもできる。
いわゆる「グロサラント」である。IMG_2882

チェックスタンドは大きく変わった。
セルフレジが広がった。IMG_2884

ネイバーフッドマーケット。
ウォルマートのスーパーマーケット。IMG_2918

売場の先頭はデリ。
壁面ではバイオーダーの対面売場もある。IMG_2890

そして青果売場。
スーパーセンターに比べるとコンパクトだが、
日常づかいの必要な商品は揃う。IMG_2893

エンドはウォルマートの原則に則り、
1~2アイテムの品揃え。IMG_2901

アメリカのスーパーマーケットは
フード&ドラッグが基本。
処方箋を扱うファーマシーを併設している。IMG_2908

店内ではオンライン注文品をピッキングする
カートが動き回っている。IMG_2889

コロナを経て、
オンライン販売は急成長している。

車で商品を引き取る、
カーブサンドピックアップ(Curbside pickup)が多い。
配送費用がかからないからだ。IMG_2911

セルフレジも増えた。
ニューヨーク市では、万引きに悩まされて
セルフレジを辞めた店舗が多い。
ラスベガスではセルフレジが主流。IMG_2914

レジの奥にあるピッキングカート置き場。
顧客が取りに来るのを待つ。IMG_2915

カスタマーセンター。
商品の返品はここで受け付ける。IMG_2916

ターゲット。
ウォルマートと同じディスカウントストアを展開する。IMG_2922

ターゲットのロゴの下に「drive up」のサイン。
ターゲットもオンライン販売を強化している。

オンライン商品を引き取りに来たときの専用駐車場。
IMG_2921

売場先頭のプロモーションコーナーは、
もちろんマザーズディのブーケ。IMG_2926

ディスカントストアだから、
生鮮食品は限定的だ。IMG_2934

顧客が商品検索したり、
価格を調べたりするための、
デジタルボード。
売場の随所においてある。
もちろんターゲットのアプリをダウンロードしていれば、
同じことができる。IMG_2938

プロモーションコーナーのテーマは「Summer」。
夏物の小物雑貨を展開する。
コーポレートカラーの赤を基調としたカラー使い。IMG_2940

ターゲットもセルフレジが主体。IMG_2945

同じディスカウントストアでも、
ウォルマートとターゲットの違いは歴然だ。
それがポジショニング戦略である。IMG_5151

トレーダー・ジョー。
ラスベガス地区の繁盛店。IMG_2954

マザーズデープロモーションは徹底している。
入口からずらりとブーケを展開。
IMG_2956

店の先頭部分では、
特設平台で展開。IMG_2983

スイカをエンド展開、珍しい。
パレットで荷姿ごと並べる。
IMG_2962

試食コーナーも完全に復活した。
イラストが面白い。IMG_2963

奥主通路でも切り花や鉢花の展開。IMG_2965

そしてゴンドラエンドもすべて、
切り花と鉢花。
IMG_2980

切り花とクッキーの関連ギフト販売。IMG_2981

買上げ点数が少ない顧客向けのレジ。
レジ前は長い行列。
IMG_2959

通常のレジは2人態勢。
粛々とこなしていく。
見事なプロモーションとオペーション。IMG_2985

同じショッピングセンターにある
アジア系スーパーマーケット。
シーフードシティ。
IMG_2988

売場の導入部はテナントのデリショップ。
IMG_2989

核部門はもちろんシーフード。IMG_2992

シーフードからミート売場へ。
部門構成はスーパーマーケットだ。IMG_2994

平台に氷を敷き詰めて生魚を販売。
これがウケている。IMG_2995

隣接してダイソー。
昨年オープン。IMG_5173

日本の高品質の商品を販売して、
ダラーストアの中で鮮明なポジショニング。IMG_2953

アメリカ人には、
新鮮さを感じる商品ばかり。
店数も急激に増えている。IMG_2948

売場の至る所に換算表が掲げてある。
基本売価は1.75ドル。IMG_2949

明るく陽気な従業員もとてもいい。IMG_5179

最後にコストコ。IMG_3012

アメリカでも日本でも、
その他の国々でも、
コストコは変わらない。

商品が違うだけで、
経営も運営も店づくりも、
完璧な標準化が貫かれている。

星条旗が売られている。
5月最終月曜日のメモリアルデー向けの提案だ。IMG_5241[1]

店舗中央の広いスペースでは、
売り切れ御免のポップアップセールが展開される。IMG_3001

店舗の奥が生鮮食品売場。IMG_5211

右手に青果部門の冷蔵庫がある。
部屋全体を冷やす。IMG_3004

奥壁面沿いは平ケースに、
大容量にアイテムが並ぶ。
ベイカリー、ミート、デリ。IMG_3005

乳製品にも冷蔵室がある。IMG_5226

アメリカでも商品の高騰が続く卵。
コストコはその価格も在庫量も圧倒的だ。IMG_5228

フロアマネジャーがフォークリフトを引いて、
商品の販売位置を変えている。
これがコストコの唯一と言っていい、
売場変化の手法だ。

売場の位置を変えることで、
売上げ不振のアイテムが売れるようになる。IMG_5232
消費不況でも節約志向でも、
コストコは一番人気だ。

最後にイータリー。
パークMGMホテルの前面改装のときに、
1階に誘致された。IMG_3024

階段で写真。IMG_5253

イータリーは買う、食べる、学ぶをコンセプトに、
イタリア料理、イタリア食材を集めた店だ。IMG_3017

しかしホテルの1階フロアに入ったことで、
買う機能が削減され、学ぶ機能も喪失した。
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食べる機能は充実しているが、
それではイータリーではない。
市場であり、食堂であり、学校である。
それがイータリーなのだ。
IMG_3016

OICグループとロピアの面々。
元気に視察し、もりもりと食べる。
それがロピアの社風だ。IMG_5249

ホテルに帰ってから、夕食へ。

ベラージオホテルの前では、
噴水ショーが展開されている。IMG_3035

パリスには実物の半分のサイズの、
エッフェル塔がある。 IMG_3033

私たちはその噴水ショーが見える店へ行った。
「ビアパーク」
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飲みながら、食べながら、
噴水ショーを楽しめる。
IMG_3038

事務局のカリスマ佐藤とJTBの吉田和司さん。
そして亀谷しづえGM。IMG_3042

お疲れ様。

ラスベガスの中心部には、
消費不況はない。

大衆の生活圏で大きな異変が起こっている。
(つづきます)

〈結城義晴〉


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