’25ウェグマンズ・アスタープレイス店(Manhattan)の全貌

商人舎米国研修スペシャル編。
いよいよ大詰めを迎えた。
最終日は午前中に1店舗を集中的に学ぶ。
あとは自由研修。
歩いて3分。
ロワー・マンハッタン地区、
ブロードウェイ770番地。
この1階と地下1階がウェグマンズ。
アスタープレイス店。
店舗面積は8万7500平方フィート(8129㎡:2459坪)。
1フロア1200坪の2層店舗。
エスカレーターでつながる。
店の前でレクチャー。
「史上最大の百貨店王」と呼ばれたのが、
ジョン・ワナメーカー。
石油王ジョン・ロックフェラー、
ホテル王コンラッド・ヒルトンと並んで、
伝説の経営者といわれる。
ワナメーカーが1876年、
ペンシルベニア州フィラデルフィアに、
アメリカ最初の百貨店をつくった。
この店は増床して世界最大の百貨店となった。
ワナメーカーは1896年、
この地に百貨店の支店を出した。
2000年くらいまで営業されていたが、
経営は悪化し、売却された。
その後、ディスカウントストア「Kマート」が入居。
2021年に撤退。
店の内装は温かく居心地の良い雰囲気。
ヨーロピアンスタイル。
地上1階の入口には、
即食のフードサービス部門が配置される。
1階を奥まで歩いて、
エスカレーターを降りる。
天井は低いけれど、
島陳列が美しくて、
その低さを感じさせない。
エイドリアン・ ハッチンズさんが、
わざわざ休暇の日に待っていてくれた。
通訳は富澤由紀子さん。
日本の魚力の熟練技術者から、
魚介類の調理技術とカット技術を学習。
このマンハッタン店では鮮魚技術の教育者となった。
学生としてウェグマンズでアルバイトし、
そのまま社員となった。
最初は寿司部門のスタッフだったが、
ブルックリン店で魚担当となり、
この店を立ち上げた。
私もいろいろ聞きたいことがあった。
今、郊外のレギュラー店では、
POP UPセールで魚のイベントをする。
つまり売り切れ御免の商売。
それがアメリカでは一番いいらしい。
私もそう思う。
アメリカでは全消費の2%が魚だ。
それをアメリカ中に広めていきたい。
エイドリアンさんの願いだ。
説明を受けている間も、
後ろではスタッフが魚をさばいている。
魚をさばく手つきも見事なものだ。
地下1階の魚に続く肉の売場。
ウェグマンズのミートは全米第一のレベル。
対面売場と多段ケースのセルフ売場。
ウェグマンズはSKUを増やして、
購買しやすい商品づくりをする。
それが客層の拡大となる。
加工肉の対面コーナー。
チーズとハムを合わせて、
「デリカテッセン」という。
ホットゾーンプライスは、
ウェグマン流のEDLPだ。
かつてはコンシスタントロープライスと呼んだ。
そしてオンラインピックアップの、
商品集積場。
この店は推定で200億円くらい売る。
その5割がオンライン販売だ。
エスカレーターを囲むように売場が展開され、
地下中央の青果部門に戻ってくる。
ホールフーズと同じセルフデリ。
日本人の私達でも実においしい。
顧客の注文に応えて作ってくれるのが、
ホットドックやサンドイッチ。
POKE売場も大人気だ。
1階はウェグマンズのフードサービスの魅力満載。
その入り口脇に新規に「Next Door」がオープンした。
今年の4月30日。
スーパーマーケットの「隣の扉」
アールデコ調の高級感のある空間。
目玉は寿司と炉端焼き。
ここも豊洲市場から直送される魚介、
ニュージーランド・ノルウェーなどの素材も。
ニューヨークのダイニングシーンに、
新しい風を吹き込む。
「食のデスティネーション」
監修はジョン・エマーソン氏。
27年間、ウェグマンズに携わる。
ドイツ出身のオリバー・ランゲ氏、
日本の松岡和也氏など、
国際色豊かな実力派ぞろい。
レストランで開発されたメニューは、
ウェグマンズの売場で展開される。
午前中は食べることができなかったが、
外側から店を見ただけで満足した。スパシャルコースのメンバーは、
ここで解散。
それぞれにマンハッタンを探索した。
今年からスペシャルコースは、
1日日程を増やして8日間にした。
その1日という時間は大いに生かされた。
倉本長治の言葉。
「この一瞬の積み重ねが、
君という商人の全生涯」
(つづきます)
〈結城義晴〉