結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2025年10月14日(火曜日)

ニューヨークの競争の「とんがり★こだわり」と「ひとりよがり」

私の持論が「ポジショニング戦略」。
あまり好きではないがわかりやすくするために、
それを「とんがり★こだわり」と表現する。

ニューヨークに着いて2日目。
滞在するのはタイムズスクエアに近い、
マリオット・マーキス。
周辺は劇場だらけ。
利便性はすこぶるいい。

今日は「コロンブス・デー(Columbus Day)」の祝日。
10月の第2月曜日。
偶然にも日本の「スポーツの日」と重なる。

2日目はマンハッタン島を出て西へ向かう。
ニュージャージー州へ。
あいにくの雨模様。

スチュー・レオナードIMG_0529

店頭に置かれるポリシーロック。
顧客満足のミッションを謳う。
㈱万代の利重まりさんとツーショット。
丹波橋店店長。
IMG_0533

入り口にはプロモーションコーナーがある。
これはいわば米国チェーンストアの鉄則。
とくに訴えたいアイテムを展開し、
セール品目を集積する。IMG_0619

直営の珈琲ショップ。
珈琲を飲みながら買物する顧客をよく見かける。IMG_0535

売場は迷路のように曲がりくねり、
完全なワンウェイコントロール。
バックヤードを見せて、商品力で引っ張る。
そして視覚、聴覚、五感に訴える
エキサイティングな売場づくりが特徴だ。

その一つがからくり人形たちのパフォーマンス。
ボタンを押すと音楽を奏でて歌ってくれる。

最初に登場するのが、
スチューズ・カントリー・ジャンボリー。
大人気のアトラクションは、
3分ごとに演奏してくれる。IMG_7154

サラダコーナーのアボカドガールズ。IMG_7157

青果売場でスマホを掲げる参加者たち。IMG_0567

視線の先には有名なバナナ娘。
IMG_0568

デイリー売場では、
ファームフレッシュファイブ。
頭にかぶった箱には、
スキム、リッチ、ローファットの文字。
メーカーが協賛している。IMG_7162

牛乳売場に二頭の牛。
これは「モー」と鳴くだけ。IMG_7163

卵売場では鶏3羽のパフォーマンス。IMG_7165

ミート売場のチキンコーナーでは、
鶏たちがコーラス。
子ども連れのお客が見上げて、
一緒に歌う。IMG_0587

チーズ売場のアイドル。
赤い地に白のボタンを押す。
IMG_0598

かつてニューヨークタイムズに
「ディズニーランドのような店」と評された。
核売場のリカーを中心に大仕掛けを施し、
完全なワンウェイで顧客を誘導する。
子どものいるファミリーをターゲティングして、
ポジショニングする。

だから子どもたちも、
私たちも、楽しめる、
滞留型のスーパーマーケット。

ニュージャージー州の2店目は、
ウェグマンズ。
IMG_0621

見事な青果売場が出迎える。
ダラスのHEBが腰高什器を使った売場なら、
ウェグマンズは陳列線が低い売り方だ。
だから奥まで見通せる。
IMG_0623

リンゴのばら売り。
市場感があふれる。IMG_7258

その横ではリンゴの袋売り。
用途に応じた容量揃え。
IMG_7260

「パーフェクトペアリング」と称した、
カプレーゼの提案。
IMG_7261
調理済みのローステッドトマトのカップ商品と、
ポッドに入ったフレッシュバジル、
加工したバジルペイストのカップ商品、
そしてモッツァレラチーズを品揃え。

主婦の悩みを解決する、
これこそミールソリューションだ。

カットフルーツのコーナー。
作業場が必ずセットになっている。IMG_7262

チーズの品揃えは専門店を超える。
世界中から調達して、
店内でカットして提供する。
カテゴリーマネジメントの典型売場だ。IMG_7274

青果の反対側には作業場をはさんで、
フードサービスゾーン。
インストアベーカリー、フードサービスデリ、
そしてミート・シーフードの売場。
IMG_0645

シーフードは氷を敷いて丸物を提供。
カッティングサービスも行う。
IMG_0634

ミートのミールキットコーナー。IMG_7306

金色のトレイに入った「ゴールドパン・ミール」。
レンジ加熱だけでメインディッシュが完成する。
金色のトレイはHEBがウェグマンズに学んで採用。
両社の業務提携効果が出たアイテムだ。IMG_7305

グロサリーや日用消耗品はEDLP。
「HOT SONE Price」とネーミングを変えた。IMG_0631

霧雨の中、ウェグマンズを背景に記念撮影。
全員の位置取りを指示する。IMG_0650

ウェグマンズに感謝しながら、
お奨めの高級ワインを頭に掲げながら、
皆、満足の笑顔。
IMG_0653

近隣にはストップ&ショップ。
ニューヨーク・ニューアーク地区では2位のシェア。
161店舗で13.7%。
IMG_0656

現在はオランダのアホールドデレーズ傘下。
セールや「Buy2 Get1 Free」のPOPが目立つ。
2個買ったら1個おまけ、の売り方。
売れない店の常とう手段。
顧客は必ずしも3個必要とはしない。
IMG_0658

寿司のコーナーだけアップデートされている。
IMG_0660

奥主通路に設けられた、
シーフードとミートの対面売場。
お客はいないし、従業員の姿もない。
IMG_0663

遅れたスーパーマーケットが、
形だけトレンドの対面売場を設けても、
商品力がなければ維持できない。

顧客の少ない売場を、
掃除ロボットだけが元気に動き回っていた。
IMG_0671

ショップライト。
IMG_0675

ニューヨーク・ニューアーク地区ではシェア1位。
ただしボランタリーチェーン。
115店舗で15.8%。
その中でも飛び切りの店舗がこれ。
IMG_0683

店舗導入部右側にファーマシーを設けた。
多くの店は店舗奥に配するが、
この配置は高齢顧客にとって便利だ。
IMG_7313

ショップの集積のような売場づくりが特徴。IMG_0686

ボアーズヘッドを大々的に導入。
切り立てのハムとチーズのショップ。IMG_0687

チーズ売場もボアーズヘッドとは別に、
店内でカッティングして島陳列する。IMG_0685

MURAと書かれた寿司売場。IMG_0697

ミート売場は対面からセルフへ誘導。IMG_0698

店舗の奥にマグネットの牛乳売場。
大きな手のサインが効いている。
これ、どこかの企業がやらないかな。
IMG_0704

酒もグロサリーもラック什器に陳列する。
手を掛ける部分と手を掛けないところ。
メリハリのある売場が良い。
IMG_0701

ここでわれわれはランチタイム。
IMG_0725

ウェグマンズのデリを持ち込み、
ショップライトのデリと食べ比べる。IMG_0720

食べながら交流する。IMG_0722

みんな、いい笑顔だ。IMG_0724

一番元気なのはこの2人。
IMG_0719

ショップライトと隣接するのが、
ドイツのリドル。
IMG_0726

アルディと同じ業態。
リミテッドアソートメントのボックスストア。
IMG_0728

店頭のパン売場は、
独自の縦型ケース什器で販売する。
IMG_7322

ほとんどの商品が99セント。
ランチの後だが、試食のために購入。
IMG_7319

アルディの1万平方フィートに対して、
リドルはその2倍の2万平方フィート。
そしてナショナルブランドを扱う比率も高い。IMG_0731

OICグループの福島道夫さんが、
ナショナルブランドとプライベートブランドを、
味と価格で比較研究している。IMG_0748

クラッカーのリッツとアルディのPBを購入。
IMG_0743
ホテルに帰って皆で試食する。

ニュージャージーの視察を終え、
マンハッタンへ戻る。

アッパーウェストのブロードウェイ沿い。
尖がり・こだわりの4店舗を徒歩で視察する。

まずゼイバーズ。
IMG_0752

ウクライナ出身のユダヤ人兄弟が創業。
2代目の協同経営者の一人、サウル・ゼイバース氏が、
10月7日に亡くなった。
97歳だった。

ニューヨークタイムズなどが一斉に報じた。
記事には「グルメショップ」と書かれている。
その名に恥じない深い品揃えが特徴。

チーズ売場のこの多品種の品揃え。IMG_7336

独自の美味しさを提供するデリ売場。IMG_7333

魚の燻製はこの店の強力なマグネット。IMG_7331

パン売場にも顧客がしっかり付いている。
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迷路のような動線の最後は、
コーヒーと紅茶の売場。
IMG_7347

このコーヒーは本当にうまい。
必ず購入する。
モカブレンドを2ポンド買った。

ブロードウェイを南に下ると、
ニューヨークデリのシタレラ。
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2層の狭い店舗。
価格は決して安くはない。
だが高齢者の上品なお馴染みさんが多い。
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シーフードの売場が強い。
デザインが特徴的。
IMG_7361

生鮮とデリは対面販売。
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隣接するのが、
フェアウェイマーケット。
マンハッタン型ス―パーマーケットの王者だった。IMG_7364

道路に面して屋外売場を設ける。
IMG_7366

一時はナスダックに上場して、
郊外に15店舗を展開した。
現在はビレッジ・スーパーマーケット傘下。
この会社はショップライトを展開する。

フェアウェイは11店舗を売却して、
4店舗のみを運営する。

しかしこの本店の青果はいい。
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その良さは葉物の品揃えを見れば一目瞭然。
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オリーブは圧巻の品揃え。
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もちろんスーパーマーケットの基本は、
おろそかにしない。
肉と魚は対面販売方式。
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ただし鮮魚はずいぶん売場が狭くなった。
客数が減って鮮度を維持できないからだ。
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さらにさらにブロードウェイを南下。
トレーダー・ジョー。
ドラッグストアのデュアンリードが地上1・2階、
トレーダー・ジョーが地下1・2階を占める。
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地下1階には採光窓。
IMG_7389

地下1階は青果・精肉、
そしてチーズなどのデアリー売場。IMG_7390

地下2階はパンとグロサリー、
冷凍食品、飲料。

地下1階と2階をエスカレーターでつなぐ。
この2層トレーダー・ジョーも、
完全なワンウェイコントロール店舗だ。

訪問したのは午後4時前後。
明日からは日常が戻る。
みな、買い出しにやってきている。
だから欠品があちこちで起こっている。IMG_7386

冷凍食品売上げ1位のマンダリンチキン。
在庫量を増やして、何度も補充しているが、
この時間帯は品薄。
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それでもまだレジ待ち行列は短い。
これから続々と顧客が押し掛ける。IMG_7388

ニューヨーク視察2日目は、
ニュージャージーからマンハッタンまで、
とびきりの「とんがり★こだわり」の店舗を視察。

とんがり★こだわりこそ、
ポジショニング戦略の肝となる考え方だ。

ただしそのとんがりとこだわりが、
自分の顧客たちから絶賛されて、
受け入れられ、支持されねばならない。

それがなければ、
「ひとりよがり」となって、
店は衰弱していく。

ストップ&ショップがそれを示している。
フェアウェイの郊外店も同じだった。
(つづきます)

〈結城義晴〉

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