フィラデルフィア。
シチズンズバンクパーク。
メジャーリーグのディビジョンシリーズ。
ドジャース対フィリーズ。
そのフィリーズの本拠地がフィラデルフィア。
今年は26都市圏を紹介したので、
フィラデルフィアも取り上げた。
アメリカ北東部。
ペンシルベニア州最大の都市が、
フィラデルフィア。
鉄道のアムトラックで旅をすると、
ペンシルバニアからすぐにニューヨークに着く。
そしてマンハッタンに入り込んで終点が、
「ぺンシルバニア駅」だ。
ペンシルバニアは、
1776年に独立宣言がなされた街で、
1790年から1800年まで、
アメリカの首都だった。
国立歴史公園や独立記念館、自由の鐘、
米国憲法センターなど歴史的建造物も多い。
アメリカで初めて世界遺産に登録された。
だから市民の意識は高い。
アメリカ合衆国発祥の地というプライドだ。
フィリーズはその「誇り」を体現していて、
熱烈な人気がある。
主要産業は製造業。
近年はバイオテクノロジー、フィンテック、
ソフトウェア・テクノロジー産業が急成長。
フィラデルフィア都市圏は622万人、
248万世帯が住む。
平均世帯所得も11万ドルを超える。
白人が59.66%で黒人は20.64%。
ヒスパニック系は1割ほどと少ない。
マーケットシェアトップは、
18.8%、51店のウォルマート。
2位はアクメ・マーケット、15.0%。
フィラデルフィアに本部を置くチェーンで、
アルバートソン傘下。
3位はフードライオン/ジャイアントフーズで14.9%。
こちらはアホールド・デレーズUSA傘下。
5位はボランタリーチェーンのショップライト10.9%。
ここまでが二ケタのシェア。
これといって特徴のある商業エリアではない。
ウェグマンズが南下作戦をとって、
10店舗を出店している。
フィリーズのゲームを見ながら、
私はそんなことを考える。
プロスポーツではMLBはフィリーズ、
フットボールはイーグルス、
バスケットボールは76ers、
アイスホッケーはフライヤーズ。
さて、
ディビジョンシリーズの第1戦。
大谷翔平が先発投手で一番打者。
二刀流。
大谷は1回を三者凡退で抑えた。
ホームラン王争いをしたカイル・シュワーバーは、
空振り三振で打ち取った。
しかし2回に四球と安打でピンチを招く。
J.T.リアルミュートに161キロの直球を、
三塁打されて2点を失う。
さらにハリソン・ベイダーにも犠飛を打たれて、
一気に失点。
しかしそこで崩れない。
大谷は立ち直って5回まで無失点。
6回のドジャース。
2死からフレディ・フリーマンが四球。
渋い活躍。
トミー・エドマンがレフト前ヒット。
フィリーズのエースは、
左腕クリストファー・サンチェス。
ドジャース打線はここまで抑え込まれていたが、
ここでキケ・ヘルナンデスが二塁打で2点を返した。
大谷は俄然、元気が出て、
6回裏を三者凡退。
そして7回に劇的な逆転劇が生まれた。
フィリーズの2番手投手は、
右腕デビッド・ロバートソン。
先頭打者のアンディ・パヘスが左前安打。
右手の亀裂骨折から蘇った捕手ウィル・スミスが、
デッドボール。
大チャンス。
投手は3番手に代わって、
左腕のマット・ストロム。
期待の大谷とムーキー・ベッツが凡退。
しかし三番に入ったテオスカー・ヘルナンデスが、
右中間スタンドへ逆転の3ランを放った。
これで3対5。
大谷は6回で降板し、
7回からはタイラー・グラスノー投手。
レギュラーシーズンは先発投手。
さらにアレックス・ベシア投手にリレー。
8回までフィリーズに点を許さなかった。
そして真打登場。
大谷は6回を89球、
3安打2四死球3失点で、
ポストシーズン初登板で初勝利。
9奪三振で最速球は163キロ。
こうして試合経過を辿って書いているだけで、
興奮が蘇ってくる。
ほんとうにいい試合だった。
大谷翔平の辛抱強さが際立った。
最終回に佐々木の登板の指示が出たのは、
9回表の大谷に打順が回ってくる直前だった。
外野の外側のブルペンで、
佐々木は慌ててウォーミングアップを始めた。
大谷はバントの構えをしたりして、
投手をけん制しつつ時間を稼いだ。
結局、フォアボールを選んだ。
佐々木はその間に体を温め、
投球練習をして、
9回裏に登板した。
そして好投した。
これでまずは1勝。
5戦して3勝すれば、
次に進むことができる。
フィラデルフィアの街のことを思いながら、
私はドジャースのゲームを堪能した。
まだまだ楽しめる。
ありがとう。
〈結城義晴〉